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かかみの歳時記
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岐阜在住 築90年の古民家に起き伏しする媼の俳句日記
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ブログ村参加:2016/02/27

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かかみの歳時記

octpusさんの新着記事

1件〜30件

  • 冬籠

    『JR上野駅公園口』 柳 美里著 最近テレビのテロップに「人身事故のため〇〇線の〇〇駅と〇〇駅間不通」と出ることが多い。もしやコロナのせいかと重い気持ちになるのだが、東京などではニュースにもならぬほど、その手の自殺は多いらしい。 先の陛下と同じ年に生まれ、東北の極貧家庭から東京へ出稼ぎ、変貌するこの国の下働きを務め、家族を養い、充分報われていいはずだったのに、老いてホームレスにならざるを得なかった、まさに「運の悪さ」をもって死んだ男。そして、死んでも追い打ちかけるように孫娘を奪った「東日本大震災」。 天皇、皇后の行啓行などで上野公園のホームレス狩りが一斉に行われるということは初めて知った。どち…

  • 霜の朝

    『空海の風景 上』 司馬 遼太郎著 ようやくこのところの寒波が抜けたようだが、今朝は霜が凄い。 老人病の薬を処方していただいている主治医のところまで歩いて出かける。元気なころは車で行っていたのに、この頃は歩き慣れたせいか歩く方が気持ちがいい。新聞に「インターバル速足」ということが紹介されていた。3分ごとに速歩とゆっくり歩きを繰り返すというもので、「負荷をかけ、酸素をたくさん消費、体力づくりに効率がよい」らしい。何でもすぐにとびつくと家人に呆れられながらも試すことにする。タイマーを持って歩き、3分ごとに速さを変えて5セット。実際はそれだけで終わらなかったので案外疲れた。今日は薬だけを出してもらっ…

  • 着ぶくれ

    『SDGs 危機の時代の羅針盤』 南 博・稲場 雅紀著 「SDGs」(持続可能な開発目標)とは最近よく目にする一節である。新書の解説本を、Tが読んでわかりやすいというので読み出したが、かなり苦戦した。横文字が多すぎるのである。ひとつひとつ調べて、メモに書き出して、やっと読了した。それでわかったことは、今や地球は危機的な状況であり、猶予はいくらも残されていないということである。 具体的に言えば、「現在世代は、現代の社会・経済システムを維持するのに『地球1.69個分』の資源を使い続けて」おり、「資源が枯渇して、その時に生きる人類の可能性が極端に損なわれるタイミング」は2030から40年の間というの…

  • 歌留多取り

    『黒いピエロ』 ロジェ・グルニエ著 山田 稔訳 先に読んだ山田さんの『別れの手続き』で知った本、グルニエが自分の作品の中で一番気に入ったと語ったものである。グルニエ自身の青春の投影かもしれぬ「一つの挫折の物語」。(山田さんの言葉)詳細は「もう一つの物語」と題された訳者のあとがきに見事にまとめられているので、ここでは触れない。メリーゴーランドが回るように時は回って、若者は老い、苦い人生を振り返る。 「今では私はもうむかしのように自分の人生をこれからどう生きるのだろうと自問したりはしない。むしろどう生きてきたかを考える。私は、われわれの時代を正当化しえぬ以上、それにたいして意味を求めることも止めた…

  • 元日

    歩き初め 歳のせいかどうか正月といっても全く感慨がなくなった。昨日は終日白いものが降ったり止んだりで外には一歩も出ず。鬱々と文字通り「冬ごもり」。NHKプラスで「大家さんとぼく」をまとめて見る。前から気になっていたまんがだが、NHKで放映していたとは知らなかった。優しい気持ちになれていい。大家さんのような老人になりたい。 今日も寒いが日差しが出てきたので歩き初めをする。(もっとも私が歩いている間中は曇っていた)寒いが外に出ると気が晴れる。 ちょっと猫相は悪いが逃げないで撮らせてくれた。 まだ、一昨日からの雪が少し残る。 うちのロウバイが咲き始めた。 このところ読んでいる梨木香歩さんの本。私には…

