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kame710のブログ https://kame710.hatenablog.com/

55歳の時 胃がんと仕事中に頭部外傷、の人生の大きな転機があり、後遺症とつきあいながら まるで「カメ」のような歩みでここに至っています 出来ることは少ないけれど 日々の想いを書き連ねています

カメキチ
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2019/02/15

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  • 2023.12.8 猿猴捉月

    今日は「猿と井戸の月」という寓話です。 (話と、それを四字熟語にした諺がネットの「goo辞書」にあるので引用します。 ↓ えんこうそくげつ【猿猴捉月】 欲をおこして前後をわきまえず、無謀な行動をとって大失敗すること。 身のほど知らずが、その結果身を滅ぼすことのたとえ。 注記 「猴」は、サル。「捉月」は、月をとらえる。 (話の内容) 井戸水に映った月をとろうとしてサルが木の枝にぶらさがって、 数珠つなぎになったとたんに枝が折れてしまい、 全員井戸の底に落ちて死んだという。 ーーーーーーーーーー (ここからは著者です) ① 「月はながめるものである」 夏目漱石が英語教師をしていたときのエピソード …

  • 2012.12.5 無いものではなく、有るものに目を向ける

    「無いものではなく、有るものに目を向ける」という寓話。 (話の中身はだいたいわかるので省略) ーーーーーーーーーー 「少欲知足」という諺に通じます。 どの寓話も著者独自の視点が光っていて私は感ずることが多かったが、 この話では、 理想を持つことは良いことである。しかし、理想にだけ視線を向け、 現実を直視せずに「私は幸福ではない」と感じるのは視野が狭い。 のところにすごく感じた。 ーーーーー 「理想」とか「希望」、「夢」など人を奮い立たせる、勇気を与える。 (それらは「言霊」を感じさせてくれるほど。 (葉自体がもっている意味と溶け合って、音や響きが心に届いてくる) これらの言葉は、よっぽどどん底…

  • 2023.12.1 西瓜泥棒

    今日は「西瓜泥棒」という話です。 ーーーーー 西瓜泥棒 ある夏の夜、農家の婦人が幼き子を連れて我が家へ帰る際、 畑に熟した西瓜が坊主頭の並ぶがごとく連なっているのを見た。 (グーグル画像より) 月は澄み、まるで昼のようではあったが、人通りのない、夜中の田舎道のこと、婦人はふと良からぬ心を起こした。 たくさんある西瓜の一つばかりを盗ったとしても分かりはしまい。 そう思った婦人は子を見張り番に立たせ、畑の中に入って、一番大きな西瓜に手を伸ばそうとした。 しかし、なんとなく良心がとがめるような気持ちがして、止めておこうかとも思ったが、 誰に知れることもないからと再び手を伸ばそうとした。 念のためにと…

  • 11.28 群盲象を撫でる

    『ものの見方が変わる 座右の寓話』 戸田智弘 ・著 (グーグル画像より) 『イソップ童話』のような多くの人が知っている有名な寓話、小話類の 一般的な解釈に、著者独自の視点が加わったもの。 もとから「寓話」といわれるものは人生の教訓めいたものだけど、 著者の視野の深さを感じるものがあった。 (私がそう感じたもののいくつかを書きます) ーーーーーーーーーー ① 目の見えない人たちが象を触る。 が、人によって触る部分が異なるので、その部分からの感覚、印象だけで その正体(全体像)を判断しようとする話。 大人の盲人と象(の話) 視界を広げ、多面的に物事をとらえよう →「部分の総和は必ずしも全体にはなら…

  • 2023.11.24 フェイクと秋

    『フェイクバスターズ ‐ ”ウィズフェイク時代をどう生きるか”』 というドキュメンタリー番組を見た。 「ウィズコロナ」という言葉がコロナ全盛期には流行ったけれど、 「フェイク」のほうは一時の流行ではすまない。 フェイクとはウソ、偽物、模造品で、そんなものは人間の歴史とともに大昔から 厳然としてあった。 自らの欲望を叶えるためには人を騙せばよいということを知った人間。 人間の「本質」ではないにしても深く関わっている気がする。 ーーーーー 考えてみれば、オレオレ詐欺も「統一教会」も、自民党派閥の政治資金記載漏れも すべて自分の欲得のためにウソをつき人を騙すという点で同じ。 番組では、いまは技術の向…

  • 2023.11.21 『中高年ブラック派遣』

    「派遣労働」のカラクリ、闇がとてもわかりやすく描かれた社会派ドラマ 『ガラパゴス』がことしの2月、NHKで放送され、反響が大きかったのか、 この秋、再編集されてまた放送された。 「派遣労働」の本質は「ピンハネ労働」。 それがわかっていても、いまの世の中ではスマートで紳士的なので、認められ 許されている。 『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』 中沢彰吾・著 (グーグル画像より) ーーーーーーーーーー 1986年、それまで労働者保護のためずっと禁止されていた「ピンハネ労働」が、 経済界の「高度経済成長の時代は終わった」「より効率的な雇用(必要な数の 労働力を気軽にいつでも供給でき、必要なくなれ…

  • 2023.11.17 『老い衰えゆくこと』(後)

    今日は残り、③から⑤です。 ③ 記憶のテスト〈従属化〉の儀礼 ④ 「母性」という名の秩序化の装置 ⑤ 親密性の擬制化 ーーーーーーーーーー ③ 記憶のテスト〈従属化〉の儀礼 「〈記憶のテスト-〈従属化〉の儀礼〉 通常の私たちのコミュニケーション上では「簡単すぎて」決して質問することさえ許されないような 「礼儀正しくない」問いであり、であり、それゆえ、当事者においては「侮辱」の経験として、 施設職員にとっては「親密性」の確認としてこのテストは実行されているのである」 ここでいう「記憶のテスト」とは、 介護者が、介護されるお年寄りを相手に定期(日課)不定期(思いつき)を問わず マニュアル的に「あな…

  • 2023.11.14 『老い衰えゆくことの発見』

    途中まで進み、「あああ…この本、読んだことあるような…」という気がした。 しかし、初めてのような新鮮な気もちで終わりまで読んだ。 (確かめると、やっぱり2年前の6月に2回にわたり記事まで書いていた。 ほとんど忘れていた。記憶力の衰えをすごく感じる。 しかし、「忘れる」からまた新鮮な気もちになれると前向きに考えようっと。 これからもっと忘れやすくなるのだから。 2年の間に、ツレの脳梗塞発症のこともあり、それまでは少し余裕を持って構えていた「老化」 「老い衰えゆくこと」を痛感した。 同じ本でも2年前と比べ、読む姿勢の真剣さが増した気がした) 『老い衰えゆくことの発見』 天田城介・著 (グーグル画像…

  • 2023.11.10 教誨師

    「死刑」制度は知ったときからずっと気になっている。 「死刑」制度。 (国家《公的な権力》が個人《被害者は死亡してもういないから、家族など親近者》に代わって 加害者を制裁《殺》し、恨みを晴らそうというもの。 「恨みを晴らす」のは時代劇では私的制裁「敵討ち」が出てくるけれど、ときどき失敗する。 これを公的権力が100%失敗なく確実に行う。 《個人的には、実際にそういう立場になったらわからないけれど、私は恨みは自分で晴らしたい。 きっと、「成功」「失敗」なんか冷静に考えられるはずない》 ーーーーー 「恨みを晴らす」とはいうものの、死者はいないので被害者本人には「恨み」は存在しないはず。 しかし、残さ…

  • 2023.11.7 ヒトの未来

    今日は③、「ヒトの未来」ということです。 ーーーーーーーーーー 「〈ヒトの未来〉 従来のコミュニケーションは、人と直接会って話をするというアナログ的なもので、… (お互いの)見た目や声の調子、雰囲気が重要な情報源でした。 (ところが、電子媒体 デジタル信号情報では)ある種のアバター(分身)と言ってもいいかも… デジタルコミュニケーションではアバターの出現は日常化… AIの出現で人類の進化の方向が変わる? … 進化的には、AIとうまく付き合える人が「選択」されるのかもしれません。… いちばん困るのはコンピューターウィルス(サイバー攻撃) … (AIの)使い方を間違うと、かなり危険だと思っています…

  • 2023.11.3 多様性のために死ぬということ

    今日は②、「多様性のために死ぬということ」 〈多様性のために死ぬということ〉 子供のほうが親よりも多様性に満ちており、生物界においてはより価値がある、 つまり生き残る可能性が高い「優秀な」存在… 親は死んで子供が生き残ったほうが、種を維持する戦略として正しい… せっかく有性生殖で作った遺伝的な多様性を損なわない教育(が大切)… ヒトの場合、多様性を「個性」と言い換えてもいい」 ーーーーーーーーーー 現代は「生物多様性」の必要性、たいせつさが地球規模で叫ばれているが、 私の子ども時代はまったく、若いころもまだ聞かなかった。 (私が聞かなかっただけかもしれないが、覚えがない) 「多様性」は、種類の…

  • 2023.10.31 「死」も進化が作った生物の仕組みの一部

    「生」や「死」について若いころからヒマがあればいろいろ思い、考えたけれど、 もちろん、いまもわからない。 わからないけれど、歳を重ねたからそれなりの人生経験を積み、 そのうえ今ではヒマはすいぶん増え、自分の人生では経験できないことを テレビや読書などから知り、幅が拡がりつつあることだけは確かだ。 (でも、知ったことが増えたからといって「正解」《があるとしたら》に近づいたとは言えないが、 いろいろな見かた、考えかたができれば「世界」が拡大した気がするので嬉しい。 「世界」が拡がった気がするのは確かに嬉しいけれど、あくまで気分の問題で、 実際は何かを選べば何かは捨てなければならない。 「人間は限り…

