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ひこばえ http://hikobae0869.blog.fc2.com/

俳句は自分史です。自作の俳句に写真とエッセイを添えて綴ります。

日向亮司
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2013/05/30

  • 陽炎

    陽炎へるものに東京副都心4月1日(日)久し振りに一人カラオケに行ってきた。会員カードがあったので前回初めて行ったのが1年前の4月30日だったことが分かる。<あの時は『ねぇねぇねぇねぇ……』を歌いに行ったんだなぁ……>「サヨナラ模様」である。歌い始めてすぐに<これはオレには向かない>と分かり、演歌ばかり歌って帰って来たと記憶している(令和4年5月21日、ひこばえ「四月尽」)。今回はアリスの「遠くで汽笛を聞きながら...

  • 青き踏む

    一病を得て白髪の青き踏む第2部は8時からである。少しの休憩を挟んでスタートした。滝さん「さぁ、いよいよ因幡晃さんの登場です。大きな拍手をもってお迎えください!」またまた私の前を通っての入場である。コウさんがエロ本を見て大笑いしていたという厨房の奥からの出てきての登場である。少しヨタヨタしている。滝さんの隣の場所に腰掛けた。滝さん「因幡さんは病気をされました。それを乗り越えて今日、駆け付けてくださいま...

  • 逃水

    逃水を追ひて齢を重ねけりコンサートが始まった。第1部は滝ともはるさんである(写真)。後ろにギターの丸山ももたろうさん、ベースの牧田和男さんを従えている。滝さん「今日は随分と若い女性が多い(笑)。いつもは男性客が8割で、残りは嫌々ながら男性に連れて来られた女性客なのですが、今日は逆になっている。因幡さんの根強いファンが如何に多いことか。羨ましい限りです(笑)」軽妙な語り口で進行していく。歌も上手い。ギ...

  • 春時雨

    春しぐれ裏町に灯の点り初む5時40分に7名が集合した。初対面の人もいる。そのまた彼女もいる。Oさんの友達とのことである。店に向かって歩き始めた。生憎の雨である。傘を差しながら関内ホールの手前を左に曲がり、小さな店がポツポツとある通りを進んだ。Oさん「ここは裏関内と呼ばれています」私「裏関内?そんな呼び方があるんですか」Oさん「昔ながらのお店が頑張っています。派手さはありませんが、私は表の関内よりこちらの...

  • 子猫

    「分かつてよ」と言はんばかりに鳴く子猫Mさんから電話が入った。Mさん「日向さん、明日、お願いしますね」私「おお、6時にどこに行けばいいの?店の場所、知らないよ」Mさん「全員で7名になりましたので、5時40分に関内駅北口で待ち合せます」私「オッケー、わかった、よろしくお願いします」因幡晃のコンサートである。閉店するライブハウスのイベントなのでどんなものかは分からないが生の因幡晃が聴けるというのだから行かない...

  • 四月馬鹿

    四月馬鹿この親にしてこの子あり石原慎太郎が「天才」と題しただけあって田中角栄という人は凄い人である。読み終わるとすぐに本屋に行って角栄本を手当たり次第に数冊買って来た(写真)。どの本を読んでも素晴らしさが伝わって来る。ここのところ、土日の休みはそればかりを読んでいる。田中角栄といえば「日本列島改造論」であり「日中国交正常化」であり、最終学歴が高等小学校で総理大臣まで上り詰めた「今太閤」である。100...

  • 虫出しの雷

    長考を経て虫出しの雷一つ3月19日(日)、前日から読み始めた本を午前中も読み続け、ようやく昼前に読み終わった。石原慎太郎著「天才」。田中角栄のことを書いたものであり、昔読んだものの再読である。昼のニュースで藤井聡太君が棋王戦を戦っていることを知った。<ん?実況中継はないだろうか?>部屋でスリープ中のパソコンを立ち上げて「将棋、生中継、藤井聡太」と検索すると「Abema」なるものが現われた。<おお、やってい...

  • 花散る

    AIの遣ふ旧仮名花散れり川崎君からメールが入った。社内メールである。先日の牡蠣小屋での一件を俳句にしてみたという。しかも今流行のAIに俳句を作らせ、説明文もAIに書かせたという。「霞かなる牡蠣小屋に酔ひしれて 花散る」という句である。五十四、読みようによっては五七七であり、「霞」と「牡蠣」と「花散る」まで出て来て「なんじゃこりゃ!」ではあるが、「酔いしれて」を文語の「酔ひしれて」にするなど何らかの工夫が...

  • 春泥

    春泥の語りし昨夜の酔ひのこと土曜日は雨である。工場は動いている。少し早めに退社して牡蠣小屋に向かった。川上君と川崎君と私の3名である。シーサイドラインの八景島駅で降りると目の前に大きな駐車場があり「はとバス」が停まっていた。その横にも大型のバスが停まっている。私「おお、牡蠣小屋、満席じゃないのか?はとバスで来てるぞ」川崎君「ワァ~、こんな雨の日に牡蠣を食べにバスで来ますかねぇ」私「だから、何事も軽...

  • 蝦蛄

    蝦蛄漁の寂れて雨の柴漁港私「牡蠣食えば鐘が鳴るなり称名寺」川崎君「おお、いい句ですね」私「いい句の訳がないだろう(笑)。法隆寺を称名寺に変えただけのどうしようもない句だよ」川崎君「称名寺ってどこにあるんですか?」私「なにィ!称名寺を知らない!自分の住んでいる場所の超有名なお寺を知らないのかよ。安藤広重の称名晩鐘は見たことあるだろう(写真)。金沢北条氏。山門に北条氏のミツウロコの家紋が貼られているよ...

  • 春一番

    春一番無人電車のドア開く金沢シーサイドラインに乗った時に「海の公園かき小屋」の車内広告を見た(写真)。3月31日までの営業だという。<おお、日がないじゃん。行かなくっちゃ>その小屋の近くに総務の川崎君が住んでいる。翌日、聞いてみた。私「そっちの家の近くに『かき小屋』があるだろう。行ったことはあるのか?」川崎君「いえ、ありません」私「3月の末迄らしいぞ」川崎君「おお、そうですか。それは行かなくちゃいけま...

  • 地虫出る

    目に見えぬ狭き門より地虫出づ3月14日(火)、古文書検定3級の合格通知が届いた。小さな封書一つである。<ん?>鎌倉検定の合格通知より至って簡単である。合格バッジや認定証カードなどは入っていない。「検定試験結果通知」と「認定証」、「試験結果と問題の解答文」、それに次回申し込み用の「振込用紙」が入っていた。<早ッ!もう、次の受験料の振込かぁ……>結果表を見ると受験者数72名の内68名が合格している。落ちたのはた...

