194631花見今年も桜は去って行った。僕の散歩コースに、野ざらしの地蔵に覆い被さるように、雷に二つに裂かれた桜の老木がある。桜が地蔵を守ったのか?地蔵が桜を守ったのか?老木は今年も瑞々しい花を咲かせた。【一句】肩並べ地蔵と二人花見かな194631
作品集は左下の作品集とブログから入って下さい。<br>日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。
『突然ジーコのように』は作品集に入れなかったラジオドラマである。高校二年生の真知のモノローグから始まる。*真知(語り)「寝転がって、安部公房の『飛ぶ男』を読む。氷雨本町二丁目四番地の上空を人間そっくりな物体が南西方向に滑走していった。時速二、三キロ、読み間違いじゃないかと読み返す。歩くより遅いスピードで男は飛んでいる。飛ぶ、スーパーマン、ピーターパン、それは人の夢だ。だが、歩くより、遅く飛ぶとは、それでも、夢だろうか。夢でも、痛ましい夢だと思う。何かを左手に持ち、耳に当てがっている。唇の動きも、誰かに喋りかけてる感じ。携帯電話だ。荒い晒しのパジャマを着て、電話で話しながら、時速二、三キロで飛ぶ。すっごく無防備だ。案の定、不眠症の女に空気銃で撃たれた。深く考えない。漫画を読むように安部公房を読む。それが結構楽しい...青い背表紙の安部公房の文庫本
池窪弘務作品集142015年(六十九歳)『おくのほそ道・読み語り』リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*最後は古典で締めくくります。全文の現代語訳と注釈です。阿呆な私にも分かるように平易に解説しています。PDFファイルは手のひらモードにして、番号をクリックすると本文にjumpします。多数の閲覧をいただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。#池窪弘務#おくのほそ道#奧の細道#松尾芭蕉池窪弘務作品集142015年(六十九歳)
池窪弘務作品集132015年(六十九歳)『失われた時間(戯曲)』星と泉18号(2015年)リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*『失われた時間(戯曲)』は何度も演出家に読んでもらおうと試みましたが、返事はありませんでした。その理由は分かりません。『星と泉18号』での評判は、編集部の女性の支持を得た作品と一応評価されました。しかし返す刀で、「殺伐の愚かさが伝わってくる作品だ」と思いもしなかった言葉でばっさり。「星と泉19号」で掲載された読者の感想はとても好意的でした。あなたはどう思いますか?*作品集もあと一回(『おくのほそ道・読み語り』)になりました。池窪弘務作品集132015年(六十九歳)
池窪弘務作品集12二〇一三年(六十七歳)『補厳寺(ふがんじ)参る(小説)』星と泉14号(2013年)リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*補厳寺は無住寺である。今も、朝のウォーキングで通ることがある。古い瓦屋根の小さな門があり、いつも閉まっている。世阿弥のゆかりの寺だという説明の立札があった。そこに短編小説の種が落ちていた。池窪弘務作品集12二〇一三年(六十七歳)
池窪弘務作品集11二〇一三年(六十七歳)『閉ざされた森の神話(童話)』星と泉13号(2013年)リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*童話は二つ書きました。『言葉のない村』と『閉ざされた森の神話』です。他にも書きかけたが、最後まで到着しませんでした。『閉ざされた森の神話』も一回ずつブログに書いたが、上手くいきませんでした。全部書き直すと、紐がほどけるみたいに、次々と物語がわいてきて、スルーと1本の紐につながったのです。とても楽しかったです。次はどうなるんだろうと、自分でもどきどきしてました。後は星湖舎の方々に感謝しなければなりません。『星と泉』に全文原作通りに(ルビも含めて)一挙に掲載してもらいました。初孫の感想は、「「あさぎ」がかわいそ...池窪弘務作品集11二〇一三年(六十七歳)
