『地中の星 東京初の地下鉄走る』(門井慶喜)
資金も経験もゼロ。夢だけを抱いてロンドンから帰国した早川徳次(のりつぐ)は、誰もが不可能だと嘲笑した地下鉄計画をスタートさせ、財界の大物と技術者たちの協力を取り付けていく。だがそこに東急王国の五島慶太が立ちはだかる。“地下鉄の父”と呼ばれる早川徳次と実際に工事を担った無名の男たち、そしてライバルの五島慶太を絡めながら、銀座線の前身に当たる日本初の地下鉄工事の様子を描く。大変興味深い内容なのだが、思いの外、読むのに時間が掛かった。それは、例えば、経営者仲間のうちには、―地下の早川、地上の五島。とならび称する者もいるし、あるいはまた、―東の早川、西の五島。と見る者もいる。のように、やたらと改行が多く、改行後に―を使ってむやみに強調してみたり、翌日から、一般向け営業開始。(どうかな)徳次は、じつは危惧していた。...『地中の星東京初の地下鉄走る』(門井慶喜)
2024/02/01 09:37