2024年秋秋は果実の季節ていねいにやさしくひとつひとつに袋掛指先にひたすら母心袋掛
先達の秀句を味わいながら<br>自得の一句を求めて多作多捨です<br>古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です<br>
古希近くからの俳句入門 たくさん作ってたくさん捨てる、ついでに恥もたくさんかく これをずーっと続けています
2024年秋秋は果実の季節ていねいにやさしくひとつひとつに袋掛指先にひたすら母心袋掛
2024年冬踏切の警笛がなかなか止まない長い貨物列車が轟音と共に通過する行く手にはそれは見事な冬の満月まっしぐら冬満月に貨車の列丈子
2024年冬なにくそと思ったひとことが今は亡き父のひとことをかみしめる寒空にこうこうと満月じわじわと父の父のひとこと冬満月丈子
2024年秋秋の風雨に晒されて無惨な破れ蓮の姿池の辺の老いた己をみる思い敗荷や誰とも会わず口きかず丈子
2024年秋木の実が落ちる晩秋厳しい冬への備えを促すようだ限りある余生にまたひとつの句読点とも木の実降る年ごとに負う句読点丈子
2024年秋三回忌までは月命日の墓参をこころがけている今年家族の不幸があった墓参にさわやかな萩の風をいただいた萩の風月命日がまたひと日丈子
2024年秋謝る相手はもう彼岸手遅れの謝罪は意味がないさがしてる謝るあいて穴惑い丈子
2024年秋人面のように大きい朴の葉が音もなく地に落ちてくるが一枚一枚それぞれの決断で枝を離れるようだころあいと個々の決断朴落葉丈子
2024年秋1室だけの和室の障子を張り替える糊の刷毛の「凹みにほっとする懐かしさを感じる障子張る刷毛に憶えの凹みかな丈子
2024年秋火葬を待つやるせない時間荼毘の白煙が秋雨にけむるのをみている秋雨にほそくかすかに荼毘けむり丈子
2024年秋釈然とはしなかったが否応もなく退院だと言われた固く閉ざされた一文字の口元に笑顔はない退院の口一文字秋の暮丈子
2024年秋丈子産卵のための川下りだが簗は人のエゴの営みいくばくかはそれを逃れ性を全うするいくばくか逃れる鮎も下り簗丈子
2024年秋「今日の菊」は重陽の子季語老いても夫婦は生涯かばいながら二人三脚かばいあう二人三脚今日の菊丈子
2024年秋「今日の月」は重陽の子季語生涯は夫婦の二人三脚老いてもかばいあいながらも生涯は夫婦の二人三脚かばいあう二人三脚今日の菊丈子
2024年秋新酒の前の長広舌は辟易だが店の主の好々爺然の笑顔は諾新走り長広舌の笑い皺丈子
2024年秋失念していた書棚の奥の奇書悪書始末に思案する秋灯下秋灯下家人の知らぬ奇書悪書丈子
2024年秋刺す力はもうないのに寄って来る生き残りの秋の蚊を打つ残り蚊の刺す気のなくて刺す気配丈子
2024年秋空家に目立つ看板ForSale」庭にたくさんのコスモスが咲き乱れている「ForSale」我が物顔のコスモス丈子
2024年秋秋鯖の美味は口説無用説明も講釈も邪魔だまって食わせてくれ口舌無用秋鯖に舌鼓丈子
2024年秋朝の爽やか涼気に深呼吸して四股を踏んでいたさやけしや深呼吸して四股を踏む丈子
2024年秋秋彼岸の墓参たくさんの墓たくさんの人それぉれにそれぞれの哀しみひとりずつ違う哀しみ彼岸花丈子
2024年秋三千世界は仮の世の現世だけでない新松子は累々と命をつなぐ証三千世界累々と新松子丈子
2024年秋二人居の無為の時間どうでもよい会話の応えは秋団扇の動きで足りるノーイエス声なき応え秋団扇丈子