池窪弘務作品集10二〇一一年(六十五歳)『一期一会の女(小説)星と泉7号(2011年)』リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*2010年の十二月に妻と南紀の旅行をしました。定年後のとても楽しい思い出になりました。そこで出会った三人の女性、多分二度と出会わな一期一会の女性たち。南紀の美しい風景と共に描きました。書いていて楽しい気分になった小説です。紀伊半島豪雨もあった。ふと、実在しない三人の女性がどうなったかと考えます。池窪弘務作品集10二〇一一年(六十五歳)
池窪弘務作品集9二〇一〇年(六十四歳)星と泉6号(2010年)『失われた言葉の断片(小説)』リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*突然の同僚の自死。37年間勤めた中でもっとも驚いた出来事でした。改めて深く生と死を考えました。「彼は何故死を選んだのだろう。「死」とは「生」とは、「自分とは」。フィクションを加えて小説は一気に走り出しました。池窪弘務作品集9二〇一〇年(六十四歳)
池窪弘務作品集8二〇〇九年(六十三歳)『眠っている間に(小説)』星と泉2号(2009年)『眠りの間に』を改題リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*いっぺんに9年飛びます。この9年間何をしていたのだろう。「初孫」→「還暦」→「定年」と跳び箱を越えるように過ぎていく。やっと定年。「さぁこれからだ」と、書き続けてましたが、やはり新人賞の一次予選を通過できない。そんな時、星湖舎の「星と泉」という投稿雑誌を知りました。基本料金(5000円)+400字詰原稿用紙1枚につき800円で雑誌に載せてもらえる(審査があります)。50枚程度の作品はネットでに上げるしか方法のなかった私は、作品が活字になることに飢えてました。その第一作が『眠っている間に(小説)』...池窪弘務作品集8二〇〇九年(六十三歳)
池窪弘務作品集7二〇〇〇年(五十四歳)瓶の中(戯曲)京都・スペース・イサン東福寺リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*インターネットで戯曲を公開して、参加者を募り、劇団を作る。こんな私の夢想に、同じラジオドラマ研究会の小倉富義さんが共鳴しました。その経緯は、NEWSONSTAGE(292)に紹介されました。「瓶の中」はラストに舞台の奥が開けられ、ずらりと並べられた鏡に観客が映り込むという見事な演出でした。私は下足番をしてました。「ほんまに作者はすることがあらへんかったなあ。舞台も見てへんし。」劇団「連」はこの一回の公演で解散しました。「スペース・イサン東福寺」も幕を下ろしたとか。今は、誰一人とも付き合いはありません。でも、劇団員一人一人の...池窪弘務作品集7二〇〇〇年(五十四歳)
池窪弘務作品集6一九九九年(五十三歳)窓(ラジオドラマ)1999-11-13(FMシアター)平成十一年(1999年)四月十六日第十四回創作ラジオドラマ脚本コンクール(名古屋)佳作入選リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*暗いドラマです。『トランプの家の迷子たち(戯曲)』と対極にあります。また、同じラジオドラマでも『一人で跳べる(ラジオドラマ)』と違って、モノローグがとても多いです。これがあの頃の私の実体です。今も変わらないです。老人になっただけです。池窪弘務作品集6一九九九年(五十三歳)
池窪弘務作品集5一九九八年(五十二歳)『トランプの家の迷子たち(戯曲)』リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*松竹新喜劇の酒井光子さんをイメージしながら書いた戯曲です。シナリオ学校の合評会で「吉本だ!」と言われましたが、「松竹新喜劇」です。お腹がよじれるぐらい笑えます。自分の書いたもので大笑いする。幸せな男です。池窪弘務作品集5一九九八年(五十二歳)
