日本昔話 大工とネコ
大工と猫序章:妙な出会い昔々、ある村に腕の良い大工が住んでいた。名を弥吉と言い、木を削り、組み上げ、見事な家を建てることで評判だった。だが、弥吉には一つだけ欠点があった。彼は気が短く、少しでも仕事の邪魔が入るとすぐに怒鳴り散らしてしまうのだ。ある日、弥吉が仕事場で一心不乱に木を削っていると、どこからともなく一匹の猫がやってきた。毛並みは白と黒のまだら模様で、どこか気品が漂っている。猫は弥吉の道具箱の上に腰を下ろし、大きな目でじっと彼を見つめた。「おい、どけ! 仕事の邪魔だ!」弥吉が怒鳴ると、猫は一言も言わずスッと立ち去った。しかし翌日も、そのまた翌日も、猫は同じように現れては弥吉を見つめる。最..
2025/01/07 17:35