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  • 誰も居ない世界

    1人、野原に立つ。結局、僕だけが生き残った。この広大な世界にただ僕1人だけが生き残った。文明の音が消えて10年は経つ。僕もだいぶ歳をとった。冬に入ってから雪が降り続いている。もうずっとだ。静かだ。誰も居ない世界が、より一層静まり返っている。静かな野原に1人立ち、僕は積もっていく雪をいつまでも眺めていた。...

  • 最強寒波

    寒い。とても寒い。身体の芯から熱を奪っていく厚い冷気の膜に埋もれて、シオリは身体を小さく振るわせてちーんと身を縮ませた。コタツの電源をオンにして肩までコタツに入り込むと、身じろぎもせずに固まっている。じんわりと温かくなってきた。優しい温かさに徐々に気分が和んでくる。コタツに潜ったまま寝転んでスマホをやっていると、バッテリーが20%を切ったという通知がスマホの画面に表示された。しぶしぶコタツから這い出...

  • デボラC84:2回目の起動試験

    1週間後の夜に2回目のテストを実施した。三日月が綺麗な夜だった。プログラムの一部を修正して仮想環境で入念にシミュレーションを行った。そのなかで幾つかのバグを潰し、システムがより安定するようにパラメータの微調整を行った。また太陽フレアの影響を抑えるため、電磁干渉を抑制するシールドケーブルに変えて、またその長さも極力短いものに変更した。ドッグに腰掛け停止しているデボラC84は、地下室の白色灯に照らされて、...

  • デボラC84

    清々しい晴天の冬の空には、小さく太陽が顔を出し雲が早く流れていた。2025年1月2日のこの日も僕はいつものように地下室に篭り作業をしていた。正月もお盆もなくいつものルーティンをこなす。決まったことを決まった時間いつものように行う。決して例外は作らない。ストイックなのではなく、ただ日常を壊したくないだけだ。いつもと同じように地下室でデボラC84を組み立てていた。デボラC84は人工知能を搭載する予定の自律型ロボッ...

  • シュトーレンとチャイ

    底冷えする深夜、ベランダで僕はカンナと2人で星空を見上げていた。凍てつく寒さに頬が痛いし、手袋をした指がかじかむ。南の空にオリオン座が輝いていた。星空を見上げて、身を寄せ合い、白い息で会話し合う。まるで寒さを忘れてお菓子の家を頬張るヘンデルとグレーテルみたいに、僕らは星空を眺めながら夢中で会話をする。「みて。リゲルの東の小さな星がよく見えるね。」「カイバルンだね、そうだね。よく見えるね。オリオン座...

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