大仏の眼は閉じてをり百千鳥小説「JR上野駅公園口」の主人公は昭和8年生まれである。福島県相馬郡八沢村で生まれ、両親は二人とも90才を超えるまで長生きした。兄弟は下に7人もいて末の弟とは14才も離れている。長くこの上野公園でホームレスをしている。顔ぶれも変ったし、数も減った。バブル崩壊後は数が増え、公園内の遊歩道と施設以外はブルーシートの「コヤ」で埋め尽くされていた。天皇家の方々が博物館や美術館を観覧する前...
大仏の眼は閉じてをり百千鳥小説「JR上野駅公園口」の主人公は昭和8年生まれである。福島県相馬郡八沢村で生まれ、両親は二人とも90才を超えるまで長生きした。兄弟は下に7人もいて末の弟とは14才も離れている。長くこの上野公園でホームレスをしている。顔ぶれも変ったし、数も減った。バブル崩壊後は数が増え、公園内の遊歩道と施設以外はブルーシートの「コヤ」で埋め尽くされていた。天皇家の方々が博物館や美術館を観覧する前...
みほとけの金の剥落義経忌列に並んでいると後ろの客の会話が聞こえてくる。二人連れである。男性「三拍子が揃ってしまいましたなぁ。まだ3分咲きとは言え上野の桜にこの天気、それに金色堂だから並ぶのは仕方ない(笑)」相方「桜も上野ばかりじゃないのになぁ。桜新町のあのサザエさんの八重桜も見事だし、紀尾井町の清水谷公園の桜並木もなかなかなもんだよ」男性「ボクは市ヶ谷のお堀の桜が好きだなぁ。千鳥ヶ淵の桜より趣があ...
金色仏見むと列なす花三分新杉田駅を9時の電車に乗り込んだ。所要時間1時間なので10時に着くはずである。一度読んだ「JR上野駅公園口」を取り出してもう一度読んでみようと思ったがいつの間にか眠っていた。東京駅のあたりで目が覚めて「ここ、どこ?」と妻に聞いた。この頃、やたらと眠くなる。加齢の所為なのか朝が早過ぎる所為なのか。自分の意思とは無関係に睡魔が襲って来る。上野駅に到着した。妻がさっさと歩いて行く。「パ...
花巡り手には小説「上野駅」中尊寺についてはちょっとした思い入れがある。コロナ前のことだが平泉を訪れて高橋克彦著「炎立つ」所縁の地を見て来ようと旅館まで予約していたのである。急にコロナ騒ぎが始まり、ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染が報じられ、宿をキャンセルせざるを得なくなったが予約していた旅館からは今もなお妻のアドレスにメールが届くという。平泉だけでなくいろいろと回ってみる計画を立てたと思うが、...
予約して花見見下ろすレストラン<あっ!中尊寺を見に行くのを忘れていた!>今年の初め頃からやっていたのだが、頭から飛んでしまっていた。調べると4月14日(日)までである。3月30、31日の土日は孫が遊びに来ることになっている。4月6、7日の土日は習字と別の用事が入っている。さすがに最終日あたりは混み合うだろう。平日に行くことにした。妻「会社は大丈夫なの?」私「1日くらいは許してくれるだろう」妻「私はいつでもいい...
春大根買つて新妻とはなれり翌日、白澤さんからメールが入った。白澤さん「お疲れ様です。来週の飲み会ですが、仕事の都合で参加できなくなってしまいました。4月25日(木)の斉藤先生の古事記の講演会に日向社長も参加されるとのことで、斉藤先生からお聞きしました。私も参加しますのでその時にお会い出来ます。とても楽しみにしております」私「斉藤先生の3時間もの講話が退屈なものでないことを願っています。これから古事記の...
目隠しをされて揉まれて目借時私「こんにちは(笑)」斉藤さん「講演会申し込み、ありがとうございます(笑)」私「前回は何か都合があって聞きに行けませんでしたので、今回は楽しみにしています」斉藤さん「白澤さんも参加してくれます(笑)」倫理法人会で一緒だった美人の白澤さんに私が好意を持っていると思い込んでいる(笑)。斉藤さん「前回からもう半年近く経ちましたよね」私「8月に揉んでもらいましたのであれから8か月...
