参議院が設置されて75年間の間で、参議院の果たした「成果」が見えていない以上、主義のために必要だとか言われても、今後も維持するだけの意義を見出すことはでぎません。
ミステリーを始めとして、私の趣味で勝手にジャンルをくくって作品20を選びました。書評のブログがたくさんあるので、私独自の感想を書くことを目標にしています。当面は毎週月曜・水曜・金曜と定期刊行(?)を目指します。
参議院が設置されて75年間の間で、参議院の果たした「成果」が見えていない以上、主義のために必要だとか言われても、今後も維持するだけの意義を見出すことはでぎません。
前回投稿しました「対談 中国を考える」で歴史小説編が終了しました。ミステリー編、経済小説編も含めると、ブログのスタートから4年3ヵ月が経ちました。 実は前回投稿の下書きが完成したのは2022年の11月。今から2年半以上前のことです。 当初の予定では、この後ミステリー編に戻って「くくり」を続ける予定でした。けれども歴史小説編を書き終えた際、自分でも予期しなかった達成感と、それを上回る喪失感に包まれました。 tails-of-devil.hatenablog.com *ブログの開始当初に参考にさせて頂いた、同世代の悪魔の尻尾 (id:tails_of_devil)さん。広い守備範囲の話題を自然体で…
番外 対談 中国を考える 司馬遼太郎 / 陳舜臣(1978)
中国史については造詣が深い司馬遼太郎と陳舜臣の対談は、春秋戦国時代かあら20世紀まで、ポンポンと話が飛びながら進んでいき、そこから日本の問題点を指摘します。
毛沢東支配が始まる。作者は父の不器用な生き方によって虐げられながらも、希望を持って勉学に励む。母の尽力もあり、イギリス留学生に選ばれ、自由の翼を得た。
満州で生れた祖母から著者までの、時代に翻弄された女性三代の物語。馬賊から日本軍、赤軍、国民党と支配者が代わる中、母は共産党に望みを託して生きていく。
満州が日本軍に侵掠される。様々な勢力が中国に混在して未来が見えない中、溥儀は日本軍に近づき皇帝即位を強行する。梁文秀と李春雲の2人のみが登極の儀に従う。
清が滅亡する。最後の皇帝の溥儀は、間もなく紫禁城から追い出されて日本軍を頼る。張作霖は中原に侵入したが満州に戻ると日本軍の謀略によって、命を落とす。
華南の農家に生れた孫文は、合理的な精神から清国の国体に疑問を持つ。やがて革命を志し、海外を飛び回って金策と武力を準備すると、辛亥革命として実を結ぶ。
張作霖は満州で巨大な軍閥を築き、袁世凱の北洋軍と対立する。そんな中南方では孫文の革命勢力が拡大する。3歳の幼帝、溥儀に抑える力はなく、清国は滅亡する。
清国創生の聖地の満州で頭角を現わした張作霖。勢力を拡大する中、皇帝乾隆帝が隠した「天命の証」龍玉を見つける。一方王宮では袁世凱が権力の座を狙っていた。
政界の大立者の李鴻章も、凋落する清国を支えることはできなかった。若き梁文秀は「変法」の仲間たちと体制内改革を志すが、反動によって同士たちが刑死してしまう。
貧乏だが屈託なく生きる李春雲と親から期待されない梁文秀は友達同士。しかし李春雲は宦官として、梁文秀は首席の郷試合格者として西太后政権下の王宮で再会する。
イギリスは圧倒的な武力と金に物を言わせたやり方で、中国人同士が戦う凄惨な戦いの後方で果実を得る。清は穆彰阿が林則徐を排して実権を握るが、敗色濃厚となる。
18世紀の清。貿易収支の赤字に苦しむイギリスはアヘンを輸出するターゲットとした。道光帝は自らアヘン中毒となった経験から、林則徐を使って取り締まりを図る。
