searchカテゴリー選択
chevron_left

カテゴリーを選択しなおす

カテゴリーのご意見・ご要望はこちら
cancel
プロフィール
PROFILE

本猿さんのプロフィール

住所
未設定
出身
未設定

自由文未設定

ブログタイトル
書に耽る猿たち
ブログURL
https://honzaru.hatenablog.com/
ブログ紹介文
本と猿をこよなく愛する。本を読んでいる時間が一番happy。読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる色々な話をしていきます。世に、書に耽る猿が増えますように。
更新頻度(1年)

131回 / 289日(平均3.2回/週)

ブログ村参加:2020/02/09

本日のランキング(IN)
読者になる

新機能の「ブログリーダー」を活用して、本猿さんの読者になりませんか?

ハンドル名
本猿さん
ブログタイトル
書に耽る猿たち
更新頻度
131回 / 289日(平均3.2回/週)
読者になる
書に耽る猿たち

本猿さんの新着記事

1件〜30件

  • 『マーティン・ドレスラーの夢』スティーヴン・ミルハウザー/夢を追い続ける人は満足することがない

    「マーティン・ドレスラーの夢』スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸/訳 ★ 白水Uブックス 2020.11.23読了 今年の夏にスティーヴン・ミルハウザーさんの『エドウィン・マルハウス』を読んで、その独特な世界観に圧倒された。次は柴田元幸さん訳の作品を読もうと思い、ピュリッツアー賞を受賞した本作品を読むことにした。アメリカで権威のある文学賞を受賞し彼を代表する作品であることがうなずける、素晴らしい小説だった。 honzaru.hatenablog.com アメリカン・ドリームを扱っていることから、『グレート・ギャツビー』を連想する人も多いだろう。まさしくアメリカ人が好きそうな、立身出世を夢見る…

  • 『夏の災厄』篠田節子/感染症の小説は今は重い/祝・全米図書賞受賞の柳美里さん

    『夏の災厄』篠田節子 角川文庫 2020.11.21読了 日本脳炎は、1920年代に岡山県で死者が多数発生したことからその名が付けられた。日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されて発症する感染症である。今はあまり聞かないが、それでも年に10人程度は感染者が存在する。 埼玉県のある地域でこの日本脳炎に似た症例が多く発生する。しかし、日本脳炎とは異なる「光を眩しく感じる」「香水のような匂いを感じる」症状を患者は訴える。これは別のウイルスなのか?疑いを持つ保健センターの職員、看護師、診療所の医師たち。 こういった感染症を取り上げた作品を読んでいつも思うのが、患者やその家族、保健所や病院で働く方、マスコミ…

  • 『孔丘』宮城谷昌光/教えることは学ぶこと

    『孔丘』宮城谷昌光 文藝春秋 2020.11.18読了 春秋時代の中国の思想家であり、儒教の始祖とされる孔子。孔子による思想がのちに弟子たちによって『論語』にまとめられた。この本で「孔子」ではなく「孔丘」となっているのは、著者の宮城谷さんが人間である彼自身のことを書きたかったからだという。孔家の丘、「丘」というのは名前だったようだ。確かに孔子と聞くと、神様のような、聖人君子のような、簡単に触れてはいけない神格化されたもののように思える。 孔子、孟子は、授業で習った程度でしっかり学んだことがない。「論語」も読み通していない。ちなみに、プロ野球日本ハムの栗山監督(なんと来年で監督10年目というから…

  • 『キャロル』パトリシア・ハイスミス/頭の中は愛する人でいっぱい

    『キャロル』パトリシア・ハイスミス 柿沼瑛子/訳 河出文庫 2020.11.16読了 先日読んだ『太陽がいっぱい』で、リプリー作品には続きがあると知り読もうとしていたのだが、先にこの『キャロル』を読んだ。当時この小説はパトリシアさん名義ではなく、クレア・モーガンという別名義で出された。 honzaru.hatenablog.com 今でこそ同性同士の恋愛は特別なことではないし、映画や本などいたるところに溢れている。現実にもたくさんいて、国によっては婚姻も認められている。少しづつ理解が広まっている。ジェンダーレスな未来に幸あれ。でもこの小説の舞台は50年以上前で、当事者は今以上にかなり肩身の狭い…