囀りや神の国へと誘へり斉藤さんからメールが届いた。4月25日(木)に「古事記」の講演をするらしい。1回目、2回目と聞きに行けておらず今回が3回目である。たまたま都合が付かなかっただけだが今回は行けそうである。「参加する」と返信した。すぐに折り返し返信があった。斉藤さん「参加料3000円の振込は下記の口座へ」斉藤さんらしいなぁと思った。有名人の講演会ならチケットの販売などは当り前だろうが、素人の集まりである...
腕に縒り掛けて遅日の厨事カズ君がいなくなった。戦力1名減。お椀にお湯を入れた。私「麺を三等分するというのは大変だなぁ」鍋の中で茹っている麺を箸でどんぶりに入れようとした。妻「何をやってるの!直接入れる人いないよ!湯切りだよ、湯切り!」私「えっ、湯切りってどうするの?」妻「これを使って!」流しの下からステンレス製のザルを取り出した。妻「これにお湯ごと流し込んで」私「えっ、この熱湯をそのまま?」妻「そ...
らーめんの湯の滾りをり三月尽お湯が沸騰しそうである。私「タレを薄めるお湯は300ccって書いてあるけど、300ccってどれくらいだろう?」妻「大体でいいのよ」私「大体ってことはないだろう。お湯の量によって味が変わるだろう?」妻「細かい人だなぁ、これを使いな。計量器」私「おお、便利なものがあるじゃん。300ccってこのカップ一杯だ。だけど、お湯を入れる前にタレを入れてしまったなぁ。煮立ったお湯をこのカップに入れて...
どんぶりと小皿並べて獺祭日曜日の昼の会話である。私「お湯を沸かしてラーメンを作るって、ここ数年やったことないな」妻「何を言ってるの。ここ数年って」私「えっ、いつかやったことはあったよな」妻「結婚してから一度として見たことありません」私「えっ、そうだっけ?」妻「45年間、一度もやったこと……なし!」私「まぁ、お湯を沸かして茹でるだけだから簡単だろう」妻「箱の裏側に作り方が書いてあるから読んでおいた方がい...
四月馬鹿馬鹿を逆手に売るらーめん木久扇といえば「木久扇ラーメン」である。食べに行ったことは一度もなかったが、最後であれば行ってみるかと調べてみると、昔27軒もあったという店舗が全て閉店してしまったと書かれていた。<ええっ、全部閉店!>ラーメン屋の経営も大変なんだなぁと驚いてしまった。ウィキペディアで「木久蔵ラーメン」を読んでみると最後のところに「2024(令和6年)3月、木久扇が笑点大喜利レギュラーを降板...
笑はれて馬鹿の一人が卒業す最近久しく「笑点」を見ていなかったが、林家木久扇(86才)がとうとう最後の日を迎えるようである。桂歌丸が辞めて円楽(楽太郎)が辞めて次々と新しいメンバーと入れ替わってきたが、木久扇もいなくなるというのは寂しいものである。東京都内で最終収録が行なわれて共演陣と共に記者会見に臨み、その様子がニュースになり映像が流れていた。メンバーの一人一人が労いの言葉を述べていたが、その中で春...
芸人の町「浅草」に春灯「捕鯨船」を出たのが5時半である。駅まで歩いて雷門の前に出た。まだ明るい。スカイツリーが見える。たけしの「浅草キッド」では「明かりの消えた浅草の」と歌っていたが、まだ日のある明るい浅草である。一日、たけしの浅草を歩いてみて「紙一重」とか「一歩間違えれば」という言葉が思い浮かんだ。「世界の北野」と駆け上がったたけしだが、母親に心配を掛けてばかりいた浅草時代である。アパートの家賃...
鯨売る店に嫁ぎて商へり女性客が入ってしばらくして中に呼ばれた。若い女子店員が声を掛けてくれた。女子店員「奥の方へどうぞ」私「奥?」女子店員「一番奥になります。スミマセン、通してやってください」カウンター席ばかりである。男たちの背中の後ろを身体を横にしながら進んで一番奥の丸椅子に到着した。女子店員「スミマセンねぇ、狭くて。後ろをトイレに行く人が通りますので、その時はお願いします」選りによってカウンタ...
