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2025/03/18

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  • 知の集積

    さまざまなデータがデジタル化されても、紙の本の価値というのは微動だにしない。旅先に持っていく何冊もの本がキンドル一つになって、便利だと思ってはいても、私にとって紙の本の威厳は不変だ。なぜだろうと時々考える。 おそらく、だけれど、紙の本の厚みというのは、目に見えない”知”をフィジカ...

  • 花とビールと

    東京より日の入りが1時間くらい遅いから、どんなに寒くても気分的には「春近し」な感じのアムステルダム。視覚的な明るさが気分を上げてくれる。花市場をそぞろ歩けばなおのこと。 生花よりも球根が多いけれど、お土産用のチューリップの小物などもたくさん並んでいてカラフル。 寒くても、テラス席...

  • 美術館三昧

    どこに旅しても、美術館や博物館は楽しい。アムステルダムはやはりゴッホやフェルメール、レンブラントだ。 ゴッホ美術館には、実際に展覧会や美術本、パリのデジタルアート展などで見たものから、ただ有名作品として知っているものまで、とにかく「どこかで見た」と思えるものが並んでいる。入るとま...

  • 2日目は朝市から

    飛騨高山 2 日目。朝食はホテルロビーの広いラウンジで。なかなか明るくて気持ち良い。家具も木のぬくもり。飛騨の民芸家具だろうか。ボリュームたっぷりの和食をいただきながら見回すと、海外バカンスかと見紛うほど外国人客が多く、日本人は少数派。ホテルのスタッフも外国人が多い。 朝から...

  • 刺し子の旅へ

    刺繍を始めたら、刺し子も面白くなってしまった。一針ひと針刺し進めるうちに模様が浮かびあがる楽しさと、すべて刺し終えた時の達成感、伝統柄の日本らしい美しさ。 そこで飛騨刺し子を見に、飛騨高山の旅へ。のぞみ名古屋経由、高山線。高山線はずいぶん時間がかかると思ったら、途中単線ですれ違う...

  • 背に腹

    虫嫌いだ。それもちょっと度を越した虫嫌いで、嫌いというより虫は恐怖の対象。今回の旅の最難関は虫だろうと思われた。なにせデンパサールから北上すると、ほぼ平地が終わって北部を走る火山脈の山々に入っていく境目あたりに宿がある。目の前はジャングル。虫がいない方がおかしい。 でも、せっかく...

  • タンパクシリン

     デンパサールのングラ・ライ国際空港から車で約1時間半。湧いてくる、と表現したくなるほどのバイクの群れをかわすようにウブドの村に入り、木彫りや石像、編み籠の店が並ぶ道を抜ける。宿があるタンパクシリンまで来ると、道の舗装も途切れがちになり、車は20キロくらいでしか走れない。空港近辺...

  • アルプス

    かつてのサルデーニャ王国の首都であり、サヴォイア家のお膝元だったトリノ。世界遺産の王宮群やエジプト博物館、聖骸布教会や、シンボリックな尖塔を持つモーレ・アントネリアーナ、そしてビチェリン。行きたいところ、見たいもの、食べたいもの諸々、5日間という短い日程にどう配分するか、考えるだ...

  • 温泉読書

    転勤でしばらく日本を離れる家族の壮行会を兼ねて、湯河原に一泊。 部屋に露天風呂がついていて、食事も部屋食。湯船にキンドルを持ち込み、冷たいお茶で水分補給しながらひたすら読書。食事を楽しんでまた湯あみと読書。布団に入ると、羊を数える間もなく寝落ち。 朝はコーヒーを淹れて、朝風呂読書...

  • 巨大象

     「機械仕掛け」という言葉は、なんとなく懐かしくてアンティークな空気をまとっている。本来動力を使うマシーンはモダンなものだったはずだが、「モダン」自体が古風になり、アナログなマシーンはデジタルなスタッカートの後塵を拝する時代。だからこそ、ナントの「レ・マシーン・ド・リル」は、世界...

  • バラ色の街

    レンガ造りの建物が並ぶ街並みが、トゥールーズを「バラ色の街」と呼ぶ所以。エアバスの本社が置かれる航空宇宙産業の中心地だ。ユネスコの世界遺産、サン・セルナン・バジリカ大聖堂が宿の目の前にあった。フランスにあるロマネスク様式の教会の中でも最大級といわれ、サンチアゴ・デ・コンポステーラ...

