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1件〜100件

  • 若葉雨

    『芭蕉の風景 上』 小澤 實著 上巻の残りを読む。紀行文『笈の小文』の部分である。芭蕉四十四歳、伊賀上野から伊勢に参り、吉野、和歌浦、奈良、明石須磨と巡る旅。米取引で罪を得て逼塞中の杜国を誘っての旅でもある。 折々の俳句が先人たちの古歌を踏まえているのに驚く。そういう教養の乏しい身はいつも底の浅い解釈で読んできた。 芭蕉の句の中で一番気に入っている句がこの部分に出てくる。 「蛸壺やはかなき夢を夏の月」 明石の浦での句である。「砂地に沈められている蛸壺に身を入れて、ゆうゆうと眠る蛸。その肌にあわあわと差している月の光を幻視しているのである。」と小澤さん。明日をも知れぬ命を知らず月の光を受けて眠る…

  • 夏草

    『芭蕉の風景 上』 小澤 實著 前々から気にかかっていた本を読み始める。まずは上巻の半分、芭蕉四十代初めのころまでである。伊賀上野から江戸に出てきて日本橋辺りから深川に住み替え、野ざらし紀行に出かけるまで(芭蕉四十一歳から四十四歳)。この間の俳句を味わい、その背景の地を訪ねるというのがこの本の趣向だ。 小澤さんの解説によれば、この時期の芭蕉は、初期の談林俳句の言葉遊びを抜け出し、俳句に自分を詠み始め、取り合わせ俳句を発明し、さらに一瞬の感動を詠んだ。これが今につながる大きな試みにもなった。さらに名古屋の門人と五歌仙を巻きあげ、新風を興したのもこの旅のこと。 芭蕉の句で一番人口に膾炙している「古…

  • 走り梅雨

    『やさしい猫』 中島 京子著 たまたまこの本の名前が出てきた時、旧友は「たいした本じゃないけど」と言ったのだ。予約を入れていた私はそのまま借りたが、期待しないで読み始めた。だが、実に面白かった。複雑な心理描写もなく読みやすかった。最後がハッピエンドだということも勿論いい。(三島はハッピエンドでないと騙された気分になるといったらしいが。)逆に旧友が好評価をしなかったのはそのあたりかもしれないとも思った。 スリランカ人のウィシュマさんが名古屋出入国在留管理局で収容中に亡くなったというニュースは、確か去年のことであった。この問題はいまでも裁判で係争中と思うが、以前から日本の非人権的入管行政は問題視さ…

  • 植田

    蒲生野と近江八幡 「こころ旅」を見ていて、近江行きを思い立つ。近江は何度も訪れてはいるが、まだまだ見たいところは多い。今回は「近江の国宝建築巡り」と称してプランをつくる。 まずは名神高速の蒲生ICで下りて苗村神社へ。延喜式神名帳にも名のある古い神社である。 道路を隔て西と東に分かれており、西本殿が国宝、東本殿が重文である。もともとの産土神は東に鎮座されている由。ナムラとはもとはアナムラで日本書紀の新羅神アメノヒボコ伝承と関係があるという。かってこの地方に多く移り住んだという渡来系の人々の祖神であろうか。西本殿の御祀神は勧請した神である。 重文の楼門。 室町期のもの 門前の神田 伝承の雨乞いの掛…

  • みどり

    『スットン経』 諏訪 哲史著 「ちっとも読めない」と愚痴っていたら、古友達が「面白かったよ」と薦めてくれた一冊。連休があったり、気がのらなかったりと何日もかかって読了。たまにはなにか書かないとお客さんが皆無になりそうで、意味もない感想を少し。 諏訪さんは芥川作家だがこてこての名古屋人。以前朝日新聞で名古屋弁のバアサンたちの話に大笑いした記憶がある。(ちゃんと『アサッテの人』も読んでます)このエッセイ集も中日新聞と毎日新聞・東海版に掲載中のもので、昨秋までのまとめらしい。 話は、諏訪さん自身が躁鬱病と公言しておられる病の辛さに触れたもの、名古屋弁やらローカルな話題、不寛容な差別な社会や地球温暖化…

  • 桜海老

    『NHKスペシャル 見えた 何が 永遠が 立花隆最後の旅』 この4月30日は立花さんの一周忌に当たるらしく、親交のあったデレクターによる追悼番組である。死の半年後、知の巣窟ともいう「猫ハウス」の書棚が、きれいに空になっていた。それに驚いたところから話は始まる。 「知の巨人」といわれた立花さんは、生涯をかけて何を知ろうとしていたのか。ある人はそれは「見当識」だという。つまり我々人間はどこからきて、今どこにいて、どこに行こうとしているのか。この問いを追究するために彼は宇宙を対象とし、人間と猿を、生と死を、文明と非文明を対象とした。「ビックバンから始まる歴史を全部書きたい」そう語る姿も紹介されている…

  • 春惜しむ

    不調の原因判明 昨年は三回、今年になって二回、突然の高熱と胃腸障害の原因と思われるものが判明した。血液検査の結果、ある病気の初期症状とわかったのだ。またまた厄介なものを抱え込んだという気持ちである。一度大病を患うとストレスで別の病を引きずるということだろうか。ともかく今は処方された薬を飲み、生活習慣に気をつけるしかない。ちょっとだけ飲んでいたワインもきっぱりとやめたが、これは淋しい。 鬱々と晴れぬ気持ちで昨日は古友達と電話で話した。彼女も難治の皮膚病で今日にも大きい病院を受診するという。パソコンも調子が悪く、今やトシヨリには如何ともしがたいことが多すぎると嘆いていた。昔二人でつるんでいた頃、お…

  • 静岡紀行 一日目 コロナの収束はおぼつかないが、ワクチンを三回接種したこともあり最大限人密を避けることにして出かける。従って今回は車での移動中心。 朝8時前に自宅出発。東名高速で、まずは昼食予定の焼津を目指す。途中上郷SAと浜名湖SAで休息。今回の外出は二回目の大手術後の初めての遠出であり、慎重に休み休みである。 浜名湖SA。晴れてはいるが霞んだ景色である。 吉田IC辺りでこの近くがお宅だというふきのとうさんに想いをはせる。いつもご利用だという吉田の高速バス停留所を捜すが見落としたらしい。大井川を越えて直に焼津。ここまで休息を入れて約三時間。ネットで調べた「小川港魚河岸食堂」でまぐろを食す。さ…

  • 仔猫

    『ねこのほそみち』 堀本 裕樹・ねこまき著 たわいない本をとお笑いめさるな。実に楽しい本でした。右ページに猫の俳句と堀本さんの鑑賞文。左ページにねこまきさんの猫マンガ。絶妙な取り合わせで夢中でページを繰りました。全部で89句。龍太さんもあれば、楸邨さんの句もあり。一茶も永田耕衣さんも。ねこまきさんのイラストの猫たちが実にいきいきしてこれ又良し。言葉で説明しても可愛さは伝わらないので、図書館にでもあれば、ぜひ手にとってください。 猫って愛されてきたのですね。犬の俳句はここまではないでしょう。拙句にも猫の句はあります。ちょっと自慢めきますが、新聞俳壇にとられた自信作の一句。 殺生をやめられぬ猫蜥蜴…

  • 春闌くる

    『時宗の決断』 永井 路子他著 本が読めない。いろいろ摘まんではみるのだが、こういう時代に架空の人物の気ままな情緒に付き合っているのが嫌になって放り出す、というのを繰り返している。幸いこの時期はしなければいけないことがいろいろで(例えば庭仕事、冬物の片付け)、何となく日は過ぎていく。昨日、旧友からの電話で刺激されたこともあり、とりあえず久しぶりのブログである。 昨日の新聞によれば、「鎌倉時代に興味はありますか」というアンケートに62%の人が「ある」と答えていた。こちらも大河つながりでちょっとは読んだり調べたりしてみたのだが、なかなか頭に入ってこない。まず同じような名前が多すぎる。執権にしろ、ど…

  • 春祭

    『硝子戸のうちそと』 半藤 末利子著 何かで薦められていたのでたくさんの予約の果に借りてきた。茶飲み話、世間話のようなものだが、漱石のお孫さん、半藤一利夫人の世間話である。随分ぶっちゃけた物言いの人だなあというのが一番の感想だ。 最後の方に半藤さんの最期の話がある。半藤さんと言えば、『昭和史 戦後編』がとても面白かった記憶がある。自分の来し方にひきつけて読めたからだ。つまり戦後史の節目節目にワタクシの人生の節目節目が重なって、とても興味深かった。 その半藤さんが転倒の果に大腿骨骨折、手術でうまく治らずに再手術、リハビリ、他の病気の併発と、だんだん弱って、亡くなるまでが書かれている。それが実に恬…

  • さくら散る

    『俳句と人間』 長谷川 櫂著 春は、なんとなく感傷的な気分になる。時のうつろいがあまりにも早いせいかもしれぬ。三日ばかり又体調不調で寝込んでいたうちに、紅梅は無残に色褪せて散り、桜も木蓮も満開になった。満開の嬉しさに浸るより、いずれもあと二三日もすれば散り始めるにちがいないと、淋しさが先立つ。 一時期著者の結社に入り、末席ながら何度か句会に同席した身である。結社で競うことがどうでもよくなって、すっかりご無沙汰をしてしまっていた。毎週の新聞俳壇の選句で、お元気だとばかり思っていたが、癌を患っておられたとは知らなかった。それもちょうど当方と同じ時期ではないか。 この本は、皮膚癌を患い何度かの手術を…