  • 『野球盲導犬チビの告白』井上ひさし/野球アニメを観ているかのよう

    『野球盲導犬チビの告白』井上ひさし 実業之日本社文庫 2020.11.14読了 身体に障害を抱えている人でも競技ができ、かつメダルを競えるという素晴らしいスポーツのイベント、パラリンピック。オリンピックの直後に開催される世界大会である。もちろん、障害をもつ方だけで行う競技や大会は他にも多くある。この小説では、なんと盲目の田中一郎が、プロ野球チームに混ざりプレーをして一大選手となる。 それだけではない。その一郎の目となり、グラウンドで助けるのが盲導犬チビだ。「野球盲導犬」というあたかも存在するような名前がついているが、もちろん架空の言葉だ。このチビが、一郎と日本の野球界について犬目線で語るストー…

  • 『非色』有吉佐和子/結局どこでも差別は起こる

    『非色(ひしょく)』有吉佐和子 河出文庫 2020.11.12読了 この作品のことは知らなかった。というのも、長らく重版未定状態にあったからだ。使われている言葉に、差別と捉えかねない表現が多くあるのだ。巻末に有吉さんのお嬢様のよせがきがあるが、戸惑いながらも、この本の意義を編集者に熱く語られて、今回の復刊を了承したという。 私は読んだ後、この小説は世に出すべきだと強く思った。確かに「ニグロ」「黒んぼ」など、今ではNGである差別用語が多く飛び交っている。しかし、日本人である笑子(えみこ)を通して語られるありのままの差別問題は、私たち日本人が読むことに大変意義があると思う。 差別用語が飛び交ってい…

  • 『千の扉』柴崎友香/無機質な数多の引き出しの中に無数の生き方がある

    『千の扉』柴崎友香 中公文庫 2020.11.10読了 東京の古い団地に引っ越してきた千歳と夫の一俊。その部屋は元々一俊の祖父が住んでいた部屋で、療養中のため戻るまで夫婦で住んで欲しいと言う。千歳は祖父から、団地内のある人物を探して欲しいとこっそりと頼まれる。人探しという点ではミステリだが、その他は特別なことは起こらない。日常の出来事が過去と交差し、団地に関わりがある人の視点で淡々と語られる。 このような団地は全国の至るところにある。古い団地はおそらくバブル期に建てられたものが多く、建設当時は人気があり抽選倍率も高かった。今もなお残っている団地には、お年寄りが1人で住んでいたり、世代交代したり…

  • 『素数たちの孤独』パオロ・ジョルダーノ/生きることが得意でない者たち

    『素数たちの孤独』パオロ・ジョルダーノ 飯田亮介/訳 ★★ ハヤカワepi文庫 2020.11.8読了 ヨーロッパでは再びロックダウンが始まり、日本でも、ここ最近の感染者数の増加に不安が高まる新型コロナウィルスの蔓延。今年の初めに流行の兆しが見え始めてから、感染症に関する過去の小説がよく売れている。国内では小松右京さんの『復活の日』が良い例だ。私は、カミュ氏の『ペスト』、マンゾーニ氏の『いいなづけ』を読んだ。 honzaru.hatenablog.com honzaru.hatenablog.com 過去の作品よりも、現在進行形で新型コロナを書いたエッセイ・ノンフィクションとしては、今は方方さ…

  • 『日日是好日 ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせー』森下典子/日々の気付きを大切に

    『日日是好日(にちにちこれこうじつ) ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせー』 森下典子 新潮文庫 2020.11.6読了 朝日新聞が、本のための情報サイトとして「好書好日(こうしょこうじつ)」を運営している。たまに見ることがあるのだが、「好日」繋がりで思い出した。「日日是好日」とは、禅の言葉で「毎日毎日が素晴らしい」というのが文字通りの意味である。 黒木華さん、樹木希林さん主演の同名映画『日日是好日』がたまたまWOWOWで放送されていた時、ラスト30分程を観たのだが、なんとも心地良い作品だと感じた。日常の生活と情景がただゆるりと流れているだけなのに、空気感が美しく感じたのだ。演じている女優…

  • 『信長の原理』垣根涼介/法則にとらわれ続ける

    『信長の原理』上下 垣根涼介 角川文庫 2020.11.5読了 垣根さんの小説は、文学賞三冠に輝いた『ワイルド・ソウル』しか読んだことがない。それもかなり前で、おもしろかった記憶はあるものの内容はほとんど憶えていない。最近の垣根さんは歴史小説を書くことが多く評判も良さそうなので、読もう読もうと思っていた。 この作品は歴史小説第3弾だという。はてなブログで読者になっているダディ・ブラウン (id:pto6) さんとくー (id:ap14jt56) さんがほぼ同じタイミングでこの本を紹介されていて、気になっていた。やはり評判に違わずノンストップに楽しく読めた。信長の最期、本能寺の変まで。 戦国時代…

