三夏・人事/蚊や蠅など虫の侵入を防ぎ、風を通すため、目の細かい網を張った建具。 網戸して外より覗く己が部屋 柴田佐知子 子供時分、生家のトイレの窓には網戸がなかった。用を足している最中に、侵入した大きなアシダカグモが壁にはりついているのに気づき硬直したことは一度や二度ではない。...
晩夏・人事/夜間、照明をつけて行う野球の試合のこと。和製英語。納涼をかねた野球観戦でもある。 ナイターに見る夜の土不思議な土 山口誓子 強い照明に照らされた夜の土は、陽ざしのもとで見る土とは明らかに表情がちがう。 昼が表の顔とするなら裏の顔といおうか、うまくいえないけれど、まさ...
晩夏・植物/南アフリカ・地中海沿岸原産のアヤメ科の球根植物。高さ約1メートル。剣状の葉の間からのびた花茎に夏、横向きにならんだ漏斗状の花が下から順にひらく。花色は白・赤・黄・紫など豊富であざやか。 グラジオラス妻は愛憎鮮烈に 日野草城 剣のように硬くとがった葉を空に向かってのば...
三夏・動物/甲殻類に属する節足動物。沼や水田など流れのゆるい淡水域に穴を掘って生息する。雑食性で、貝や小魚、水草などを食べる。一般には移入されたアメリカザリガニをさすが、日本固有種のニホンザリガニは絶滅危惧種。 ザリガニの音のバケツの通りけり 山尾玉藻 単純明快だが、こういう句...
三夏・人事/ゆでて冷やした中華麺の上に錦糸卵や細く切った胡瓜、ハムなどの具を彩りよくのせ、酢醤油などのたれをかけた料理。 冷し中華時刻表なき旅に出て 新海あぐり 夏休みの一人旅。何かをちょっと変えてみたくて。 とりあえず決めたのは北へ向かうことだけ。鈍行に乗って、景色をながめ、...
晩夏・時候/梅雨前線が北上し、梅雨が終わること。暦の上では入梅から30日後。雷鳴を伴った豪雨のあと梅雨明けとなることも多い。 梅雨明けぬ猫が先づ木に駈け登る 相生垣瓜人 ようやくわが庭にも太陽が戻ってきた。 雨にふりこめられていた飼い猫がよろこび勇んで飛び出していく。 おお、あ...
三夏・人事/襟元が大きくひらいたデザインのシャツのこと。ネクタイを結ばずに着る。 逢ひに行く開襟の背に風溜めて 草間時彦 あれは高校3年の夏だった。あまりに暑いので、兄がサイズが合わず着なかった開襟シャツを試してみたら、首まわりに風が通るだけでずいぶん凌ぎやすいことがわかった。...
三夏・地理/草が青々と生い茂り、草いきれでむせかえるような野原。 傷舐めてをれば脈打つ夏野かな 市堀玉宗 腰まで覆い隠すような草原に分け入って遊んでいるうち、知らぬ間に腕や足に切り傷ができて血が出ていたなんて経験はだれにでもあるだろう。 「舐めて」で血の味やにおい、生あたたかさ...
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