  • 2023.10.20 『新しい風土記へ』

    書名の「風土記」と鶴見俊輔さんに惹かれて読んだ。 『新しい風土記へ』 鶴見俊輔・編著 (グーグル画像より) この本は鶴見俊輔さんが各界で地道に活躍されている何人かの方との対談集。 対談されているようなことが新しい文化、風土になってほしいとの 願いが込められている。 鶴見俊輔さんといえば、ずっと前にここでも書いた(2020.8.11)言葉が とても印象的で、いまもときどき心に浮かぶ。 「どんな人でも、家のなかでは有名人なんです。 赤ん坊として生まれて、名前をつけられて、有名な人なんですよ。 … 人間がそれ以上の有名というものを求めるのは間違いではないかと思いますね」 (そのときの記事からその箇所…

  • 2023.10.17 『ぼくらの戦争なんだぜ』(後)

    今日は肝心の本の中身。 強く感じた二つのことを書きます。 ① 無理してわかる必要はない ② 「小さなことば」をたいせつに ーーーーー ① 無理してわかる必要はない (これは、著者が本のなかで引用されている古市憲寿さんという若い方の考えです) 「想像を絶するような光景を写した映像、…を見るとき、ぼくたちは、「かわいそうに」とか 「無残だ」とか「残酷だ」といった感想を持つよりも、どう感じていいのかわからない、 と思ったりするのではないだろうか。 それは、ぼくたちが知っている「日常」のあり方とは、遥かに異なっていて、そのようなあり方を、 どう理解すればいいのか、頭脳では理解していても、おそらく、ぼく…

  • 2023.10.13 『ぼくらの戦争なんだぜ』(前)

    前の記事にシーラカンスのことを書いた。 (「ガラケーで間に合ってます」という私も十分、シーラカンスの仲間かもしれない。 が、まだガラパゴス程度) その魚が「生きた化石」といわれるほど長続きしていることを想うと、 どうしても自分のこと、ヒト、人間、人類を思ってしまう。 ーーーーー 4億年という地質学的な、すごく贅沢な時間が経ったあとのヒトの変化した姿は 想像できない。 (「進化」にしろ「退化」にしろ「変化」があることはヒトが長続きしている《あり得ないか》。 実際は、現在の人類の調子なら4億年に比べれば火花のような100年も持たず絶滅すると思う) しかし人間はしぶといので、一旦は絶滅しても、地球環…

  • 2023.10.10 シーラカンス

    あの魚! 『「四億年の目撃者」シーラカンスを追って』 サマンサ・ワインバーグ という本を読んだ。 子どものころから何度も聞いた。 台所など生活圏内に棲息する身近なゴキブリと同じく「生きた化石」といわれる。 けれども(人間にとっての)価値は気が遠くなるほど違う 魚なのにあまりに古くて珍しいので、その名はいつの間にか人間にまで広げられ 「時代遅れの変人」の別名にまでなった。 (しかし、「持続性」「長続き」の価値が大きくクローズアップされている現代、 「時代遅れ」は人類そのもの。 《「ヒト」は四億年も続くわけない。シーラカンスに失礼な気がする》 四億年も経たないうちに、新しい地球の支配者により、「ヒ…

  • 2023.10.6 伝統や文化

    ■ 法に触れさえしなければ(合法的なら)何をしようとかまわない風潮 (弁護士の仕事は《訴訟の内容によってはそこに倫理はあるのか?と首をかしげることがあろうと》 相手を論破し勝訴すること。 弁護士に欠かせない能力は、詭弁としかいえない論理《屁理屈》を弄しても、カネを払ってくれる クライアント、お客さんの利益を守ること) ■ 人間としてのプライド、矜持が不要な社会が到来しつつあるような (アメリカではトランプのような人物が大統領になったし、現在、裁判中であっても再び大統領を 目ざしている。 トランプは通常の広告・宣伝、パフォーマンスに努める選挙戦術だけではなく、新しい戦術として 時代の先端技術、ネ…

  • 2023.10.3 ネオリベラリズム

    「今の日本はどういう社会、世の中なのだろう?」「他はどうなのだろう?」 若いころから社会や時代というものが気になった。 (それはいまも変わらないが、若いときは「気になる程度」が大きく、日本は変えなければならない とまで思い、ビラ配りやデモをした《今は全然》。 長くこの国で生きてきて《「長い」と感じるのは自分の勝手。物差しを何にするかで一瞬の花火にも 満たない人生》、社会には無力感ばかりがつのるけれど、結果として社会が変わるかどうか関係なく 一個人として、「あって欲しい、なって欲しい社会、世の中」を目ざして生きている人が眩しい。 先日、愛読しているシカリさんの「ジャニーズ」問題の記事を読み、マス…

  • 2023.9.29 壊れた脳と生きる

    ツレが脳梗塞を発症してから、もう半年が過ぎ去ろうとしている。 (ウソと言いたいほど時間の速さ、それ以上に「日にちぐすり」を強く感じている。 症状の改善が時間の経過とともに進むことは、脳梗塞のマニュアル本にも書いてあった。 忘れることが多いとか、料理など何かに集中しているときに話しかけられると《急な刺激があると》 混乱し、それまでしていたことがわからなくなるので「黙っていて!」と言うことなどは変わらない。 けれど、退院してからしばらく続いた「こんなことで何で泣く?」というような沈みがちな気分、 気の低下がだんだんよくなった《そればかりか、以前のように「バカ・アホ・マヌケ…」と私を おちょくること…

  • 2023.9.26 フランクルの「人生の責任」

    ③ フランクルの「人生の責任」 人は望んで生まれるのではないから、つまり能動的に生まれるわけではないから 「人生」と「責任」は関係ないと思われる。 しかし、「生まれる」「誕生」だけを見れば受け身、受動的であり、 「偶然」に支配されているようであっても、(「たまたまこうだった」といえるけれど) 長い目で人生を見れば、「責任」は生きる主体、当事者は自分だという強い思いが あるところにしか生まれないから、主体的に生きようとすれば関係ない とは決して言えない。 (私もフランクルの『夜と霧』、『それでも人生にイエスと言う』も読んだが、 熊谷さんのように深くは読めなかった) (グーグル画像より) ーーーー…

  • 2023.9.22 「ハイデッガーの蜜蜂」

    今日は、②「ハイデッガーの蜜蜂」。 (「ハイデッガーの蜜蜂」とは、ドイツの哲学者ハイデッガーが蜜蜂を用いたある実験について 言及したことを、著者の國分さんが「ハイデッガーの蜜蜂」と命名して述べたものです) (グーグル画像より) 「21世紀の人間は、アマゾンで何かを買ったら一日もしないうちに届いてしまうような、 いわば欲望が瞬間的に満たされる空間に生きている。 そこでは、欲望が自分のなかで醸成されるような溜めも、発酵されるような時間もない。 すべてがダダ漏れになっている。 … 僕は21世紀の人間に対して、この実験台にされたミツバチのようなイメージを持っています。 ある種の傷の否認(おなかの切れ目…

  • 2023.9.19 「外在化」-「免責」から「引責」へ

    今日は①、 「外在化」-「免責」から「引責」へ ということです。 (著者たちは大学の先生で、抽象的な言葉が多い。 で、私は頭が痛くなりますが、いわれていることはよくわかります) ーーーーーーーーーー ①「外在化」-「免責」から「引責」へ 「「外在化」 「免責」から「引責」へ 一度それらの行為(責任を問われる行い)を外在化し、自然現象のようにして捉える、 すなわち免責すると、外在化された現象のメカニズムが次第に解明され、 その結果、自分のしたことの責任を引き受け(引責)られるようになってくるのです。 … (國分さんの一般向け公開講座で、「自由意志など存在しない」というスピノザの言葉を聞いた ある…

  • 2023.9.15 〈責任〉と「中動態」

    いろいろな想念がわき、思ったり考えることがある。 「いろいろな想念」のうちには、死ぬまでには知りたい、わかりたいなぁと 思うことがある。 (残った時間は少ないので、「知る・わかる」といっても自分なりに納得できればいい) しかし問題は、「知りたい」「わかりたい」ことが漠然としていて何なのか?… よくわからないこと。 しかし、ある本を読んだ後に(結果として)それが何なのか(何だったのか)わかった 感じがすることがある。 それで読書する。 (ブログ記事で読書感想を書くのはだいたいそうです。 ときどき、自分にとって「大発見」があり、8月15日の「男のセリフ」もそうだった。 いまから感想を書くこの本もそ…

  • 2023.9.12 『一流家電メーカー「特殊対応」社員の告白』

    パソコンがトラブルに遭えば、まずはメーカーのサポートサービスに電話をかけ 指示に従う。 (私はそうしたし、たぶん誰もそうすると思っている) 軽いものだったらそれで解決し、重かったら修理に出すことになる。 ーーーーー この本を読み、 「事実は小説より奇なり」は、ホントだと思った。 現実は凡人の想像では追っつかないことを知った。 (こういうことが実際にあることを知り驚いた) 本は深刻な話が中身となっていますが、「はじめに」で述べられているように 「告発」が目的ではなく「告白」です。 内容の深刻さにかかわらず、おもしろく読めるのは、著者のユーモアたっぷりの 人柄(だから、これほどの困難・苦労がいっぱ…

  • 2023.9.8 「律」に学ぶ

    録画しておいた番組『世界ふれあい街歩き』を見た。 歩くところは仏教国ブータンの首都ティンプー、同じく仏教国タイのチェンマイ。 ーーーーー ■ティンプーは、ブータンの首都とはいえ日本の地方の小さな町という感じ。 さまざまなマニ車(経典や真言が収められており、回すことで唱えたとされ功徳があると 信じられている。街のあちこちには公的な大きいものが置かれ、私的な小さい携帯可能なものまで いろいろとある)が見られ、多くの人々が功徳を求めて回す。 国民はみんな敬虔な仏教(チベット仏教)徒、信者なのだ。 (グーグル画像より) ブータンは国の目標として、国民みんなが幸せを感じられることを掲げている。 あるシー…

  • 2023.9.5 「障害」とは? 「能力」とは?

