かかみの歳時記
住所
各務原市
出身
各務原市
ハンドル名
octpusさん
ブログタイトル
かかみの歳時記
ブログURL
http://octpus11.hatenablog.com/
ブログ紹介文
岐阜在住 築90年の古民家に起き伏しする媼の俳句日記
自由文
-
更新頻度(1年)

123回 / 305日(平均2.8回/週)

ブログ村参加:2016/02/27

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octpusさんのブログ記事

1件〜30件

  • 名月

    『千年 あの夏』 阿部 昭著 Tの未読の本棚にあったから出してきたが始めて読む作家の本である。表題作の「千年」や「あの夏」などの短篇とやや長い「父と子の夜」が収められている。 どれも思ったより読ませられたが「父と子の夜」が一番良かった。 筆者は三十代の後半、三人の男の子の父親だが親として確固たる信念があるわけではない。出来が悪かったりこずるかったりする子どもに手をあげることもできない。そんな自分を自虐的に観察しながら自分と自分の父親のことを思う。 彼の父は戦時中は海軍の軍人だったが敗戦後は気力を失ったように何もせずにぼんやりと生きた人だった。その無気力な生き方を馬鹿にしていたが、兄の突然な死に…

  • 花野

    豊田市美術館で開催中の「クリムト展」に出かける。豊田までは約70キロ、高速で一時間半である。 ほぼ開館時間に着いたのだが入場券を購入するにはすでに長蛇の列で驚いた。会場内も人の頭越しに鑑賞するという状態であまりじっくりと見たわけではない。 華やかだが病的な印象がありミュージアムショップで作品の複製を買いたいという気にもならなかった。 鑑賞後豊田市内のお蕎麦屋さんでお昼。桜えびのかき揚げつきのざるそばはとても美味しかった。レジのところに小さく「ミシュラン掲載店」とあり納得。 クリムトの女花野に笑まひをり

  • 秋茄子

    『関東大震災』 吉村 昭著 防災の日もあったことだからと読み始めたが、重い内容でいっこうに進まず時間がかかった。読了して始めて知ったことはいろいろある。震災の死者が圧死より焼死が多かったこと、流言飛語による朝鮮人狩が言語を絶する規模であったこと、混乱に乗じた憲兵による大杉と伊藤と甥の殺害の真実などなどである。 いずれも酸鼻の極みで読むに耐えない内容であったが、後者の二つは天災ではなく人為的な悲劇であるからよけいにいけない。全くの流言飛語に一時は公的機関もマスコミも踊らされたのである。 最近の売れればいい主義、見られればいい主義にこの時の教訓を思い出せという意見があったが全くそのとおりだ。わたし…

  • 露けし

    池内紀さんが亡くなった。78歳だったとのことで、あまりにもお若い。『すごいトシヨリ』を読んだのはまだ去年のことだったのでその変わりようには驚くほかない。 このブログでも池内さんの本については随分書いてきた。もっとも専門的なものはなくて軽い読み物ばかりだったが、ともかくあの文体が好きだった。もう新しい本は望むべくもないかと思うと寂しい。深い知り合いを失ったような気持ちだ。 体調を崩されていたとは聞いていたが、死因は「虚血性心不全」とあったから死は突然のものであったろう。この歳になれば終の訪れはいつあってもおかしくないと覚悟しておかねばならないとつくづく思う。 母の一張羅に鋏を入れた。日常的に着ら…

  • 秋暑し

    今朝の新聞で池澤夏樹さんが「身に染みる衰え」について書いておられた。加齢に伴っていろいろ不都合なことができてきたという個人的な感想のあと「高齢化でこの国は活力を失うだろう。・・・若い世代を準備しなかったのだから当然である。」と自分たちの世代の責任に言及しつつ「年下の諸君、幸運を祈る」と結んでおられる。池澤さん74歳、同学年である。 別の紙面では上野さんが若い人と対談して「フェミニストとして主観的に言うと、高齢化と人口減少とで、競争のないゆとりのある社会に変わってほしい。」と述べておられる。 どちらも無責任な希望的願望のようなもので若い人が読んだら「何を勝手な」と思うかもしれない。 この国がじり…

