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ひこばえ http://hikobae0869.blog.fc2.com/

俳句は自分史です。自作の俳句に写真とエッセイを添えて綴ります。

日向亮司
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磯子区
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2013/05/30

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  • ところてん

    ところてん一人の夜の棋譜並べゴールデンウィークが明けて出社した。川崎君「将棋、どうでしたか?」私「ああ、将棋か。初めて女性とやったけど楽勝だった」川崎君「一番ですか?」私「その後、中学生とやって負けた」川崎君「ええっ、中学生に負けるんですか!」私「バカヤロ~、中学生だって強いのもいるんだよ」川崎君「なかなか上手くならないですね」私「急に強くなれるか……」その川崎君の一言は意外と心に沁みた。<ウ~ン、...

  • 牛冷す

    舟盛りや牛冷されて薄造り「刺身盛り合わせ」があった。私「刺身って肉だろうか?」妻「そうでしょ」私「へぇ~、食べたことないなぁ」妻「食べてみれば」私「よしっ、5点盛りっていうのを頼もう」舟盛りになって出て来た(写真)。私「これは何を付けて食べるの?」男性「すでに味付けされていますので、そのままお召し上がりください」私「あっ、そう」食べてみた。私「おおお、こりゃ美味いわ」男性「ありがとうございます(笑...

  • 夏の海

    マツコリ酒零れて白き夏の海「夕飯をどうしようか」となった。カズ君が遊びに来た時の定番「焼肉若(わか)」は閉店している。私「山水苑は?」妻「あそこは日曜日が定休」私「ああ、今日は日曜日か。連休だから曜日の感覚がなくなっている。じゃ、他の焼肉屋は?」妻「どこ?」私「渡辺美樹の店は?」妻「和民?」私「居酒屋がダメになってすぐに焼肉屋に転業するとはさすがだよなぁ」妻「う~ん、チェーン店というのはどうかなぁ...

  • 浴衣

    人ごとの如き古希なり浴衣着て夕食を終えて部屋に戻ったのが何時かは分からない。7時半かそこいらだろう。カズ君が風呂に行くというので「赤堀さんの草履を履いて行け。日向があったら黙って交換して来い」と言ったのは覚えているが、カズ君が戻って来たのは覚えていない。グ~グ~寝ていた。さすがに早寝をしたので朝の3時には目を覚ましてしまったが、自分の家と違って勝手なことをする訳にはいかない。隣で妻が迫力のある鼾を静...

  • 岩魚

    凛として岩魚の頭残さるるビールの後は「鰭酒」を注文した。私「鰭酒は冬だ。岩魚は夏だ」妻「……」私「ゴールデンウィークは春だ」妻「えっ、春なの?」私「そうだよ。だって夏は立夏からだよ。立夏は大体5月5日辺りだよ」妻「う~ん、微妙な決め方だなぁ(笑)」岩魚は串に貫かれて火鉢のような瀬戸物の上に乗せられて出てきた。男性「これは飽くまでも演出ということで(笑)」私「ええっ、そうなの?」男性「岩魚はすでに調理済...

  • 八十八夜

    和氣の氣の米や八十八夜かな夕食会場は別の建物である。時間になって男性が迎えに来た。案内された建物には以前来たことがあった。私「おっ、ここは昔、使ったことがある」男性「そうですか」私「オレの還暦祝いで使った」男性「なるほど」私「もう2年も前の話だ」妻「何が2年よ。12年でしょ」娘「ハハハハ」男性「まだお若いので、それで充分通ります(笑)」私「ありがとう、ありがとう(笑)」すぐに料理が運ばれて来た。男性が...

  • 長閑

    のどかさや他人の草履と履き違ふ私「おっ、カズ君、風呂に行こう」カズ君「はいよ」玄関には草履が揃えられている。すべてに「日向様」と書かれている。他の客と間違わないようになっているのである。男湯と女湯が一日ごとに入れ替わるので間違わないようにしなければならない。私「おお、こっちだったな。正解、正解(笑)」浴衣を脱いで隣同士で身体を洗った。私「昔、カズ君が小さかった頃、外にある水風呂に入ったぞ」カズ君「...

  • 竜天に登る

    東海の天へと登る竜を見し部屋に案内されて夕食の時間と翌日の朝食の時間を決めた。「それでは後ほど」と言って出て行った。私「簡単なもんだな(笑)」妻「そりゃそうよ。11回目なんて言うから、案内も何も要らないと思ったんでしょ」私「でも、ま、おそらくそれ位は来ているよ」今回の部屋は我々にとっては初めてだったが、以前娘たちは泊まったとのことだった。床の間には大きな額が飾られていた(写真)。私「いやに下手な字だ...

  • 緑の日

    農道を山の出湯へ緑の日将棋から帰って大急ぎで昼を食べてブログを2つ書いて2時である。私「そろそろ行くか?」妻「そうね」私「1時間以上掛かるだろ?」妻「宿まで1時間10分。3時チェックインだからいい時間だわ」ゴールデンウィークをどう過ごすかとなって間際に宿を探した。いつも泊っている厚木の飯山温泉である。最後の1部屋が空いているということなので予約した。4月の半ばのことである。私「おそらく高速は混んでいるだろ...

  • 黄金週間

    負けに始まる黄金週間将棋塾しばらく待たされた後、次の対戦相手が決まった。渡辺さん「次は石原君でお願いします」私「はい」渡辺さん「石原君、次、日向さん」渡辺さんが声を掛けているが誰も返事をしない。どの人かなと思って探していると、将棋盤に向かってポツンと座っている人がいる。子供である。渡辺さんが来て紹介された。渡辺さん「じゃ、ここでやってください」可愛い顔をしている。小学5、6年生あたりかと思った。私「...

  • 憲法記念の日

    長考の一番憲法記念の日5月3日(土)、憲法記念日。2回目の将棋道場である。何事も2回目となると緊張感も薄れるようで10時スタートのところを10分ほど遅れて到着した。ドアを開けるとご覧の状態である。前回より混んでいた。席料1100円を支払ってすぐに「長谷川さんとお願いします」と言われた。見渡すと掛橋さんは来ていないようである。私「あれっ、今日、掛橋さんは?」渡辺道場主「今日は申し込みしていません」私「ああ、そう...

  • 菠薐草

    食べたきは彼の缶詰の菠薐草会社の朝礼は毎月1日に全体朝礼を行ない、月曜日は現場の朝礼のどこかに出て、その他は毎日事務所の朝礼に出ている。ある日の現場での朝礼での出来事である。私が「連絡事項」と称して5分ほど話をした後、「本日の行動指針」を全員で唱和し、司会者が「以上で朝礼を終わります。ありがとうございました」と言い、全員で「ありがとうございました」と返して終了となる。事務所に戻ろうとして歩き始めた時...