  • 春うれひ

    『北条氏と鎌倉幕府』 細川 重男著 「鎌倉殿と13人」を見ている。おぼろげにしか知らぬ歴史を、おさらいしようと借りてくる。 読めば読むほど凄惨な時代である。結局頼朝の兄弟やら子はみな悲惨な死を遂げ、頼朝の家系は断絶。合議制のメンバーたちも何人かが誅伐される。この暗さを一体三谷さんはどう描くのだろう。 さて、この本のメインテーマは「北条氏はなぜ将軍にならなかったのか」ということで、義時後の時代、時宗についても話は続く。 北条氏と鎌倉幕府 (講談社選書メチエ)作者:細川 重男講談社Amazon 一昨日、二年ぶりに旧友に会った。高校以来の古友達である。「四十の大台を超えた」とか「とうとう還暦か」と言…

  • 三月

    『根に帰る落葉は』 南木 佳士著 久しぶりに著者の新刊広告を見つけ、図書館で検索したが、まだ入っていなかった。代わりに未読の本書を見つけた。文庫本仕様の小型本で、見逃していたのを司書の方に教えてもらう。 いつもながら、40代に患ったという心の病から平穏さを取り戻したという話だが、静謐な書きっぷりにいつもどおりと思いながらも、読まされる。いろいろあったが、この方も穏やかな老年期を迎えられたのだと、己の来し方も含めてつくづく過ぎてきた年月を思う。 六十五歳の誕生日にふれた文を読む。前期高齢者になったけじめの誕生日、夕食のメニューに、うどんとじゃがいもの天ぷら、きんぴらごぼうを妻に所望する。いずれも…

  • 水温む

    『天野忠詩集』 天野 忠著 小舟 若い人は物持ちだから あたりの景色も見ずに どんどん先に行くのもよい。 老人は貧しいから 物惜しみをしなくてはならない。 生から 死に向かって 極めてゆるやかに 自分の船を漕ぎなさい。 あたりの景色を じっくりと見つめながら ゆっくり ゆっくり 漕いでおゆき、 めいめいの小さな舟を。 春本番。花々が一挙に開き出した。花粉を恐れながらも花を撮って歩いた。紅梅以下はうちの花。 たも持ちて漕ぎゆく子らに水温む じゃぶじゃぶと川をこぎながら、子どもたちが魚掬いをしてました。入るのは泥ばかりのようでしたが、水遊びが嬉しいのでしょう。

  • 春風

    『土偶を読む』 竹倉 史人著 土偶とは一体何をかたどっているのか。豊穣を願う妊娠女性像かと言われながらも、今一歩説得力ある説明がなかった。が、この本の仮説は実に面白かった。 筆者は土偶の形態を具体的に分析する方法で次のように仮説を立てた。つまり「土偶は食用植物と貝類をかたどっている」という考えである。事例として取り上げられているのは、九種類の土偶群であるが、その形態的特徴と対象となった植物との酷似が、写真や図で説明されている。さらに、それらの植物や貝類が当時の人々の主要な生業の中心であったことも証明されている。 森や海から主要な食べ物を得ていた縄文人は、それらを形象化、フィギュア化して植物霊祭…

  • 囀り

    『老いのゆくえ』 黒井 千次著 入浴時膝にくろにえ(岐阜弁で青あざをいう)を見つけた。土曜日に室内の段差で転んだせいだ。まだ薄暗い早朝、ゴミ出しの用意をしようと、電気もつけずにばたばたした。後で思えばスリッパもいいかげんにつっかけただけだった。くろにえ程度ですんだからいいもののトシヨリに転倒はダメだと思っていたのに、甘い。 この本にも転んだ話や身体のバランスが悪くなった話が、何回もでてくる。しゃがんで腰が伸びなくなった話や、小さなものが指先から落下する話もある。筆者八十五歳、こちらはまだまだそこまではと思っても、似たようなことはある。明日は我が身かと思いながら読んだ。 いつも難しいことを書かれ…

  • 雛の夜

    <岐阜県博物館へ「岐阜の縄文世界」展を見にゆく> 1月からの展示会もコロナで遠慮しているうちに会期も終わりに近づいた。寒さが緩んでワクチンも打った機会にとでかける。気遣うほどのことはなく、展示会見学者はわが家族だけ。駐車場の車はもっぱら里山公園でのウオーキングの人らしい。 展示品は主に飛騨や西濃(揖斐)地方の縄文遺跡からの出土品。長野の遺跡ほどではないが、それでも面白い意匠の土器があり、楽しませてもらった。頭がふたつで尾がみっつという空想的動物(虫?)が装飾性を意識して規則的に配置されたもの、口辺が五角形に作られたもの(五角形は難しいはず)。いずれも縄文人のセンスの高さを感じさせられる。出土品…

  • 風光る

    『モンタルバーノ警部 悲しきバイオリン』 アンドレア・カミッレーリ著 千種 堅訳 一昨日ワクチンの三回目を接種した。今回はモデルナ。副反応は個人差があるようだが、今回は前二回よりは応えた。接種日の夜は痛みで寝返りもうてず、昨日は腕を後ろに回すこともできず。身体もだるかったので、念の為に熱を計ったがこれはなかった。一日遅れで連れ合いが昨日接種したが、こちらは何ともないよう。暖かくなった今日は剪定に励んでいる。 そんなわけで終日のらくらして『モンタルバーノ警部』を読む。前回の次作である。今回は前より筋立てがはっきりしていて読みやすい。警部が美食家なのは変わらず。 なかなか面白いシリーズだが、邦訳は…

  • 春疾風

    『北園町九十三番地 天野忠さんのこと』 山田 稔著 天野さんのことは、山田さんの著書を通して知った。お二人のお付き合いはさぞかし長年にわたるものであろうと思い込んでいた。ところが、さにあらず。この本によれば親身なおついあいは天野さんの晩年、わずか十二年間なのだ。「そんなことどうでもよろしいやおへんか」と天野さんに皮肉めいた口調でしかられそうだが、読後ともかくそれが意外であった。 若い頃、お二人とも奈良女子大にお勤めで、接点はあったが、挨拶を交わす程度だったらしい。年齢差が二十歳もあり、当然と言えば当然。若いうちから年寄りじみた雰囲気だったという天野さんには、まだ若かった山田さんにしてみれば、敷…

  • 余寒

    『おやつ泥棒』 アンドレア・カミッレー著 千種堅訳 相変わらず春の気配は遠い。立春後にも何度も雪が舞う。今年初めてのダウン。いつもと全く同じ、高熱と胃腸障害というパターンで、念の為車の中で待機してpcr検査というのも、いつもと一緒。幸い今回も陰性であった。大事な無料検査キットを、これで三回も無駄に使ったことになるが、当人としてもどうしようもない。腸が短くなった分、多分免疫力が落ちているのだろうと考えるるしかない。以前は滅多に発熱などしたことがなかったことを思えば。 今日は2022・2・2で猫の日とか。やたらと猫の話題が多い。昨日回復期でダラダラするままBS映画で『ボブという猫』を見た。猫好きに…

  • 春浅し

    『帰れない山』 パオロ・コニェッティ著 関口英子訳 このイタリア文学を読もうとしたきっかけを忘れた。どこかで推薦文を読んだのだろうが。借り出す本のリストにメモってあったので、検索して借りてきた。2017年のイタリア文学界の最高峰ーストレーガ賞受賞作品とあるので、最近の本である。ヨーロッパでは大ベストセラーとなり、舞台化され映画化も予定されているという。 始まりは、北イタリアのアルプス山麓で、両親と共に夏の休暇を過ごしていた少年ピエトロと、山村の牛飼いの少年ブルーノとの出会いからだ。同じ年格好の二人はたちまち気心が通じ、豊かな山麓の自然の中で友情を育んだ。 長じて、ピエトロは大学を中退し、定職に…

  • 春寒し

    『飛ぶ教室』 ケストナー著 丘沢静也訳 先に読んだ本で、川本さんは中学生のころ、この本を読んで身につまされたといったことを書いておられた。 主人公の一人の少年が、クリスマスだというのに帰省できない。親が、貧しくて帰省の費用が工面できないので寄宿舎でクリスマスを過ごしてくれと、頼んでくる。彼は落胆するが、泣かないで我慢しようと決心する。「泣いちゃダメ 絶対」と呪文のように繰り返して耐えていたのだが、不審に思った舎監先生の言葉で堰が切れるというくだりである。 その彼、マルティンは先生の優しい心遣いで帰省できるのだが、思いがけず家族でクリスマスを祝えることになったマルティン一家のささやかな幸せ場面も…

  • 水仙

    『すごいトシヨリ散歩』 池内 紀・川本 三郎著 最初、池内さんの『すごいトシヨリBOOK』と混同していた。「同じじゃないよ」とTに教えられてよく見たら、こちらは川本さんとの共著であった。 池内さんがお亡くなりになる寸前までの対談を含めた内容。お互いの愉しみ、旅であったり、音楽であったり、本であったり映画についての醍醐味や薀蓄を語り合ったもの。当時池内さんはすでに後期高齢者で、川本さんは四歳下。いきおい年齢相応のボヤキも交じり、思い出話が多くなる。 岐阜の話が出てきたのはなんとなくちょっと嬉しかった。長良川沿いの街並みが美しいという件である。戦災に会わなかった川原町辺りのことだろうか。お勧めの街…

