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十七音のとびら https://junanaonno.blogspot.com/

いろいろな人の俳句を自分なりに味わっていきます。

ポエムブログ / 俳句

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2021/01/29

1件〜100件

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  • 行く年(ゆくとし)

    仲冬・時候/過ぎ去りゆくこの一年を思い、惜しむ。 逝く年の水が水追ふセーヌかな 鍵和田秞子 辻仁成という男がいる。 私は十代のころ、ECHOESの音楽や深夜のラジオ放送、そして小説や詩を通して彼に励まされ、助けられて生きていた。 今年、体調をくずし、心身ともに自分でもど...

  • 猩々木(しょうじょうぼく)

    仲冬・植物/ポインセチアの和名。トウダイグサ科のメキシコ原産の常緑低木。花をとりまく大きな苞葉が赤やピンク、白に色づきうつくしい。温室で栽培され、クリスマスが近づくころに鉢物や切り花として出回り、目をひく。 時計鳴り猩々木の緋が静か 阿部筲人 街の裏通りにある古本屋。老いた...

  • 牡蠣(かき)

    三冬・動物/イタボガキ科の二枚貝の総称。大小さまざまで、潮間帯の岩などに固着する。 食用となるものが多く養殖も盛ん。冬季はとくに美味で滋養に富み、調理法は多様。 牡蠣食ふやテレビの像に線走る 田川飛旅子 地方のいかにもひなびた海辺の食堂。 ここに来たからにはやっぱり牡蠣でしょ。...

  • クリスマス

    仲冬・宗教/12月25日、イエス・キリストの降誕祭。「キリスト礼拝」の意。太陽の再生を祝う冬至の祭と融合したものと考えられる。クリスマスツリーを飾り、ケーキを食べたり、プレゼントを交換したりしてにぎわう。 美容室せまくてクリスマスツリー 下田実花 素朴にすぎる一句だけれど、美容...

  • セーター

    三冬・人事/毛糸などで編んだ防寒用の上着。襟型や色、柄などは流行もあってさまざま。 愛ほろぶごとセーターのほどかるる 岡本眸 いまの若い人らも恋人に手編みのセーターを贈ることがあるんだろうか。 「愛ほろぶ」って、なかなか強烈な表現だけれど、愛をもって丹念に編んだセーターをほどい...

  • 山眠る(やまねむる)

    三冬・地理/冬日を受けて、眠るように静まりかえった山を擬人化していう。北宋の画家・郭煕著『臥遊録』の「冬山惨淡として眠るが如し」によるといわれている。 山眠る肋に似たる非といふ字 後藤兼志 たしかにいわれてみれば、「非」という字の姿は肋骨の形に似ている。 だからなんなのさ、とい...

  • スケート

    三冬・人事/靴底に金属製の板を取り付け、氷上を滑走するための用具。その靴をはいて行う競技または遊戯のこともいう。 スケートの父と子ワルツ疑はず 石田波郷 「バスを待ち大路の春をうたがはず」 すぐに波郷さんの大好きな句が浮かんだ。 スケートの一句は微笑ましく、俳味があって、これも...

  • 北風(きたかぜ)

    三冬・天文/大陸から吹いてくる北西の季節風。日本海側の山間部に大雪をもたらす一方、太平洋側では乾燥した冷たい風になる。 北風に押しまくられてこれでも父 辻田克巳 我がことを詠まれてしまったような一句。 母親は子を胎内に宿したときからすでに母親になっていると思うのだが、父親はみず...

  • 短日(たんじつ)

    三冬・時候/日中の時間が短い冬の日をいう。秋分を過ぎると日暮れが日ごとに早くなり、冬至に日中の時間が最短となる。 短日や影も角出す金米糖 野見山朱鳥 影は光あってこそ生まれるもの。昼が短く、寒さもあって、ことに陽ざしが恋しい冬の日に、ちいさな金米糖のわずかなとがった部分のつくる...

  • 冬の蠅(ふゆのはえ)

    三冬・動物/冬になっても生き残っている蠅。動作が鈍くなってもまだ生きている姿にあわれを感じる。 バチカンの大聖堂に冬の蠅 久保倉三 冬の蠅といえば梶井基次郎の小説を思い出す。あれは温泉地の宿が舞台だったが、この句はなんとバチカンである。 私がサン・ピエトロ大聖堂を訪れたのは観光...

  • 花八手(はなやつで)

    初冬・植物/八つ手は暖地の海岸近くに自生するウコギ科の常緑低木。庭木としても植えられる。初冬、花茎の先に白い小さな花が球状に集まってたくさん咲く。ほのかな香りと甘い蜜があり、蠅などが花粉を媒介する。切れ込みのある濃緑色の大きな葉は冬でも生命力を感じさせる。 写真師のたつきひそかに...

  • 木の葉髪(このはがみ)

    初冬・人事/晩秋から初冬にかけて頭髪がよく抜けることを、木の葉が落ちるのにたとえていう。冬に向かってわびしさをおぼえる。 鞄のもの毎日同じ木の葉髪 富安風生 毎日同じ時刻に家を出て、同じ鞄をぶら下げ、同じ道をたどって同じ駅に着き、同じ電車に乗って同じ駅で降り、同じ会社の同じ机に...