  • 草の花

    『史実を歩く』 吉村 昭著 図書館の文庫本の棚を渉猟していて行き当たった。読み始めて前に読んだような気がしてきて自分の書棚を探したらやはりあった。 再読してもおもしろかったのはすっかり忘れていたこともあるが、やはり史実の重みであろう。 記録文学というジャンルのせいかあるいは筆者の人間性によるものか些細なことすらおろさかにしない創作姿勢というものには驚くばかりだ。 例えば『桜田門外ノ変』で当日の朝の雪が降り止んだのはいつ頃であったかという一点についても、何人かの日記を探索しやっと正午過ぎには止んでいたのを突き止めて執筆を訂正するという慎重さである。 ここまでの姿勢が作品に対する信頼にも繋がるわけ…

  • 秋ついり

    『失われたもの』 斎藤 貴男著 硬骨漢なジャーナリストだということ以外、この人のことはよく知らなかった。しかしこの本は何かについての解説本でも主張本でもない。生い立ちに触れたエッセイ集である。 「日本社会から『失われたもの』とは何だろう。平和と平等を願うこころ、自由、人権、真摯さ、恥を知る意識、人としての最低限の嗜み、本当の意で自律した生き方を許容する世の中のありよう?・・・」 例えば、東京の池袋で鉄屑屋の子として育った筆者。父はシベリアからの帰還兵であり母は東京大空襲の体験者、苦労はあったが、まだ高度成長期以前の自営業者が誇りを持って暮らしていける時代でもあった。ところがどうだ。最近は自営業…

  • 鰯雲

    大伴家持についての最終章である。長々と付き合ってどうやら図書館の返却期限に間に合った。 仲麻呂一派の専横により因幡の守になった家持だが地方への赴任はこれにとどまらなかった。その後薩摩守(48歳)相模守(57歳)伊勢守(59歳)時節征夷将軍(67歳)と転々と転勤を繰り返し68歳で任地の陸奥で亡くなった。 もちろんこの間には遅まきながら官位も上り最終的には従三位下まで上り詰め中納言や春宮大夫も務めるが父旅人の官位には届かなかった。 政争に巻き込まれることを嫌い慎重に対処してきた家持であったが三度も冤罪を被った。三度目は彼の死後のことであったが除名され家財を没収され子息は隠岐に流されて、古代の名門佐…

  • 虫時雨

    今回の家持は34歳から42歳まで、越中より帰京して再び因幡国守となって地方に赴任するまでである。万葉集との関係では兵部省の役人として防人の歌を収集した時期にあたり、またこの時期の最後をもって「歌わぬ人」になったということもある。 さて、少納言として帰任した家持を迎えた中央政界は彼が理想と描くような姿にはほど遠かった。翌年大仏の開眼会が行われたが都の不穏な空気は変わらなかった。大仏造営で民は疲弊、孝謙女帝は仲麻呂と一層親密さを増しさまざまな取りざたのもとになり、新羅との外交は緊張、官僚の荒怠、腐敗は救いがたい状況であった。 こういうなかで、あちこちの宴席に顔をだしつつ橘左大臣家とのつながりを深め…

  • 秋めく

    まだもって『大伴家持』である。教養のない身には読めない漢字や意味の解せない歌が多くて百ページを読むのがやっとこさである。 今回は家持の越中国守時代、年齢で言えば29歳から34歳までの五年間である。国守といえば一国の最高権力者ではあるが都から離れての地方勤務は寂しいものであったようだ。だが、中央政府での政治的確執からは疎外された分、精神は自由で作歌の営みは旺盛になったと北村さんは分析する。 しかし、赴任後間もなく弟の書持(ふみもち)の訃報が届き、初めての北国の冬に大病を患うなど孤独な彼はますます内向的になったようだ。唯一の慰みというべきものが、詩歌の道で、親しい人と詩歌のやり取りをしながら「山柿…

