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意志による楽観主義のための読書日記さんのプロフィール

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意志による楽観主義のための読書日記
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https://blog.goo.ne.jp/tetsu814-august
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面白きこともなき世を面白くするのは楽観力、意志に力を与えるのが良い本 *****必読****推奨**閑なれば*ム
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75回 / 365日(平均1.4回/週)

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意志による楽観主義のための読書日記さんの新着記事

1件〜30件

  • 京都の「戦争遺跡」をめぐる 池田一郎・鈴木哲也 ***

    京都には空襲は来なかった、と思っている人も多いが、空襲、戦争の遺跡はたくさんあるという。舞鶴は、現在も自衛隊の基地がある、戦争当時は日本海最大の軍港だった。舟屋の町、伊根にも魚雷発射基地や新井崎砲台などの戦争遺跡がある。大江山のニッケル鉱山や丹波鉱山には中国人や朝鮮人の強制労働遺跡がある。峰山には特攻隊訓練基地があった。京都市内にも東山の馬町や神足には空襲があり、西本願寺には肉弾三勇士の碑がある。そしてなにより、私が小学生から大学時代を過ごした宇治、伏見にも多くの戦争遺跡がある。伏見には第16師団の司令部があった。現在は聖母女学院、京都教育大、付属高校、藤森中、龍谷大、京都府警警察学校、伏見稲荷から墨染までの師団街道の両側はすべて16師団用地だった。伏見は江戸時代から大阪からの物資を運搬してくる要所であり、徳川...京都の「戦争遺跡」をめぐる池田一郎・鈴木哲也***

  • 朝露の主たち ジャック・ルーマン ***

    ハイチの作家、ルーマンの1944年の作品。1930年代後半のハイチが舞台。キューバでの出稼ぎから15年ぶりに帰った主人公の33歳のマニュエル。故郷ハイチの農地は、山の木が燃料の済にするために伐採され、雨が降ると山の土が流される荒廃した場所に激変していた。また、土地争いの結果、いとこ同士なのに村の住民が敵対していることを知った。マニュエルは、キューバのプランテーションで働く間に、働くものがアメリカの資本家たちに雇われて、厳しい労働を強いられる中で、労働者が団結し経営者に対抗して権利を勝ち取っていることを学んだ。その頃のハイチの農民は、ギニアに住んでいた先祖が信仰しているブードゥー教に依存した生活で、苦境を乗り越えるために、呪術と儀式にしか望みを抱けない状況だった。また、ハイチの政権は、アメリカ資本に依存した強権政...朝露の主たちジャック・ルーマン***

  • フィデル出陣 海堂尊 ****

    キューバのフィデル・カストロは、1945年、ハバナ大学に入学。同時に大学内での活動家として頭角を現した。物語は、この年から、フィデルが1953年にキューバの古い街サンチャゴでクーデターを企てて失敗し投獄。その後釈放されチェ・ゲバラと出会った1955年までの10年間を描く。本作品は2019年まで週刊文春で連載され、2020年7月30日に発刊された。キューバの歴史は、アメリカ資本との戦いだった。隣の島は、ドミニカとはバナのあるイスパニョーラ島。その島で革命が起こり、世界初の黒人による共和国ハイチが独立した。島では奴隷制をフルに活用したアメリカ資本による砂糖キビのプランテーションが経営されていたが壊滅。そのため、プランテーション経営者は、ハイチに代わって隣島キューバで砂糖きびプランテーションの経営を始めた。キューバは...フィデル出陣海堂尊****

  • すべての内なるものは エドウイージ・ダンティカ ****

    ハイチ出身の作者による短編集。すべての短編に、ハイチの歴史と現状が織り込まれている。ハイチといえば、大坂なおみさんの父の出身地というくらいしか知識がなかったが、当然そこには歴史があり、現代の問題もあった。ハイチはカリブ海に浮かぶ西インド諸島のうちキューバの南東にあるエスパニュオーラ島の西三分の一を占める国である。東にあるのはドミニカで、以前植林の問題があって、GoogleEarthで見ると、緑のドミニカに比べてハイチの茶色の国土が明確で、政策の成功と失敗が明らかだった。フランスの植民地だったハイチはナポレオンの精鋭部隊を打ち破り1804年に独立を勝ち取った。その結果、世界最初の黒人による共和国になったが、前途は多難だった。独立国として他国との通商を行うには、他国からの認知が必要だったが、旧宗主国フランスからの承...すべての内なるものはエドウイージ・ダンティカ****