池窪弘務作品集4一九九七年(五十一歳)『バスが行く(戯曲)』大阪・劇団コーロ1997(劇団コーロ)リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*戯曲の公募で採用されました。ラジオドラマより原作に近いです。と言うより違う作品みたいです。「おゆうさん」、「六目さん」が登場します。この頃が私の最盛期かなあ。と、今から考えると……。池窪弘務作品集4
池窪弘務作品集3一九九五年(四十九歳)『バスが行く(ラジオドラマ)』1995-09-30(FMシアター)リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*入選すればシナリオ依頼が来ると思っていたのは甘かった。『一人で跳べる』の演出家のS氏を頼ってシナリオを持ち込む日が続いた。やっと興味を示されたのが『バスが行く』だった。だけどそれからが長かった。何度も書き直しが続いた。「もうやめます」という言葉が何度もでかけた。シナリオは原形をとどめないぐらいになった。私は迷路に落ちた鼠みたいだった。そんなある日言葉が落ちてきた。初登場する風(ふう)やんの科白である。*音吉「風やんどこ行くんや」風やん「めばちこできたよって、鶴橋の目医者行くねん」音吉「お前も白髪が目...池窪弘務作品集3一九九五年(四十九歳)
池窪弘務作品集2一九九四年(四十八歳)『一人で跳べる(ラジオドラマ)』1994-01-08(FMシアター)リンクをクリックして下さい。PDFファイルで読めます(Windows)。アンドロイドではダウンロードされます。*全て音のみで書いた。科白と音のみのドラマである。すなわちモノローグがない。不思議にすらすらと書けた。手応えがあった。入選した。*前年に友達が亡くなった。大学の卓球部で四年間一緒だった。私が部長で彼女が副部長だった。市民サークルの卓球で、彼女は頭をラケットでこんこんと叩いたと言う。彼女のよくやる癖だった。その後倒れたと聞いた。一度も意識は戻らなかった。今でも細かい仕種まで思い出す。男の先輩の烈しいラリーに耐える。汗が飛ぶ。病院に駆けつけた時は死の直後だった。私は卓球に対する興味を失った。*ドラマの主...池窪弘務作品集2一九九四年(四十八歳)
池窪弘務作品集1一九九一年(四十五歳)『胡蝶』劇団りゃんめんにゅーろん上演(森ノ宮プラネットステーションホール)*45才。悩んでいた。文学賞に応募しても一次予選も通らない。才能が無い。諦めろ。仕事も面白くない。往復三時間の通勤時間。俺は何をしているのだろう。虚しく一日一日が通り過ぎていく。もう45才だ。選考委員は、年令を見たとたん没。帰りはパチンコ、立ち飲みで生中(生ビールの中)。また一時間かけて帰る。ふと夕刊に「大阪シナリオ学校」の記事を見た。シナリオ?書いたことがない。小説一辺倒だった。人見知りの烈しい私は無理だと思った。だが八方塞がり。ドアを押した。*『りゃんめんにゅーろん』は大阪シナリオ学校の卒業生が立ち上げた、劇作家たちのプロデュース集団です。その旗揚げ公演は、公募でした。選ばれた三作品の中の一つが『...池窪弘務作品集1一九九一年(四十五歳)
昨日の続きです。医師への駆込み訴え。*太宰治の『駆込み訴え』は傑作です。【主訴】二ヶ月ほど前から体調不良が続いています。熱や咳などありません。ただただしんどいのです。体重も1kg減りました。47.5kgてす。足の指が痛いです。非常に疲れやすい。不眠→朝2時に目が覚める。一番疑っているのは高血糖です。定年後15年間続けていた30分程のウォーキングもテレビ体操も途絶えました。まず高血糖を疑いました。*「ものすごく「気にしい」なので主治医と相談して血糖を計るのを止めました。「気にしい」とは、関西弁で「何かと気にしすぎる人」とか「神経質な人」という意味です。【心配事】体重減少の原因。尿が濃い。食後がしんどい→高血糖のためではないか。ビクトーザの効き目が低下(慣れ)しているのではないか。→処方の再考?。【気になる症状】瀕...駆込み訴え(2)