鯨潮吹くシーシエパードが見張る「曙湯」を出て向かうはその日最後の目的地「捕鯨船」である。本当なら「言問通り」沿いにある「さくま」という居酒屋に入りたいところだったが日曜日は休みである。たけしが照明係のいのうえと一緒に酔っぱらうまで飲んだ店だというのでそちらの方が面白そうだが休みでは仕方ない。「ひさご通り」を抜けて「ホッピー通り」というのか「煮込みストリート」というのかは分からないが歓楽街に入ると文...
湯上りの遅日の風に吹かれけり『いのうえが入って来てから、オイラは振り付けの練習をする踊り子に混じって毎晩コントの稽古を始めた。深見の師匠に教わった新ネタを稽古し、タップの学校で習って来たステップをおさらいした。劇場がかぶったあとの夜の九時半から十一時までがオイラたちの稽古時間だった。その間中、いのうえは客席に座ってオイラの稽古をじっと見ていた。おさらいが済むと、待っていたいのうえを誘って、松倉荘の...
開け放つ三畳一間涅槃西風「東洋館」を出て次に向かったのは当時たけしが住んでいた「第二松倉荘」跡である。「ブロードウェイ通り」から「ひさご通り」を抜け「言問通り」の交差点を渡って「千束通り」に入る。一本目の通りを右折して50メートルの場所にある。歩くこと7~8分。今はマンションに建て替わっていて「第二松倉荘」だった場所は駐車場の回転盤に変わっていた(写真)。ビートたけしの「浅草キッド」からである。『年の...
バカヤロー!コノヤロー!タケ!春の雷それにしても小さな舞台である。ここで深見千三郎師匠がたけしやきよしを育てながらコントをやっていたのである。ストリップを見にきた客を相手に真剣に自分たちの芸を磨き、芸人としての技を仕込んでいたのである。ビートきよしの「もうひとつの浅草キッド」に深見千三郎とたけしについての記述がある。きよしはたけしのことを「相方」と呼んでいる。「相方にとって深見千三郎師匠は最初で最...
漁夫渡る一つ覚えの祝ひ唄開演である。最初に登場したのが「シリアル」の二人である。太ったのと痩せたのが出て来た。と、そこに年寄りが一人出て来た。<あっ、さっきの人だ>1階から乗り込んだエレベーターに「関係者、関係者!」と叫びながら知り合いの4人を詰め込んで来た男性である。派手な上着を着ているので普通の人ではないことは分かったが、誰なのだろう?キョウジ師匠と呼ばれている。パンフレットを見てみる。「J・J京...
陽炎へるものに東京副都心4月1日(日)久し振りに一人カラオケに行ってきた。会員カードがあったので前回初めて行ったのが1年前の4月30日だったことが分かる。<あの時は『ねぇねぇねぇねぇ……』を歌いに行ったんだなぁ……>「サヨナラ模様」である。歌い始めてすぐに<これはオレには向かない>と分かり、演歌ばかり歌って帰って来たと記憶している(令和4年5月21日、ひこばえ「四月尽」)。今回はアリスの「遠くで汽笛を聞きながら...
一病を得て白髪の青き踏む第2部は8時からである。少しの休憩を挟んでスタートした。滝さん「さぁ、いよいよ因幡晃さんの登場です。大きな拍手をもってお迎えください!」またまた私の前を通っての入場である。コウさんがエロ本を見て大笑いしていたという厨房の奥からの出てきての登場である。少しヨタヨタしている。滝さんの隣の場所に腰掛けた。滝さん「因幡さんは病気をされました。それを乗り越えて今日、駆け付けてくださいま...
逃水を追ひて齢を重ねけりコンサートが始まった。第1部は滝ともはるさんである(写真)。後ろにギターの丸山ももたろうさん、ベースの牧田和男さんを従えている。滝さん「今日は随分と若い女性が多い(笑)。いつもは男性客が8割で、残りは嫌々ながら男性に連れて来られた女性客なのですが、今日は逆になっている。因幡さんの根強いファンが如何に多いことか。羨ましい限りです(笑)」軽妙な語り口で進行していく。歌も上手い。ギ...
