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2022/03/14

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  • 模倣品対策なら意匠権を活用しよう

    意匠権に基づく輸入差止め件数が急増しています. 意匠権に基づく輸入差止め件数の推移(令和4年10月31日「知的財産侵害物品の認定手続における簡素化手続の対象拡大」より抜粋) 意匠権は権利の内容を外観で判断することができます. 大量の貨物の中から模倣品を見つけ出すとき、外観で判断できることは大きなメリットがあります. また外観で判断できるので輸入者と権利者の意見の食い違いが少ないというメリットもあります. 短時間で侵害・非侵害の判断をしなければならない税関の輸入差止めでは、権利の内容が分かりやすく、当事者の意見の食い違いが少ない、という意匠権はとても相性がいいのです. そんな意匠ですが、意匠とい…

  • 過去に輸入できなかった商品が今回も輸入できないとは限らない

    商標権の侵害を判断する混同の有無 商標は生きている 著名になるほど保護範囲が狭くなる 過去に輸入できた商標商品であっても輸入できないことある 過去に税関で差止めされた商品を再び輸入することができるのでしょうか. 同じ商標がついた商品を輸入するのだから、前回と同じ商標権が存在する限り、前回と同様に輸入できないと判断するのが一般的です. しかし税関が輸入を差止めするためには、その都度、認定手続きにおいて、商標権の侵害に該当するか該当しないのかを判断しなければならず、その結果、前回とは異なる判断に至ることもあります. たとえ同じ商標がついた商品を輸入する場合でも、前回とは違う結果、つまり商標権を侵害…

  • 「引用」を禁止する契約の有効性は誰にも分からない

    著作権法のオーバーライド問題 オーバーライド契約は有効 渉外契約の準拠法 無断引用禁止、無断複製禁止、無断転載禁止のように、権利者がコンテンツの無断利用を禁止する意思表示をしていることがあります. 一方、著作権法には、私的利用のための複製や引用のための複製のように、無断で利用されない権利の例外が定められています. これらの例外規定に従えば、権利者の承諾なしで「引用」できます. しかし、「引用」を禁止する契約が締結された場合に、権利者に無断で「引用」したらどうなるのか? 著作権法のオーバーライド問題 著作権法に規定されている例外規定を契約書で覆す「オーバーライド」は、その有効性について答えはあり…

  • 輸入貨物を通関させる「自発的処理」とは

    認定手続 自発的処理 貨物の廃棄・放棄 積戻し 部分切除 輸入同意書 輸入貨物の通関検査で知的財産権の侵害の疑いがある貨物が発見されると「認定手続」という手続きが行われます.商標・著作権・特許・意匠などの知的財産は、侵害かどうかの判断が大変難しいため、「認定手続」という特別な手続きで輸入者が輸入しようとする貨物が侵害かどうかを判断します.税関職員がその場で「どうします?」などと言って輸入者に任意放棄を促すことは禁止されています. 認定手続 認定手続で知的財産権の侵害であると判断されてしまうと、貨物が没収されてしまうので輸入者にとっては大変な損害です.知的財産権の侵害と判断される可能性が高いと判…

  • 同じ貨物なのに知的財産権の侵害と非侵害!違いは何か

    非商業輸入 非侵害品でも通関できない 通関を放棄 著作物の個人輸入 日本をはじめ各国の税関は知的財産権侵害品の輸入を禁止しています. それにも関わらず知的財産権侵害品が輸入されている理由は、1つに知的財産権侵害品の全てを税関が把握することができないこと、もう1つは同じ貨物でも知的財産権の侵害にならない輸入があることが挙げられます. 非商業輸入 知的財産権の侵害と言っても、商標権や著作権のように外観で判断できるものから内部に特徴がある特許権のようなものまで多種多様です. 大量の貨物が通関されるなか、その全てを税関で把握することなど到底不可能です. そしてもう一つ、特許法や商標法のような産業立法と…

  • 税関の輸入差止めは裁判所の差止め判決より手強い

    「人」ではなく「物」を規制する税関 権力が集中する日本の税関 税関で並行輸入を証明することは不可能 特許法や商標法における「侵害」は製造・販売・輸入等の「行為」を指します.製造等を行う行為の主体は者です.侵害裁判所は、必ず特定の者に対して製造・販売・輸入等を行ってはならないという判決を下します. 当事者以外は判決に拘束されません. したがって、判決当事者以外の製造・販売・輸入等の侵害行為を追求する場合は、別途裁判所の判決を得なければなりません. 「人」ではなく「物」を規制する税関 一方、関税法における「侵害」は「物品」です.特許権や商標権等を侵害する「物品」の輸入を禁止する関税法(関税法第69…

  • 税関で止まったコンバースを輸入する方法

    日本の税関が没収できる貨物は、関税法69条の11に列挙されています. この中では、麻薬類、銃刀類、猥褻図画、児童ポルノ、知的財産権侵害品、不正競争構成物品が規定されています. また関税法70条には、他法令で許可承認等を必要とするものを輸入するときは証明書の提出が必要と規定されています. 代表的なものはワシントン条約該当物品です. 関税法で輸入が制限されていなければ、税関で没収されることはありません. 例えば、アメリカで買ったコンバースのスニーカ. コンバースは輸入できない、と言われていようですが、どのような理由で輸入が制限されているのでしょうか. 考えられる法規は関税法69条の11に規定されて…

  • 中国製造の「ブランド品」が世界に拡散している

    偽物リスクが低い日本 日本直送品が好まれる理由 還流偽物 日本で販売されている日本製品のほとんどが中国で製造されています. 中国で製造された「日本製品」は日本へ輸出され、また中国国内でも「日本製」として販売されています. それにもかかわらず中国人が日本へ行って中国で製造された「日本製品」を買っています. 中国で買うより日本で買った方が安いという理由もあります. しかし渡航費を考えれば決して合理的な購買ではありません. 偽物リスクが低い日本 日本で買うことにこだわる理由は偽物です. 日本には偽物がないという安心感です. 中国で偽物に遭遇しないことはまずありません. 通販サイトには偽物が溢れ、デパ…

  • ネット通販を利用して中国で商品を販売するときの商標トラブル

    商標と個人輸入 通関トラブル 商標登録マークRの扱い 中国に販売拠点をもたなくても中国の巨大市場にアクセスすることができる中国向けのインターネット通販が人気です. 中国に販売拠点を置いて商品を販売するときは中国で商標登録をします. 中国の個人相手に直接、日本から商品を輸出するだけだから、中国で商標を登録する必要はない、と考えて中国で商標登録をしない人も少なくありません. この場合、中国へ輸出する商品の商標を、第三者が中国で登録したらどうなるでしょうか. 商標と個人輸入 中国で商標を登録した第三者は、商標権に基づいて日本から中国に輸入される商品の輸入差止めを中国税関に申し立てるかもしれません. …