  • マルセイユ

    二十数年前に初めてこの街に来た時は、まだ赤ちゃんだった息子をベビーカーに乗せて旧港を歩いた。ブイヤベースがおいしいという店に入り、港に出入りする小型のヨットと行き交う人々の賑やかな眺めを楽しみながら、これがマルセイユ、という強い印象を持った。同じように人口の多いパリに住んでいても...

  • ナルボンヌ

    早起きは三文の得、は旅先で実感することが多い。朝の散歩だ。朝陽に照らされて町は明るいが、人はまばら。地図を見ながらのんびり歩いて、町のできかたをざっくり把握するには最良の時間だ。パン屋さんやカフェ、バールを除けば店は閉まっていて、店主に気兼ねすることなくウィンドーの商品を凝視する...

  • フランス最大の軍港

    フランス最大の軍港、トゥーロン。地中海に面したコート・ダジュールの町だが、仕事がなければここまで足をのばす機会はなかったかもしれない。市北部にあるファロン山に登るロープウェイが強風で止まっていて、車で行く石灰質の山道には、ヒルクライムに汗を流すロードバイクもちらほら。たどり着いた...

  • 中世の小さな村

    かつては要塞だった小さな村、というだけで何となく風景が思い浮かぶ。切り立った斜面や石造りの城。監視塔や跳ね橋。馬に乗った中世の騎士まで見えるようだ。カルカッソンヌとエズ村の佇まいは、そういう想像を裏切らない。 欧州最古、最大の城塞都市であり、世界遺産にも指定されているのがカルカッ...

  • ガリバルディの故郷

    3年ぶりの出国。3週間のフランス出張でまずはニース入り。色とりどりの花や食材、石けんやオイルが並ぶサレヤ広場の朝市はお約束だが、ガリバルディの本を読んでから、個人的な南仏の印象が以前とは多少異なっていて、初日の朝散歩はガリバルディ広場を目指した。 ジャン・ジョレス大通りとフェリッ...

  • 淡路島

    琴平から車で出発、鳴門海峡を渡って、瀬戸内3日目の淡路島へ。 ちょうど淡路島に渡る頃がお昼時、ここは淡路島バーガーを目指さざるを得ない。淡路島名産の玉ねぎがうず高く積まれた道の駅うずしお。全国ご当地バーガーグランプリで1位になった「あわじ島オニオンビーフバーガー」は、淡路島産の玉...

  • 琴平

    瀬戸内の旅2日目は琴平へ。直島から高松に戻ってレンタカーを借り、ここからは最終日の神戸まで車で移動だ。金刀比羅宮の奥社まで1,368段の階段上りがこの日の運動。500段上ったあたりにある「神椿」で一休み。銀座の資生堂パーラー運営。なるほどだから椿、か。 上っても上ってもまだ先があ...

  • 直島

    去年やむなくキャンセルした瀬戸内の旅リベンジ。四国に足を踏み入れるのは生まれて初めてだ。 コロナ禍も3年目。今年の大型連休はさすがに行動制限も限界がきていたのか、旅先の宿はどこも予約可能になった時点で即座に埋まっていく。ネット予約ができない往路の寝台車も、みどりの窓口で発売日の午...

  • 性懲りもなく

    いつものメンバー3人で箱根に女子旅。10年前はビールやワイン、おつまみをかなり持ち込んで、部屋の露天風呂につかりながら、飲み、しゃべって夜明かしだったが、ここ数年、気持ちだけはそのつもりでいろいろ持参しても、ほとんど手をつけないまま。宿の夕食でおなかもいっぱいになり、それ以上飲ん...

  • 黒ちゃん

    14年前、友人にもらった炊飯用の土鍋がついに寿命。迷った末に同じものをもう一度購入した。信楽焼の5合炊き。適度に水分を吸ってくれて、おこげもちょっとできる、120%満足のごはん土鍋だ。 電気炊飯器も一応検討はしたものの、ついている機能のほとんどは使う予定がない。保温ですらおそらく...

