故郷の鮎。

故郷の鮎。

故郷の町で働くことになった。故郷は四十年ぶりである。 鮎釣りをする者は、通勤途次でも橋を渡る時なんとなく川見をしてしまう。鮎なんかいないと分かっていても、である。 ところが、なんと故郷の町を流れる大川、遠賀川のことを町ではこう呼んでいた、に鮎の喰み痕、らしきものが残っていたのだ。夏休みが始まったころのことである。 少年の頃の川は、上に大きな炭坑が控えていたので時に選炭の水が流れ込みドロドロの…

2024/10/14 23:12