  • 輸入ビジネスに知的財産のトラブルはつきもの

    輸入差止めされている貨物 税関による違い 仕出し国による違い 並行輸入 侵害判断 麻薬・拳銃と同様に商標権・意匠権・特許権などの知的財産を侵害する貨物は輸入禁制品として税関における取締の対象です. 海外からの輸入、最近は個人輸入を装った輸入が増えるに従い、知的財産を理由に通関できないケースが増えています. 輸入差止めされている貨物 どのような貨物が重点的に取り締まりの対象になっているのか. 税関のHPには輸入差止めの申立てが行われている貨物が公表されています. www.customs.go.jp キーワードを入力する欄に、「バック」と入力して検索をしてみてください. 「GUCCI」や「COAC…

  • 輸入者が知っておきい知的財産貨物の通関

    認定手続 自発処理 通関開放 税関は輸入申告された貨物を、過去の実績等に応じて区分けします. 麻薬や拳銃、知的財産侵害情報など、検査に必要な情報が税関のデータベースに蓄積されています. 全ての貨物を検査する訳ではなく、ある区分に分けられた貨物が検査の対象になります. 認定手続 この検査で知的財産の侵害の疑いがある貨物が発見されます. 知的財産を侵害する疑いがある貨物が発見されると、かならず「認定手続」という手続きを行わなければなりません. 税関職員がその場で「どうします?」といって任意処理を促すことは禁止されています. 商標、著作権、特許、意匠などの知的財産は、侵害かどうかの判断が大変難しいた…

  • 特許を受ける権利を譲渡するときが発明者にとって最初で最後のチャンス

    職務発明の対価を請求できるのは5年間 職務発明の勤務規則で大事なこと 職務発明規定の必要性 特許出願をするときに提出する願書で、発明者と出願人を特定します. 同じ願書の記載でも発明者と出願人とでは享受できる利益が全く違います.発明者は発明の完成と同時に特許を受ける権利を持つことができます. 発明者自身、または発明者から特許を受ける権利を譲り受けた者が出願人です. 特許の世界では、発明を完成させるまでは発明者が主役、特許出願をした後の主役は出願人です.出願人はのちに特許権者になります. 特許権者は、特許発明を独占排他的に実施したり、ライセンス供与してライセンス収入を得たり、特許権を譲渡して対価を…

  • 料理写真の投稿は著作権で禁止できる

    料理に著作権があれば写真の投稿を禁止できる 著作権がなくても料理の写真の投稿を禁止できる 著作権がない料理に著作権を発生させる 料理の写真を無断で投稿すると著作権の侵害になる国があります. www.welt.de 代金を支払ったのだから料理は自分のもの! 自分のものになった料理の写真を撮って何が悪い!! 料理の所有権は代金を払った客にあるのだから、それをどうしようが客の自由という考えです. 言いたいことはわかります. もし料理ではなくて書籍だったらどうでしょう. 代金を支払って買った本は自分のもの! 自分のものになった本をコピーして何が悪い!! 本の所有権が自分にあっても、それを勝手にコピーす…

  • 「歌ってみた」ら著作権侵害だった!

    侵害にならない演奏 営利性の判断は難しい 管理された「歌ってみた」 You Tubeの「歌ってみた」も管理されている 管理外の楽曲は許諾が必要 楽譜通りの演奏 路上で「歌ってみた」をすると演奏権が問題になります. 演奏権とは、自分が作った音楽を他人に無断で演奏させないための権利です. このため著作権が満了していない楽曲を権利者に無断で演奏することはできません. 侵害にならない演奏 ただし、この原則を通すと何かと不都合が多いので例外規定が設けられています. 営利を目的としない. 通行人からお金をもらわない. 演奏する人に演奏料が支払われていない. この3つを全て満たす演奏なら例外的に権利者の許諾…

  • 企画書や仕様書は著作権では守れない

    企画書や仕様書に書かれているのはアイデア アイデアと表現の違い 創作性がある表現とは アイデアを守りたいなら特許 商品企画に必要な企画書を作り、それに基づいて商品・サービスの開発を進める. システム開発に必要な仕様書を作り、それに基づいてシステムの開発を進める. インターネットの普及により企画書や仕様書が簡単に外部に流出します. 企画書や仕様書の流出で問題なのは企画書や仕様書に書かれているアイデアが盗まれることです. 企画書や仕様書が流出して第三者に利用されたときに著作権はどれくらい役に立つのか. 「役に立たない」 これが答えです. 企画書や仕様書に書かれているのはアイデア 企画書や仕様書に何…

  • 建築設計図に冷たい著作権と建築物に優しい意匠権

    設計図に冷たい著作権 設計図のデッドコピーしか規制できない 建築設計図と建築の著作物は別もの 建築物は意匠権で守る 著作権よりハードルが低い意匠審査 設計図を無断で使用して勝手に建物が建築されたとき、真っ先に思いつくのが著作権です. 確かに著作権法が保護する著作物に設計図が含まれています. しかし現実には設計図が著作権で保護されることは稀です. 設計図に冷たい著作権 建築設計図には、設計対象を表す線図と設計対象の具体的な形状や寸法というの2つの要素が含まれています. 設計内容を正確に伝えるためには、線図だけでは足りず形状や寸法も必要です. ところが著作権の世界では、建築設計図のうち形状や寸法を…

  • 商標登録ではなく中国で著作権登録をしておく

    商品・サービスに制約される商標登録出願をするなら著作権登録をしておくことも商標トラブル対策の一つです. 商標制度が招いたトラブル 商標制度の間隙を突かれたトラブルが中国で発生しました. 商標制度は商品・サービスごとに独占権を付与します. 全ての商品・サービスについて独占権を得たいと考えるなら、全ての商品・サービスに対して商標登録出願を行わなければなりません. 一部の商品・サービスについて商標権を取得したというだけでは、他の商品・サービスについて第三者の無断使用や第三者の商標登録を防ぐことができません. 中国で発生した商標トラブルは、商標権を取得していなかった商品・サービスの商標権を競合他社に登…