  • 大根

    『邪馬台国再考』 小林 敏男著 この本は、邪馬台国(最近はヤマトコクとよむのが一般的らしい)について文献史学の立場からアプローチしたものである。 邪馬台国については従来より九州説と近畿説があり、様々な論争と検証がなされてきた。これらの論争への一つの新しい視点として、本書では、「邪馬台国」と「ヤマト国」を別個のものと考える。もともと二つのヤマトがあった。つまり「ヤマト国」すなわち女王卑弥呼の国は北九州山門地方にあり、「邪馬台国」は大和地方(巻向)にあったとする考え方である。さらに紀年の研究から卑弥呼と同時代の初期ヤマト政権(邪馬台国)の統治者は崇神天皇ではなかったか、とする。 以上のような結論を…

  • 『日本史の輪点』 中公新書編集部編 お経の本ばかり読んでいたから、少し目先を変えたいと思い読み始めたもの。いつもながら古代史から中世前期までは興味深く進むのだが、室町に入ると突端にいけない。ちょっと跳ばして江戸へ、近代(明治・大正)もとびとびに齧って現代という有様。まあ、いくつかの最近の知見を断片的に勉強したというところ。 以下、心に残った思わぬところ。現代史の「吉田路線は日本に何を残したか。」ー宮城大蔵氏ーのくだりである。 「『一等国』『歐米以外で唯一の列強』といった拠り所を敗戦で失った日本にとって、戦後吉田路線の結実ともいうべき『世界第二の経済大国』が国際社会におけるアイデンティティーとな…

  • 猫の恋

    『いつか死ぬ、それまで生きるわたしのお経』 伊藤 比呂美著 ずっと伊藤さんのお経に関係する本を読み続けている。伊藤さんと同じように信心があるわけではない。突き詰めれば、死ねば宇宙の微塵となって散らばるだけと思っている。その一方で毎日仏壇の扉を開け(家は浄土真宗で父が奮発した大きなキラキラしい仏壇がある)供花の水を確かめ、お参りをする。父や母や姉たちがあちら側にいるような気持ちでもいる。 伊藤さんはお経を読み仏教を考え、日本の古典はみんな仏教文学だったとわかったと書いていた。西洋画を見ていると、これでもかこれでもかというほどキリスト教ばかりにうんざりしたが、そういう点では日本は仏教だ。骨身に沁み…

  • どんど焼き

    『ドク・ホリディが暗誦するハムレット』 岡崎 武志著 春陽堂書店のウェブで連載されている「オカタケな日々」はいつも愉しみに拝読している。この本はそれを纏めたもので、既読の部分もあるが応援の気持ちでTが買ってきた。オカタケさんのは、文章が上手いのはもちろんだが、気取らなさが一番で、好感がもてる。加えて横溢する好奇心が元気づけてもくれるのだ。 この本も食あり、旅あり、音楽あり、映画あり、本ありと実に多彩。食といったところで「駅前の立ち食いそば屋」(この本にはなかったが)の食べ比べ、旅は格安切符の利用といったところで全く気取りがない。だが、Tにいわせれば「本当の実力者」なんだそうだ。 「日々生きてい…

  • 『句あれば楽あり』 小沢 昭一著 多分読んだことがあるのだが、中身はすっかり忘れているから何度だっていいのです。過日読んでいた「東京やなぎ句会」の続きのようなもので、小沢さんの韜晦した洒脱な語り口が心地よい。 ちっとも上達しないと一日一句を志ざすなんぞ、スゴイ、スゴイ。五百句作って残した一句がこれ。 秋風やこの橋俺と同い年 万太郎さんがお好きだったようで、いくつか引いてありますが、万太郎さんはいいですねえ。 湯豆腐やいのちの果てのうすあかり 獅子舞やあの山越えむ獅子の耳 渥美清さんも句会のお仲間だったようで、いい句が紹介してあります。 コスモスひょろりふたおやもういない 彼は自由律だったようで…

  • 着ぶくれ

    『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』 伊藤 比呂美著 読むいうより読まされた。散文詩というのだろうか。文章がつるつるつるとリズムよく流れ、ひとりでに頭に沁みてくる。古今東西、詩人に小説家、古事記にお経に梁塵秘抄、あらゆる声借りが一層流れをせきたてる。 父母の病の苦、老いの苦、死の苦、夫の病の苦、老いの苦、子育ての苦、子供の苦、夫との諍いの苦、友人の病の苦、そして自分の病の苦。よくもまあ、つぎつぎと押し寄せる苦に立ち向かいながら、こうまであけっぴろげに語られると何とも滑稽で、時には笑えてしまう。そして、見方を変えれば、 所詮生きるということは滑稽なことかも知れないと思えるから不思議だ。 かって現実の苦し…

  • 松過ぎ

    『日常を愛する』 松田 道雄著 松田さんの本を久しぶりで読んだ。文末まで意志がしっかり通い、簡潔できっぱりした物言いに、「ああこの口ぶりに何度も納得させられ、慰められた」と思い出した。『育児の百科』や『わたしは二歳』など、どれだけ開いたことか。すっかり擦り切れた本が、今も手元にある。 この本は筆者の七十二歳から七十五歳前までの新聞連載コラムを纏めたもののようだが、歳を重ねても大変な勉強家であるのには驚く。いつも医学書で最新の知見を確かめられては自身の『育児の百科』の校訂をつづけられ、ライフワークのマルクス主義の研究などにも熱心だ。あまりにも「勉強、勉強」とおっしゃるので、お孫さんに「学校でお勉…

  • 虎落笛

    『友あり駄句あり三十年』 東京やなぎ句会(編) 面白くてためになり、いい本だった。個性的なメンバーの飄逸な話もさりながら、なかなか皆さんいい句を詠まれ、さすがだなあと感心しきり。東京やなぎ句会の存在は、小沢昭一さんや江國滋さんの本などで読んではいたが、この本には三十年の歴史が詰まっている。(1999年10月当時)ここで352回というから息の長い集まりだ。が、この句会も今年の10月でその長い歴史を閉じたという。10月に小三治さんがなくなり、もともとの会員が矢野さん一人になったからだそうだ。淋しいことだ。まあ、この本はみなさんがまだ元気なころの句会の話。それでもすでに三人の物故者がある。 今日の新…

  • 『まくら』 柳家 小三治著 小三治さんという落語家の偉大さをよく知らなかったのはつくづく残念。追悼番組で「初天神」を聞いて、全く魅了された。これも後、知ったのだが。「初天神」の「金坊」はお得意中のお得意だったらしい。「まくら」も名人芸だというので、せめてその一部でも偲ぼうとこの本を借りてきた。 さて、この本だが語り口がそのまま活字になっていて、実に面白い。全部で十七ほどの小話が収録されているのだが、一押しは「駐車場物語」。師匠のバイク(オートバイ乗りが趣味)用に借りてある駐車場にホームレスの方が住み着いてしまうという話。四台のオートバイの間にダンボールやら布団やらを敷き詰めて、だんだん生活用具…

  • 冬の鳶

    三年がかりの透かし編みのベスト 編み始めたのが2019年の1月。間に大きな手術やら入院やらですっかりその気もなくなって、やっと三年がかりで編み上がった。相変わらず出来は今一歩だが、私にしてはややこしい透かし模様をよく編み上げたと言うべきか。指の傷みもあるからもう編み物は卒業かなと思う。 報道どおり厳しい寒さになった。昼のニュースでは近隣各県は雪のようだが、この辺り(平野部)はまだ大丈夫。雪雲の流れぐあいで、同じ平野部でも名古屋は今朝は雪だったようだ。 水打てど空振りばかり冬の鳶

  • 冬椿

    『ヨルガオ殺人事件 上・下』 アンソニー・ホロヴィッツ著 山田 闌訳 上下二巻を、金曜日に借りてきて四日で読んだ。年末の慌ただしいのにである。ミステリーは、作品の価値にかかわらず問題が解決するまでは読み続けないと落ち着かない。 さて、評価はどうか。ネタバレになるから詳細は触れないが、犯人は予想どおりであった。つまり私ごときに話の展開を読まれていたのである。今日の新聞広告に仰々しい宣伝が出ていたが、それほどかな。前作『カササギ殺人事件』もそう思ったが。 今年はこれで読み納めになるかどうかわからないが、年間の総まとめでマイベスト3を決めたい。 1 洟をたらした神 吉野 せい 2 読み解き般若心経 …

  • 『読み解き般若心経』 伊藤 比呂美著 いやあ、実に実に面白かった。最後の方は目頭が熱くなった。 そもそもNHKの「こころの時代」で伊藤さんのお経の話を聞いたのが始まりだ。それで『いつか死ぬ、それまで生きるわたしのお経』を買って読み始めた。途中で図書館でこの本を見つけて時系列からいってもこちらが先かと思った。 それに「般若心経」は数少ない私が諳んじたお経でもあるし、「白骨」という御文(おふみ)も葬式で聞き慣れた文章であり、「歎異抄」もまんざら知らないわけではない。 死に近いご両親の介護をされながら「死」を考えざるを得なくなった伊藤さんは、様々なお経を読まれたようだが、詩人の言葉で現代語訳されたお…

  • 冬の空

    『寡黙なる巨人』 多田 富雄著 12月8日、開戦日の前後に新聞やテレビで戦争に関する特集が組まれていた。この老人がいまさら開戦の詳細を振り返って意味があるとは思えないのだが、知らなすぎることが多いと加藤陽子さんの本を借りてきた。『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』である。対象が高校生諸君とあるので読みやすいと思ったのだが、さにあらず。苦戦してページが進まず、半分でついに中断する。上記の本を手にし、加藤さんの本は後日に回すことに。 さて、多田さんの本は、前回同様闘病中の話である。歩くことも話すことも食べることも困難になられた筆者だが、きついリハビリを経て、身内にかっての自分ではないが何か力…