李基信はその才能から清の防諜組織の配下となり、最初は台湾に、次いで雲南省の呉三桂の元に侵入する。果たして呉は清に反乱を起こすが、ここぞの時に煮え切らない。
明の崇禎帝は猜疑心が強く部下を死罪にして人心は離れ、李自成によって滅亡する。明の軍隊を率いていた呉三桂は、山海関を開いて韃靼の騎馬隊を本土に入れてしまう。
平戸島に漂着しうた韃靼人のアビアを助けた庄助は、韃靼に送る主命を受ける。明、金、そして朝鮮の民族が入り乱れ思惑が錯綜する中、庄助はアビアと行動を共にする。
朱元璋の四男に生れた朱棣は、皇位を簒奪して永楽帝として即位する。大航海を指示し明を最大版図に広げたが、人心からは離反されていた。
平戸島に漂着しうた韃靼人のアビアを助けた庄助は、韃靼に送る主命を受ける。明、金、そして朝鮮の民族が入り乱れ思惑が錯綜する中、庄助はアビアと行動を共にする。
食に事欠き托鉢僧になった朱元璋は、紅巾族の反乱に参加するが、持ち前の洞察力で頭角を現わし、間もなく大勢力を率いる。人材も集り元を駆逐して中華統一に導いた。
クビライは殺戮を繰り返すモンゴル軍の中で「不殺」を抱えた異色の人物。後継争いに勝利すると、繊細で巧緻な政治と勇敢な戦いで、モンゴルを最大版図に広げた。
元々遼の流れを汲む耶律楚材は、侵略を受けた金から重宝された父を持つ。その金はモンゴルに侵略されるが、堂々とした態度の知見がチンギス・ハンの目に留まる。
一旦敗れたチンギス・ハンだが、その後周辺種族を糾合し、盟友だったジャムカを破りモンゴル帝国を建国する。西域と西夏を制覇し、金に挑むところで寿命が尽きた。
テムジンは父に早く死なれ自身も命を狙われるが、強靱な意志で逆境を跳ね返し、チンギス・ハンの座に押される。すると盟友の契りを結んだジャムカと対決することに。
女真族の金に攻め込まれた宋は、皇族の大半が拉致され過酷な境遇に陥った。抗金の名将・韓世忠の子の子温は金に深く潜入し、金の実情を捉え、戦う決意を固める。
唐が滅亡した後の混迷の時代。学問が苦手で堪え性もない趙匡胤だが、人望は有して周囲から認めていた。軍に入隊すると頭角を現し、周囲から皇帝に祭り上げられる。
俊英な黄巣だが、唐末期は悪政がはびこり唐に見切りをつけた。打倒唐を目指して反乱勢力を結集して長安に侵攻するが、そこでは兵が乱暴を繰り返し、民の心は離反する。
武則天から始まる王宮の混乱を、玄宗皇帝は慎重に果断に解決して王家に権力を取り戻し、唐を興隆に導く。しかし次第に政治に飽き、息子の妃だった楊貴妃の虜になる。
武照(則天武后)は美貌で明晰なことから李世民の後宮に入る。そこで次期皇帝の高宗を籠絡するとその後は残酷な手段で邪魔者を次々と排除し、女帝へと登り詰める。
隋の煬帝を従兄に持つ李淵の次男の李世民は、父が建国した唐の二代目皇帝に即位する。版図を広げるだけでなく治世にも優れて、中国史上有数の名君と称えられた。
南北朝時代の北周の武将だった楊堅は、宣帝の狼藉に耐えかねて隋を建国する。その子の煬帝は中国統一に尽力するも次第に本性を現わし、皇帝に座を狙っていく。
中国の南北朝時代。華南の梁は北魏の侵略に悩まされていた。梁の陳慶之は子どもの頃から明晰で戦術にも通じ、常に白馬の騎士団を率いて寡兵で大軍を翻弄していた。
3 苻堅と王猛 (2008)/ 劉裕 豪剣の皇帝(2018) 小前 亮
混迷が続く五胡十六国時代。華北の雄、苻堅が100万の軍勢を率いて淝水の戦いに臨むも、後に皇帝となる劉裕も加わった東晋の8万の兵は見事に大軍を打ち破った。
漢王朝の名門出身の司馬仲達は曹操に求められて魏の文官して支えた。しかし将軍に抜擢されて蜀の諸葛亮と対峙、その目論みを防ぐ。その実力は曹家を凌ぐこといなる。