    「障害」とは何らかの「能力」に支障をきたすことだともいえる。 しかし、そもそも「能力」とは何だろうか? それが支障をきたした「障害」とは? (この本を読んでいて、そんな疑問が湧きあがった。 私は平衡障害を負うまでは、ふつうに《人なみに》走れたり跳べた。が、いまではできない。 自動車も運転できたが、視界は揺れるし二重に見える障害もあるので事故を起こす前にやめた) ーーーーー 「〈個人モデルから社会モデルへ〉(障害に対する根本的な見方で、よくいわれる) 個人モデルは障がいはその障がい当事者の皮膚の内側にあり、 その当事者が努力したり、治療・リハビリによって治すべきものととらえる。 社会モデルとはそ…

  • 2023.9.1 コミュニケーション

    私は長い間、社会福祉の仕事をしてきたけれど「障害者福祉」ではなかった。 「障害福祉」とりわけ「重度障害」は、同じ福祉でも「福祉」という言葉では 一括りできないのじゃないのじゃないかとずっと気になっていた。 重度の障害のなかには「コミュニケーション」障害がある。 コミュニケーションは、あまりに日常的、あたり前にしているので、 もしコミュニケーションがとれなくなったらと、想像すると………わからない。 前に『なぜ人と人は支え合うのか』(渡辺一史・著)という本の感想を書いたけど その本で紹介されていた天畠大輔さんという、14歳のとき病気入院した病院の 医療ミスによって重度障害者になった方の自叙伝のよう…

  • 2023.8.29 「重力」という発想

    人間をテーマに、誰もが興味をもちやすくなるよう、映像をふんだんに使い、 わかりやすく話す『ヒューマニエンス』というテレビの科学情報番組があります。 凄まじい科学・技術の進歩を知って驚くことが多い。 まだわかっていない、明らかになっていないことはレギュラー出演の織田裕二と ゲストの(テーマごとの)専門家(だいたい科学者)と、回ごとの招待者の3人が「妄想」 自説を述べる。 (グーグル画像より) 初めのころは身体の構造と機能・働き、運動、感覚などでしたが、 なんせ人間がテーマだから、話題は尽きない。 ついに先日は「宇宙」だった。 ーーーーー ゲストの専門家は宇宙飛行士の野口聡一さんだった。 野口さん…

  • 2023.8.25 『途方に暮れて、人生論』

    ある本を読んでよかったと思ったら、またその著者のものを読みたくなり、 保坂和志さんの、こんどは『途方に暮れて、人生論』。 (グーグル画像より) ①「人生を感じる時間」 ②「いまの状況にまんぞく…」 という二つのことが心にとても強く響いた。 それだけ書きます。 ーーーーーーーーーー ①「人生を感じる時間」 「最近、道を歩いていたり、部でぼんやり外を眺めたりしているときに、 〈有名人の人生〉というのが頭をよぎっていく。… 普通の人の何倍もの密度があったと言っても、普通の人の人生というのは、 密度ではなく空虚さによって実感されるようなものなのではないか、と最近私は思う… 家の中の猫たちだけでなく、ノ…

  • 2023.8.22 雨音の静かな傘

    しばらく前の地域ニュースで、降ってくる雨の音があまり大きくしない傘が 作られたという話を聞いた。 「雨」「傘」と聞いたら「雨、雨、降れ、降れ、母さんが…♪」が浮かんだ。 雨の傘に当たる音が小さい、静かな方がよいとは…?… (その意味がすぐにはピンとこなかったのだった) (グーグル画像より)ーーーーー もちろんすぐにわかった。 とても心あたたまる話だった。 あるとき、傘を作る家内工業のような小さな会社のご主人(社長さん)のもとに 視覚障害者の方からの要望、お願いの声が届けられた。 降りの強いときは雨の音が大きくなり、雑音となって周囲の音がよく聞こえず、 またいろいろな音を聞き分けにくく、危ない目…

  • 2023.8.18 川、山、海 そして地球

    続けざまに川、山、海、地球の本を読んだ。 『川はどうしてできるのか 地球のミステリーツアーにようこそ』 藤岡換太郎 (グーグル画像より) 『山はどうしてできるのか ダイナミックな地球科学入門』 藤岡換太郎 『海はどうしてできたのか 壮大なスケールの地球進化史』 藤岡換太郎 『生命と地球の歴史』 丸山重徳 磯崎行雄 (グーグル画像より) よく紹介させていただいている愛読の爽風上々さんのブログに『川はどうして…』 が紹介されていたので読んだ。 すごくおもしろかった。 「山」や「海」も読んだが、たがわずおもしろく、それらに刺激され、 自分で見つけて「地球と生命」も読んだ。 (「川」「山」「海」は同じ…

  • 2023.8.15 8月15日と「団塊」

    きようは「敗戦」の日。 (「敗戦」という事実を、「終戦」と言う感覚とはなんだろう? 日本には「逃げるが勝ち」という諺があるけれど、戦争中は日本人は逃げられなかったから 「負け」て「終わった」という流れで、終結の方に重きをおけば「終戦」か。 ところで「逃げる」ということ。 戦争中はふだんから「逃げてはならない」と教え込まれていたから、戦場の日本兵は 「生きて虜囚の辱を受けず…」の戦陣訓にあるとおり兵は逃亡は許されず、 国民にはいざというときの「玉砕」という死を用意していた。 沖縄ではアメリカ兵に追い込まれ、みんなで死を選んだ。 その集団自殺を「玉砕」と、まるで花火でもさく裂して美しいことかのよう…

  • 2023.8.11 『なぜ人と人は支え合うのか-障害から考える』 ②その他(①以外)

    今日は②「その他」、三つのことです。 ア 「「感謝する-感謝される」「支える-支えられる」という両者の関係性も、 往々にして逆転してしまうような不思議な場面がありました。… 鹿野さん(難病「進行性筋ジストロフィー」)は私たちに、”障害者としての身体”を差し出して、 私たちが「求めるもの」や「人助けの場」を提供してくれていることになります」 イ 「〈「障害者が生きやすい社会」は誰のトクか? 「あわれみの福祉観」ではなく〉 よくいわれる「障害者も健常者も同じ人間だ」という言葉(の「欺瞞」) 健常者と障害者とでは、背負っている生の条件が明らかに異なります。… (障害者同士でも大きな違いがある) ”違…

  • 2023.8.8 『なぜ人と人は支え合うのか-障害から考える』 ①の下

    今日は①の続き、下です。 ウ ・植松被告の主張は優生思想ではない (「優生思想」ということで最首悟さん《自身に障害をもった娘さんをもつ大学教授》は言う。 「そもそも大学という存在は、優秀なエリートを選抜、育成…それ以前に近代社会そのものがそう… まがりなりにも進歩思想を基盤としているがゆえに、根深い思想」 … ・障害と健常はひとつながり 植松被告のような人だって、じつは厳しい社会状況に追い詰められ、人間性のどこかを深く病み、 社会から落伍しかけている状況にあるのかもしれません。 … エ ・「素朴な疑問」と向き合う 考え始めると、障害者や老人の存在が、逆に社会を助けている面がたくさんある… 「働…

  • 2023.8.4 『なぜ人と人は支え合うのか-障害から考える』 ①の上

    『なぜ人と人は支え合うのか-障害から考える』 渡辺一史・著 (グーグル画像より) 『北の無人駅から』の著者、渡辺一史さんの本をまた読んだ。 この方はノンフィクション作家。 『北の無人駅から』と同じく、ここでも、取材しようとする人の全体と立場を 深く理解した上で、とてもていねいな取材をされ、取材した中身を深く調べ、 それらを自分の頭で熟考し、そして本にされる。 そういうノンフィクション作家としてのたいせつな態度・姿勢を強く感じた。 (それが本の中身によくあらわれている。 同時に、「ブログは自由」とはいっても、何かを主張するとき、先に「結論」「見方」ありきで 事実や現実がどうなのか確かめることなく…

  • 2023.7.31 「不真面」のすすめ

    ともかく、これをお読みください。 (愛読のよんばばさんの記事です) hikikomoriobaba.hatenadiary.com とても考えさせられた。 (私は、政治は一人でも多くの人が暮らしやすい世の中、社会にするためにたいせつなことだと考え 若いころは積極的に、以降もそれなりに関わってきたけれど、年老いたいまは、日本の政党政治に うんざりし、正直、投票さえ投げ出したくなっている) 人間、自分の思いどおりにはならない。自身ばかりか他人も。 社会も望みどおりにはならない。 そもそも、生まれたとき、人生の出発点から(後にふり返ってみれば)思いどおりに なっておらず、人それぞれの違いがあり、差が…

  • 2019.728 いまの水のみ鳥

    4年前の2月1日に「水のみ鳥」(名前は「ピーちゃん」)、同じ年の8月18日と 翌年11月10日に「その後」という記事を書いた。 水のみ鳥は、若いころ喫茶店かどこかで見た懐かしさから、たまたま旅先で見つけ 買ってきた。 アヒルのような鳥(ガラス製)の置き飾り。 くちばしが水に浸される(飲んでいるみたい)だけで、(壊れなければ)いつまでも ギットンバッコン…、シーソー遊びのような動きを続けてくれる。 ーーーーー 朝起きたら水を用意、夜寝るとき水をとり、特別な用事のないかぎり日曜以外 (日曜は休みと決めている)、忘れないかぎり、毎日のます。動かす。 いまも元気。 今日は動画でいきます。 (水飲み《そ…