  • 初時雨(はつしぐれ)

    初冬・天文/その年の冬初めにふる時雨。晴れていたかと思うと一時的にふったりやんだりする天気雨・通り雨のこと。いよいよ冬に入ったという思いがこもる。 初時雨煮鍋の音の静かなり 木下ひでを ふいに台所の窓がぱらぱらと音をたてた。雨つぶと雨つぶとがくっついて、ガラスをつーッと伝い落...

  • 隙間風(すきまかぜ)

    三冬・天文/障子や戸、壁などのわずかな隙間から吹きこむ冷たい風のこと。目貼りをして防いだりする。 隙間風終生借家びととして 石塚友二 なんともわびしい一句だが、こういう妙に生活臭のつよい実感のこもった句はけっこう好きだ。 うまいことやって出世して隙間風のすの字も吹きこまぬような...

  • 冬に入る(ふゆにいる)

    初冬・時候/二十四節気の一つ。11月8日頃。まださほど寒くはないが、冬の季節風が吹きはじめ、日暮れも早くなり、冬を迎える緊張感をおぼえる。 昆虫館音なく冬に入らんとす 橋本鶏二 子供のころはさんざん捕まえたり、観察したりしていたにもかかわらず、大人になるとなんとなく虫を遠ざけた...

  • 紅葉狩(もみじがり)

    晩秋・人事/山野に出かけ、紅葉を愛でること。 こどもの手いつもあたたか紅葉狩 岡田日郎 やさしくて平和な光景に心底ほっとする一句。 子供の手は本当に不思議なくらい、いつもあたたかくて心地いい。 手をつないで歌でもうたいながら紅葉の下をゆく父子。 そういえば、真っ赤なもみじの葉を...

  • 冬近し(ふゆちかし)

    晩秋・時候/すぐそこまで冬がきている気配をさす。冬のきびしい寒さ、暗さが迫り、どこか緊張感が感じられる。 冬近し厚きプラトン書の余白 有馬朗人 思いきって、読書の秋から読みはじめたプラトン。朝晩は冷えるようになり、季節は冬へと移ろうころというのに、まだ読み終わらない。 自分なり...

  • 秋刀魚(さんま)

    晩秋・動物/体長30センチほど、背は濃い藍青色、腹は銀白色。名のとおり体は刀に似て細長く、両顎はくちばし状。夏の間は北海道方面に群れているが、秋になって水温が下がると南下し、三陸沖から関東で多く漁獲される。脂肪が多く塩焼きにするとうまい。 秋刀魚黒焦げ工場の飯大盛りに 山崎ひさ...

  • 秋の暮(あきのくれ)

    三秋・時候/秋の一日の夕方と、秋という季節の終わりの二つの意味がある。虚子は前者の意味と定めたが(『新歳時記』)、二つの意味合いを効果的に使った句もみられる。「さびしさ」「もののあわれ」を感じさせる。 マンホールの底より声す秋の暮 加藤楸邨 たとえば、マンホールの蓋があいていて...

  • 水澄む(みずすむ)

    三秋・地理/秋になって、河川や湖、池、沼などの水が澄むこと。 水澄みて金閣の金さしにけり 阿波野青畝 小学生のときプラモデルの金閣寺をつくった。色を塗らなくても金色にぴかぴかと見事に光っていて、かっこよかった。われながら単純な子供だな。 中学の修学旅行で本物を見たとき、でっかい...

  • 檸檬(れもん)

    晩秋・植物/ミカン科の常緑低木でインド原産。日本には明治初期に渡来し、瀬戸内地方で栽培されている。5~11月頃に数回花をつけるが、果実は5月に咲いたものが12月頃に黄熟する。紡錘形で芳香が高く、酸味が強い。ビタミンCに富み、ジュースや料理などに用いる。 髪なほす鏡の隅に檸檬の黄 ...

  • 秋晴(あきばれ)

    三秋・天文/秋の空が澄んで晴れわたっていること。 秋晴や囚徒 殴 ( う ) たるる遠くの音 秋元不死男 秋になり空気が乾いてくると、遠くの音までよく聞こえるようになる。 それはわかるのだけれど、せっかくのさわやかな秋の好天には、もっと心が浮き立つような、明るい楽しげな音が聞き...

  • 鳥屋師(とやし)

    晩秋・人事/ 鶫 ( つぐみ ) や 花鶏 ( あとり ) など、秋に渡来する小鳥の群れを捕らえるのを生業にする人。山林などに霞網を張りわたし、おとりの鳥を鳴かせ、鳥の群れが網目に首を突っ込んだところを捕獲する。霞網は現在は使用禁止。 袂より鶫とり出す鳥屋師かな 大橋櫻坡子 袂...

  • 林檎(りんご)

    晩秋・植物/バラ科の落葉高木。アジア西部からヨーロッパ東南部が原産。明治以降、本格的に導入され、青森や長野で栽培がさかん。国光、紅玉、ふじ、王林、スターキングデリシャスなど数多くの改良品種がある。生食するほか、ジュース、ジャムなどにする。 刃を入るる隙なく林檎紅潮す 野澤節子 ...

  • 運動会(うんどうかい)

    三秋・人事/最近は春に行う学校も多いが、澄んだ空の下、さわやかな風に吹かれながら競技を観戦するのは秋ならではの気持ちよさがある。昼に家族とともに弁当を食べるのも楽しみのひとつ。 運動会午後へ白線引き直す 西村和子 ある俳句番組で西村さんがご自分のこの句についてふれていらっしゃっ...

