194631花見今年も桜は去って行った。僕の散歩コースに、野ざらしの地蔵に覆い被さるように、雷に二つに裂かれた桜の老木がある。桜が地蔵を守ったのか?地蔵が桜を守ったのか?老木は今年も瑞々しい花を咲かせた。【一句】肩並べ地蔵と二人花見かな194631
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194631花見今年も桜は去って行った。僕の散歩コースに、野ざらしの地蔵に覆い被さるように、雷に二つに裂かれた桜の老木がある。桜が地蔵を守ったのか?地蔵が桜を守ったのか?老木は今年も瑞々しい花を咲かせた。【一句】肩並べ地蔵と二人花見かな194631
194630父の帰還また父のことです。1946年に僕が生まれました。「お父ちゃんが行ったから、戦争に負けたんや」アホな息子は言ってました。リアルに覚えています。それと母が言っていたことが一つあります。父はトマトが嫌いだったけれど、帰還した父は畑のトマトにかぶりついたそうです。僕もトマトが苦手です。【一句】「父帰還」しやぶりつきたるトマトかな194630
194629雑踏久し振りに難波に出た。何年ぶりだろう。補聴器は用をなさない。【一句】雑踏に老いの場所なし春愁ひ(はるうれひ)194629
194628三角コーンいつもの散歩コース。もうウォーキングとは言わない。いつもなら右に曲がって池の地蔵さんに手を合わせてUターンする筈が、舗装された道が続いている。「三角コーン」が置いてある。三角コーンは家に帰って調べてみました。妻となら「赤いあれ」で通じますが(実際通じました)。通じなければ、工事現場なんかの赤い三角。結構そんな言葉を使っている気がします。三角コーンは言い得て妙ですね。「言い得て妙」も言い得て妙。後日三角コーンは端に寄せられていたので行ってみました。道は途切れ、同じ田んぼの風景でした。なんで道を作ったのだろう。【一句】道の果てに道の生まれし春野かな194628
194627言葉の断片父は寡黙な人だった。何を話したかあまり覚えていない。父の思い出は断片的な言葉として蘇ってきます。102才で去年亡くなった義母を最後にみんな亡くなりました。もう僕の親の世代はいない。【一句】亀鳴くや父の言葉のひとつづつ194627
194626ランドマーク二上山(にじょうざん)は西のランドマークです。三七年間通勤の車窓から眺め続けた山でもあります。雄岳と雌岳が寄り添う姿は間違いようがなく、方向音痴な僕にはありがたい山です。朝のウォーキングの友達です。霞がかかると、仲のよい夫婦みたいな影になります。当方は金婚式。あちら様は何婚式?【一句】二上山夫婦の影の薄霞194626
194625スイッチ24の続きです。朝からかなり強い雨。傘が嫌いな僕は早足で歩きます(走れない)。皮膚科で処置をしてもらった後あちこちで濡れました。それにしても補聴器が効かないなあ。引きこもり老人はひと月分ほど喋ったのに。病院でもサンドイッチを買ったパン屋さんでも。改札を通った時も。これは音が出ないのか?。なんか出たような気もするし……。駅は暗く、静かでした。「この補聴器あかんなあ」あかんのは僕でした。寝る前に補聴器のスイッチを切ったままでした。【一句】補聴器のスイッチオフに春の雨194625
194624時々老人性の疣(いぼ)が出来ます。今度は頭に出来たみたい。見えない。仕方ないなあと言う感じ。少し悩んで「先生に診てもらおう」と決心します。昔。右頬にほくろがありました。いや実は疣(いぼ)だった。先生に窒素で焼いてもらって消えました。兄弟が集まった時「ねえねえ、わしの顔変わってへん?」と、意気込んで訊きました。兄弟は「わからへん」と一言。「しっかり目をつむって下さいね」と先生の声。【一句】疣(いぼ)を焼く女医の気配や春の雨194624
194623サボテントイレ掃除をしていたら、窓辺にごく小さい鉢がある。何か植わっている。妻に訊いた。「これなんや?」「サボテン」「サボってんの」久し振りの駄洒落なのに妻は笑わない。現役の時は、僕のおやじギャグは若い子に人気があった。「そろそろ言うぞ」そこで間一髪間を置いてのたまう。どーと笑いが来る。「生きてんの?」「生きてるよ」「水は?」「たまーにやってる」あの時10滴ほど水を遣った。【一句】サボテンのミリの成長厠かな194623