春しぐれ裏町に灯の点り初む5時40分に7名が集合した。初対面の人もいる。そのまた彼女もいる。Oさんの友達とのことである。店に向かって歩き始めた。生憎の雨である。傘を差しながら関内ホールの手前を左に曲がり、小さな店がポツポツとある通りを進んだ。Oさん「ここは裏関内と呼ばれています」私「裏関内?そんな呼び方があるんですか」Oさん「昔ながらのお店が頑張っています。派手さはありませんが、私は表の関内よりこちらの...
「分かつてよ」と言はんばかりに鳴く子猫Mさんから電話が入った。Mさん「日向さん、明日、お願いしますね」私「おお、6時にどこに行けばいいの?店の場所、知らないよ」Mさん「全員で7名になりましたので、5時40分に関内駅北口で待ち合せます」私「オッケー、わかった、よろしくお願いします」因幡晃のコンサートである。閉店するライブハウスのイベントなのでどんなものかは分からないが生の因幡晃が聴けるというのだから行かない...
四月馬鹿この親にしてこの子あり石原慎太郎が「天才」と題しただけあって田中角栄という人は凄い人である。読み終わるとすぐに本屋に行って角栄本を手当たり次第に数冊買って来た(写真)。どの本を読んでも素晴らしさが伝わって来る。ここのところ、土日の休みはそればかりを読んでいる。田中角栄といえば「日本列島改造論」であり「日中国交正常化」であり、最終学歴が高等小学校で総理大臣まで上り詰めた「今太閤」である。100...
長考を経て虫出しの雷一つ3月19日(日)、前日から読み始めた本を午前中も読み続け、ようやく昼前に読み終わった。石原慎太郎著「天才」。田中角栄のことを書いたものであり、昔読んだものの再読である。昼のニュースで藤井聡太君が棋王戦を戦っていることを知った。<ん?実況中継はないだろうか?>部屋でスリープ中のパソコンを立ち上げて「将棋、生中継、藤井聡太」と検索すると「Abema」なるものが現われた。<おお、やってい...
AIの遣ふ旧仮名花散れり川崎君からメールが入った。社内メールである。先日の牡蠣小屋での一件を俳句にしてみたという。しかも今流行のAIに俳句を作らせ、説明文もAIに書かせたという。「霞かなる牡蠣小屋に酔ひしれて 花散る」という句である。五十四、読みようによっては五七七であり、「霞」と「牡蠣」と「花散る」まで出て来て「なんじゃこりゃ!」ではあるが、「酔いしれて」を文語の「酔ひしれて」にするなど何らかの工夫が...
春泥の語りし昨夜の酔ひのこと土曜日は雨である。工場は動いている。少し早めに退社して牡蠣小屋に向かった。川上君と川崎君と私の3名である。シーサイドラインの八景島駅で降りると目の前に大きな駐車場があり「はとバス」が停まっていた。その横にも大型のバスが停まっている。私「おお、牡蠣小屋、満席じゃないのか?はとバスで来てるぞ」川崎君「ワァ~、こんな雨の日に牡蠣を食べにバスで来ますかねぇ」私「だから、何事も軽...
蝦蛄漁の寂れて雨の柴漁港私「牡蠣食えば鐘が鳴るなり称名寺」川崎君「おお、いい句ですね」私「いい句の訳がないだろう(笑)。法隆寺を称名寺に変えただけのどうしようもない句だよ」川崎君「称名寺ってどこにあるんですか?」私「なにィ!称名寺を知らない!自分の住んでいる場所の超有名なお寺を知らないのかよ。安藤広重の称名晩鐘は見たことあるだろう(写真)。金沢北条氏。山門に北条氏のミツウロコの家紋が貼られているよ...
春一番無人電車のドア開く金沢シーサイドラインに乗った時に「海の公園かき小屋」の車内広告を見た(写真)。3月31日までの営業だという。<おお、日がないじゃん。行かなくっちゃ>その小屋の近くに総務の川崎君が住んでいる。翌日、聞いてみた。私「そっちの家の近くに『かき小屋』があるだろう。行ったことはあるのか?」川崎君「いえ、ありません」私「3月の末迄らしいぞ」川崎君「おお、そうですか。それは行かなくちゃいけま...
目に見えぬ狭き門より地虫出づ3月14日(火)、古文書検定3級の合格通知が届いた。小さな封書一つである。<ん?>鎌倉検定の合格通知より至って簡単である。合格バッジや認定証カードなどは入っていない。「検定試験結果通知」と「認定証」、「試験結果と問題の解答文」、それに次回申し込み用の「振込用紙」が入っていた。<早ッ!もう、次の受験料の振込かぁ……>結果表を見ると受験者数72名の内68名が合格している。落ちたのはた...