  • シルクロード 第2巻 NHK取材班 ****

    NHKでこの特集を見たときは感動した。放送されたのは1980年、NHK特集は、シルクロードの全容をテレビカメラに収めた、日中共同取材のドキュメンタリーでした。放送では、中国・長安(西安)を出発し、パキスタンとの国境パミール高原までの行程を毎月放映された。本書第2巻は、敦煌の街と莫高窟を取り上げている。「莫高窟(ばっこうくつ)」という音に、異郷の雰囲気を感じ、このあとの巻で取り上げられる「さまよえる湖ロプノール」では、砂漠に浮かぶように存在していたはずの湖に妄想とも言える夢のような思いを飛ばしたものだ。本書はその莫高窟の残存していた492窟を紹介しながら、制作された姿を留めているものを写真と映像にとどめている。時代別に見ると、隋以前の6世紀頃までのものが120、6-7世紀隋時代が140、7-10世紀唐時代が111...シルクロード第2巻NHK取材班****

  • オリヴァー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史2 *****

    アメリカ合衆国視点から俯瞰した、アメリカ近代史。全3巻の第一巻は2つの世界大戦、第2巻は第二次大戦後の冷戦からベトナム戦争終結まで。冷戦はトルーマンとアイゼンハワー、キューバ危機からベトナム戦争まではJFK(ケネディ)、泥沼のベトナム戦争はLBJ(リンドン・ジョンソン)、そしてベトナム戦争終結と米中国交回復はニクソンとキッシンジャー、それぞれの視点で振り返る。ヤルタ会談など一連の終戦会議の中心にいたアメリカ人はルーズベルトだったが、終戦直前に死亡したため、ほとんど引き継ぎのないまま、準備のない副大統領だったトルーマンに指揮権が移ったことが冷戦の引き金だったのかもしれない。核爆弾という大きな交渉材料を持ったがために、あまりに強硬な態度に出たトルーマンに、ソ連は歩み寄りを見せたが、持てる交渉材料が、相手の手にも渡る...オリヴァー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史2*****

  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件 カーク・ウォレス・ジョンソン ****

    世の中には、珍しいものを大切に思う人達がいることは理解できる。釣りの世界で、毛針でトラウトやサーモンを釣って楽しむ人達がいることも知っている。毛針は、鳥の羽根で作ることも知っている。それでも、釣りには興味がなく、美しい鳥の羽根を使って、世にも美しい毛針を作って、同好の士と自慢し合う世界があることは、なかなか知ることはないだろう。さらに、珍しい鳥を手に入れるために、法律を犯す、博物館から今は絶滅してしまった鳥の羽根を盗む行為はどうだろう。本書によれば、毛針愛好家は、珍しい鳥の羽根の価値を、どれほど美しいか、というよりも、どれほど珍しくて、手に入りにくいかで判断するようである。アメリカ人の少年エドウィン・リストは、小さい頃からフルートと毛針作りにその才能を発揮してきた。毛針愛好家の世界では、若くして有名人で、英国王...大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件カーク・ウォレス・ジョンソン****

  • 地下鉄道 コルソン・ホワイトヘッド *****

    1830年ころのアメリカ合衆国、特に南部各州では奴隷制度のもと、多くの黒人たちが大規模農場で働かされるためにアフリカ大陸から連れてこられ集められていた。白人たちは黒人奴隷たちを人間扱いせず、簡単にむち打ち、なんでもない理由で殺しても、なんの処罰も受けない。そもそもその頃の黒人は人間扱いをされていなかった。白人の多くが平気で黒人差別をするのは、黒人は白人とは同じ人間ではないので、良心の呵責も感じることはないからだった。18歳のコーラは母のメイベルとともに、ジョージア州の農場で働かされていたが、母は娘が10歳の頃、一人娘を農場において一人で逃げた。コーラは置いていかれたことに傷ついたが、なんとか母の気持ちを理解しようと苦しんだ。殆どの逃亡奴隷たちは、奴隷所有者が放った奴隷狩りや、自警団、賞金稼ぎ達によって捕らえられ...地下鉄道コルソン・ホワイトヘッド*****