  • 『女の家』日影丈吉/女中のための家

    『女の家』日影丈吉 中公文庫 2020.11.3読了 日影丈吉さんという小説家のことは、名前も作品も知らなかった。1991年に既に亡くなられた方であるが、泉鏡花文学賞を始めいくつかの文学賞を受賞したようだ。 銀座のとある家で折竹幸枝(おりたけゆきえ)がガス中毒死した。老刑事小柴と女中の1人乃婦(のぶ)が、交互に独白をするような構成である。これは純文学なのか、ミステリなのか。自殺か他殺かをめぐり小柴は推理し、乃婦は淡々と過去を語るが、これは純文学だと私は思う。 ある社長の2号という立場である幸枝の家には、女中3人、子供1人、子供の家庭教師1人の6人が、社長の保護を受け暮らしていた。「どうしてこの…

  • 『パチンコ』ミン・ジン・リー/誰もが産まれる国を選べない

    『パチンコ』上下 ミン・ジン・リー 池田真紀子/訳 ★★ 文藝春秋 2020.10.30読了 まるでペルシャ絨毯を思わせるような装幀、色使いは花札のようだ。書店で見かけた時に表紙に一目惚れしたのだが、よく見ると全米図書賞最終候補、オバマ前大統領推薦とある。そして在日コリアン4代にわたる年代記なんて、好み過ぎる! どうしてタイトルが「パチンコ」なんだろうと不思議に思いながら読み始める。と、タイトルを忘れてしまいそうなほど、なかなかパチンコは出てこない。上巻には確か一回だけさりげなくパチンコという単語が出てきただけ。タイトルの意味がわかるのは、後半から。 これが、めちゃめちゃおもしろい作品だった。…

  • 『家霊』岡本かの子/粋のいい短編たち、280円文庫

    『家霊(かれい)』岡本かの子 ハルキ文庫 2020.10.26読了 岡本かの子さんの作品を読むのは初めてだ。芸術家岡本太郎さんの母親である岡本かの子さんは、壮絶な人生を歩んだ。瀬戸内寂聴さんの『かの子繚乱』を読んだことが彼女を知ったきっかけだ。熱を帯びたかの子さんは一体どんな作品を生み出したのかと興味を持った。 honzaru.hatenablog.com この本には表題作『家霊』の他に、『老妓抄』『鮨』『娘』の合わせて4作が収められている。中でも『鮨』の余韻がとても良い。鮨と聞くとどうしても志賀直哉さんの『小僧の神様』が思い浮かぶ。もちろん話は違うのだけれど、鮨屋のカウンター、職人の握りとい…

  • 『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド/かつて黒人奴隷が生き延びるために

    『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド 谷崎由依/訳 ハヤカワepi文庫 2020.10.25読了 この本、単行本刊行当時からずっと気になっていた。長らく買おうか迷っていたのだが、今月の文庫本新刊コーナーに平積みされていて迷わずゲット。最近、文庫になるのが目覚ましく早く感じる。とは言え、出版業界の流れとして変化があるわけではなく、早く感じるのは自分自身が感じる時の感覚のせいだろう。 祖母の代から綿花農園の奴隷であったという少女コーラ。同じく奴隷である青年シーザーから「一緒に逃げないか」と声をかけられて逃亡する。地下を走る鉄道に乗り、逃亡劇が始まる。悪いことをしているわけではないのに、逃げなくては…

  • 『ぐるぐる♡博物館』三浦しをん/行きたい、会いたい博物館

    『ぐるぐる♡博物館』三浦しをん 実業の日本社文庫 2020.10.22読了 ちょっとエッセイでも読んで休憩。小説が好きだからどうにも偏りがちだが、なるべく10冊に1冊は小説以外を読むようにしている。しかし振り返るとここ最近は小説が連続していたから、少し読むという行為に対して疲れ気味だったのかなぁと。 この本は、三浦しをんさんが博物館を実際に訪れてまとめたルポエッセイだ。博物館!たしかにわくわくする!私は美術館には結構行くのだが、博物館はそんなに行く機会がない。けれどもちろん大好きな場所である。 博物館といって私が真っ先に思いつくのは、ニューヨークにある「アメリカ自然史博物館」だ。興奮の嵐!映画…