  • 秋風(あきかぜ)

    三秋・天文/初秋から晩秋までの秋に吹く風。初秋は残暑のなかで吹き、しだいにさわやかになって、晩秋には冷気をともなう。 秋風や 麵麭 ( パン ) の袋の巴里の地図 安住敦 正直、パリにはなんの思い入れもなくて、欧州大陸を放浪していたころ、真夏なのにセーヌ川の船の上で冷たい雨にふ...

  • 蚯蚓鳴く(みみずなく)

    三秋・動物/蚯蚓には発音器官はなく鳴かない。夜どこからともなく聞こえてくるジーッという音を蚯蚓が鳴いているといったが、実際には 螻蛄 ( けら ) の鳴き声。「亀鳴く」「蓑虫鳴く」などと同様、空想的、浪漫的な季語として俳人に好まれている。 みみず鳴く日記はいつか 懺悔 ( ざんげ...

  • 障子貼る(しょうじはる)

    仲秋・人事/夏の間涼をとるためはずしてあった障子を秋になってもどすとき、紙を貼り替えること。貼り上げた障子は純白ですがすがしい。部屋のなかが明るくなり、気分も新たになる。 貼り終へて母は障子の向う側 今瀬剛一 障子のある家に住んでいたとき、両親と一緒に貼り替えたことがある。めん...

  • 曼珠沙華(まんじゅしゃげ)

    仲秋・植物/ヒガンバナ科の球根植物。堤防や畔、墓地などに生える。秋の彼岸のころ50センチほどの花茎を1本のばし、真っ赤な花を輪状につける。葉は花後に叢生し翌春に枯れる。曼珠沙華は天界に咲く赤い花を表す梵語。全草有毒。 死ぬときは火柱たてて曼珠沙華 石飛如翠 一瞬、火葬場で遺体が...

  • 敬老の日(けいろうのひ)

    仲秋・人事/9月の第3月曜日。国民の祝日。多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日とされる。 理髪椅子神父をのせて敬老日 朝倉和江 理髪店の椅子に座らなくなって久しい。自分で髪を切るようになったからだ。 よくよく考えてみると、あの椅子に座るのって怖くないだろうか...

  • 燕帰る(つばめかえる)

    仲秋・動物/春に渡ってきて繁殖した燕は9月頃、群れをなして海を越え、フィリピンやインドネシア、マレーシアなどで越冬する。軒下に巣が残され、さみしさを感じる。 ひたすらに飯炊く燕帰る日も 三橋鷹女 あれやこれや忙しい日々を送るなか、軒下で懸命に子育てする燕の姿を見守るのは楽しみの...

  • 待宵(まつよい)

    仲秋・天文/旧暦8月14日の夜、またはその月のこと。十五夜を翌日に控えた格別の趣をさす。望月に満たないので小望月ともいう。 待宵やひとの赤子のうすまぶた 星野麥丘人 大きな瞳がよく動く赤ちゃん。眠っていても、ぷっくりとしたまぶたが愛らしい。 月明かりはそのうすいまぶたを通りぬけ...

  • 颱風(たいふう)

    仲秋・天文/北太平洋西部の熱帯海上、北緯5~20度付近に発生する熱帯低気圧で最大風速が毎秒17.2メートル以上に発達したものをいう。夏から秋にかけて暴風雨をともなって日本や東アジアを襲い、甚大な被害をもたらすことがある。 颱風一過女がすがる赤電話 沢木欣一 台風一過のぬけるよう...

  • 高きに登る(たかきにのぼる)

    仲秋・人事/中国の古俗。9月9日に、 茱萸 ( ぐみ ) を入れた袋をもって高いところに登り、邪気をはらい長寿を願う。 亡びたる城の高きに登りけり 有馬朗人 地元に戦国期の山城がある。強大な大名が支配する国境に位置し、戦略的に重要な城だったようだ。いまでも曲輪や土塁、竪堀、堀切...

  • 新涼(しんりょう)

    初秋・時候/暑い夏に感じられる涼しさではなく、秋に入ってからの待ちこがれていた涼気をいう。 新涼や尾にも塩ふる焼肴 鈴木真砂女 真砂女さんにお会いしたことがある。 背筋がぴしッと伸びていてスニーカーをはいていた真砂女さんは、老紳士に言い寄られて困惑していた。 そんなへんてこな夢...

  • 蜩(ひぐらし)

    初秋・動物/明け方や夕暮れに涼しげな澄みきった声で鳴く。寂寥感もあり、秋のものさびしさに通ずる。 ひぐらしをきく水底にゐるごとく 木内怜子 いつだったか、伊豆の修善寺を散策していたとき、夕刻だったと思うが、かなかなの鳴き声におぼれそうになったことがある。 指月殿あたりだったか、...

  • カンナ

    初秋・植物/熱帯アメリカやアフリカ原産の球根植物。高さ1~2メートル、葉は大きく、太い茎の先に赤、ピンク、オレンジ、黄などあざやかな色の大ぶりの花をつける。花期は7~11月頃と長い。 ピアニカを吹く緋のカンナ黄のカンナ 丹沢亜郎 こういう句に出会うと、俳句は韻文である、意味でつ...