  • 歳の市

    忙中閑あり おせちは昨日終日かけて昆布巻きと黒豆は用意したので、あとはもう少しの調理だけだ。年々品数も少なくしたし、今度は来客もない。大雪となるとの盛んな報道に歳末仕事もさっさとすまし、余裕のある年の瀬となった。空気は冷たいが昨日は歩けなかったので白いものが降り出す前にに出かける。 どうしてだろう。今日は鳥がずいぶんいた。ツグミ、カルガモの群れ、セキレイ、シラサギ、もちろんカラスやスズメも。それからいつものヌートリア。何かもらえると思ったのか向こうからまっしぐらに寄ってきたのにはあきれた。 初詣も分散をというから少し前に散歩のついでにこの辺りの郷社に詣った。信長が岐阜城攻略の折り、戦勝祈願した…

  • 数へ日

    『空海はいかにして空海となったか』 武内 孝善著 これもTの積読書から発掘してきた一冊である。「空海」については司馬さんの『空海の風景』を読んだ覚えがある。司馬さんらしく言えば、なんと晴れ晴れとした風景であったかと感動したことを思い出す。それと比べればこちらは学術書であり、私の能力には余るところがある。古い文献や仏語などは訳注を読み、大づかみに理解したという程度であるが、天才「空海」の前半生を辿ることはできた。 私はこの本で奈良時代史に出てくる僧の玄昉や道鏡、石上宅嗣らが母方の一族であり、あの智証大師・円珍は父方の甥ではないかということも初めて知った。まさに天才家系である。「空海」は往きも帰り…

  • 時雨

    今年のmy三冊 いよいよ今年も押し迫ってきた。コロナ禍も大変だが個人的にもこの上なく大変な一年だった。述べにして三ヶ月以上入院して手術も四回も受けた。この内三回は全身麻酔である。昨日も四キロほど歩いたがよくここまで回復出来たと思う。家族にも病院の方々にもつくづく感謝しなければいけない。 さて、今年の私の三冊だが、今年は総数からして少ない。手術が重なってひどく落ち込んだ頃は本を読む気にならなかった。終日ぼんやりと音楽を聞いていただけだったので、仕方がない。 少ない中から選んだのは『すとまんが』(内田春菊)・『ヤマト王権の古代学』(坂靖)・『サガレン』(梯久美子)である。特に『すとまんが』には本当…

  • 初雪

    『白桃』 野呂 邦暢著 野呂邦暢の短篇選集である。野呂さんの小説は『落城記』と『諫早菖蒲日記』を読んだ覚えがあるが、詳細は忘れてしまった。野呂さんにはコアなファンがあると聞いていたので、今回Tの本の中から見つけた機会に読むことにした。自衛官の経験があり、地方中心に活動され、早くに亡くなられたという特異な経歴のもちぬしである。 実は最初に手にしたのは随筆選『夕暮の緑の光』だったのだが、あまりに短篇ばかりだったので、後回しにさせてもらった。その随筆のなかで野呂さんは文体についてこんなことを書いておられる。 「平易な語り口というのは難解な文章の反対なことではない。はなしことばを多く使うことでもない。…

  • 大根

    『別れの手続き』 山田 稔著 年末だからとTの書庫になっている部屋を勝手に掃除をする。文庫は出版社別に段ボール箱に詰め、単行本の山は床を拭いて積み直す。ここで思わぬ発見があった。長い間読み直したいと思っていた捜し本が見つかった。どこを捜してもなかったのでミステリーと化していたのだがこんなところにというところだ。その他にもこれは読みたいと思う本が十冊ほど見つかって、いつも本の多さで文句を言われるTは「宝の山だ」と自慢げである。 さて、山田さんのこの本もその一冊である。選集だから半分は既読の話だがいつもの山田さんの詩情あふれる文章に惹かれて再読、話の終わり方が絶妙で、これもいつもながら読み終えた後…