  • 夏立つ

    夏立ちていざ方寸の世界へと前回、先生から全員に配布されていたテキストに沿って進められた。先生「最初のページを開いて。ここにこの篆刻の意味が書かれている。篆刻は『方寸の世界』と言われ、ただのハンコを彫るのとは違って、書道の一環としてその美しさや品格が求められている……」<フムフム>と全員が頷いているが、誰もそのあたりを本気で聞きたい訳ではないだろう。どうやって彫るのだろうか……何を彫るのだろうか……上手く...

  • 五月来る

    鉄筆の放つ光や五月来る4月27日(日)2時、書道の研究会である。11人が集まった。いつもより2人多い。先生「今日は研究会の後で篆刻をやるんだけど、道具なんかはみんな持って来た?」小林さん「ハイ、この間、キョー和に行って買ってきました」みんな、やる気である。研究会が3時50分に終わって、いよいよ篆刻の時間となった。篆刻をやらない3人が帰って8人が残った。先生「テーブルを4つ出そう。8人だから2人ずつ向かい合って座...

  • 箱入りの朱墨をひとつ買つて夏関内にある「横浜キョー和」に行ってみた。初めてである。エレベーターで4階まで上がった。棚に品物がたくさん並んでいる。店員もいたが別に寄って来るようなことはない。自由に見てくださいという雰囲気である。棚を整理している男性がいたので声を掛けた。私「篆刻の道具はどこですか?」男性「はい、こちらです」店の奥の方に案内してくれた。すぐに立ち去ろうとしたので更に声を掛けた。私「全く...

  • 夏来る

    中国製刃物届きて夏来る「篆刻の手順」と書かれた紙を先生から渡されたが、上の空で話を聞いていたので家に帰ってから読んでみた。「篆刻に必要な用具用材」のところにはいろいろと説明がなされている。取り敢えず必要な物が書かれている。① 石印材②耐水ペーパー ③墨・朱墨 ④硯・小筆 ⑤印床 ⑥鏡 ⑦印刀 ⑧印泥 ⑨刷毛 ⑩印矩 ⑪印箋その他<本当にこんなに必要なのだろうか?>先生に紹介された関内にある「横浜キョー和」のホ...

  • 日永人

    やることのまた一つ増え日永人3月30日(日)、2時からの書道塾に出掛けた。「研究会」と称する自分で考えて書いた作品を持ち寄る勉強会で月1回行なっている。その日は生徒が8名集まっていた。先生「始める前に少し話があるんだけど……」<ん?なんだろう?>最初に作品を提出するのがいつからか私となっているので、用意をして待っているところで話が始まった。先生「今回ここにいる人の3人が成家にチャレンジしたので、これから書...

  • 夏雲

    往年の歌手よあの日の夏雲よネットニュースにこの写真が載っていた。<あれっ、誰だっけ?>4月30日(水)、都内で開かれた平尾昌晃チャリティーコンサートに登場した美樹克彦(76歳)である。コンサートの最後に登場したようで1曲歌ったあとに「私のこと、分かりますか?」と言ったが会場内はシーン。「美樹克彦です。パンフレットの写真も昔のもので黒髪ですが、最近はこんな感じでやらせてもらっています」と告白。美樹と認識す...

  • 白鳥

    鴻の字を得て白鳥の羽搏けりそこに私の所属する会の女性がお酒を注ぎに来た。女性「日向さん、飲んでますか?」私「ホンの少しね(笑)」稗田さん「あっ、○○さん、ビールじゃない、ビールじゃない、日向さんは紹興酒です(笑)」女性「稗田さん、日向さんは年は取ってますけど、ウチの会の期待の星ですからね、よろしくお願いしますよ。大っきい会社の社長さんです」稗田さん「ええ、社長さん?ホントですか?何も言ってなかったじ...

  • 松の芯

    上に上更にその上松の芯徐々に席が埋まっていった。同じテーブルに知った顔はいない。顔見知り同士で話をしている。同じ会の人たちのようである。<ん?同じ会が固まっているのか……>私の右の席にも女性が座った。元気がいい。大声で話をしている。ズラッと知った顔ばかりのようである。私「日向といいます。よろしくお願いします」女性「はい!よろしくお願いします!稗田(ひえだ)と言います(笑)」私「同じ会の人たちなんです...

  • 芽吹く

    見るほどに上には上が木々芽吹く6時半に会場に到着した。受付を済ませると会場内へ進むように案内された。席が決まっているという。名札が置かれていた。<あれっ、誰も来てないじゃん……>10人で囲む丸テーブルである。隣の人の名札を見ると、両方とも知らない人である。会場内を見回してみる。知っている人がいた。目が合った。こちらに来てくれた。女性「日向さん、今日は来賓がたくさん来ているから、あまり大きな声で話さない...

  • 春惜しむ

    かな文字の遺墨に春を惜しみけり後日、担当の方から「第70回記念 竹青社書展 受付当番表」というのがメールで送られて来た。4月19日(土)午後1時半から5時までとなっている。<受付?>祝賀会が6時からなので、当日の当番に選んでくれたのは有り難いが、折角の休みの午後を全てそれに当てなくてはならないのは辛い。早起きして習字を書いて10時にスポーツジムに行って風呂に入り12時半に家を出た。桜木町駅で降りて野毛の商店街...

  • 日永

    頼まれてみな請け負へる日永かな私が所属する磯子の書道塾の名を「群星会」というが、その群星会の親団体を「竹青社」という。私の師匠の菅野堯処先生はその「竹青社」の副理事長でもある。先生「竹青社の70周年記念で書道展を開くので日向君も作品を出してもらいたいんだけど」言われたのが2月頃である。私「いいですけど、何で私が?」先生「この間、評議員になったじゃないか」私「評議員?ああ、そういうことですか」あまりピ...

  • 鞦韆

    公園に鞦韆ひとつ墓ひとつ大きな石に「お菊塚」と彫られていた。その手前に供え物をする場所が設けられていたが、供物は何も上がっていなかった。ペットボトルに紫色の花が差され、その手前にワインのボトルが1本置かれていたのは、水を入れるためなのか何なのか分からなかった。立札が立っていた。「番町皿屋敷 お菊塚」である(写真)。読んでいった。電車の中で読んで来た文章と同じである。私「ヒャ~!」妻「なになになに!...

  • 行く春

    酔へばまた春の行方を尋ねけり瓶ビールを飲み干してすぐに冷酒を注文した。妻「冷酒は久し振りでしょ」私「久し振りもいいとこだよ。この間、ウナギを食べたのはいつだっけ?」妻「田浦の梅を見に行った時だよ」私「ああ、そうそう。あそこではビールしか飲んでいない」山田錦を飲んで少し酔っぱらってしまった。男性が来るたびに大笑いになるような話をしたが、今思い返そうとしても何を話したか全く思い出せない。鰻重が出て来て...