  • 枝豆(えだまめ)

    三秋・人事/まだ熟しきっていない青い大豆を茎ごと収穫したもの。さやのまま塩ゆでして豆を食べる。ビールのつまみの定番。十五夜に供えるので月見豆ともいう。 枝豆を真青に茹でて一人とは 梶山千鶴子 最初、「一人」を独身という意味にとって、仕事に明け暮れるビール党の女性の自嘲気味の句と...

  • 白木槿(しろむくげ)

    初秋・植物/木槿は中国・インド原産のアオイ科の落葉低木。7~9月頃、直径5~15センチの五弁花を枝先に次々とひらく。花色は白やピンク、赤など。早朝に咲いて夕方しぼむので、はかないもののたとえにもなる。韓国の国花。 亡き父の剃刀借りぬ白木槿 福田蓼汀 「借りぬ」がこの句の肝だろう...

  • 天の川(あまのがわ)

    初秋・天文/天の川銀河の無数の恒星の集団で、帯状に夜空を大きく横切るように見える。8月に天頂にかかる。 天の河落ちんばかりに鬼太鼓 三嶋隆英 鬼太鼓は新潟県佐渡地方の民俗芸能。鬼や獅子、笛、太鼓などの一団が五穀豊穣や家内安全などを祈りながら家々の玄関先で悪魔を払う神事。120あ...

  • 盆支度(ぼんじたく)

    初秋・人事/盆に先祖の霊を家に迎える準備のこと。墓掃除や仏具みがきのほか、盆棚にしく真菰を用意したり、野菜や果物など供え物をそろえたりする。 亡き妻のすでに来てをり盆支度 森澄雄 生前、家のこと、身の回りのこといっさいを担っていた妻と、仕事ばかりでほかのことには無頓着だった夫。...

  • 立秋(りっしゅう)

    初秋・時候/二十四節気の一つ。8月7日頃。暑さはきびしいが、朝夕の風や流れる雲などに秋へ向かう気配を感じる。 立秋や鏡の中に次の部屋 辻田克巳 歳時記をめくっていて気になった一句なのだけれど、これはどんな場面なのだろう。 いつもの見慣れた家の部屋が鏡に映っているのを見るとどこか...

  • 夏終る(なつおわる)

    晩夏・時候/登山、海水浴などのシーズンが去りゆき、惜しまれる。 泉の底に一本の匙夏了る 飯島晴子 こんなところになぜこんなものが、という発見をすることがある。 避暑地の泉だろうか。澄んだ水底に光る銀の匙。 落ちてしまったのか、投げ捨てたのか。すくおうとしていた、あるいはすくった...

  • 夜の秋(よるのあき)

    晩夏・時候/晩夏、夜になるとどことなく秋の気配がただようこと。一抹のさびしさを感じる。 オペラ座の裏窓ひらく夜の秋 市ヶ谷洋子 若いころ欧州大陸をうろついていた夏、ウィーンで『エリザベート』というミュージカルを観た。劇場で本格的なミュージカルなど初めて。ウィーンといえば芸術の都...

  • 網戸(あみど)

    三夏・人事/蚊や蠅など虫の侵入を防ぎ、風を通すため、目の細かい網を張った建具。 網戸して外より覗く己が部屋 柴田佐知子 子供時分、生家のトイレの窓には網戸がなかった。用を足している最中に、侵入した大きなアシダカグモが壁にはりついているのに気づき硬直したことは一度や二度ではない。...

  • ナイター

    晩夏・人事/夜間、照明をつけて行う野球の試合のこと。和製英語。納涼をかねた野球観戦でもある。 ナイターに見る夜の土不思議な土 山口誓子 強い照明に照らされた夜の土は、陽ざしのもとで見る土とは明らかに表情がちがう。 昼が表の顔とするなら裏の顔といおうか、うまくいえないけれど、まさ...

  • グラジオラス

    晩夏・植物/南アフリカ・地中海沿岸原産のアヤメ科の球根植物。高さ約1メートル。剣状の葉の間からのびた花茎に夏、横向きにならんだ漏斗状の花が下から順にひらく。花色は白・赤・黄・紫など豊富であざやか。 グラジオラス妻は愛憎鮮烈に 日野草城 剣のように硬くとがった葉を空に向かってのば...

  • ざり蟹(ざりがに)

    三夏・動物/甲殻類に属する節足動物。沼や水田など流れのゆるい淡水域に穴を掘って生息する。雑食性で、貝や小魚、水草などを食べる。一般には移入されたアメリカザリガニをさすが、日本固有種のニホンザリガニは絶滅危惧種。 ザリガニの音のバケツの通りけり 山尾玉藻 単純明快だが、こういう句...

  • 冷し中華(ひやしちゅうか)

    三夏・人事/ゆでて冷やした中華麺の上に錦糸卵や細く切った胡瓜、ハムなどの具を彩りよくのせ、酢醤油などのたれをかけた料理。 冷し中華時刻表なき旅に出て 新海あぐり 夏休みの一人旅。何かをちょっと変えてみたくて。 とりあえず決めたのは北へ向かうことだけ。鈍行に乗って、景色をながめ、...

