2024年秋秋は果実の季節ていねいにやさしくひとつひとつに袋掛指先にひたすら母心袋掛
先達の秀句を味わいながら<br>自得の一句を求めて多作多捨です<br>古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です<br>
古希近くからの俳句入門 たくさん作ってたくさん捨てる、ついでに恥もたくさんかく これをずーっと続けています
霜柱をザクリザクリと踏み砕いた記憶をだれもが持て要る男はいつだって霜柱の前では少年になる霜柱男はいつも少年に丈子
冬の駅頭は空も空気も話し声までもが重くさびしげだたくさんの灯もくぐもっている駅頭に重たい時間冬灯丈子
墓誌に水をかけたりするがここのところその余白が妙に気にかかる薄くなった髪を手に次はきっと自分の名が刻まれると思うのだ木の葉髪墓誌の余白を目でなぞる丈子
通夜の斎場はやけに明るい帰途に見上げた冬の満月はうすっぺらだった通夜灯り冬満月のうすっぺら丈子
寒中の最中に知友の訃報がとどくもぐらたたきのように二度も三度も寒星や土竜たたきのように通夜丈子
山茶花の生垣があるおや咲き始めたなと近づくといやいやするようにポトリと落ちる人ぎらいなのか私が嫌いなのか山茶花の近づけば散る人嫌い丈子
煮凝りは箸で掴むのはなかなか難儀だがその重心のないところに何やら不思議な安堵感を感じる煮凝りに重心の無い安堵感丈子
海鼠は好物のひとつだが海鼠腸はこの上ない珍味である原形の欠片もみせないその暗紫色の毛色の悪さも良い海鼠腸の秘密めきたる暗紫色丈子
魍魎(みえない化物)の子が乳を欲しがって泣いているそれがこの虎落笛なのだいいね!コメントするシェア虎落笛魍魎の子の乳せびる丈子
第一句集「裂帛」自選京都の哲学の道が好きで何度も訪れている人影の少ないこの季節も風情がひとしおだ出会った一羽の鴉が姿は哲学者に重なった哲学の道後ろ手の寒鴉丈子
昭和期の仕事納めは一大イベントだったが今ではなんでもワンタッチきのうと何も変わらないデジタルには汗も血も涙もない推敲事も無し仕事納めのオートキーオートキー仕事納めの事もなし丈子
静岡県由比への吟行での句由井正雪ゆかりの寺社でのもの逆賊に理義のあれかし冬桜丈子
好奇心は理性を阻むはじめての食材への好奇心は止まらない好奇心に素直に行動して後悔したためしはない薬喰理性のへこむ好奇心丈子
少年期の母との会話である聞き返したのは私だが読者は大根を煮ている人と捉えたらしい煮大根との取り合わせを評価された煮大根何度も本音聞き返す丈子
冬のしゃぼん玉は何故かもの哀しい小さな子の泣顔が浮かぶ冬のしゃぼん玉鳴いているのはだーれ丈子
全員傘寿の同窓会牛鍋はもう食べごろなのだが元級長の長い挨拶がまだつづくぶつぶつと牛鍋挨拶は元級長丈子
郵便料金が値上げするとの報道がある前回の改定時に頂いた葉書に料金不足分の1円切手が逆さまに貼ってあった親密さに隙間風を予感した逆さまの一円切手隙間風丈子
林檎を篭にいっぱい7の赤ずきんちゃん優しい心に少女です嘘も智慧のひとつです冬りんご嘘もじょうずな赤ずきん丈子
荒涼とした大寒の海早い日没は今日のひと日の落款のようだ大寒や落款として海入日丈子
冬の湖沼の鳰の泣き声はなんとも寂しいつい同調の口笛を吹くかいつぶり淋しいときは笛を吹く丈子
延命治療の是非は難しいが本人の意思を尊重するのが正しいと思うしっかりと書いておきたい絶筆の「延命不要」花カンナ丈子
幼児期の母は万能だったあのりんご汁は魔法の熱さましまなうらの母は万能りんご汁丈子
真っ白な身体に大きな黒い目なんとも悲しい表情だ時により所によりその悲しみの深さ色合いが違う黒い目の深い悲しみ雪だるま丈子
今年ももう残り少ないやりのこしたことばかり臍の胡麻がなんともたよりない数え日やこころもとなき臍の胡麻丈子
寒気が強まるとだれしもが着膨れるあこがれのマドンナもその体形は見る影もない着膨れて女の形おうように丈子
屋台で酒を立ち飲みながらの原発の是非論戦は熱いが吹き曝しの風は冷たいいつしかコートの襟を立てていた襟たてて原発論議屋台酒丈子
枯蟷螂をみて老境の己を重ねるとこんな気分になってくる来し方の全てがこの日の己への道程だったのか枯れきってほんとの自分疣毟り丈子
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2024年秋秋は果実の季節ていねいにやさしくひとつひとつに袋掛指先にひたすら母心袋掛
2024年冬踏切の警笛がなかなか止まない長い貨物列車が轟音と共に通過する行く手にはそれは見事な冬の満月まっしぐら冬満月に貨車の列丈子
2024年冬なにくそと思ったひとことが今は亡き父のひとことをかみしめる寒空にこうこうと満月じわじわと父の父のひとこと冬満月丈子