  • 人の顔に著作権があるかもしれない

    有名人の肖像権と一般人の肖像権の違い 人の顔にも著作権 メイクと著作権 人の顔は著作権ではなく肖像権で保護されます. そしてこの肖像権は有名人だけのものではなく一般人にも認められています. 肖像権は、日本国憲法第13条に規定される「生命、自由 及び幸福追求に対する国民の権利」の下に保護されている権利だからです. 自分の知らない間に撮影された顔写真がインターネット上に公表されて嫌な気分を味わった. そんな場合は有名人と同じように肖像権の侵害を理由に写真の削除を求めることができます. 有名人の肖像権と一般人の肖像権の違い 肖像権には、財産権に基づいた側面と人格権に基いた側面とがあります. 有名人の…

  • 著作権登録の効果

    中国の著作権事情 著作権紛争事件の増加 ソフトウェア開発の増加 著作権登録の効果 創作と同時に発生する著作権. 権利は発生しても権利の存在を証明するのは簡単ではありません. 著作権を使う場合は権利があることを証明しなければなりません. 中国の著作権事情 中国では著作権の登録件数が増え続けています. 2021年の著作権の登録件数は6264378件、前年比24.30%の増加です. www.ncac.gov.cn 商標権や特許権と違い著作権は登録しなくても権利が発生します. なぜこれほどまでに著作権登録が利用されているのか. 著作権紛争事件の増加 コピー商品が多い中国では著作権を理由に紛争に発展する…

  • コストをかけずに技術情報を守ることができる特許

    何のために特許を取得するのか 特許費用 vs ノウハウ費用 技術情報を管理できない理由 ノウハウ管理が確立されていない 出願公開は18ヶ月後のこと 特許はお金がかかるという理由で特許出願を避けることがあります. 確かに特許に要する費用は安くはありません. 何のために特許を取得するのか 技術情報を守るための特許であるならば特許は決して高くはありません. 技術情報を守るためには、特許を出願して特許権を取得する方法と、秘密ノウハウとして管理する方法があります. どちらも一長一短で、企業の方針によって取り得る方法が異なります. もしコストをかけたくないという理由でノウハウを選択するなら、その選択は本当…

  • 商標登録はリベンジできる

    商標に限らず特許や意匠など審査を経て登録される知的財産は、ほとんどの場合に拒絶理由が通知されます. ところがこの拒絶理由は絶対的のものではありません. 審査官の主観的な意見を述べているに過ぎません. そのため審査のクオリティを上げるために拒絶理由通知を介して審査官と出願人が「対話」する機会を設けています. 審査官の主観的な意見に過ぎないとはいえ、拒絶理由通知に対して何も応答しなければ出願は拒絶されます. 拒絶査定が確定したあとの商標は、商標を独占排他的に使用することができません. 出願人はもちろん第三者も自由に使用することができます. 商標を独占できないだけで、拒絶されたあとも自由に使用できる…

  • 商標の育て方を間違えると商標が死んでしまう

    死んでしまった商標たち 商標が死んでしまう理由 普通名称にさせないための工夫 登録された商標それ自体に何の価値もありません. 商標を使い続けていきながら商標を育てていく. 商標が育って信用が備わったときに始めて商標に価値が生まれます. 商標を育てるためには、商標をさまざまな方法で露出させます. しかし商標の育て方を間違えると商標は育つどころか死んでしまいます. 死んでしまった商標たち エスカレータ、ナイロン、うどんすき、ういろう. これらのネーミング、以前は商標として機能していました. その後、余りにも有名になり過ぎてしまい、今では普通名称になってしまいます. 普通名称になってしまうと、商標を…

  • 相手の著作権を無効にしてしまうたった一言

    登録手続きがない著作権 独自創作を主張されたらお手上げ 独りよがりの独自創作 新しいデザインを創った、新しいプログラムを開発した. 創作物を守ってくれる法律には、特許法や意匠法などの工業所有権法の他に著作権法があります. 著作権法と工業所有権法の大きな違い. それは登録手続きの有無です. 登録手続きがない著作権 新しいキャラクタのデザイン、新しいプログラム、これらの創作物を工業所有権法で保護してもらうためには、出願という手続きが必要です. 出願をして登録するための要件を備えたものだけに権利が与えられます. 反対に出願しても登録するための要件を備えていないものには権利は与えられません. これに対…

  • 創業・プレスリリースの後では遅すぎる商標対策

    創業前の商標対策 創業後の商標対策 プレスリリースは時期に注意 商標の抜け駆け出願の原因になるプレスリリース プレスリリースと商標のプランニング 商標は創業を考えている全ての人が持っている知財です. 新しい事業を始めるときに考えた企業名や商品名が「商標」という知的財産なのです. 創業前の商標対策 創業前に始める商標対策は、企業名や商品名を安心して使える状態にしておくことです. 他人の登録商標の存在を調査し、その結果、他人の登録商標が存在したら、企業名や商品名を変更する、というところから始めます.他人の登録商標が存在しているにもかかわらず、そのまま使用することは、つねに商標権侵害という爆弾を抱え…

  • 公衆演奏されて訴える権利者と公衆演奏を喜ぶ権利者がいる

    公衆≒不特定ではない 人数が多いことが問題 何人までが少数なのか コンテンツを大勢に拡散したいという人もいる 音楽教室の演奏が公衆演奏に該当するとして使用料を徴収するというニュースを聞いて違和感を持つ人が少ないと思います. www.jasrac.or.jp 違和感を持つ理由の一つが「公衆」. 普段使っている「公衆」と著作権法の「公衆」とでは、同じ「公衆」でも考え方が異なります. 公衆≒不特定ではない 普段使っている「公衆」と言えば不特定の人を意味します. 従って、不特定の人でなければ、つまり特定の人であれば、社会通念上の「公衆」には該当しません. 不特定は、人数の多寡を意味していません. 特定…

  • 洋服や家具という実用品を著作権で守る

    家具に著作権を発生させる 著作権を発生させるための工夫 洋服のデザインにも著作権 工業デザインに著作権を発生させて海外の摸倣から守る 知的財産権が満了して誰でも使えるパブリックドメインになったデザインを施した「ジェネリック家具」. ライセンス料が要らず、誰でも自由に制作することができるため、低価格で販売することができます. 消費者の側からみると嬉しいことですが、家具メーカの側からみると悩みの種です. 家具に著作権を発生させる 「ジェネリック家具」の知的財産はデザインです. デザインを保護する知的財産権は、出願日から25年で権利が満了する意匠権です。 意匠登録出願の日から25年という短い期間しか…

  • 万引した本を古本屋に売ると著作権の侵害!?