  • 北風

    う『春楡の木陰で』 多田 富雄著 ダンボール箱に積まれたTの既読本の中から出してきた一冊。 多田さんは免疫学の世界的泰斗で文筆家でもある。学者として油ののっている時期に脳梗塞で倒れられ、重い後遺症が残った。死を願われるほどの深刻な状況にもかかわらず、いくつかの本を書かれ、時には国の「リハビリ日数制限」制度に対して激しく批判、反対活動もされた。 さて、この本は病苦の傍らキーボードを叩いて書きあげられたもののひとつで、闘病中とはおもえぬみずみずしくつややかな文章が感動的だ。小編のいずれも思い出を綴ったものだが、表題にもなっている「春楡の木陰で」や「ダウンタウンに時は流れて」が特によかった。 筆者は…

  • 木の葉掻く

    『俳諧辻詩集』 辻 征夫著 アマゾンで一円で購入。もちろん送料は別だ。なかなかいい本で、得した気持ち。俳句に詩が連動している。私はもっぱら俳諧味のある俳句に惹かれた。季節のせいか冬の俳句に感心する。 床屋出てさてこれからの師走かな 熱燗や子の耳朶をちょとつまむ 一番気に入ったのはこの二つ。男の句だなあと思う。こういうのは女ではできない。今どき正月だからといってまず床屋へ行くなんて言うのは古い男だ。ちなみに内の連れ合いは、年の瀬になると「床屋床屋」と煩い。床屋へ行って、さてその後はなにをするんですかね。結局は年忘れとか屁理屈つけて飲むんじゃないですか。 熱燗をちんちんにつけて、「あつつつ」と徳利…

  • 十二月

    『姉の島』 村田 喜代子著 『飛族』と同じく離島の海女の婆たちの話である。 島の海女たちは八十五の齢を迎えると、倍暦といって齢を倍に数える習わしがある。ミツルと小夜子は春の彼岸に倍歴で百七十歳になった。現役は引退しても、まだまだ潜る元気はある。時には、倍暦仲間で後の者に残す海の地図つくりに精を出す。小エビが増えてきたところ、カジメの林がよく育っているところ、それから船幽霊にであったところ。婆たちの地図はどんどん拡がる。孫の聖也に教えてもらったハワイ沖からカムチャッカ半島に伸びる天皇海山列。嫁の美歌に聞いた春の七草海山列から秋の七草海山列。累々と続く天皇海山列には、カンム、ユウリャク、オウジン、…

  • もみぢ

    『食べることと出すこと』 頭木 弘樹著 以前「ほぼ日」で、糸井さんが「幸福というのはおいしく食べて、すっきり出して、ぐっすり眠れること」というようなことを書いておられたが、全くそのとおりだと思った。大病をして歳をとって睡眠障害やら胃腸の不調やら出てくると、その思いはいっそう増した。食べたいものが食べたいように食べられて、前後不覚にぐっすり眠れたのは、それだけで充分だったのだが、あまりにも当たり前過ぎてその幸せに気づかなかった。 著者は思わぬ成り行きから「潰瘍性大腸炎」という難病を患う。「全大腸炎型」という大腸全体に炎症ができる最も重いタイプで、時と場所を選ばず出るものに悩まされ、長期の絶食と食…

  • 時雨

    映画『リトル・ダンサー』を観る 昨日は終日雨だったので、BS映画館の『リトル・ダンサー』を観た。2000年のイギリス映画。 話は80年代の半ば、イギリスの炭鉱町ダラムが舞台だ。少年のビリー・エリオットは炭鉱夫の父や兄、認知症気味の祖母と暮らす。母は亡くなって、いない。不景気らしく炭鉱労働者たちはスト決行中、中にはストに参加しない人もいるが父も兄も過激派だ。課外活動でボクシングを習っていた少年は、ある日隣りの女子たちのバレエ教室に惹きつけられる。本来踊りが大好きだった彼は密かにバレエ教室に通い出す。 バレエ教室のコーチは少年にバレエの才能を見出し、ロイヤルバレエ団のオーデションを受けてはどうかと…

  • 今年米

    『埴輪は語る』 若狭 徹著 昨日のニュースだったと思うが、大山古墳(仁徳天皇陵)の調査で、やはり大型の円筒埴輪が並べられていたことが判明したと伝えていた。この本の著者によれば古墳の規模で立て並べられた円筒埴輪の数は大きく違い、おそらく大山古墳クラスなら数万本であっただろうという。堀に沿って累々と並べられた膨大な埴輪はきっと見上げる人々を驚かしたにちがいない。 さて、埴輪は前方後円墳の出現とともに始まり前方後円墳の衰退とともに終焉を迎えたようである。 最初は土管型をした円筒埴輪から始まり、家や船、武具などの器財埴輪、そして鶏や馬や猪、鹿などの動物、王や武人、巫女など人物埴輪へと発展していったよう…

  • 小六月

    紅葉と「うだつ」の町へ 暖かさの小春日和も今週までとのことで、前々から気になっていた近場の町に出かける。まずは紅葉の名所と聞く美濃市の「大矢田神社」へ。 やはり紅葉が目当ての参拝者がかなり。 蝕の月上るを待てり小六月ここはかっては神仏習合で禅定寺という寺があり、仁王門だけが残っている。仁王門は江戸(享保)期のもの。 参道の先に長い階段が続く。手すりを頼りにやっと登る。 登りつめた先の拝殿と本殿。これも江戸期(寛文)の建物で、重要文化財。祭神はスサノオノミコト。 例年なら十一月に「ひんここまつり」が行われる。これは室町時代から伝わる祭りで手づくりの人形を使っての人形劇である。演じられるのはスサノ…

  • 暮早し

    『サコ学長、日本を語る』 ウスビ・サコ著 毎度のことだが、Tが読んでいて面白そうなので、回してもらう。 京都清華大学の学長がアフリカ出身の方ということは、何かで読んだことがあったが、どんな方かは知らなかった。アフリカのマリ共和国に生まれ、中国での留学を経て訪日。京都大学で博士号取ったという優秀な来歴を持つ方だ。優秀というだけでなくスケールが違う。多分日本人ならまずいろいろと周囲の思惑を伺うのに、自分の理想を実現するためと迷いなく学長に立候補された。こういう方だから日本の教育や政治、日本人の社会などについての指摘もかなり厳しい。 提言はあちらこちらにあるので、乏しい理解力ではまとめにくいが、総じ…

  • 冬に入る

    『山田 稔 自選集Ⅲ』 山田 稔著 Ⅲ巻は、パリでの思い出とスコットランド紀行、それに「自筆年譜」を加えたものである。作品は、いずれも既読であったが面白かった。いつもながら文体が読みやすく、味わい深い。スコットランド紀行もいいが、中でも「シモーヌさん」はしみじみとしたいい話であった。 シモーヌさんというのはフランスの小さなな町(セリエ)のシャルル=ルイ・フィリップ記念館の管理係である。筆者はフィリップの翻訳者としてその記念館を訪問して、彼女と出会った。たじろぐほどの情熱でフィリップを語った彼女は、彼の評伝を書くほどの人物だった。そして筆者と彼女は遥かな空間を隔てて、親愛の気持ちを手紙で交流しあ…

  • 障子貼る

    『山田 稔自選集Ⅱ』 山田 稔著 山田さんの自選集二冊目である。この巻は故人に係る思い出が多く、追悼集といってもよい。しみじみした話は印象に残っていて、どれもすでに読んだことを思い出した。書かれている主な故人をあげると、「八十二歳のガールフレンド」の久保文さん、得難い先輩詩人の天野忠さん、天野さんとの関わりで知り合ったドイツ文学者の玉置保巳さん、恩師だった桑原武夫さんや伊吹武彦さん、生島遼一さん、先輩の多田道太郎さん、友人の杉本秀太郎さん、松尾尊よしさん、沢田閠さん、文学同人だった富士正晴さん、編集者の坂本一亀さん、そうそうたるメンバーである。個性的であったかの人々のかってのエピソードも面白く…

  • 新酒

    飛騨に紅葉と国宝・町並みを見に行く 「こころ旅」で見た飛騨古川の町並みを見たいとTが言う。多分飛騨の紅葉は見頃に違いないと、またまた急遽出かけることに。(遊ぶ相談はすぐに決まる) 飛騨古川は私(連れ合いとも)にとっては、思い出深い町だ。というのは、三十数年前、この町で人生一回きりの仲人を承った。夫の同僚のSさんと私の同僚のMちゃんは人柄がいいのに、いろんな事情で婚期を逸しかけていた。この二人を結びつけようとお節介をやいたのである。花嫁のMちゃんが二人合わせて「七十ウン歳」と笑ったが、なかなかどうしてお色直しも二回して賑やかな結婚式であった。Sさんの故郷、古川のしきたりとかで、大きな塗盃に地酒を…

  • 刈田

    映画『老後の資金がありません』を見に行く 今朝、どうでも良いことで連れ合いと丁丁はっしとやりあったので(もちろん言葉で)、昼の用意を放棄して映画を見に行く。宣伝で見たいと思っていた作品である。一人で行くのは何年ぶり?最近は車に乗らないのでバスで出かける。ひと駅だが歩いて行くのにはちょっと距離がある。 さて、映画だが文句なく面白く、笑って笑って気分転換になった。映画はハッピーエンドだったが、現実はそんなに甘くはないでしょう。しかし、草笛光子さんのお姑さんの言葉ではないが、この歳になったら「わがままに生きる」のもありかなあ。充分「わがまま」だと今朝の続きで言われそうだが。 数頼み刈田鴉ははばからず