体躯に恵まれた趙雲は公孫瓚の配下で活躍していた。公孫瓚の知り合いの劉備と出会うと、その人物に惚れ込み、やがては家臣に加わると、蜀の建国まで尽力を続けた。
勇往な呂布は義理の父の丁原を殺害して董卓に尽くす。しかし董卓も暴虐のため殺害、2人の義父を殺害したため呂布は悪評が流布し、放浪する立場に追い込まれる。
諸葛孔明によって呉と蜀は手を結び、魏を打ち破り「天下三分の計」は成った。しかし関羽が、曹操が、そして劉備が次々と没し、混迷を収める者はいなくなった。
後漢末の乱世、暴虐の限りを尽くした董卓を、地方長官の曹操が倒す。袁紹・袁術ら名門を滅ぼし天下統一に迫るが、無名の劉備が呉の孫権と同盟し、立ちはだかる。
蔡倫は宦官として宮廷に仕えるが、そこで保存に優れた「紙」の開発に没頭する。「漢書」を編纂する班固とその妹の曹大家との交流から、理想の紙を完成させる。
漢の景帝の流れを汲むも貧乏で純朴な劉秀は、帝都長安への遊学で、王莽による世が混乱する姿を見る。やがて反乱が各地で勃発し、劉秀もその争乱に巻き込まれる。
伯母を皇后に持つ王莽は、勉学好きで孝行にも篤く、次第に周囲から認められていく。幼帝が続く中王莽に頼る場面が多くなり、遂には「皇位簒奪」を目論む。
軍神、崔去病は24歳で夭折したが、異母弟の崔光は武勇ではなく実務で武帝の後半期を支える。酷使と呼ばれる官僚の跋扈や有力者の対立、後継争いなど裁いていく。
武帝は匈奴を倒して漢帝国の強大化を目論む。愛妾の衛子夫の甥にあたる霍去病は10代から武の才能で周囲を瞠目させ、匈奴との戦いで活躍し、軍神として崇められる。
呂后は捕虜にされるも劉邦が必死に逃げ、親愛が薄れたとの話もある。但し劉邦は呂后の生んだ子が自分の子ではないと疑っていた。そして劉邦が亡くなると「化ける」。
垓下(がいか)の戦いによって項羽を滅ぼして凱歌を上げた劉邦は、その後疑心暗鬼に囚われて配下を粛清する。劉邦亡き後は呂雉が権勢を握り恐怖政治を敷いていく。
項羽は劉邦を攻めるが、劉邦は兵糧潤沢なまま籠城し勝敗がつかない。やがて講和するが、劉邦らは項羽の軍が衰弱していることを見て、乾坤一擲の大勝負を仕掛ける。
始皇帝が薨去すして世は乱れる。反秦勢力として、武力が突出する項羽が盟主となっていくが、配下には「ごろつき」と思われた劉邦が、なぜか存在感を増していた。
呂不韋の策略により秦の公子の異人を時期太子の座につけ、自分の妾をあてがった。そこから生れた政は、国王が立て続けに薨去したために、若くして秦の国王となる。
楚の春申君は若い頃から国を背負う逸材だった。教えを受けた屈原が自死すると、春申君は楚だけでなく平原君、信陵君と組んで秦に対抗する。しかし凋落も早かった。
秦国の貧しい家に生れた白起は、将軍となると、周辺国の魏、楚、韓、趙を次々と打ち破り諸国を再起不能の状態に陥れる。しかしその強さに宰相の范雎は恐れを抱く。
趙母卹は身分の低い母に産まれた弟だが、才智を見せて嫡子となった。晋国は当時六卿と呼ばれる一族が国を支配し、謀略で王を追い落とすと、勢力争いが始まった。
陳の国の公子から斉に流れた田氏は斗宿星(北斗七星)を守護星とする。田乞は2つの斗を使って領民の心を掴んでいたが、その心中は国を乗っ取る野望を宿していた。
斉の商家に生れた孫武は、頭脳明晰だが身分に恵まれず、過去の戦争を研究したながら独自の塾を開いた。その才能に気づいた呉の季札は、孫武を招き呉を強国に育てる。
今回からは始皇帝から20世紀まで続く小説40選を取り上げます。前半は古代中国に精通した塚本靑史作品。後半は各王朝の変遷をテーマにした作品に繋げていきます。