    本と著作物は似て異なる 本を買ったら著作権は消える 買った本を古本屋に売るのとは違う ニセモノを仕入れて売った場合も侵害 ニセモノと知っていて商品を仕入れ、ニセモノを第三者に売ることが知的財産権の侵害になる. これは理解できると思います. ニセモノと知らないで仕入れた商品を第三者に売る. この場合はどうなるのでしょうか. 知らなかったから仕方がない. と言いたいところですが、法律は知っていた知らなかったは関係なくニセモノを第三者に売ることは知的財産権の侵害として扱います. 本と著作物は似て異なる 本を買うと本の所有権が買った人に移転します. 本を買った人は所有権に基いて、その本をどう処分しよう…

  • 「知らなかった」なら許される著作権侵害と「知らなかった」では済まされない商標権侵害

    「知らなかった」が免罪符になる著作権 「知らない」こと自体が罪 著作権を調査してはいけない 商標権の調査は必須 商標権と著作権の決定的な違いは「知らなかった」ことの扱いです. あるロゴマークを使っていたとします. そのロゴマークが偶然にも他人の登録商標に似ていることがあります. 他人の登録商標と似ているロゴマークを同一または類似の指定商品・サービスに使用したら他人の商標権の侵害です. 他人の登録商標の存在を「知らなかった」としても商標権の侵害は免れません. 「知らなかった」が免罪符になる著作権 あるロゴマークが偶然にも他人の著作物に似ていることがあります. 他人の著作物と類似するロゴマークの使…

  • 発明と特許の違いは模倣を許すかどうかの違い

    単なる発明は模倣を許した発明 発明と著作物の違いは模倣の扱い 発明と著作物は保護対象が違う なぜ特許を取らなければならないのか? 全ての発明が他人の模倣から保護されるわけではありません. 世の中には特許制度の利益を得ている発明と、特許制度の利益を得ていない発明があります. 特許制度は発明を他人の模倣から守るための制度です. 発明を他人の模倣から守りたいなら特許制度を利用して単なる発明を特許発明に昇華させる必要があります. 単なる発明は模倣を許した発明 特許制度があるにもかかわらず、特許制度を利用していない発明は、特許制度の利益を受けることを放棄した発明です. つまり特許発明に昇華させていない単…

  • 商標登録はお金がかかる!と思うなら著作権を活用する

    商標が使いづらい理由の一つは、商標法で区分されている商品やサービスごとに商標を登録しなければならないからです. もしも世の中に存在する全ての商品やサービスで商標を独占したい. その目的を実現するためには、45ある全ての区分で商標を登録しなければなりません(「TOKYO 2020」は全ての区分で商標登録されています). さらに商標権は国ごとに発生します. 世界中で商標を独占したいなら全ての国で商標を登録しなければなりません. 世の中に存在する全ての商品やサービスで商標を独占するためには、全ての国、全ての区分で商標を登録するという非現実的な手続きが必要になります. ほとんどの企業は、自社の製品やサ…

  • 冒認出願対策なら商標よりも著作権を登録する

    使用していない商標は取り消される 冒認出願対策は著作権を使う 使える「著作権」を用意する 使う予定はないが勝手に登録されると困るのでとりあえず中国に商標を登録しておく. 中国は日本と同じように登録主義を採用しています. したがって、中国国内で使う予定がない商標でも「将来的に使用する予定がある商標」について予め商標登録をすることができます. 中国で製造・販売する事業計画に先立ち、中国で使用する商標を予め出願する. このような計画に基づいて中国で商標出願する場合は中国商標法の趣旨に合致します. 中国で製造・販売する計画はない. しかし、第三者に商標を登録されてしまうのは嫌だ. だから、とりあえず中…

  • 日本の技術力では中国で特許が取得できない時代になりつつある

    従来技術に比べてどの程度の創作性があれば特許を認めるかはその国の産業政策に依存します. その国の技術レベルが低いにもかかわらず高い創作性を求めると、その国の特許は技術レベルの高い外国企業に占められてしまいます. 一方、通常の創作活動で行われる程度の低い創作性に対して特許を与えてしまうと、特許権が乱立し通常の創作活動に支障をきたします. 現在の日本の技術レベルは高く、創作性を高くしても外国企業に特許を独占されてしまうようなことはありません. 外国で特許になっても日本で特許にならない理由の一つは日本の技術レベルが高く、そして特許を与えるための創作性のレベルも高いからです. 中国の技術力 現在の中国…

  • 商標登録するときの出願人住所に一貫性をもたせる

    事業者の居所の表記は一致させにくい 外国出願は表記が相違しやすい 国際登録商標は注意が行き届きにくい 一括変更が必要 代理人に一貫性をもたせる 同じような商標が複数登録されてしまうと出所の混同が起きてしまいます. 出所の混同が条件なので、出所の混同がおきなければ似たような商標であっても登録されます. 出所の混同がおきない商標とは出所が同じ商標のことです. すでに登録されている商標と似ていても、その権利者と同じ出願人なら登録されます. 事業者の居所の表記は一致させにくい 出願人の同一認定は、事業者名の一致はもちろんのこと、事業者の居所の一致も必要です. 事業者名の同一性を満たすことは簡単でも、事…

  • 外国商標登録のことを考えて日本で商品を指定しておく

    日本だけではなく中国やタイなどの外国に商標を登録する機会が増えてきました. 優先権制度を利用すれば日本の出願日を基準に審査が行われます. これにより日本の出願日と外国の出願日との間の第三者の商標出願による拒絶などの不利益を回避することができます. 優先権の効果を得るためには日本で出願した内容と同一の内容を外国で出願しなければなりません. 具体的には日本で出願した商標と同一の商標で、日本で指定したときの商品や役務と同一の商品や役務を指定して外国で出願する必要があります. ところが商品や役務の同一性を維持することは簡単ではありません. 日本で指定できる商品や役務の内容と中国やタイなど外国で指定でき…

  • 誰がどのように「似ている」を判断するのか

    「似ている」発明 「似ている」商標 「似ている」意匠 「似ている」著作物 不正競争防止法 なぜ専門家の「似ている」はずれているのか キャラクタの著作権、ロゴマークの商標権、デザインの意匠権、技術の特許権. 知的財産権の侵害を判断するときにしばしば耳にする「似ている」という言葉. 「似ている」と判断されれば侵害となってしまうだけに、客観的かつ慎重に判断したいところです. ところが「似ている」のかどうかを判断することは、知的財産権の専門家でもとても難しいことなのです. 専門家でも難しい「似ている」の判断. どのように判断されるかを知っておくだけでも、他人の権利を侵害したり、誤って他人に権利の侵害だ…

  • 中国保税区で製造したOEM製品を輸出したら商標権侵害になる?