  • 日本蒙昧前史 磯崎憲一郎 ****

    1960年代後半から80年代に、日本で起きたちょっとした事件や報道から、当時とその主人公たちの人生を振り返る作品。当時を生きた人たちなら、これら報道の記憶は今でも生々しく蘇るような忘れられない事件のかずかず。グリコ社長誘拐と「毒入り危険」脅迫事件、その前に起きた三島割腹事件や、その後の、日航ジャンボ墜落事件も忘れられない。銀座五丁目にあった高級キャバレーに勤めていた、群馬出身の女性と、その女性にお熱を上げた同郷政治家は、その後総裁選にも出馬した。キャバレーには芸人でトロンボーン奏者、プロ野球選手、作家なども出入りしていたという。五つ子誕生報道があったのは、その政治家が総裁選に出馬した3年半後。NHK職員だった父親は、同じメディアのカメラマンやレポーターたちがプライバシーも無視しながら取材に押し寄せるのを、苦々し...日本蒙昧前史磯崎憲一郎****

  • 奈落で踊れ 月村了衛 ****

    1998年の大蔵省ノーパンしゃぶしゃぶ接待汚職事件と消費税率アップを目論んだ大蔵省の動き題材にした物語。しかし物語の最後の部分で、大蔵省職員による公文書改ざんが行われることにより、次期次官候補の人物の策謀に、部下が一矢を報いるという、大どんでん返しが起きる。これは、現在問題になっている官庁のモラル腐敗と官邸による官僚支配のアイロニー。大蔵省文書課で課長補佐を務める香良洲は、変人と言われるが頭は切れる。離婚した元妻は現在社倫党女性若手ホープの錐橋の公設秘書を務める理代子で、大蔵省職員による過剰接待事件を追求しようと証拠集めをしている。香良洲は雇った女性ジャーナリスト絵里に探偵を依頼、接待事件の舞台になった新宿の店舗オーナーが、顧客リストを持っていることを突き止める。関西ヤクザの大物である芥と若頭の薄田は、店舗オー...奈落で踊れ月村了衛****

  • 臆病な都市 砂川文次 ***

    現在の日本、特に東京の状況の中の、行政の対応を痛烈に皮肉る近未来、というよりも現在進行系の仮想小説。取り上げられるのは、行政の形式主義と事なかれ主義、都民同士の同調圧力による自粛警察的動き、国の不作為による被害拡大である。主人公はKと呼ばれる都庁に勤める役人、設定は現在の日本とそっくりで、鳧(ケリ)という鳥が媒介する伝染病らしきものが流行しているのではないかという噂がはびこり、行政はその噂への対応に臨む。Kは政策企画局調整部という部署に所属、上司の係長は全くのことなかれ主義で、降りかかってくる仕事を部下の誰かに担当させることのみを業務だと信じている。しかし元より、名前が示すとおり「調整部」の仕事は存在する問題への対応部署はどこなのか、担当すべき部署、関係する組織はいずれなのかを調整する部署。都民から寄せられる要...臆病な都市砂川文次***

  • セルロイドの海 平野悠 **

    音楽プロデューサーでエッセイストの筆者は、世界一周客船の旅にでかけて、70歳になるのに、乗り合わせた女性と恋に落ちてしまう、というお話。若い頃にはバックパッカーで世界を旅し、40年前にグアテマラで日本料理店を開いて5年過ごした。その後もビジネスに成功して、お金には困らないのに時間があるという、モテル男の恋の話なんて、誰が聞きたいかと思う。しかし、読んでしまった。筆者が乗ったのは、ピースボートと呼ばれる、自然環境保護運動を主眼とした団体が運営する安めの世界一周旅行。それでも、4人相部屋なら100日間で150万円、個室だと300万円はする。それにオプショナルツアーでは、北極海2週間ツアーはプラス100万円だったりする。バツイチで、しかし妻も子もいる筆者が、旅行で知り合う相手も夫がいる女性と恋に落ちて、その顛末をブロ...セルロイドの海平野悠**

  • おいしくて泣くとき 森沢明夫 ***

    風間心也と新井夕花は幼馴染で、中学3年生のクラスでも同級生だった。心也はサッカー部員だったのだが、膝の腱を断裂してしまいクラブ活動ができなくなっていた。夕花は勉強ができて、体育以外はオール5の抜群の成績、しかし、クラスに友達と言える仲間は女子では辻井一人しかいなかった。二人はクラスの皆に押し付けられるように卒業記念のクラス新聞を発刊する責任者に祭り上げられてしまう。心也の母は小学三年の時に病死、以来父が食堂を経営して心也を育ててきていた。心也はそんな父に感謝しながら、父の食堂を時々は手伝ってきた。心也の父は、食堂で食事が食べられない子どもたちに向けて「こども食堂」を開いていた。学校では暴れん坊の石村も子ども食堂の常連、そして夕花も弟と一緒に子ども食堂に顔を出していた。夕花の家では、父親が家族に暴力を振るうので、...おいしくて泣くとき森沢明夫***