秦国が滅亡し、つかの間の平和を甘受した田横の斉だが、楚の項羽が滅びると漢の劉邦が斉の平定に動く。先が見えない中で、田横は運命に従い死者の思いを引き継ぐ。
田儋、田栄と田横は「田氏の3兄弟」と呼ばれ、滅亡した斉の再興を願っていた。中華統一した秦は始皇帝が崩御すると乱世を招き、田儋は斉王として名乗りをあげる。
秦の公子の異人と会った呂不韋は「奇貨居くべし」と工作を施して、異人を国王に擁立した。呂不韋は宰相となるが、王の子の政は、そんな呂不韋に心を開かない。
呂不韋は秦を中心とした連合軍が斉に攻め込む様子を見る。秦が強国となる中、呂不韋は春申君と厚誼を結び、孟嘗君から教えを受け、人間的に成長を遂げる。
18 青雲はるかに (秦:范雎) (?-BC 255)(1997)
范雎は魏の宰相の魏斉から機密漏洩を疑われ、拷問を受け厠に投げ込まれた。魏斉への復讐を誓い秦で宰相になると「遠交近攻」策を持って、近隣の魏を攻め込む。
楽毅が支援を期待した燕に力はなく、中山国は滅亡する。楽毅は孟嘗君の推薦で燕に仕え、秦国に攻撃する連合軍を指揮するが、突然その軍勢を斉に向けた。
中山国に生まれた楽毅。小国で、隣国の趙の武霊王が領土を併呑する欲望を隠さない。楽毅は孫子に学んだ戦法で対峙するが、中山王から報いを受けることはなかった。
16-2 孟嘗君 ②(斉:BC 220頃~BC 279)(1993)
魏の国は斉の孫臏に大敗して脱落する。秦で過酷な律を課した公孫鞅は国内で殺害される。斉の孟嘗君は魏と秦から乞われ、個の力で「戦国の覇者」になろうとしていた。
16-1 孟嘗君 ①(斉:BC 220頃~BC 279)(1993)
数奇な運命で田文(後の孟嘗君)は、白圭が預かり育てていく。白圭は公孫鞅を頼って旅を続ける。公孫鞅は秦で仕官し、白圭は学問をし直す為に田文と共に斉に戻る。
15-2 呉越春秋 湖底の城 ②(BC 527~BC 465)(2010)
呉の伍子胥は隣国越に攻め込まれる。越王の勾践の側近に抜擢された范蠡は呉との闘いに敗れ、許嫁の西施を犠牲にして呉王夫差に屈辱の和睦を求め、夫差は復讐を誓う。
15-1 呉越春秋 湖底の城 ①(BC 527~BC 465)(2010)
器量に優れた伍子胥だが、父を兄が謂われ無き罪を受けて刑死する。復讐の鬼と化して諸国をさすらい人を得て、呉国で地位を得ると、故国の楚への攻撃を開始する。
小国魯の貧しい家に生れた孔子は、葬儀の作法を教えるにすぎないとされた儒家を、礼を学び教える学問にした。しかし受け入れられず、生涯に亘り諸国を放浪する。
大国の晋と楚に挟まれた鄭は、両国に離反を繰り返していた。穆公の孫に産まれた子産はその明晰な頭脳から、国の内外を取り巻く情勢を分析し、長く国を安定に導いた。
12-2 晏子 ②(斉:BC 578~BC 500)(1994)
晏子(晏嬰)のぶれない姿勢は周囲から信頼を集める。その頃斉では権力闘争が勃発し、荘公が、そして崔杼が権力を握るが、晏子は自分の信念を曲げることはしない。
12-1 晏子 ①(斉:BC 578~BC 500)(1994)
宋の公子ながら後継争いで斉に流れた晏弱は斉に恩義を感じ、その佐伯で斉の領土拡大に努める。しかし権力闘争が激化する中病で亡くなり、子の晏嬰が残される。
11 夏姫春秋(鄭:BC 806~BC 375)(1991)
幼い時から妖艶だを漂わせる夏姫は、周囲の男を次々と不幸に導いていた。楚に連れて行かれた夏姫を見て、楚の家臣の巫臣は不幸を救うのは自分しかないと考える。