  • 夏の果

    『大伴家持』 北山 茂夫著 昨日、一昨日と病院であったせいもあるが、遅々として進まない読書である。 病院の方は癌の影はなくなったようだと言われ一安心。だが、放射線治療の後遺症はまだ当分は続きそうだ。大きくなった腫瘍を焼き切ったということなので三年ほどは後遺症があるらしい。再発や転移がないだけ感謝しなければと思う。 さて、家持さんだが今回読んだのは彼の青年期、十代半ばから二十九歳で越中の国守になるまでである。 社会的政治的には随分激動の時代で毎年のように凶作やら災害、ことに737年には疫病が蔓延して藤原四兄弟も相次いで没した。その後を担ったのが橘諸兄であったのだがその体制に不満を抱く藤原広嗣の謀…

  • 残暑

    台風が去っても涼しくなるというわけではないが、それでも日が沈めば少し秋めいた気配も。昼間に椋鳥が大挙して押しかけ庭の柿の木で大騒ぎを繰り返していたのも秋といえば秋だ。 先日NHKで「大伴家持」についての番組が放映され、その意外な生涯に興味を持った。おおかたのところはわかったのだが、もう少し詳しく知りたいと北村先生の本を借りる。 この先生の本は前に『柿本人麻呂』を読んだことがある。解説によれば大伴家持についてのまとまった研究書というものは以前は少なくて、先生の研究あたりがその嚆矢らしい。先生は国文学者ではなくて歴史学が専門のようだから、白鳳から天平にかけての政治的背景が詳しく述べられているが、読…

  • 終戦日

    『帰郷』 浅田 次郎著 戦争体験はない作者による戦争文学である。すべてフィクションではあるがどれもがありえたと思える話である。 表題作の「帰郷」は玉砕の島から九死に一生を得て帰った男の話である。残した妻や子に会えるのを生き抜く励みに帰郷すればすでに戦死をしたと墓石まで作られ、さらに妻子は弟の家族になっていたという悲劇。こういう事実はうちの町内にもあったことで戦死が真実だと信じられてきたからこそ悶着はおきなかっただけである。 「無言歌」は太平洋の海底に沈んだ潜水艇の中での緩慢な死の話。 先週はテレビで「ガダルカナルの地獄」を見たし、今日は少し前の話題のアニメ「この世界の片隅で」も見た。 生きてき…

  • 法師蝉

    『子どもたちの階級闘争』 ブレイディみかこ著 少し前の話題の本である。筆者は英国在住二十年、かの地で託児所勤務を通してのイギリス社会の現状報告といったらよいだろうか。もちろん報告書などという味気ないものではない。彼女が肌で触れ合った子どもや仲間たちのユーモアと悲しみのある話であり、絶望もあれば希望もある話でもある。 私達はイギリスのロイヤルファミリーや歴史については案外詳しいのだが、現実のイギリスはよく知らないとつくづく思い知らされた。ことにイギリス社会の階級差別の現実、「チャヴ」と蔑称で呼ばれる白人の最貧困層は移民にすら蔑視されている。 階級分離というのは保育施設の利用においてもはっきりと意…

  • 原爆忌

    『原民喜』 梯 久美子著 いきなり自死の件から始まる悲しい話である。 彼は、子どもの頃より人一倍繊細な自意識の持ち主であった。今で言えばいじめのような就学時代は、殻に閉じこもって一言も発しない子どもだったらしい。 そういう年頃にだれよりも彼の心の庇護者であった父を亡くし姉を亡くした。彼の文学の「死」への親しさはここから始まり、後には愛する妻への鎮魂歌ともなる。 世間知というものが全くなかった原を支え信じ励ましたのは妻であった。が、結婚後六年で発病して十一年半という短さで「夢のような暮らし」は終わった。 妻の死後も原は彼女に語りかける言葉を綴り、それが続く間だけ生きようと思った。 妻の初盆の墓参…