  • 2023.7.25 「あるがまま」を「あるがまま」に見る

    今日は『あるがまま』を『あるがまま』に見る」ということです。 ② 「あるがまま」を「あるがまま」に見る」 「(仏教の大きな教えの一つ、「中道」は)苦行にも楽業にも偏せず、 しかも「あるがまま」を「あるがまま」に見るというところに基盤をおく… そもそも仏教は風土や気候・時代・社会に合わせて新しい経典が制作されるべきものであって、 唯一絶対の教えや聖典でなければならぬというものではない … 仏教の智慧は、「あるがまま」を「あるがまま」に知見したとき、自ら生じる働きを伴うもの… そのような働きを伴わない智慧は本当の智慧ではない… 社会的な不正を「あるがまま」に知見することは、不正をそのまま放置するの…

  • 2023.7.21 業

    『仏教思想の発見-仏教的ものの見方-』 森 章司 著 「仏教的ものの見方」という副題にとても惹かれて読んだ。 実家は浄土真宗だけど、私が仏教に目覚めたのは、親鸞ではない。 (後に有名な「悪人正機説」という教えを知り、大きな衝撃を受けた) 突然の事故で障害者になり、「これからどういう気もちで生きようか?」と迷い 悩んでいたとき、本屋でたまたま手にとった禅語の文庫本からだった。 初めは禅語に凝縮された禅の教えだったが、そのうち仏教全般になった。 仏の教えだ。 仏教のどの本も、ためになることがいっぱいあった。 ところが、どれほど読んでいる最中、読後は感激していても、 悲しいかな私はすぐ忘れる。 忘れ…

  • 2023.7.18 〈私〉のこの肉体だけは、〈私〉にとって奇跡

    最後です。 この本は〈思考〉〈環境〉〈世界〉…といった概念がよく使われ、抽象的な議論が 多いので脳を酷使する。ちょっと疲れ、続けて読むのがイヤになった。 けれどもガマンし、大切なことが述べられていると思い、ムリして読んだ。 (ガマン、ムリをしてでも読んでよかった) 今日のところでいちばん深くうなずいた部分は 「私が存在することの自明性について」の部分と、 その私(自分)というのは、(あたり前のことですが)必ず「肉体」をともなっている ということ。 私のこの「肉体」は、私でしかあり得ないという事実。 「〈私が存在することの自明性について〉 「死」も「私が存在することの自明性」も…私たちの中に定着…

  • 2023.7.14 思考と視覚イメージ

    今日は2回目です。 「思考は第一義的には生きていくために、動物ほどは鋭くはない感覚の埋め合わせをしている。 動物は〈環境〉に対応して生きている… 人間にはまだ〈環境〉はあっても〈世界〉はない。… 〈世界〉という概念が生まれるためには、抽象思考が可能になっていなければならない。… 抽象を取り込んで以来、思考とは〈環境〉を離れて〈世界〉を対象とするものとなった … 科学とは、〈世界〉を〈環境〉のメタレベルと位置づけ、〈環境〉の中から個別の〈環境〉を離れた すべての〈環境〉に適用可能な一般則、つまり〈世界〉の法則を見つけ出そうとする考え方… かたや宗教や神話の〈思考〉が、〈世界〉を作り出す際に〈環境…

  • 2023.7.11 『世界を肯定する哲学』

    『世界を肯定する哲学』 保坂和志・著 (グーグル画像より) 書名にコロリと惹かれて読んだが、哲学者の本ではなかった。 (保坂さんは小説家だった) 「世界は…人生は…」という話が哲学的にでなく文学的にされている感じだった。 書名のとおり、それらを「肯定する」方向で書かれていた。 文学的な感性が足りない私には、内容がちょっと難しかったけれど、 読んでほんとうによかった。 しかし、何がよかったのか言ってみ!と言われたら、しどろもどろになって うまく言えそうにはない。 (すごく大事なことが述べられていたと思うので、ブログ記事として書くことによって反芻、 吟味してみたい。著者の意をきちんとくみ取っている…

  • 2023.7.7 「あれあれ以降」

    7月。夏になった。 あのときは(ことしは早く)ソメイヨシノは散り、遅咲のシダレやハナミズキが 満開だったことが印象ぶかかった。 3か月すぎた。まだ3か月か… でも、もう3か月。 ーーーーー 障害者。 自分のような、杖つく姿からハッキリとわかるものではなくとも、ツレも仲間に なったと思っている。 その私は今月でちょうど17年目の(自慢じゃないが)「大先輩」。 彼女なんか「ヒヨッコ」だ。 (「大先輩」すぎ、「ヒヨッコ」の心細さ戸惑いに鈍くなっている) ーーーーー 私の障害が少しでも軽くなるようリハビリなど正攻法だけでなく、秘策も凝らし 試してくれた(効果のほどはどうだったのか…ウ~ン?わからない)…

  • 2023.7.4 「村はみんなの「まぼろし」ー(石北本線・奥白滝信号場)」

    今日は最後の話、「村はみんなの「まぼろし」ー(石北本線・奥白滝信号場)」 いわゆる「平成の大合併」。 形としては対等な「合併」という立場をとりながらも、 実質は大が小を飲みこむ「吸収」に近く、近隣のより大きな町といっしょにされ、 いとも簡単に消え去った白滝村の無念。 「(「住民投票」を行い合併の是非を問うことは、小さい村にとっては村を二分する危険がある。 それでも村の地方自治を護ろうとする住民もいた) 確かに、間接民主制(議会制民主主義)においては、選挙で選ばれた首長や議員に、 行政や政治をまかせるというのが原則である。 そして、本来は彼らがすべき判断を、住民に丸投げするがごとき住民投票は、議…

  • 2023.6.30 「普通の農家」にできること(札沼線・新十津川駅)

    今日は、「普通の農家」にできること(札沼線・新十津川駅) 「(「科学的知見」に基づいた防除技術や施肥技術の導入) 私は、「施肥設計」(作物に応じた科学的な肥料のやり方を事前に考えること)や 「発生対応型の防除」(現実に発生した病害にのみに対応した防除方法を施す)という 農家にとっては常識ともいえる概念を…知らなかったし、現代ではコメの「おいしさ」を理化学的に 計測でき、とりわけ「タンパク値」は農家のウデ(施肥技術)によって左右されるがゆえに、 政策上のモノサシとしてすでに利用され、農家やコメ産地がシビアな競争に晒されているという 現実をまったく知らなかった。… 有機農業は全体のわずか1%にも満…

  • 2023.6.27 タンチョウと私の「ねじれ」(釧網本線・茅沼駅)

    きょうは①「タンチョウと私の「ねじれ」(釧網本線・茅沼駅)」 「タンチョウと私の「ねじれ」(釧網本線・茅沼駅) もめごとのタネは、つねに人間の側にあるのであって、タンチョウや自然の側にはない。 タンチョウを狩猟の獲物にしたり、かと思えば一転、手厚い保護の対象にしたり、 観光の客寄せにりようしたり…と、 ものごとを複雑にしているのは、いつも人間の方なのだ。 … 「でも釧路湿原を逃げ場所に選んでくれたってのは、ある意味では正解だったんですよ。 もしそれが札幌や旭川周辺の水田地帯だったとしたら、昔の強い農薬で全滅してた可能性があった。 トキやコウノトリの二の舞だったかもしれない」 … 「(タンチョウ…

  • 2023.6.23 『北の無人駅から』

    何かでこの本のことを知り、書名にも惹かれて読んだ。 分厚く(800ページ近い)2500円と高価。 もちろん図書館から借りた。 こんな本が気軽に読める図書館のありがたさを、あらためて感じた。 (働いていたときは「借りる・返す」のが面倒で、図書館を利用したことはない。 夜のホッとした時間は新聞に費やされ、その後の読書は眠くて2、3ページがやっと。 で、読みたい本は少なく買っていた《少なくても「積読(ツンドク)が多かった》) 全部で七つの話がある大著で、私の読書力ではずいぶん時間がかかり、結局 四つはとばした。 半分も読まなかったが、買っても惜しくないほどよかった。 『北の無人駅から』 渡辺一史 (…

  • 2023.6.20 「複製技術時代」

    「複製技術時代」 「複製技術時代 (具体的な個別の文章は)それぞれの生の文脈から生み出され、その中で書くことに尽きている。 一方、作品として流通する文章の評価には、当然のことながらマーケットメカニズムが作用する (つまり、「売れなくてはダメ」「売れる文章、売れる小説が求められている」) … 現代という時代精神をたとえ不愉快に感じていたとしても、私たちは間違いなく現代人である。 不愉快なるがゆえに、現代を去ることはできない。 … 職業として文学を書く人も、インターネット上のブログに日記を書く人も、 それぞれの個別の生の切実さから言葉を吐いていることに変わりはない。 一人称的な生の営みとしては、そ…

  • 2023.6.16 「世界を引き受けるために」

    「世界を引き受けるために」 大風呂敷を広げるような話ですが、私もよく広げます。 (でも、「大ぼら吹き」とは思っていない) 実際がどうでも、気もちだけ壮大であっても、世界の創造主(もしも、そのような方が おいでになれば、これ以上ない寛容なお方に違いない)は、お許しになるに違いない。 ーーーーー 「現代物理学は、統計的な意味における決定論に立つことになった。… 同じような「個」を沢山集めてきた集団の統計的なふるまいについては、 原理的には完全に予言できる。 … (苛酷な環境の南極で、ペンギンたちが、そのまま寒さと飢えに耐えつづけて死ぬか、 待ちかまえるオットセイに食われる危険を冒しても生きるため、…