  • 新入生

     Garminコーチのハーフマラソントレーニングが終わった。週末にレース日を設定し、市民ランナー歴の長い夫に付き合ってもらって、川沿い往復の20キロ超を走り終えた。数か月で設定したトレーニングの距離は少しずつ長くなっていて、すでにハーフの距離は走り終えていたけれど、レース日の「完...

  • 花灯路

    京都はもう何度目になるだろうか。子どもの頃親に連れられて。仕事で大阪に赴任していた頃訪ねて来た友人と。京都在住の友人を訪ねて。そして自分の子どもを連れて何回か。何度歩いても、まだまだ行きたい場所が残る文化遺産点在の古都。コロナ禍2年目も暮れる12月、プチ旅なら感染者の少ない今のう...

  • 粉糖

    みっしりした生地にラムに浸けたレーズン、オレンジピールやアーモンドの歯ごたえ。でもシュトレンが好きな理由がもう一つある。上にびっしりかける粉糖だ。この季節は特に、粉雪のようにお皿の上に散るのも趣があるし、舌の上で溶ける甘さになぜか懐かしさもある。 シュトレンの合間に、今年はシュト...

  • 定点観測

    もともとは旅を軸に綴ってきたこのブログ。移動制限がかかったこの2年は、とてもノマドとは言えない日常語りになっていて、読んでほしい、とすすめるほど面白い話も特別なこともない。もっとも、ノマドにとっては逆に「非日常」な定点観測の徒然を書くことで、自分自身の思いやら、時間の流れ方やらを...

  • シンガポールライス

    もともと料理は好きだけれど、家族全員がリモートワークになって早1年半、さすがにちょっとキッチンに立つことに嫌気がさすことがある。夫は協力的だけれど、やはり昭和な家事分担ではあり、仕事の合間に食事の準備に立ち、掃除して洗濯ものを干してアイロンをかけている私が見えていないような感じの...

  • 避難

    無観客開催でも、五輪開催地の都心は道路規制やさまざまな警備で身動きがとれない。ワクチン接種が始まった安心感もあり、この期間を狙って南に避難した。若干心配した機内も人は少なく、海沿いの道を毎朝走り、プールで泳ぎ、コロナ疲れを癒やした。 ワクチン接種やマスク、移動や営業の自由の制限に...

  • 菓寮で

    暑い。 日の出は5時前。どんなに早起きしても、朝ランの時間にはまぶしい陽光で、健康的な有酸素運動と言い得る発汗の量を軽く上回る。外でのスポーツは控えて、と呼びかけられる中での五輪開催、コロナを脇に置くとしても、11月に開催をずらしたカタールのサッカーW杯のような英断はできなかった...

  • Covid arm

     「2人のローマ教皇」を観た。ベネディクト16世と現フランシスコ教皇という一見正反対に見える二人の教皇の対話で成り立っている物語。アンソニー・ホプキンズとジョナサン・プライスが、ほかに誰がこの役を演じられただろうと思わせる「はまり役」。舞台はバチカン、主人公は教皇だから、当然宗教...

  • ひと息

    手術から1ヶ月、退院3週間。まったく以前同様の体調に戻り、ランニングもスタート。Garmin coach の10kトレーニングを始めた。5kのトレーニングを終了しているので、入退院でブランクがあるとはいうものの最初から少々長めの距離が組まれている。走れることの幸せをかみしめつつ、...

  • シェヘラザードの時間

    今年も梅シロップ仕込みの時期がやってきた。 梅を洗ってヘタを取り、冷凍庫で丸一日。熱湯消毒した保存容器に氷砂糖と交互に入れて、リンゴ酢を少々。あとは半月ほど待つだけだ。去年はホワイトリカーで梅酒を初めて仕込んでいて、こちらはちょうど一年経つ来週あたり開けてみる予定。 再開した区立...

  • 鶏ハム

    入院していた1週間は、9時消灯6時起床という規則正しい環境。個室だったから、実は消灯後も手元灯りをつけて本を読んだりネトフリを見たりはしていたが、それでも普段よりだいぶ睡眠時間が長く、朝自然に目が覚める時間が前倒しになっている。 今朝も6時前に目が覚めた。ランニングできるようにな...