  • 待たされてゐるも愉しや鰻の日鰻屋「川万」には開店時間11時の10分前に到着した。3組が椅子に座って待っていた。名前を書いて椅子に腰掛けると、すぐに次のお客が来て名前を記入していた。私「待たずに入れそうだな(笑)」妻「そうね(笑)」11時になり店の中から女性が出て来て名前を呼び始めた。女性「○○様、3名様」お客「はい」女性「お待たせいたしました。2階の席になります。○○様」お客「はい」女性「2名様、1階の席になり...

  • 狂う蝶

    我狂ふ蝶なり薔薇の絵の前に「薔薇」の絵は何種類かあるようで、インターネットで見る限り5、6種類は確認出来た。私が模倣しようとしている「薔薇」とは違うが、ほぼ似たような構図の作品が飾られていた。ガラス入りの額装なので間近まで近づいて見ることが出来る。<おおお……>目の前に実物が現れると迫力がある。インターネットで見ているのとは訳が違う。絵具の盛り上げ方や葉っぱや背景の塗り方が確認出来て、作者の息遣いが感...

  • 鳥の巣

    鳥の巣の有耶無耶に似て無の一字中村正義(1924-1977)は愛知県豊橋市の生まれである。戦後1946年に中村岳陵に師事し日展の画家として前途を嘱望された。1961年に日展を脱退。旧態依然とした日本画壇に抗し、日本画の概念を覆すような画風を展開して「異端」「鬼才」「風雲児」などと呼ばれた。1961年に川崎市細山に転居し、1977年に52歳で没するまでの16年間を川崎に住んでいる。若い頃の作品や昔ながらの山水画のような作品を眺...

  • 春光

    天井に春光しるき美術館9時40分に平塚美術館に到着した。「中村正義」展覧会の初日である。「9時半に行って一番乗りの名誉に預かろう」と話していたのだが遅れてしまった。受付の女性がチケットを販売している。私「一人1000円?」女性「お客様、失礼ですがご年齢は?」私「あれっ、割引は平塚市民だけですよね?」女性「いえ、65歳以上であれば……何か年齢が分かるものをお持ちでしょうか?」妻「これでいいですか?」女性「はい、...

  • 形代

    重ねあるその形代の一枚に9時ちょうどに平塚駅に到着した。北口を出て八幡宮の表参道を歩いた。私「あった!川万」妻「ああ、ホントだ」私「商店街の中にあるんだな」妻「老舗って感じね」私「昭和3年創業って書いてあったからなぁ。97年目か……もうすぐ100年だ」場所を確認してまずは平塚八幡宮へ向かった。歩道橋を渡って鳥居を潜った。私「お参りだけはしておこう」参道を進んだ。妻「あっ、茅の輪がある」私「茅の輪くぐりって6...

  • 菊若葉

    平塚にお菊塚あり菊若葉平塚美術館の開館時刻は9時半である。私「ということは何時に家を出る?」妻「ちょっと待って。調べてみる」駅から歩く時間や電車の時刻を調べているようである。妻「8時28分。その前が8時22分」私「オッケー。そうしよう」そうしようと言いながら何時とは決めていない。8時を回った。私「おっ、行かないとマズイんじゃないか?」妻「何を言ってるの。早過ぎるよ」私「だって、8時20分だろ?」妻「8時58分だ...

  • 夏隣

    平塚の街を歩かん夏隣3月16日のNHK「日曜美術館」を見てから「中村正義」の「薔薇」の絵を描こうとあれこれやっている。調べていると4月12日(土)から5月18日(日)まで平塚美術館で個展が開かれることを知った。生誕100年を記念した展覧会であり、関東圏では14年振り、神奈川では42年振りに開かれるという。<おおっ、本物の薔薇の絵が見られるかも……>すぐに妻にメールした。私「今度の土曜日、平塚美術館に行こう。帰りにウナ...

  • 夏近し

    高階の将棋道場夏近し2戦目は掛橋さんが居飛車で来た。私はもちろん右四間飛車である。王将は左側に移して囲おうと思ったが、角の頭が攻め込まれて来る。入門書で角頭の守り方を覚えたはずだがどういう訳か破られてしまった。右四間飛車で攻めるのはいいにしても、左側から飛車が入って来るので、またまた王将の遁走が始まった。テレビで見ているどんな対戦でも、こんなに王将が逃げまくる将棋は見たことがない。王将がウロウロし...

  • 春興

    春興や勝ちを拾ひし負け将棋私「掛橋さんとは珍しい名前ですよね。ユズの『栄光の架橋』だ(笑)」掛橋さん「ちょっと漢字が違いますけどね(笑)」私「ああ、そうか、ユズの方は架電の架か」掛橋さん「今日、ここ、初めてですか?」私「そうです。入門書は読んで来ましたけど、指すのは初めてです。掛橋さんは?」掛橋さん「私は2回目です。先々週の木曜日に来て、今日が2回目です」駒を並べながらの会話である。終わってから聞い...

  • 花明り

    花明り将棋道場入門す4月5日(土)、いよいよその日がやってきた。「横浜やんけ将棋道場」に行く日である。入門書は一冊読み終わった。羽生善治著「みるみる強くなる将棋入門──序盤の指し方」である。読んだからと言って急に強くなる訳ではないだろうが、基本となるところは頭に入ったはずである。戦略としては「右四間飛車で行こう」と考えていた。本の中にはこう書かれていた。「右四間飛車戦法の特徴は攻撃力の高さ。ツボにはま...

  • 薔薇

    薔薇の絵を描く一輪の薔薇も見ず中村正義の「薔薇」を模写するに当たって本人がそれをどう描いたかを考えなければならない。いろいろな「薔薇」があるが、試行錯誤を繰り返した跡が見て取れる。絵具を厚塗りしてみたり、陰影を描き入れてみたり、下地の色を浮き上がらせてみたりといろいろやっている。構図もいろいろである。薔薇の花の数も色合いも様々である。おおよその色は分かるが、パソコンを通しての色なので本当の色かどう...

  • 夏の色

    薔薇の絵の壺の青さは夏の色最終日の「大倉久和大飯店」(オークラ・プレステージ台北)は絵画が好きなホテルのようだった。至る所に油絵が飾られていた。朝食会場にも飾られていた(写真)。私「帰ったらキャンバスを買いに行く」妻「ああ、あの油絵ね(笑)」私「おそらく15号くらいの大きさで描くことになる」妻「上手く描けるといいけど(笑)」私「大丈夫だよ、失敗することは絶対にないよ(笑)」この旅行に出掛ける前の3月1...

