初秋・動物/明け方や夕暮れに涼しげな澄みきった声で鳴く。寂寥感もあり、秋のものさびしさに通ずる。 ひぐらしをきく水底にゐるごとく 木内怜子 いつだったか、伊豆の修善寺を散策していたとき、夕刻だったと思うが、かなかなの鳴き声におぼれそうになったことがある。 指月殿あたりだったか、...
初秋・植物/熱帯アメリカやアフリカ原産の球根植物。高さ1~2メートル、葉は大きく、太い茎の先に赤、ピンク、オレンジ、黄などあざやかな色の大ぶりの花をつける。花期は7~11月頃と長い。 ピアニカを吹く緋のカンナ黄のカンナ 丹沢亜郎 こういう句に出会うと、俳句は韻文である、意味でつ...
三秋・人事/まだ熟しきっていない青い大豆を茎ごと収穫したもの。さやのまま塩ゆでして豆を食べる。ビールのつまみの定番。十五夜に供えるので月見豆ともいう。 枝豆を真青に茹でて一人とは 梶山千鶴子 最初、「一人」を独身という意味にとって、仕事に明け暮れるビール党の女性の自嘲気味の句と...
初秋・植物/木槿は中国・インド原産のアオイ科の落葉低木。7~9月頃、直径5~15センチの五弁花を枝先に次々とひらく。花色は白やピンク、赤など。早朝に咲いて夕方しぼむので、はかないもののたとえにもなる。韓国の国花。 亡き父の剃刀借りぬ白木槿 福田蓼汀 「借りぬ」がこの句の肝だろう...
初秋・天文/天の川銀河の無数の恒星の集団で、帯状に夜空を大きく横切るように見える。8月に天頂にかかる。 天の河落ちんばかりに鬼太鼓 三嶋隆英 鬼太鼓は新潟県佐渡地方の民俗芸能。鬼や獅子、笛、太鼓などの一団が五穀豊穣や家内安全などを祈りながら家々の玄関先で悪魔を払う神事。120あ...
初秋・人事/盆に先祖の霊を家に迎える準備のこと。墓掃除や仏具みがきのほか、盆棚にしく真菰を用意したり、野菜や果物など供え物をそろえたりする。 亡き妻のすでに来てをり盆支度 森澄雄 生前、家のこと、身の回りのこといっさいを担っていた妻と、仕事ばかりでほかのことには無頓着だった夫。...
初秋・時候/二十四節気の一つ。8月7日頃。暑さはきびしいが、朝夕の風や流れる雲などに秋へ向かう気配を感じる。 立秋や鏡の中に次の部屋 辻田克巳 歳時記をめくっていて気になった一句なのだけれど、これはどんな場面なのだろう。 いつもの見慣れた家の部屋が鏡に映っているのを見るとどこか...
晩夏・時候/登山、海水浴などのシーズンが去りゆき、惜しまれる。 泉の底に一本の匙夏了る 飯島晴子 こんなところになぜこんなものが、という発見をすることがある。 避暑地の泉だろうか。澄んだ水底に光る銀の匙。 落ちてしまったのか、投げ捨てたのか。すくおうとしていた、あるいはすくった...
晩夏・時候/晩夏、夜になるとどことなく秋の気配がただようこと。一抹のさびしさを感じる。 オペラ座の裏窓ひらく夜の秋 市ヶ谷洋子 若いころ欧州大陸をうろついていた夏、ウィーンで『エリザベート』というミュージカルを観た。劇場で本格的なミュージカルなど初めて。ウィーンといえば芸術の都...
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