  • 朝寝

    鳳闕に臥して猛虎の朝寝せり日曜日の朝、書いてみることにした。薛さん用に用意したユニクロのTシャツが本番なのでその前に妻の古いTシャツで練習することにした。試し書きである。墨は普段使っている墨汁とは違い、粘り気のあるドロッとしたものだった。<おお、なるほど、これなら滲まないなぁ>右利きなので文字は左側から仕上げていく。「癸卯暮春 亮司書」から書き始める。Tシャツの中には硬めのプラスチック製カードケース...

  • 春の月

    墨ひとつ買ひて外に出る春の月Tシャツに蘭亭序を書くためには滲まない墨が必要である。インターネットで検索してみるとそれなりの商品がいくつか出て来る。「墨運堂 布書液『極』布描き用」というものをアマゾンで注文した。送料込みで1730円である。会社の帰りにコンビニで支払いを済ませた。家に帰るとTシャツは揃っていた。妻がユニクロで買って来てくれたのである。1990円。やることが速い。次に始めたのが蘭亭序に書かれた...

  • 蛇穴を出る

    蛇穴を出でて戻らぬ己が道家に戻ってすぐにパソコンを立ち上げてみた。壊れているかどうかの確認である。電源を入れても立ち上がって来ない。画面が黒いままである。私「壊れたな」妻「そう?」私「立ち上がらないというのは壊れたということだろう」妻「そうかもね」私「よしっ、行くか、ヨドバシ」妻「自分のこととなると行動的だよね」私「1週間も待ってはいられないよ」上野から戻ったその足ですぐに上大岡のヨドバシカメラに...

  • 亀鳴く

    占卜を刻まれ亀の鳴けるなり1階の小さなスペースに書籍とTシャツが置かれていた。お土産コーナーである。王羲之やその他の書家の本が売られていたが欲しいとは思わなかった。Tシャツはどうだろう?薛さんに何か買っていこうかと思ったが、プレゼントになるようなものはなかった。もしあったとしても飾ってあるTシャツを販売しているのはユニクロの浅草店だけだという。わざわざ買いに行く人がいるのだろうか。私「何もないな」妻「...

  • 獺の祭

    蘭亭序並べて獺の祭なり「子規庵」は休みだった。改装工事中となっていた。12月から3月末までというのだから随分と長い工事である。文化財を改装するというのは大変なことである。正岡子規が亡くなって120年。その当時の建物をその当時のままに維持していくのだからそんじょそこらの内装工事とは違うはずである。<改装して雰囲気が変わってしまったなぁ>などとならぬよう細心の注意を払って進めていることだろう。その真向かいに...

  • 黄塵

    黄塵やパソコンはたと起動せず私「最近、随分と上野づいているよなぁ(笑)」妻「そうよね、兵馬俑を見て東天紅で食事をして。あれからまだ2カ月と経っていない(笑)」私「今回はウナギにしようか。伊豆栄なんか、どう?」妻「おお、いいわね(笑)」王羲之展をやっている台東区立書道博物館というのが鶯谷である。子規庵の真向かいにあるという。さすがに鶯谷では食べる場所もないだろうと上野の食べ物屋を探したのである。私「...

  • 上巳

    蘭亭序見比べてゐる上巳かなある日、ロッカールームで社員の薛(せつ)さんが話し掛けて来た。薛さん「社長、この人、知ってるか?」日本語はほとんど通じるがアクセントはやはり中国風で訛りがある。スマホを開いて見せてくれた。私「なに、なに?王羲之?もちろん知ってるよ。どうしたの?」薛さん「今、やってる。見に行くか?」私「ん?なにをやってるの?」薛さん「東京で展覧会、やってる。今、始まったばかり」私「どれ、ち...

  • 春眠

    春眠へと誘ふ数字の世界健康保険組合、厚生年金基金の役員をしているので時々招集が掛かる。コロナ禍では書面での決議という形で行なわれていたが、最近は以前のように横浜のホテルの一室などを使って開催されるようになってきた。さすがに飲食はないが知った顔ばかりなので楽しいものである。その日は健保組合の予算を討議する会合である。崎陽軒の会議室で約2時間に亘って行われた。世の中の半数の健保組合が赤字に陥っている中...

  • 古草

    石段とその古草に影を描く「長勝寺」を出てすぐには駐車場に向かわず、昨年訪ねた日蓮宗「妙法寺」に向かった。拝観料300円の持ち合わせがなくコンビニで釣銭を作るなどドタバタした「鎌倉の苔寺」である。その少し前にNHKテレビで北海道の日高山脈やそこに咲く花々を描き続けた農民画家坂本直行さん(1906-1982)のことを紹介していた。六花亭の包装紙の絵柄を描いた人である。それを見て触発された訳ではないが久し振りに絵を描...

  • 冬終る

    水垢離の男らの背ナ冬終る水を満々と溜めた大水盤の腹に「一道清浄」の文字が彫られていた。スマホで調べてみる。「悟りに至るための清浄なただ一つの道」と書かれている。<フ~ン>逆さに立掛けられた手桶には「如蓮華在水」の文字。これも調べてみる。読みは「にょれんげざいすい」である。直訳すれば「水の中に在る蓮華の如く」である。澄んだ水もあれば濁った水もある。丸い器に注げば丸くなり、四角い器に注げば四角くなる。...

  • 水温む

    荒行を終えし者等に水温む2月11日(土)建国記念日。この日は鎌倉松葉ケ谷「長勝寺」で「大祈禱会 成満祭」が行われる日である。千葉県の法華経寺で百日の荒行を終えた修行僧が立正安国を祈願し、境内で冷水を浴びるというのだから見に行かないではいられない。10時から10時半と書かれていたので9時半に家を出た。朝比奈峠を越えて逗子ハイランドを抜けるコースだが土曜日だからだろうかいやに混んでいた。いつもなら30分もあれば...

  • 嫁菜飯

    寄り添へることの幸せ嫁菜飯新聞に文藝春秋3月号の広告が載っていて「石原慎太郎夫妻 愛の俳句集」なる文字を見つけたので買ってみることにした。亡くなってちょうど1年だという。記事を書いたのはご夫妻の四男延啓(のぶひろ)さんである。冒頭に「昨年の2月1日に父慎太郎が亡くなり、後を追うようにして母典子が亡くなったのが3月8日でした」と書かれていた。<ええっ!>結婚して67年間を一緒に過ごし、亡くなったのがたったの...

  • 春立てり

    炊き立ての飯の大盛り春立てり会社を1日休んで下剤を飲むことになった。病院での検査は2時から4時までの間で当日の下剤の効き方を確認した上で時刻を決めることになっていた。自宅で下剤を飲んで腸内をキレイにしてから電話をするのである。下剤は9時半から11時までの1時間半で飲むことになっていた。私「明日は少し早くから始めよう」妻「なんで?決められた時間にやればいいじゃない」私「いや、おそらく順調にはいかない気がす...