華栄の丘【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ]価格: 560 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 華元(かげん)は宋王室の分家にあたり代々丈夫を務め、職管はないが貴族の間では一目を置かれていた。対して君主昭公の評判は悪く、弟の公子鮑が兵を挙げるとの噂がたつ。昭公の祖父襄公の王妃で王宮で力を保持してきた王姫は、公子鮑の側に信望のある華元を推挙し、ともに宋を粛清し再建せよと命じる。 公子鮑と対面した華元は、自分から兵を挙げてはならず、宋が公子を必要とするまで耐えよと献策する。公子鮑はこれを受け入れ、弟の公子須に国内最大の勢力である桓氏との付き合いを控えさせた。王姫はその様子を見て華元を評価し、次に離反した国…
9 孟夏の太陽(晋の趙一族:BC 600~BC 400頃)(1992)
趙衰の子趙盾から趙朔、趙武、趙成、趙鞅、趙無恤という晋を支えた趙家7代の内4人を描く、夏の季節に始まり冬に終る連作の短編集。
8 沙中の回廊(晋の士会:BC 636~BC597)(2001)
士会は晋の重臣の家に生れたが、文公が放浪から戻って即位すると恵まれなかった。しかし武将の能力に秀でて、晋の版図拡大に貢献し、次第に立場を重くしていく。
行方不明となった友人を探しに行った介子推は虎に襲われる。その友人は無事に戻ると晋の夷吾に仕えた。介子推はその兄の重耳が放浪していると聞いて、興味を持つ。
6-2 重耳 ②(晋:BC 696~BC 628)(1993)
献公の夫人となった驪姫の謀略で兄は自害。重耳は弟と逃亡し、放浪生活に入る。その間父が亡くなり弟が即位するが、重耳は来るか解らぬ時機を待ち、19年が経った。
6-1 重耳 ①(晋:BC 696~BC 628)(1993)
重耳の祖父の武公は、念願だった晋の再統一を果たす。後を継いだ父の献公は国を治めるが、愛妾となった驪姫の讒言を受け入れて、重耳たち公子を遠方に引き離す。
富裕の家に生れた管仲だが、兄の放蕩で危機に瀕し、自ら身を立てようと都へと渡った。そこで出会った鮑叔は管仲の能力と恵まれない立場を思い、肩入れしていく。
中国文明で特質すべき「文字の起源」と、(西)周が滅亡して春秋時代に入る経緯を描いた作品があるので、取り上げました。残る1編は 「夏姫春秋」の後日談です。
商の紂王の政治は腐敗し、人心は離反しようとしていた。しかし力は強大で、復讐を目指す太公望は周の支援をして商を倒す算段を重ねる。そしてついに戦いの時は来た。
いわれなき理由で商の犠牲となった羌族の太公望は、父が殺され復讐の念に燃えて修行に励む。やがて戦略家として評判を得た太公望は、周の応に仕えて時機を待つ。
商の王子の箕子は、遠国で民から慕われる政道を敷いていた。横暴な国王から替わった紂王は、王妃の妲己と共に残虐な振る舞いを隠さなくなり、人心は離れていった。
1 天空の舟 小説・伊尹伝(BC 1600年頃)(1990)
洪水で流された後の伊尹は料理人として成長し、評判となって夏の王宮に呼ばれる。夏は桀王の政治によって民が離反し、優秀な民族の商が取って代わろうとしていた。
中国統一に至る、およそ4千年前から2千年前までの物語。日本がまだ原始時代だったころ、中国では遥か先を行く文明が発達し、重厚な歴史が存在していました。、
1年前も年末年始の特別編として(番宣がてら💦)行いましたが、昨年末にちょうど歴史小説の日本史編が終了したこともあり、12のくくりから私の気に入っている記事を取り上げたいと思います。こちらも前回と同様、小説の優劣ではなく記事の好みで選出しています。(なお前後編で掲載した作品は、全て後編をアップしました) 1 司馬遼太郎 日本を俯瞰する20選 個人的にも大好きな小説で、昨年NHKのドラマが再放送されたことをいいことに(?)、再掲した記事。書評をまとめる際、日露戦争を描く小説の開始がなぜ明治維新なのかを改めて考えました。俳人の子規を含めた数多くの登場人物たちが、「開花期」を迎えた日本で自分の居所を探…
