私の妻は2人の子どもを生んだのですが、下の子が5歳になる前に他界した。それで子どもの養育には母の手を随分借りた。 もし妻が生きてゐたら、どんなふうに子育てをしただらうかと、ときどき考へます。母親がゐないせいで、平均的な父親よりはいくらか、子どもたちと関はる時間が多かつたかなとも思ふ。しかし、どんなに頑張つても、母親のやうには子どもを愛せないとも思ふ。 母親は子どもに対してどんな愛を持つのでせうか。 ...
いよいよ今日は大つごもり。徒然ついでに、今日も筆に任せて(実際はキーボードですが)書いてみようと思ひます。 つい先日も、コメントをいただきました。 「いつもブログを楽しく読ませていただいてゐますが、旧かなは読みづらい」 と仰るのです。 今どき旧かな(本当は歴史的かな遣いひと言ふのがいゝ)を使ふ人は極々少数派でせう。学校で教はり、長い間使ひ慣れてきたかな遣ひとは多少違ふところがあるので、ちよつと引つ掛...
大つごもりを明日に控へて、たまには少し緩い気持ちで徒然に自分のブログ生活を振り返つてみようと思ふ。 ブログを始めたのが2009年。もうかれこれ12年になる。我ながらよく続いてゐるなと思ふ。書くことは嫌ひではない。 昨年の2月までは地元の教会に奉職して役職もあつたので、ブログのタイトルは「教育部長の講義日記」として記事を書いてきた。昨年2月に退職して、タイトルを「まるくまーる」に変更した。 記事はもちろん講...
先生(文鮮明師)は、今まで、神様に対して一言の不平も言わずにみ旨の道を歩んできました。罪もなく監獄に入っていき、悪事を行う者たちから打たれて血を吐く立場でも、「神様、なぜこのようにされるのですか」と恨んだりはしませんでした。 そこで泣いたりわめいたりすれば、神様の心の中に尊敬する余地がなくなるのです。立場がなくなって、サタンがその場を占めるようになります。それで、み旨の道を行く人は、死んでも不平を...
まずしなければならないのは、思考ー言葉ー行為というパラダイムを逆転させることだ。”行動する前に考えよ”という古い格言を知っているか? ええ。 それは忘れなさい。根となる考えを変えたければ、「考える前」に行動しなければいけない。 (『神との対話1』ニール・ドナルド・ウォルシュ) ドイツ人は考へた後で歩き出す。 イギリス人は歩きな...
人生をあきらめるべきかどうか、考へてゐる。 「諦める」と言へば、ふつうには「断念する」といふ意味で使はれます。断念したらそこで終はりだから、大抵は「諦めるな。やれるところまでやり通せ」といふのが励ましにもなるし、教育もこれを基本とするでせう。 「あきらめる」とは確かに、「そこで終はりにする」といふことでもある。しかし「終はりにする」前提は、自分がいま直面してゐる事態を認める、容認するといふことでな...
京都の細見美術館で「虫めづる日本の美」といふ特別展があつて、その初つ端の入り口に養老孟司さんの集めたゾウムシの標本が展示されてゐるといふ。 養老さんと言へば、大ベストセラー『バカの壁』で名が知れてゐる解剖学の医学者でありながら、昆虫の収集家としても有名です。今回は数ある虫の中から、ゾウムシの標本が一つの美術品として出展された。 美術展に虫の標本といふのは珍しいので、ある雑誌社がインタビューしてゐま...
課題となるのは非常に基本的なことです。 「どうやって自分の遺伝子を効果的にコントロールするか」ということです。 (『あなたの年齢は意識で決まる』ディーパック・チョプラ) エピジェネティクスといふ、遺伝子に関はる比較的新しい学問分野があります。 遺伝子は父母から受け継ぐものであり、受け継いだものは生涯変はらないと言はれます。しかし遺伝子そのものは変は...