  • 捨案山子

    『山田稔 自選集 Ⅰ』 山田 稔著 県図書館に山田さんの自選集があり、珍しいことに誰も借りていない。Tが出かけたついでに早速借りてきてもらう。 全三巻である。一巻目は短い散文集。主に『ああ、そうかね』と『あ・ぷろぽ』からの抽出である。 『あ・ぷろぽ』は既読作品のはずだが、案外覚えていないものだ。松田道雄さんのことや茨木のり子さんの詩についてぐらいしか思い出せなかった。今回も天野さんについての小文「天野さんの足」とか「天野さんの日」とかが心に残った。そのうち「天野さんの足」は 天野さんが晩年足が不自由になられて、 「世の中には脚のある人間とない人間と、この二種類しかないのやなあ」と苦笑まじりにつ…

  • 椎の実

    奈良を訪れる 石上神宮 奈良に行ってきた。奈良といっても天理市の辺り、初期ヤマト政権の発祥の地である。コロナ禍の収まった今しかないと無理を言った。今回は日帰りでもあり運転手は大変であったと思う。結果的に休み休みではあったが、往復で7時間、滞在は4時間であった。 天理東ICを出て、最初に訪れたのは「石上神宮」。御祭神はフツノミタマ。物部氏の総氏神である。有名な七支刀(国宝展で見たことがあるが、常時公開しているわけではない)を持つところで、古代史では兵器庫があったと読んだことがある。鬱蒼とした森で石塔に灯が入り厳粛な気分になる参道だ。残念ながら国宝の拝殿は修復中。山の辺を歩いてきた方が休憩していた…

  • 『残光のなかで』 山田 稔著 「年をとると記憶力が衰えるというのは、完全には正しくない。ごく近い過去、ついニ、三日前のことすら忘れるようになる反面、二十年、三十年むかしのことを細部にわたって鮮明によみがえらせれるのだ。遠い遠い日のあの人この人、故人とも再会できる。記憶は衰えるのではなく質を変えるのだ。」 「リサ伯母さん」より 山田さんは記憶への渉猟者だ。古い記憶の中からふいに蘇ってきた名前も知らない少女の面影からつむがれた「糺の森」。街のバス停で突然声をかけてきた初恋の人であった老女。彼女の死でわすれていた稚拙な英文の恋文があぶりだされる「女ともだち」。夫と妻、互いに物忘れが始まった二人の、過…

  • 木の実 草の実

    こもり居て木の実草のみひろはゞや 芭蕉 海棠 ? イシミカワ クサギ ヨウシュヤマゴボウ ハナミズキ ピラカンサス 草の実と木のみを撮りてけふも暮れ

  • コスモス

    『不当逮捕』 本田 靖春著 この本のあらましについては先日少しだけ触れた。ともかく面白かったが、詳細に触れようとすると手に余る。能力のなさを曝け出すだけなので、簡単に書きたい。 先にも触れたが、背景に検察界の権力争いがある。戦前からつづく根深いもので、この渦中に読売新聞の俊才記者がはまったというか、はめられた。結果、記者生命を失い人としての尊厳もなくしたという事件の顛末である。 様々なスクープをものにし華々しい活躍をし、私生活でも破天荒な生き方つらぬいていた立松和博という新聞記者。突然彼が「売春汚職報道」の誤報疑惑で逮捕された。彼のニュースソースが地検にあると睨んだ高検の一派の企てである。当然…

  • 秋時雨

    姉に別れる 昨夜、甥から電話があり、いよいよ姉がいけないらしいと知る。水が飲めなくなったが、拘束してまで点滴で入れることはしないという。施設が面会させてくれるというので、今朝早速出かける。 コロナでずっと面会が出来ず、二年ぶりの面会である。面差しはそれほど痩せたようにも思えなかったが、話すことはほとんどできなかった。小さな声で何かつぶやいたのだが、聞き取れない。呼びかけにかすかに微笑んでくれたのが、せめてもの救いだった。これが生きている姉との最後かもしれぬと思うと、われ知らず涙が出てきた。 親子ほど歳の離れた姉妹であり、さんざん世話になった。ありがとうね、お姉ちゃん。よく頑張って生きたね。幸せ…

  • 鰯雲

    『不当逮捕』 本田 靖春著 新聞の文庫本案内で後藤正治氏の『拗ね者たらん 本田靖春人と作品』が文庫化されたことを知った。本田氏の作品は『誘拐』が実に良かったので、第六回ノンフィクション賞を受賞したという『不当逮捕』もぜひ読んでみたいものだと思った。さて、どういう偶然か、その少し後にTがbook/offでこの本を100円で買ってきのだ。運命的出会いだなあ(大げさだが)と、それで先に廻してもらう。 ところが読みはじめてすでに一週間。内容の重さに苦戦している。面白くないわけではない。戦前から戦後にかけての検察界での権力争いやら政界との癒着、それに巻き込まれた破天荒ともいうべき新聞記者の運命。詳細な記…

  • 金木犀

    秋のちょっとドライブ 地方版のテレビニュースで、山県のJA販売店で栗が剥き販売されているのを知り、(山県は利平栗の発祥の地とか)ドライブを兼ねて買いに行こうとなる。当日分が売り切れてしまわないうちにと、早めに家を出る。ところが、着いたのが開店45分過ぎですでに完売。残念なり。 気を取り直して、もうひとつの目的地へ。山を一つ越えたところの「白華山甘南美寺」臨済宗妙心寺派の古刹である。半世紀も前の高校時代、サークル(新聞部)の合宿に使わせてもらったという記憶があるのだが・・・。出かけて思い出すものが何もなかったから、記憶違いかもしれぬが、今さら確かめたくも聞く人もない。 隣に伊自良湖。多分農業用溜…

  • 稲の香

    『芥川賞を取らなかった名作たち』 佐伯 一麦著 相変わらず佐伯さんを読んでいる。これは小説ではない。仙台文学館での講座を元にした「芥川賞受賞を逃した名作」の読み直しである。 対象になったのは第一回から九十回まで、その中から十一作品。この内私の既読作品はただの一冊。小山清『をぢさんの話』だけである。 それぞれに、受賞を逃した訳のように選考委員の作品評が紹介されている。主題が明確であるのは当然ながら、表現(文体や構成)、作者の人間性、更に執筆の動機、読後感の印象など評価の視点は厳しいものだ。文章表現のリズムとか、筆者の視点とか、読んでいても案外と無頓着な読み方をしていた身には勉強になった。 後段の…

  • 鰯雲

    『芭蕉紀行文集』 中村 俊定校注 図書館が閉館している間に、読み通した覚えのない本でもせめて目を通そうと、古めかしい本を出してくる。何と二冊もあり。一冊はTの買い求めたもので一冊は自分が買ったものらしい。 さてこれらの紀行文は『奥の細道』と異なり、必ずしも芭蕉が意図して書いたものではなく、「旅の所々の小記の草稿を編集したもの」で、編集者自身も芭蕉本人ではないらしい。しかし、芭蕉の人生観や芸術観は書き表されており、収録された発句にも人口に膾炙された名句が多い。 これらの紀行文と『奥の細道』を合わせると、芭蕉は岐阜には四度訪れたようだ。(大垣を含めて)鵜飼を詠んだ句などは有名であるし、この本にも「…

  • 秋の声

    『遠き山に日は落ちて』 佐伯 一麦著 また佐伯さんの私小説を読んでいる。時系列でいえば、これは先の本『還れぬ家』より前の話で、斎木(語り手)は最初の妻との間に三人の児を成したが、感情的に折り合わぬものがあって別れている。今一緒に暮らしているのは草木染めを天職とする女性で、二人が事実婚であるのか、戸籍上も夫婦であるのか、そこのところは判然としない。斎木が別れた妻子のために建てた家のローンや養育費を払い続けねばならぬことや、喘息やら鬱やらの病気持ちであることを納得して、一緒に暮らしている女性である。山懐の古びた小家を借りて、二人で工夫し改良もし、地域に溶け込んで、馴染んでいく様子が季節の移ろいとと…

  • 秋光

    『還れぬ家』 佐伯 一麦著 『ア・ルース・ボーイ』のその後を読みたいと、佐伯さんの本を二冊借りてきた。年月を辿って読んでいくつもりだったのだが、この本の惹句で一挙に三十年後の話を読むことになった。 高校生の時家出同然のように家を出て、親にも深いわだかまりがあった筆者。父親が認知症となり、母親が介護に振り回される中で、否応もなく老いた親の世話という現実と向き合わざるを得なくなる。後半の「手記」によれば、発症の認定から亡くなるまではわずか一年ということがわかったのだが、問題は次から次と持ち込まれる。認知症の父の感情爆発や病気の治療拒否。母親の介護疲れと病気。介護施設捜し。父親の病状悪化と入院。 「…

  • 彼岸花

    彼岸花が咲き始める 日差しがあっても朝夕は過ごしやすくなった。体調もやや回復してきて久しぶりに夕方に散歩をする。堤防のここかしこに彼岸花が咲き始めた。コロナで市民清掃の草刈りが行われてないので、草丈にまぎれているのが少し残念。今日は翡翠にも遭遇。間近で撮れないのは、これもまた残念。拡大してみたがやはりボケている。 ごん好きと涙せし児や彼岸花 新見南吉の「ごんぎつね」が小学校の教科書に入っていた。最初に読んで聞かせたら泣いた男の子がいた。天野くん、後にも先にも泣いたのは彼だけ。忘れられない思い出。名前も覚えてた。 韮の花

