室町時代から戦国時代に戦乱が多かった理由はデフレによる経済不調、その結果としての政権不安定化が原因、という筆者。天下統一まであと一歩にまで迫った織田信長はデフレを終わらせ適度なインフレを実現できたのか、その経済施策はというのが本書の視点。室町時代の金融の要は、荘園を所有し資金力豊富な寺社勢力で、土倉や酒屋などの金融業者に資金提供をしていた。日宋貿易、日明貿易の担い手も実は寺社勢力だったが、当時の日本での貨幣は宋銭であり自国通貨は流通していなかった。明朝が地球寒冷化による農業生産不足から財政難に陥り、不換紙幣を発行してインフレが過度に進行、その反動としてデフレになったのが日本の義満政権から義教政権に移行する頃。義満は日本国王とは名乗ったものの、明朝に対しては冊封体制に入り朝貢する姿勢を示したため、日明貿易は...経済で読み解く織田信長上念司****