  • 2023.6.13 「偶有性」 「たまたま」

    『脳のなかの文学』 茂木健一郎 ・著 という本を読んだ。 たくさん刺激されることがあった。 が、初めにあった「世界を引き受けるために」と、終わりの「複製技術時代」の 二点だけ、次回と次々回に書くつもり。 その前に、今日はその二点を含めて本全体を貫いている(と、読者の私は感じた) 著者の人生観、世界観の「底」というか、根本的な思い、考えに触れます。 ーーーーーーーーーー それは、「偶有性」ということ。 私は前に、茂木さんの本から「偶有性」という、物事のとらえ方、見方を知り、 強い衝撃を受けた。 「自分は茂木健一郎だが、茂木健一郎でなかったかもしれない」 「茂木健一郎と生まれて、茂木健一郎として生…

  • 2023.6.9 老いの価値

    最後は、③山本周五郎の言葉と深沢七郎の『楢山節考』からの「老いの価値」 ということです。 ーーーーー 「(山本周五郎) こうした人生の見えざる真実を後からくる若い世代にしっかりと伝えられるのは、 やはり人生の先を歩んで修羅をくぐってきた老人なのである。 … (深沢七郎の『楢山節考』より)又やんにはおりんとおなじような命の連なりにたいする確信が なかったからではないか。 死をあらんかぎり拒否し生にあらんかぎり執着する現代人は、 楢山で惨死した又やんとおなじではないか。」 ーーーーーーーーーー 山本周五郎の小説は、弱い人々、庶民の哀歓を感動的に描いたものが多い。 私は映画やテレビでドラマ化されたも…

  • 2022.6.6 幸田文と田辺聖子の言葉

    今日は、②幸田文と田辺聖子の言葉です。 「(幸田文) 老人が軽いというのは、…「時間の扱い方が軽い」ということで、 「時間を軽く障りなく、淡々と扱っていく」ということである。… (それは「大事に扱わない」ということではなく)軽やかに扱うということである。… たとえば、日がな一日、あきずに花に見惚れている、「軽ささえも忘れているような時間を送る」 「老後の仕合せとは、小さい仕合せを次々と新しく積み重ねていくことではないか。… 仕合せには、永代続くものなどない…」 「改めてあたりを見廻すと、今まで気づかなったことで、なんとまあ興ふかいことがたくさんあるか、 おどろくのです」 (田辺聖子) 「私は何…

  • 2023.6.4 老いを読む

    生きているから歳をとる。あたり前の事実。 その客観的な事実は自分にも当てはまり、たくさん年を重ねてきた。 しかし、その「事実」は私のアンテナに引っかかり、「意味」をもち「価値」にも なっている。 ともかく、私はジジイになった。 不思議な感覚だが、(鏡の前に立つのは別にして)老人になった実感はさほどない。 しかし、「ずいぶん歳とったもんだ…」という感慨は強い。 ーーーーー 『年をとって、初めてわかること』 立川昭二 (グーグル画像より) しみじみとした気分になった。 読んでよかったと思う本に出あえてよかった。 これも幸せの一つ。 本は小説、文学に表された老いをいくつか紹介し、著者の感想を述べたも…

  • 2023.5.26 差別

    いま住んでいる街は古い歴史のある土地だからか、歩いていると、しょっちゅう、 神仏に出あう。 私は自称「仏教者」だがいい加減な人間なので、いちいち神仏の区別はしない。 出あえばルーティンのごとく、みな(一方は杖を持っているから)片手で合掌している かのようなポーズをとる。 (よく出あうから面倒なので、鳥居を前にしたからといって「二礼二拍手一拝」に変えない) 仏教はすばらしい教えだと思っているので、死ぬまで学びたい。 というわけで、 ーーーーーーーーーー 『ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか』 佐々木閑 (グーグル画像より) を読んだ。 仏教は、ゴータマがインドでつくったが、身分差別の「権化…

  • 2023.5.23 光合成

    最近の記事(『死ぬ意味と生きる意味』)に、 ある「事実」も、それが自分と関係をもたないならば(関係ないと思い、考えるなら) その「事実」は当事者(自分)にとって「意味」(価値)はない、との引用を述べた ある「事実」は、自分の「アンテナに引っかかった」(本での表現)とき、 「意味」や「価値」をもつ。 ーーーーーーーーーー 「死ぬ生きる」のような大事ではないので、私のアンテナに引っかかりかけたまま ずっと放っておいた「光合成」。 詳しく知りたくて、 『光合成とはなにか-生命システムを支える力』 園池公毅 という本を読んだ。 「光合成」は、大げさな表現ではなく、ほとんどすべての生きもののいのちに 関…

  • 2023.5. あれ以降のこと

    あっという間にひと月が経ち、もうじき二か月だ。 これだけの期間でもたしかに良くなった。 が、私はまだまだ良くなると、ひそかに思っている。 (別に「ひそかに」でなくてもよいのだが、本人は病気のことを気にしており、私が「気にしない」 「元気を出して」という意味のことを能天気な口調でしつこく、うるさく言うのでウンザリしている。 で、自分の心の内でひそかに思うだけにした) ーーーーー 「元気がない、力がない」という感じが2週間くらいは大きかった。 もちろん、単に「元気がない、力がない」のではない。 障害のあらわれは個人によりいろいろあるらしく、本に述べられていた中に 「ああっ、これこれ…」という当ては…

  • 2023.5.16 事前指示書(リビングウィル)

    ②事前指示書(リビングウィル) 「事前指示書」も「リビングウィル」も、初めて知ったのは中年を過ぎてから。 (とても大事なことなので、もっと早く知りたかった。 生きておれば悲喜こもごも。突然、不幸や災難に見舞われることもある。 そんな深刻なこと、一大事はいつ起きるかわからない。子どものときから知っておきたい。 《子どもは人生経験が不足しているので実感をともなった深い理解はむずかしいけれど、 年齢に応じた「事前指示書」「リビングウィル」の理解はできると思う》 できれば学校教育のカリキュラムでも取り上げてほしい) よりよく生きるために「死」を想うことは大切で、「メメントモリ」という言葉も 知ってはい…

  • 2023.5.12 死ぬ意味と生きる意味

    『死ぬ意味と生きる意味-難病の現場から見る終末医療と命のあり方』 浅見昇吾/編 「死ぬ意味と生きる意味」、年ごろになって一人前に私も思い考え、悩んだ。 これぞといった一つの答えは出なかった。 (一つには絞れないがヒントを含め、いろいろ出た気がしている) いまも、これぞといった一つの答えは見つからないが、生きている限りは問い続け 答えにたどり着きたい。 「死ぬ意味と生きる意味」、いくら迷っても一つの答えは出ないと思う。 わかったと感じたときは死ぬときで、そう感じたのは錯覚、幻想だと思う。 それでも、死ぬそのときまで考えたい。 ーーーーー 題名に魅せられて読んだ。 二つのことだけ書こうと思います。…

  • 2023.5.9 マトリックス

    今日は「マトリックス」。 「マトリックス」とは、その物事の「基盤」、「母体」のこと。 この本での「マトリックス」のいわれかた、使われかたは次のとおり。 ーーーーー 「〈資本主義社会の「マトリックス」を超えて〉 学問の領域にも分業制が浸透していく中で、「哲学」もまた資本主義社会で「役立つ」もの であろうとしています。… (だが)必要なのは…物事を総合的に考える、本来の意味での「哲学」です。 〈「私」という罠〉 人は満員電車の中でコミュニケーションの回路を遮断し、ギュウギュウに詰め込まれてなお、 「それぞれの私」として存在するように努めることになる… (身体レベルでの現実においては、自分を守り維持…

  • 2023.5.5 ロックとルソー

    『資本主義に出口はあるか』 荒谷大輔・著 私たちが生活している現代の日本は「資本主義」社会といわれている。 が、「社会主義」社会といわれる現代の中国も、旧ソ連だったロシアなども、 生きるための土台、経済は「資本主義」化、よく似てきた感じがする。 それに、長く続いているから「人類にはこれしかない」「これは普遍、絶対」と 思われてきているような「資本主義」は、ひと口に「資本主義」といっても、 現代と昔とでは大きく違っているのじゃないかと思う。 (もちろん「資本主義」である限り、基本、土台の仕組み、システムは変わらない) 私が子ども、若者だったときは社会に労働組合は普通にあり、労働争議は普通に 起き…

  • 2023.5.2 「哲学的思考」

    『はじめての哲学的思考』 苫野一徳・著という本を読んだ。 「哲学」的な考え方、発想については前にも同じような本を読んで記事を書いた ことある。 (→2月7日「そもそも」) それとはまた別な観点、書き方の本で、とてもおもしろかった。 私としては二つのことに強く惹かれた。 ① 「信念の対立」 ② 「『意味の世界』と『事実の世界』」 ーーーーーーーーーーー ① 「信念の対立」 「〈信念の対立をどう乗り越えるか〉 どちらの信念が絶対に正しいかと考えるのをまずやめること… お互いの信念がどのような欲望や関心から編み上げられたのかを互いによく吟味… 僕たちの信念は実は欲望の別名… 信念の次元で議論し合うか…

  • 2023.4.28 こんなことがあった③(お終い)