  • 秋天

    『バベットの晩餐会』 イサク・ディーネセン著 佐伯さんの著書で知った。図書館で借りてきたのだが、正直、面白味がわからなかった。ところが、何と先日BSでこの物語の映画が放映されたのだ。もちろん観たことは言うまでもない。1987年のデンマーク映画。 ユトランドの荒涼とした辺地に暮らす信仰深く美しい姉妹。父親は牧師であり、カトリックの厳格な一派の主宰者である。人々は彼を中心に集っては、神を讃え深い信仰の絆を結んでいた。中には美しい姉妹に惹かれてくる若者もいるが、姉妹は父のもとを離れはしなかった。父が亡くなって、姉妹は老いても、二人の宗教的慈善的な暮らしぶりは変わりなかった。 ある嵐の夜、ずぶぬれで一…

  • 法師蝉

    チュニック風ベストを縫う 少し涼しくなったのでこれからようにチュニック風ベストを縫う。今Tシャツの上に羽織っているもののデザインが気に入っているので、その秋用。ウールガーゼで縫おうとしたら思ったより布地がお高い。おおよそ1メーターが3000円以上もするので、腕に自信のない身では迷う。(1・5メーターはいる)いろいろ検索して混紡のウールガーゼ風を三分の一ほどで手に入れる。(送料は別)裏をつけないので簡単に縫える。ミシンを出してガチャガチャと、それでも三日ほどはかかった。 地味なバアサン色なのでアンダーには明るい色にするつもり。猫のブローチは娘の手づくり。 久しぶりに甥より電話が入り、姉がよくない…

  • 秋風

    『ア・ルース・ボーイ』 佐伯 一麦著 自分に正直に生きようとする若さが痛いたしいが、読了感は爽やかだ。 英語教師に「loose」とレッテルを貼られた少年は、県下有数の進学校を後にする。同じように高校を中退して、婚外子を産んだ中学時代のガールフレンドと暮らし始めるが・・・。 佐伯さんは「私小説家」らしいが、きれい事だけでなく嘘をつかずにすべてを書きつくすことは並の覚悟で出来ることではないだろう。しかし、自分の生き方に真摯に向き合ってこそ出来ることであり、それゆえ他人(ひと)を感動させることも出来るのだと思う。 さて、この本の主人公「鮮(あきら)」のその後の人生を追いたいと思ったのは、私だけではあ…

  • つくつくし

    『養老先生、病院へ行く』 養老孟司・中川恵一著 テレビの「養老先生とまる」でも採り上げられた先生の病気の顛末を、主治医の中川先生と一緒に振り返った話である。 病院嫌いの養老先生も身体の不調には勝てず、結局不満ながら医療システムに取り込まれて、今や毎日の服薬もきちんと守っておられるらしい。そうはいっても不満は不満らしく今の医療システムについていろいろおっしゃっているが、私なんぞには中川先生のご意見の方がよほど納得できる。例えば、甲状腺癌は見つけなくてよい癌だとか、子宮頸癌ワクチンは打つほうが良いとか、ちゃんとしたご意見だと思った。 中でも、先々のことを思い煩ってネガチブになるより、「今この瞬間に…

  • 新涼

    『暗き世に爆ぜ』 小沢 信男著 その一 『俳句世がたり』の続きが読みたいとて、さんざん迷って久しぶりに本を買う。ケチではなくて物を増やしたくない。そんなことは一種の宗教だとTには言われるが、でも・・・まあいい。 さて、本は期待に違わず。一気に読んでしまうのはもったいない。まずは前半、「賛々語々」より収録の部分を、じっくりと。 飄々として洒脱な語り口ながら、社会批評は鋭い。添えられた俳句がどれもよく効いている。 蜜豆をギリシャの神は知らざりし 無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ 句はよく知っていたが、作者橋本夢道のことは知らなかった。洋品雑貨商や銀座のパーラーに勤めながら自由律のプロレタリア…

  • 虫しぐれ

    『イスラム教の論理』 飯山 陽著 アフガニスタン政府があっという間に崩壊して、大混乱が始まっている。タリバンが全土を制圧したかと思えば、一昨日にはISによる自爆テロもあった。「イスラム教」とは一体どんな宗教なのか、全くなにも知らない。そう思ってTの既読本の中からさがしてきた二冊のうちの一冊。 筆者は、かなり癖のある人物らしく、人によってはこの本はヘイト本だという人もあるし、「イスラム教の論理」ではなく「イスラム教過激派の論理」という人もいる。その辺りは頭の隅に置きながら読了。 イスラム教にとっては何が大切だとされているか。最近過激派が台頭してきて、自爆テロが頻繁に繰り返されるのはなぜか。女性が…

  • 法師蝉

    『ひとり』 加島 祥造著 この人の名は、一時『タオ』で耳にしたことがあったが、読んだわけではない。『荒地の恋』に名前が出てきて、ハッとした記憶もある。 すでに亡くなられたようだが、晩年(65歳からと本書にある)信州の伊那谷での一人暮らしを選ばれ、自然を感受する中で、タオ思想(老子)との出会いを深め、「求めない」「受け入れる」生き方を目指された。 この本にはかなり晩年の筆者の暮らしぶりと心情を表した詩や散文、文人画、それに美しい伊那谷の写真が収められている。 陶淵明の「飲酒」の現代語訳が気に入ったので書き写しておく。 こんな村里にいると 車は通るけれど、 喧(うる)さくない なぜなら 心が遠くを…

  • おしろい花

    『麦の冒険』 佐伯 一麦著 前にも触れたことがあるが、私はこの人の文章が好きだ。文章を通して感じられる人柄も気に入っている。と言ってもまだ小説は読んだわけではなく(「山海記」というのはどのジャンルだろう)今度も旅の随筆集だ。 「山の子」「海の子」という言い方に倣えば、自分は「川の子」だという筆者だから、川にまつわる話も多かったが、樹木が好きだと言うだけあって木々の名前もたくさん出てきた。どの話を読んでいても爽やかな自然の風が感じられたのは、そのせいかもしれない。 コロナ一辺倒の世界になって逼塞して一年以上。田舎住まいだから、まだまだましとは言うものの旅をしたい気持ちは強い。 暇にまかせて、「紙…

  • 秋出水

    久しぶりに歩く 夕方になり日差しが差し、風が心地よい。夕餉の支度を早々とすませて少しだけ散歩をする。 東の空にうっすらと上弦の月。川の流れは速く、畦道には水たまり。 猫ちゃんたちも久しぶりの外の空気が嬉しいのかしらん。みんなで外に出ていた。変なバアサンと向こうが観察してるね。 可愛い新顔もいますよ。 誰がビーチボールや秋出水

  • 秋の蝶

    『キツネ目』 グルコ森永事件全真相 岩瀬 達哉著 この事件は覚えている。マスコミを巻き込んだ劇場型の事件で、新聞で逐一報道された覚えがある。 本によれば始まりは1984年3月のことで、犯人が犯行終結宣言を出したのは翌年の8月11日、年表を見るとあの「日航ジャンボ機墜落」の前日である。この間届いた脅迫状や挑戦状は149通、驚くほどの数である。「かい人21面相」を名乗り、旧仮名遣いの関西弁、平仮名の多い文面で、時には脅迫し、時には愚弄し、「芝居がかったセリフを好み、戯れ歌まで詠んでみせた」。結局犯人は逮捕されず、事件は2000年2月に完全時効を迎えたとある。 当時「キツネ目」の男のモンタージュと監…

  • 盆供養

    『海をあげる』 上間 陽子著 出会いは「Webちくま」だ。入院中に読んで、いい文章だと思った。Tに話したら共感、全篇を読みたいと書籍化されたこの本を買ってきた。 筆者は沖縄に住む若手の社会学の研究者だ。「未成年少女たちの支援・調査に携わる」と著者紹介にあるが、この本にもそうした聞き取りに取材した話がいくつかある。 子どもの頃に受けた虐待や性暴力、思春期の生き辛さと若年での出産、貧しさのために性をひさぐしかない現実、無理解で支援のない周囲。唯一筆者の差し伸べる手も信じられずに逃れていくという絶望。 絶望はそれだけではない。普天間基地の代替という名目で容赦なく土砂が投げ込まれる辺野古の海。軟弱地盤…

  • 夏終る

    『アースダイバー 神社編』 中沢 新一著 Tが面白かったというので廻してもらう。中沢さんの「アースダイバー」を読むのはこれが初めてである。 壮大な実証的な仮説とでも言おうか、日本人の精神的基盤に深く潜った内容で、実に面白かった。それは、「神社」に残る伝承や祭り(祀り)に、この国に住み始めた人々の精神の拠り所を探ろうとする試みで、こうして体系付けられると納得することが多かった。 卑近な例にはなるが、この辺りの山の名(舟伏山・権現山)にも、山を崇めた海洋民系倭人の面影を見ることができるかもしれない。以前に書いたこともあるが、この本を読んで、雌雄の神輿が組んず解れつ絡むこの辺りの神事は、まさにエロチ…

  • 夏の雲

    『東京焼盡』 内田 百閒著 その2 食べるものはともかく、百閒さんにとっては何よりもお酒が乏しくなったことは痛手であるのは、前にもふれた。薪も同様で風呂をたてることも難しくなり、半年ぶりに風呂に入ったという記述がある。炭もなくて火鉢もだめだとあるが、炬燵で寝込んだ話もある。炬燵の熱源は何だったのだろうか。情報は、もらったラジオがよく故障して難儀しておられる。ラジオがないと敵機の侵攻方面がわからないのである。しかたがないのでご近所に聞くしかない。新聞はどうだったか。久しぶりに熟読したとあるから配達はされていたようだ。電車は運休しながらも意外とちゃんと動いていたようで、これには百閒さんも感心されて…

