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PTSDと(m)TBI((軽度)外傷性脳損傷)、MI(道徳的負傷:モラルインジャリー)(5) ~「びまん性軸索損傷」~
これら(m)TBIの脳実質の器質的な損傷は、多くが回転外力や加速度による深部の微細な損傷である「びまん性軸索損傷」(diffuseaxonalinjury:DAI)[Gennarelli1984]に分類されるもので[Gennarelli&Graham1998]、外傷後のCTで明らかな異常を認めないにもかかわらず、意識障害の遷延がある状態として鑑別され、重度から最軽度まで量的に連続するスペクトラムをなします。そしてDAIの最も軽度の段階が、後述のゼネレリの分類によると、mTBIなのです[Gennarelli&Graham1998;山口2020,pp.60-1]。この「びまん性脳損傷」と「局所性脳損傷」(脳挫傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳内血腫)とを合わせたものが「外傷性脳損傷」にあたります[原・富田...PTSDと(m)TBI((軽度)外傷性脳損傷)、MI(道徳的負傷:モラルインジャリー)(5)~「びまん性軸索損傷」~
PTSDと(m)TBI((軽度)外傷性脳損傷)、MI(道徳的負傷:モラルインジャリー)(3) ~「軽度外傷性脳損傷」(mTBI)と「むち打ち」~
しかしTBIは、戦場ならずとも、平時でも交通事故等において、決して珍しくありません。その場合、圧倒的に多いのは「軽度外傷性脳損傷」(mTBI)です。mTBIは2003年のアメリカCDCセンターによる疫学的調査によると、年間150万人のTBIのうち70~90%(75%)を占め、多くは受傷後3カ月以内に症状が回復するけれども、10~20%は慢性化し、毎年10万人以上が遷延する症状に苦しみ、毎年この傾向は続いているため(しかも診断されたのは実数よりはるかに低いと、1998年にNIHは警告しています)、「公衆衛生上の問題」とされています[石橋2009,pp.14-5;山口2020,pp.11,86]。アメリカでは1996年、「外傷性脳損傷法」(TheTraumaticBrainInjuryACT)という法律も議会...PTSDと(m)TBI((軽度)外傷性脳損傷)、MI(道徳的負傷:モラルインジャリー)(3)~「軽度外傷性脳損傷」(mTBI)と「むち打ち」~