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言葉で描くみえないこころ。 縦横高さ、時間軸、いつか 見えてくるでしょうか? 拙いながらの一綴り、ジャンルは絵のように…詩や小説の創作物を載せています。 どうぞお気軽にお立ち寄りください。

上遠野世方
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2020/06/20

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  • ジュブナイル 時の空へ還る(6)

    6,流星雨のインパクト森の輪郭が月明かりを浴びて妙に生き生きとしてくる。最初に声を上げたのは誰だったろうか。光の帯が空ではためくたびに、五人の身体は思い思いの文字を描き、声の爆竹が破裂する。一滴。二滴。星の雫が落ちてくる。夜空には祝祭のサーチライト。一瞬のシャワーのような流星。みんなが立ち上がっていた。喚声はいつまで続いていただろう。月が南天に懸かろうとする時、流星の雨はその滴を枯らし、漆黒の...

  • ジュブナイル時の空へ還る (5)

    5、東の丘に夜は落ちて。影踏みをしたり、追いかけっこをしたり。ぼくらは見晴らしのいい草原を目指した。その間中飛び跳ねて踊っていたのは夏分一人だったが、五人は夕陽に染まる雑草と石やらの道を歩いた。東の丘はかつて牧草地だったところだ。牧草地としての役割を終えてはいないが、牛はいなくなった。土地の持ち主が牛飼いを辞めたのだ。以来牧草地はそのまま。他の牛飼いの牛に草を食んでもらっていた。一面が緑の丘陵は星...

  • ジュブナイル時の空へ還る(4)

    フィールドを横切る遊星たち野球部がうさぎ跳びをしている脇で、サッカー部はボールを蹴っていた。一晩限りの流星倶楽部はその間を堂々と渡ってグラウンドを横切った。横切ったトラックを加速した陸上部が駆け抜ける。空は澄んだ青さで雲ひとつ無かった。今日は流星とぼくらの日だグラウンドを渡る胸が颯爽と茜色に輝いていた。流星クラブは東の空を見上げながらルウの家に向った。ルウは何かと信頼が厚い。先生たちからだけでなく...

  • ジュブナイル 時の空へ還る (3)

    昼休みの図書室は静かに。「マリは行かないって本当?どうしていかないのさ。」テルが問い詰める。図書館には四人が集まっていた。テルにルウにカブ、それにマリの四人だ。「だってあたし一人じゃ。言い訳もつくれないもの。」「茉莉だったら大丈夫だよ。スポーツは万能だし、一度はケンイチをやっつけたこともあるんだぜ。俺たちの中で一番たよりになる存在なんだからさあ。」そんなことをカブが言う。背は小さい。よくフィ...

  • ジュブナイル 時の空へ還る(2)

    七月六日「今日の天気は全国的に晴れ。夜半から朝方にかけて、東の空に天体ショーを見ることが出来るでしょう。ガルーダ流星群は四年振りの流星群。ガルーダとしては96年に一度の夜空のショー。忘れられないステキな思い出。忘れられない一日を体験できたなら、私にメッセージを・・・」ラジオDJがそんなことを言っていた。 朝のラジオを聞きながらテルは落ち着かなかった。今日は七月六日。明日はもう七夕である。夏休みじ...

  • ジュブナイル 時の空へ還る(1)

    登場人物輝 ー テル。主人公の一人 行動的に前に進もうとする性格琉有 ー ルウ。秀才でテルのライバル。夏分斗ー カブト。小心者でお調子者だがやるときはやる。茉莉 ー父が警官。正義感が強く。まっすぐ行動する。 流星クラブ 砕けた町の奇妙さはエッシャーの絵になった。それともエッシャーの時間だろうか。砕かれて歪んでバラバラで奇妙に繋がれた時間と空間。直線も曲線もみんないっしょ。バラバラに飛び散って...

  • 日の陽の下へ

    春を待つ花 赤子のように地面にしがみ付き水鳥のように足を動かす冬の花びらを見送り愛しさを胸に君を待つ煙る空のもとどの季節も変わることなく君を待つ胸深く差し込む日の光 太陽を僕が僕でいられる場所君が君でいられる場所それは太陽の下を駆け回った足の記憶揺れる髪の歌手の温もり太陽の下君を待つベンチ恋する者たちが待つひとときを過ぎる四季の移ろいを飛び越え青い空と月の夜を数えるいつか彩られる花々を 煙る春霞に...

  • きみよ、ゆっくりと超えて行け

    君は政治危行き詰ま機だとがいう 経済がっているとも 戦争 心理操作 恐慌 不安 人々は闇の中を手さぐりで進んでいるのかもしれない しかし、本当のことだろうか? 世界を押し流す洪水が今来るとは思えない 行く先を無くした思考が肺を侵しているのが見えるだけだ 君は時間を走っている 君が走れば世界も走り去る だから君よ ゆっくりと越えてゆけ 君は愛が冷えたと言う あるのは体のぶつかりあいだとも 欲求処理...