2024年秋荼毘をまついっとき秋雨の空に真直のけむりだれもが無言真っ直ぐに荼毘の白煙秋黴雨丈子
2024年秋今朝の秋は立秋朝日が今朝はなんとも爽やか燦然と十方に日矢今朝の秋丈子
2024年秋孫娘と指を丸めてみる天の川八十路の至福幼子の指にまあるい天の川丈子
2024年秋もう百日忌とは墓参の手水鉢にたくさんの菊の花停まっていた時の流れを気づかされた百日忌花手水には秋の花丈子
2024年秋道端に放置でぃたままの散水車暦日は秋とはいえまだまだ暑い秋暑しパンクのままの散水車丈子
2024年秋殉教の悲劇の天草に血と涙の生んだ星月夜の深閑殉教の島ゴッホの星月夜丈子
2024年秋菩提寺の住職が娘さんに代替わりした颯爽とオートバイでやってきたが有難味が軽い盂蘭盆会袈裟に赤ヘルの尼法師丈子
2024年秋総選挙も近い常在戦場の国会議員だが見せかけだけの大言壮語常在戦場虎の尾の鬼やんま丈子
2024年秋倖せは誰もが願うが実は自分のすぐ足下にあるのを気づかないのだ高望みして失うこともある倖せは己が足下(あしもと)草の花丈子
2024年秋軒下に吊るされる唐辛子同じ容はひとつもないてんでの個性軒下の唐辛子丈子
2024年秋山麓の原野の草紅葉一方通行の木道に十字路はてどう進もうか木道に十字路のある草紅葉丈子
2024年秋苅田の落穂に群れる稲雀ときおり弾かれたように一斉に飛び立つ夕日の残照を散らしながら八方に散らす残照い稲雀丈子
2024年秋大仏の掌に風除けて微睡む秋の蝶大仏のやさし掌秋の蝶丈子
2024年秋勤労学生時代に購入の万年筆パーカー傘寿を超えても捨てられない捨てられぬ太字のパーカー秋燈下丈子
2024年秋富士裾野1周のトレッキングに参加のおりランチした店頭に鹿の首が晒されていた富士裾野客を呼び込む鹿の首丈子
2024年秋秋の虹はすぐに消える人生も長いようで短い来し方の賞罰なんて意味もない来し方に賞罰不問秋の虹丈子
2024年冬山茶花の生垣があるがいうとはなしに散っている風の仕業か日照のゆえか山茶花の風に零れて日に零れ丈子
2024年冬一望の枯野冬日の暮はまたたくまみはるかす夕日をたたむ大枯野丈子
2024年秋古刹の軒に風鐸の音仰げば古代と同じ渡り鳥鳥渡る風鐸仰ぐ寺社詣で丈子
2024年秋生地と家系は誰も選択できない野の花と同じ置かれた定めに従うだけ生涯は置かれし定め曼殊沙華丈子
2024年秋逆縁の初彼岸ついに諳んじた般若心経を唱える諳んじる般若心経秋彼岸丈子
2024年冬北へ帰る夜汽車で弁当を食むポリポリと沢庵はばかることはない北帰行沢庵の音はばからず丈子
2024年秋下野の農村に居住して半世紀苅田のこの季節の散策には前後に男体山と筑波山大刈田男体山筑波嶺(なんたいつくばねまえうしろ丈子丈子
2024年秋夢二の猫を抱く女大粒の黒葡萄を食させたいなまめくや紅唇の舌黒葡萄丈子
2024年秋収穫の後の水田に鷺が降り立つ散る出なく群れるでもなくその間合いはなんとも見事てんでんに阿吽の間合い鷺の秋丈子
2024年秋田仕舞いに報恩感謝地蔵小屋にはたくさんの供物と供花秋収め供物あふれる地蔵小屋丈子
2024年秋ひとり寝のなんとも侘しい秋夜枕を裏返しても何も変わりはしないうらがえす寝ぐせの枕秋の夜丈子
2024年秋銀座はどこにでも小さな銀座で秋燕を見送った旅先の小さな銀座秋つばめ丈子
2024年秋低山の一人トレッキング標識は朽ちかけているがなんとか判じる男郎花にエールをもらう朽ちし標識三叉路に男郎花丈子
2024年秋果ててなお生気の血の色未練と慚愧の曼殊沙華果てにし知らず血の色曼殊沙華丈子