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194631花見今年も桜は去って行った。僕の散歩コースに、野ざらしの地蔵に覆い被さるように、雷に二つに裂かれた桜の老木がある。桜が地蔵を守ったのか?地蔵が桜を守ったのか?老木は今年も瑞々しい花を咲かせた。【一句】肩並べ地蔵と二人花見かな194631
194630父の帰還また父のことです。1946年に僕が生まれました。「お父ちゃんが行ったから、戦争に負けたんや」アホな息子は言ってました。リアルに覚えています。それと母が言っていたことが一つあります。父はトマトが嫌いだったけれど、帰還した父は畑のトマトにかぶりついたそうです。僕もトマトが苦手です。【一句】「父帰還」しやぶりつきたるトマトかな194630
194629雑踏久し振りに難波に出た。何年ぶりだろう。補聴器は用をなさない。【一句】雑踏に老いの場所なし春愁ひ(はるうれひ)194629
194628三角コーンいつもの散歩コース。もうウォーキングとは言わない。いつもなら右に曲がって池の地蔵さんに手を合わせてUターンする筈が、舗装された道が続いている。「三角コーン」が置いてある。三角コーンは家に帰って調べてみました。妻となら「赤いあれ」で通じますが(実際通じました)。通じなければ、工事現場なんかの赤い三角。結構そんな言葉を使っている気がします。三角コーンは言い得て妙ですね。「言い得て妙」も言い得て妙。後日三角コーンは端に寄せられていたので行ってみました。道は途切れ、同じ田んぼの風景でした。なんで道を作ったのだろう。【一句】道の果てに道の生まれし春野かな194628
194627言葉の断片父は寡黙な人だった。何を話したかあまり覚えていない。父の思い出は断片的な言葉として蘇ってきます。102才で去年亡くなった義母を最後にみんな亡くなりました。もう僕の親の世代はいない。【一句】亀鳴くや父の言葉のひとつづつ194627
194626ランドマーク二上山(にじょうざん)は西のランドマークです。三七年間通勤の車窓から眺め続けた山でもあります。雄岳と雌岳が寄り添う姿は間違いようがなく、方向音痴な僕にはありがたい山です。朝のウォーキングの友達です。霞がかかると、仲のよい夫婦みたいな影になります。当方は金婚式。あちら様は何婚式?【一句】二上山夫婦の影の薄霞194626
194625スイッチ24の続きです。朝からかなり強い雨。傘が嫌いな僕は早足で歩きます(走れない)。皮膚科で処置をしてもらった後あちこちで濡れました。それにしても補聴器が効かないなあ。引きこもり老人はひと月分ほど喋ったのに。病院でもサンドイッチを買ったパン屋さんでも。改札を通った時も。これは音が出ないのか?。なんか出たような気もするし……。駅は暗く、静かでした。「この補聴器あかんなあ」あかんのは僕でした。寝る前に補聴器のスイッチを切ったままでした。【一句】補聴器のスイッチオフに春の雨194625
194624時々老人性の疣(いぼ)が出来ます。今度は頭に出来たみたい。見えない。仕方ないなあと言う感じ。少し悩んで「先生に診てもらおう」と決心します。昔。右頬にほくろがありました。いや実は疣(いぼ)だった。先生に窒素で焼いてもらって消えました。兄弟が集まった時「ねえねえ、わしの顔変わってへん?」と、意気込んで訊きました。兄弟は「わからへん」と一言。「しっかり目をつむって下さいね」と先生の声。【一句】疣(いぼ)を焼く女医の気配や春の雨194624
194623サボテントイレ掃除をしていたら、窓辺にごく小さい鉢がある。何か植わっている。妻に訊いた。「これなんや?」「サボテン」「サボってんの」久し振りの駄洒落なのに妻は笑わない。現役の時は、僕のおやじギャグは若い子に人気があった。「そろそろ言うぞ」そこで間一髪間を置いてのたまう。どーと笑いが来る。「生きてんの?」「生きてるよ」「水は?」「たまーにやってる」あの時10滴ほど水を遣った。【一句】サボテンのミリの成長厠かな194623
194622お鈴(おりん)仏壇が我が家にやって来て三ヶ月ほど経ちます。同じ部屋で寝ています。光明真言を三度唱え次ぎに南無大師遍照金剛と三度唱えます。その合間に叩くのがお鈴(おりん)。そう呼ぶのを知りませんでした。「おりん」の響きは清々しいですね。三月句会に投句しました。1点入りました。その1点が嬉しかった。【一句】春雨やお鈴の音の少し濡れ194622