  • 春愁

    春愁やバス酔ひに効く薬なし全員が無事に揃ってバス停に並んでいた。少し待っているとバスがやって来た。ここでも陳さんはバスの運転手と何か掛け合っている。満員のバスに10人が入って行った。やはり少し白い目で見られた。「どうして割り込んで乗って来るのよ」と言った感じである。吊革に掴まってクネクネ道を降りた。その時である。船酔いのようなイヤな感じがした。2回3回カーブを曲がってそのたびに身体に力を入れて三半規管...

  • 春宵

    春宵の仕業か千の神隠し事件が起きたのは集合時間の6時である。阿妹茶楼に灯りが点り夕闇が近づいて来ていた。全員が揃ったと思いきや、いない人がいる。子供がいないという。またその父親の姿が見えないという。6人グループの中に小学2年生の男の子が一人混じっていたが、その子がいないという。またその子を探しに父親もあの階段を上がって行ったという。長老「すみませんねぇ。ちょっと目を離した隙に……」私「どこでいなくなっ...

  • 春の灯し

    千を探し千尋を探し春灯し故宮博物館からバスで揺られること1時間半で九份に到着した。妻「前来た時は地下鉄を使ったよね」私「うん、そうだったな」妻「地下鉄を降りてからの記憶が全然蘇って来ない。どうしたっけ?」私「どうだったっけかなぁ……全然、思い出せない」妻「あっ、やっぱりバスに乗ったなぁ。バスでクネクネした道を上がった気がする」私「覚えていないなぁ……」人の記憶力を試しているのだろうか。日常生活の中でそ...

  • 春の山

    地下深く唸る財宝春の山小籠包を食べた後は故宮博物館の見学である。有名な「白菜」はどこかへ貸し出されているとのことでその日刮目すべきは「角煮」だという。バスを降りて建物の中に入り専用のイヤホンを耳に付けた段階で「それでは参りましょう」と陳さん、「私がご案内します」という。<ええっ、専門の人を頼まないの?>団体客の案内をする説明員がいるはずだが、そんな団体ではない。終わるとすぐに「九份」に行かなければ...

  • 長閑

    ハネムーンの話など聞き長閑なり高雄駅から台北駅までは新幹線で1時間40分である。1日目から一緒だったバスの運転手とは高雄駅で別れた。バスの横に大きく「高雄」と書かれていたので地元に戻って仕事が終わったのだろう。台北駅に着くと別のバスが待っていた。大きさは同じだが格は落ちていた。車内の装飾などについては何の気遣いもないようだった。陳さん「これから昼食の店に向かいます。鼎泰豊(ディンタイフォン)といいます...

  • 竜宮城めきて楼閣おぼろなり「丸山大飯店」はライトアップされて我々を迎えてくれた。私「ま、泊まるだけだけど想い出にはなるな(笑)」妻「相当な部屋数だから、こういうツアーにも使われるんだね(笑)」私「ああ、そういうことか。空室で置いておくより、使ってもらった方がいいという計算か。何事も算盤勘定だなぁ。おぬしもなかなかの悪じゃなぁ(笑)」妻「何を言ってるのかなぁ、この人は(笑)」部屋の広さはそれほどでも...

  • 夜店

    異国語の夜店を妻と手をつなぎ「美麗島駅」のすぐ近くに「六合夜市」があった。7時に到着した。陳さん「それでは、バスが停まったここを集合場所にします。今、ちょうど7時ですから7時40分までにここに戻ってきてください」<ええっ!40分とは慌ただしいなぁ……>夜市がどれ位の長さかは知らないが、ブラブラ歩いてノンビリもしていられないと思った。信号を渡ってすぐが夜市の始まりである。最初に「仏陀の頭」が山積みされていた...

  • 孫文忌

    孫文忌平和奏づる白ピアノ夕食を終えて向かったのが「美麗島駅」である。陳さん「この駅は世界で最も美しい駅です。4500枚のステンドガラスを使って『人間の一生』を表現しています」バスを降りて入り口から地下へ潜るのだが、地上にある建物もガラス貼りでルーブル美術館のあの三角形を思わせる。長いエスカレーターを下って、地下鉄乗り場に向かうとステンドガラスが見えて来た。「オオオオオッ!」誰彼ともなく驚きの声が上がる...

  • 鴨の足

    犬を打つ猫を打つ鴨の足を食ふ「高雄(たかお)」の町は昔「ターカウ」と呼ばれていた。台湾原住民の言葉で「竹林」を意味するという。のちに台湾人がその「ターカウ」に「打狗」の漢字を当て嵌めた。「狗(いぬ)を打つ」である。発音が似ているのだという。同時に「ターニャウ」という地名もあり、そこには「打猫」の漢字を当て嵌めた。1920年、大正9年、日本統治時代に台湾総督府がこの漢字は地名には相応しくないとして、それ...

  • 古漬

    まだ取りに来ないか土産の古漬腰も痛けりゃ背中も痛い。ようやく高雄に到着した。お土産屋である。女性「これはここにしかない北投石です。ブレスレット、ネックレス。原石はこの石です。これを磨いて作ります。この北投石はラジウムを放出しています。見ただけでは分かりませんがこの計器を近づけますと……」機械が「ガガガガガ!」と反応する。女性「この効き目は無くなりません。癌にも効きます。医者がもうダメだと言った人が、...

  • 春愁

    春愁や車窓に檳榔椰子の森ビールの後に紹興酒も注文したので、昼酒とはいえ好い気分である。乗り込んだバスの中ですぐに寝てしまった。嘉儀に到着する少し手前で起こされた。私「ヒャ~、身体が痛い」妻「座り心地、悪いからね(笑)」私「今回の旅は『台湾の旅、豪華4日間』というのじゃなかったっけ(笑)」妻「ハハハハ」私「ここはどこ?嘉儀?」妻「そうかな?」「檜村」だという。日本人が支配していた時に山から樹齢千年、...

  • 夏料理

    土産屋の二階台湾夏料理11時に昼食会場に着いた。陳さん「少し早く着き過ぎました。食事会場はこの2階ですが1階がお土産売場になっています。準備が整うまでの間、店内で時間を潰してください」ゾロゾロと入って行った。掛け軸や飾り物、大きな家具もあれば石の置物など、高級そうな品々が山と積まれている。店員が「いらっしゃいませ」と台湾訛りの日本語で微笑んで来る。立ち止まるとすぐに言い寄って来る。女性「お客さん、これ...

  • 日迎え

    日迎への凶の御籤や文武廟バスに乗り込んだ。陳さん「皆さん、トイレは済ませましたね。これから『日月潭』に向かいますが、約1時間半掛かります。シートベルトだけはしっかりと締めてください。ゆっくりとバスの旅を楽しんでください」台北の空港に降り立ってすぐさま台中まで移動して1泊。翌日は「日月潭」から「嘉儀」を経由して「高雄」まで走るという。随分な強行軍である。隣に座っていた妻は通路を挟んで反対側の席に移動し...