  • 梅雨明く(つゆあく)

    晩夏・時候/梅雨前線が北上し、梅雨が終わること。暦の上では入梅から30日後。雷鳴を伴った豪雨のあと梅雨明けとなることも多い。 梅雨明けぬ猫が先づ木に駈け登る 相生垣瓜人 ようやくわが庭にも太陽が戻ってきた。 雨にふりこめられていた飼い猫がよろこび勇んで飛び出していく。 おお、あ...

  • 開襟(かいきん)

    三夏・人事/襟元が大きくひらいたデザインのシャツのこと。ネクタイを結ばずに着る。 逢ひに行く開襟の背に風溜めて 草間時彦 あれは高校3年の夏だった。あまりに暑いので、兄がサイズが合わず着なかった開襟シャツを試してみたら、首まわりに風が通るだけでずいぶん凌ぎやすいことがわかった。...

  • 夏野(なつの)

    三夏・地理/草が青々と生い茂り、草いきれでむせかえるような野原。 傷舐めてをれば脈打つ夏野かな 市堀玉宗 腰まで覆い隠すような草原に分け入って遊んでいるうち、知らぬ間に腕や足に切り傷ができて血が出ていたなんて経験はだれにでもあるだろう。 「舐めて」で血の味やにおい、生あたたかさ...

  • 蠅取リボン(はえとりりぼん)

    三夏・人事/蠅を捕るためにつるす粘着性物質を塗ったリボン。 蠅取リボン蠅の書きたる一行詩 中原道夫 蠅取リボンなんて、とりこわされた父の生家とともにこの世からとっくに消え失せたものと思っていたが、調べてみたら、いまでもしっかり販売されているので驚いた。 となると、「蠅の書きたる...

  • 梔子の花(くちなしのはな)

    仲夏・植物/梔子はアカネ科の常緑低木で暖地に自生。庭木として多くの園芸種がある。6~7月、芳香の強い白色の一重または八重の花を咲かせる。 くちなしの花びら汚れ夕間暮 後藤夜半 生家の庭にはけっこういろんな木があったけれど、梔子ほど香りの強い花を咲かせるものはなかったと思う。鼻を...

  • 五月闇(さつきやみ)

    仲夏・天文/五月雨がふるころの月の出ない夜の暗さをいう。この時期の厚い雲におおわれた日中の暗さをさすこともある。 すり寄りし犬の肋や五月闇 川崎展宏 静かな雨のなか、仕事から帰ると庭へまわって、シロの様子を見にいく。 暗闇に白いかたまりが動いたのでほっとする。 ゆっくり立ち上が...

  • 夏至(げし)

    仲夏・時候/二十四節気の一つ。6月21日頃。北半球では太陽が一年で最も高い位置にあり、昼がいちばん長い。 地下鉄にかすかな峠ありて夏至 正木ゆう子 あ、いま下ってるな、と地下鉄に揺られながら感じたことがある。 「峠」だから、上って下る、その勾配に気づいた作者。だんだん昼が長くな...

  • 蛍籠(ほたるかご)

    仲夏・人事/竹や木などの枠に目のあらい布や細かな金属の網を張った籠で、蛍を入れて愛でるもの。軒先や庭木につるして楽しむ。 蛍籠昏ければ揺り 炎 ( も ) えたたす 橋本多佳子 籠のなかの蛍が揺さぶられると本当に光るのかどうかは知らない。 知らないが、「炎えたたす」とは尋常じゃ...

  • 白夜(びゃくや・はくや)

    仲夏・時候/夏至前後、北極または南極付近で、夜になっても散乱する太陽光のために薄明が長時間つづく現象。 街白夜王宮は死のごとく白 橋本鶏二 かつてイギリスの田舎町で過ごした夏、パブで飲んだ帰り、もう11時近いのに西の空が明るくて奇妙だった。 昼はたしかに去ったものの、夜になりき...

  • 釣堀(つりぼり)

    三夏・人事/天然の池や河川の一区画、もしくは人工の池などに鯉や鮒を放し、料金をとって釣らせるところ。 釣堀の四隅の水の疲れたる 波多野爽波 小学生のころ一時期、父や兄と近所の釣堀によく行った。屋内に銭湯の浴槽みたいなのがいくつかあって、おじさんたちが黙って釣り糸を垂らしていた。...

  • 蛇(へび)

    三夏・動物/縄のように長い爬虫類。蝮やハブなどを除き、ほとんどは無毒。冬眠のあと春に穴を出て活動し、水面を走ることもある。 空に弧を描きて蛇の投げられし 林徹 これ、どんな状況よ? スローモーションのような映像は気持ちわるいくらい生々しく鮮明だけれど、どうも状況がねえ。 たとえ...

  • 梅雨に入る(つゆにいる)

    仲夏・時候/6月初旬から中旬にかけて、夏の特異な雨季である梅雨に入ること。 水郷の水の暗さも梅雨に入る 井沢正江 水郷というと母の生地を思う。地名にもその字がついており、大きな川に沿ってひらけた景色のよい明るい集落だ。 いまはもうないが、そこに江戸初期に建てられた古い家があって...

  • 柿の花(かきのはな)

    初夏・植物/柿はカキノキ科の落葉高木で、北海道をのぞく日本全土に分布。6月頃、黄色味をおびた白い合弁花をつける。若葉と一緒に咲くため目立たないが、地面に落ちた花を目にする。雌雄同株。 ふるさとへ戻れば無冠柿の花 高橋沐石 父が倒れた。母によれば、もう若くはないのにろくに休みもと...