2024年秋秋の風雨に晒されて無惨な破れ蓮の姿池の辺の老いた己をみる思い敗荷や誰とも会わず口きかず丈子
2024年秋木の実が落ちる晩秋厳しい冬への備えを促すようだ限りある余生にまたひとつの句読点とも木の実降る年ごとに負う句読点丈子
2024年秋三回忌までは月命日の墓参をこころがけている今年家族の不幸があった墓参にさわやかな萩の風をいただいた萩の風月命日がまたひと日丈子
2024年秋謝る相手はもう彼岸手遅れの謝罪は意味がないさがしてる謝るあいて穴惑い丈子
2024年秋人面のように大きい朴の葉が音もなく地に落ちてくるが一枚一枚それぞれの決断で枝を離れるようだころあいと個々の決断朴落葉丈子
2024年秋1室だけの和室の障子を張り替える糊の刷毛の「凹みにほっとする懐かしさを感じる障子張る刷毛に憶えの凹みかな丈子
2024年秋火葬を待つやるせない時間荼毘の白煙が秋雨にけむるのをみている秋雨にほそくかすかに荼毘けむり丈子
2024年秋釈然とはしなかったが否応もなく退院だと言われた固く閉ざされた一文字の口元に笑顔はない退院の口一文字秋の暮丈子
2024年秋丈子産卵のための川下りだが簗は人のエゴの営みいくばくかはそれを逃れ性を全うするいくばくか逃れる鮎も下り簗丈子
2024年秋「今日の菊」は重陽の子季語老いても夫婦は生涯かばいながら二人三脚かばいあう二人三脚今日の菊丈子
2024年秋「今日の月」は重陽の子季語生涯は夫婦の二人三脚老いてもかばいあいながらも生涯は夫婦の二人三脚かばいあう二人三脚今日の菊丈子
2024年秋新酒の前の長広舌は辟易だが店の主の好々爺然の笑顔は諾新走り長広舌の笑い皺丈子
2024年秋失念していた書棚の奥の奇書悪書始末に思案する秋灯下秋灯下家人の知らぬ奇書悪書丈子
2024年秋刺す力はもうないのに寄って来る生き残りの秋の蚊を打つ残り蚊の刺す気のなくて刺す気配丈子
2024年秋空家に目立つ看板ForSale」庭にたくさんのコスモスが咲き乱れている「ForSale」我が物顔のコスモス丈子
2024年秋秋鯖の美味は口説無用説明も講釈も邪魔だまって食わせてくれ口舌無用秋鯖に舌鼓丈子
2024年秋朝の爽やか涼気に深呼吸して四股を踏んでいたさやけしや深呼吸して四股を踏む丈子
2024年夏この長考がが身を助く自然界には生きる知恵がたくさん長考の踏み出す一歩かたつぶり丈子
2024年夏本心の吐露は生涯あらずこんな頑固を容にす捩花の生涯とおす自己欺瞞丈子
2024年夏孫たちの嬌声がなつかしい車庫の片角に三輪車もうごみでしかない三輪車青梅落つごみでしかない三輪車丈子
2024年夏鎌倉建長寺庭園からの新樹の香そこへの床の艶が陽に揺れていた新樹香踏み艶揺るる建長寺丈子
2024年夏古刹の杜に芭蕉翁の句碑がある思わず手でその文字江尾んぞったなぞる手に翁の言霊木下闇丈子
2024年夏気取ったつもりのサングラスほうれい線のよく目立つサングラスあえてくっきりほうれい線丈子
2024年夏八十路ともなれば半分は生身魂来し方に蛇行の軌跡がはっきりとうかぶをちこちに蛇行の軌跡生身魂丈子
2024年夏中年を過ぎると頤に半生が刻まれるこれからの半生が重なっていくおとがいが語る半生半夏雨丈子
2024年秋「ともしび」に入り浸りの少年後期ラストソングの後の帰途空の星を語り合っていた青春二つ星歌声喫茶の青春丈子
2024年夏六足のあめんぼう一足一足にそれぞれの意思とと役割一足に足の意思あめんぼう丈子
2024年夏夏日の大きな南風に吹かれると遠祖のプテラノドンの羽の名残り肩甲骨が落ち着かない大南風(おおみなみ)疼く遠祖の羽の痕丈子
2024年夏横浜中華街夏の賑わい客の呼び声が交錯している汗の呼び声原色の中華街丈子
2024年夏夏山のトレッキング獣道に百選の名水を示す矢印なんたる至福矢印に百選の水雲の峰丈子
2024年夏心太を前にだれもが撫肩元無頼派も例外ではない無頼派もここは撫で肩ところてん丈子
2024年夏蟻地獄の見事な傾斜角が安息角であると知った自然界は人知の及ばぬ天才ぞろい蟻地獄安息角を識る英知丈子
2024年夏鎌倉遊行に海を臨む切通しおりからの黒南風に吠えるような濤声を聴いた黒南風や濤声たかき切通し丈子
3024年夏炎天を逃れて駆け込んだ閻魔堂だったが炎帝は先回りしていたここも暑い炎帝を逃れ入りたる閻魔堂丈子
2024年夏青田からの風が心地良い車椅子にも不自由は感じない青田風もう三年の車椅子丈子
2024年夏少年期に蟇の長い行列を観たその謎がいま解けた冬眠の覚めた蟇蛙が一斉に池へ向かう途中だったリロケーション黙ののそのそ蟇の列丈子
2024年夏首塚の由来は万別だがどれにも固有の恩讐がある首塚の恩讐はるか黒揚羽丈子