  • 鳥の巣

    鼻穴に鳥の巣の藁弥勒仏6時半に食事会場に行くとすぐに他の2チームもやって来た。陳さんももちろんいる。時間にルーズな人はいないようで凄くスムーズに旅行は進んだ。ホテルを8時に出発して8時15分には最初の目的地「宝覚寺」に到着した。陳さん「では、最初の観光となります。こちらのお寺は日本の観光客が台中に来た時には必ず立ち寄る場所になっています。台湾が日本に統治されていた1927年、昭和2年に建てられたもので、そろ...

  • 春の夜

    春の夜の台中に買ふ袋菓子ホテルに到着した。本当に何の代わり映えもしない普通のホテルである。ロビーに集合してそれぞれの部屋番号のキーを渡された。陳さん「明日の朝食は6時半からです!バスの出発は8時!オッケーですか?大丈夫ですね。それでは、皆さん、お休みなさい(笑)」エレベーターで5階に上がった。部屋も普通である。私「着替える前にコンビニに行って来よう」妻「ええっ……」私「お茶を買って来ようよ」妻「あ、そ...

  • 竜天に登る

    竜天に登れニイタカヤマノボレ全員が乗り込んだところですぐにバスは走り出した。マイクで男性が話し始めた。男性「皆さん、台湾へようこそ!時計、台湾時間に合わせましたか?台湾は今、夜の7時25分です。日本時間の8時25分になっている人は、今、ここで直してください。これからは全て台湾の時間で進めていきます」地図を取り出してマグネット付きクリップで天井に吊るした(写真)。男性「皆さん、シートベルトは締めましたね。...

  • 春の夢

    テレサテンの国へようこそ春の夢台北空港に到着した。機内で時間の調整は済ませている。というより、スマホが自動的に時間を合わせてくれている。日本時間と台湾時間が表示されてそれ以降は台湾時間がメイン画面に表示された。1時間、戻すのか進めるのか迷うこともない。トランクから妻のバッグと隣の女性のバッグを下ろして「ありがとうございます」の一言をもらっている。それから入国審査の長い列に並ぶのだが、隣の女性が先に...

  • 春分の日

    箸を割る春分の日の機内食飛び立つ前にも客室乗務員は働いている。男性がやってきた。男性「ペラペラペラ」台湾人のようである。何を言っているのか分からない。妻「貴方、メニューを見て。何を食べるのか聞いているのよ」私「ああ、そういうことか……」メニューを見た。<to start marina……>私「何だ、こりゃ?」妻「前菜のことでしょ。それよりもメインを選んでよ、メイン!」私「steamed halibut……分かる訳ないよ。肉か魚か?」...

  • 機内へと持ち込むバツグ春の色私「おっ、ここはいいじゃん(笑)」妻「そうでしょ。出発ロビーのすぐ近くだから、ギリギリまでここにいても大丈夫だよ(笑)」私「飲み物もいいのか?」妻「ビールでも飲めば(笑)」私「おお、これはいいなぁ。ラウンジは最高だなぁ(笑)」ツマミとビールを持って来て将棋の本を開いた。妻はサンドウィッチとジュースと文庫本を開いている。私「ラウンジを使ったのはこれが初めてか?」妻「何を言...

  • 春の旅

    高飛びは桂馬にあらず春の旅3月20日(木)春分の日、いよいよ出発である。車は成田空港近くの駐車場を予約している。私「何時の便だっけ?」妻「えっ……貴方ね。何度、同じことを聞くの?それとも分かっているのに聞いているの?いい加減にしてよね。3時20分だよ」私「念のためだよ。3時20分か。ということは2時には着いていないとダメだな。昼飯も食べないとならないし」妻「昼はラウンジがあるから、そこで食べる」私「ラウンジ?...

  • 黄砂降る

    英雄の像は金色黄砂降る私「この写真をよく見ろ!」川崎君「何ですか?」私「鄭成功という人物の騎馬像だ」川崎君「誰ですか、それは?」私「孫文、蒋介石と共に台湾では『国の神様』と言われている人物だ」川崎君「ふ~ん」私「この騎馬像の足元をよく見ろ。人が写っている」川崎君「あっ、ホントだ!ええええっ、こんなに小さいんですか」私「教訓1、中国とは戦争をしてはならない!」川崎君「……」私「山の上にこんな大きな銅像...

  • 近松忌

    大向うからの声あり近松忌そもそも「台北プライベートアイ」が始まりではない。台湾に行くことになり、最初に買った本が司馬遼太郎「街道をゆく40台湾紀行」である。その最初に「国家とは何か」が出ている。江戸時代、台湾のことを「高砂国」と呼んでいた。無主の地と考えられていた。関ケ原の戦い(1600年)の後、オランダの東インド会社が1609年に日本の平戸に商館を置いた。インドネシアの海港バタビア(ジャカルタ)を根拠地と...

  • 逃水

    逃水を追つて探偵ごつこかな小説「台北プライベートアイ」を読んで回転寿司屋のカウンターでの会話である。私「面白かったなァ」妻「読み終わったの?」私「読んだ。あんなに分厚い本を1日で読んだというのも初めてだよ」妻「いい本に出会えて良かったじゃないの」私「それにしても驚いたのは最初の事件が片付いて、次にどんな仕事の依頼が来るのかと思っていたら全然違う展開になるんだよ。想像もしていなかった展開でホントに驚...

  • 余寒

    衛兵の微動だにせぬ余寒かな現地人の踊りを見たあとは台北に戻り、漢方の店へ。鉄棒を曲げ、焼けた鎖を素手でつかんで実演販売。ここでは皆さん随分、買い込んだ模様。「中国の諺に『牛の鼻クソも煎じて飲めば……』というのがあります」(黄さん)次は中正紀念堂見学。蒋介石の大きな像の前に立ち、皆一様に記念撮影。香煙たちこめる龍山寺では、木切れを放り投げて占いをする人も……。「ごくごく近い将来が吉とでました」(工藤)遅...

  • 花粉症

    効能は花粉症にも台湾茶時計の針を一時間戻して、あっという間に台北空港へ到着。機内では具合を悪くした人が一人、横になりベルトを外し、手厚い看護。さては乗り物酔いかと心配したところ……。「旅行の前の日はいつも興奮して寝られないので、ついあんな所で寝入ってしまいました」(高野)空港では現地ガイドの林さん、黄さんがお出迎え。バス2台に分かれてまずは故宮博物館へ。降りしきる雨に「明日は晴れます」という林さんの...

  • 春の旅

    郷愁が春の旅へと誘へり台湾には5回出掛けている。会社の旅行で1回、仕事で2回、家族旅行で2回と記憶している。最初は平成9年6月に社員旅行で出掛けている。昨年(令和6年)地震があり、多くの死傷者を出した花蓮などを訪ねている。次が平成10年8月、台湾の業者に仕事をお願いすることになり、打ち合わせを兼ねて出掛けている。日月潭の畔に泊まった。その翌年(平成11年)に地震があり、日月潭の中央にあった島が姿を消してしまっ...