  • 夏休み

    『猫のためいき鵜の寝言 十七音の内と外』 正木 ゆう子 随分と長い題名のエッセイである。 「変な書名とおもうけれども、拙文もため息や寝言の類であるし、このところずっと『猫のためいき鵜のねごと 十七音の内と外』が調子がよく頭の中で鳴り止まないので、書名とした。」とあとがきにある。 新聞に掲載されたコラムを纏めたものでひとつひとつは800字以内。最後に毎回著者の俳句がある。俳句は今までに読んだことがあるのもあれば初見のもある。気に入った次の二句は先にも読んだことがあるものだ。 原つぱも不敗の独楽も疾うに無し ものさしは新聞の下はるのくれ 「言葉とは不思議なもので、想念を俳句にすれば、あっさりと片付…

  • 八月

    『原民喜戦後全小説』 原 民喜著 毎年八月は「戦争関連文学」を読むことにしている。今年は原民喜の『夏の花』を読もうと思い、Tの本棚から掲出の本と『原民喜全詩集』、それから梯久美子さんの評伝『原民喜』を出してきた。まず梯さんの本の序章で彼の自死の件を読んで、その事実に暗然とさせられた。 その後でまず『夏の花』だけ読もうとこの本を手にしたわけだが、被爆体験を描いたこの本もまた重い内容である。内容は三章からなり最初は被爆直後(夏の花)、次が避難先での戦後の苦しい暮らし(廃墟から)、最後が被爆前の日常(壊滅の序曲)である。私は順序通り読んでいって原爆炸裂の四十時間あまり前からもう一度最初に戻った。それ…

  • 猛暑

    『死をみつめて生きる』 上田 正昭著 副題は「日本人の自然観と死生観」。東日本大震災後、寺田寅彦博士の「日本人の自然観」のいましめを思い出したことがこれを書くきっかけになったとある。つまり災害の多い日本では自然は時として「厳父」として「遊情に流れやすい心を引き緊め」てきたが「西欧科学の成果を何の骨折りもなくそっくり継承した日本人」の現在のありようを「ただ天恵の享楽にのみ夢中になって、天災の回避の方を全然わすれているように見える」と戒めた一文である。まさに今回の原発事故などはこの警告そのものであるといってもよく、上田先生はそれゆえに自然と共に生きてきた日本人の原初の心を諄々と語られるのである。 …

  • 涼し

    『魂の秘境から』 石牟礼 道子著 文章を書くということは、自分が蛇体であることを忘れたくて、道端の草花、四季折々に小さな花をつける雑草とたわむれることと似ていると思う。たとえば、春の野に芽を出す七草や蓮華草や、数知れず咲き拡がってゆく野草のさまざまを思い浮かべたわむれていると時刻を忘れる。魂が遠ざれきするのである。わたしの場合、文章を書くということも、魂が遠ざれきすることになってしまう。遠ざれきとは、どことも知れず、遠くまでさまよって行くという意味なのである。 石牟礼さんの遺作である。身体の自由を失った石牟礼さんの魂(まぶり)は蝶となって水俣の懐かしい海辺や野山を遠ざれきする。幼かった頃の親し…

  • 西瓜

    『平成遺産』 八人の著者による平成オムニバス。あまりおもしろくなかったから一頁よんで止めた人もいたが読み通したなかでブレイディみかこさんの「ロスジェネを救え?いや、救ってもらえ」はちょっと考えさせられたので触れておきたい。 みかこさんはイギリス在住なので「平成」という括りには詳しくないと断りながら年ごとの「流行語大賞」を手がかりに話を進める。 平成21年の「派遣切り」とか「年越し派遣村」とかを手がかりにこの年こそ「経済的には致命的なクルーシャルだったように見える」と書いている。そしてこの年は政権交代のあった年でもあり、いわば時代が変わるという高揚感とは裏腹に不況感の色濃い言葉が選ばれたことにも…