    日本企業が中国でOEM製品を製造する場合の一つに保税取引きがあります. 来料加工貿易と言われる保税取引きは、保税で材料を輸入し保税で製品を輸出できます. このため関税や増値税の問題から開放されるというメリットがあります. 中国国内でOEM製造を行い全品を輸出するOEM対外加工なら商標権の侵害問題はないという事例. OEM製品を来料加工すれば商標権の侵害問題はないという事例. さらには保税区内の工場でOEM製造すれば商標権の侵害問題はないという事例. このような事例があると、保税区でOEM製品を製造して輸出する場合は商標権の侵害にならないのでは?と思う人がいても不思議ではありません. 法律上の解…

  • 中国語商標の作り方

    「しまむら」に学ぶ中国商標の作り方 よく考えられた漢字 漢字とひらがな・カタカナの組み合わせ 「superdry極度乾燥(しなさい)」に学ぶ中国商標の作り方 中国に進出する企業は自国名のブランドとは別に中国用に漢字を使ったブランドを用意しています. 麦当劳 マクドナルド星巴克 スターバックス飞利浦 フィリップス肯德基 ケンタッキー优衣库 ユニクロ アルファベットのブランド名やカタカナのブランド名を、中国用にローカライズした漢字のブランド名に代えています. 豊田 トヨタ 三菱 樫尾 カシオ 漢字のブランド名を持っている場合なら、そのまま中国で使うこともできます. しかし漢字のブランド名をそのまま…

  • 中国で商標登録する前に知っておきたいこと

    出願人の決め方 日本法人を権利者にするメリット 名義変更 商品・役務の決め方 商品・役務の名称はライセンスに影響する インターネット通販は必須 複数の区分を纏めない 審査期間が長くなる 商標管理 出願人の決め方 これから中国で商標を登録する場合、権利者となる出願人は、次のように決めることができます. 中国に法人がまだ設立されていない この場合は、親会社である日本法人名で出願するか、中国現地法人の法人代表に就任する予定の個人名で出願します. 中国に法人を設立してから1年未満 この場合は、親会社である日本法人名で出願するか、中国現地法人の法人代表者の個人名で出願します. 中国現地法人名で出願する場…

  • 香港で商標登録するときの小技

    中国本土で登録された商標権の効力は香港には及びません. 香港でも商標権の効力を及ぼしたいときは、中国本土とは別に香港でも商標を出願しておく必要があります. 予備審査サービス 香港の知的財産局は、出願しようとする商標に対する予備調査サービスを提供しています. 予備調査をリクエストすると、出願しようとする商標の商品または役務と同一または類似の商標がすでに登録されていないかを調査してくれます. 出願しようとする商標の商品または役務と同一の商標がすでに登録されていれば、出願を断念したり、別の商標を考えるというような対応ができます. 出願しようとする商標の商品または役務と類似の商標が登録されていた場合、…

  • 他人の著作物を引用するための実質的なルールがある

    著作物を利用するときは著作権者から承諾を得るのが原則です. 一方、著作権者の承諾を得なくても著作物を利用できることもあります. 私的利用のための複製や引用は、著作権者の事前の承諾を得ずに著作物を利用することができる身近な方法です. 私的利用のための複製や引用は簡単に著作物を利用できることもあり、「私的利用」、「引用」を盾に、法律が想定した複製や引用が行われていることが少なくありません. 簡単に使えそうで、実は使い方が難しい「引用」 「引用」は、著作物を利用するときは著作権者の承諾を得るという原則に対して規定されている例外です. 法律で例外が規定されるときは、解釈が拡がらないように厳格に運用され…

  • 意匠権とクラウドサービスは相性がいい

    クラウドサービスは日本だけではなく海外からもアクセスできるという国境を越えたサービスです. もし新しいクラウドシステムを開発した場合、その知的財産を守るためには日本だけでは不十分です. 知的財産を守るための法律には国境があり、国外には法律は及ばないからです. インターネットの世界には国境はない せっかく開発したクラウドサービスが海外で第三者に使われても日本の法律で海外の無断使用を止めさせることはできません. クラウドサービスを知財で守るのは簡単ではないのです. サーバが設置されている国で知的財産権を取得 クラウドサービスを実現するプログラムが記憶されているサーバを差し押さえたい. そのためには…

  • 中国流ビジネスは日本の法律に抵触する

    中国の街を歩いていると一般市民が公安と口論をしているところを良く見かけます. 中国の公安と聞くと、権力を振りかざして、反抗すればすぐにでも連行されそうな印象があります. それにも関わらず公安を相手に一歩も引かない市民をみかけます. なかには複数の公安を相手に立ち振る舞う勇敢な市民もいます. 日本では見られない光景ですが、なぜここまで反抗するのか. 中国は人治主義? 中国は法治主義でもある トラブルがおこる前は人治主義、トラブルがおきたあとは法治主義の中国ビジネス 中国流ビジネスは日本の法律に抵触する 中国は人治主義? 中国は人治主義の国と言われています. 有力者や権力者の裁量で全てが決定される…

  • 同じデザインを使い続けることが最高のブランド戦略

    製品の機能を改良し続けることは必要です. しかし、デザインは新しさを求めずに同じ形を使い続けるという選択があります. 累積的に進歩する技術に対して20年程度の周期で繰り返すのがデザイン. 20年前の技術が良いということはありません. しかし、20年前のデザインが斬新ということはよくあることです. デザインは変えずに製品の機能のみを進化させれば良い 立体商標と意匠の使い分け 同じデザインを使い続けるための商標 使っていないデザインは取り消される まず意匠登録から始める デザインは変えずに製品の機能のみを進化させれば良い 知的財産という側面から見ても同じデザインを使い続けることのメリットを見出すこ…

  • 話し合いで解決できないのがトラブル

    ソフトウェアの開発業務を中国企業に委託したときのトラブルを紹介します. 進捗の遅れが目につき始めたころ、難易度が高いので委託料を上げて欲しいという連絡がありました. 中国企業の場合、低い金額で入札を勝ち取り、その後、値上げを要求してくることが少なくありません. 値上げ要求には応じずに契約を打ち切ることにして、手付金の返還と違約金の支払いを求めました. しかし相手の中国企業は違約金の支払いどころか手付金の返還にすら応じようとはしません. 中国企業に非があることは認めています. にもかかわらず、いろいろな言い訳をして金銭の支払いを逃れようとするのです. 交渉にならない交渉に疲れ果て、最終的には手付…