今年の年頭は、私が選ぶ「史上最強の内閣」。昨年は似たような映画も放映されましたが、私が昔から妄想で考えていた内閣です。映画の閣僚と比べて眺めてください。
文化や美術を改革する「天才」に共通するのは、ゼロからの創作ではなく、従来あるものを「芸術」に昇華する発想と能力が優れていたのだと思います。
長州藩士の井上勝は、長崎留学で見た鉄道模型の試運転に心を奪われる。英国留学生に選ばれると最先端の鉄道技術を身に着け、帰国すると全国に鉄道網を敷いていく。
絵が好きで画家になるも、妻に貧乏を強いる生活が続く歌川広重。葛飾北斎が使う通称「ベロ藍」の鮮やかな青に魅せられて、連作「東海道五十三次」を作り出す。
極端な人見知りの伊藤若冲は、商いを弟たちに任せ、自分は部屋に籠もって絵を描いていた。妻が自死し屈折した気持ちで、朽ちる物を描写し、次第に注目を浴びる。
連歌から独立した俳諧は、松尾芭蕉によって「芸術」にまで高められる。「野ざらし紀行」と「おくのほそ道」を中心に作られた俳諧は、神韻を帯びて現代に残る。
甲冑師の虎徹は、戦乱が収まると商売が下り坂になり、刀剣師に鞍替えする。鉄を扱う仕事が変わらず材料を吟味し精力的に刀を作るも、思い通りの切れ味には至らない。
関孝和は叔父の井上政重に頼んで、囚われている宣教師から最先端の数学の教えを受ける。そして誰にも解けないと言われた問題を「発微算法」で解き明かした。
碁打衆に生まれた安井算哲は才能はあるが腰が定まらず、兄に遠慮して渋川春海と名乗る。但し算術への興味は尽きず、算術の難問や測量に取り組んで才能を磨いていく。
京の呉服店に生まれた尾形光琳は、怠惰な生活を過ごす。しかし実家が廃業すると収入が途絶える。絵と真剣に向き合うと、2色のみで燕子花を描く構想が浮かんだ。
長谷川等伯は画の力量が周囲から認められるも、妻には先立たれ、兄からは利用され、子は奸計に嵌まり早世する。そんな因果を乗り越えて、1つの作品を生み出す。
千利休の茶道は、その周囲をも狂わせた。高みを極める芸術性は門弟を配下として、遂には天下人豊臣秀吉をも凌駕する。対して利休も秀吉の芸術性に気づいていた。
浅井家の鷹匠の小林家次(家鷹)は、信長の攻撃によって死を覚悟した時に、見事な白鷹を見かける。信長も同じ戦場でその白鷹を見て、家次に捕まえるよう命じる。
織田信長の番匠として長年仕えた岡部又右衛門は、天下を睥睨する城を築くことを命じられる。信長の嗜好と性格を熟知する又右衛門は、あらん限りの知恵を絞る。
子供の市太郎は武田信玄に囚われて奴隷として、鉱山の発掘という過酷な作業を強いられる。しかし武田軍の敗戦で逃亡してしばらくすると、石垣積みの穴太衆と出会う。
狩野永徳は内なる欲求を描くことを欲し、父と対立していた。その独自の画風は市井で広まることはなかったが、足利義輝、松永久秀、そして織田信長に注目される。、
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参議院が設置されて75年間の間で、参議院の果たした「成果」が見えていない以上、主義のために必要だとか言われても、今後も維持するだけの意義を見出すことはでぎません。