  • 『郷愁』ヘルマン・ヘッセ/青春とお酒、そして本を読む時の気の持ちよう

    『郷愁』ヘルマン・ヘッセ 高橋健二/訳 新潮文庫 2020.10.21読了 ヘルマン・ヘッセさんの処女作であり出世作でもある『郷愁』、原題は『ペーター・カーメンチント』で主人公の名前である。いつも通り新潮文庫の表紙は野田あいさんのイラストで、なんとも言えぬ哀愁を帯びており、色合いも素敵だ。 故郷やかつて過ぎ去った青春を懐かしむとともに、自然の美しさと儚さ、そして人間の孤独を丁寧に描いた作品だ。これがヘッセ氏27歳の時の作品とは信じがたい。むしろ、晩年の作品と聞いても納得出来るだろう。いくつか読んだヘッセ作品に比べて、抽象的であり少し難解な印象を受けるためにそう思うのかもしれない。 母親が亡くな…

  • 『風よあらしよ』村山由佳/怒涛の人生、道を自ら切り開く

    『風よあらしよ』村山由佳 ★ 集英社 2020.10.19読了 婦人解放運動家、アナキストである伊藤野枝(のえ)さんを描いた評伝小説である。少し前に、瀬戸内寂聴さんの『かの子繚乱』を読み、寂聴さんが書く他の評伝も読みたいと思っていた。伊藤野枝さんの生涯を書いた『美は乱調なり』を探そうと思っていた矢先に、この村上由佳さんの新刊が書店に並んでいた。 honzaru.hatenablog.com これがなんと伊藤野枝さんの評伝小説なのだ。村山由佳さんといえば、恋愛ものというイメージだったけれど、こういう評伝も書くんだな〜。単行本、分厚いけれど、読み易そうだし読んでみるか。 いや、おもしろかった!伊藤…

  • 『ナイルに死す』アガサ・クリスティー/文章を疑ってかかる

    『ナイルに死す』アガサ・クリスティー 黒原敏行/訳 ハヤカワ文庫 2020.10.15読了 近すぎる。近いうち過ぎる。何がって、『オリエント急行の殺人』を読んでまだ数日しか経っていないのだ。アガサ作品をまた近いうちに読もうとは思っていたけれど、3日後に手を伸ばすとは。 honzaru.hatenablog.com そもそも彼女の作品は『オリエント急行の殺人』『そして誰もいなくなった』『ABC殺人事件』という超超有名どころしか読んだことがないはず。100冊近い数のアガサ作品で人気ベスト10には入る本作品は、ポアロシリーズの15作目で長編だ。新訳で出たばかりのようだが、文庫で1,260円はちょっと…

  • 『獣の戯れ』三島由紀夫/フィルター越しに見る三角関係

    『獣の戯れ』三島由紀夫 新潮文庫 2020.10.13読了 当時は新潮社の雑誌に連載されたようだが、三島さんの書き下ろし小説として5作目の中編小説である。タイトルから想像するに、色香漂う官能的な作品かと思っていたがそういうわけでもなかった。しかし言葉と文体から立ち昇るものには艶めかしいものがある。 フィルター越しに彼らを覗いているような、そんな作品だ。学生の幸二、人妻の優子、その夫逸平の不思議な三角関係。登場人物の誰にも共感出来ず、とはいえ憎いわけでもなく、ただただ遠目に眺めているような感じだ。だから、何が起きようと驚かない。三島作品にはあまりない不思議な読後感だ。 何がいつもの三島さんの小説…

  • 『赤毛のアン』モンゴメリ/「想像の余地」を活かそう

    『赤毛のアン』L・M・モンゴメリ 松本侑子/訳 文春文庫 2020.10.12読了 これもまた、遥か昔小学生の時に読んだ本だ。アニメでも観たような。少女の成長物語だったと覚えているけど、中身はすっかり忘れている。いまNHKで「アンという名の少女」という『赤毛のアン』が原作のドラマが放映されていて、それがなかなか面白いらしく、つられて早速本で読みたくなった。 新潮文庫の村岡花子さんの訳が有名だけれど、この松本侑子さんが訳した本作は比較的新しく、そして日本で初めての全文訳になるようだ。『レ・ミゼラブル』でも思ったけど、やっぱり全文訳を読まないと私は気が済まない。 アンは愛らしく素直で明るい女の子だ…