  • 寒明ける

    レトルトの味の薄さよ寒明くる鎌倉検定3級の試験結果が届いた。合格証と認定証カードとバッジ、それに採点内容についての説明書が入っていた。案の定、国宝の問題を1問間違えたようで結果は99点だった(写真)。受験者数525人中18位となっていた。すなわち100点満点が17人いたということである。<ガリ勉、やってんじゃねぇよぉ!>と言いたいところだが、人のことをトヤカク言える立場ではない。高校生の時にやった「ガリ勉」を50...

  • 正体はバラ科と梅を精査せり貝原益軒の「本草学」を見ていると中国から来た「本草綱目」が現われ、日本で最初の植物図鑑「本草図譜」が出てきて、絵を眺めていると「日本植物学の父 牧野富太郎」へと繋がっていく。私「次のNHKの朝ドラの主人公は牧野富太郎だって。面白そう」妻「ああ、神木隆之介君がやるやつね」私「たまには見るか。最近、朝ドラ、見てないからなぁ」妻「面白いかも知れないね」私「本屋に行って1冊買って来る...

  • 冬終る

    カンツオーネホール震はせ冬終る圧巻だった。まさにエンターテーナーだった。最初から最後まで声量全開である。何才になるのだろう。75才。若い。あと10年は、いや15年は大丈夫かも知れない。布施明、恐るべし。想像を遥かに超えた素晴らしいコンサートだった。今更ながら彼のファンになった瞬間だった。生きる力を分けてもらった2時間となった。習字から3時半に戻って4時に家を出た。電車で関内まで出て県民ホールまで歩いた。到...

  • 梅早し

    流るるが如き師の筆梅早し「布施明のコンサート、申し込む?」と聞かれて「行かない」と答える選択肢はない。しかしなぜまた妻が布施明を選んだのかはよく分からなかった。「だって、いつだったか、布施明の外国語の歌は素晴らしいと言ってたじゃない」と言われて、「えっ、そんなこと、あったっけ?」と惚けた返事をしている。<なるほど、そんなことあったなぁ。よく覚えていたなぁ。本人が忘れているというのに……>1月29日(日...

  • 若布汁

    大御所の質素倹約若布汁メルカリに出品されていた「家道訓」1200円は娘に手配してもらった。「家道訓」について書かれた現代書「人間としての最高の生き方──貝原益軒の名著『家道訓』を読む」(斉藤茂太著)は妻に手配してもらった。意味を確かめながら原文を書き写そうという魂胆である。夕食時の会話である。私「ウィキペディアというヤツを見てみたら、貝原益軒は本草学者だと出ていた」妻「なになに、本草……?」私「ブックの『...

  • 春遅々

    春遅々と読めぬかな文字なぞりけり古文書検定の2問目が難しかった。読めない文字がいくつかあった。「凡そ人の臣たる者は〇〇」という文章である。その次に「父」のような字が続くが、それが「父」ではないことはだけは確かである。しかし読み方が分からない。「人の妻たるものは〇〇」「忠ならんとする時には〇〇」と同じ字が何度か出て来る。1文字なのか2文字なのかも分からない。なんだろう?朝の出掛けの会話である。私「いや...

  • 料峭

    料峭や鶏小屋の絵のみな暗し目が覚めたのは夕方の6時である。「腹減ったなぁ」と思って目が覚めた。家に戻ったのは2時頃だろうから4時間ほど経っている。立ち上がろうとすると目が回った。<カバ焼きの蓋を開けた辺りまでは覚えているが……>その後の一切の記憶を失っている。<ヒャ~、まずいよ、まずい。どうなったのだろう……>考えても何も浮かんでこない。高速道路上で一度目が覚めたことと家の入口付近で「わぁわぁ」やったこ...

  • おでん

    信心に遠き茶店のおでん酒土曜日の朝、自宅の前まで車で迎えに来てくれた。乗り込んですぐに因幡晃の話になった。まだ前日のカラオケを引きずっている。私「ええっ、知らない!因幡晃を知らないの?」全員「はい、知りません」私「そりゃ、ないだろう。いくらなんでも、そりゃないだろう」スマホで検索している。「社長、この曲ですか?」「そうそう、その曲。『わかって下さい』。聞いたことぐらい、あるだろう」「いえ、一度も聞...

  • 新年会

    駅前の一つ目の路地新年会関内の個室居酒屋に7名が集まった。男性4名、女性3名。いつもの仲間である。Mさんが挨拶する。Mさん「明けましておめでとうございます。来週からSさんが日向さんの会社にお世話になることになりました。日向さんが本当に会社で仕事をしているかどうか見張ってもらうことになりました。Sさんから逐一報告をもらうことになっています(笑)」Sさんは元Mさんの部下である。会社を辞めて別の会社で働いていた...

  • 夜咄

    夜咄や笑はぬまでも諾へり1月15日(土)成田山初詣を予定していた。コロナ禍でもあり会社の大人数を連れての参拝は出来ない。車で出掛けてひっそりと幹部4人でお参りしてくることにした。我が社の恒例行事だが今年は飛んでもない失態を演じてしまった。酩酊である。そんなに飲んだ訳でもないのだが、記憶が吹っ飛んでしまったのだ。何十年振りかの出来事である。どうしてそんなことになってしまったのか。振り返るとその前日から始...

  • 日脚伸ぶ

    不老不死の話などして日脚伸ぶ上野東照宮にお参りをして、不忍池の弁天堂へと進み、枯蓮に覆われた池の前のベンチで時間まで待っていた。昔の東天紅とは建物が変わっていた。9階建てのビルになっており、食事はその最上階である。エスカレーターで2階に上がると「ご予約のお客様ですか」と女性が近づいてきた。名前を言うと「お待ちしておりました。お席の用意は整っております」という。エレベーターで9階まで上がり、案内された...

  • 春待つ

    刀剣を回し春待つ大道芸見終わって外に出たのが11時50分である。約1時間半、中で見ていたことになる。東天紅の予約が1時半なので散歩をして時間を潰すことにした。まず向かったのが「上野東照宮」である。「どうする家康」が始まったばかりで混雑しているのだろうが、ここはお参りしておかなければならない。歩き始めるとすぐに人だかりに出会った。大道芸である(写真)。水晶の玉を両手で持って何か話している。<何だろう?>若...

  • 耕し

    耕して野に木簡の出土せり美術館には10時から10時半の間に入ることになっている。8時45分に家を出た。私「キングダムって漫画だろ?」妻「そうだよ。もう60巻以上出ている」私「えっ、60巻も!」妻「それでもまだ中国は統一されていない(笑)」私「へぇ~、そりゃ凄いなぁ。国と国との戦いをやっているんだ」妻「映画にもなってるよ。吉沢亮君が始皇帝役」私「へぇ~、渋沢栄一だ」さすがに漫画を読む気にはならないが、子供でも...