  • 図らずも

    退院して4日。家族と一緒に家で過ごすことの幸せを実感しながら、少しずつ日常復帰。仕事はテレワークだから変化なし。家事もよほど体力を使うもの以外はほぼ復活。ようやく梅雨らしくなった空を眺めつつ、2週間くらい続けるべき食事制限に沿った献立をぼちぼち考える。 ざっくり言えば「消化の良い...

  • 閉塞感

    梅雨入り前の快晴の土曜だが、入院中。健康診断でひっかかり、手術治療で1週間。入院するのは出産以来だから20数年ぶりだ。出産の時は6人部屋、家族や友人も面会にきて、1週間はあっという間に過ぎたが、今回は念のためのコロナ対策で個室にしたうえ、面会も外出も一切禁止。コロナで療養する方々...

  • 始めてしまった

     長年の「懸案」だった。どれくらい長年かというと、高校の頃あたりから数十年。ずっと「読まねば」と思い続けてきた一冊に、とうとう取り掛かった。古代ローマのサチュリコンなどと並び、おそらく世界最古の長編小説であり、日本文学史上最高傑作ともいわれる「源氏物語」。誇るべき文学が身近にある...

  • 桜のロールケーキ

    雨の日曜日。 母がおはぎを作ったので取りに来て、と言う。お彼岸だからと。そういう習慣を踏襲しなくなって数十年。それでも桜の季節にさきがけて、桜餅もどきでも作ろうと、桜餡やら桜の葉、花の塩漬けを買ってきていたが、おはぎをもらいに行って和菓子もどきを渡したのではなんだか…と思い、桜の...

  • トンプソンのタルト

    トンプソン・シードレスといえば、カリフォルニアレーズン。でもこれは生の方。タルトの上にずらっとならんだ姿は壮観だ。料理もお菓子もキッチン仕事は好きだし、タルトは季節の果物でかなり頻繁に作るから、たまにお店のものをピースで買うことはあっても、ホールを買うことはほとんどない。それが今...

  • 凡庸さ

    朝活は相変わらずまだウォーキング。合間に多少は走ってみるけれど、やはりまだちょっと膝が痛くなるから無理せず焦らず。公園の梅は満開。桜が満開になる頃、もう少しランに復帰していたいものだ。 昨夜はオンラインで韓国語の試験。5問中1問は時間配分を間違えて落とした。残り4問でなんとか合格...

  • 中毒性

     右膝を少々痛めて朝ラン休止。整形外科の先生に筋肉不足を指摘された。毎朝5キロ前後、ゆっくり走れるようになって満足していたのだけれど、体はまだ追いついていなかったようだ。筋トレをしっかりやって、再度ウォーキングから始めるように指導を受けた。 で、今朝はいつもと同じコースを速足で歩...

  • 町のコーヒー店

     久しぶりの雨で、朝ランはお休み。コーヒーがきれていて、カフェイン不足で仕事スタートだ。いつもコーヒー豆を買うお店は、元々1957年創業の洋菓子店で、今の場所に移転したのは1964年、前回の東京五輪の年だ。私は”五輪後生まれ”で、その頃まだ子供だったから知らなかったけれど、当時の...

  • りんごのタルト

    規則的に続いている朝のジョギング。家族は随分前から走っていて、市民マラソン大会にも何度も参加しているから、機会はあった。一緒に走ろうよ、と言われてランニング用の靴やウェアを買ったり、ちょっと走ってみたりもしたのだが、長続きしているのは今回が初めてだ。月-金の週5回。朝、仕事の前に...

  • 来年こそは

    お節の準備は重労働。今年米寿を迎えた実家の母は、ここ数年毎年のように暮れになると「もう疲れるからお節は作らない」と言う。新年にうちに呼んで、私が作る母直伝のお節を食べているのだからそれでいい、と毎年同じ会話を繰り返すものの、やはり彼女は毎年作る。今年も「また作っちゃった。毎年、も...

  • 正解と交換

    今年は例年より、一年が早く過ぎた、と感じている人が過半数だという調査結果があった。私もそう感じている。100ナノメートルのウイルスに「水際対策」などお笑いだったかもしれず、大陸から始まって客船だ、屋形船だというあたりでもうおそらく、かなり感染は広がっていて、分からないだけかも、と...