知り合ひが紹介してくれたYoutube動画を何度も見返しながら、この子はどんな子なんだらうと考へ込んでゐる。 まだ小学1年生くらゐに見える。その子がこんなふうに言ふのです。 自分のせいにできると楽だよ。問題が起きるときは、自分の愛が足りないから。 ぼくの愛が足りないから、友だちがぼくに悪口を言つた。だからぼくが彼に愛を渡したんだ。 愛を知るために、こゝに来てるんだよ。 ...
あなたの物質的な体は、自分でも常にそれが実在していると思い込んでいるのですが、ほんとうのところはフィクションなのです。 あなたの物質的な体とは、あなたの心が頑なにしがみついている思考であるということがわかれば、とてつもないブレイクスルーが起こるでしょう。 (『あなたの年齢は意識で決まる』ディーパック・チョプラ) 我々は体を持つて、物質的なこの世界に生まれてきて...
落語にかういふ場面があります。 2人の人間が話してゐる。一人が誰かの家を尋ねるので、もう一人が指差して、「あれが見えるぢやろ」と言ふと、「太い指ですね」と言ふ。 「指ぢやない。指の先を見ろと言つてる」 「爪が伸びてますね」 「爪ぢやない。爪の先だ」 「垢が溜まつてますね」 これを聴いて、...
先日何かのドラマを観てゐたら、おばあちやんと孫娘が愛についてやり取りをするこんな場面がありました。 ●●● 孫娘はまだ独身のうら若い女性。彼女がおばあちやんに尋ねるのです。 「おばあちやんはおじいちやんを愛してゐたの?」 すると、おばあちやんは 「おじいちやんが生きてるとき、『愛してる』なんて一度も思つたことがないのよ。旦那さんといふより、同志と言つたほうがいゝ感じだつた」 「さうなの?」 「でもね、...
『原理講論』の「緒論」にかういふ一節があります。 「私」という個性体はどこまでも復帰摂理歴史の所産である。…したがって、我々は今までの歴史路程において、復帰摂理の目的のために立てられた預言者や義人たちが達成することのできなかった時代的使命を、今この「私」を中心として、一代において横的に蕩減復帰しなければならないのである。そうでなければ、復帰摂理の目的を完成した個人として立...
スポーツ番組を好んで観る人間ではなくても、新庄剛志の名前くらゐは知つてゐた。実力もあつて相当な人気があり、一時期メジャーリーグでもプレイしたことがあつたと記憶してゐる。 現役を離れて少し間が空いたが、いよいよ来季から日本ハムの監督として再登場するらしい。「BigBoss」といふ愛称もすでに広まり始めてゐる。 先日バラエティのトーク番組に出て話すのを聞いて、この人が監督をする野球の試合なら一度観てみたいも...
蕩減の意味の捉え方ですが、何か事故が起きたから蕩減だと思う人が多いのです。何か引っかかったとき、事件が起きたとき、「これは蕩減だ」と思ってゐる。 しかしそうではなく、私たちは今も蕩減路程期間中にいるのであり、全体が蕩減なのです。(『復帰歴史に見る生活原理』李耀翰) 何か事件や事故が起きたときに、 「これは蕩減だ」 と思ふ。 このときの「蕩減」は、「罰が当たつた」に近い感覚ですね。我々の...
前回の記事「ペインボディには好物がある」の続きです。 ペインボディはほとんどの人が持つてゐるものですが、その中でも集団的ペインボディといふものがあると、トールは言ひます。例へば、民族的ペインボディ。あるいは人種的ペインボディ。 いづれも深刻なものではありますが、最も大きな集団的ペインボディがある。人類の半分である女性のほとんどが集団的に分かち持つてゐるペインボディです。 女性であるがゆゑに体験して...
エックハルト・トールが『ニュー・アース』の中で「ペインボディ(痛みの身体)」といふ面白い洞察をしてゐます。 人間には古い記憶を長々とひきずる傾向があるから、ほとんどの人はエネルギーの場に古い感情的な苦痛の集積を抱えている。私はこれを『ペインボディ』と呼んでいる。 「ボディ」とは呼ぶものの、それは実体としての独立した体を持つてゐるわけではない。我々の中に息づ...