  • 一月

    小籠包とて一月の池之端土曜日は習字があるので日曜日に出掛けることにした。完全予約制である。メールした。私「兵馬俑展、日曜日に出掛けよう。何時でもいいので予約お願いします」スマホでカード決済などとなると私には無理である。小難しいことはお願いするしかない。すぐにやってくれた。妻「10時に予約しました」私「おお、ありがとう。上野で美味しいものでも食べてこよう。精養軒でも予約する?」妻「東天紅は?」私「いい...

  • 春の闇

    鵺鳴いて黄泉の国へと春の闇昨年11月から「上野の森美術館」で「兵馬俑と古代中国展」が開かれていた。正月休みにカズ君は娘と一緒に出掛けている。「感動した」といい、自分のためのお土産に小さな兵士像1体を買って来ている。「キングダム」は全巻読んでいるという。私も出掛ける前に1冊読んでおこうと選んだのが塚本青史著「始皇帝」である(写真)。文庫本で良かったところを間違えて単行本を買ってしまった。寝ながら読む本と...

  • 松過ぎ

    松過ぎや早も匂へる焼肉屋テレビで「芽キャベツが大きくなるとキャベツになるかならないか?」という問題が出ていた。答えは「ノー」。両者は全く別な種類のもののようである。正月休みが終わり、明日帰るというカズ君を焼肉屋に連れて行った。いろいろと注文したが最初に出て来たのが「キャベツ」である。私「おお、芽キャベツの大きくなったやつが出て来た(笑)」この種の冗談では笑ってもらえない。私「問題!コブクロが大きく...

  • 浦の春

    舳先より撒かるる蜜柑浦の春小屋の前をぞろぞろと人が歩いていく。みんな袋を持っている。大人も子供も自前の袋やビニール袋を持っている。<そんなにばら撒くんだろうか?>確かにそれぞれの船の舳先に大きな容器が置かれていた。蜜柑を山盛りにしたのもあれば、お菓子で一杯のものもあった。なるほど、一つ一つはそれほどでなくても全部の船が撒くとなれば相当な量である。袋持参も頷ける。15分前になって船の前に行ってみた。随...

  • 飾り餅

    大漁旗立ててキヤビンの飾り餅正月早々体調が悪く、風邪か鼻炎か、はたまたコロナかと悩みつつ家の中にいてダラダラと過ごしてしまったが、4日目となり、ようやく復した感があったので腰越まで出掛けてみることにした。今年は秋に鎌倉検定2級を受けることになるのだろうが、なんとなく要領も分かり、勉強の仕方も理解出来たので、やみくもに歩き回ることもしなくていいようである。鎌倉に於ける正月行事は目白押しだが、ポイントを...

  • 年惜しむ

    ウクレレを一つ買ひ込み年惜しむ2泊3日というのも楽しく過ごせば短いものである。私「今回一番良かったところを選ぶとしたら、次の内、どれ?1番アンコウ鍋、2番ブラック・スライダー、3番与市」カズ君「ハイ!与市!」通算5、6回入ったと思う。カズ君「今まで入った温泉の中で与市が一番良かったなぁ。たぬきもいいけど、全然、与市には敵わないよ」私「また来ればいいさ」カズ君「ホント!よしっ、春休みに来よう!」私「いやい...

  • 極月

    極月の風呂屋に鍵のない騒ぎ本当にどこでどうなってしまったのだろう。見当も付かなかった。ポケットと言っても水着1丁である。入れる場所もない。念のためにカズ君が私の水着のポケットに手を入れてきた時は笑ってしまった。付けっぱなしにしていないか、ロッカーまで行って見てみたが施錠されていた。私「よしっ、ちょっと待て。こういう時は慌てちゃダメだ。深呼吸して冷静に行こう」カズ君「……」与市の入り口にある茶店風な休...

  • 日短し

    余生なほ探し物して日短しブラック・スライダーは1回だけ乗って、あとは温水プールや水着で入れる温泉などに入りに行った。1時半から始まる「フラダンスショー」を予約しているのである。開演5分前に無事到着して会場の前から2番目の席で約30分のショーを堪能した。昼食は遅めにラーメンで済ませて部屋に戻ってきた。カズ君「オレ、もう1回、スライダーに乗りたいナ」娘「あれっ、怖かったんじゃないの?」カズ君「いや、考えたら...

  • 寒泳ぎ

    流されて回りて浮きて寒泳ぎ2日目の朝、寒くて目が覚めたと言いつつも、二度寝をして朝食時刻8時の少し手前まで寝ていた。前日と同じ部屋での豪華朝食である。ビールを1本注文する。「朝に飲むビールは美味しいですよね。私もお休みの日には頂いています(笑)」と仲居さんが励ましてくれる。「朝のビールが美味しいと思える内が花。飲めなくなったら終わりだ」と答えて完食する。部屋に戻ってすぐに「与市」に出掛け、一と風呂浴...

  • 年の湯

    年の湯の湯気の中なる江戸情話江戸情話「与市」の話を書いておこう。入口の「由緒書き」にこう書かれていた。「時は天正19年(1591)、徳川家康が江戸入りした翌年の夏の話である。伊勢与市なる者が銭瓶橋のたもとに一軒の銭湯を建てた。風呂銭は永楽1銭なり。湯屋の2階は入浴を済ませた人々が集い、碁や将棋を指しながら芝居や浄瑠璃の話に花を咲かせた。江戸時代、銭湯は男粋を感じさせる庶民の社交場として賑わった。『与市』は...

  • 避寒宿

    館内をみなアロハ着て避寒宿我々の泊まる部屋は「ホテルハワイアンズ」の2222号室である。フロントで受付を済ませた後、「どこだ、どこだ」と言いながらようやく辿り着いた。部屋は広かった。ベッド2台と布団を2つ敷く畳の部屋が大きく区切られている。テーブルが2台、テレビが2台。ムダに大きく作られている。私「こりゃ、広くていいや(笑)」娘「ワァ~、のんびり出来そう~(笑)」すぐに風呂に出掛けた。その建物の6階にある...

  • 防寒帽

    出迎への明るきアロハ防寒帽「常磐ハワイアンセンター」だとばかり思っていたが、名称は「スパリゾートハワイアンズ」に変わっていた。「味処浜庄」から40分ほどで到着した。ホテルの車寄せに車を横付けするとすぐに男性がやってきた。「ドアマン」である。窓を開けると何か言っている。私「えっ、なに?」男性「アロハ~」<ええっ、アロハって言っているのか>発音が悪い。随分と年を取っている。両手を上げて震わせている(写真...