  • 열심히 공부했더니...

    今年のzoom授業もあと1回。この状況だと、年が明けてもしばらくはこのままだろうと思う。でも、春先に対面授業がオンラインになった時は、対面ではできてオンラインではできない、という内容があるのではないかと思っていたけれど、グループに分かれての会話練習も、発音矯正のための録音提出も簡...

  • アンチノミー

    今年2月以降は、居住地に隣接する県にしか出かけられなかった。緊急事態宣言が解除された後の夏休みも、頭の中では遠方も計画したものの、状況を見ていると実行する気にはならず、結局隣接する二つの県を車で左右に横断する2泊で終わった。GoToキャンペーンで経済を回すことと、感染拡大を食い止...

  • 誤解

     あるイタリア語文法をフランス語のそれと比較して、イタリア語が異なる点について書いたら、イタリア人に、誤解してるよ、と指摘された。個人的にフランス語が先行している私は、イタリア語を学ぶ時、同じラテン語源であるフランス語と比較し、同じか違うか、という風に認識することが多い。違う、と...

  • サラダな日々

     家族揃って在宅勤務になったままの今年。”男衆”はそれなりに料理したり、掃除したりと手伝ってくれてはいるけれど、まあ「手伝い」の域を出ず、全般的に相変わらず昭和な家事分担。朝、昼、夕食としっかり作らねばならない日々が続いていて、料理好きとはいえ献立を考える力が尽きている。マンネリ...

  • プリズムの隙間

    裏磐梯。 はじまりはおそらく、1ミクロンくらいの塵だ。その周囲に少しずつ結晶が成長し、プリズムができていく。周りの温度や湿度のほんの少しの違いが、「一つとして同じものがない」といわれる雪の結晶それぞれの個性を形作る。 プリズムの隙間が、大地にあふれる音を吸い込みな...

  • 山里の風景

    仕事を始めたばかりの20代の頃、福岡と長崎に数年赴任していたことがある。その頃に訪ねた湯布院は、もっとひなびた隠れ家的な温泉地だった。かれこれ30年が経つから変わっていても不思議はないが、こちらの記憶がまったく役に立たず、渋々グーグル先生の地図を立ち上げた。 それでも...

  • 柚子

    パリのフェランディという料理の専門学校が、"Stylisme culinaire"(食のデザイン) というタイトルのオンライン講義を開講した。料理や製菓、食関係のスタイリストなどプロはもちろん、私のような素人受講生も多い。 食材の色や形、切り方、盛り付けはもちろん、食器やリネ...

  • 強羅

    明治末期から大正にかけての開発で、温泉地としては案外新しい強羅だが、それだけに旅館というより別荘の風情が楽しめる宿が多い。自転車でヒルクライムをやりたいという家族と、箱根の早雲山中腹にある宿を目指した。 目指した、といっても私は車。先に到着してのんびり部屋の露天につかる。目の...

  • 鋳型

    いつ、どんな時に触れても、全く同じ心象風景を心の中に広げるものがある。たとえば私にとって、その一つはある日焼け止めクリームの香りだ。 記憶は十代にさかのぼる。ある国の活気あふれる風景の中に身を置き、今とは違う言語を話していたからか、若かったからか、今の数十倍は前向きで...

  • 150年短縮

    技術の進歩は予定を大きく書き換える。前回ここに来た時は、生きているうちに完成は見られない、と思った記憶があるサグラダファミリア。約300年かかるといわれた工期が150年近くも短縮されて、完成が近づいている。 1880年代に着工した大聖堂。スペイン内戦で設計図などの資料が散逸し...

  • 三ツ星の厨房

    家族のお祝いごとで、ルドワイヤン(Pavillon Ledoyen)で夕食を楽しんだ。ヤニーク・アレノ氏の料理をアミューズからプティフールまで120%堪能。可愛らしいソースパンで出てきたソースを、日本の茶道で使う茶筅で混ぜるなど、日本人にはなかなかサプライズなサービスもあった。 ...

  • ガレット

    エピファニー(公現祭)は、バルタザール、メルキオール、カスパールという東方の三博士(賢人)がイエスの誕生を祝いに訪れた記念、とされている。最近は日本でも楽しむ人が増えている「王様のガレット」、フランスでは学校の給食などでも出され、中に入ったフェーヴを当てた子供が王冠をかぶる新年明...