鳳闕に臥して猛虎の朝寝せり日曜日の朝、書いてみることにした。薛さん用に用意したユニクロのTシャツが本番なのでその前に妻の古いTシャツで練習することにした。試し書きである。墨は普段使っている墨汁とは違い、粘り気のあるドロッとしたものだった。<おお、なるほど、これなら滲まないなぁ>右利きなので文字は左側から仕上げていく。「癸卯暮春 亮司書」から書き始める。Tシャツの中には硬めのプラスチック製カードケース...
墨ひとつ買ひて外に出る春の月Tシャツに蘭亭序を書くためには滲まない墨が必要である。インターネットで検索してみるとそれなりの商品がいくつか出て来る。「墨運堂 布書液『極』布描き用」というものをアマゾンで注文した。送料込みで1730円である。会社の帰りにコンビニで支払いを済ませた。家に帰るとTシャツは揃っていた。妻がユニクロで買って来てくれたのである。1990円。やることが速い。次に始めたのが蘭亭序に書かれた...
蛇穴を出でて戻らぬ己が道家に戻ってすぐにパソコンを立ち上げてみた。壊れているかどうかの確認である。電源を入れても立ち上がって来ない。画面が黒いままである。私「壊れたな」妻「そう?」私「立ち上がらないというのは壊れたということだろう」妻「そうかもね」私「よしっ、行くか、ヨドバシ」妻「自分のこととなると行動的だよね」私「1週間も待ってはいられないよ」上野から戻ったその足ですぐに上大岡のヨドバシカメラに...
占卜を刻まれ亀の鳴けるなり1階の小さなスペースに書籍とTシャツが置かれていた。お土産コーナーである。王羲之やその他の書家の本が売られていたが欲しいとは思わなかった。Tシャツはどうだろう?薛さんに何か買っていこうかと思ったが、プレゼントになるようなものはなかった。もしあったとしても飾ってあるTシャツを販売しているのはユニクロの浅草店だけだという。わざわざ買いに行く人がいるのだろうか。私「何もないな」妻「...
蘭亭序並べて獺の祭なり「子規庵」は休みだった。改装工事中となっていた。12月から3月末までというのだから随分と長い工事である。文化財を改装するというのは大変なことである。正岡子規が亡くなって120年。その当時の建物をその当時のままに維持していくのだからそんじょそこらの内装工事とは違うはずである。<改装して雰囲気が変わってしまったなぁ>などとならぬよう細心の注意を払って進めていることだろう。その真向かいに...
黄塵やパソコンはたと起動せず私「最近、随分と上野づいているよなぁ(笑)」妻「そうよね、兵馬俑を見て東天紅で食事をして。あれからまだ2カ月と経っていない(笑)」私「今回はウナギにしようか。伊豆栄なんか、どう?」妻「おお、いいわね(笑)」王羲之展をやっている台東区立書道博物館というのが鶯谷である。子規庵の真向かいにあるという。さすがに鶯谷では食べる場所もないだろうと上野の食べ物屋を探したのである。私「...
蘭亭序見比べてゐる上巳かなある日、ロッカールームで社員の薛(せつ)さんが話し掛けて来た。薛さん「社長、この人、知ってるか?」日本語はほとんど通じるがアクセントはやはり中国風で訛りがある。スマホを開いて見せてくれた。私「なに、なに?王羲之?もちろん知ってるよ。どうしたの?」薛さん「今、やってる。見に行くか?」私「ん?なにをやってるの?」薛さん「東京で展覧会、やってる。今、始まったばかり」私「どれ、ち...
春眠へと誘ふ数字の世界健康保険組合、厚生年金基金の役員をしているので時々招集が掛かる。コロナ禍では書面での決議という形で行なわれていたが、最近は以前のように横浜のホテルの一室などを使って開催されるようになってきた。さすがに飲食はないが知った顔ばかりなので楽しいものである。その日は健保組合の予算を討議する会合である。崎陽軒の会議室で約2時間に亘って行われた。世の中の半数の健保組合が赤字に陥っている中...