  • 春には歌を

    光のペンが雲の隙間から降りてきて白い野や丘をすらすらとすべる光に向かって鳥は歌い、そして舞う 光も届かぬ街角に立つぼくはでこぼこの道に声を掛けても誰も答えず擦り切れた靴は今にも凍りそう白く煙る町の上だけに雪が死の灰のように降ってくるただ一人冬に取り残されて凍えていても容姿もすっかり変わりみすぼらしく空を仰いでいても御手に導かれ、春の歌を歌ったらきみはきっと駆けて来るぼくの周りで飛び跳ね、共に歌うた...

  • 今日のデスマスク

    死化粧にはまだ早い もう少しこの世に留まってもう少しこの世に悪態をついてぼくには食べ物が必要だ魂に良く効く、とっておきのパンそれにミルクとバターもrecipeは聖者の墓の中nectarは海の母に飲まれた牛小屋の牛は囲いがなくてもある場所から外へは出なくなる最大の一匹はもういない小さな牧場ならなおさらにWelcome! Sweet home! ぼくらは日々仮面を彫るきれいにデスマスクが仕上がったよこれできみもぼくらの仲間きれい...

  • 今日きらきらと新しい

    きらきらと輝く光の矢で生まれたての町が輝き生まれたての人々が過ぎてゆく陽炎のように、追憶の行進のように生まれたての風が僕の耳に囁いてくる生まれてくることは さようなら生まれてきたことは さようならいつかおとずれることが今日おとずれて今の一瞬一瞬が過ぎて行くさよならを言うことも忘れていくつの砂が手からこぼれたことだろう一筋の水は海へと届いたのだろうか生まれたての希望はその輝きゆえに足下の影を隠した晴...

  • 観念の中の死

    世界は観念の中に死んで世界は観念の中に死んで肉体は時間の中に死んでいるそんな牢獄にぼくは住んで平和の幻想を夢見ている来ることのない明日と頭脳の描く来世を永遠の今日は打ち壊されもせずすべての時間を支配する縦・横・高さの格子の上に日月の振り子が揺れながらぼくの眠りは目を塞ぐこと好悪の現実にいや そればかりではない背後の本当の姿にぼくが怒る時、苦しむ時泣き叫び、孤独の底に墜落した時ぼくはまだ何も見ていな...

  • 春の演算子

    ハルは南天に陽炎を昇らせ太陽からの風は錆びれた情熱に火をつけるのに十分だった電線はぶるぶると青空に映え風の鳴らす弦の旋律は雲の楽譜を一瞬ごとに書き換える空渡る鳥は単調に翼を広げているG線の滑降は目覚めを捜すがハルのまどろみの歌はまだ、石には届かない深く眠りについたあなたの心には天地の杯に季節は注がれ目覚める神曲の火の幻影ベズーホフの水晶の天球儀光の袈裟が星を包むコードは呼び、訴える今年の星座のアル...

  • 出会いと別れの坂道

    出会いと別れの坂道は今日よりも遠く 昨日よりも近く蝉時雨が道に降り、僕を濡らした見上げる空が僕の目に落ちて歌いそこねた言葉の端々が坂を転がっていくのが見えた君には届かないまま色褪せて手にしたヒナゲシのように萎れていったあてもなく溺れ、流された季節人の心に流れ、行為に沈んだ水底で僕を支えていた君の自発性はなくちぎれて飛んだ記憶が雨になって落ちたざわめく雨音にメロディーに乗せて雨は静かに君を歌っている...

  • 晴れた三月の窓

    開いた窓から三月の風がきみの笑顔のような空色の光にぼくは夢の星をいくつも描いたきっと見えなかった夜の寝息に隠れて星の光が届くようにとそっと海の見える丘に上った二人で待った夕暮れは僕らの影を一つにした遠い遠い時間を待って広い広い海へと旅立つと知っていたならばぼくは日差しの中できみと一緒に花を育てていただろう時間にはいつか終わりが来るそのいつかは知ることができなくとも祈りはいつでもここに残ってぼくの足...

  • 幻想の自然

    終っていく世界の片隅で目を瞑る続いて行く世界がこころにあるように現実が去っていく後ろ姿に痕跡を追うイルカを見る四方八方から押し寄せる存在の海に泳ぐ水夫を見る望みは静かなる像の笑みすべてのものに注がれる慈愛の眼差しはまっすぐに内なる地図を照らしているとりとめもなく日々の言葉が季節の空へと昇っていった静かな吐息のようにひとしきり降る光の雨はこの体を貫いて、空(ソラ)から天(ソラ)へと渡り往く見えない粒子の...

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