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私の妻は2人の子どもを生んだのですが、下の子が5歳になる前に他界した。それで子どもの養育には母の手を随分借りた。 もし妻が生きてゐたら、どんなふうに子育てをしただらうかと、ときどき考へます。母親がゐないせいで、平均的な父親よりはいくらか、子どもたちと関はる時間が多かつたかなとも思ふ。しかし、どんなに頑張つても、母親のやうには子どもを愛せないとも思ふ。 母親は子どもに対してどんな愛を持つのでせうか。 ...
母親「娘は幸せでした」 牧師「(葬儀で)さう話します」 父親「では、どうも」(と、牧師と握手) 牧師(母親に手を差し出しながら)「娘さんは今でも幸せですよ。神と共におられますから」 母親(帰りかけて振り向き)「それの何がいゝの?」 父親「行かう」 母親「なぜそれがいゝのか、教へて!」 牧師「人生には苦難もある。子どもを失ふ、なんと残酷なことでしょう。だが、信仰が希望を与へます。そして、人生に輝きを見出し…...
気の置けない者同士が数人集まつて思ひのまゝに話してゐるときでも、急に正論を述べ始める人が、ときどきゐるものです。 「さういふ考へはもう古いよ。こんなふうに変へたほうがいゝと思ふ」 たとへば、こんな正論が出てくると、話してゐる人はとたんに話の腰が折られたやうで、二の句が継げなくなる。それ以上、自分の素直な気持ちを話したいといふ思ひが萎えてしまふ。 正論を述べる人には、たいてい悪気はないのです。相手の...
人生に問題はつきもので、問題には苦痛が伴ふ。苦痛はつらいから、早く何とか解決したい。 病気の兆候。経済的な不安。人間関係の摩擦。さういふものはないほうがいゝので、何とか早く取り除きたい。 そんなふうに思ふのは、当然ですね。 しかし、苦痛を取り除かうとするのは、対症療法でせう。熱が出たら解熱剤を飲むやうなものです。一時的には楽になつても、熱が出た原因そのものは解決されてゐません。 そこで、苦痛が生じ...
何かを成し遂げようとして、上手くいかないことがある。むしろ、そのほうが多いかもしれません。 そのとき、私たちは 「失敗した」 と言ふに違ひない。 上手くいつた場合は、「成功した」と言ひ、上手くいかなければ「失敗した」と言ふ。成功は良いことであり、失敗は良くないことである。だから誰でも成功したいと思ひ、失敗は避けたいと思ふ。まあ、当たり前ですね。 いや、本当に当たり前でせうか。 「私は失敗を許可する」...
「不安でないと落ち着かない」 といふやうな気分になることが、しばしばあります。 これはいかにも変ですね。ふつうなら、「不安で落ち着かない」とか「不安がないから落ち着く」と言ふべきでせう。 たとへば、朝起きると、すぐに一抹の不安が生じる。子どもたちのことが頭に浮かんで、何だか不安になることがあるのです。 「あんなふうだけど、大丈夫かなあ?」 といつた不安。 かなり漠然としてゐるのですが、だからこそ何と...
先日の記事「日常を量子論的に考へる」の中で、 「もし生まれる前に人生を設計して生まれてくるとしても、その計画は確率として存在するのではないか。実人生で選択をすることで確率が現実になる」 と考へてみました。 見方によつては、人生は小さなことから大きなことまで、選択の連続だとも言へます。 今日の昼食は天丼にするか、ラーメンにするか。飲み会に誘はれたとき、行くか、断るか。 学校を受験するなら、どの学校にす...
息子の勧めで「すずめの戸締り」を観た。 私はあまりアニメは観ないし、公開されて2年近くたつてもゐます。ところがNetflixで観始めると、なかなか面白くて、最後まで一気に観終へた。アニメの名手、新海誠監督の作品です。 観終へたあとで、息子に感想を聞かれたので、 「すずめを助けるのは、ほとんど女性ばかりだつたね」 と答へると、息子は、 「そんな観点、思ひもしなかつたけど、さう言はれゝば、確かにさうだな。どうし...
