ある国の物語(無料改訂版)
祈り人と祈りの力 ある国に「祈り人」がおりました。 祈り人はその国とその国の民が幸せであるようにと祈るのが仕事です。 その国で一番大きくて立派な屋敷に住み、その一番奥の神聖とされる場所で正座したまま身動きせずに、ただ一心に祈るのが彼の一番重要な仕事でした。 その国は長い長い間、祈り人の祈りの力で守られていました。 それは戦で功績をあげる者にも、国の仕事をする役人にも、頭の良い学者にもできない事だったので、人々は彼をその国の王として、あがめ、奉りました。 だから王は自らの手で田畑を耕して作物を育てずとも食べることが出来たし、自らの足で道を切り開かずともみこしに乗って旅をすることも出来
2024/04/12 17:56