  • 『絶版殺人事件』 ピエール・ヴェリー著 佐藤 絵里訳 図書館の新刊コーナーで立派なミステリー本を見つけ、雨のつれづれに読む。作者はフランス人、作品は第一回フランス冒険小説大賞を受賞とある三十年前の作品だ。 謎を解くのはフランス人の引退した古文書管理人だが事件の舞台はスコットランドである。なぜだろう。謎めいた事件といえばイギリスの方が舞台装置としてはいいのかしらん。 あけすけの感想を言えば星三つかなである。同じ舞台で関係のないふたつの事件がからみあって複雑だがすっきりした読了感がない。古い手紙が事件の発端になるのだがそれがなぜ犯人の手に渡ったのか説明がない。読み落としたのかと読み返してもわからぬ…

  • 梅雨長し

    『アジア海道紀行』 佐々木 幹郎著 県の図書館で未読の佐々木さんの本と久しぶりに出会った。この人の書きっぷりが好きなのだが最近はどうしておられるのかなかなか出会わない。この本とて発刊は古いといえば古い。 海道紀行というのは鑑真などの足跡を辿りながら東シナ海を取り巻く港や都市を巡る旅の記録だ。坊津・揚州・舟山群島・寧波・長崎・釜山・済州島・平戸そして上海。東シナ海を内海のようにしてぐるりと回り人の交流や物の行き来を振り返る。昔の古い言葉に「海彼(かいひ)」という隣国を表す言葉があったというが、鎖国以前の日本には海を通してのお隣という意識があったのではないかと佐々木さん。 鑑真は日本への渡航を依頼…

  • 青大将

    『天野 忠随筆選』 山田 稔選 天野さんの既刊の随筆集をもとに山田さんが編まれた随筆集である。天野さんの詩集は先に読んだが特に心に残っのは老妻ものだ。これは随筆集であり詩集とはまた違った趣があるに違いない。 あとがきで山田さんは、「何でもないこと」が天野忠の随筆の中身だ、「何でもないこと」にひそむ人生の滋味を平明な言葉で表現するのが文の芸だと書かれている。天野さんも自身を何でもなさを嗜好とする天邪鬼的な存在だと認めておられるし、その詩もそういうものだったように記憶する。 天野さんは若い頃から蒲柳の質だったらしく最小限の働きで糊口をしのぎ後は悠々自適で生きてこられたような印象を受けたのだが、どう…

  • 梅雨深し

    『カササギ殺人事件 下』 アンソニー・ホロヴィッツ著 山田 蘭訳 三ヶ月ぶりの『カササギ殺人事件』である。正直に言って前編の話も面白味も概ね忘れてしまっており、気の抜けたサイダーでも飲む気分で読み始めた。ところが後編は全篇とはまるで違う話の展開。つまり前編は作中作で前編の作者が後編の被害者になるという入れ子の構造だったのである。前編の種明かしは後編のおしまいにさらりと触れられるというだけで、こういうのを傑作というのか。(惹句に去年のミステリー部門の5冠とある)ミステリーといったら犯人を示唆する手がかりが巧妙に仕掛けられていて、その謎解きが読者としても面白いのだが、すくなくともそういう楽しみはな…

  • 七月

    『「宿命」を生きる若者たち』 土井 隆義著 香港では若者が中心になり激しい政治批判が起こった。比べて日本にはなんの問題もないように静かである。日本は豊かなのか、恵まれているのか、若者に何の不満もないのか。そんなことはないはずだ。一人当たり購買力平価GDPひとつをとっても香港は11位、日本は31位(2018年版)若者の相対的貧困率は上昇、格差は拡大しているのである。ところがである。生活満足度も上昇しているのだという。この経済動向と幸福感が相関しないことについて筆者は社会学者の古市氏の見解を紹介しているが、それは一つには人間関係の心地よさで生活が満たされるということ、もう一つには高い希望を抱かなく…