これまでに解明されてゐる量子の特質を挙げるなら、次の2つでせうか。 ① 粒子でもあり、波動でもある ② 位置と運動量とを同時に確定することはできない これらはいづれも、日常生活の感覚から見ると、かなり理解し難い。しかしそれは、我々がこの世を物質的な側面から見ることに慣れ過ぎてゐるからであり、我々自身の意識から見れば、「量子=意識」と言つてもいゝほどに符号してゐるやうに思へます。 身近なところから考へ...
30年以上も前のものですが、1990年に公開されてヒットした米映画「Ghost - ニューヨークの幻」の中に、印象的なシーンが出てきます。 不本意に殺された男性(サム)がその真相を伝えたくて、元恋人に接触を試みる。ところが、サムにはもはや肉体がない。彼からは彼女が見えるが、彼女には彼が見えない。呼びかけても声が届かない。触らうとしても感じられない。 どうしたものかと思ひ悩んでゐるとき、地下鉄のホームで彼の前に一...
ここにおいて、カインとアベルの献祭に相通ずるいくつかの実例を挙げてみよう。 我々の個体の場合を考えてみると、善を指向する心はアベルの立場であり、罪の律法に仕える体はカインの立場である。したがって、体は心の命令に従順に屈伏しなければ、私たちの個体は善化されない。しかし、実際には体が心の命令に反逆して、ちょうどカインがアベルを殺したような立場を反復するので、我々の個体は悪化されるのである。 (『原理講論...
少なくとも目が覚めてゐる間、「思考」といふものから離れられないのが私たちです。その「思考」を2つに分けてみます。 ひとつは、「自動思考」。 もうひとつが、「自主思考」です。 「自動思考」とは、ふと気がついたら、 「自分はこんなことを考へてゐたのか。いつから、どうして、こんなことを考へてゐたんだらう」 と思ふやうな思考です。 だから「自動思考」は、無自覚的な「思考」と言つてもいゝでせう。 それに対して「...
地動説が科学的な真理だと学んで育つた現代の私たちは、球体の地球が球体の太陽の周りを超高速で周回し続けてゐることを疑はないでせう。しかし、向かうの森を眺めて、かすかに風に揺れてゐる木々の枝を見るとき。あるいは、川岸に立つて、小さく波立ちながら流れていく川面を見るとき。私たちは、これらの土台である地球が猛烈な勢ひで回転してゐるといふことなど、すつかり忘れてゐるに違ひない。 自分の人生を振り返つて、後悔...
今日の科学は、物質の最低単位を素粒子と見なしているが、素粒子はエネルギーからなっている。… 物質世界を構成している各段階の個性真理体の存在目的を、次元的に観察してみると、エネルギーは素粒子の形成のために、素粒子は原子の構成のために、… (『原理講論』創造原理 第二節) 素粒子は物質の最小単位であり、一方、量子はエネルギーの最小単位ですね。素粒子はきわめて極小とは言へ、粒子のやうなものとし...
悪霊人たちの業が、みな再臨復活の恵沢を受けられるような結果をもたらすのではない。その業が、結果的に神の罰として、地上人の罪を清算させるような蕩減条件として立てられたときに、初めてその悪霊人たちは、再臨復活の恵沢を受けるようになるのである。(『原理講論』復活論第二節) こゝに「神の罰」「地上人の罪」といふ表現が出てきます。これらは、我々が神に対する概念を作るうえで、...
昔から、会議といふものが苦手です。苦手だから、当然好きでもない。 会議と言へば、最低3人以上、多ければ10人を越すものもあるでせう。その参加者それぞれが、一つのテーマに対して自分なりの意見を持つてゐる。強く主張する人もゐれば、控へ目な人もゐる。 さうすると、あちらも見て、こちらも見る。バリエーションのある意見の中で、自分はどの辺にゐて、どのやうに言へば、自分の意見が言ふだけの意義を持つか。さういふ見...