  • 漱石忌

    変貌する「ふるさと」 今日の新聞の投書欄、森永卓郎さんが「定年後をどうしますか」という記事で、こんなことを書いておられる。 「私のお勧めは小規模農業。畑は30坪で十分です。野菜など自分用につくれば、年金が今後減ってもやっていけます。地産地消ならぬ『自産自消』です。」と。 実際森永さんは、「地方の県庁所在地やその周辺」つまりトカイナカで農業を始めておられるようだ。我が家は30坪ほどではないが(100坪くらいかな)まさにトカイナカで「自産自消」、夫の生きがい(?)にもなっているようで我が意を得たような話である。 しかし、今日の話題はそのことではない。この辺りはトカイナカで過疎になるどころか住宅が増…

  • 小春

    『南方熊楠』 唐澤 大輔著 熊楠さんのことは「知の巨人」とか一種の「変人」とか断片的なことは知ってはいたが、その生涯についてまとまって読んだのは初めてである。 著者はかの人を「極端人」と形容しているが、まさにそのとおりである。実に魅力的な人だが身近な人としては困った人にちがいない。 「熊楠は世人になれなかった。普通であることができなかった。周りが見えなくなるほど対象へ内在化する一方、普通では考えられないほど対象から(あるいは世間から)逸脱した行為をすることがあった。」という。それゆえ英国滞在時には52冊にもなるノートへの書き写しをし、ネイチャーに324もの寄稿をし、熊野では厖大な数の粘菌や藻の…

  • 茎石

    岐阜県美術館『岸田劉生展 写実から写意へ』へ行く 小春日和のうちにと外出する。 岸田劉生の装丁画から風景画・人物画・文人画のようなものまでかなりの数の展示であった。劉生といえば「麗子像」のいくつかに強い印象を持っていたが、今回「麗子像」はあまりなかった。しかし、やはり自画像を含めて肖像画のもたらすインパクトが一番だと感じた。風景画はあまりなかったが『夏の路(鵠沼海岸)』が私としては好きだ。晩年の(といっても彼は享年38歳らしい)文人画というか南画というか軽いタッチの日本画では『竹林七童図』がいい。部屋に掛けるならこのあたりかなあと勝手なことを思う。 特別展の後、常設展にも。藤田嗣治や熊谷守一の…

  • 黄葉

    散歩で子連れのヌートリアに出会う。 「フレイルにならぬためには一日8000歩から10000歩」とは今月に買った『暮しの手帖』の記事である。私はそこまでは歩けないが、それでもこのところは毎日歩くようにしている。今日は風も穏やかだったので5000歩弱は歩いた。カメラを持ってどうでも良いものを撮ったり俳句を考えたりしてぶらぶらするのだが、意外なものに出会うこともある。昨日はカワセミを見たし今日は頭の上をトビが旋回した。羽の裏の白い模様がはっきりと見えるほどだったが、カメラではとらえられなかった。しっかりと撮ったのはヌートリアだ。それも子連れ。餌をやる人がいるので足音に反応したらしい。さすがに子どもは…

  • 冬の蝶

    『用事のない旅』 森 まゆみ著 森さんは一人でふらりと旅にでることが流儀らしい。事前にガイドブックで下調べもしないし、定番の名所旧跡にも行かないとおっしゃる。こういう自立した人に比べると私なぞは情けないかぎりで、いつも家族にくっついての旅であるし、何よりしっかり下調べもする。同じ場所に何回も行ける身分ではないから出来るだけ見てこようというさもしい根性もある。主にあちこちに出かけたのは自営業をしていたこの十五年ほどで、この本に出てくる土地も八割方は廻った。ところが今年はコロナである。またそれ以上に闘病の一年だったので全く何処へも出かけられなかった。こんな年は何年ぶりだろうと思いながら、それでも来…