  • 鮟鱇鍋

    西はいざ知らず東の鮟鱇鍋「味処浜庄」はすぐに分かった。目の前に太平洋が広がり、広大な駐車場が完備されていた。妻「駐車場が広~い」中に入ると男性が一人腰掛けていた。新聞を広げている。お客ではないようである。奥にもう一人男性と女性がいた。あとは誰もいない。私「昨日、電話した者なんですけど」女性「はい、どうぞ。好きな場所に座ってください」小上がりの4人掛けの掘り炬燵を選んだ。海が見える。私「アンコウ鍋は...

  • 冬景

    冬景に朱は復元の六角堂7時15分の予定が少し手間取って8時15分の出発となった。コンビニでおにぎりなどを買い込んで高速に乗った。湾岸道路から常磐道を順調に進み、渋滞なしである。12時前に少し手前のサービスエリアに到着した。私「少し早いから、手前にある六角堂に寄って行こう」娘「六角堂?」私「そう、岡倉天心。明治の思想家。日本画の大家。映画では竹中直人がやっていた」娘「知らない。聞いたこともない」私「五つの浦...

  • 冬浪

    冬浪に攫はれさうな人の影ハワイアンセンターに出掛ける前日の夜のことである。<昼はアンコウ鍋を食べたいなぁ>と思った。ハワイアンセンターは福島県いわき市だが茨城県との県境である。手前に北茨城市がある。アンコウ鍋が有名である。ちょうど季節も冬。アンコウ鍋を食べないでハワイアンダンスを見てきても話にならないと考えた。すぐに「北茨城、アンコウ鍋、ランチ」と検索して調べてみた。いくつかの店があったが「目の前...

  • 賀状書く

    HAPPYと辞書を引きつつ賀状書く孫たちに出す年賀状への拘りはハンパない(笑)。いつも工夫を凝らしている。今年はどうしようかと考えて「飛び出す絵本」のようなものを考えた(写真)。孫と言ってももう上は高校生である。それなりのクオリティーは求められるだろうと勝手に思い込んでいる(笑)。3人娘は全員バスケットボール部である。明けても暮れてもバスケ、バスケで頑張っている。「飛び出す絵本」と決まった瞬間、バスケの...

  • 迎春

    一年の計は春とて迎へけり聞くとやはり採算が合わなかったらしい。コロナの所為なのかどうかは分からないが、あまりお客が入っていなかったようなので仕方ないところかと思う。私「あっちの店は、やってるの?」男性「ハイ、ヤッテマス」私「あっちはいつも混んでいそうだからなぁ」男性「ワタシモ、今度、アッチニ、イキマス」私「そうかぁ、また個室を予約することになるから頼むよ」男性「ハイ、ワカリマシタ」外された額には「...

  • 木枯

    木枯やひそと馴染みの店が閉づ新杉田にある中華料理店のことを書いておこう。昔は「景珍楼」しかなかったと思う。「中華街まで行かなくても杉田で本格中華が食べられる」と喜んで使っていたものである。娘たちが二人とも杉田坪呑界隈に住んでいる頃で、集まって食事する場所としてはとても便利だった。その後、少し離れた場所に「景珍酒家」が出来た。IHIの前なので「IHIの従業員を当て込んでオープンしたのかな」と思った。「景珍...

  • 初夢

    初夢や神のお告げの歌ひとつ日曜日の朝である。目が覚めた瞬間、直前まで見ていた夢のことを考えていた。「社歌」についてである。頭の中でメロディが流れている。歌詞も浮かんでいる。電気を点けて枕を高くしてそれを口ずさんでみる。<ふ~ん、ふんふん>なかなか良い曲のように思った。<これはいい曲だ。どうしてこんなにいい曲が朝っぱらから浮かんできたのだろう。これを忘れないようにするにはどうしたらいいのだろう……>ス...

  • 筆始め

    筆始め扇の山を押さへつつ明けましておめでとうございます。皆様におかれましては良き新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。平成25年5月に始めたこのブログも皆様に支えられながら9年半を経過し、回数も1480回を超えるまでとなりました。これもひとえに皆様方からのご支援の賜物と深く感謝申し上げます。昨年暮れ、書道展において「読売新聞社賞」を受賞して気を良くしている私が新年最初のブログのために扇子に書を認めてみ...

  • 冬籠

    炭鉱の話などして冬籠12月11日(日)、県民ホールで表彰式が行われるという日の午前中の話である。私「常磐ハワイに行くんだったら、フラガールは見ておいた方がいいんじゃないか?」妻「昔、見たじゃない」私「見たけど、もう忘れたよ」娘「ああ、見たい、見たい。蒼井優ちゃんのだよね」妻「そう。南海キャンディーズのしずちゃんも出てる」調べるとすぐにでも見られるという。妻「どうするの。見るの、見ないの」私「ええっ、何...

  • 雪降る

    店一つ閉ぢて雪降る過疎の町北海道の母と電話で話をする。掛けてすぐに「木村商店」の話になった。母「お前たちが小さい頃はナンコとジンギスカンで大きくなったようなもんだぁ。木村さんが今年一杯で店を閉めることになったぁ。あそこも父さんの後を継いでサトミちゃんが頑張っていたけど、とうとう止めることになってしまったわ。サトミちゃんとはいっとき、一緒に市役所で働いていた時があったんだぁ。ちょっと待って。新聞を取...

  • 山眠る

    「鐘」と書き「聲」と書き山眠らせる「席上揮毫」が始まった。先生は14文字の作品を選んできた。いつも通りに淡々と書き進め、スラスラと書き上げていった。どんなに観衆がいようと緊張などしないようである。私が塾への入会を決めたのもこの揮毫する先生のビデオを見てのことだった。<ああいうふうに書いてみたい……>そう思って訪ねて行ったのが平成28年6月のことである。あれから6年半。あっという間である。なかなか思うように...

  • 銀杏散る

    銀杏散つて遠くに氷川丸見ゆる12月11日(日)、神奈川県民ホールで表彰式が行われた。ホールの周辺は銀杏黄葉が散って真っ黄色である。式は2時からだが、その手前の1時から「席上揮毫」が行なわれ、私の先生が行書と隷書を書くことになっている。私たちにとっては塾でいつも見ているので何でもないことだが、初めて見る人には驚きに違いない。奥様が習字をやっている会社のK君にも声を掛けた。1時少し前に会場に到着するといつも一...

  • 数へ日

    数へ日を読めぬくずし字見て暮れる昔から古文書には興味があった。参考書を買っては独学で勉強してきたがいつも挫折してきた。今回たまたま「鎌倉検定の他に何かないかな」と見ていたところ、古文書検定なるものがあることを知り、来年1月早々に試験だというので受けてみることにした。レベルも何も分かったものではないが、試験日が決まれば懸命になるタイプである。すぐに申し込んだ。その昔なぜ挫折してしまったのかはやはり目...