ときどき、大きな不安に覆はれるやうな感じに襲はれることがあります。これは多分、私だけではない。多くのかたが経験されることではないでせうか。 なぜ不安が生じるのか。 未来において、自分に危害が及ぶやうな気がする。その危害の原因と確実性がある程度明確なときには、恐怖が生まれる。一方、不安といふのはそれらが漠然としてゐる。原因も確実性もはつきりとは見えない。それこそが不安の正体でせう。 そして考へてみる...
誰かと出会い、その人の弱点を非難するとき、私は自分で自分の中の高次の認識能力を奪っている。愛を持ってその人の長所に心を向けようと努めるとき、私はこの能力を蓄える。繰り返し、繰り返し、あらゆる事柄の中の優れた部分に注意を向けること、そして批判的な判断を控えること、このような態度がどれほど大きな力を与えてくれるか。(『いかにして超感覚敵世界の認識を獲得するか」ルドルフ・シュタイナー) ...
「宇宙とは太陽系のことである」 といふ、とても風変りな思想があります。 ヌーソロジー(Noosology)といふ、非常に新しい思考の試みです この思想によれば、太陽系の外に宇宙はない。 いやいや、太陽系の外には銀河系があるのではないか。アンドロメダ星雲もあるし、無数の恒星が宇宙全体に散らばつて存在してゐるのではないか。我々はさう、現代科学によつて教へられてきたでせう。 それでもヌーソロジーは、 「それらはす...
こゝ数年、毎年春になると、花屋から花の苗を買つてきて鉢に植ゑ、玄関先に並べてみる。しかし我ながらセンスがないなと思ふ。なかなかうまく見栄えのする景観を作ることができないでゐます。 それでも、植ゑたときにはまだ固い蕾だつたものが、しばらくするとだんだん開いてきて、小さな花を広げ始める。それを見ると、赤ん坊が一所懸命に立ち上がらうとしてゐるやうで、「健気だなあ」と思ふ。 植物も動物も、人間のやうに言葉...
「アニマルコミュニケーター」 といふ職業があるらしい。 依頼すると、来てくれて、ペットと話してもらへる。そしてそのペットがどんなことを考へてゐるか、教へてくれるのです。 この動画は、若い女性獣医が飼つてゐる犬の「みるく」(ジャックラッセルテリア)とアニマルコミュニケーターとのやり取りを、ほぼ無編集で見せてくれる。30分と少し長めですが、非常に興味深く、私は3回も見直した。 みるくは初め、どう対応してい...
茂木健一郎さんがツイッターで 「ジャニーズは学芸会、BTSは完成度の高い学芸会」 と評したことについて、Youtubeでその真意を説明してゐます。 私自身はジャニーズにもBTSにも特別な関心がないし、彼らが学芸会であらうとなからうと正直どうでもいゝが、茂木さんがこの問題を取り上げる着眼点に惹かれる。何にどう惹かれるか、私の感じるところを、少し書いてみようと思ひます。 「学芸会」の意味は、 「演者たちは熱心で真剣だ...
欠かせぬ日課となつてゐる買ひ物をしながら、先日、ハッと気づいたことがある。 「私の買ひ物は思考と言葉に頼つた買ひ物だな」 と思つたのです。 例へば、醤油を買はうとする。最初に目が行くのは値札です。値段はもちろんサイズによつても違ふし、種類によつても違ふ。あまりに多くの醤油が並んでゐるので、まづは値段で絞り込むのです。 値段が近ければ、次は成分表を見る。大豆は国産か外国産か。有機栽培の表示があるか。...
信仰者を自認する人は、自分が神を信じてゐると思つてゐる。 それで例へば、孫がガンに罹つたときには、 「この子を若くして死なせないでください」 と神に祈る。 神は私の祈りを聞いてくださるはずだと信じるからです。ところが、その祈りもむなしく、孫は死んでしまふ。 そのとき、おばあさんは 「どうして神は私の祈りを聞いてくださらなかつたのか」 と、問はずにはゐられないでせう。 しかし、救命の祈りさへ聞いてくださ...