  • 水涸る

    『熱源』 川越 宗一著 長い話であった。一昨年度後期の直木賞受賞作らしい。史実に基づいたフィクションということで、主要登場人物はみな実在した人である。 舞台はサハリン。前回の「サガレン紀行」の関係で選んだわけではなく偶然に重なった。『サガレン』でも少し触れられていたポーランド人の流刑囚民族学者のプロニスワス・ピウスツキと樺太出身アイヌのヤヨマネフクが話の中心である。背景に日本軍のシベリア出兵・南サハリンの日本帰属・ロシア革命・ポーランドの独立・白瀬による南極探検それに金田一京介によるアイヌ文化の収録・ソビエト連邦による樺太占領などもある。 いわゆる大衆小説(エンターティメント)と純文学の違いは…

  • 北風

    ネックウオーマーを編む 二週間の相撲の間、テレビ観戦をしながら少しずつ編む。贔屓の朝の山が休場になってしまったし後半戦は夕食の支度もあり、毎日ほんの少しずつで二週間もかかった。今まで編んだものでスヌードはあるのだが、もう少しコンパクトな首に密着したものがほしいと思った。五年ほど前の『すてきにハンドメイド』で漫才師の宮川花子さんが紹介していたもの。彼女はとてもカラフルな糸で編んでおられたが私は残り糸でちょっと地味。家事に邪魔にならぬように短くもした。出来上がって鏡で見て自己満足。これから寒くなったら出番が多くなりそうだ。 リハビリで歩くことを心がけている。人や車に出会わない道を選んでマスクなしで…

  • 紅葉狩

    季節はずれの暖かさ。(というより暑いほど) 少しずつ歩けるようになったから図書館に出かけたついでに市民公園と江南フラワーパークに連れて行ってもらう。幸いなことに市民公園は紅葉の真盛り。平日にもかかわらずかなりの人出だが、蜜になるほどではない。二箇所合わせて一時間半ほどだが久しぶりにかなり歩いた。万歩計も携帯も忘れて歩数がわからないのは残念。 異国語の娘(こ)らもはしゃぎて紅葉狩 メタセコイアの並木 何の木でしょう。花柄が美しい。 ハゼの紅葉

  • 草紅葉

    『サガレン』 梯 久美子著 久しぶりに読了後の満足感に包まれた。「サガレン」とは「サハリン」の旧称である。宗谷海峡をはさんで稚内から最も狭いところで42キロ、目と鼻の先にあるかっての外地である。実質的にロシアの支配になってはいるが「国際法上は、この島の帰属はまだ確定してない」と梯さん。ちなみに高校の地図帳には国境線が二本引かれて、北緯50度線以南の土地は白地(どこの国にも所属していない)になっているとあるが、確かめてみたらそのとおりであった。 内容は二部に分かれていて第一部はサハリン鉄道に乗る旅、第二部は宮沢賢治「樺太への旅」の足跡をたどる旅である。 梯さんは「廃線紀行」なども書いておられるよ…

  • 草の実

    『三河吉田藩・お国入り道中記』 久住 祐一郎著 歴史学者の磯田さんお薦めの本である。返却期限が迫って、ともかく一冊でもと急いで読み上げた。 テーマは「古文書で読み解く参勤交代の真実(リアル)」とある。三河吉田藩とは七万石ながら老中を務めた名門で、あの「知恵伊豆」と呼ばれた松平信綱の子孫である。今回話題になっているのは江戸末期、この藩の若殿が病気の藩主の名代として初めてお国入りをする旅の仔細である。旅の取りまとめ役をした人物が非常に筆まめで詳しい記録を残していたことが、参勤交代という大イベントの様子を明らかにすることになった とにかくまず厖大な出費である。筆者の概算では総額6百両から7百両という…