  • 夕虹

    『東京焼盡』 内田 百閒著 連日の猛暑で散歩もままならず。ワクチンは打ったもののコロナ禍は収まらず、オリンピックもいまいち気が乗らぬ。そこに加えてこんな本を読んでいると余計に気が滅入る。そう思いながら読んでいるから世話ないが、どうにか半分ほど読了。 これは、百閒さんの日記から空襲関係だけを引き抜いたもので、例のヒマラヤ山系さんの手によるものらしい。 東京に空襲らしいものが始まったのは昭和19年の11月1日で、最初はほんの数機だったが、日増しに数を増していく。百機単位になり連日夜間の襲来で、寝付いては警報でおこされるという始末、12月7日には「東海地震」もあり静岡方面はたいへんなことになったとい…

  • 思い出 本箱の掃除をしていて古い本を二冊出してきた。何度か捨てようと思っても捨てられない二冊。『二年生の童話』は昭和28年の出版。ちょうど二年生の時の購入らしく、父の字で住所と名前が書かれている。前書きに、「敗戦国の日本をりっぱに再建するために、・・・子どもたちの人間としての美しい心を養い、人間としての完全なしあげをしなければならない」と,うたっている。 実はこの本を捨てられないのは、ひとつわけがある。昔、つまり小学生当時、いくつかの小学校の代表が集まって「童話会」のような催しがあった。童話を暗記して語り聞かせるのである。ある年の代表になって、この本の中から選んだ話をしたのだ。どれを選んだのか…

  • 草を引く

    『仮の約束』 多田 尋子著 この人の作品を読むのはこれがふたつ目である。以前読んだのは『老年文学傑作選』というアンソロジーの中の一編で「凪」という作品だった。老老介護というような内容で、背景に死があり、思いがけぬ結末が深い余韻を残したのを思い出す。 今回の作品も、やはり背景に死がある。 四十を過ぎた末子は、老母の世話を押し付けて単身赴任を繰り返す夫に、人格を無視したような扱いを受けている。結婚なぞ所詮はそんなものだと思いながら、義母の介護が終わり、子どもも持たない彼女は、暇な時間で病者の話し相手のボランテイアを始めた。そこで出会ったのが末期癌で家族を持たない高木だった。ちょっとした心の交わりを…

  • 明易し

    梅雨が開けたから 梅雨が明けたらやらなければと思っていた作業に、ひとつずつ取り組んでいる。まずは雨が跳ねてかなり汚れている窓拭き。昨日と今日とで南の縁側まわりの窓と玄関付近、リビングの窓は片付けた。すりガラスになったところや二階は無理なので気にしないことにする。 小さい網戸は家族で張り替えたが、大きい一枚戸はどうしても上手くいかず、業者に依頼したら思ったより高かった。 気が重いいのは換気扇のフィルター掃除。油落ちのいい夏の作業にしているが、面倒な仕事だ。草引きも気になるが、今は専ら連れ合いに任せている。なかなか進まずにジャングルになっているところもある。 昨日図書館に行って午後ごろごろして読む…

  • 炎天

    ワクチンの二回目。広い部屋に点々と置かれた椅子で、接種後の待機時間をぼんやりと過ごしながら思う。 こんなに多くの人が一斉にワクチンを打って、一様に無言でぼんやりと待機している。同じような光景が日本中で(いや、世界中かもしれぬ)見られるのだろう。不思議で異様な景色だ。 大きな歴史的出来事に直に出くわしたことはあまりないが、ひょっとしてこれは歴史的に大きな体験かもしれぬ。 以上、白日夢のごとき妄想を打ち消して、外に出れば炎天下。 安静にすべく午後は冷房の中で昼寝と読書(あまりいつもとかわりない 笑)。 『とりどりの円を描く』 佐伯 一麦著 経歴を見ると、いろいろな文学賞を受賞されている人だが、当方…

  • 『古代史講義 邪馬台国から平安時代まで』 佐藤 信編 本日梅雨明け。風があるだけ幸いだが本格的に暑くなってきた。 暑い中、ごろごろしながら読むのには不向きな一冊。読了までに一週間ほどかかった。 「最前線に立つ気鋭の研究者に依頼して、時代を追って、各時代で現在古代史研究の焦点となっている諸テーマを選んで、研究の成果と課題を紹介していただいた。」 と、編者の言葉である。最新の研究成果を下敷きにしているだけに教科書で習ったり一般的に耳にしていたりしていたことと違う知見がいくつかあった。 まずは「聖徳太子像」であろうか。今は「聖徳太子」というより「厩戸皇子」とするのが多くなり、その事績も推古天皇や蘇我…

  • はたた神

    チュニックブラウスを縫う Tシャツは便利なのだが、トシヨリになって何となく見栄えが悪い。だからといって上に羽織るのも暑いので、チュニックブラウスを手づくりする。若い頃はストライブが好きで(それも太い濃い色のものが)縞模様ばかりを買っていた。姉が花模様が好きなのはどうしても解せなかったのだが、トシヨリになってわかった。もう強い縞には、歳が負けるのである。濃い色も駄目。淡い可愛い色合いが白髪には合う。 身頃の小花模様は昔作ったが気に入らなかったブラウスの残りで、白は洗いのかかった布地を買い足した。アイロンなしでも着られそうだ。 はたた神出しては入るる忙しなさ

  • 青田風

    渡辺省亭展(岡崎美術博物館)に行く ひと月ほど前NHKのお昼の地方番組で、この展覧会のことを知った。興味をそそられたがコロナのまん延防止中で、外出は無理かと思っていた。その後夕刊で高階秀爾さんがこの人に触れているのを読み、ますます気になったがあいにくの雨続き。やっと開期末になり(明日までである)念願がかなったというわけだ。 全く知らない人であったが、実に素晴らしかった。精緻、瀟洒、華麗・・・かなりの数があったが、「花鳥画」が一番だった。小さな花びらや飛び散った花粉までも精密に描き込まれている。魚を取ったかわせみの一瞬の動き、小動物のふわふわとした毛ざわり、水ごしにゆらりとうごめく鯉の姿、感じい…

  • 梅雨

    経過は良好 先日のCT検査の結果を聞きに行く。当地はコロナの感染も収まってきたせいか病院はかなりの人出である。約束の時間から一時間遅れで診察。結果は問題なし。「最初の治療から三年半が過ぎて問題もなく何よりです」と言われる。自分でも幸いかなと思うので、いろいろ障害で不都合なことは言わず。三ヶ月後の血液検査はかかりつけ医にお願いして、病院でのCT検査は半年後となる。 連れ合いの野菜が雨の中でもぐんぐん成長。採れすぎてストレスである。ストレスを感じるのがおかしいというが、せっかく出来たものを無駄にしたくない。もらってくださりそうなところには押し付け、それでも困る部分は連れ合いが以前ボランチをしていた…

  • 梅雨深し

    『落日の宴 勘定奉行川路聖謨』 吉村 昭著 川路の生きた時代はまさに激動の時代であった。軽輩の身から勘定奉行にまで上り詰めた一生も、またそういう時代が求めたものであったかもしれない。 この本で読む限り、川路の最大の功績はロシアとの和親条約の締結であろう。1853年(嘉永6年)ロシア船が日本との通商を求めて長崎に来航して以来、一貫してロシア使節プチャーチンとの会談を重ねたのは川路であった。はるばると長崎や下田に何度も足を運び、毅然として交渉に当たり、国境を確定する日露和親条約を結んだ。その間、約一年だがアメリカ船やイギリス船の来航もあり、「安政東海地震」にもみまわれた。これは翌年の「安政地震」の…

  • 半夏生

    雨模様の日が続く。 半年ぶりのCT検査。結果の診断は来週である。入り口で検温と消毒をされ、マスクで入場を許可されるというシステムはすっかり普通になった。人の数は以前と変わらないようにもみえるが、会計などでとどこらないようにいろいろ工夫がされている。 このところ吉村昭さんの『落日の宴 勘定奉行川路聖謨』を読んでいる。「晴天を衝け」では平田満さんの役どころである。昔、司馬さんが「川路聖謨というのは実に傑出した人物だ」というようなことをいわれていたのも、読む気にさせられた。基本はフィクションなのだろうが、記録文学のように詳細に日時を追った内容で、なかなか進まない。ようやく三分のニで、日露和親条約の批…

  • 昼寝

    夏用の座布団カバーを作る 昨日のワクチンで接種した方の腕が痛い。この手の副作用は半数以上の人にあるというが、昨夜はかなり痛かった。今朝もまだ痛かったが、今はかなり軽減。まあ、今日はのんびりしようと本を抱えて、成り行きで昼寝でもと思ったのに、カラスのうるさいこと。何が問題なのか何羽かでギャアギャアと鳴きっぱなしである。とうとう諦めて縫い物の続きをした。 結果が下の写真で、リビングの椅子座布団の夏用カバーである。紺地の縁取りは今までのもので、夏らしく白を使ってみた。中のパッチワークらしきものは、最初の手術後の無聊な日に繋いだもので、残り布の活用だ。貧乏性で残り布が捨てられない。だけど、NHKのEチ…