2024年秋香しいい風に遊ぶ花野だが一寸一刻が生死を分かつ花野風一寸先に地獄谷丈子
2024年秋尼僧の法話会赤ヘルメットのオートバイ短日の尼説法赤ヘルメットのオートバイ丈子
2024年秋ルーチンはルーティンに同日常の手順が間に合わなくなるほどに日没滞る夕のルーチン日短か丈子
2024年冬美味いい・いけるには親指を立てるこの寒造り、鬼も思わずこうするに相違ない鬼も親指辛口の寒造り丈子
2024年秋秋麗のいっとき縁側で剪る足の爪思いのほかの鋭い音と勢いに驚いた秋うらら音たてて跳び足の爪丈子
2024年秋仏の知らない曾孫の初墓参カカは声にならない嬰児の笑い声カカと満面産着の曾孫秋彼岸丈子
2024年秋秋空を埋める熱気球っはまるで空から孵化するようだ天高しとりどり孵る熱気球丈子
2024年秋酌み交わす相手も少なくなり独り酌む新走り来し方の交々が蘇る一徹の夜気ほしいまま新走り丈子
2024年秋刈り終えた田に驚くのは櫓の芽の伸びる早さ一様に一日を置かず櫓の芽丈子
2024年秋紅葉前の日光全山に秋の雨神橋も鮮やかに秋本番に備える鮮やかに日光全山秋黴雨丈子
2024年秋終生の渇望感を虚しいと知る群れ飛ぶバッタはつい先刻までの和t氏の姿バッタ飛ぶ求め続けて求め得ず丈子
2024年秋自分以後の墓守の負担を考える子らと相談しての墓じまいだが僧侶と自分だけでの始末で終わった鷺の贄は不意と降りてきた季語鵙の贄僧と二人の墓じまい丈子
88回しらさぎ俳句会2024年8月鑑賞小林たけし2024/8/28僭越と想いながら、本句会の鑑賞を昨年3月の70回からさせていただきまた。句会に出席できない一抹の寂寥感のなかでしたが、月々の皆様の御句を拝見し、俳句の奥行間口の広さ深さを改めて感じています。加齢性黄斑変性症による視力の低下が著しく進み、文章の読解判別も難儀となっております。いよいよPCへの入力も苦悶しております。幸田代表には「なんとか100回までは頑張る」と言ったりしていましたが、今回をもってこの鑑賞を不本意ではありますが辞退させていただきます。誤読や非礼、とんちんかんな鑑賞もあったかと存じます。どうぞご容赦いただきますようお願い申し上げます。会員各位さまのご健勝ご健吟を祈念申し上げます。今までのご交遊びに感謝申し上げます、ありがとうござい...88回しらさぎ俳句会2024年8月鑑賞
2024年秋いつからか思考も所作も緩くなっている風に吹かれる夕暮れの芒原に尖った自分を懐かしむ会えそうな尖った自分夕芒丈子
2024年秋お元気ですね声かけられても釈然としない空っぽな中身が恥ずかしい生き生きと見せているだけ虚栗丈子
2024年秋自然は常在戦場風の音に鎌を研ぐのは性である戦ぐ風鎌を研いでる子蟷螂丈子
2024年秋画学生出征の無言舘自画像は青年の生への執着か空蝉や自画像多き無言舘丈子
2024年夏熱帯夜は一晩中25℃以上の夜なのだが30℃の夜はこんな様相だ抱きつかれ羽交い絞めさる夜半溽暑丈子
2024年夏ふと秋を感じさせる晩夏の夜調べ物をする参考書脚注の先に脚注また脚注お手上げだ脚注の先に脚注夜の秋丈子
2024年秋秋天の高さは老躯にも爽気を与えるが手持無沙汰の無為無聊スクワットが精一杯というところ天高し手持無沙汰のスクワット丈子
2024年秋何事もなかった今日のひと日おりからの秋の雷は挽歌のようだ空白のひと日の挽歌秋の雷丈子
2024年秋重い八月という季語戦車と鶴はつきすぎだが避けては詠めない八月来戦車を折って鶴を折る丈子