  • 小春

    茶話の尽くることなき小春かな鎌倉検定を終えた翌日、商工中金のW君が来社した。仕事の話をしている途中に鎌倉検定の話になった。私「昨日、受けて来たよ」W君「どちらで行なったんですか?」私「大船の鎌倉女子大」W君「えっ、あそこで行なうんですか。私が今住んでいるマンションのすぐ近くです」私「あの辺りに住んでいるのか。いい場所じゃん。鎌倉散策には持って来いの場所じゃん」W君「最近はあまり行かなくなりましたが、以...

  • 冬薔薇

    頑張つた自分のために冬薔薇を1時半になり、説明が始まった。解答用紙の書き方、マークシートの塗り方、試験時間のこと、途中退席のことなどを丁寧に説明していった。試験官「これより問題用紙をお配りします。『よし』と言うまで開かないでください」さすがに水を打ったような静けさである。試験官「全員に行き渡りましたね。それではこれから始めます。今が1時43分です。45分になりましたらスタートします。90分間ですので終了時...

  • 木の葉髪

    寺巡りして晩学の木の葉髪いよいよ試験当日である。鎌倉女子大の大船キャンパス。12時半の開門、1時半から試験スタートである。1ヶ月ほど前に訪ねているので場所は分かっている。しかし早目に出掛けておくに越したことはない。11時半に家を出て大船駅構内のベンチでお茶を飲んで時間調整をしていた。12時半になって駅を出た。いくつか信号待ちをしながら近づいて行った。最後の信号待ちの時、たまたま店のショーウインドに薔薇の置...

  • 初時雨

    かまくらの路地の板塀初時雨試験前日である。土曜日、雨。テキストでも見て過ごせばいいところだが、98点を99点に上げたところで意味はない。見ておきたい場所がいくつかあった。その1、八雲神社(大町)。鎌倉に八雲神社は4か所あるという。試験に出るのは大町と山ノ内の八雲神社である。実際に見ていないのでその分しっかりと頭に詰め込んでいるが、やはり一度は見ておきたいものである。その2、来迎寺(西御門)。これも鎌倉に2...

  • 夜話

    夜話のいつも満点パパめきぬ金曜日、工場を歩いていての会話である。K君「社長、今度の日曜日はいよいよ試験ですね。頑張って来てください」私「おお、楽勝、楽勝。目を瞑っていても大丈夫だよ(笑)」K君「凄い自信ですね」私「何回、鎌倉に出掛けたと思うの?」K君「8回ですよね」私「おっ、よく知ってるなぁ(笑)」K君「社長がこの間、自分で言っていました(笑)。合格ラインは何点ですか?」私「70点以上。この間、過去問と...

  • 風邪籠り

    塞翁が馬ともいふぞ風邪籠り会社に戻るとみんな大忙しである。欠員者の分までフォローしなければならないので全員でワーワーやっている。そんな中で休まなくてはならなくなったのだから、気が引けるというものである。私「療養期間7日間と書かれている。今日が17日、発症日を昨日とすると外出可能日が勤労感謝の日の翌日24日ということになる。忙しいところ悪いけど、こればかりはどうしようもない。気になることは誰もいない土日...

  • 神の留守

    目に見えぬものが蔓延り神の留守昼休みに保険屋のおばちゃんが来た。私「調子が悪くて困ったよ。咽喉が痛くてどうしようもない」女性「どうしたんですか?」私「風邪の引き始めみたいだなぁ。今日夕方、ニンニク注射を打ってくる」女性「コロナじゃないんですか?」私「いや、コロナじゃない。今日家で検査してきた。陰性だった」女性「ご自宅でやる検査はあまり当てになりませんよ。自宅で陰性でも病院なら陽性ってことよくありま...

  • 殺さむと押さへ込みもし咳一つ事務所25名の内の最初の1名が休んだ。病院に行ったところ「新型コロナ」だという。11月14日、月曜日の話である。コロナ第8波のことが盛んに言われ始めている。<大丈夫かなぁ……>翌火曜日、2名休んだ。コロナかも知れないといい、病院に行ってくるという。午後に連絡が入り、検査の結果、2名ともやはりコロナだという。<ヤバイなぁ、他にも感染者がいるんじゃないかなぁ?>水曜日、ゴホゴホと咳をす...

  • 小春

    蜑の路地ひとり小春の寺巡りモノレールを降りて最初に現れるのが日蓮の龍ノ口法難で有名な「龍口寺」であり「龍ノ口刑場跡」である。しかし鎌倉検定のテキストに「龍口寺」は載っていない。藤沢市だからである。いつもの「鎌倉の史跡めぐり」を持っているので大丈夫だが、少しくらいは載せておいてくれても良さそうなものだと言いたいところだが切りがないということになるのだろう。看板が立っていて「龍口寺縁起」として刑場での...

  • 神の留守

    神の留守買へど叶はぬ恋みくじ数えてみれば今回が8回目となる鎌倉散策である。江の島、腰越方面へと向かった。行程は次の通りである。大船─湘南モノレール─江の島駅─龍口明神社─刑場跡─龍口寺─法源寺─小動神社─浄泉寺─満福寺─本成寺─本龍寺─勧行寺─妙典寺─東漸寺─江の島駅─湘南モノレール前日、飲み過ぎている。焼肉屋で3時間半も長居してしまった。久しぶりの痛飲である。店の人がよく文句を言わないでいてくれたものである。マッ...

  • 懐手

    受賞せし己が書の前ふところ手先生からの電話のあと、ついつい会社の中で受賞した旨を話してしまった。「何だか知らないけど、賞を取ったと今、習字の先生から連絡が入った」「何の賞なんですか?」「何て言ってたかなぁ。2番だ、2番だって言ってたんだよなぁ」先生は「読売新聞社賞」と言っていたはずだが、聞いていた私が何の話か分からずに電話を取っていたので「2番、2番」と言っているのだけが耳に残っているのである。すなわ...

  • 帰り花

    手習ひの一日一字帰り花鎌倉散策の記事の途中ではあるが、急ぎお知らせしなければならない事態が発生したので割り込み記事を入れる。昨日から神奈川県民ホールで開催されている第55回公募展「竹青社書展」(写真)で私の作品が読売新聞社賞に選ばれたというのである。会期は12月11日(日)まで。もしお近くにお住いの方がいらっしゃればご高覧いただきたくお知らせいたします。月曜日の夕方、書道の先生から携帯電話に連絡が入った...