194622お鈴(おりん)仏壇が我が家にやって来て三ヶ月ほど経ちます。同じ部屋で寝ています。光明真言を三度唱え次ぎに南無大師遍照金剛と三度唱えます。その合間に叩くのがお鈴(おりん)。そう呼ぶのを知りませんでした。「おりん」の響きは清々しいですね。三月句会に投句しました。1点入りました。その1点が嬉しかった。【一句】春雨やお鈴の音の少し濡れ194622
194621心電図左胸が痛い。循環器内科の定期診察に妻に付き添ってもらった。「胸が痛くって」「いつどのように?」しどろもどろの僕に、「しょっちゅう言うてます」と妻が一言。心電図を取ることになった。さっさと動く妻について行くのが精一杯。「病気になりそう」一つしか違わないのに。お婆ちゃんはお爺ちゃんより元気なのだ。「正常です三年前と全然変わってないですよ」胸の痛みもましになったような気がする。【一句】年寄りの不安死ぬこと桜咲く194621
194620寒造(かんづくり)父のことをよく思い出す。自分だけ一品酒の肴を作ってもらって、一合の日本酒を飲んでいた。【一句】晩酌は父の至福や寒造194620
194619スーパー歩いて五分ほどの所に大きなスーパーマーケットが五年ほど前にできました。「ここにスーパーが出来ます」と不動産屋が言っていたのを思い出します。五十年近く前です。自転車を取り上げられたお爺さんは、買い物難民を免れました。【一句】可愛い子のレジを選んで木の芽時194619
194618「ドラえもん」「ドラえもん」のび太と空の理想郷(ユートピア)を観ていた。少しわくわくする。孫と観たのは「アンパンマン」。長女と観たのは「スーパーマン」。字幕だった。必死に説明するアホな若い父。今度会ったら覚えているか聞いてみよう。家族で観たのは、「ジュラシック・パーク」三人の娘は大人になっていた。梅田の北野劇場だったと思う。超満員だった。【一句】「ドラえもん」一人鑑賞春灯(はるともし)194618
194617つげ義春『ネジ式紅い花』つげ義春著すごい本だ。高価なのだが十分値打ちがある。想像以上だった。つげ義春の絵も好きだ。僕の青春の全てがあった。言うほどのものではないけれど。三十年以上も前、ラジオドラマの入選者が名古屋に集まったことがあります。話している内にみんながつげ義春フリークだと分かって大笑いした。人生は旅だなあって思います。僕は旅行が好きではなかった。土台が外されたみたいて、不安になるのです。旅はいつも不安と道連れ。旅行の帰路で「ああ帰ってきた、よかった」って言ったら、「お前とは絶体旅行に行かない」と言われたことがあったなあ。でも彼とは、それからも何度も職場の旅行に行った。二人とも友達がいなかった。「せつない」は『紅い花』ではなくて、『もっきり屋の少女』だった。「だめです私はせつないです」見...194617
194616チューリップ【一句】どこにでもいる子がいいねチューリップ大谷くんおめでとう。194616
194615ほうれん草前の冷蔵庫はドアにマグネットが使えたのに、新しいのは引っ付かない。白板(ホワイトボード)を側面につけて使っている。冷蔵庫の見た目は良くなった。本当はピーマンと書いてあった。ピーマンの方が走書きに合う。でも、ほうれん草もいいなあ。書いとかないと、忘れる。【一句】白板にほうれん草と走書き194615
194614春一番「オヤスミ」と、妻は二階へ。僕は一人で気楽に過ごす。【一句】毎日が別れと出会ひ春一番194614
194613額突然大きな音がした。地震。蛍光灯の紐を見つめたが動いていない。額が落ちていた。妻を呼んだ。こういう時の僕は危険だ。硝子の破片が飛び散っていた。大きな破片を取って、後は掃除機で吸い取る。手際よく片付いた。「気いつけや」と、僕は言うばかり。額の中身は、薬剤師免許妻と二人分。その他卒業証書等。「もうええねえ」と妻が言った。丸めて賞状筒になおした。飾っていることもないか。【一句】額落ちる割れた硝子の余寒かな194613
194612『東京都同情塔九段理江著』途中から分からなくなったので最初から読み返した。現代版・バベルの塔という評も読んだ。言葉の通じなくなった世界。ロシアとウクライナの戦争を思い浮かべる。ウオーキングで池のそばにある地蔵に手を合わす。「おんかかかびさんまえいそわか」を3べん唱える。「かかか」は笑い声。地蔵の後の桜は真っ二つに裂けている。花芽がいっぱいついているのに気づいた。【一句】雷に裂けし桜の芽立かな194612