  • 蜜のように甘く イーディス・パールマン ****

    紡がれた一語の重みがそれぞれに感じられるように、そして静謐な歴史が横たわるような、濃厚な10編の短編小説集。初めて読む作家だが、印象に残る。「初心」では、戦争で夫をなくした女性ペイジが、足のマッサージ店を営んでいる。その向かいのアパートに暮らすのは、妻が突然出ていってしまった大学で美術史を教える男ベン。ベンは、通りの斜向かいに見える足のケアサロンで働く女性ペイジを見て、二人は一緒に暮らしているんだ、という妄想にふけることが毎日の楽しみなっていた。ある日妄想を現実のものとするため、ベンは足のケアに出かける。足のケアはある意味、多少エロティック、ベンは出ていってしまった妻とのエピソードをペイジに語り始める。二人で、雨で夜の高速道路を走っているときに、対向車が急に脱輪。乗車していた二人がどうなったのかが気になった妻が...蜜のように甘くイーディス・パールマン****

  • スノードロップ 島田雅彦 *****

    率直な言い回しで、芥川賞受賞作品の講評を行う島田雅彦、その人の強烈な現政権批判は、仮想の皇后陛下の口である、スノードロップというハンドルネームを借りて行われた。香港での中国共産党による強権的な言論弾圧を見ていると、日本における言論の自由のありがたさが、周庭さんに指摘されなくても分かっていると思っていたが、あらためて「仮想皇后の口から形になった現状認識」を読んでみると、そんな甘いものではないのかもしれないと気づく。嘘と隠蔽、「丁寧に説明」「誠実な対応を」「説明責任を果たす」「痛切に反省」という言葉の軽さを感じる為政者の釈明に、マスコミも国民も耳が慣れてしまったのだろうか。作者は、今の日本で最も正直に言葉を発することができるのは、そして最高の平和主義者は天皇夫妻ではないかと思った。批判者に対しては無視するか、蛙の面...スノードロップ島田雅彦*****

  • 透明な夜の香り 千早茜 ****

    女性らしい、香りと恋心のお話。引きこもりの兄が自殺するのを、座して見過ごした、というトラウマを抱える若宮一香、書店に勤めていたが、気持ちが滅入って辞めてしまったため、ここ半年ほど無職。朝起きて、暮らしているアパートの前にあるゴミ置き場までゴミを捨てる。コンビニで即席の食料や菓子パンを買う、それ以外の外出はしない。お化粧もせず、書店勤務時代の友人からの誘いだけが、たまの外食。持ち金が残り少なくなってきたので、スーパで見た求人ボード張り紙で見た求人ポスターの連絡先に電話をして、面接試験を受けることになる。募集者の主は、小川朔という男性の調香師、匂いに異常に敏感な人物だった。募集されていた仕事は、調香師のお手伝い、食事や掃除など身の回りのお世話。調香師は、匂いの中に相手の生活や習慣、月経周期や嘘まで見抜いてしまう。一...透明な夜の香り千早茜****

  • ほたる茶屋 千成屋お吟 藤原緋沙子 ***

    江戸時代、江戸の街で、犯罪や公序良俗に反しないことならどんなことでも相談に応じますよ、ということを生業にするお吟がいた。お吟は目鼻立ち麗しい三十路絡みの妖艶な女性、日本橋に「千成屋」を営み、手伝いに二人の男性、千次郎と与之助を手代として雇う。近所に住む元同心の青山平右衛門は剣術の腕前で頼りにしている。お吟の連れ合い清兵衛は5年前に伊勢に出かけたきり帰ってこないという。千成屋にはお吟の親切で誠実な対応を聞きつけて、多くの相談者が訪れてくる。平塚から江戸で働く姉を頼ってでてきた11-2歳の少女、お吟がわずかな情報から調べてみると、姉が女郎屋で働きながら、病気の母と幼い妹がいる実家に仕送りをしていたが、悪い男に騙されて殺害されたことを知る。その悪い男は安兵衛、別の店でちゃっかりと手代として働いていることを突き止めた。...ほたる茶屋千成屋お吟藤原緋沙子***

