南蔵院「しばられ地蔵」『大岡政談』
ウォーキングコースである水元公園の近くにある「業平山南蔵院」は、『伊勢物語』で知られる平安時代の歌人、在原業平ゆかりの寺院。ここの境内にある「しばられ地蔵」は、荒縄で地蔵を縛ることで願いをかなえてもらうという珍しい信仰。その由来とされるのが、江戸・享保時代の南町奉行・大岡越前守忠相の裁きを描いた説話集『大岡政談』に収められた「縛られ地蔵」の話だ。日本橋の呉服商の手代が荷車に反物を積んで南蔵院の前で休んでいたが、うっかりそのまま居眠りをしてしまった。起きると荷車ごと反物が盗まれていた。奉行所に訴え出ると、町奉行・大岡越前は「門前にいながら、盗人の所業を一部始終見ていただけの地蔵も同罪である。引っ立てよ」と命じる。そして地蔵は縄を掛けられて市中引き回しの上、南町奉行所に連れてこられた。あまりにも不思議な裁きで...南蔵院「しばられ地蔵」『大岡政談』
2024/08/26 22:26