前回投稿しました「対談 中国を考える」で歴史小説編が終了しました。ミステリー編、経済小説編も含めると、ブログのスタートから4年3ヵ月が経ちました。 実は前回投稿の下書きが完成したのは2022年の11月。今から2年半以上前のことです。 当初の予定では、この後ミステリー編に戻って「くくり」を続ける予定でした。けれども歴史小説編を書き終えた際、自分でも予期しなかった達成感と、それを上回る喪失感に包まれました。 tails-of-devil.hatenablog.com *ブログの開始当初に参考にさせて頂いた、同世代の悪魔の尻尾 (id:tails_of_devil)さん。広い守備範囲の話題を自然体で…
中国史については造詣が深い司馬遼太郎と陳舜臣の対談は、春秋戦国時代かあら20世紀まで、ポンポンと話が飛びながら進んでいき、そこから日本の問題点を指摘します。
毛沢東支配が始まる。作者は父の不器用な生き方によって虐げられながらも、希望を持って勉学に励む。母の尽力もあり、イギリス留学生に選ばれ、自由の翼を得た。
満州で生れた祖母から著者までの、時代に翻弄された女性三代の物語。馬賊から日本軍、赤軍、国民党と支配者が代わる中、母は共産党に望みを託して生きていく。
満州が日本軍に侵掠される。様々な勢力が中国に混在して未来が見えない中、溥儀は日本軍に近づき皇帝即位を強行する。梁文秀と李春雲の2人のみが登極の儀に従う。
清が滅亡する。最後の皇帝の溥儀は、間もなく紫禁城から追い出されて日本軍を頼る。張作霖は中原に侵入したが満州に戻ると日本軍の謀略によって、命を落とす。
華南の農家に生れた孫文は、合理的な精神から清国の国体に疑問を持つ。やがて革命を志し、海外を飛び回って金策と武力を準備すると、辛亥革命として実を結ぶ。
張作霖は満州で巨大な軍閥を築き、袁世凱の北洋軍と対立する。そんな中南方では孫文の革命勢力が拡大する。3歳の幼帝、溥儀に抑える力はなく、清国は滅亡する。
清国創生の聖地の満州で頭角を現わした張作霖。勢力を拡大する中、皇帝乾隆帝が隠した「天命の証」龍玉を見つける。一方王宮では袁世凱が権力の座を狙っていた。
政界の大立者の李鴻章も、凋落する清国を支えることはできなかった。若き梁文秀は「変法」の仲間たちと体制内改革を志すが、反動によって同士たちが刑死してしまう。
貧乏だが屈託なく生きる李春雲と親から期待されない梁文秀は友達同士。しかし李春雲は宦官として、梁文秀は首席の郷試合格者として西太后政権下の王宮で再会する。
イギリスは圧倒的な武力と金に物を言わせたやり方で、中国人同士が戦う凄惨な戦いの後方で果実を得る。清は穆彰阿が林則徐を排して実権を握るが、敗色濃厚となる。
18世紀の清。貿易収支の赤字に苦しむイギリスはアヘンを輸出するターゲットとした。道光帝は自らアヘン中毒となった経験から、林則徐を使って取り締まりを図る。
李基信はその才能から清の防諜組織の配下となり、最初は台湾に、次いで雲南省の呉三桂の元に侵入する。果たして呉は清に反乱を起こすが、ここぞの時に煮え切らない。
明の崇禎帝は猜疑心が強く部下を死罪にして人心は離れ、李自成によって滅亡する。明の軍隊を率いていた呉三桂は、山海関を開いて韃靼の騎馬隊を本土に入れてしまう。
平戸島に漂着しうた韃靼人のアビアを助けた庄助は、韃靼に送る主命を受ける。明、金、そして朝鮮の民族が入り乱れ思惑が錯綜する中、庄助はアビアと行動を共にする。
朱元璋の四男に生れた朱棣は、皇位を簒奪して永楽帝として即位する。大航海を指示し明を最大版図に広げたが、人心からは離反されていた。
平戸島に漂着しうた韃靼人のアビアを助けた庄助は、韃靼に送る主命を受ける。明、金、そして朝鮮の民族が入り乱れ思惑が錯綜する中、庄助はアビアと行動を共にする。