  • トマト

    三ヶ月にいっぺんの知人たちとの食事会に出る。以前一緒に公務に携わった仲間でみんな喜寿前後の歳だ。昼間だからアルコールが入るわけではなく食事をしてお茶をして近況を話し合うだけである。体調を崩していたから二年ほど欠席して前回から久しぶりに顔を出した。前回お休みで今回久しぶりに会った人もいたのだが「顔がつやつやして元気そうじゃない」と声をかけてくれた。元気そうと言われるのはやはり嬉しい。 今回盛り上がったのはお墓の話。市の施設として合同墓ができたのでその見学会に出かけたという一人の話からである。なんでも見学会もすごい人で受付までが長蛇の列だったらしい。みんなそれだけお墓には悩んでいるようだ。肝心の施…

  • 梅雨晴れ間

    『父を焼く』 上野英信と筑豊 上野 朱著 戦後、筑豊の地で地域に根付いた文化活動に力を尽くした上野英信氏のご子息による回想譚である。谷川雁や森崎和江の名前は知っていたが正直に言って上野氏のことはよく知らなかった。今回これを読んで並々ならぬ信念の人であることがよくわかったので遅ればせながら著作も読んでみたいと思う。 回想譚の中で最も印象に残ったのは表題にもある「父を焼く」である。遺体と一緒に大量の本人の出版物を棺に入れて焼いたのだが、なかなか灰にならずに追い炊きをしたのだという。 信心深い、あるいはしきたりや作法を重んじる人からは、なんという不謹慎で罰あたりなと批難されるかもしれないが、本を詰め…

  • 梅雨空

    『浄瑠璃を読もう』 橋本 治著 橋本さんのやさしく教えてくださる古典シリーズの一冊である。春の旅で淡路島で人形浄瑠璃を見てから気になっていた「文楽」という日本の古典芸能、この際勉強しようと読み始めたのだがなかなか進まない。やっと三大名作と言われる「仮名手本忠臣蔵」と「義経千本桜」「菅原伝授手習鑑」の項を読んだ。どれも史実に題材を得てはいるが史実とはまったく違う。 「仮名手本忠臣蔵」はそれは歌舞伎の方ではあったが、昔部分的に母に聞いたこともあり(どんな時に聞いたのか見たのか全く思い出せないが当地は農村歌舞伎が盛んな地であった)話の流れは承知していた。「高師直」が悪人だという認識だけはずっと染み付…

  • 蝸牛

    『誘拐』 本田 靖春著 Tが古本屋から仕入れてきた一冊で一時代前のドキュメンタリーの名作らしい。(文藝春秋読者賞・講談社出版文化賞)若い人成らずとも今の人は知らないだろうが「吉展ちゃん」という名前を当方などはしっかり覚えている。昭和37年、先のオリンピックの前年というからまだ高校生だった頃の話だ。悲惨な幼児誘拐事件であった。犯人小原保は身代金を奪った挙句に幼児を殺害した。大まかな記憶はあるが詳しいことは知らなかったが、この本は、当時新聞記者だった筆者がその事件の詳細な顛末を記録したものである。 読みながら永山(則夫)事件との類似性を思わずにはいられなかった。もちろん違うところは大きいのだが、高…

  • 草むしり

    ピンクのプルオーバーを縫う 歳を重ねたら赤い色を着たほうがいいと言うが全くそのとおりだ。白髪頭で黒っぽいものを着た日には気が滅入ってしかたがない。ピンクなんかと思っていたのにこのところ家着はピンクばかり。今着ているのは化学繊維だから夏向きに綿と麻の混紡のシャンプレーで同じものを縫った。それから黒っぽいものは出来るだけ捨てて恥知らずのバアサンでいこうと思う。 また落語会の案内がきた。前回のアンケートにH殿が「面白かった」と書いたので早速のお誘いである。みんなが行きたいというのでチケットを頼んでもいいのだが、それはそれとして開催日が10月22日(火祝)とある。何の祝日だったかと誰も思い出せず調べて…