    医者にかかり、即、入院した。 (「入院した」というより、私には「入院してくれた」という言いかたの方がピンとくる。 ついに、こっちに折れてくれたという感じだった。 《唐突だけど》偶然とは恐ろしいものだと思う。 ①ずっと前に私は脳外傷、こんどはツレが脳梗塞と、ともに頭、脳がやられたこと。 内と外。「見事」と言いたくはないけれど実に見事な偶然の一致のような出来事に、泣きたいほど 笑いたくなった。 ②こっちはどうでもいいような無理やり「偶然」とこじつけた話。 冷蔵庫の買い替えは10何年に1回くらいの、滅多にしかしないきわめて稀なことだ。 それを脳梗塞の発症前日にしていた。配送は旅から帰って数日後にされ…

  • 2023.4.25 こんなことがあった ②

    妻籠宿への旅を無事おえて、「ほんとうによかったね」と言い合った。 (「合った」は半分ホント、半分はウソ。そう口にしたのは私だけでツレはうなずいただけ) 今年の桜はとても早く、三月の終わりなのに、しかも木曽は山ぶかい土地なのに 見事に開いていた。 ーーーーー (木曽路は、古い民家や少し離れた野原、山の麓に一本のシダレ桜がよく見られた。 しかし、ソメイヨシノの並木はほとんどなかった。 妻籠宿もそうだった。桜だけでなくユキヤナギ、レンギョウ、コブシ、モクレン、花桃などが いっせいに咲き、当日は快晴だったので真っ青な空を背景に、「春が来た」という感じが強くした。 ツレに気を向けていなければならないのに…

  • 2023.4.22 こんなことがあった ①

    3月の終わりにツレが脳梗塞(医者に言わせれば軽いとのこと)を起こした。 脳卒中はよく聞く。 別に(私の障害のようには)珍しくはないのだろうが、大慌てに慌てた。 (自分が健康であることが当り前、普通、平常で、そうでないときのことを余り想ってみることが ないと、突然、重篤ではなくとも風邪ではない何かの異常が訪れたとき、「何で自分が?」 「何で私たちが?」と慌て、戸惑う。 「異常」、広くいえば身体に限らず「健康でないこと」はいつでも「他人ごと」なのだ。 わが身の実際問題になってみて初めて自分の問題となる) ーーーーー その日の朝、起きると(いつもならすぐ布団を出るのに)布団の上で両方のこめかみを 両…

  • 2023.4.18 親の事情? 大人の事情? クソくらえ!

    桐野夏生の『路上のX』という小説を読んだ。 (グーグル画像より) 物語に出てくる「JK」という言葉、流行の言葉かもしれないがどこかで聞いた。 小説はたまに読むくらい。 先の大江健三郎さんもその一人として書いていた『大震災の中で』という本に 桐野さんも東日本大震災について書いておられたので、読んでみようともうと 思ったわけだ。 この小説で描かれた「JK」とは、きわめて現代的かつ都会的な日本の風俗だけど ごくごくごく一部の現実でしかないにしても、(ロシアのウクライナ攻撃、戦争で死ぬ などの被害を受ける人たちと同じように、ごくごくごく一部かもしれず)ほとんどの人には 関係のない世界の出来事にしても、…

  • 2023.4.14 希望

    希望。 ここでの「希望」は、『人生の終わりをしなやかに』という本にあるので、 重篤な病気を前にしての希望ということ。つまり、治癒の可能性など。 だが、この言葉自体はいろいろなとき、とくに危機に陥った場合、 そこから脱出しようとするとき使われる。 病気が治る、よくなる可能性だけではなく、希望を持つことの大切さをあらためて 強く思った。 「希望」を想っていたら、突然、若いとき聞いた「♪希望という名のあなたを たずねて…」という歌が脳の奥底で響いてきた。 www.youtube.com この歌は恋の希望だけど、「希望(きぼう)」というのは、ほんとうにいい言葉。 ーーーーーーーーーー 「〈希望は現在の…

  • 2023.4.10 インフォームドコンセント

    『死について-あらゆる年齢・職業の人たち63人が…』スタッズ・ターケル著 という本を読んで、死についての感想を書いたけれど、また死についての本に 出あった。 『人生の終わりをしなやかに』 清水哲郎 浅見昇吾 アルフォンス・デーケン とてもよかった。 二つのことだけ書きます。 (きょうは、よくいわれる「インフォームドコンセント」に関したこと。 次回は、「希望」ということについて) ーーーーーーーーーー 「インフォームドコンセント」とは、ウィキペディアによれば 「「医師と患者との十分な情報を得た上での合意」を意味する概念。 医師が説明をし、同意を得ること。 特に、医療行為や治験などの対象者が、治療…

  • 2023.4.7 死について

    『死について-あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った』 スタッズ・ターケル 著という本を読んだ。 死がせまった歳になったからではなく、若いころは(誰でもそうかもしれないが) 個人の「生と死」、それが営まれる社会というものが気になった。 (私は16,7の頃、死を怖がるというよりも、それが何なのかがわからないことが不安で、 自分だけの「信仰」《寄りすがれる存在、神仏のようなものに祈る》を持ったことがあった) 本でも題名に「死」とあれば、飛びつきたくなる。 「死」は、頭や心の問題である前に、頭や心をふくむ身体ぜんたいの問題、 事柄だといえそうな気がする。 死についての本を読むとき、…

  • 2023.4.4

    『大震災のなかで-私たちは何をすべきか』 内橋克人編 という本を読んだ。 本は東日本大震災が起きてから3か月後の6月にさまざまな方によって書かれた。 いちばん初めが大江健三郎。 その人が先日、亡くなった。 (つい先には坂本龍一さんも亡くなった。 「いい人」と自分が思う方が早く死ぬと、これだけはどうしようもないと、いつものように 深いため息がでてしまって仕方ない。 文学、音楽と活躍されていた場は異なっても、お二人とも戦争反対の声を強くあげる人だった) 大江健三郎さんの小説は読んだことないので、何を書かれているのか知らない けれど、憲法九条を守れ、原発反対など社会のたいせつな問題への意思表示を き…

  • 2023.4.1 『デイゼロ 地球から水がなくなる日』

    スマホやパソコンはメディア機能がすばらしくなり、多様な楽しみかたができる ようになったので、テレビを見る人が少なくなったといわれる。 けれども、私のばあいは仕事を退いて自由な時間をもてるようになったし、 障害者になったこともあり、逆にテレビの視聴が増えた。 (見る番組はドラマ、自然や社会を描いたドキュメンタリー、地域ニュースくらいで、日に2~3時間。 障害のせいにし、面倒くさいので、自ら積極的に新しい楽しみを見つけることはしない。 そのこともテレビ視聴に向かわせている大きな要因になっている) ーーーーー テレビは、テレビ局からの一方向的な放送なので、本質は「押しつけ」。 でも「押しつけ」だから…

  • 2023.3.24 リベラルの「不寛容」

    その本のその部分に、衝撃をうけた。 ガーン… 私は、自分たちが生きている、住んでいるところ、社会、国が「自由」「平等」で あってほしいが、現実はそうではないと思っている。 私が思う「自由」「平等」な社会とは、誰もが生きやすい世の中だ。 私は、それは誰もが願っていることだと思っているので、リベラル顔をよそおって 生きにくいと感じられる世の中の出来事や動きを批判、ブーブー文句をいい、 ときには、「何でみなさん、文句いわないのかな?」とも感じてきた。 (その「みなさん」も「文句」も、自分を中心に、自分に都合よく解釈しながら) きょうの題名の「リベラルの『不寛容』」とはそういうこと。 ーーーーーーーー…

  • 2023.3.21 「脚下照顧」

    (また、連続朝ドラ『舞いあがれ』から) 最近の場面が印象にのこった。 (いまでは主人公舞ちゃんは幼友達の貴司くんと夫婦となり、プライベートでも幸せな日々を すごしている) ある風の強い日、停電になり、蠟燭をともして貴司くんと肩をならべていたとき、 彼がゆらめく仄かな蝋燭のともしびを見ながら、 「暗くて遠いところは見通せないけど、足元のような近くはよう見えんねんで」と (いう意味のことを)言った。 いっしょに見ていたツレが、「貴司くん、いいことを言うね」とつぶやいた。 同じように見ていても、ときどきボーっとするこちらは「いいこと」に 気がつかなかったが、彼女に聞いて後で深くうなずいた。 そして、…

  • 2023.3.17 「反・目的論」

    ②「反・目的論」 「自然選択には勝利という目的すら存在しない。 偶発的な異変とそれがもたらした幸運と不運があるだけだ-因果論的な運・不運ではなく、 結果論的な運・不運である。 一つの結論として、ヒトが自然から選ばれたわけではない、という教訓が得られる。… 人間は進化の目的でも終着点でもない。… 人は内輪の目的を追求しているだけであって、宇宙や自然の観点からは 人のどんな活動にも価値はないし、どんな人生にもそれ以外の意味はない。…」 生物・人類の進化というレベルだけではなく、一個人の人生にもいえることだと 老いたいまは深くうなづく。 若いときは、「自然選択」というのは、自然が自然に選り分けした結…

  • 2023.3.14 「不在の認知の困難」

    『絶滅の地球誌』 澤野雅樹・著 という本を読んだ。 (グーグル画像より) ちょっと難しかったので飛ばすところが多く、四分の一くらいしか読まなかった けれど、二つ、強く感じることがあった。 ①「不在の認知の困難」ということと、②「反・目的論」ということ (きょうは①です) ーーーーーーーーーー ①「不在の認知の困難」 不在(ない)ことを証明することの難しさ。 客観的に存在しない物事を「無」「ない」というが、人間は頭や心を自由に駆使し 想像する。 「想像」は「幻想」にもなり、客観的な有・無とは切りはなされることもある。 文化、芸術はそれでいいけれど、 科学技術、犯罪認定のように事実が問われるものは…