24回遊牧通信句会の選句結果を受信今回を最後と思っての投句だった結果は最近にない好結果でニンマリ投句5句の得点は下記のとうり無得点1句総得点⑪は投句者20人中7位④得点句は総句数100句の9位タイ同位が9句あった我楽多を棄てて大の字夏座敷①長生を倦む日のありて毛虫焼く④曼珠沙華褪せることない罪の色③優しさは野にある強さ吾亦紅③侘助に他人行儀の慎ましさ⓪24回遊牧通信句会の選句結果
2024年秋吾亦紅の審美に女性の優しさと強さを感じる優しさは野にある強さ吾亦紅丈子
2024年秋朱色の曼殊沙華ふとこんなフレーズが浮かんでくる曼珠沙華褪せることない罪の色丈子
2024年秋夏から秋への行き合いの空熱気球の群れが高く行き合いの空極彩の熱気球丈子
2024年夏長生は思うほどには楽ではない時には倦む気もある毛虫を焼くのは憂さ晴らし長生を倦む日のありて毛虫焼く丈子
2024年夏家財道具はどれも我楽多エイッヤで始末したがらんどうの座敷この大の字の至福我楽多を棄てて大の字夏座敷丈子
2024年夏鎌倉の寺社巡りはもう10年になる山門のとりどりの千社札が一興だがとこおり守宮があらわれる山門の守宮の四肢に千社札丈子
2024年夏やっと涼しさを感じる夜道健脚自慢がシニアカーの新車であてのない彷徨に出る夜の秋もと健脚のシニアカー丈子
2024年夏土用波の海あの賑わいも嘘のようさまざまなひと夏を洗い清めるよう人去んでひと夏あらう土用波丈子
2024年夏だれもいないところでそっと羽搏く自惚れ癖は変わらないまだ飛べる自惚れている羽抜鳥丈子
2024年夏紫外線除けのサングラスはみ出しているほうれい線に笑い皺サングラスほうれい線に笑い皺丈子
2024年夏深夜の浜辺かすむ常夜灯に大南風による波の飛沫が容赦ない光と風と波音のせめぎあい常夜灯波頭の猛り大南風丈子
2024年夏義妹の三回忌彼女の好きな桐の花に紫の雨がやさしい花桐にむらさきの雨三回忌丈子
2024年夏風鈴は黒鉄がいいいくたびも火炎を浴びてこその色つやそして音火炎いくたび黒鉄の風鈴丈子
第23回遊牧全国通信句会2024.7.15今回が23回目となるY結社の全国通信句会参加者は21名5句出句の総数105句出句者の互選8句(内特選1句を含む)持ち点は9点高点句⑤以上ベスト10位タイまで35圧倒的孤独金魚の眠つた夜片山蓉蓉1146ソーダ水悔い一片の浮いてくるみずき688夕焼は祈りの焦げた痕である道6100雨滴といい流離といい夏の蝶伶690かの日より長き晩年ひきがえる川598ゴーギャンの裸足の少女と目があった恒子568熱帯夜手足外して寝乱るる長門527胴切りの黒き馬の絵晩夏光はるか549コンビニは不死身のよう白夜のよう道5★蓉氏が最高点拙句は④で1点及ばなかったたけしの得点(高点句他38無頼派もここは撫で肩ところてん小林たけし選/4得点順位10位タイ82海亀の百の卵に百の涙小林たけし選/2(10...第23回遊牧全国通信句会2024.7.15
2024年夏八月はあの79年前の終戦の月平和呆けの身に抑留記は辛すぎる読み止しのまま籐椅子に午睡籐寝椅子手に読み止しの抑留記丈子
2024年夏己の性格やなにげない動作は遠祖から受け継いでいると思う事がある捩花も同感するに違いないかたくなに遠祖の個性文字擦草丈子
2024年夏海亀の産卵母亀は卵をひとつずつ産むたびに涙を落とすなんとも神秘的、厳粛でもある海亀の百の卵に百の涙(るい)丈子