食に事欠き托鉢僧になった朱元璋は、紅巾族の反乱に参加するが、持ち前の洞察力で頭角を現わし、間もなく大勢力を率いる。人材も集り元を駆逐して中華統一に導いた。
減知と浪費が重なり、名門上杉家は藩存亡の危機に陥っていた。養子で藩主となった後の鷹山は、反対勢力を粛清して藩立て直しに尽力するが、改革の実は結ばない。
軍神謙信の後継、上杉景勝。豊臣政権を支え秀吉薨去後は、側近直江兼続は天下を望む徳川家康を征伐する「密謀」を石田三成と交わす。しかし景勝の思いば別にあった。
儒者として生き、生活に困窮する新井白石だが、徳川綱豊に使えてから運命が代わる。綱豊は将軍家宣となり、白石は政治顧問として政策を立案、運営していく。
酒造りの家に生れた清河八郎は、文武に秀でて志士として名を挙げる。しかし出身の庄内藩は眠ったままで、志を遂げるために、様々な力を利用しなくてはならなかった。
松平斉典は将軍家斉の子を養子に迎え、財政難の領地を豊な庄内への国替えを画策する。将軍の意向を背に動き出す幕閣に対し、庄内藩は領民も合わせて対抗策を講じる。
一茶は継母と折り合いが悪く江戸に出奔して、賭け俳句で頭角を現わす。父の遺産を義母から奪い取り、若い妻を娶って家名存続に執念を燃やす激しい心を持っていた。
旗本の次男坊に生まれた神名平四郎は、剣術道場を建てる資金を騙し取られ、やむなく長屋で「よろずもめごと仲裁」を稼業にする。そこで様々な人と出会うことになる。
1読者としてこの短篇集を読み終えると、最後の作品「川霧」のように、橋とは出会いと別れ、そして過去と未来を繋げる象徴だと、心に刻まれます。
藤沢周平が挑んだ「橋」とテーマにした連作短篇集。前後編に分けましたが、こちらでは「小ぬか雨」と「小さな橋で」の2編が最近ドラマ化されました。
全作品を通して、藤沢周平作品としては、いつもと違ったテイストを感じさせる短編集。それだけに特徴が出ています。映画化された「小川の辺」が収録されています。
こちらも初期の短編集。市井者として、町人が生活する中で味わう喜怒哀楽が全て詰まっています。「しぶとい連中」は、その中でも珍しいユーモアを感じさせます。
こちらは1編が20~30ページと短い作品ばかりですが、全てにおいて藤沢周平が手を変え品を変え、味わいを感じさせてくれます。名作「山桜」が収録されています。
市井物と呼ばれる中では初期の短篇集、「果し合い」は仲代達矢主演で映画化されました。故人と基には「鱗雲」に特に味わいを感じます。
藩の近習頭取の浅沼半十郎は、家老の小出帯刀から呼び出され、6年前の望月家老暗殺で使われた秘太刀「馬の骨」の伝承者を、甥の銀治郎と共に探す使命を受ける。
三屋清左衛門はほどほど出世をし、藩主の死去を機に隠居を願い出る。隠居後も相談事を持ち込まれたりで忙しい毎日を送り、自分の居場所が増えていくことになった。
隣家のふくに恋心を抱いていた牧文四郎。父が切腹し転居を強いられてふくから離れてしまう。そしてふくも文四郎に自分の気持ちを伝えられないまま殿に召し出される。
表題作を含む8編からなる短篇集。タイトルの言葉選びが見事で、また最後のヒネりまで気を使って、良質のミステリーを読んでいる錯覚に陥ります。
植村隼太は部屋住みの身分から出世を果たし、子供の頃からの友だった杉山忠兵衛を追い落とすことに成功した。権勢を握った首歌こと又左衛門は、その人生を振り返る。
隠し剣シリーズの2冊目。名作「武士の一分」を始め、秘剣が手を変え品を変え、様々登場します。この作品集は、藤沢周平の引き出しを多さを感じさせます。
藤沢周平が様々な「秘剣」をテーマにして、下級武士の男女の生態を描きます。内容もさることながら、秘剣のネーミングも、一つ一つに、ニヤリとさせられます。