  • サブスクで偽物対策

    真正品を求めてヨーロッパで購入したブランド品が実は中国製の偽物だったということは珍しくありません. 中国で製造された模倣品の輸出先のトップがヨーロッパです. ヨーロッパへの輸出が多い理由は、ヨーロッパがブランドの集積地だからに他なりません. ヨーロッパを訪れる観光客やヨーロッパから直接購入する輸入者をターゲットにブランド品と偽って中国製の模倣品を販売するビジネスが跡を絶ちません. 中国製造に対する警戒心から中国で買うことに躊躇する消費者も、ヨーロッパで販売されている中国製造のブランド品に対しては警戒心が薄らぎます. ブランドにとって製造地は重要だった 本物と偽物の違いは商標だけ 「所有」から「…

  • 中国越境ECの商標トラブル

    日本で販売されている日本製品のほとんどは中国で製造されたもので.中国で製造された「日本製品」は日本へ輸出され、また中国国内でも同じモノが「日本製」として販売されています. それにもかかわらず中国人が日本へ行って中国で製造された「日本製品」を買っています. 中国で買うより日本で買った方が安いという理由もありますが渡航費を考えれば決して合理的な方法ではありません. 日本で買うことにこだわる理由は偽物です.日本には偽物がないという安心感です. 中国で偽物に遭遇しないことはまずありません.通販サイトには偽物が溢れ、デパートでも正々堂々と偽物が販売されています.悪意で偽物を販売しているだけではなく、偽物…

  • 税関から認定手続開始通知書が届いたらやるべきこと

    麻薬・拳銃と同様に商標権・意匠権・特許権などの知的財産を侵害する貨物は輸入禁制品として税関における取締の対象です.海外からの輸入が増えるに従い、知的財産を理由に通関できないケースが増えています. しかし麻薬や拳銃は一見すれば、それと分かりますが、知的財産の場合、侵害と判断するためにには、高度な専門的な判断が必要です.税関で侵害と言われたからといって、それが正しいとは限りません.知的財産の侵害を判断するためには、非常に高度な専門性が求められるからです. ただし、何もしなければ、貨物は没収・廃棄となります.別に反論したからといって報復がある訳ではありません. なにより怖いのは、そこで黒と判断される…

  • 知らない間に70年前の著作権を相続している

    著作者の死後50年とされていた著作権の保護期間が2018年12月30日施行のTPP法改正により原則、著作者の死後70年に変わりました. 法律を改正するからには、それなりの理由があるはずです. ところが、これまで著作権の保護期間が著作者の死後50年では短すぎるという意見を聞いたことがありません. むしろ著作者の死後50年にもわたって著作権が存在することの弊害が取りだたされる位です。 それにもかかわらず、突然、著作権法が改正されて保護期間が延長されてしまったのは、一体、どのような理由なのでしょうか。 著作権の保護期間を延長する理由は簡単です. アメリカが世界に誇る映画文化の聖地、ハリウッドを保護し…

  • FTA時代の海外商標戦略

    FTAにより関税障壁がなくなるとビジネスは国境を越え複数の国が一体になります. 例えば、これまで中国で製造されていたモノは中国とFTAを締結しているASEAN各国で製造されるように変わっていきます. そしてASEANで製造されたモノは中国だけでなくASEANとFTAを締結している国に輸出されるようになります. このようにFTAにより複数の国が一体になっても、商標は各国で登録すること変わりはありません. ところが新しく商標を登録しようと思っても、すでに登録されている商標と類似する可能性が高いため、希望する商標を登録することは年々難しくなっています. このような商標の枯渇に対応していくために、文字…

  • 中国へ提供する技術は特許技術に限る

    2015年に発表された中国製造2025. 「2025年までに世界の製造強国入り」というロードマップを示しています. すでに中国製造2025を実現するために数多くのプロジェクトが実施されています. そして、これらのプロジェクトを推し進めるために日本やドイツなどの製造強国企業との業務提携が結ばれ多くの合弁企業が設立されています. 問題は2025年以降. つまり中国が製造強国入りを果たしたあとです. 製造強国入りに必要な技術は全て導入したのであれば、業務提携を維持する必要はなく合併契約も解消します. その結果、これまでの友好関係が一転して敵対関係になります. 業務提携中は中国製造2025のプロジェク…

  • 知的財産権を利用して現地法人の利益を回収する

    現地法人から利益を回収する方法に商標などの知的財産を活用する方法があります. 例えば中国で知的財産権を登録するときに権利の名義を中国国外の事業会社Aにします. 事業会社Aは中国国内の事業会社Bに知的財産権をライセンスします. 事業会社Bは事業会社Aからライセンスされた知的財産の使用料を中国国外の事業会社Aに支払います. 中国から国外へ支払うライセンス料については、契約自由の原則に基いて当事者が自由に決めることができます. 中国に限らずタイ、ベトナム、インドネシアなどの知的財産権を第三国で統括して管理することもできます. 例えば、シンガポールに知的財産権の管理会社を設置し、アセアン若しくはアジア…

  • 特許権が侵害されたら刑事それとも民事いやいや行政でしょう

    知的財産権が侵害された場合は直接相手と交渉して解決することの他に裁判所の力を借りて解決する方法があります. 裁判所による司法救済には刑事と民事があります. 単純に相手を罰するのが目的であれば刑事が最も簡単です. 刑事と聞くとハードルが高いと思うかもしれません. しかし権利者に必要な手続きは告訴だけです. 告訴が受理されれば、あとは捜査機関が捜査・証拠保全・起訴という手続きを行ってくれます. 司法救済の目的が賠償金を取ることならば民事救済を選びます. 民事救済の場合は刑事と違って特許権侵害を受けているという事実や権利侵害によって生じた損害の額などをすべて権利者自身が立証しなくてはなりません. 裁…