  • 天道虫(てんとうむし)

    三夏・動物/ちいさな半球形で背中に斑点がある虫。赤や黒、黄など色はさまざま。よくみられる7つの黒い斑点のあるナナホシテントウはアブラムシを食べる益虫。 のぼりゆく草ほそりゆくてんと虫 中村草田男 まだ原っぱが身近にあった時代。放課後、いろんな虫を捕まえたり、観察したり。 いくら...

  • 木苺(きいちご)

    初夏・植物/バラ科の落葉低木。山野に自生。晩春、白い花が咲く。初夏、たわわになる黄金色や暗紅色の粒状の実は食用。 書庫までの小径木苺熟れてゐる 山口青邨 若葉が陽をさえぎって、すこし湿り気のある小径を歩く。研究室にこもっていたからいい運動だ。 みずみずしい酸素濃度の濃い空気に全...

  • 青嵐(あおあらし)

    三夏・天文/青葉の繁るころに吹きわたるやや強い南風。 うごかざる一点がわれ青嵐 石田郷子 ドローンで上空から自分自身を撮影しているような光景。 吹き荒れる風を全身に受け、強い意志のかたまりとなったような「われ」。 私にとって、それはひとつの憧れだ。 二十五の夏、私はアイルランド...

  • 薔薇(ばら)

    初夏・植物/バラ科の落葉または常緑の低木。5月頃、香り高い花を咲かせる。茎には鋭い棘がある。園芸品種はきわめて多く、花の色も形もさまざま。 自らへ贈るくれなゐ強き薔薇 櫂未知子 きょうからは好きな時間に起きて、好きなように働いて、好きなところへ出かけ、好きなものだけを食べ、もち...

  • 夏めく(なつめく)

    初夏・時候/緑が濃くなり、初夏の花々が咲き、夏らしくなること。生活面でも夏らしさが感じられるようになる。 夏めくや卓布にふるる膝がしら 田中裕明 子供のころ、暑くなってくると、両親がなにかちょっと思いきった感じで茶の間の炬燵を片づけ、簡単にはひっくり返せない長方形のごつい座卓を...

  • 葉桜(はざくら)

    初夏・植物/花が散り若葉となったころの桜。陽光をあびた葉桜はことにうつくしい。 葉桜の中の無数の空さわぐ 篠原梵 これまでさまざまな場所で葉桜を目にしてきたであろうが、この句から思い出されるのは新学期のころ。 親しかった友とクラスが分かれ、さびしく不安な気持ちと、新しいクラスに...

  • 夏初め(なつはじめ)

    初夏・時候/立夏をすぎた5月。新緑のうつくしい、すがすがしい時季。 江戸絵図の堀の藍色夏はじめ 木内彰志 水の都だった江戸。当時の絵図で目をひくのは、町を区切るように縦横にのびる堀や運河のあざやかな藍色だ。 絵図片手に、現在の街並みと比較しながらの散策。 東京のいまの堀を藍色と...

  • 春惜しむ(はるおしむ)

    晩春・時候/すぎゆく春を惜しむこと。自然も生活も明るく活気ある季節に感じるさみしさがある。 パンにバタたつぷりつけて春惜しむ 久保田万太郎 退院してひさしぶりに帰ってきたわが家。 桜はとうに散り、庭の草花も花のさかりをすぎて、葉の勢いが増している。 今朝は陽ざしが強く、あたたか...

  • 春炬燵(はるごたつ)

    三春・人事/春になっても置かれたままの炬燵。立春後も寒さが続くので、なかなかしまうことができない。 失業も長くなりけり春炬燵 車谷長吉 実家を出て以来、もう何十年も炬燵とは縁のない生活をつづけている。 「炬燵は人を怠惰にする」とは至言であろうが、私の場合は単に、テーブルとソファ...

  • 蝶(ちょう)

    三春・動物/一年中見られる昆虫だが、花の蜜を求めて舞ふ春の姿はことにうつくしい。 日本語をはなれし蝶のハヒフヘホ 加藤楸邨 陽気にさそわれて公園のベンチで本をひらいていると、かわいらしい黄蝶がその上にとまった。 おいおい、ここに蜜はありませんぜ。それとも、柄にもなく難解な本に挑...

  • 蝌蚪(かと)

    晩春・動物/蛙の子、おたまじゃくし。四肢が生えると尾が短くなり、やがてなくなる。 親ひとり子ひとり蝌蚪を飼ひにけり 角川春樹 「ねえ、この子だけまだ手も足も生えてこないよ。カエルになれるのかなあ」 飼育ケースをのぞき込んでいる息子が心配そうにいう。 「おたまじゃくしにもいろいろ...

  • 春の雷(はるのらい)

    三春・天文/春に鳴る雷。寒冷前線の通過に伴うもので、積乱雲のおこす夏の雷の烈しさはない。 山鳩は愚図な鳥なり春の雷 森瀬茂 遊歩道でも山道でも、山鳩はたいがい番いで地面をついばんでいる。 驚かさないようにゆっくり通りすぎようとしているのに、かなり接近してから体の向きを変えて歩き...