  • 狩猟採集民の遺伝子

    仕事を早く切り上げた日に、母を連れて建て替えたばかりの和菓子の老舗に行った。一緒の時間を過ごすのが何よりの親孝行であることを、息子が成人してようやく実感し、機会を見つけては母との時間をとるようになった。菓寮からの眺めは、斜めに走る青山通りと向いの赤坂御所。いいわねえ、こうしてあ...

  • 野菜のやさしさ

    パリ左岸、アンヴァリッドやロダン美術館の近くにある、野菜料理で有名なアルページュで、家族のちょっとしたお祝いの夕食をとった。昔は肉焼きで名を馳せたシェフ、アラン・パッサール氏が皿の上に描く色は、目でビタミンが取れそうな豊かさ。ミシュランの三ツ星ともなれば、どこも筆者の陳腐な言葉で...

  • ボヘミアン

    チェコの首都、プラハを訪ねた。 旧市街へのカレル橋を渡りながら眺めるチェコ最長の川、ヴルタヴァを「モルダウ」と言いたくなるのは、先にドイツ名を知ってしまったからだが、スメタナの「我が祖国」を聴いて頭に浮かぶ名詞はやっぱりモルダウだ。 スメタナホールでのコンサートのチケットを...

  • アイラ島

    本場でウイスキーの試飲をしてみたい、という家族と一緒にアイラ島を目指した。島への船が出るケナクレイグまで、グラスゴーからバスで3時間という長旅だったが、車窓の風景は雄大なスコットランドの平原と山々。川や湖もあって、ここで休暇を過ごしてもいいかな、と思えるような場所もあった。 ...

  • 寝台車と蒸気機関車

    旅はのんびり、時間をかけるに越したことはない。空路ではなく陸路で、高速列車ではなく寝台車で、電車ではなく蒸気機関車で。そうはいっても、時間もお財布も許さないことがほとんどだし、蒸気機関車はどこに行けば?だが、この夏はスコットランドでこの夢想を実現する機会を得た。 まずは、ロン...

  • コックピットから

    サッカーW杯のフランス優勝が決まった瞬間は、空の上だった。しかもエアフラ。搭乗客のほとんどがもちろん結果を気にしていたが、残念ながらWifiのない機体。相手はクロアチア。フランスがリードしながら、クロアチアも猛反撃で後半マンジュキッチが1点を返し4-2。「地上からの情報によります...

  • 色を食べる

    認知科学で、クロスモダリティという用語がある。文字通り感覚(モダリティ)がクロスする、複数の感覚が相互に影響し合うことをいい、たとえば視覚と嗅覚、聴覚と視覚など複数の感覚が交じり合って、「暖かい」とか「活気がある」といった印象を持つ場合をいう。 食べ物は分かりやすい。ハー...

  • ベーグルの朝ごはん

    時々夫が「無理しなくてもいいよ」というほど、料理はさぼらない。煮込みの鍋にトマトをつぶして入れたり、塩やハーブをまぶしてグリルされる肉の香りにうっとりしながらサラダの葉をちぎったり、ラム酒に浸したレーズンがパウンド型の中で放つ芳しい香りを想像しながら、小麦粉をふるいにかける作業は...

  • ゴーフル

    ベルギー国境に近いリールは、フランスの北の玄関。オスマニアン建築が建ち並ぶパリから来ると、リールはベルギーに似て、色彩を感じる町並みだ。様々な建築様式が混在しているのも面白いところ。発着する駅も二つあり、雰囲気は対極だ。フランドル駅は、歴史を感じさせる19世紀の建築、そこから歩い...

  • 城壁の町

    5キロに及ぶ城壁に囲まれた町、プロヴァンは、中世の面影を残す町並み全部が世界遺産だ。名前だけ見て南仏プロヴァンスと間違う人が多いが、パリからだと在来線で1時間20分の日帰り圏内。 この地が栄えたきっかけとなったのは、シャンパーニュ伯爵が整備したといわれる「シャンパーニュ大市」...