  • 知財侵害の賠償金が上がり続ける中国の保護主義的な事情

    中国の知的財産権法が改正される度に侵害の賠償金額が引き上げられています. 例えば2014年以前であれば、商標権を侵害した場合に裁判所で認められる賠償金は上限50万元でした. その当時、上限50万元という賠償額は、余りにも低いため、抑止力にならないという指摘が特に外国企業から出されていました. 2014年の法改正により裁判所が認めることができる賠償金が300万元に引き上げられましたが、これは決して外国企業の要望に応じたわけではありません. これまでの商標権侵害訴訟は、原告が外国企業で被告が中国企業というものでした. 中国経済が発展していく段階において、中国政府はある程度の侵害行為は仕方がないと考…

  • 中国企業との契約は当てにできないけど無いわけにはいかない

    「中国で良いパートナーを見つけたら、そのパートナーと中国でビジネスを始めることにした。」 「その中国のパートナーはとても良い人だし信頼できるから堅苦しい契約書は必要ない。」 「そもそも中国のパートナーが持ちかけてきたビジネスだから、こちらの気分を悪くさせて自分が不利になるようなことはしないだろう。」 中国ビジネスを始めるときによく聞く会話です。 中国のパートナーとビジネスを始めるときは、中国側も日本側もビジネスを立ち上げるという同じ方向を向いているので両者の利害関係は一致しています。 しかし日本人の「常識」を共有していない人たちとビジネスを始めるわけですから、こちらが「常識」だと考えていること…

  • パクリ商標が生まれる理由

    中国では、ブランド名を構成する文字や図形の一部を変えたロゴマークを商標登録したり、商品に付けて使用してしまうことが少なくありません. 似ているから商標登録できないだろう、と思っていたのに、そのロゴマークが実際には商標登録されてしまった.似ているから商標権の効力が及ぶはずだ、と思っていたのに、そのロゴマークが実際には似ていないと判断されてしまった. このようなことは、商標の現場では決して珍しくはありません. 商標法には、登録商標と同じロゴマークだけではなく、登録商標と似ているロゴマークも他社が登録したり使用したりすることを規制するルールがあります. しかし、商標法で規定している「同じ」と「似てい…

  • JASRACがなければ楽曲の二次利用は不可能に近い

    利用したい楽曲の著作権者が誰か、その権利者はどこにいるのか、利用料などの条件は何かという、楽曲を利用するときの事前の作業の窓口となるのがJASRACです。 JASRACが嫌われる理由の一つは、JASRACに利用料を払わなければ音楽を利用できない、というものです。 しかし、JASRACが提供している楽曲の一元管理システムのよいところは、JASRACに利用料を払いさえすれば音楽を利用できる、ということです。 JASRACの良いところを理解するにはJASRACがなかった場合を考えてみると良いでしょう。 楽曲を利用したい場合の原則は、楽曲の著作権が帰属する権利者に予め許諾を得ることです。 無断で楽曲を…

  • 特許の取得は目的ではなく手段に過ぎない

    企業経営にとって、特許の取得は、例えば、他社の排除、ライセンス、技術防衛、プレステージという目標を達成するための一つの手段に過ぎません。 ところが特許の取得が簡単ではなく手続き自体も複雑であるため、特許を取得することに価値があるという思い込みが、特許の取得を手段から目的に昇華させてしまうことがあります。 特許の取得は他社の排除等の目的を達成するための一つの手段に過ぎないのであれば、その目的を達成するためには、特許ではなく意匠でも良いわけで、さらに言えば、権利の取得自体が不要というような場合もあります。 目的と手段をはっきりさせないと、意匠は駄目で何が何でも特許という特許原理主義に陥ることになり…

  • 契約書を制する者はビジネスを制す

    問題が起きたあとに整備されるのが法律である以上、法律はその性質上、現実の後追いしかできません。 ビジネスを行ううえで法律を守ることは当然です。 しかし法律に規定されていないことは、それが良いことなのか、悪いことなのか、これは裁判で決着がつくまでわかりません。 つまり、法律に規定されていないことについては、「裁判で決着がつくまでは全てが合法」なのです。 法律に規定されていないことについては、当事者がそれぞれ勝手に良し悪しを判断します。利害関係が異なれば、一方が良いと考えることでも他方は悪いと考えます。 日本の法律は他国に比べて厳密につくられています。 それでも現実に起こりうる問題に対応しきれてい…

  • 模倣品を放置してはいけない

    子供が書いたミッキーの落書きに対して著作権侵害を主張したという都市伝説が存在するほど、ディズニー社の知財管理は厳しいことで有名です。 中国でディズニーキャラクタの模倣品が出回ったときも、中国で訴訟を起こしても無駄だからと尻込みせず果敢に訴訟を仕掛けていきます。 日本企業のキャラクターの模倣品も中国で数多く存在しますが、ディズニー社のような訴訟戦を繰り広げたという話しを聞くことはありません。 日本企業の場合は、どちらかと言えば日本政府や中国政府に対して取り締まりの強化を求めることが多いようです。 模倣品対策のあるべき姿としてどちらが「正しい」かは、著作権や商標権などの知的財産権が私権である以上、…

  • ものづくり補助金で知的財産権経費をカバーする

    ものづくり補助金で補助される経費に、特許権・意匠権・商標権などの知的財産権の取得に要する費用が含まれています。 しかし知的財産権は、出願してから登録するまでに各種手続きがあり、さらに出願から登録までに数年がかかることも珍しくありません。 ものづくり補助金の経費対象になるためには、交付決定日から10ヶ月以内の事業実施期間内に発注から支払いまでの手続きを完了させるという時期的要件を満たさねければなりません。したがって知的財産権の取得に際しては、この時期的要件を満たすように手続きを行う必要があります。 特許権と時期的要件 意匠権と時期的要件 商標権と時期的要件 ものづくり補助金には意匠権を使う 交付…

  • 商標を使えばできる商品・サービスの値上げ

    商品の価格を上げるために商品自体の品質を上げたり、商品に新しい機能を加えたりするこれまでの商品開発も大切です。 しかし商標というブランドを利用すれば、これまでの商品開発とは違った方法で商品の価格をコントロールすることができます。 商品から商標というブランドを取り払ったノーブランド商品は、商標というブランドがないだけで商品自体の中身は同じです。 商品の価格を下げるために使われているノーブランド化という手法の逆を行けば、商品の中身は同じでも商品の価格を上げることができます。 価格を上げたい商品に商標というブランドがついていなければ、商品に商標というブランドを付けます。 価格を上げたい商品にすでに商…