  • 『オリエント急行の殺人』アガサ・クリスティー/色褪せない名作を味わう

    『オリエント急行の殺人』アガサ・クリスティー 山本やよい/訳 ハヤカワ文庫 2020.10.11読了 英国ミステリの女王、アガサ・クリスティーさんの超超有名な本作を再読した。小説で読むのはかれこれ子供の頃以来かもしれない。映画にもなり日本でも野村萬斎さん主演でドラマになったりと、世界中でこのタイトルを知らない人はいないのではないだろうか。 作品が有名なため、子供の頃は勝手に「オリエント急行」はこの作品ために著者が作り上げた列車かと思っていたが、本当に実在している。作中でのオリエント急行は、イスタンブルからカレー(フランス)の豪華寝台列車である。こんな電車、いつか乗ってみたい! この早川書房のク…

  • 『星の子』今村夏子/読んでいてずっと苦しい

    『星の子』今村夏子 ★ 朝日文庫 2020.10.9読了 人気番組「アメトーーク!」の「読書芸人」で、芸人であり作家でもある又吉直樹さんが一推ししていたのが今村夏子さんの『こちらあみ子』だ。その後『むらさきのスカートの女』で芥川賞を受賞した時には、やはり作家が才能を認めた人は本物なんだなぁと感じていた。 今まで今村さんの作品は読んだことがなかったのだが、ちょうど今月から芦田愛菜ちゃん主演『星の子』が映画化されるそうで、書店に平積みされていた。愛菜ちゃんは、文学少女で頭も良く清楚で魅力的な少女に成長している。あまりテレビは積極的に見ないのだけれど「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」は結構…

  • 『ファインダーズ・キーパーズ』スティーヴン・キング/小説を愛しすぎた故に

    『ファインダーズ・キーパーズ』上下 スティーヴン・キング 白石朗/訳 ★ 文春文庫 2020.10.8読了 ちょうどひと月ほど前に読んだ『ミスター・メルセデス』の続き、ホッジズ刑事シリーズの2作目である。前作が面白かったからすぐに買っておきスタンバイしていた。あのメルセデス事件にまた1人絡んでいる犠牲者がいた。 前作で登場したホッジズとホリーは人探しをする私立探偵社を作る。ホッジズがメインで進むのかと思いきや、出てくるのは物語のほぼ半分を過ぎてから。この作品では文学を愛するが故に犯罪を犯すモリスと、同じく文学を愛する少年ピートが主人公だ。ピートが正義の主人公だとすればモリスは悪の主人公。 モリ…

  • 『ガーデン』千早茜/人と一定の距離を保つ

    『ガーデン』千早茜 文春文庫 2020.10.4読了 よく書店に並んでいるのは目にしていたが、千早茜さんの小説を読むのは初めてだ。なんとなく、イヤミス系なのかな?と思っていたけど、確か西洋菓子店とつく題名の作品もあったので、色々な作風があるのかなと。 千早さんも、主人公と同じように植物が好きなのだろうか。作中には花や観葉植物、そして苔、色々な植物が登場する。そんな植物に愛情を捧げる青年、30歳の羽野。植物を偏愛する一方で、人間関係を作ることは決してうまくないのだが、それを憂いてもいない。むしろ、自分だけにわかる世界でひっそりと生きようとする物語だ。 植物は自然に葉が生えて根を伸ばし花を咲かせる…

  • 『童の神』今村翔吾/エンタメ全開の歴史小説

    『童の神』今村翔吾 ハルキ文庫 2020.10.2読了 第163回直木賞は馳星周さんの『少年と犬』が受賞となったが、有力候補と言われていたのは今村翔吾さんの『じんかん』である。選考当時からこの『じんかん』気になっていたのだが、読んだことのない作家さんだからまずは文庫本にしようと思い、本作を選ぶ。どうやらこの『童の神』も過去に直木賞候補になったようだ。 時は平安時代。戦国時代や江戸時代は人気もあるし題材になりやすいけれど、なかなか「泣くよ鶯(794年)」の時代の話はピンと来ない。安倍晴明(あべのせいめい)が出てきたところで、知っている人だと一安心。終わりの方には藤原道長も。 なんの話だかピンと来…