86回しらさぎ俳句会句会への出席は全て遠慮しているが講師もいない間々田の俳句同好会のは出句して会友からの依頼で鑑賞文を提出している今回86回にあたるが100回まではつづけようと思っている<>内は私の独断と偏見のよる添削自句自解が私の作品86回しらさぎ俳句会2024年6月鑑賞小林たけし2024/6/26できた作品を自身で口に出して読んでみましょう韻律リズムを意識できます日常語を作品に即した言葉を当てましょう名詞で始めて名詞で止める俳句初心者には難しい1.画用紙の白紫陽花は浅みどり色の対比の狙いはよかったが空回りしてしまった<床柱匂う四葩の浅みどり>四葩と浅みどりで和語を併せた2.金魚玉に泳ぐ魚は淋しがり魅かれる句〇泳ぐは省きたいが難しい「に」が説明になってしまうなければ切れが生じる3.旧友とビールで宴会開始...86回しらさぎ俳句会
2024年夏この長考がが身を助く自然界には生きる知恵がたくさん長考の踏み出す一歩かたつぶり丈子
2024年夏本心の吐露は生涯あらずこんな頑固を容にす捩花の生涯とおす自己欺瞞丈子
2024年夏孫たちの嬌声がなつかしい車庫の片角に三輪車もうごみでしかない三輪車青梅落つごみでしかない三輪車丈子
2024年夏鎌倉建長寺庭園からの新樹の香そこへの床の艶が陽に揺れていた新樹香踏み艶揺るる建長寺丈子
2024年夏古刹の杜に芭蕉翁の句碑がある思わず手でその文字江尾んぞったなぞる手に翁の言霊木下闇丈子
2024年夏気取ったつもりのサングラスほうれい線のよく目立つサングラスあえてくっきりほうれい線丈子
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2024年秋秋は果実の季節ていねいにやさしくひとつひとつに袋掛指先にひたすら母心袋掛
2024年冬踏切の警笛がなかなか止まない長い貨物列車が轟音と共に通過する行く手にはそれは見事な冬の満月まっしぐら冬満月に貨車の列丈子
2024年冬なにくそと思ったひとことが今は亡き父のひとことをかみしめる寒空にこうこうと満月じわじわと父の父のひとこと冬満月丈子
2024年秋秋の風雨に晒されて無惨な破れ蓮の姿池の辺の老いた己をみる思い敗荷や誰とも会わず口きかず丈子
2024年秋木の実が落ちる晩秋厳しい冬への備えを促すようだ限りある余生にまたひとつの句読点とも木の実降る年ごとに負う句読点丈子
2024年秋三回忌までは月命日の墓参をこころがけている今年家族の不幸があった墓参にさわやかな萩の風をいただいた萩の風月命日がまたひと日丈子
2024年秋謝る相手はもう彼岸手遅れの謝罪は意味がないさがしてる謝るあいて穴惑い丈子
2024年秋人面のように大きい朴の葉が音もなく地に落ちてくるが一枚一枚それぞれの決断で枝を離れるようだころあいと個々の決断朴落葉丈子
2024年秋1室だけの和室の障子を張り替える糊の刷毛の「凹みにほっとする懐かしさを感じる障子張る刷毛に憶えの凹みかな丈子
2024年秋火葬を待つやるせない時間荼毘の白煙が秋雨にけむるのをみている秋雨にほそくかすかに荼毘けむり丈子
2024年秋釈然とはしなかったが否応もなく退院だと言われた固く閉ざされた一文字の口元に笑顔はない退院の口一文字秋の暮丈子
2024年秋丈子産卵のための川下りだが簗は人のエゴの営みいくばくかはそれを逃れ性を全うするいくばくか逃れる鮎も下り簗丈子
2024年秋「今日の菊」は重陽の子季語老いても夫婦は生涯かばいながら二人三脚かばいあう二人三脚今日の菊丈子
2024年秋「今日の月」は重陽の子季語生涯は夫婦の二人三脚老いてもかばいあいながらも生涯は夫婦の二人三脚かばいあう二人三脚今日の菊丈子