  • 子午線とブラウンズホテル

    秋から家族がロンドンで新生活。引っ越しの下見を兼ねて、ユーロスターで週末旅に出た。熱波が繰り返し来るなかで、赤道をまたぐ旅は暑そうだけれど、子午線をまたぐならと、世界遺産のグリニッジで天文学と時の歴史をたどり、風に吹かれて小高い丘から街を一望した。 この天文台は、19世紀、東...

  • 天文時計の記憶

    ストラスブールは20年ぶりだ。ひと昔前まで、パリ―ストラスブール間は列車だと4時間以上かかっていたが、高速鉄道のTGV東線が開通して2時間20分に、さらに昨年、これが1時間50分に短縮された。週末の一人旅にちょうど良い距離。ストラスブールがまだドイツ帝国だった19世紀に造られた駅...

  • 世界一カラフルな島

    絶景写真が出回る昨今、カラフルな景観なら世界でトップと言われるのが、ブラーノ島だ。ヴェネツィア本島から水上バスに乗り40分。赤、青、黄、緑、ピンク、オレンジと、鮮やかな色の家々が並ぶ、絵本の中に入り込んだような場所だ。かつて漁師たちが、霧の中でも自分たちの島や家が分か...

  • イタリア最古のカフェ

    パリから空路でほんの1時間半だが、やはり南下したという明るさと暑さだ。大小の運河が走る水の都、ヴェネチアは、7世紀に共和国としてスタートしてから、様々な国との交易で栄えてきた。「東方見聞録」で有名なヴェネチア商人、マルコポーロの名は、現在、ヴェネチアの空港の別名にもなっている。 ...

  • ムハと桜

    日本ではフランス語読みのミュシャだ。チェコの宝、「スラヴ叙事詩」が日本にやってきた。絶対混んでいるのは承知だったが、見ないわけにはいかなかった。パリにはミュシャのアールヌーヴォーのポスターがあふれる程あるけれど、やはり汎スラヴ主義とスラヴ民族への愛がほとばしるような、巨大な絵の重...

  • 熱海

    バブルの頃は、金曜の仕事を終えて一泊「飲み会」で行く人もいたという熱海。新幹線に乗れば東京から30分だから、旅というより確かに遠出の範疇だが、今はだいぶ落ち着いているように見える。母や祖母の世代が行っていた宿も、改装されたり名前が変わったり。 そんな熱海の町と相模湾を一望する...

  • サンテティエンヌ

    所用があって、サンテティエンヌに来ている。パリからリヨン経由の列車で約 3 時間。オーベルニュ・ローヌアルプ圏という内陸に位置する町だ。こじんまりした駅舎を出ると、町の中心部までは車で 10 分もかからない。市内の人口は約 17 万だから、だいたい鎌倉市くらい。実際、頼朝...

  • 柿とバター

    市場で見かけるようになったのはかなり最近のことだが、柿はフランスでも"kaki"という名前で売っている。日本から入ってきたものは、フランス語訳されるものももちろんあるが、案外日本語のまま使われて辞書に載るようになっていくものも少なくない。椎茸もシイタケだし、柚子はユズだ。食べ物で...

  • アペリティフ

    パリの夏は、いつまでも夜が来ない。午後9時半頃まで明るいから、夕食のスタートも勢い遅くなり、前段のアペロが必須になる。個人的に欠かせないのがシャルキュトリ、いわゆる豚加工品だ。健康的かどうかにはもちろん疑問符が付くが、時々どうしても食べたくなるから仕方ない。 20年前、息子が...

  • ジャンヌ・ダルクの涙

    ノルマンディーの古都ルーアンは、芸術と文学の地だ。大聖堂を描いたモネの連作は有名だし、息子が通う学校の先輩には、フロベールやモーパッサン、モーリス・ルブランなど錚々たる文人が名を連ねている。 更に時代をさかのぼって名を馳せているのが、15世紀、イングランドとの100年戦争で活...

  • サン・ラザール

    地下鉄の駅を除けば、パリで最も頻繁に使う駅がサン・ラザールだ。南下する列車が出発するリヨン駅はバカンスの香りがするのに比べ、この駅はノルマンディーに住む家族の拠点とパリを時折往復する時の通過点。1837年開業の、パリで最も古い駅でもある。 フランスの国鉄駅には改札がない。その...

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