“精密機械”北別府学『赤ヘル1975』
自分が知っている“精密機械”と呼ばれた投手が2人いる。阪神、東京(ロッテ)、大洋で歴代3位の320勝を挙げた小山正明と、先頃亡くなった広島の北別府学だ。小山に関しては、残念ながら現役生活の晩年しか知らないが、北別府はまさに新人から引退までリアルタイムで見た投手だっただけに思い出深い(名字の珍しさもあって)。どちらも今でいうところの“脱力系”のゆったりとしたきれいな投球フォームから投げ下ろし、針の穴を通すとまでいわれた抜群のコントロールを身上とした。今回のWBC日本対チェコ戦での、剛速球の佐々木朗希と軟投派のオンドジェイ・サトリアの投げ合いを見ながら、昔の江川卓(巨人)と北別府の投手戦を思い出した。タイプの違う一流投手同士の投げ合いを見るのもまた楽しいものだった。重松清の小説『赤ヘル1975』は、75年の広...“精密機械”北別府学『赤ヘル1975』
2023/06/17 10:18