  • アウターライズ 赤松利市 **

    アウターライズとは、東日本大震災の10年後に勃発したという設定の大震災。設定は深刻なものだが突飛なもので、アウターライズ地震で二回目の大被害を受けた東北六県が日本国から独立するというもの。壮大な設定なので、物語は果てしなく広がるかに見えて、最後は一瞬にして終わってしまう。作者は時間がなかったのか、力尽きたのかと思う。仕掛けは、細かくたくさん設置されている。阪神大震災で被害を受けて、その記憶から立ち直ろうとする少女が、新しい東北国で防衛の責任者になったり、東日本大震災で親友を助けられなかった少女が、数年後アメリカ西海岸で、その親友の遺品に巡り合ったり。また、東日本大震災で学んだのは、「津波、てんでんこ」であり、まずは自分が逃げること、で死者数が減らせるということ。面白うそうな仕掛けがたくさんあるので、その後の展開...アウターライズ赤松利市**

  • フラウの戦争論 霧島兵庫 ***

    語り手がプロイセンの陸軍少将になったクラウゼヴィッツ、1818年にベルリンの陸軍士官学校の学校長に就任、それを期に戦争論に関する論文を執筆する。クラウゼヴィッツは1806年のイエナにおけるフランス軍との戦いでは、大隊長の副官として戦いに参加していたが、敵方の司令官はナポレオン、戦いに大敗する。1818年のクラウゼヴィッツが、その戦いを論文をまとめるとして振り返ると、プロイセン軍の不甲斐ない戦いが浮かび上がり、ナポレオンの指揮官としての秀逸な判断が光る。クラウゼヴィッツはフランス軍に大敗した自国軍に愛想を尽かして、同盟していたロシア軍に将校として身を投じるが、そこでも客員としてしか取り扱われず不完全燃焼する。クラウゼヴィッツの妻マリーは伯爵令嬢で、結婚前は宮廷女官長を勤めていた。子供がいなかったクラウゼヴィッツは...フラウの戦争論霧島兵庫***

  • ビルマに見た夢 古処誠二 ****

    5つの中編からなる連作集。場所はビルマ、太平洋戦争が始まって2年、植民地化されていたビルマの独立を支持するとして進駐した日本軍だったが、一時は追いやられたイギリス軍が盛り返して、陸地を制している日本軍とビルマの住民に空爆を繰り返している。熱心な仏教国で、信心深くて人とのコミュニケーションを重要視する、情の篤い人たちと、日本軍の住民対応担当の西隈軍曹のやり取りから、戦争の意味を深く問いかける。イギリス軍の空爆をきっかけに精霊が乗り移って、次の空爆を予知できると言い出した村人への対応。土木工事への現地住民による協力を求める日本軍に、精霊のお告げをたてに拒否しようとする住民の老婆ドホンニョ。その説得に向かった西隈に、日本語を前の駐屯所長に教わったとういう子供モンネイが付きそう。勤労にアサインされた青年コオンテンはこの...ビルマに見た夢古処誠二****

  • あめつちのうた 朝倉宏景 ***

    主人公は高校を卒業して、甲子園球場のグランドキーピングを生業とする阪神園芸に入社した雨宮。高校時代は東京の野球部マネージャーを務め、甲子園を目指したがあと一歩及ばなかった。その時のピッチャーが親友の一志、自分自身のLGBT性向に悩むエースだった。雨宮の弟傑は、同じ高校の野球部に入部し、一年生なのにスラッガーとしてレギュラーのポジションを掴んだ。小さい頃から運動神経が飛び抜けてよかった弟を羨んだ雨宮だが、当然今は、そんな傑の活躍を祈っている。雨宮が阪神園芸に入社して一年目の青春物語で、球場を愛するグランドキーピングの描写が最大のポイントになる小説。語られるのは、甲子園球場の土と芝生を守る阪神園芸のプロフェッショナルたちの努力と、その技術を身に着けたいと必死でもがく不器用な雨宮。一つ先輩の長谷は2年前に甲子園優勝投...あめつちのうた朝倉宏景***