  • どぶろく

    どぶろくの酔ひの果てなる大伽藍11月6日(日)今回は十二所の辺りから歩いてみた。車で行こうかと迷ったが、やはり電車で行くことにした。初めて駅前からバスに乗ってみた。行程は次の通りである。鎌倉駅─バス─十二所バス停─光触寺─大慈寺跡─明王院─浄妙寺─報国寺─旧華頂邸─釈迦堂切通入口─大御堂橋─文覚上人屋敷跡─勝長寿院跡─妙隆寺─蛭子神社─大巧寺─鎌倉駅今回のテーマは「大慈寺」と「明王院」である。何度も訪ねている明王院...

  • 争ふてみても蛙の子は蛙何事にも潮時というものがある。1ヶ月以上に亘って毎日ブログを更新してきたが、そのほとんどが鎌倉のお寺巡りの話である。途中、諏訪湖へのバス旅行の記事もあったが毎日毎日同じような記事を書き続けている。書く方は一向に構わないが、読む方にとってはおそらくウンザリだろう。11月3日「文化の日」も円覚寺で「宝物風入れ」があり、国宝「舎利殿」を開帳してくれていた。出掛けたことは勿論である。しか...

  • 紫苑

    花の寺とて山門に紫苑咲くその日最後に訪ねた「海蔵寺」も見どころの多いお寺だった。開山があの那須「殺生石」で知られる源翁(げんのう)禅師である。門前に鎌倉十井の一つ「底脱ノ井」があった。「安達泰盛の娘、千代能が」とある。あの安達盛長の曾孫である。その娘がこの井戸に水を汲みに来た時に水桶の底が抜け「千代能がいただく桶の底抜けて水たまらねば月もやどらず」と歌ったことから名が付いたという。しかもその歌が心...

  • 紅葉かつ散る

    紅葉かつ散る扇ガ谷の阿弥陀堂山門を潜った。見たいものがいろいろある。ここの阿弥陀三尊像には独特な装飾「土紋」が施されているらしい。どんなものだろう。足利尊氏の弟直義が戦いで矢が尽きた時に小僧が落ちた矢を拾い集めてくれたという伝説が残る矢拾地蔵がある。由比ガ浜から引き揚げられた網引地蔵もある。藤原定家の孫、阿仏尼の子冷泉為相の墓もある。文覚上人が京から背負ってきたという不動明王像など試験問題としては...

  • 晩秋

    戦ありしこと晩秋の門一つ「英勝寺」を出てすぐ傍にある「阿仏尼の墓」を訪ねた。道路に面した「やぐら」の中に6重の塔のような形をしたお墓があった。「阿仏尼を偲ぶ会」という札が立っていたので間違いはないが、なぜここにお墓があるのかは少々不思議である。なぜならば阿仏尼の息子の墓がこの先の「浄光明寺」にあるからである。線路を渡って「浄光明寺」に向かった。山門への入口に「泉の井」の場所を示す矢印がされていた。...

  • 藤の実

    藤の実の垂れて書院に人の影「英勝寺」は現存する鎌倉唯一の尼寺である。入口からしてモダンに出来ている(写真)。門扉に徳川家の三ツ葉葵と太田家の桔梗紋が施されている。白い塀が廻らされ、その白い門扉に緑の三ツ葉葵、その真ん中に黄色い桔梗である。お寺らしくないというのが第一印象だが、尼寺ならではのセキュリティかも知れないと思った。背の低い通用門を9時1分に潜った。9時開門とほぼ同時である。受付の窓は開いてい...

  • 秋の風

    四辻にありし野仏秋の風翌週の10月30日(日)、今度は「扇ガ谷」を回ってきた。鎌倉駅西口を出て今小路を北へ向かい「寿福寺」「英勝寺」「海蔵寺」へと進むコースである(写真)。前週のバナナのこともあるので大船駅構内の「立ち食い蕎麦屋」に入って蕎麦を食べておいた。家は8時に出た。前週の長谷の辺りのお寺は7時から8時の開門だったが、こちらは大体が9時だったので2時間遅れの出発となった。今小路に出るとスーパー紀伊国...

  • マスク

    マスクして待合室に背を丸め1週間経って再び出掛けた。先生「どうでしたか。薬を飲んで何か変わりましたか?」私「全然、変わったような感じがしないんですけど」先生「そうかぁ。じゃ、薬を変えてみるか。違う薬を出しておきますのでまた試してください」私「先生、薬もいいんですけど、癌ということはないんですか。それが心配なんですけど」先生「それはないと思いますけど、念のために検査しておきますか?」私「お願いします...

  • 凩や小便小僧縮こまる保険屋の女性が来社した。女性「相変わらずお元気そうですね。スポーツセンターにはまだ通っているのですか?」私「当たり前だよ。命懸けだよ(笑)」女性「○○社長のこと、お聞きになっていますか?」私「何?何も聞いていない。どうしたの?」女性「今、病院通いされているんですけど、すごく痩せてしまいました」私「えっ、どうしたの?癌?」女性「見つかった段階ではステージ4まで進んでいて、今、いろい...

  • 秋日和

    地蔵堂までの道問ふ秋日和「成就院」の石段を下って目指したのは「上杉憲方の墓」だが見逃してしまった。スマホで道案内するアプリがあるようだが登録していない。違う墓地に登ったりして疲れ果てて諦めてしまった。極楽寺の開門が10時である。その近くにある「熊野新宮」に行ってみた。祭神が日本武尊という由緒ある神社だが鳥居はコンクリート造りである。同じ地域に八雲神社と諏訪神社があったが、地震で倒壊したため合祀して今...

  • 冷やか

    冷やかにかくも文句の多き日よ長谷寺の先の「御霊神社」は鎌倉氏祖の鎌倉権五郎景政を祀っている。入口の石段に「境内は神域です撮影禁止」の札が立てられていた。神域全てが撮影禁止という訳でもないだろうが、私のような者には少々ガッカリさせられる立札である。景政は後三年の役(1083)に源義家に従って16才で出陣している。この戦で敵に右目を射抜かれたが、それに怯むことなくそのまま敵を追って討ち取っている。この社が目...

  • そぞろ寒

    法華経を封ず土牢そぞろ寒次に向かったのが日蓮宗の「収玄寺」である。その手前にあったコンビニに入った。朝をまだ済ませていなかったのである。サンドウィッチを買った。バナナも買ってしまった。店内で食べようと思ったが飲食のコーナーはなかった。「袋はいらない」と言ってしまったので二つともポケットに入れて店を出た。食べる場所を探したが適当な場所が見つからない。バス停のベンチに腰を掛けて食べていると折悪くやって...

  • 秋の声

    裏山を流れゆく雲秋の声旅行の翌日はさすがに疲れていたので家でノンビリと過ごしたが、その翌日の日曜日、またまた鎌倉に出掛けてきた。今回は江ノ電沿いの長谷、極楽寺方面である。由比ガ浜駅で降りて、お寺を巡りながら極楽寺方面へと歩こうというのである。お寺の開門時間は収玄寺が一番早く朝7時となっていた。その手前に甘縄神明社があるので家は6時前に出た。甘縄神明社の手前に「安達盛長邸址」の碑が建っていた。以前訪ね...