  • 『心は孤独な狩人』カーソン・マッカラーズ/誰もが抱える孤独

    『心は孤独な狩人』カーソン・マッカラーズ 村上春樹/訳 新潮社 2020.10.1読了 こんな帯の文句が書かれていたら、村上春樹さんのファンは読みたくなるもの。 たとえ、カーソン・マッカラーズさんの名前を知らなくても、フィッツジェラルド、サリンジャーと並び、村上春樹さんの「とっておき」なんて。 唖(おし)のシンガーはどこか人を気楽にさせる、癒すことが出来る存在であり、誰もが彼のところに集まってくる。会話が出来ず、何も聞こえないというのに、シンガーに向かってみなが話しかける。シンガーは、みんなの声に耳を傾け理解をしているかのように。 本当に大事なことは、もしかしたら耳からも目からでもなく、その人…

  • 『忘却の河』福永武彦/罪を背負い生きていく

    『忘却の河』福永武彦 ★★ 新潮文庫 2020.9.28読了 先日読んだ『草の花』にとても心を奪われたので、同じく多くの人に読み継がれている福永武彦さんの『忘却の河』を読了した。 なんという小説だろう。読み終えた今も、余韻を楽しむというか、ぼうっと虚ろな気分に酔いしれている。美しいけれど儚く哀しい、しみじみと心に滲み入る素晴らしい作品であった。 50代の中年男性を始めとして、彼の2人の娘、病床の妻、若い男性、それぞれの独白から章が成り立っている。各章を独立する短編のようにも読めるが、読み終えた後に全体から圧倒される物語の引力が凄まじい。登場人物それぞれが抱える孤独と悩みに痛いほどに共感できる。…

  • 『ワカタケル』池澤夏樹/神話ファンタジー

    『ワカタケル』池澤夏樹 日本経済新聞出版 2020.9.26読了 近未来SFを読んでいたから、今度は古典的な作品を味わおう。昔も昔、古事記でいう上・中巻あたりの物語だ。池澤夏樹さんは、河出書房から世界文学全集と日本文学全集を個人編集し出版している。日本全集の第1巻は、池澤さんが自ら現代語訳を手掛けた『古事記』だ。そこからこの作品『ワカタケル』が生まれた。私は池澤さん訳の古事記は読んでいないが、去年竹田恒泰さんが訳した本を読んだことが記憶に新しい。 honzaru.hatenablog.com ワカタケルの「タケル」は「猛る」の意だ。お馴染みのヤマトタケルの「タケル」と同じ「猛る」が付き、強く猛…

  • 『夏への扉』ロバート・A・ハインライン/冷凍睡眠で生き長らえる未来

    『夏への扉』ロバート・A・ハインライン 福島正実/訳 ハヤカワ文庫 2020.9.23読了 SF古典小説の名作としてよく取り上げられているため、この作品の存在は知っていたがまだ未読だった。なんでも、日本で山崎賢人さん主演でもうすぐ映画が公開されるようで、最近書店でも平積みになっていることが多い。有名作はいずれ読まなくちゃと思っている身としては、これもきっかけと思い手に取る。 SFとはもちろん知っていたが、この猫の表紙とタイトルからどんな物語なんだろう?と想像しにくかった。が、やはり究極!のSFだった。時間軸を操るタイムトラベラー的なもの。おっくうなSF、そして結構昔の作品だから読みにくいだろう…

  • 『死神の棋譜』奥泉光/読んでいて詰んだかも

    『死神の棋譜』奥泉光 ★ 新潮社 2020.9.21読了 藤井聡太二冠の誕生、羽生善治九段はタイトル通算100期の記録がかかる竜王戦に挑戦するなど、将棋界を取り巻く話題に事欠くことがない昨今。そんな中、将棋を愛してやまない著者の奥泉さんが見事な現代ミステリを仕上げた。 私は将棋のことは正直疎い。先日少し記事にも書いたが、ちょうど椎名誠さんの『アド・バード』を読んだ頃、将棋ブームに乗っかり、子供向けの将棋盤(駒が磁石でくっ付くタイプ)と、簡単なルールブック、詰将棋初級本を買ってほんの少しかじった程度だ。そんな最低限の知識しかない私だけど、この小説はすこぶる楽しめた。 honzaru.hatena…

カテゴリー一覧
商用