  • 冬に入る」

    『光の山』 玄侑 宗久著 先週の「こころ旅」が宮城県だったので、震災の爪跡を改めて痛感させられた。ことに南三陸町のつるりとした町の様子を見ると当事者でなくても胸が痛む。前にも書いたことがあるが震災の二年ほど前、登米から気仙沼に向けて車で走り南三陸町の街中も通過した。日野さんが指を差していたホテル「観洋」で一泊、気仙沼線に沿っての海岸通りであった。この前のテレビで見ると駅跡は跡形もなく立派な高速道路が通っているようだ。 玄侑さんの本はよく読んでいるつもりだったが、この本は未だ読んでおらずTが借りてきたので回してもらう。六つの短篇からなるが一つを除いて、津波で家族を失ったり、原発汚染で家族が壊れた…

  • 暮早し

    羽織を座布団カバーにする。 少し座り続けられるようになったので、昼からずっと「座布団カバー」作りに熱中する。今までのカバーは甥のお宮参りに姉が着たという着物から作ったもので、経年劣化で知らぬ間にいたんでいた。絹地のカバーは夏はひんやりして冬は暖かく、何より肌触りがいい。何か代わりになるものはないかと思案して自分の羽織を再利用してみた。若い頃に母が作ってくれた絞り模様のピンクの羽織だが何回着ただろう。解いてからベストを作り、今回はその残りだ。あの世では嘆いているかもしれないが、ゴミにするよりいいだろう。確か幸田文さんが着物を解いて座布団を作ることを書いていた。 夫に「焼きうどん」を作ってやった。…

  • 十三夜

    『京都』 黒川 創著 この人の本、三冊目。小説がそれほど好きでもないのに、読ませられるというのはこの人の筆力であろうか。 四編の短篇からなり、「京都」という町の記憶に繋がる話である。一編目と三篇目は関連があり、二編目は筆者の自伝的要素も関係しているように思う。今や世界的な観光地になりコロナ前までは観光客でごった返すようだった「京都」と全く別の顔を持った「京都」の記憶が中心だ。あえて土地の記憶を掘り起こすことにどういう意味があるのか。千年以上も都だった土地がどんな闇を持ち、どんな変化をたどっていったのかは、外の人間にはうかがい知れぬ。観光客でさんざめく今の京都だからこそ、今は「ない」という言葉で…

  • コスモス

    『ボクはやっと認知症のことがわかった』 長谷川 和夫著 「解説」によれば著者は「痴呆界の長島茂雄みたいな人」だということだ。つまり認知症については第一人者ということで「認知症」という呼称変更に携わり、罹患の判断基準(長谷川式スケール)をつくった人でもあるらしい。ところが、その当人が認知症になられた。著作を読む限りまだ軽度と思われるが、生活への障害はいろいろある。自らも認知症になってわかったことのひとつは、「周囲が思うほど自分自身はかわっていない」ということ。だから周囲もその人の尊厳を大切に対処してほしいと言われている。。 認知症になればなおさらのことかもしれないが老人になった私も似たような事は…

  • 朝寒

    『暗い林を抜けて』 黒川 創著 黒川さんの小説二冊目読了である。惹句に「ままならない人生のほのかな輝きを描く最新長編小説」とある。 案外惹き込まれて読んだのだが正直言って感情移入の出来るところは少なかった。 主人公は初老に達しようという新聞記者である。働き盛りに癌を患う。ステージⅠの大腸癌である。順調に回復して五年検診もクリア、半年遅れた六年目目の検診で肺や肝臓への転移が見つかる。すでに治療もままならないような状態で、彼は来し方の様々な出来事を振り返るというのが大筋だ。 同病者としてまず、ステージⅠの患者が五年を経ても尚再発し、手遅れになるという設定にちょっと暗い気持ちにさせられた。新聞記者と…

