『灯台へ』ヴァージニア・ウルフ 鴻巣友季子/訳 新潮社[新潮文庫] 2024.10.05読了 ストーリー自体は特になくて、ただただひたすらに心理的な描写が続いていく。お世辞にも物語としておもしろいとは言えないのに、どうしてこんなにも魅了されるのだろう。読んでいて何故かホッとする心地良さがある。 明日の天気が良ければ灯台に行こうという会話から始まり、散歩をしたり絵を描いたりディナーをしたり、なくしたブローチを探そうとかどうでも良いようなことがつらつらと綴られる。別荘にいるラムジー夫妻とその子供たちがメインとなるのだが、他にもラムジーの友人バンクスや画家のリリーたちが語る。その語り手が、というか思…