194621心電図左胸が痛い。循環器内科の定期診察に妻に付き添ってもらった。「胸が痛くって」「いつどのように?」しどろもどろの僕に、「しょっちゅう言うてます」と妻が一言。心電図を取ることになった。さっさと動く妻について行くのが精一杯。「病気になりそう」一つしか違わないのに。お婆ちゃんはお爺ちゃんより元気なのだ。「正常です三年前と全然変わってないですよ」胸の痛みもましになったような気がする。【一句】年寄りの不安死ぬこと桜咲く194621
194620寒造(かんづくり)父のことをよく思い出す。自分だけ一品酒の肴を作ってもらって、一合の日本酒を飲んでいた。【一句】晩酌は父の至福や寒造194620
194619スーパー歩いて五分ほどの所に大きなスーパーマーケットが五年ほど前にできました。「ここにスーパーが出来ます」と不動産屋が言っていたのを思い出します。五十年近く前です。自転車を取り上げられたお爺さんは、買い物難民を免れました。【一句】可愛い子のレジを選んで木の芽時194619
194618「ドラえもん」「ドラえもん」のび太と空の理想郷(ユートピア)を観ていた。少しわくわくする。孫と観たのは「アンパンマン」。長女と観たのは「スーパーマン」。字幕だった。必死に説明するアホな若い父。今度会ったら覚えているか聞いてみよう。家族で観たのは、「ジュラシック・パーク」三人の娘は大人になっていた。梅田の北野劇場だったと思う。超満員だった。【一句】「ドラえもん」一人鑑賞春灯(はるともし)194618
194617つげ義春『ネジ式紅い花』つげ義春著すごい本だ。高価なのだが十分値打ちがある。想像以上だった。つげ義春の絵も好きだ。僕の青春の全てがあった。言うほどのものではないけれど。三十年以上も前、ラジオドラマの入選者が名古屋に集まったことがあります。話している内にみんながつげ義春フリークだと分かって大笑いした。人生は旅だなあって思います。僕は旅行が好きではなかった。土台が外されたみたいて、不安になるのです。旅はいつも不安と道連れ。旅行の帰路で「ああ帰ってきた、よかった」って言ったら、「お前とは絶体旅行に行かない」と言われたことがあったなあ。でも彼とは、それからも何度も職場の旅行に行った。二人とも友達がいなかった。「せつない」は『紅い花』ではなくて、『もっきり屋の少女』だった。「だめです私はせつないです」見...194617
194616チューリップ【一句】どこにでもいる子がいいねチューリップ大谷くんおめでとう。194616
194615ほうれん草前の冷蔵庫はドアにマグネットが使えたのに、新しいのは引っ付かない。白板(ホワイトボード)を側面につけて使っている。冷蔵庫の見た目は良くなった。本当はピーマンと書いてあった。ピーマンの方が走書きに合う。でも、ほうれん草もいいなあ。書いとかないと、忘れる。【一句】白板にほうれん草と走書き194615
194614春一番「オヤスミ」と、妻は二階へ。僕は一人で気楽に過ごす。【一句】毎日が別れと出会ひ春一番194614
194613額突然大きな音がした。地震。蛍光灯の紐を見つめたが動いていない。額が落ちていた。妻を呼んだ。こういう時の僕は危険だ。硝子の破片が飛び散っていた。大きな破片を取って、後は掃除機で吸い取る。手際よく片付いた。「気いつけや」と、僕は言うばかり。額の中身は、薬剤師免許妻と二人分。その他卒業証書等。「もうええねえ」と妻が言った。丸めて賞状筒になおした。飾っていることもないか。【一句】額落ちる割れた硝子の余寒かな194613
194612『東京都同情塔九段理江著』途中から分からなくなったので最初から読み返した。現代版・バベルの塔という評も読んだ。言葉の通じなくなった世界。ロシアとウクライナの戦争を思い浮かべる。ウオーキングで池のそばにある地蔵に手を合わす。「おんかかかびさんまえいそわか」を3べん唱える。「かかか」は笑い声。地蔵の後の桜は真っ二つに裂けている。花芽がいっぱいついているのに気づいた。【一句】雷に裂けし桜の芽立かな194612