LGBTQ問題について、また、徒然に考へてみます。今回は、少し科学的に。(尤も、素人ですから、厳密ではありません) 自然現象でも社会現象でも、それが正規分布を示すことが多い。グラフにすると、平均値を中心として、左右対称の釣り鐘型になる分布ですね。 例へば、日本人の身長。最新のデータによると、男性の平均は170㎝、女性が158㎝です。しかし言ふまでもなく、その平均値を中心としてもつと高い人もゐれば、低い人もゐ...
「甘受」といふことについて考へるやうになつて、もうかれこれ8年になる。この概念は『原理講論』の「復活論」に短く、わづか1項ほどで扱われてゐるに過ぎないのですが、考へれば考へるほど、人生において重要なキーワードだと思はれてきます。 これがどういふシステムなのかについては、私の過去の記事を参考にしてください。 「許可を出したのは私である」 「なぜ『甘受』がベストなのか」 今回は 「甘受するとは、何を甘受す...
鬼といふのは形相は怪異、人を痛めつけ、人の財産を強奪して島に溜め込む悪辣な輩。さういふイメージもあります。 しかしその一方で、「鬼神」とも言ひ、神と並び称される超自然な力の持ち主でもある。「鬼滅の刃」では、いくら切られても死なない不死身の存在です。 鬼についての、かういふ寓話を聞いたことがあります。 鬼は神から造られたが、初め、神のことが嫌ひであつた。どうしても虫が好かない。良い奴か悪い奴か分から...
私は昔から相当に観念の強い人間で、 「このことは、かうでなければいけない」 といふ思ひが強い。 観念の人は、現実を観念に合はせようとするので、ものごとの微妙な変化に気がつきにくい。そして、自分自身も変はるのが難しい。 ところがそんな私でも、この2、30年で世の中の空気がずいぶん変はつてきたのを感じるのです。そしてその空気を吸いながら、私自身の変化も感じる。私が感じるくらゐだから、よほどの変化だら...
神は何でも「受け入れる」。存在するものを神が受け入れないはずはない。拒否するというのは、その存在を否定することだ。 (『神との対話』ニール・ドナルド・ウォルシュ) 存在するものは、どんなものでもすべて受け入れる。それが神の性稟のやうです。本当でせうか。 存在するものを受け入れることを「肯定」、受け入れないことを「否定」とすれば、我々の態度にはどんな場合も「肯定」か「否定」かの二択しか...
およそ2年ぶりくらゐで訪ねてみると、男の子はずいぶん成長したやうな声に変はつてゐた。Youtubeのチャンネル「神様が見える子供たち」です。 神様から聞いた話だと言ふ彼の話がとても興味深い。 「人間関係なんていらない。友だちなんていらない」 と言ふのです。 しかも、 「無理して友だちを作らなくてもいゝ」 といふやうな話ではなく、 「友だちはないほうがいゝ」 と言ふのです。 本当に神様の話だらうか。少なくとも、...
昨秋から母の介護を動画にしてYoutubeにアップしてゐるのですが、先日、動画のひとつにかういふコメントがつきました。 こういうのやめてくれないかしら? 世界では虐待とよびます。 「虐待」といふ言葉を見た瞬間、ドキリとしました。 「私が一体いつ、どんなふうに、てつこさんを虐待したのだらうか?」 と、不意を突かれたやうな気がしたのです。 動画は、「ぐるぐる動き回る...
先日、知り合ひの婦人と話してゐると、娘が妊娠中だといふ。 「初孫になりますか。無事に生まれるといゝですね」 と言ふと、その婦人は少し眉を曇らせて、 「つわりがひどくて、仕事も休んで、今家に帰つてきてるんですが、すごく甘えるんです」 と言ふ。 体がしんどいから、背中をさすつてほしいとか、あれしてほしい、これほしいと、しきりにねだつてくる。 「つわりは大変でせうから、それくらゐしてあげたらいゝぢやないで...
