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よも 言葉のアトリエ http://apismos.blog.fc2.com/

言葉で描くみえないこころ。 縦横高さ、時間軸、いつか 見えてくるでしょうか? 拙いながらの一綴り、ジャンルは絵のように…詩や小説の創作物を載せています。 どうぞお気軽にお立ち寄りください。

上遠野世方
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2020/06/20

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  • 月輪奇譚 ― 四、終末にむけて

    その時刻、ベンダー湖の東岸に一台のセダンが止まった。湖の北側には夕日を浴びた森が続き、南側の街道沿いに街が続いている。ミルズ校は湖の反対側、岸から五百メートルほど行ったところにあった。「なあベティ。これからどうする?ドライブが終わってもうしまいか?食事でもしないか?モーテルの脇にダイナーがあるだろう。あそこのイタリア料理は絶品だ!そしてさ…」「そして何?モーテルでわたしのフルコースでもいただく?」...

  • 月輪奇譚 ― 三、柄杓に続く廊下

    金属は錆びるが、木造は朽ちていく。時代と無数の虫に喰い荒らされていく。まるで腐敗臭を放って腐っていくようにも見える。本当であれば木は死んでも生きている。地中で炭鉱にもなるし、壁も柱も呼吸している。人間のように老いると愚痴も言うし、老骨を鞭打って悲鳴も上げる。昔気質の祖父はよく言っていた。そんな悲鳴が上がる階段を暗い方へ暗い方へと下っていた。懺悔室にはいかないのか?と訊くと、まずは石膏像がしまい込...

  • 月輪奇譚 - 校舎の記憶

    《…過ぎ去る夏の足音が、ときにタップのように踊りだした後、そろりと忍び寄る猫のような毛並みと共に秋は忍び寄り、秋と共に見たこともない妖艶な女性の教師が赴任してきた。妖艶とはなんだろうといつも考えたが、よくわからない。そのわからないあたりが妖艶なのだ。以前悪童で名が知れ渡っていたリザリーが親父の「playboy」を持ってきたことがあったが、女性たちは妖艶とは似ても似つかないもので、もちろん自分にとってはだが...

  • 月輪奇譚 ― 一、オールド・ミルズ校の亡霊

    オールド・ミルズ校は百年の歴史を壁や柱や床に、あるいはその外観を見ただけでも古き良き時代のモダンさを骨董色の肌に染み込ませ、開拓者たちの息吹き、その気骨を受け継ぎ、柱一本一本に鞭打って今日も町の外れに建っていた。しかし、そう思えるのは良き学生時代を過ごした者の贔屓といってもいい。制度に翻弄され、差別と懲罰の地雷に触れた者、あるいは、教師の行使する権力の独裁とに踏みにじられた者からすれば、特に後者...

  • 雪明り

    雪明かり 冬の日暮れの 路地便り 冷たき風の 耳裏の音空高く 成層の青 開け見る いつかのわたしの 無心の空を空気裂く バイクの爆音 受け止めて 夜へと返す 雪壁の道...

  • 貿易風が走っていった

    くわえ煙草のアンニュイな朝はどっちもこっちも にっちもさっちも沈んだ気分は深海魚今日という日はすでにあった過去のようで経験し終えた情報のようで通信手段の量子化は経済活動をしり目に新たな神を見せている猥雑さは想像力の翼を萎えさせるそして経済活動は貧弱な幸福感を餌にして一生の大半を牛耳っているそんな世界に馴れ合うこともできず自己満足と倫理が混合し合った善の押し売りに辟易し言葉の端々にぶら下がる自己責任...

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