  • 雷雲

    『在宅ひとり死のススメ』 上野 千鶴子著 この本はよほど需要が高いのか、半年ほど待ってやっと回ってきた。 上野さんの論というのは、こうである。 なにより満足のいく老後というのは、気ままな「独居」です。介護保険を利用すれば、死ぬまで独居ができます。訪問介護・訪問看護・訪問医療の3点セットで在宅で死ぬまで過ごしましょう。立会人のいない「死」を孤独死と呼ぶのは止めましょう。死後の発見さえ早くすれば孤独死という定義はなくなります。介護保険利用で人の出入りがあれば、死後の発見が遅れるということはありません。 さて、ここまではわかりやすく納得できたが、「認知症でもOKです」という件は、読み直してもよくわか…

  • まいまい

    『宿無し弘文 スティーブ・ジョブズの禅僧』 柳田 由紀子著 「面白かった」「面白くなかった」と、いつも単純にどちらかに帰結する自分の読後感を恥ずかしいとは思うが、やはりまずはそこに至る。そして、この本は実に面白かった。 筆者は『ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ』の日本語翻訳者である。翻訳を通じてジョブズの禅の師である乙川弘文という禅僧に興味をもち、その全貌を知らんと7年にわたって多くの関係者にインタビューをして回った。これはその聞き書きそのものである。 まず乙川弘文という人の概略に触れると、彼は新潟の大きな禅寺(曹洞宗)に誕生、京大大学院で真摯に哲学を学び、その後永平寺で修行。永平寺では特別僧…

  • 青葉風

    『大嘗祭 隠された古層』工藤 隆・岡部 隆志・遠藤 耕太郎著 図書館の新刊コーナーで見つける。 「大嘗祭」については昔、折口説を知った覚えがある。つまり天皇候補者は真床御衾という寝具に包まられて天皇霊を身に着け、神になられるという説である。大嘗祭での新天皇の行為は相変わらず秘儀であり、確かなことはわからないが、折口の説は平成天皇の際に宮内庁によって否定されている。宮内庁は大嘗宮の内陣に用意されている寝具は神様のもので天皇が休まれることはないという。 では、そこに降臨される神様とはどなたか。皇祖のアマテラスではないらしい。アマテラス自身が新嘗祭(大嘗祭)を執り行ったという記載が記紀神話にあり、大…

  • 青林檎

    『人生のやめどき』 上野 千鶴子・樋口 恵子著 読了して人物を勘違いしていたことに気づいた。昔『女が職場を去る日』という本に心が動かされた記憶がある。その著者と上野さんの対談ならと借りてきたのだ。ところがどうも感覚が違う。言い過ぎの失礼を顧みずに言えば、価値観が古く、俗物的感性だ。老齢化されて鈍られたのかなあと調べ直して、沖藤典子さんと間違えていたのに気づいた。あまり人の悪口は言いたくないが、こういう人がこの国の女性運動の先駆けとは・・・。対談者の上野さんもうんざりされていたのではないか。いささか持て余し気味のところも見受けられた。次に予約者が入っているというのでさっさと返却したい。 しがらみ…

  • 田水入る

    『極小農園日記』 荻原 浩著 新聞読書欄の片隅「文庫この新刊!」に紹介されていたもの、図書館で見つける。ただし文庫ではなくて単行本だ。 著者履歴に直木賞作家だとあるが、ごめんなさい、ひとつも読んでない初めての出会い。軽いエッセイだがものすごく面白い。ちょっとお下品な語り口で、どんなだとお思いなら読んでごらんください。語り口から勝手に俳優の佐藤二朗さんを連想する。ずっと佐藤さんのイメージで読み終わって、検索したら大分ちがた。挿絵もうまいのだ。こりゃ漫画もOKなはずだ。 極小編の農園日記と旅ノートと日常スケッチがあるが、農園日記が一番。同じ趣味のつれあいにも読ませてやりたいが、あまりユーモアを解し…

  • 薄暑

    不要不急の外出 先日読んだ種村さんの本にあった神社(三重塔)を訪ねたい、西を向くならもう少し足を伸ばして、西濃の三重塔をもう一基見ようと、垂井まで行く。およそ我が家からは車で一時間の距離である。 美濃一の宮の南宮大社の神宮寺、真禅院が最初の訪問地。誰もいない静寂な中に堂宇が立ち並ぶ。天平年間に行基によって創建されたと歴史は古く、将門の乱の調伏の修法でも功があったらしい。関ヶ原の戦いで燃え、家光により再建されたが、明治の神仏分離により南宮大社からは切り離された。三重塔、本地堂、(いずれも江戸初期)梵鐘(奈良時代から平安前期の制作)が国の重要文化財である。 せっかくだからと南宮大社にもよる。美濃の…

  • 茅花

    白いパッチワーク 急に暑くなって北の窓を開ける。この前から縫いだしていたパッチワークのカーテンをかける。 「暮しの手帖」では大きな布を切ってミシンで縫う方法だったが、私は端切れをボジャギのやり方でつなぎ合わせた。出来上がって点検したら一枚裏表が反対だったのは、私らしい。気づかなかったことにする。 放つては繰る釣り人や夕茅花

  • 紫陽花

    雨の内仕事 昨日枇杷の実を採ったので、コンポートにする。枇杷といっても鳥の落とした実から生えたもので、実は小さい。種ばかりが目立つようなものだが、枇杷にはちがいない。熟れだしたなと思ったら早速カラスが咥えていくので、カラスの分は残してやって収穫する。指が黒く染まるのが嫌だが、うちのものに手伝ってもらってコンポートにした。 下は一昨日仕込んだドクダミチンキ。今年はNHKの「晴れときどきファーム」にならってウオッカ40度で、花と葉を分けて漬けてみた。 それから白い残り布だけでのパッチワークを始めた。これは作り方は違うが、今月の『暮しの手帖』にヒントをもらったものだ。白だけというのが自分としては気に…

  • 花菖蒲

    『東海道寄り道紀行』 種村 季弘著 Tが「面白いよ」と回してくれる。「東海道」とあるだけに大半が静岡、愛知、岐阜の話だ。行った処もあれば、近場なのに行ってないところも多い。「行こう行こう」と言いながら、ご時世である。こちらはどうしてか感染数が少しも減っていかない。去年から「行きたい処」を日記の後ろに書き留めているが、この本を読んで、また候補地が増えた。 明日は大降りになるというので、つれあいは終日畑仕事。ほんの少し前、雌花ばかりだと嘆いていた胡瓜が、もう二本採れ、玉ねぎは全部収穫し、馬鈴薯は半分ほど掘り上げた。空豆はそろそろおしまいだ。こちらも多少は外仕事をと、一時間ほど草引きをする。 「○○…

  • 枇杷熟るる

    『道』 吉野 せい著 図書館の閉架から引きずり出してもらった古びた一冊である。吉野さんの本はあの『洟をたらした神』とこれしかない。内容は表題にもなっている「道」と自伝的メルヘンともいうべき「白頭物語」、後は短いエッセイ数篇である。「白頭物語」はすでにアンソロジーで読んだので、ここで読み応えのあったのは「道」。 若い頃に出会った求道者ともいうかひたむきに生きて亡くなった若い僧についての思い出である。この人らしいきりきりした筆致で、半世紀以上昔の話を眼前のごとく書いておられる。哀しいが、いい話でもある。背筋が伸びた彼女の生き方が、若い頃から不変のものであったことがよくわかる。 数本のエッセイは旅行…

  • 代田

    『発掘から推理する』 金関 丈夫著 先日仏間の襖を張替えようと、今はTの書庫になっている隣の三畳間の本箱を動かした。それで見つけだしたのがこの本である。著者は既に亡くなって久しいらしいが、Tに言わせると「博覧強記」の人で、この本もなかなか面白かった。いくつかの小編に分かれているが、中でも特に興味を持ったものをいくつか記録しておきたい。 一番は「十六島名称考」である。島根県に「十六島」という地名があり、海苔の名産地だというのはどこかで読んだ。「ウップルイ海苔」とネットにもあるし、「ウップルイ」と打てば「十六島」と変換もされる。アイヌ語の語感に似た不思議な名称である。様々な文献から考察されたことを…

  • 梅雨晴間

    『植物は<知性>をもっている』 ステファノ・マンクーゾ+アレッサンドラ・ヴィオラ マイケル・ポーラン序文 久保耕司訳 「植物に知性はあるのか」この問に対する答は「植物は人間の能力をはるかに超えている」というものである。 この地球で植物はおよそ三十億年前に現れたのに対して、人類が二十万年以上前に生存していた痕跡はないそうだ。つまり人間はずっと後輩にもかかわらず植物を見下してきた。植物に酸素も食料もエネルギーも精神的慰安すら授けられながらである。 植物と動物では、「定住する」か「移動するか」の生活スタイルの違いが、大きな進化の違いとなった。動くことのない植物は攻撃からの消極的抵抗の方法として、動物…

  • 五月闇

    『歴史の愉しみ方』 磯田 道史著 昨夜から激しい降りで、明けても暗い。Yahooニュースの上段に当地が「災害レベル3」と出ている。ここは避難の必要な土地ではないが降り込んだ雨で玄関先までビッショリだ。 連日散歩もならず面白く読みやすい磯田さんの本を愉しむ。あまりテレビを見る方ではないが、H殿と「英雄たちの選択」は毎週見る。いつもながら磯田さんの歴史観に感心する。視点が現代的なのである。 さて、この本だが古文書を渉猟して新説やら新発見やらで、実に面白かった。とにかく磯田さんは好奇心が並外れて旺盛とみた。そのうえに古文書がスラスラと読める。そこが強みである。興味のおもむくままに書庫に潜り、古書の探…

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