2024年秋新酒の前の長広舌は辟易だが店の主の好々爺然の笑顔は諾新走り長広舌の笑い皺丈子
2024年秋失念していた書棚の奥の奇書悪書始末に思案する秋灯下秋灯下家人の知らぬ奇書悪書丈子
2024年秋刺す力はもうないのに寄って来る生き残りの秋の蚊を打つ残り蚊の刺す気のなくて刺す気配丈子
2024年秋空家に目立つ看板ForSale」庭にたくさんのコスモスが咲き乱れている「ForSale」我が物顔のコスモス丈子
2024年秋秋鯖の美味は口説無用説明も講釈も邪魔だまって食わせてくれ口舌無用秋鯖に舌鼓丈子
2024年秋朝の爽やか涼気に深呼吸して四股を踏んでいたさやけしや深呼吸して四股を踏む丈子
北海道での結核療養所に入院していたトイレまでの長い廊下を寒気に耐えながら進むおりから不気味に梟の声梟や長療養の長廊下丈子
朝のウオーキングを欠かさない大寒、いつもより心なし大股で歩くノルマの三千歩に白い息大寒の朝は大股三千歩丈子
北海道での農家体験春を待ちわびての土降りの体験土振りて一日春を引き寄せる丈子
冬日和の城址公園たくさんの猫が日向でくつろいでいるつい先刻まで黄葉の見事だった銀杏の樹はまるはだかの冬の粧い季語は<冬日和>が良かったようだ四温光猫と裸の公孫樹丈子
象の身体は大きいがその尻尾は極端に小さい12月になるうと形見がせまそうにますますちびて見える十二月象の尻尾がまたちびる丈子
年末にくる手紙の追伸大凡は繰り言・言い訳の類だ追伸はなべて繰り言十二月丈子
師走も晩年になると特別の事、もなくぼんやりしていると意味不明の妻の早口が飛んでくる忙しさをおしつけてくるのだ何語やら妻の早口十二月丈子
十二月になると喪中はがきが届く疎遠になっていた旧友だったり心の暗渠はいよいよ深く暗いだれにでも心に暗渠十二月丈子
人のいない公園でひとり逆上がりにトライの少女おりからの風花が鼻先に鼻先にとまる風花逆上がり丈子
俳友の母君が逝去された故人の遺志で献体されたという頭の下がる思いだが遺骨はまど戻らない霜の降りる初七日の夜である献体に戻らぬ遺骨霜の声丈子
冬の法事、寺の本堂は暖房がない丸火鉢で暖をとる見合す顔はどこか似ている一族なのだいいね!コメントするシェア七回忌似た顔よせる寺火鉢丈子
あの愚かな戦争をわすれてはならない抑留という悲惨な過去を持つ元兵士冬の銀河はいつも冷たい冬北斗国の記憶に抑留記丈子
渡り鳥がやってくる長旅の疲れを癒すように浮寝する旅の途中のたくさんの試練時には自分を褒めてやりたいまなうらに七人の敵浮寝鳥丈子
誰もいない深夜の家路への舗道コツコツと乾いた靴音が歩調に遅れがちについてくる他人のように不気味に感じ足早になる星冴ゆる他人のように靴の音丈子
冬の鳶は孤高の怪鳥のようだ怪盗李流伴を連想した冬の鳶怪盗ルパンは黒マント丈子
炉端、火鉢など家族が囲む団欒の一刻炭火を継ぐ間はだれもが沈黙して見守るこの一刻が家族愛炭継ぎの沈黙の間がものを言う丈子
悄然たる気分であったが熱燗をひとえい酌んでると少しだけ頑張れそうな気分になってきた熱燗や頑張れそうな気の少し丈子
家人といても所在なく冬の日向でのひとり時間さびしさはどこにいてもついてまわる冬日向ひとりが好きでさびしくて丈子
第一句集「裂帛」自選大根の器量がなんとも悪い性悪な強情は私に似たのかも性悪な強情ぞろい泥大根丈子
蟷螂が枯色で死んだように眠っているがよく見ると既に死んでいるこんな往生な最高だ枯蟷螂死んだふりしてそのまんま丈子