鴻風俳句教室四月句会池窪弘務兼題㊀季語:山笑ふ//笑ふ山㊁漢字:万//満㊂季感:入学//入社㊃自由:当季自由作品㊀三輪山の一歩近づき山笑ふ㊁満開の桜の下の地蔵かな㊂遠き日の入社の友や今どこに㊃清明やキトラの里に蛇眠る㊁毎日のウォーキングで手を合わす地蔵を詠みました。雷に撃たれ、幹が真っ二つに割れています。今年も健気に満開です。㊂誰も付き合いなしです。㊃明日香の里にまた大発見がありました。鴻風俳句教室四月句会
鴻風俳句教室三月句会兼題㊀:季語:早春・浅春に係ること一切㊁:漢字:旅㊂:雛祭り㊃:当季詠三月句会投句池窪弘務㊀早春の河原に遊ぶ石叩き㊁浮き浮きと仲良き母娘春の旅㊂雛まつり三人官女は玉子なり㊃眠りさへ薬に頼る春憂㊀石叩き((たえず尾を上下に動かす習性から)セキレイの別称。〈[季]秋〉)はよく見かける鳥です。一瞬もじっとしていない鳥です。チャチャチャと歩いて、パッと消えてしまいます。また次の瞬間に現れます、その繰り返し。いつもつがいで、なかよしです。一年中います。点数は0点。㊁長女と妻が蟹を目当ての旅行。私は留守番を務めます。「仲良き」は「気の合う」の方がよかったかも。1点。㊂これには思い出があります。「娘さんが三人ですね。お雛様はされますね。これ作りました」。それが玉子の雛。心が騒いだ、お・も・い・で。1...鴻風俳句教室三月句会
鴻風俳句教室二月句会兼題㊀梅。㊁節(季語ではありません。季語はご自分で。節の漢字が入ること)㊂バレンタインデー・バレンタインで。㊃自由題(当季(大寒など)雑詠で一句二月句会投句池窪弘務㊀探梅やこの町今はふるさとに㊁節電のリモコン構へ冬菫㊂バレンタイン娘のチョコのおすそ分け㊃我もまた小さき命寒雀㊀結婚を機に奈良県の田原本町に移ってきて五十年。両親が奈良県出身だからと言う理由でした。その両親も今は亡くなり、ここが故郷のように感じます。㊁兼題に苦労しました。そして、0点でした。0点はこたえます。㊂長女は一生懸命手作りしてました。㊃自信の句。作品別三席に入りました。今回はこれだけです。自分の俳句は50句作って、一つか二つが俳句かなあと思う程度です。口から出る言葉が五七五の人は尊敬します。鴻風俳句教室二月句会
一月句会兼題:㊀:去年今年㊁:松㊂:新年のお飾り一切㊃:当季雑詠一月句会投句池窪弘務㊀去年今年昭和大正遠くなり㊁元旦の障子開ければ松光る㊂パソコンに小さなしめ縄年用意㊃針供養見えない糸を通しけり㊀私は昭和。父母は大正。段々遠くなって行きます。㊁この季題、なかなか俳句が浮かばなかった。ふと窓を見ると庭に松があった。1メートルもなかったのに……。それにしても、日常に溶けて殆ど気にすることもない。50年……・。長いですねえ。松竹梅の庭だったんですが、最初に竹が根をはり、家が傾きそうで抜いてしまい、去年は、梅が虫にやられ、毎年の梅見が終わり。今はお前だけなんだなあ。㊂今年初めて飾りました。一年間ご苦労さん。㊃良い句だと思うですが、点は入らなかった。一月句会
十二月鴻風俳句教室句会兼題:㊀季語:年の暮(利久出)㊁漢字:星(夕雁出)㊂「冬至」に関する土地の風習を㊃当季雑詠十二月句会投句池窪弘務㊀おやじギャグ笑ふ人なし年の暮㊁冬の星あれは父なりあれは母㊂ゆずかぼちや金婚式の冬至かな㊃寒菊の小さく揺れて憂国忌㊀現役中は駄洒落ばっかり飛ばしてました。仕事場は美女ばっかり。みんなよく笑ってくれました。でも、仕事は合っていなかったなあ。今でも悪夢に出て来ます。㊁兼題にかなり無理をしています。㊂金婚式で、コロナで殆ど会えなかった全員がそろいました。三人の娘・孫その旦那。私たち夫婦を入れて14人。出発点は二人。不思議なものです。十二月鴻風俳句教室句会
鴻風俳句教室十一月句会兼題:㊀季語:「神無月」とその傍題㊁漢字:「湯」㊂「文化」:11月3日は「文化の日」です。これこそ「文化」と思えるもので。㊃当季雑詠:十一月句会投句池窪弘務㊀戦争の終りの見えぬ神無月㊁新米の湯気つややかな朝餉かな㊂辻ごとの地蔵に出会ふ文化の日㊃生も死も私の中に寒椿㊀神様はどこへ行ってしまったのだろう。㊁最近新米を買いました。10kg買うと半年ぐらい持ちます。半分ずつに分けて貰ってます。食卓に出るのはまだまだ先です。㊂地蔵様は文化だと思っています。『おんかかかびさんまえいそわか』と三遍唱えています。㊃みんな私に起こること。鴻風俳句教室十一月句会
今朝は濃霧でした。偶然に映り込んだ鳥が……。濃霧