  • 2023.3.10 『舞いあがれ』

    「朝ドラ」というNHKの番組を見るようになったのは、脳外傷を負い、時を同じく 胃ガンにもなった2006年からのこと。 (退院前の栄養士さんの指導で、胃を全摘した者は食べた物がドロドロになるまで咀嚼、できるだけ 食事に時間をかけてと言われたこともあり、朝食と朝ドラ視聴の時間が重なり、食べながら見るのが 習慣となった。 それに、仕事への復帰はリハビリ勤務《「戦力」にはならず》で身体の都合に合わせて働く時間を 決められたので、見る時間がとれた) 退院後、長いあいだ読書は身体が受けつけず、テレビなら大丈夫だった。 翌年、『ちりとてちん』があった。 ある女性が福井から大阪に出て落語家になる話でおもしろく…

  • 2023.3.7 生物多様性

    (きょうは「生物多様性」についてですが、便宜的に四つに分けます) ■ 生物多様性 ①「〈生物多様性があるから人間社会はここまで発展できた〉 遺伝子の多様性 種の多様性 生態系の多様性 景観の多様性… 生物としてありえない能力が化石燃料によってもたらされた人間による自然環境への影響は、 これまでの生物進化の歴史の中では起こりえないほど大きいものとなってしまったのです」 … ②「ひとかたまりの大きな集団でいるよりも、…地方分散型の連結集団構造の方が、 環境変化によってどれかひとつの集団が滅んでも、ほかの集団によって補填・再生されるという形で 集団全体の絶滅リスクが低くなることが観察されています」 …

  • 2023.3.3 遺伝

    若いころ、自分は「人間」であって、「生きもの」「生物」とは思わなかった。 (あたり前すぎて意識しなかった) 今はまったく違う。 これは「老化」現象のひとつかもしれないが、人間であることを通りこし、 しばしば生物、動物としての自分を感じ、思うようになった。 (社会で生きる虚飾をはぎ落し、シンプル、身軽になったということ。 生物、動物としての血なまぐささ、脂ぎった活動的な部分は残すところ数%くらいか) こうなったのは老化と、仕事社会からの撤退のせいだけだろうか。 ただの生きものに過ぎないと強く思うようになったのは、あらゆる生命現象の源、 DNAが解明され、さまざまな場において、遺伝子の存在が大きく…

  • 2023.2.28 トイレなき経済成長のインド

    先日、よく聞くようになった「キッチンカー」の特集をテレビでやっていた。 1台では、限られた料理、メニューしか用意、供給できないけれど、 たくさん集まれば災害時に大活躍できるという。 その放送と前後して、「トイレカー」というものが紹介されているのをみた。 「トイレカー」は「キッチンカー」と似ているが、造りがちょっと大き目。 荷台にはキッチンではなくトイレが設置され、排せつ物をためなくてはならない。 (グーグル画像より) なんで「トイレカ―」? これはまったく災害目的に開発され、すでに、九州北部豪雨や熊本地震でも 避難場所の被災者のみなさんに利用してもらい、たいへん喜ばれたという。 (地球から見れ…

  • 2023.2.24 『ファシズムの教室-なぜ集団は暴走するのか』

    ファシズムはヒトラー、北朝鮮のような国だけのものではないということを 強く思った。 身近に、それとわからぬよう、そっと潜んでいるものだと痛感した。 ファシズムはヒトラー、キム・ジョンウンだけの「専売特許」、彼らだけが 体現しているのではない。 神さまとして崇め、親のように慕う無垢の国民一人ひとりがいてこそ可能なこと。 国民の圧倒的な支持がなければ、ファシズムという奇怪な現象はあり得ないことを この本で強く教えられた。 ーーーーー 『ファシズムの教室-なぜ集団は暴走するのか』 田野大輔・著 筆者、田野大輔さんは大学の先生。 この本は、田野さんが勤務先の大学の広い教室で長い間にわたり毎年実践された…

  • 2023.2.21 『ガラパゴス』

    あまりにすばらしいテレビドラマをみた。 『ガラパゴス』という。 NHKのその番組HPには、 働くこと。生きること。誰もが、幸せになっていいはずだ。 団地の一室で発見された、青年の遺体。自殺とされたその死は、大きな悪の構図によって仕組まれた殺害だった。刑事は、ある派遣労働会社の謎へと鋭く迫る! とあった。 残念なことを一ついうなら、BSプレミアムの番組だったこと。 (いつか総合で放送されてほしい。されたら是非とも見てください!) ともかく、見ごたえのあるほんとうにすばらしいドラマだった。 (原作は本。活字という味気のない媒体で表された物語が、すべてが音や映像をとおし、 つまり動画として生きている…

  • 2023.2.17 『「人新世」の資本論』

    前回のはじめに「人間はもともと孤独」と書いたけれど、独りであっても 人は社会の中でしか生きられないから、社会のことは気になり、知りたい。 どうしたらいいのかわからなくても、そういう問題があるという事実だけでも 知りたい。 人が生きるということは、実際は個人が自分自身を生きることだから個人の数だけ さまざまな世界、事情があるけれど、何らかの社会問題にぶち当たることがある。 しかし、そのぶち当たる物事や障害を、「問題」とするかどうかは人によって違う (たとえば「非正規雇用」。 日本は資本主義社会だからあって当然、という人には問題とされるどころか意識にものぼらない) 先日の、悲惨きわまるトルコ・シリ…

  • 2023.2.14 「孤独」は本当に悪いことなのか?

    私は全寮制の学校にいたとき、ある級友に「八方美人」と非難された。 誰とでもつき合うので、その友には「無節操」「要領のよい」ヤツに見えたらしい 表は「八方美人」に見えても、その裏にはノイローゼになるほど深刻でなくとも それなりの相手への気遣い(的外れ?しかも過剰だったか?)もあってか人間関係が わずわらしくなり、それに進路も迷うようになったことも重なり学校は中退した。 社会に出てからは家庭、仕事が精いっぱいで、いわゆる「つき合い」はほとんど したことがない。 家庭、仕事のことを自分が納得のいくようだいじにすれば、それだけで精いっぱい 他の世界に首をつっ込む余裕も器用さ、能力もなく、人間関係を新た…

  • 2023.2.10 本心は(努力)したくない

    (前に「ボケてきても安心な社会」の記事を書きました。 きょうはそのダメ押しで、二つの話です) ① 数日前、地域のテレビニュースにあったこと。 「県民割の第2弾も大好評のうちに、予算枠に達したので終了しました。 受けつけ後、30分で終わったところもあったそうです。 店の前には長い行列ができ、また、その店に向かう道路は車で混雑していました」 街の人の声。 「得をした」「利用してよかった」と相好をくずす人がほとんどだったが、 なかに(損こそしないけれど)利用したくてもできなかった小父さんの 悔しそうに話す顔が印象的だった。 (取材者にも小父さんの悔しさが伝わってきただろうに。 そうなら、このニュース…

  • 2023.2.7 そもそも

    「(○○は)そもそもどういうことだろうか?」と考えてみることは、 とてもたいせつな態度だと思う。 いまの自分を、その自分から離れ、すこし高いところから第三者的に見つめてみる (「幽体離脱」みたい)、観察し認識するのを「メタ認知」というけれども、それと 通じるところがある。 『考えるとはどういうことか-0歳から100歳までの哲学入門』 梶谷真司・著 という本を読んだ。 「哲学」は観念・想念の遊び、生活に密着していないと思われ敬遠されがちだ。 (そもそも「哲学」という言葉がよくないと思う) ほんとうは、生活に根ざした日常的なものなのに。 (「哲学」という呼び名を変え、義務教育のカリキュラムに取りい…

  • 2023.2.3. 「自由」か「幸福」 どっち?

    書名にひかれ、 『自由か、さもなくば幸福か? 21世紀の〈あり得べき社会〉を問う』 大屋雄裕・著 という本を読んだ。 「自由」も「幸福」もとてもたいせつだけど、どちらも客観的でもあり 主観的でもある。 「ある」といえばあるし、「ない」といえばない。 (実際は程度の問題かもしれない) 主観のほうに目をむければ、感情の問題になる。 「自由(不自由)」な感じ、「幸せ(不幸せ)な」感じというふうに。 個人のレベルではそうだとしても、(自分が生きている)社会ではどうだろうか。 (社会というものは客観的に存在する。「感じ」ではない。 「貧困」「差別」など何らかの社会問題が存在すれば、その被害者は《第三者か…

  • 2023.1.31 ボケてきても安心な社会

    ネットの買いものは、前なら支払いに「代引き」があったのに、 いつのまにかなくなっていた。 いまでは(「銀行振り込み」などもあるが)コンビニ設置の機械の指令にしたがい、 必要な情報を正確に(機械が読みとれるよう)入力しなければならない。 複雑で繊細な(と私は感じる)操作をくり返し、やっとのことで支払いできる。 (うまくいくとホッとするが、疲れる。うまくいかずイラつき、店員さんを呼んだこともある。 それに懲り、いまは支払いに複雑な動作を要求する商品の購入は避けている) 買いものの支払いに限らず、よく似たことがますます増えていっている 現在のコンピュータ全盛のデジタル化社会。 目や耳がよく、頭もまわ…

  • 2023.1.27 「あんたかてアホや、うちかてアホや」

    『日本精神史-自然宗教の逆襲』 阿満利麿・著 という、「宗教」とか「精神」への関心とヒマがないと読まないような本を読んだ 読んでほんとうによかった。 とてもおもしろかった。 帯に「日本人とははたして何者か?」とあったが、 よくある日本人論の切り口とは違って新鮮だった。 私たち日本人は、自然の物事には神(霊魂)がやどり、その神を感じるという アニミズム信仰に古代からなれ親しんできたが、「科学技術」万能の現代でも 心にはしっかり息づいている。 (頭では「非科学的」「迷信」とはわかっていても、たとえば《やむをえない理由があっても》 食べものを捨てたり、《「土の肥やしになる」と自分に言いわけしても》用…

  • 2023.1.24 軍事費大増大→戦争の危険 「杞憂」だろうか?