  • 小鳥来る

    立て板に水の流れに小鳥来るビールを注ぎに来てくれた理事長との会話で2号車を担当したWさんの話になった。理事長「どうですか?楽しんでもらえてますか?」私「いやぁ、役者が揃っているので驚いていますよ。NHKのアナウンサーもそうですが、あのWさんも凄いですねぇ。マイクを持ったら、何か見ながら喋っているのかと思うくらい流暢に話をしていました。かなしんさんにもいろんな人材がいるなぁと驚いています」理事長「日向さん...

  • 秋深む

    仇討ちをされしご先祖秋深む向かいに座った男性とは初対面である。70代半ばに見える。バスの席は私のすぐ後ろなので大きな声で話していたのは知っている。私「よろしくお願いします。日向と申します」男性「えっ、ヒネタさん?」私「いえいえ、ヒネてはいません。ヒナタです」男性「ああ、ヒナタさんね。私は工藤といいます。工藤祐経(すけつね)の末裔です」私「えっ、工藤祐経?あの曽我兄弟の」男性「そうです。曽我兄弟に討ち...

  • 紅葉

    寄り添ひて諏訪は湖畔の紅葉宿宿泊先は諏訪湖畔に建つ創業120年の老舗旅館だった。老舗とはいえ建物は近代的であり、しかも中庭などは京都の龍安寺を思わせるような石庭となっていた。ひと風呂浴びた後、6時から宴会場で夕食となった。バスの中で添乗員からアンケートを取られていた。「夕食時に何を飲みますか」である。私「ナニナニ?何を飲むか?バスの中で聞くことでもないだろう。何でも飲むよ」添乗員「最初にご用意しておく...

  • 秋晴るる

    山梨の山みな見えて秋晴るる山梨に入った。雲一つない晴天である。私「ワイン工場かぁ。お土産に買っておくか」妻「試飲して美味しかったら買えばいいじゃない」私「味なんか分からないよ。飲んだら何でも美味しく思うものだよ」妻「私は買って行く。美味しいのを選ぶ」私「ワイン工場の後は味噌工場か。ワインも重いし、味噌も重いなぁ」ワインの製造工程が見られるようにガラス張りになっていた。説明員「今日はようこそお出で下...

  • 椅子の背を月の傾きほど倒す当日は関内駅前のビルに朝8時10分集合となっていたので、20分前には着くようにして出掛けた。信金の関係者がたくさん出迎えてくれた。係員「おはようございます。今日はよろしくお願いいたします。時間までお2階でお待ちください」少し早かったようで、まだ数名しか集まっていなかった。支店長初めいろいろな人から挨拶を受けた。常務まで駆け付けてくれていた。徐々に人が集まって来る。しかし知ってい...

  • 冬用意

    冬用意早やも身につく籠り癖かながわ信用金庫さんに声を掛けていただき夫婦で参加する旅行はこれで4回目となる。5年ぶりの旅行である。会合で顔を合わせるたびに「旅行がなくなって淋しいなぁ」と話していた仲間もいる。コロナ禍ということもあり、全く期待していなかったところでのお誘いだったのですぐに申し込んだことは勿論である。1回目は横浜港から名古屋までの船旅「飛鳥Ⅱ」だった(平成26年2月7日、ひこばえ「春コート」)...

  • 燈火親し

    燈火親しテレビなど無き良き時代娘が来て一緒に食事をしている時の会話である。娘「おーちゃんのブログを読んでいて分かったけど、あの日、旅行に出掛ける前に鎌倉に行ってたんだね。獅子頭のお守りを買ったのは聞いたけど、いろいろ回って来たなんて知らなかったよ(笑)」私「鎌倉宮ね。急にメールが入ったので、近くにあった護良親王のお墓には行けないでしまったよ」娘「この頃、あちこち行ってるよね」私「今、鎌倉に命を懸け...

  • 星月夜

    もののけもゐて鎌倉の星月夜お十夜の御練行列を待つ間に回ったお寺の一つに「妙長寺」がある。日蓮宗のお寺で入口には日蓮上人像が建てられている。境内には上人が伊豆法難の際に乗った舟を象って石の舟が置かれていた。ここは明治の文豪「泉鏡花」が滞在をしたお寺である。<お寺に泊まる>ということが当時は普通に行われていたことなのだろうか。明治24年、ここに2ヵ月間滞在した経験を元に「星あかり」という小説を書いている...

  • 十夜

    待つほどに舐めて十夜のりんご飴30分もあるので光明寺の方へと歩いてみた。すると反対から歩いてくる坊さんの列に出くわした。立派な袈裟を纏い、黒い烏帽子を被り、木で出来たような沓(くつ)を履いている。それが二列に並んで15名ほどで歩いてくる。そのすぐ後に今度は紺色の袈裟を着た坊さんが10名ほど続く。こちらは普通の草履を履いている。しばらくすると草履の坊さんが今度は緑色の袈裟を着て歩いてくる。頭巾のような帽子...

  • 十夜堂

    蠟燭を水に浮べて十夜堂山門を降りて正面にあるのは本殿(本堂)だが、現在は修理工事中である。全体に大きな覆いが掛かり、工事柵が廻らされている。重要文化財保存修理事業とあり、令和10年完成予定とある。その間、本殿の代わりをするのが左手にある「開山堂」である。回向柱が立てられている。開山堂の奥から白い布が渡され、柱に繋がっている。布の先はご本尊の阿弥陀如来の手に繋がっている。「善の綱」と呼ばれているらしい...

  • 十夜寺

    煩悩は身に添ふものと十夜寺鎌倉検定のテキストブックを一通り読み終わって過去問でも解いてみようかと思っていたところである。「主な祭りと行事一覧」のページを捲っていると光明寺で「十夜法要」が行われると書かれていた。「10月12日~15日」とある。季語に「十夜」があることは知っていたが実際には見たことがない。10月15日が土曜日である。3週連続の鎌倉とはなるが、ここは行くしかなさそうである。光明寺のホームページを...

  • 秋の風

    人混みの小町通りに秋の風「円応寺」の本堂に入ると正面に閻魔大王像が座っている。左右には冥界の十王像がずらりと並んでいる。さすがに閻魔大王は迫力がある。運慶作と伝えられているが、古いのは頭部だけで、胴体は江戸時代の補作である。すなわち重要文化財になれずにいる。当初の大王像はあまりに立派であったことから伝説が付会することとなった。晩年に近い運慶はある時仮死状態に陥った。三途の川の近くまで行ったようであ...

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