  • 桜蘂降る(さくらしべふる)

    晩春・植物/桜の花が散ったあと、萼に残った蘂が散り落ちること。花のころとは異なる趣がある。 独訳をせよ桜蘂ふりしきる 夏井いつき ある言語を他の言語に訳すとき、ことばを単に記号として置き換えるだけですむ場合と、それでは意味をなさない場合とがある。 たとえば「私は今朝6時に起きた...

  • ヒヤシンス

    晩春・植物/地中海沿岸原産の球根植物。直立した花茎に香りのよい小花が密集してひらく。水栽培にも向く。 銀河系のとある酒場のヒヤシンス 橋閒石 あまりにも広大でとらえどころのない銀河系から、いきなり酒場へと絞りこまれるスケールの縮小感が快い。 夜の都会には銀河系の星のように数えき...

  • 花盛り(はなざかり)

    晩春・植物/桜が爛漫と咲きほこるさま。 人体冷えて東北白い花盛り 金子兜太 雪の白におおわれていた東北の大地は、咲き乱れる花々の白に飾られてようやく春を迎える。 空は晴れわたり眩い光が満ちてはいるが、清浄な空気は冷えていて、まだどこか緊張感を残している。 東京のように花見客でご...

  • 春疾風(はるはやて)

    三春・天文/春の強風のこと。低気圧が東海上にぬけるときに起こりやすく、台風並みの暴風となることもある。 ネクタイの端が顔打つ春疾風 米澤吾亦紅 きょうから毎日ネクタイを首からぶらさげて出勤か。めんどくさいな。 みんな同じような色のスーツ姿で改札から街へ流れ出ていく。 うわッ、風...

  • 復活祭(ふっかつさい)

    晩春・宗教/処刑されたイエスの復活を記念する祝祭。春分のあとの最初の満月直後の日曜日。 黒土に鉄骨植ゑぬ復活祭 香西照雄 黒々としていかにも栄養のたっぷりとつまったような地面に、いま太い鉄骨が建つ。 もちろん鉄骨に栄養など必要のないものだが、「植ゑぬ」とみた作者は、ビル建築の印...

  • 鞦韆(しゅうせん)

    三春・人事/ぶらんこ。子供たちが楽しげにぶらんこを漕ぐ姿はいかにも春らしい。 鞦韆を漕ぐとき父も地を離る 鷹羽狩行 父親たるもの常にどっしりと両足を地につけ、何があっても動じない。すべてはわが子を守るため。 そうみずからに言い聞かせなくてはならないのは、本当は気の弱い未熟者だか...

  • 春宵(しゅんしょう)

    三春・時候/春の日が暮れてまもない頃。明るくつやめいていて感傷をさそう。 春宵やナプキン立てて予約席 長岡きよ子 「人生で起こることは、すべて、皿の上でも起こる」(『王様のレストラン』)。 始まりより終わりを詠むと佳句になると学んだけれど、この句のワンカットはすてきだ。 どんな...

  • うらら

    三春・時候/春の日が明るくうるわしく照っているさまをいう。 春うららちりめんじゃこが散り散りに 坪内稔典 ご飯にかけようとしたら手元がくるって、食卓に散らばってしまったちりめんじゃこ。 あーあ、やっちゃった。 ちいさな失敗にもいらだってしまいがちだけれど、きょうはなんだか愉快、...

  • 春の星(はるのほし)

    三春・天文/春の空にうるむように見える星。あたたかさやなつかしさを感じさせる。 盛り場の裏くらがりに春の星 福田蓼汀 いきなりがつんと一発やられた。後頭部だ。 ふり返ることもできず、うずくまった。 奴にちがいない。油断した。裏道に入ったのがまずかった。 これ以上深入りするなとい...

  • 石鹸玉(しゃぼんだま)

    三春・人事/ストローの先に石鹸水をつけ、息を吹き込んでふくらませる遊び。 鉄格子からでも吹けるしやぼん玉 平畑静塔 早くここから出たい。あたしはどうしてこんなところに閉じ込められているんだろう。 鉄格子の間から放たれたしゃぼん玉は風にのってぐんぐん病院の庭を遠ざかっていく。 あ...

  • 蓬餅(よもぎもち)

    仲春・人事/ゆでた蓬の葉を餅につき込んでつくる。きな粉をまぶしたり、餡を包んだりして食べる。 人当たり柔らかく生き蓬餅 岩城久治 地位も名誉も富もない。ただ人には常にやさしく接してきたつもりだ。この蓬餅みたいに地味な人生だけれど、なにも恥じ入ることはない。 すぐにだれかを批判し...

  • 北窓開く(きたまどひらく)

    仲春・人事/寒さを防ぐため冬のあいだ閉めきっていた北側の窓を開けること。 北窓を開け父の顔母の顔 阿波野青畝 長く入院していた父が死んだ。冬の間は寒々しくてなにもする気がおきず、そのままにしていた父の寝室に入り窓を全開にした。もうつめたい北風が吹きこむことはなく、やわらかな外気...

  • 鶯(うぐいす)

    三春・動物/別名「春告鳥」。初めおぼつかない鳴き声は、春がたけるにつれ美しくなる。 雨見えてくるうぐひすのこゑのあと 山上樹実雄 きょうは調子がいい。執筆がはかどる。しずかな雨のせいだろうか。 いまどき升目の入った原稿用紙に青インクの万年筆でちまちま文字を書きつける奴など、まず...