194631花見今年も桜は去って行った。僕の散歩コースに、野ざらしの地蔵に覆い被さるように、雷に二つに裂かれた桜の老木がある。桜が地蔵を守ったのか?地蔵が桜を守ったのか?老木は今年も瑞々しい花を咲かせた。【一句】肩並べ地蔵と二人花見かな194631
194630父の帰還また父のことです。1946年に僕が生まれました。「お父ちゃんが行ったから、戦争に負けたんや」アホな息子は言ってました。リアルに覚えています。それと母が言っていたことが一つあります。父はトマトが嫌いだったけれど、帰還した父は畑のトマトにかぶりついたそうです。僕もトマトが苦手です。【一句】「父帰還」しやぶりつきたるトマトかな194630
194629雑踏久し振りに難波に出た。何年ぶりだろう。補聴器は用をなさない。【一句】雑踏に老いの場所なし春愁ひ(はるうれひ)194629
194628三角コーンいつもの散歩コース。もうウォーキングとは言わない。いつもなら右に曲がって池の地蔵さんに手を合わせてUターンする筈が、舗装された道が続いている。「三角コーン」が置いてある。三角コーンは家に帰って調べてみました。妻となら「赤いあれ」で通じますが(実際通じました)。通じなければ、工事現場なんかの赤い三角。結構そんな言葉を使っている気がします。三角コーンは言い得て妙ですね。「言い得て妙」も言い得て妙。後日三角コーンは端に寄せられていたので行ってみました。道は途切れ、同じ田んぼの風景でした。なんで道を作ったのだろう。【一句】道の果てに道の生まれし春野かな194628
194627言葉の断片父は寡黙な人だった。何を話したかあまり覚えていない。父の思い出は断片的な言葉として蘇ってきます。102才で去年亡くなった義母を最後にみんな亡くなりました。もう僕の親の世代はいない。【一句】亀鳴くや父の言葉のひとつづつ194627
194626ランドマーク二上山(にじょうざん)は西のランドマークです。三七年間通勤の車窓から眺め続けた山でもあります。雄岳と雌岳が寄り添う姿は間違いようがなく、方向音痴な僕にはありがたい山です。朝のウォーキングの友達です。霞がかかると、仲のよい夫婦みたいな影になります。当方は金婚式。あちら様は何婚式?【一句】二上山夫婦の影の薄霞194626
194625スイッチ24の続きです。朝からかなり強い雨。傘が嫌いな僕は早足で歩きます(走れない)。皮膚科で処置をしてもらった後あちこちで濡れました。それにしても補聴器が効かないなあ。引きこもり老人はひと月分ほど喋ったのに。病院でもサンドイッチを買ったパン屋さんでも。改札を通った時も。これは音が出ないのか?。なんか出たような気もするし……。駅は暗く、静かでした。「この補聴器あかんなあ」あかんのは僕でした。寝る前に補聴器のスイッチを切ったままでした。【一句】補聴器のスイッチオフに春の雨194625
194624時々老人性の疣(いぼ)が出来ます。今度は頭に出来たみたい。見えない。仕方ないなあと言う感じ。少し悩んで「先生に診てもらおう」と決心します。昔。右頬にほくろがありました。いや実は疣(いぼ)だった。先生に窒素で焼いてもらって消えました。兄弟が集まった時「ねえねえ、わしの顔変わってへん?」と、意気込んで訊きました。兄弟は「わからへん」と一言。「しっかり目をつむって下さいね」と先生の声。【一句】疣(いぼ)を焼く女医の気配や春の雨194624
194623サボテントイレ掃除をしていたら、窓辺にごく小さい鉢がある。何か植わっている。妻に訊いた。「これなんや?」「サボテン」「サボってんの」久し振りの駄洒落なのに妻は笑わない。現役の時は、僕のおやじギャグは若い子に人気があった。「そろそろ言うぞ」そこで間一髪間を置いてのたまう。どーと笑いが来る。「生きてんの?」「生きてるよ」「水は?」「たまーにやってる」あの時10滴ほど水を遣った。【一句】サボテンのミリの成長厠かな194623
194622お鈴(おりん)仏壇が我が家にやって来て三ヶ月ほど経ちます。同じ部屋で寝ています。光明真言を三度唱え次ぎに南無大師遍照金剛と三度唱えます。その合間に叩くのがお鈴(おりん)。そう呼ぶのを知りませんでした。「おりん」の響きは清々しいですね。三月句会に投句しました。1点入りました。その1点が嬉しかった。【一句】春雨やお鈴の音の少し濡れ194622