  • イエスの学校時代 クッツェー ***

    2003年のノーベル賞作家、クッツェーの作品。日本の小説が、時として源氏物語や漱石などを読者が知っていることを前提にして、描かれるのと同じように、本作品も聖書と近代文学が背景にあることは間違いない。六歳の男の子ダビードは、特異な才能を持つが、学校生活に馴染めず教師の言うことも聞かないため学校から抛擲されてしまう。移民船で母親と離れてしまい、それを引き取ったのがシモンとイネスの男女コンビ。結婚しておらず恋人同士でもない二人がダビードをつれて田舎町のエストレージャに移り住む。果樹農園での季節労働者としての職を得て、住処も確保する三人だが、収穫の季節が終わるとそこにも居場所がなくなる。雇い主の三姉妹はダビードの特異な才能に気が付き、学費の援助を申し出てくれた。シモンとイネスは三姉妹の紹介でダンスアカデミーにダビードを...イエスの学校時代クッツェー***

  • 迷宮の月 安部龍太郎 ***

    粟田真人は、白村江の戦い以降、長く途絶えていた遣唐使の責任者として、33年ぶりに唐の国に派遣された。白村江の戦いで唐と新羅合同軍に破れたため、以来途絶えていた唐との国交を回復するのが使命。藤原不比等からは、国交正常化を求められているが、冊封関係になったとしても対等関係を守ることという難しいミッションを与えられ、国書を唐の皇帝に手渡すことを言い渡されている。粟田真人は66歳、もう決して若くない。真人の秘書として同行するのは山上憶良。唐は、則天武后が皇帝に即位して、国内は密告政治がはびこり、何をするにも賄賂が必要となり、真人が以前唐を訪問したときと国内事情は大きく変わってしまっていた。真人は使命を達成できるのか。当時の遣唐使、いかに大変だったのかが冒頭描かれる。国交が正常に持てていないため、朝鮮半島経由、済州島への...迷宮の月安部龍太郎***

  • おっぱい先生 泉ゆたか ****

    授乳に悩む女性への物語。こういう話でも小説になるんだなあと感心した。登場する悩みは、悩むを持つ女性には切実だと思う。孫の誕生で私も急に関心を持った。おっぱいが張って張って痛くてしょうがない。おっぱいが出ない。おっぱいが痛い。働きに出るので、おっぱいを上げるのを止めたい。授乳中のわが子が突然死してどうして良いかわからない。こういうお母さんたちが一人で悩んでいるのを、助けるのが登場する助産師寄本律子。助手は看護師見習いで若い未婚の田丸さおり。若い母親が相談に訪れて問題が解決するのを見て、さおりも成長するという物語。完全母乳で育てなければならないと思いこんでいる若い母親は相談する相手がいないので、もっぱらスマホを頼りに育児していた。乳頭が陥没していて赤ちゃんが母乳を飲んでくれないのが悩み、恥ずかしくてそれを夫にも相談...おっぱい先生泉ゆたか****

  • 明治という国家 司馬遼太郎 ***

    明治維新は国民を巻き込むような革命ではなかったが、アメリカやフランスのように多くの国民の血を流さずに実行された国家変革だった。武士という地位がなくなり、大きな力を持っていた藩は中央集権国家の地方県となった。年貢は税金となり中央政府がそれを徴収した。そんなことはさせない、と抵抗したのは東北諸藩、それに島津久光のような殿様たちだったが、おっとりした殿様たちが気がついたときにはすでに版籍奉還がすみ、明治政府ができてしまっていた。幕末から維新直後にかけては有名な人物がいる。維新を実現させた薩長同盟を勧めた坂本龍馬、国家改造設計図を書いていた小栗忠順、幕府解体を請け負った勝海舟、それを容認した徳川慶喜、和歌山に時代を先取りする新体制をもたらした津田出とその学問の師だった荻生徂徠、新国家への助言者福沢諭吉、無私の心で倒幕を...明治という国家司馬遼太郎***

  • 事件持ち 伊兼源太郎 ****

    この作家、略歴によると新聞社勤務経験を持っている。本書タイトルの「事件持ち」とは、新聞記者の中でもその記者が当番を務める夜によく事件が起きて、その勤務先で重大事件が起きる、という新聞社独特の言い回しらしい。本作品は津田沼近辺で起きた連続殺人事件を追うミステリー。新聞社入社二年目の永尾と、父親が立派な警察官だったその息子である若手刑事の津崎、二人が主人公である。ポイントは、捜査する警察、報道するメディア、それぞれの社会で果たすべき役割、使命感と正義感について。若い二人は、意地悪な先輩や、尊敬できる上司、嫌なライバル、助けてくれる同僚などに囲まれて、事件の真相にそれぞれの方法で迫る。警察の捜査はある意味では万能である。被疑者に尋問したり、関係者を洗い、隠しカメラや通信記録を見ながら、必要があれば銀行口座の履歴までも...事件持ち伊兼源太郎****