  • 春の夜(はるのよ)

    三春・時候/体も心もやわらぐ暖かな夜。花の香がただよい、なんとなくつやめいている。 春の夜や皿洗はれて重ねられ 川崎展宏 皿洗いはきらいじゃない。 むかしロンドンの日本料理店で皿洗いをしていたとき、流しの洗いものは実際に目にすることのないお客さんが好きなように食べて飲んで帰って...

  • 春の水(はるのみず)

    三春・地理/春の河川や湖沼、井戸などの淡水をさす。雪解けで水量が増え、水音が高くなる。 腰太く腕太く春の水をのむ 桂信子 自分の奥さんだったらいやだな。母親だとしたら──。 久しぶりに実家に帰った。玄関の戸は開けっぱなしで母の姿がない。田舎のことゆえめずらしくはないが、ちょっと...

  • 浅春(せんしゅん)

    初春・時候/立春をすぎても寒さの残る、春らしさの整っていない頃。 浅春や音一つなき楽器店 土生重次 楽器店でなにか違和感をおぼえるのは、たくさんの楽器に囲まれながらも、そこから音がいっさい聞こえてこないからだろう。 大勢の人がいるのに声がしない朝の通勤電車にすこし似ているけれど...

  • 下萌(したもえ)

    初春・植物/枯れ草の大地から草の芽が生え出ること。確かな春の到来を感じさせる。 下萌の僅かな地にも贈与税 竹中碧水史 贈与税を俳句に使うなんて、自分にはとてもできそうにない。やってはみたいけれど。 親から安く譲り受けた土地だろうか。こんなに狭いのに税金を払わなきゃならんのかと呆...

  • シクラメン

    三春・植物/地中海原産のサクラソウ科の球根植物。花は長い花茎の先に一つ下向きに咲く。 美しきうなじ蕾のシクラメン 片山由美子 子供のころ家族でときどき行ったとんかつ店。そこに飾られていた風変わりな鉢植えの花を母がいたく気に入ったこと、よしのちゃん(洋風の家に住んでいたクラスメイ...

  • バレンタインの日(ばれんたいんのひ)

    初春・宗教/2月14日。キリスト教の聖人バレンチヌスの祝日。親しい人や恋人にカードや花などを贈る。日本では女性が男性にチョコレートを贈る。 駈け去れりヴァレンタインの日と囁き 小池文子 暗にチョコの要求だけして去っていった男? 勇気があるというか、ずうずうしいというか、そんな奴...

  • 春寒(はるさむ)

    初春・時候/立春のあとの寒さ。余寒とちがい春のほうに重きをおく。 春寒の指環なじまぬ手を眺め 星野立子 もし季語が余寒だったら、この先の結婚生活に暗雲がたちこめている気がする。結婚なんてするんじゃなかったという後悔。 春寒だから明るい。しあわせで満たされた新しい人生の一歩を踏み...

  • 春の日(はるのひ)

    三春・天文/春の日光またはのどかで暖かい春の一日(時候)をさす。 春の日の朱をべつたりと中華街 原裕 「べつたりと」がいい。門でも看板でも、中華街を一色であらわすとしたら朱。春の陽ざしをあびて、その朱がいっそう色濃くべったりとしてまぶしい。なんだか食欲がわいてくる。 どこの店で...

  • 寒雀(かんすずめ)

    晩冬・動物/餌の少ない冬、雀は人家の周りに集まってくるので親しみがわく。 しみじみと牛肉は在り寒すずめ 永田耕衣 歳時記をぱらぱらとめくっていると、時にこんな一句に出会う。それがまた楽しい。 「しみじみ」「牛肉」「寒すずめ」。たった十七音に、この三つのことばが並ぶ不思議。 何度...

  • 冬薔薇(ふゆばら)

    三冬・植物/冬になっても咲いている薔薇のこと。枯れたような枝に小ぶりの花をひらく。   冬薔薇の花弁の渇き神学校 上田五千石   葉の落ちた枝にぽつんと取り残されたように咲く冬の薔薇。 冷たい風にさらされ、くすんだピンクの花弁に水気はなく、硬そうだ。触れたら、ぱりぱりと音をたて...

  • 寒稽古(かんげいこ)

      晩冬・人事/武道・芸道で、寒中三十日間の早朝や夜間、特別に猛烈な稽古を行うこと。   面取れば妙齢なりし寒稽古 永田百々枝   緊張と寒気とでぴりッと空気の張りつめた道場。力強いかけ声と竹刀の音が響きわたる。 そのなかに、ひときわ気合の入ったすげえ奴がいる。 いったいどんな...

  • 冬鴎(ふゆかもめ)

      三冬・動物/海猫、百合鴎など種類は多く、日本中で見られる。秋に渡来する冬鳥。   冬かもめ少年ふいにジャンプする 佐野典子   寒いけれど青空のかがやく島の港。少年が一人、フェリーが着くのを待っている。 島を出る用事はなんだろう。 観光客が餌をやるので鴎がたくさん集まってき...

  • 大寒(だいかん)

    晩冬・時候/二十四節気の一つ。1月21日ごろ。大寒から立春までが一年のうち最も寒さがきびしい。   大寒や転びて諸手つく悲しさ 西東三鬼   まず笑ってしまった。あまりの率直さに。 「両手」ではなくて、「諸手」という響きに。 転んで諸手をつくなんて、転び方としてはうまいほうだ。...

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