194621心電図左胸が痛い。循環器内科の定期診察に妻に付き添ってもらった。「胸が痛くって」「いつどのように?」しどろもどろの僕に、「しょっちゅう言うてます」と妻が一言。心電図を取ることになった。さっさと動く妻について行くのが精一杯。「病気になりそう」一つしか違わないのに。お婆ちゃんはお爺ちゃんより元気なのだ。「正常です三年前と全然変わってないですよ」胸の痛みもましになったような気がする。【一句】年寄りの不安死ぬこと桜咲く194621
194620寒造(かんづくり)父のことをよく思い出す。自分だけ一品酒の肴を作ってもらって、一合の日本酒を飲んでいた。【一句】晩酌は父の至福や寒造194620
194619スーパー歩いて五分ほどの所に大きなスーパーマーケットが五年ほど前にできました。「ここにスーパーが出来ます」と不動産屋が言っていたのを思い出します。五十年近く前です。自転車を取り上げられたお爺さんは、買い物難民を免れました。【一句】可愛い子のレジを選んで木の芽時194619
194618「ドラえもん」「ドラえもん」のび太と空の理想郷(ユートピア)を観ていた。少しわくわくする。孫と観たのは「アンパンマン」。長女と観たのは「スーパーマン」。字幕だった。必死に説明するアホな若い父。今度会ったら覚えているか聞いてみよう。家族で観たのは、「ジュラシック・パーク」三人の娘は大人になっていた。梅田の北野劇場だったと思う。超満員だった。【一句】「ドラえもん」一人鑑賞春灯(はるともし)194618
194617つげ義春『ネジ式紅い花』つげ義春著すごい本だ。高価なのだが十分値打ちがある。想像以上だった。つげ義春の絵も好きだ。僕の青春の全てがあった。言うほどのものではないけれど。三十年以上も前、ラジオドラマの入選者が名古屋に集まったことがあります。話している内にみんながつげ義春フリークだと分かって大笑いした。人生は旅だなあって思います。僕は旅行が好きではなかった。土台が外されたみたいて、不安になるのです。旅はいつも不安と道連れ。旅行の帰路で「ああ帰ってきた、よかった」って言ったら、「お前とは絶体旅行に行かない」と言われたことがあったなあ。でも彼とは、それからも何度も職場の旅行に行った。二人とも友達がいなかった。「せつない」は『紅い花』ではなくて、『もっきり屋の少女』だった。「だめです私はせつないです」見...194617
194616チューリップ【一句】どこにでもいる子がいいねチューリップ大谷くんおめでとう。194616
194615ほうれん草前の冷蔵庫はドアにマグネットが使えたのに、新しいのは引っ付かない。白板(ホワイトボード)を側面につけて使っている。冷蔵庫の見た目は良くなった。本当はピーマンと書いてあった。ピーマンの方が走書きに合う。でも、ほうれん草もいいなあ。書いとかないと、忘れる。【一句】白板にほうれん草と走書き194615
194614春一番「オヤスミ」と、妻は二階へ。僕は一人で気楽に過ごす。【一句】毎日が別れと出会ひ春一番194614
194613額突然大きな音がした。地震。蛍光灯の紐を見つめたが動いていない。額が落ちていた。妻を呼んだ。こういう時の僕は危険だ。硝子の破片が飛び散っていた。大きな破片を取って、後は掃除機で吸い取る。手際よく片付いた。「気いつけや」と、僕は言うばかり。額の中身は、薬剤師免許妻と二人分。その他卒業証書等。「もうええねえ」と妻が言った。丸めて賞状筒になおした。飾っていることもないか。【一句】額落ちる割れた硝子の余寒かな194613
194612『東京都同情塔九段理江著』途中から分からなくなったので最初から読み返した。現代版・バベルの塔という評も読んだ。言葉の通じなくなった世界。ロシアとウクライナの戦争を思い浮かべる。ウオーキングで池のそばにある地蔵に手を合わす。「おんかかかびさんまえいそわか」を3べん唱える。「かかか」は笑い声。地蔵の後の桜は真っ二つに裂けている。花芽がいっぱいついているのに気づいた。【一句】雷に裂けし桜の芽立かな194612