  • 文字と図形を組み合わせた商標の良いところ悪いところ

    文字・図形・記号を組み合わせた商標は、文字だけの商標、図形だけの商標、記号だけの商標に比べて識別力を発揮しやすく登録し易いというメリットがあります。 識別力がない文字だけの商標を登録することはできませんが、識別力がある図形と組み合わせれば、商標全体として識別力があると判断されるからです。 商標を登録することだけを考えれば、文字・図形・記号を組み合わせた商標にメリットはあるります。 しかし、商標が登録されたあとは第三者が使用する商標に対して類似を主張しにくいというデメリットがあります。 文字と図形を組み合わせた商標が登録された場合、第三者が使用する商標が登録商標を構成する文字だけ、または図形だけ…

  • 発明とは既存のアイデアの新しい組み合わせ以外の何ものでもない

    「模倣」は、他人のアイデアをそのまま取り込むデッドコピー的な模倣ではなく、他人のアイデアを分析し、自分のビジネスに合わせて取り込むという模倣です。 今の世の中、他人のアイデアに依存せずに、独自のアイデアを考えだすことは到底不可能です。 全てのアイデアはすでにあるアイデアに依存せざるをえません。 特許の世界の話しをしましょう。 世界の特許の9割が大企業からの出願と言われています。 さぞかし先端的なアイデアが生み出されているだろうと思うかもしれませんが、実際は殆どの発明がすでにある発明を改良したものです。 新しいアイデアを創造することが立派で、改良したアイデアなんて大したことないと思わないで下さい…

  • 外国特許出願で機微情報が海外に流出している

    ほとんど全ての民生用技術が軍事転用を可能とする技術です。例えば、センサ技術がミサイル誘導に使用され、デジカメに使われているCCDがスパイ衛星に搭載され、塗装技術がステルス戦闘機に使用されています。 今は誰でも使っているカーナビも、当初は測位精度を落として民生用に転用されたものであり、インターネットも、電話回線に代わる通信網として米軍が開発した技術であることは有名です。 日本で開発される先端技術は、民生用として研究開発されているものがほとんどです. しかし、世界に目を向けると、先端技術は軍事用として開発され、それが民生用に転用されます。 同じ技術でも扱い方が日本と日本以外とでは全く異なります。 …

  • 特許調査のための特許出願

    新しい製品を開発したので市場に出したい。 はやる気持ちは分かりますが、その前にやっておくことがあります。 他人の特許権を侵害していないかどうかの調査です。 特許の調査は面倒だ、特許の調査はお金がかかる、という理由で特許調査をしない人を見受けます。 しかしこれはとても危険な行為です。 空いている土地に勝手に家を建てる人はいません。 空いている家に勝手に住む人はいません。 特許の世界も同じです。 すでに存在する他人の権利を勝手に犯していいはずがありません。 自分たちが世の中に出そうとする製品が他人の特許権を侵害していいはずがありません。 特許権を知らないことに過失がある 日本はビジネスを行う事業者…

  • プログラムの著作権譲渡は翻案権の扱いが成功の鍵

    著作権に対する関心が高まり、著作権について契約を締結するケースが増えてきました。 著作権について契約を締結するときは、著作権法を理解する必要がありますが、著作権法の条文は、他の法令に比べて、例外条項が多く、これが著作権法を分かりにくくしています。 著作権についての契約で最も多いのが譲渡契約です。 「全ての著作権を譲渡する」という条項を規定するだけの簡単な契約書です。 ところが、譲渡契約書に「全ての著作権を譲渡する」と規定しても、全ての権利が譲渡されないことが著作権法に規定されています。 著作権のなかには、小説を映画化したりする翻案権や、小説を翻訳したりする翻訳権という権利があります。 著作権法…

  • 特許出願よりコスパが悪いノウハウ保護

    社内の技術情報をノウハウとして守りたい、という話を聞くことがあります。 ノウハウ保護を選ぶ理由は、特許出願すると何れ公開されてしまう、特許出願すると費用が発生する、という内容です。 1年6ヶ月の非公開 確かに特許出願すると、出願から1年6ヶ月経過後に出願内容が公開されます。 しかし逆に言えば、出願してから1年6ヶ月間は非公開です。 競合他社も同じような研究開発を行い、技術進歩が速い秒進分歩の今の時代、1年6ヶ月間も非公開にできれば十分に競合他社に対してアドバンテージを得ることができます。 さらに日本語の壁を利用することができます。 出願内容が公開されれば外国語への翻訳が可能ですが、技術情報を正…

  • 特許フリーや著作権フリーはフリーではない

    特許権などの知的財産権を開放することがあります。 なかには無料で開放する場合も少なくありません。 特許発明を無料で使えるというメリットがありますが、物事には必ずデメリットもあります。 利用発明はフリーではない 無料開放された特許発明を使うデメリットを考えてみましょう。 発明のなかには、他人の知的財産を利用して完成させた発明があります。 これを利用発明といいます。 利用発明を実施すると、利用発明に含まれている特許などの他人の知的財産も実施することになります。 利用発明の権利者が自分の特許発明を無料で開放し、自由に実施してもいいですよ、とは言っても、利用発明に含まれる他人の知的財産をも自由に使わせ…

  • 不作為のペナルティを書かない契約書は機能しない

    契約書に書くべきことは○○をしなかった場合のペナルティを分かりやすく具体的に定めておくことです。 多くの契約書には、○○をしてはならない、という禁止条項は書かれていても、○○をしなかった場合のペナルティ条項が書かれていません。 信義誠実の原則に従い双方が協議するという信義誠実条項を以てペナルティ条項とする人がいますが、トラブルが起きたときに双方が協議して解決に向けて努力するのは当然のことなので、信義誠実条項は単なる標榜条項に過ぎません。 トラブルが起きると協議することすら叶いません。当事者が双方の主張を言い合うだけで解決に向けた努力を期待する方が非現実的です。 不作為のペナルティを分かりやすく…

  • キャラクター生地のハンドメイド加工・販売やコスプレ衣装の自作をヤバイと思える感覚を持っていますか?

    手芸店で販売されているキャラクターがプリントされた生地を使ってバッグなどを作ること自体は何ら違法ではありません。 問題になっているのは、そのようなハンドメイド加工品を販売する行為が著作権の侵害に該当するかどうかということです。 専門家の判断もあてにできない 著作権が問題になると、著作権法を理解して問題を解決しようとする傾向が強いのですが、法律を直接適用して問題を解決することは専門家にとっても決して簡単なことではありません。 著作権法の条文に直接記載されていれば良いのですが、多くの場合、条文を解釈して事例に当て嵌めていきます。 解釈ですから、当然に人によって様々な解釈があります。 ある専門家は手…

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