本当にうまく質問することができたら、もう答えは要らないのですよ。僕は本当にそうだと思う。ベルグソンもそう言っていますね。僕ら人間の分際で、この難しい人生に向かって、答えを出すこと、解決を与えることはおそらくできない。ただ、正しく訊くことはできる。 (『学生との対話』小林秀雄) 昭和49年(1974年)に、小林は鹿児島で学生相手の講義を行なひ、そのあとの質疑応答で、冒頭のやうな答へをしてゐま...
河合隼雄の『とりかへばや、男と女』。タイトルの「とりかへばや」は平安朝に書かれたとされる物語『とりかえばや』に由来してゐます。 権大納言に息子と娘があつた。ところが息子は控えめで優しく、女の子の遊びを好み、娘は反対に、大胆で、男の子のやうに振る舞ふ。父はそのうち変はるだらうと思つてゐたが、ふたりの振る舞ひは変はらない。仕方なく、娘は男として、息子は女として育てると決意するのです。 物語のテーマとし...
LGBTQに関する法案をG7サミット前に国会に提出するかどうかで、自民党内が紛糾してゐる様子を見ながら、改めてこの問題に意識が向きます。 世間では、 「LGBTQの人々を差別するな」 といふ論調や 「この法案を通せば、社会が却つて混乱する」 などといふ論調がほとんどのやうに見受けられます。 それも確かに問題ではあるけれど、私としてはもう少し基本的なところ、つまり、 「なぜ、LGBTQといふやうな人々が存在するのか」 と...
我々の中には「良心」があります。そして、この「良心」は「私だけの第二の神」であるといふ。 現在、世界に80億の人々が生きてゐるなら、80億の「良心」があるといふことであり、それはつまり80億の「第二の神」がゐるといふことにもなります。日本では「八百万の神」と言ひますが、その100倍の神がおられるとは、驚くべき多神教です。 さらに考へてみると、神は宇宙のどこにも存在する遍在神でもあるといふ神観もあります。そ...
村上春樹の小説『アフターダーク』の中で、男が女にこんな話を教へる場面がある。男は「ハワイに伝はる神話だ」と言ひますが、実際は村上の創作のやうです。 3人の若い兄弟が漁に出て嵐にあひ、流されて、島に漂着する。美しい島で、真ん中に高い山が聳えてゐる。 漂着した夜、3人が同じ夢を見て、神様のお告げを聞く。 「少し離れた海岸に3つの大きな岩がある。それを転がして、好きなところへ行き...
「自我とは、考へる生き物である」 さう言つてもいゝほどに、自我は朝から晩まで考へ続けてゐます。 「自我」とは、ふつうに「私」と思つてゐる意識です。その「私」がどうしてそんなに考へ続けてゐるかと言へば、「私」を守るためだと思ふ。 「私」がちやんと生きていくためには、「私」を環境に適応させなくてはいけない。どうやつて食料を過不足なく確保するか。それは今だけでなく、将来にわたつても考へなくてはいけない。...
「分からう、としない。分かつたと思つた瞬間、神との関係が断たれる」 といふことについて、考へてみようと思ひます。 例へば、今私が隣人との人間関係の問題を抱えてゐたとします。 細かな問題でよくぶつかり、その都度ひどく文句を言はれる。どうしてこんなに性に合はない人が目の前に現れてくるのか。どうしたらその悩みを解決できるのか。それを私は知らうとするでせう。知つて、対処してこそ、その問題から脱却できると思...
インターネットで偶々出会つた動画。わづか5分あまりの短いものですが、その間、づつとバイクで走り続けてゐます。 若い男性が運転し、女性が後ろに座って、必死に男性にしがみついてゐます。そのバイクを後ろからづつと追ひかけてゐるのは、多分白バイでせう。動画はその白バイから撮つてゐます。 どんな悪事を働いたのかは分かりませんが、とにかく白バイに捕まらないやうに、凄いスピードで逃げ続ける。かなり巧みなハンドル...