  • 涅槃西風

    涅槃西風すは台湾の喧騒へ私「ハハハ、この小説、メッチャ面白いよ」妻「……」私「だって、私立探偵を始めようと思って看板を出した男が『初めての尾行』という章で、どんなヘマな尾行をするのかなと思って読んでいくと、初めてのお客になる女性からずっと尾行をされていて気付かなかったというんだよ。ヘマもいいところだよ」妻「それが何で面白いの?」私「えっ、面白いじゃん。『初めての尾行』だよ。そういう章があって探偵が尾...

  • 蟻穴を出る

    蟻穴を出て戦ひの大舞台入門書が届き、将棋セットも届いた。<よしっ、あとは道場に行くだけだ!>「横浜やんけ将棋道場」のホームページを眺めてみる。「泣き虫しょったんの奇跡」という映画の主人公瀬川晶司6段(写真左)が師範で、その6段の隣の家に住んでいた友達の渡辺健弥さん(写真右)が道場主である。まずはその映画を見なくてはならない。妻「その映画、昔、見たよ」私「えっ、オレは見てないだろ?」妻「いや、見た」私...

  • 料峭

    料峭やまづ盤上に玉を置く家に帰ってのことである。妻「明日、届くよ」私「ありがとう」妻「将棋盤はあるの?」私「どこかにあったんじゃないか?」妻「引越しの時に捨てたと思ったけど」私「ええっ!そうか、じゃ、買うか」妻「将棋盤がないと本を買っても意味ないわよ」私「そりゃそうだな。アマゾンで買うしかないか」妻「どれにするか、選んでよ」私「そんなに高いのはいらないよ」妻「3000円くらい出せばいいのがあるよ」私「...

  • 木の芽

    木の芽出づ将棋みるみる上達す田浦梅林の話は終わったがもう一つ書いておかなければならないことがある。田浦、安針塚と調べていると「横須賀・安針将棋サロン」に辿り着く。昔、三浦按針について調べている時に見た「将棋サロン」である。見ると「初級者将棋教室」というのもある。もちろん「中・上級者将棋教室」もある。トーナメント戦があったり、市民将棋大会があったりして楽しそうである。小学生もいれば老人もいる。女の子...

  • 四月馬鹿

    声高に不倫の歌を四月馬鹿3月7日の日経新聞の一面広告である。「NIKKEI 企業対抗カラオケ選手権」(写真)。私「おっ、川崎君、これはいいぞ」川崎君「何ですか?」私「カラオケ選手権だ。企業別対抗。チーム戦。あれをやろう(笑)」川崎君「キムジョンウンですか。ロ~ケツ、ロケツ、ローケツ、ロケツ(笑)」私「スマホで動画を送るだけだ」川崎君「今、それどころじゃないですよ。やらなきゃならないことが山積みです」私「面...

  • たんぽぽ

    遮断機が降りてたんぽぽ食み出せり工場の中で軽作業を手伝っていた。隣にMさんがいる。私より4才上である。作業をしながらの会話である。私「この間、田浦の梅林に行って梅を見て来ました。帰りにウナギを食べて来ました。京急の田浦駅から帰ってきましたが、あそこの駅は芥川龍之介の『蜜柑』という小説に描かれているというんです。読んでみました」Mさん「……」Mさんは無口な人である。あまり余計なことは喋らない。私「駅に汽車...

  • 鳥雲に

    奉公の風呂敷包み鳥雲に鰻屋を出て京急田浦駅まで歩いた。駅改札の目の前にある国道16号を車で何度走ったことだろう。一度としてそこに駅があるなどとは思わなかった。商店街の中に店の一つのように駅の入口があった。ホームに出て上りの電車を待った。12時半である。私「会社の朝礼で一言喋って、すぐに戻って来た」妻「ん、ナニ?」私「家に帰ってすぐに出発して梅を見て来た」妻「……」私「ウナギを食べて今、帰りの駅にいる。12...

  • 囀り

    囀りや田浦尋常小学校すぐにお冷とオシボリが出て来た。女性「何にしましょうか?」私「うな重……中でいいか。中2つ」女性「並も中もご飯の量は変わらないんですけど」私「えっ、どういうこと?あっ、ウナギの量が違うってことか。いいよ、中で」女性「はい、畏まりました」私「肝吸いは付けてね」女性「はい、付いています」私「まず、ビールをお願いします」女性「アサヒですが」私「アサヒでもキリンでも、どっちでもいい」女性...

  • 梅見

    江戸前の暖簾をくぐる梅見客螺旋階段の展望台に登って梅林全体を見渡した。私「いい眺めだなぁ」妻「天気も良かったしね」私「3月の陽気じゃないな」妻「今日は20℃を超えると言っていたから4月の陽気だよ」私「汗ばむじゃなくてホントに汗が出てきた」妻「ハハハ」私「よしっ、ウナギを食べに行こう。11時開店と書いてあったから丁度いい時間だよ」妻「遠いの?」私「いや、ここを下って田浦の町に入ってすぐだから15分位で着くよ...

  • 白梅

    死ぬ時は武士の誉れじゃ白梅を梅林は花盛りである。白梅も紅梅も見頃を迎えている。匂うがごとき白梅と艶やかに華やぐ紅梅。遠くに海が見え、谷戸の家々が近くに見える。植樹を終えたばかりの梅の木が立札を横に若々しい。先の方に少しだけ花が開いていて紅梅だと分かる。私「令和6年度、田浦小学校卒業生の植樹だって」妻「あれっ、昨日じゃない?」私「ああ、ホントだ。昨日植えたんだ。田浦小学校、なかなかやるなぁ(笑)」先...

  • 梅林

    梅林を訪へば古りたる山祠「カエンタケ」注意の札のあった場所から10分で梅林の山の上に到着した。簡易トイレがあった。トイレを済ませて私が探していたのは「大六天神社」という祠である。登って来る途中にあるのかと思っていたので、あちこちと探すことになってしまった。田浦梅林について調べている時にこの祠について知った。私「鎌倉時代に作られたものらしいけど、いつしか忘れ去られて森の中に埋もれてしまっていた。地元の...

  • 梅見

    一の橋二の橋梅見の三の橋長い階段を下りて、京浜急行のガード下を潜って梅林の入口に到達した。小さな川に橋が架かっていた。「田浦梅林」「梅林まつり」と書かれた幟も立っていた。私「あれっ、二つある……」妻「……」私「こっちじゃない。向こうに行ってみよう」最初の橋ではなく、次の橋から登ることにした。橋の名前が「だりの田橋」である。最初の橋には名前が書かれていなかった。私「インターネットで名前の由来を調べてみた...