    「クリスマス停戦」の記事に養老孟司さんの言葉を載せました。 「ヒトには悪い癖がある。 それは可能なことならやろうとする、という習性である。…動機はさまざま… 行為には、行われてしまえばそれまで、という面がある。 ヒト社会は、どれだけ長期にわたって、殺人を禁止してきたか」 ーーーーー 昨年の12月。ある日のヤフーニュースにはこういうのがありました。 一つ目 「政府は2023年からの5年間の防衛費を、これまでの約1.5倍となる総額43兆円に増額… 追加財源が必要となる2027年度以降は、年間約4兆円分のうち1兆円余りを増税で確保する… 防衛費増額の議論が進む背景には、ロシアによるウクライナへの軍事…

  • 2023.1.20 生活を支えるトラック

    子どものころ、近くには一軒の食料品が主のごく小さな雑貨店しかなかった。 衣類や文房具などがいるときは、7㎞ほど離れた田舎町の中心部に出かけなければ ならなかった。 (当時はこれがふつうで、こういう状態しか知らなかったので、「不便」と感じたことはなかった) ーーーーー 動物は、たえず食べ物、獲物をさがし、狙っている。 (「生きる」ことは「食べる」ことなのだ) 「食」は人間にも、過去とか現代、未来をこえて絶対的。 豊富でなくても「食べる」ことは欠かせない。 (食料品を中心にさまざまな生活必需品がいつでもおかれているスーパーやコンビニなどは 安心して生きてゆくためになくてはならない。 いまは必要なも…

  • 2023.1.17 「クリスマス」と「停戦」

    先日、ニュースでプーチンが「クリスマス停戦」を提案していると聞き、 心でも、実際でも舌うちした。 プーと同じく、(しかたないのに)「クリスマス停戦」という言葉そのものにも 腹がたった。 「クリスマス停戦」が気になりネットで調べ、考えてみた。 (注:ロシアもヨーロッパに含めます) ーーーーーーーーーー 「クリスマス停戦」。なんという矛盾した言葉。 分解すれば、「クリスマス」と「停戦」。 人にもっとも大事なのは「愛」「隣人愛」と説いたイエスが生まれためでたい日、 祝福された日だけは、国家による集団的殺人行為、戦争はしないでおこうという。 陸続きのヨーロッパ(続いていなくともイギリスは海峡トンネルで…

  • 2023.1.13 「インフォスフィア」

    「インフォスフィア」 初めて聞いた言葉だ。 何のことかチンプンカンプン…。 本にはこうあった。 「この時代において人間が住まう共時的環境が情報圏(インフォスフィア)である。 先に、ICTが高い自律性を獲得し、人間のほうがそれに依存するようになると述べた。 そこでは我々はICTを通して世界を見るだけでなく、ICTに適合した観点で見るようにうながされる」 (ちなみに「ICT」とは、「通信技術を活用したコミュニケーション」。 また「インフォスフィア」とは「情報空間」のこと。 (英: infosphere、インフォスフィア)とは、information(情報)と sphere(球・空間)の混成語であり…

  • 2023.1.10 「デフォルト設定」

    きょうは②「デフォルト設定」 (本の内容からは離れますが、この言葉について考えさせられました。それを書きます) 「デフォルト」という言葉はパソコンをやるようになって初めて聞いた。 (ネットの「コトババンク」によれば→ 「英語で、怠ける、怠るといった意味。 金融やスポーツ、コンピュータの分野などで使われる。 (1)金融では、債務不履行をいう。 (2)スポーツでは、棄権をいう。 (3)コンピュータの分野では、機器の出荷時における初期設定状態や、ソフトウェアを インストールしたときの、あらかじめ設定された標準的な動作条件や値のことをいう。 デフォルト値やデフォルト設定などともいう。 電子機器や電化製…

  • 2023.1.6 「合理」と「本性」

    (『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』という本の感想で、 「次回からふかく感じいった三つのこと…」と書いて休んでいました。 再開したので続きを書きます。 ①「合理」と「本性」②「デフォルト設定」③「インフォスフィア」の三つ。 きょうは①) ーーーーーーーーーー 「合理」 「合理的」とか「合理性」とかよくいう。 それは経済と相性がいいと、本には述べられていた。 経済学での「人間」は、「合理的」に考え行動するものとされている。 つまり、人間は「合理的」存在ということが前提に経済学は成りたっている。 (人間だけが「合理的」というだけでなく、資本主義の市場には見えないところで「合理」という 「神…

  • 2023.1.3 明けおめ

    明けましておめでとうございます。 ことしもよろしくお願いします。 しばらく休んだのは、引っこしという突然の出来事と、それに関したあれやこれの ためだった。 (こんどのことでは、障害者になったときと同様、人生には思わぬことが起きるものだとあらためて 感じています。 新年いちばんはこのことをネタにしました) 老いて引っこしすることになろうとは夢にも思わなかった。 生活に気楽な自分でも、住みなれたところを離れることになるので、引っこしを 決めるまでには迷い考えることが、それなりにいろいろあった。 いまは、アパート(コーポ)に住んでいる。 (6戸だけの小さな2階建ての1階部分。階段に人があがる音、小さ…

  • 2022.11.25 しばらく休みます

    題名に書いたとおりしばらくブログを休みます。 (体調を崩したわけではないです。ちょっと突然の用事が起こり、それへの対処のため。 いろいろ考え思うこともあり、不器用な自分には「ブログやりながら…」はむずかしいのです。 また「お会いする」日を楽しみにしています) ちりとてちん

  • 2022.11.22 ハラリとニーバーの言葉

    (前回の続き) 自分も人類のひとりなんだなぁと感慨にふけっていたら、「大したことないなぁ」 という思いと「いや、大したことある」という思いがわき、ふたつが争った。 そして、「大したことある」が「…ない」に勝った。 私は「ひとり」ではあっても、自分と同じ人間は「ふたりといない」という 当たり前をあらためて感じた。 『人間の解剖は…』は、人類の歴史を描いたハラリの世界的に有名な 『サピエンス全史』への著者の思い入れが強く、ある意味、それを前提に 書かれていた。 ーーーーー ハラリによれば「認知革命」は、7万年前に起こったという。 ↓ 「フィクション、…存在しないものを信じる能力(想像《創造》力)に…

  • 2022.11.18 人類が生物系統図でいちばん上におかれているから

    『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』(吉川浩満・著) すごい本だった。 「人間の解剖はサルの解剖のための鍵である」という題名は、 「より低級な動物種類にあるより高級なものへの予兆は、このより高級なもの自体が すでに知られているばあいにだけ、理解することができる」 というマルクスの言葉をヒントに著者が考えたもの。 本は、地球に生きるすべての生物のうち、いちばん進化したものが人間、人類、 その「人間」そのものについての最新の見かた、考えかたの紹介と、それらへの 著者の態度が述べられていた。 ーーーーー 読んですぐ、南米コロンビアのデザナ族の言葉(9月23日の記事で紹介)を思いだした ↓ 「人…

  • 2022.11.15 体外受精

    『1999年に生まれて』(シャルロッテ・ケルナー著)という本(小説)を読んだ。 衝撃的な中身だった。 この作品の舞台は1999年のドイツ。 2022年の現在からは23年前の過去だが、バイオ技術の応用が大きく進んでいた。 (「バイオ」は生命のこと。人間のことならきわめて個人的で、プライバシーにかかわるので 世には大ぴっらにされにくい。 生命倫理に抵触しそうなことなので、世間にかくれるよう密かに実験されているのでは?と疑う。 この本のなかだけでも、関連した生殖技術として他に「代理出産」「代理母」も出てきた) 小説は、思春期をむかえた主人公(カール)は自分が「体外受精」技術で生まれた ことは養父母(…

  • 2022.11.11 つながる(社会)

    ④つながる(社会) 「つながり」「縁」のいちばん直接的で身近なものは、いうまでもなく「血縁」。 次に身近なものは「地縁」。 (本ではさいごに「社縁」、つまり勤め先など血縁でも地縁でもないものもありました) ーーーーーーーーーー はじめは血縁にもとづく「イエ」、「家族」。 【引用】「〈家族-自然と文化をつなぐもの〉 家では人は自由に、恥ずかしげもなく振る舞う。 →ヒトの「生き物」としての側面を「家族」に留め置くことで、それを「社会」の側に持ち込ませず 「社会」が「社会」であることを可能にする。 ヒトの「自然」を安全に囲い込むことによって「社会」を可能にするシェルターないし安全弁、 それが「家族」…

  • 2022.11.8 知る、伝える(情報)から、「自由」の話へ

    ③知る、伝える(情報) 著者によれば「はこぶ【交通・運輸】」には、 「ヒトを運ぶのが交通、モノを運ぶのが運輸、情報を運ぶのが通信」の三つがあり きょうは三つ目の「情報を運ぶのが通信」の話です。 ーーーーーーーーーー 【引用】 「〈「利便」に捕らわれる(現在)〉 (交通の発達によって便利快適になった現代社会。 だが、それに引きかえられ失われたものごとにも目を向けなければならない。 「中間をカットした交通形態」ということに、著者は高取正男という人の言葉を引用) 「自動車に乗るということは、一見して自由な選択のようでありながら、 結果的には近代の機械文明の一環に、より強く繋がれることをも意味している…

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