  • 鵙の秋

    『兄の終い』 村井 理子著 村井さんは、新潮社のネットサイト「Webでも考える人」で知った。「村井さんちの生活」という家族の話で気軽に読ましていただいていた。ある日の記事に長く疎遠だったお兄さんを送ったという話があり、それが普通の見送り方ではなかったので少しこだわりが残った。Tは「兄妹なのに随分だなあ。」と言い、いい感情はもてないようであった。 その兄への永年のわだかまりと兄の突然な死の顛末を書いたのがこの本である。前回の本で養老さんは「死は常に二人称として存在するのです」といっておられたが、まさにそうである。遠く離れた土地で貧困の内に兄が突然死する。発見者は彼の幼い息子。警察署からの電話で筆…

  • 小鳥来る

    『死を受け入れること』 小堀 鷗一郎・養老孟司著 「生と死をめぐる対話」とある。以前にも書いたことがあると思うが対話集というのは読後感が乏しい。話が上手く噛み合っていないと、読み終わっても何だったかなあということになってしまう。この大御所の二人の対話も、あまり噛み合っていなっかた気がする。養老さんは早くにリタイアして今や趣味に生きる人である。テレビでもマルを相手に日向ぼっこをしながら「これが一番いいんだ」とかおっしゃっている。一方小堀さんはまだ現役である。自分で運転しながら在宅医療を実践しておられる。生と死のせめぎあいの現実は目の前の問題として常にある。違いはそれだけではない。養老さんはインタ…

  • 秋風

    『明るい夜』 黒川 創著 身辺りに読みたい本がなくて「何かない?」とTに言う。「まだ読んでないけど、これでよかったら。」と最近仕入れてきた古本を出してくれる。あの黒川さんだ。まだ「鶴見俊輔伝」も読んでない、あの黒川さんだ。そう言えばKさんも黒川さんが面白いようなことを言っておられたと思い出す。 京都に暮らす三人の若者のやるせない青春物語である。工藤くんは小説を書きたいと本屋の仕事を辞めてしまう。貯金を食いつぶしながらグタグタしているのだが一向に書き出せない。朋子さんはやっとの思いで大学を出たけれど好きな絵も描けず不規則なバイトで不眠症に陥っている。何だかかったるくて正規の仕事を辞めて、朋子さん…

  • 稲の秋

    『ヤマト王権の古代学』「おおやまと」のオウから倭国の王に 坂 靖著 やっと四日ぶりのお日様である。雨が続くと気持ちが萎えていけない。ずっと椅子に寝っ転がって読んでいたのがこの本。少し前に新聞の書評欄で見て気になっていた。県の図書館にあって借りてきてもらい、暇に任せてメモを録りながら割合丁寧に読んだ。いままでの雑多な自分流古代史理解が少し整理されたような気がして、なかなか良かった。 筆者の言葉を借りればこの本の詳細は「弥生時代から古墳時代、奈良盆地で王権が成立し、展開した過程を明らかにする」試みである。つまり、奈良盆地の東南部「おおやまと」と呼ばれる地域の古墳集団が、他の古墳集団(佐紀・わに・ふ…

  • 天高し

    『日航123便墜落 遺物は真相を語る』 青山 透子著 この方の「日航123便」に関する著書は先にも読んで、かなりの衝撃を受けた記憶がある。新刊広告でさらなる書籍が出されたことを知り、図書館で調べたが入ってなかった。代わりにその前の一冊が検索に掛かってきたので読むことにしたのが、この本である。 先の本が主に事故当日の目撃情報を主軸に書かれたのに対して、今回は表題にもあるように「遺物」をもとに疑問を呈しておられる。遺物とは炭化するほど焼け焦がれたご遺体と高熱で金属の固まりと化した機体の一部である。 過去の航空機事故を例にしながら航空機燃料では炭化するほど人が燃えるということはなく、人為的に何かの隠…

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