  • 木の芽晴

    木の芽晴上れば下る峠道折角なので「のの字坂」をグルっと回って「のの字橋」も渡ってみた。私「遊び心で作ったのかな?」妻「そんなに珍しいものでもないんじゃない?坪呑にもあったじゃない」私「坪呑?あれは『の』にはなっていないよ。ただの坂だよ。ここのは完全に『のの字』になっている。普通は『のの字』にはしないだろう。わざわざ、橋まで作らなければならないんだから、大変だよ」橋がなかった時にはどうしていたのかを...

  • のどけし

    のどけしや二人で登るのの字坂持って来た地図は「たうら観光マップ」だけである。イラストで描かれた地図なので実際の距離とは違っている。最初の目的地「のの字橋」まで一本道の表示になっているが、実際の道はそんなに単純ではない。<大丈夫だろうか?間違っていないだろうか?>しかし、ここは口に出してはいけない所である。「この道に間違いない」と自信たっぷりに歩く姿を見せて妻に安心させなくてはならない。そうでなくて...

  • 如月

    如月や一人づつ待つ駅便所3月1日(土)に出掛けることにしたが工場は出勤日である。特に私が出なくても何の支障もないのだがやはりここは顔を出しておきたい。忙しくて休日出勤までしてくれているのに社長が顔も出さないと言われるのは私の本意ではない。朝礼で一言お礼を言ってすぐに戻ってきた。私「すぐ行くよ」妻「はいよ(笑)」私「田浦まで45分掛かる」妻「えっ、京急じゃないの?京急なら田浦まで15分と出ていたよ」私「JR...

  • 梅日和

    連れ立ちて旨きものでも梅日和「梅は咲いたか桜はまだかいな」今年のNHK大河ドラマ「べらぼう」を面白く見ている。吉原の芸者衆など今まであまり扱われなかったところにスポットを当てているので興味深い。この「梅は咲いたか桜はまだかいな」は江戸時代の端唄である。歌詞を見ると最後に「舟から上がって土手八丁、吉原へご案内」とあるので吉原通いのことを歌っているのだろう。梅も桜もみなその道へと繋がって行く。さて、今年...

  • 熱燗

    君の注ぐ熱燗ならばいざ飲まむ俳句結社「海」の高橋悦男主宰が昨年12月11日に亡くなられた。90才。とてもお世話になった人である。私が参加していた句会「浜風」は「海」の一つの支部だった。道川虹洋先生の指導のもとで楽しくやっていたが、一年に一度だけ東京から髙橋主宰が出掛けて来てくれた。いつもと変わらないはずの句会が、たった一人、主宰が加わるだけで妙な緊張感を漂わせることになる。月の会費を集めるのもその時だけ...

  • 風光る

    逆転のノールックパス風光る2階の応援席に座ってはみたけれど、何の大会なのかよく分からない。私「これは何の大会なの?」娘「高校生男子バスケの選手たちを集めての試合。全国の強豪校の中から今活躍しているスター選手を集めて8チームに編成して試合をしているだよ。主催はアディダス」私「へぇ~」娘「おそらくこの中からプロの選手が生まれていく」私「そこに何でみやが呼ばれているの?」娘「ネクスト・ジェネレーションとい...

  • 春光

    ミッション・スクール春光の体育館家には11時に戻った。昼飯を食べて出掛けなければならない。山手にあるサンモール・インターナショナル・スクールの体育館でバスケットボールの試合が行われ、名古屋の学校に行っているみやちゃんが戻って来て出場するのである。私「何時に出る?」妻「みやが出るのが3時半の試合だって言っていたから2時半に出ればいいんじゃない?」私「じゃ、2時に出よう」妻「えっ、早過ぎるよ」私「いや、少...

  • 芽吹く

    機械吊り上げしクレーンや木々芽吹く設備にはこの10年で約15億円の投資をして来た。小さな工場の中に1億円規模の設備をどんどん入れてきた。無人化を図り、24時間稼働を目指し、老朽化した設備の更新にもお金を掛け、常に最新式、最先端を目指し、内製化、生産効率の向上を図ってきた。朝7時半に到着すると大型トレーラーが工場の前に到着していて、ヘルメット着用の作業員が大勢待機していた。私「おはようございます。よろしくお...

  • 春燈下

    一字また一字未明の春燈下2月23日(日)は天皇誕生日である。この日は朝から忙しく1日で3日分も過ごしたような気がした。まずは習字である。午後2時から「研究会」がある日だったが、他の用事と重なってしまい参加が出来ない。しかし作品の提出だけはしておきたい。書いておいた作品を見直して暗い内から1枚だけ書き直した。隷書体の2行書きの作品である。課題は「寡欲知身健安貧覺累軽」である。初めての10文字である。<10文字っ...

  • 啓蟄

    按摩器に寝て啓蟄の日なりけり日曜日に注文して火曜日、家に帰ると届いていた。私「おっ、届いたな(笑)」妻「コンビニで支払いしておいたよ」私「ありがとう」食事を終えたあと、早速、開けてみた。私「あれっ、前のと柄が変わったな」妻「そう?」私「こんな縞模様ではなかったと思う」妻「……」私「さて、どんな感じか(笑)」スイッチを入れた。グ~~~~ン。私「おおお、強烈!」妻「どう?」私「わ、わ、わ、わ、前よりパワ...

  • 獺の祭

    口上や獺の祭の売り上手日曜日の朝も早い。起きてすぐにテレビを点ける。いつもは4時15分から始まるNHKの「国際報道2025」を見るのだが日曜日はやっていない。平日夜10時の番組の再放送なので、土曜日はやっていないようである。日曜日は酒井美帆アナの顔が見られない。8チャンネルを掛けると「ディノスTHEストア」をやっていた。見るとマッサージ機「タタミ」を紹介していた。<おっ、昔買ったヤツだな……>3年ほど前に同じ番組を...

  • 花粉症

    この世をば儚むほどに花粉症もっと早く気が付けば良かったが、てっきり風邪だと思い込んでいた。花粉症であればコルゲンコーワのカプセル1錠で撃退である。もう30年以上も前になるが医者に行って「花粉症」と診断された時は落ち込んだ。<一生、この季節、鼻水を垂らしていなければならないのか……>事務屋の私が鼻水を垂らし続けるとは憂鬱なものである。何年間かは処方箋通りの薬を飲み「効かない」「合わない」「もうだめだ」と...

  • 春の風邪

    春の風邪悪しき寝相を悔ゆるかな孫のカズ君の中学受験が終わった。中学校に入るのに塾に通ったり受験勉強をしなければならないのだから田舎にいた自分の頃とは大違いである。その慰労を兼ねて三浦海岸にある「マホロバ」に泊まるという。妻「仕事が終わってからでもいいから来てよ」私「オッケー」妻「来るんだった食事も予約しておくけど」私「5時には行ける」妻「オッケー。じゃ、予約しておくね」ということで平日の宿泊となっ...

