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雨霞 あめがすみ https://amegasumi.hatenablog.com/

そろそろ人生黄昏ですので、過去に書き溜めた様々なジャンルの小説や散文を公開します。

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2020/06/15

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  • 飯田木工所の赤木さん--7

    暢気な顔をして帰ってきた兄はしばらくは呆然としていたものの直ぐに連絡がつかなかった言い訳を始めた。どうせ嘘に決まっているが今はそれを言っていてもしょうがない。しかし兄には昔から不思議にこの性格があり、幸平がまだ幼い時分から一家の大事ともいう時に、何故かふっと居なくなる。これを単純に星と片付けて良いのか、自分の兄とはいえその気味の悪さを思うしかなかった。 今の一家の状態では葬儀らしい葬儀などできるはずもなく、三人で質素に葬ることになった。斎場で待つ間も、兄はもう何事もないかのように周辺をブラブラと歩いていた。母はすっかり萎れていて、そんな母の横に居て心配をするのは常に幸平だった。兄はやや年が離れ…

  • 飯田木工所の赤木さん--6

    その朝、兄は本来休日だったが臨時で出てもらえないかと頼まれていると言って出勤した。幸平はやや起きるのが遅かったので父も母もは既に朝食を済ませていた。母は庭に出ているようで、父はぼんやりとテレビを眺めていた。食事はもう済んだのかと声をかけたが聞こえないのか返事はなかった。 母が作ったみそ汁とその辺のもので勝手に食べていると、父がフラッと、まるで空気のように軽い感じで物音もせず縁側から出て行こうとしていた。いつものように買い物用のリュックを背負って靴を履いている最中だった。ふと気付いて「散歩か、気を付けて」と背中に向かって声をかけたが、返事もなくそのままノソノソと出て行った。

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