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  • Ninaのイタズラ③

    パタヤ滞在5日目 朝の光がカーテンの隙間から差し込み、静かに部屋を照らしていた。ベッドの上で目を覚ましながら、僕は今日がパタヤ最終日であることを思い出した。数日間の滞在の中でNinaと過ごした時間が、心に深く刻まれていた。 Ninaと昨夜遅くまで一緒に起きていたせいか、体はまだ少し重い。けれど、最後の日だからこそ彼女にちゃんと別れを伝えたかった。 支度を整え、荷物をスーツケースに詰めながらも、心のどこかで現実を受け入れたくない気持ちがあった。携帯を手に取り、Ninaにメッセージを送る。 「おはよう。今から朝ごはん食べに行かない?」 しばらくして、彼女からの返信が届いた。 「うん!いいわよ、カフ…

  • インジュと星の国③

    旅の終わりと新たな約束 2泊3日のシンガポール滞在は、まるで夢のように過ぎ去った。朝から観光地を巡り、夜はバーやホテルの部屋で語り合いながら、2人だけの時間を楽しんだ。短いながらも濃密な時間を共有した僕とインジュは、空港の出発ゲートの前で別れの時を迎えていた。 「また、こんな旅がしたいね。」 インジュが小さな声で言いながら、そっと僕の手を握った。その手のぬくもりが、今までの思い出とともに胸に染み込む。 「うん、次はどこに行こうか。」 僕は彼女の瞳を見つめながら応えた。 「まずは今年またタイに来てよ、私と一緒にパタヤに行こうよ。」 インジュの微笑みが、名残惜しさを少しだけ和らげてくれた。僕たちは…

  • インジュと星の国②

    アラブストリートでの香水探し ">シンガポールの朝は湿り気を帯びた温暖な空気に包まれていた。ホテルのレストランで朝食を楽しんだ僕たちは、コーヒーの香りを残しながらロビーを後にし、タクシーに乗り込んだ。目的地はアラブストリート。シンガポールの中心地から少し離れたこのエリアは、異国情緒に満ちた独特の雰囲気を持ち、観光客にも人気のスポットだ。 タクシーが街の喧騒を抜け、カラフルな建物が並ぶアラブストリートへと入ると、車窓から見える景色が一変した。黄金色に輝くモスクのドーム、アーケードに連なる雑貨店、装飾が美しいカフェやレストラン——まるでシンガポールから別の国に移動したかのようだった。 「ここ、本当…

  • インジュと星の国①

    チャンギ国際空港の再会 シンガポールのチャンギ国際空港は世界で一番の空港であると誰かが言っていた。本当かどうかは知らないが、来てみるとわかるが大きさもそうだがたくさんあるお店や施設が非常に機能的に分類されており他の空港ではなかなか感じられない町中の様な活気がある。到着ロビーで、僕はスマホを見ながらインジュの到着を待っていた。飛行機は定刻通りにバンコクを出発したはずだ。タイ時間とシンガポール時間の時差は1時間、フライトの時間は2時間ほどしかないが、インジュと会うことが待ち遠しい僕にはそれ以上に長い時に感じた。 人々がゲートから次々と出てくる中、見慣れた人を見つけた。シンプルな白いワンピースに、軽…

  • シャムの踊り子④

    オーストラリアのパースに4日間滞在し、バンコクに今日戻ってきた。 スワンナプーム空港に着くと入国審査を行い、到着ロビーへ歩いて向かう。 通常はここからバスか電車、タクシーを使ってバンコクの市内に向かうところだが 今回はお迎えが来ている。 「アイスッ!」 笑顔でこちらに手をふるアイスを見つけ、僕は思わず走って駆け寄る。 たまたまお店の休みの日とバンコクへの帰国が重なり、帰国する日をアイスに伝えたところ迎えに来てくれるというので甘えたのだ。 アイス:「สวัสดีค่ะ」「お帰りなさい。長旅お疲れ様でした、パースは涼しかったですか?」 僕:「ただいま。パースも場所によっては暑かったけどバンコクには…

  • シャムの踊り子③

    アイスと一緒にバーを出ると、バンコクの熱気と湿った空気が肌にまとわりついた。ネオンの光が街を彩り、通りには観光客や地元の人々が行き交っている。アイスは僕の隣を歩きながら、時折こちらを見上げて微笑んだ。 「次、どこに行く?」 彼女は楽しそうに尋ねる。まだ時間は早い。もう少し話をしたかった。 「どこか静かに飲めるバーはある?」 アイスは少し考え、 「うん、いいところがあるよ。」と答えた。 彼女が案内してくれたのは、ネオンの喧騒から少し離れた落ち着いたバーだった。店内は薄暗く、ジャズが流れている。人の姿は少なく、ファランの老人たちが静かにグラスを傾けていた。 カウンターに並んで座ると、バーテンダーが…

  • シャムの踊り子②

    前日談-アイスとの出会い- "> ">バンコクの喧騒の中でも、特に賑やかなエリアにあるバービア街。観光客と地元の人々が入り混じり、ネオンが輝き、グラスがぶつかる音が響く。そこを僕は一人で歩いていた。バンコクに一人で来るのはこれが初めてだ。 "> ">以前来た際には友人と2人できて色々バンコクの街を案内してもらったが、その友人は今回はいない。あてもなく繁華街をさまよううちにこのバービア街へと辿り着いた。 長旅の疲れを癒すため、バーに入り冷えたビールを片手に店内を見回していたときだった。ステージの上で踊る女性たちの中に、一際目を引く存在がいた。しなやかな動きと無邪気な笑顔。その笑顔がふと消え、視線…