  • 長閑

    福もあり禍もありなべて長閑なり我々が座った席の壁にも「書」が飾られていた。篆書のようである。先日来始めている隷書のもっと前、秦の始皇帝が中国の統一を果たし、文字の統一も図ったのだが、その時に採用されたのが篆書体と言われている。今から2200年以上も前のことである。隷書を書き始めた私が篆書にまで興味を示してはいけない。やることが多くなり過ぎる(笑)。妻「これ、みんな福という字じゃない?」私「えっ!」妻「...

  • 蓬莱

    蓬莱を求め東へ馬車走る「ビャンビャン麺」が来た。私「おおお、辛そうだなぁ(笑)」妻「写真はいいの?」私「おっ、一枚撮らせて」妻「一枚でも二枚でもどうぞ(笑)」私の注文のツマミの品もすぐに運ばれてきた。料理は速いようである。私「どう?」妻「うん、そんなに辛くない。食べてみる?」私「うん、じゃ、1本だけ」食べてみた。私「おっ、ホントだ。そんなに辛くない」妻「それにしても11万円のビャンビャン麺とは凄いね...

  • 路地奥の中国訛り春を呼ぶ関帝廟を目印に「ビャンビャン麺」の店に辿り着いた。いつもは写真右の店に声を掛けて斜向かいの建物の2階のカラオケ屋に入るのだが、今日は食事である。左の店に人が入って行った。見ると「ビャンビャン麺」のポスターがどちらの店にも貼られている。女性「ド~ゾ、ドッチノ、ミセモ、オナジ」左の店の奥からカタコト日本語で声を掛けられた。私「どっちでもいい?」妻「私はどっちでも」左の店に入った...

  • 竜天に登る

    竜天に登り花道より消ゆる観終わって外に出たのが5時過ぎである。私「いやぁ、面白かったなぁ(笑)」妻「それは良かったね(笑)」私「原作通りというのも良かったよ。最後に河童が出てきたところだけは原作と違っていたけど、アングラ劇場だと思えば許せるかな(笑)」妻「原作ではどうなっているの?」私「暴風雨の桟橋で伝馬船が流されないか様子を見に行った時に5、6人に襲われるんだ。玉井組の若い衆もいたはずだけど暴風雨...

  • 春燈

    組の名を入れし春燈出入りかなほぼ原作通りである。細かいところも正確に原作を踏まえている。<分かるかなぁ……>原作を読んでいない人がほとんどのはずである。何度も読んで、前日にも読み返して来た私だから分かるようなシーンもある。<どうだろうか……>隣の妻を見る。暗闇の中だが、薄っすらと横顔が見える。<えっ!>何と寝ているではないか!<まさか……>本当に面白く見ていたが周りの人たちはどうなのだろう。少なくとも妻...

  • 春塵

    春塵に塗れゴンゾを稼業とす舳先の奥からネクタイ姿の男が大声を出しながら飛び出してきた。男性「本日はよ~こそ、お出でくださいましたぁ!」<ん?何だ、何だ?……>小説には全く登場しない人物である。男性「ここは北九州、若松港。明治36年の活気溢れるゴンゾたちの仕事場です。ゴンゾと言っても今の人たちには分かるはずがない。ちょっと説明させていただきますと、筑豊炭鉱で掘り出された石炭がこの若松港に運ばれてきて大き...

  • 春服

    春服が探す己の桟敷席私「2時の開演か。何時に出る?」妻「1時15分から入れるよ。舞台上に屋台が出ているんだって」私「舞台?何の舞台?」妻「小物や食べ物の店みたいだよ」私「へぇ~」12時50分の電車に乗り、1時半にKAATに到着した。<ん?ここは昔来たことがあったな……何だっけなぁ?>思い出せない。中に入るとお釈迦様の形をした「ねぶた」が飾られていた。中華街で行なわれている「春節」の関連なのかも知れない。会場の3階...

  • 春興

    春興や字画を誇る𰻞𰻞麺工場長と「花と龍」の話をした1週間後の土曜日の新聞に「花と龍」の記事が載っていた。<えええっ、話をしたばっかしじゃん!>関内にある神奈川芸術劇場(KAAT)でこの「花と龍」の舞台公演があるという。私「ミミミミ、これ、見に行こう!」妻「ナニ?」私「花と龍」妻「ええっ……」私「2週間しかやってない」妻「面白くなさそう……」私「面白くないかもしれないけど、絶対に見たい」妻「しょうがないなぁ……...

  • 春服

    仕事着と言ひ春服に迎へらる婿殿から連絡が入った。勤める会社でロッカーを買い替えるという。普通にどこからでも買えば良さそうなものだが、特注的要素もあるので相談に乗ってほしいという。営業と工場長と3人で出掛けて話を聞いて来た。当社で作って納めることになった。婿殿の働く姿をその時初めて見た。帰りの車の中での会話である。工場長「お婿さん、いい男でしたね」私「うん、いい男だよ」工場長「社長の長女の旦那さんで...

  • 賑はひや酔へばものみな朧なり終盤に近付いた。後ろの席に日本濾水器工業の橋本会長、社長親子がいる。私「さっきお見掛けしたので手を振ったら素通りされました(笑)」会長「あっそ(笑)」私「とうとう忘れられたのかと心配になりました(笑)」会長「もう細かいところに目が行かなくなって来たんだよ(笑)」私「ハハハハ」会長「それにしても後期高齢者もいいところだよ。健保組合もいつまでボクに役員をやらしておくんだろう...

  • 春めく

    春めくや罪なき嘘のありぬべし秋山社長(写真)はしばらくブログを眺めていた。秋山社長「これは凄いですね。毎日更新ですか?」私「そう」秋山社長「このブログの名前『ひこばえ』ってどういう意味ですか?」私「木の切り株があるだろう。その横から若い芽が生えて来る。その若い芽のことを『ひこばえ』という」秋山社長「へぇ~」私「長く続けるにはコツがある」秋山社長「何ですか?」私「ウソは付かない(笑)」秋山社長「ハハ...

  • 春の夜

    春の夜のジヤズの音色やすこし酔ふ演奏が始まった(写真)。最初の曲が高橋真梨子の「別れの朝」である。私の左には秋山社長が座っている。私「あれっ、日本の歌じゃん(笑)」秋山社長「そうですね」私「しかもオレがいつも歌ってる曲だよ」秋山社長「そうなんですか」私「オレの方が上手い」秋山社長「えっ、それは……(笑)」私「いや、ホント。オレの方が全然上手い」秋山社長「ハハハハ」私「だけど、知らない歌を聞かされるよ...

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