  • 空の声 堂場瞬一 ***

    NHKアナウンサー和田信賢は戦後ラジオの番組「話の泉」の司会者として名を馳せた。戦前の双葉山69連勝後の70勝目をかけたラジオ中継や、終戦詔勅を受けたラジオ放送も担当した。戦後日本が初めてオリンピックに復活参加が許されたのがヘルシンキ五輪。その1952年ヘルシンキオリンピックに4人のNHKアナウンサーの一人に選ばれた和田だったが、体調がすぐれない。しかしどうしても参加したい和田は不調をおして飛行機に乗った。当時の機種はDC-6、ソ連との冷戦時代で、航路は南回り。羽田の次は那覇、ラングーン、ボンベイ、バスラ、カイロ、ローマ、そしてストックホルムに到着して、そこで時差調整後、ヘルシンキまで到着するのに60時間以上の旅だった。それでも初めて五輪に参加した金栗四三の二週間もかけてのシベリア鉄道での長旅に比べれば大した話...空の声堂場瞬一***

  • その話諸説あります ナショナル・ジオグラフィック編 ***

    チコちゃんに叱られる、を見ているとよく表示されるこの表現。正解ではないかもしれないが、一定の根拠はある主張。図書館に並んでいれば読んでみたくなる一冊。各種の「諸説」が紹介されている。知っている話、聞いたことがあるものも多いが、気付かされる諸説もあって面白かった。興味を引いたのは、人類が鉄を発見したきっかけは何、というもの。考えてみると、鉄の融点1538度以上に熱を発するのは相当難しい。青銅器を作るときにも熱が必要だったはずだが、スズを加えることで875度に下がる。鉄鉱石が露出している場所でたまたま焚き火していたくらいでは鉄は作れない。そこで有力なのが、隕石の鉄、隕鉄。宇宙空間で作られているので、純鉄である。隕鉄は隕石の中では珍しく、それが地上に落下するのは更に珍しいこと。それを加工するのもまた難しい、そうとうな...その話諸説ありますナショナル・ジオグラフィック編***

  • 人間の品性 下重暁子 ***

    久しぶりに図書館が開いた。その初日、すぐに駆けつけた新刊書コーナーに並んだ本を順に選んだ。その一冊。人間の品性、自分も備えたいが今になって欲しても急に備わるものでもないはずだが、読むのは自由なはず。最初に「臈たけた人」の例として、紫の上、九条武子、柳原白蓮を上げた。洗練されて上品であるのが臈たけた人。挙げられた人として紫の上は光源氏の正室で夕霧を生んだ悲劇の女性。六条御息所の霊に殺されてしまう。同時に、浮気者の夫の行為を見て見ぬ振り、もしくは見逃すのが宿命のような女性。あとの二人は、自分の恋のために人生を転換させた。考えてみれば、この時点で本書の内容の示す先に気がつくべきであったが、読み始めたばかりであり、読み進んだ。歳をとっても二日続けて同じ服は着ない、気に入った服を長く着る、オードリーヘップバーンは上下黒の...人間の品性下重暁子***

  • 戦争の日本古代史 倉本一宏 ****

    トランプ大統領が「偉大なアメリカを再び」と言い大統領に当選、対抗する中国は「偉大な中華を再び」と一帯一路構想を唱える。日本の首相も「美しい日本」を実現したいという夢を持つ。日韓対立もこうした歴史的な自国第一主義に由来するのかも知れない。この淵源はどこにあるのだろうか。アメリカは第二次大戦を経て、1950-60年代に世界をリードする国であった時期がある。英国にアヘン戦争などで侵略される以前の清は大国としてアジアに君臨していた。日本は明治維新を経て、世界の列強国の仲間入りをして、第一次大戦後は戦勝国として振る舞った時期もあった。我が国日本が、富国強兵を掲げ、明治維新直後にも征韓論やアジア進出を目論んでいた理由はなんだろうか。松下村塾を設立し、多くの維新の志士を輩出した吉田松陰の思想は水戸学に立脚した尊皇攘夷思想を生...戦争の日本古代史倉本一宏****

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