  • 2日目のインジュ④

    パタヤでの4日間を終え、バンコクに戻る道中僕の頭はあるメッセージでいっぱいだった。 「ハッピーバレンタイン、あなたは明日私に会いにきますか?」 送信者はインジュ。彼女はバンコクのバーで働くタイ人の女の子だ。 「Maybe…」とだけ返信したが、実際にはパタヤで彼女へのお土産を買い、会う準備を整えていた。しかし、その小さな駆け引きがインジュの感情を揺さぶったのか、彼女から怒涛のメッセージと写真が送られてきた。 降参して「実は会いに行く気でお土産も準備してるよ。」と伝えると、インジュは満足そうに「待ってるね。」とだけメッセージを送ってきた。 バンコクに戻ると、ホテルにチェックインし、夜に備えて睡眠を…

  • Ninaとイタズラ②

    パタヤ滞在4日目 朝から仕事に追われ、パソコンと向き合い続けていた。タイの強い日差しが窓から差し込み、エアコンの効いた部屋でもじんわりと汗をかく。昼を過ぎてもメールの返信や資料作成に追われ、気づけば夕方になっていた。 ふと、スマートフォンを見るとNinaからLINEが届いていた。 「今日は忙しい?夜、どこかに遊びに行かない?」 昨夜のディナーの余韻がまだ残っている。彼女とは話していて気を使うこともなく、心地よい時間を過ごせることが分かっていた。 「いいね、どこに行く?」 「ナイトクラブ!パタヤに来たなら、一度は行かなきゃ!」 クラブか……バンコクで仕事仲間と行ったことはあるが、パタヤのナイトラ…

  • Ninaとイタズラ①

    パタヤ滞在1日目 タイの熱気が私の肌を包み込む。バンコクでの仕事を終え、パタヤに到着した私は、ホテルにチェックインを済ませ、1日目の仕事を無事に終えていた。街をぶらつきながら、バンコクとは全く異なる雰囲気に心が和んでいく。 パタヤは、バンコクとは対照的な場所だった。確かに中心部は賑やかで活気に満ちているものの、一歩その外に出れば、のどかなタイの田舎町の風情が広がっている。ビーチに面した街並みは、東南アジアならではの素朴な魅力に溢れていた。バンコクで日常的に経験した激しい渋滞も、ここパタヤでは中心部に限られており、ソンテウと呼ばれる乗り合いトラックを利用すれば、快適に街中を移動することができた。…

  • 2日目のインジュ③

    4日目のインジュ バンコク最後の夜 連日の寝不足と慣れない環境での仕事により、体がガチガチに固まっていた。 そろそろタイマッサージを受けたいと思っていた矢先、スマホの通知が鳴った。 「なぜタイにいるのに私に会いに来ないの?」 以前通っていたマッサージ店の女性から怒りのLINEだった。そういえば、彼女とはインスタを交換していた。 おそらく、そこで僕がタイにいることを知ったのだろう。 ちょうど良いタイミングだ。彼女の機嫌を取りつつ、マッサージを受けるために仕事帰りに店に向かうことにした。 その日の夕方、インジュからもメッセージが届いた。 「何時に来れそう?」 「たぶん11時くらいになるよ。」 「わ…

  • 2日目のインジュ②

    3日目のインジュ 午後9時。 仕事を終え、スマホを確認するとインジュからのメッセージが届いていた。 「今日の私はエクステを外してショートカットです。」 シンプルな一文だったが、何か挑発的なものを感じる。 思い返せば、昨夜の会話の中で、彼女に「長い髪と短い髪、どちらが好き?」と聞かれた。彼女が長い髪をしている以上、模範解答は「長髪」と答えるべきだったのだろう。しかし、僕は正直に話すこともできず、「長い髪も短い髪も好きだよ」と50%ほどの嘘を混ぜて答えた。 彼女はその後、実はエクステで本当は髪が短いことを打ち明けてくれたが、まさか今日、それを外してくるとは思わなかった。 好奇心が刺激された。 昨日…

  • 2日目のインジュ①

    2日目のインジュ バンコクの夜がゆっくりと更けていく。 再びこの街に戻ってきたのは、去年の失敗がまだ自分の中で整理しきれていなかったからだ。日本時間の午後6時、オンラインでの仕事を終えたが、ここタイではまだ午後4時。時差のズレが、まるで自分の心の状態を映し出しているかのように、どこか違和感を伴っている。 ホテルの部屋を軽く片付けた後、外に出て近くの屋台でスイカスムージーを買った。カップを両手で包み込みながら、ストロー越しに甘くて冷たい果汁を口に含む。冷たさが喉を滑り落ちるたびに、少しずつ頭がぼーっとしていく。 目の前の通りを行き交う人々を眺める。欧米人のバックパッカー、スーツ姿のタイ人ビジネス…

  • シャムの踊り子①

    シャムの踊り子① ショーが始まる。 今まで踊っていたダンサーたちが降壇し、6人の新たな踊り子が黒い衣装を身に纏いスタンバイした。 6本あるポールの内、アイスは僕から見て右前のポールに立っている。先程まで見せていた無邪気で明るい笑顔とは違い、どこかこちらを挑発的に窺う様なそんな顔だ。 そして世界的に有名な洋楽をダンスミュージックアレンジにしたものが流される。 踊り子はそれぞれ目の前の客と、意中の客に目線を向けてポールを回り踊る。 ふとすると他の踊り子が視線に被さってくるがアイスのしなやかな踊りだけに集中する。 隣の席で2人の女性を侍らせた老人が何かを叫びつつ盛り上がっている。 他の席でもそれぞれ…

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