関白豊臣秀次の不幸は、天下人秀吉の甥に生まれたことだ何事もなければ尾張で平凡な百姓として、近在の百姓娘と結婚して、子をもうけて平凡な生涯を終えただろう。人には人生の中で一度は、越えなければならない大きな山に出くわすことがある。仕事での決断、大失敗、転職、事業の失敗、大病、大事故に遭って体の一部が欠損したり、子供の登校拒否、障害を持った子の誕生、配偶者の死、熟年離婚、何かの理由で莫大な債務を負うとか、全財産を失うとか、数え上げれば切りがないそれは貴賎を問わず、老若を問わず訪れるこれを乗り切れるか、乗り切れないかは本人の強さ、弱さによる不幸は時に幸福の糧になることもある、秀吉のように負の境遇から始まったことが、彼を強い人間に押し上げて、天下一の男にまで上り詰めた、徳川家康もしかり。だが秀次には、そんな才能はな...空想歴史ドラマ貧乏太閤記144忍び寄る影