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書に耽る猿たち https://honzaru.hatenablog.com/

本と猿をこよなく愛する。本を読んでいる時間が一番happy。読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる色々な話をしていきます。世に、書に耽る猿が増えますように。

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2020/02/09

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  • 『さびしさについて』植本一子 滝口悠生|いろんな感情を大切にしたい|滝口さんの思想がたまらんく好き、んで、植本さんのことも好きになった

    『さびしさについて』植本一子 滝口悠生 ★ 筑摩書房[ちくま文庫] 2024.02.23読了 読んでいるあいだ、ずっと胸がいっぱいで、喜びと苦しさとが一緒くたになったような気持ちになった。儚いけれど心地の良い往復書簡だ。 滝口悠生さんの本だ!と嬉しくなって買った本だが、共著の植本一子さんの名前は知らなかった。植本さんは写真家である。それなのに、なんて淀みのない素直であたたかい文章を書く人なんだろうと思った。文筆業でもやっているんじゃないかなって思っていたら、やはりエッセイストでもあるようで既に何作か刊行されている。 滝口さんがフィクションを書く理由というか小説観をこんなふうに記していた。これが…

  • 『化学の授業をはじめます。』ボニー・ガルマス|自分が自分になるために

    『化学の授業をはじめます。』ボニー・ガルマス 鈴木美朋/訳 ★ 文藝春秋 2024.02.21読了 文章になっていて句点もついているし「なんだかタイトルがださいな〜」と思っていたけれど、全世界で600万部も売れているというこの小説。よくX(旧Twitter)で読む本の参考にさせていただいている方のレビューを見ると絶賛していたので読んでみた。 エリザベス・ドットと一緒に、笑って泣いて怒って、本当に物語のおもしろさがギュッとつまった小説だった。読み終えると勇気を貰える、そんな(意外と)稀少な本。アメリカのテレビドラマみたいに(そんなに観たことがあるわけではないが)エリザベスをはじめ、登場人物らの大…

  • 『新版 思考の整理学』外山滋比古|寝かせる、忘れる、考える

    『新版 思考の整理学』外山滋比古 筑摩書房[ちくま文庫] 2024.02.18読了 東大生、京大生に一番読まれた、とかなんとかの帯を外して、安野光雅さんの素敵なイラストのジャケット姿をパシャリ。ちくま文庫で長らくベストセラーとなっていた『思考の整理学』に、2009年の「東大特別講義」を巻末に収録した新版である。やはり長く読み継がれている本というのは、それなりの理由がある。それが小説であれ、評論であれ、何であれ。 ひとつめの章「グライダー」を読んだだけで、目から鱗が落ちたという感じ。まさに「もっと若いうちに読んでおけばよかった」というキャッチコピーそのまんま。できれば論文を書く学生の時に読むのが…

  • 『哀れなるものたち』アラスター・グレイ|生きることは哀れさを競うようなもの

    『哀れなるものたち』アラスター・グレイ 高橋和久/訳 早川書房[ハヤカワepi文庫] 2024.02.17読了 映画でエマ・ストーン演じるベラと、圧倒される衣装やセットが話題になっている『哀れなるものたち』の原作を読んだ。旅の道連れとして選んだ本だったのだが、いつも通り旅中ではほとんど読めず、読了するのに随分と時間がかかってしまった。 ベラ・バクスターとは一体何者なのか 一度命を絶ったベラは、天才医師バクスターの手により蘇る。身体は大人の女性なのに脳は胎児という歪な姿に蘇ったベラは、庇護された元を飛び出し駆け落ちをする。世界を旅した彼女は何を見て何を知り何を感じたのか。無垢で自由奔放で、性への…

  • 『東京都同情塔』九段理江|時代の先端を突き進む

    『東京都同情塔』九段理江 新潮社 2024.02.11読了 なんて端切れの良いスカッとするラストなんだろう。たいてい芥川賞受賞作を読み終えたときは「ふぅん」「そうかぁ」「上手い文章で良いものを読んだとはわかるけど、イマイチ何を伝えたかったのかわからない」みたいな感想になることが多い。しかしこの作品はわかりやすかった。時代の先端を突き進んでいて、鋭さと新しさが物語に共存する。 通称「東京都同情塔」を建築することになる38歳の牧名沙羅(まきなさら)、美しい容姿から牧名に声をかけられた高級ブティック店員22歳の拓人、そしてジャーナリストのマックス・クライン、3人が入れ替わり語り手となる。マックス・ク…

  • 『みどりいせき』大田ステファニー歓人|小説って自由なんだな

    『みどりいせき』大田ステファニー歓人 集英社 2024.02.09読了 タイトルも著者の名前も個性的だからひときわ目立つ。第42回すばる文学賞受賞作であることよりも彼の名前を知らしめたのは、その受賞スピーチであろう。「なんかおもしろそうな人が出てきたよ」と知人に教えてもらい、誰かがUPした音声だけのYouTubeを聞いた。出だしの「うぇいー」という挨拶、最近結婚したことともうすぐ父親になるという寿話、そして圧巻の詩の朗読。 何かの記事で、歓人さんは川上未映子さんと町田康さんの文体に影響を受けたと書いてあった。「小説って何でもありなんだな」と感激したそうだ。確かに2人が書く文章に近いものがある。…

  • 『変な家』雨穴|間取りを見るのは生活を見ること|今売れている本を読むこと

    『変な家』雨穴(うけつ) 飛鳥新社 2024.02.07読了 昨年から、どんな書店に行っても目立つところに積み上げられているから、確かに気にはなっていた。けれど、自分が読みたいジャンルの本じゃないと思っていた。それでも、文庫になったからついつい…。朝この本を鞄に入れ、行きの通勤電車、珈琲を飲みながらの朝読書、そしてランチをしながらの読書、それでもう読み終えてしまった(いつも2冊持ち歩いても結局読めないから1冊しか持たなかったが…今回ばかりは後悔気味)。 不可解な間取りをめぐり推理をしていくミステリータッチの小説である。私は曲がりなりにも一応不動産系の会社に勤務しているので、かなりの頻度で家の図…

  • 『イギリス人の患者』マイケル・オンダーチェ|読み終えてから押し寄せる余韻

    『イギリス人の患者』マイケル・オンダーチェ 土屋政雄/訳 東京創元社[創元文芸文庫] 2024.02.06読了 タイトルだけ見ても気付かないかもしれないが、これはあの有名な映画『イングリッシュ・ペイシェント』の原作である。私は実は映画を観ていない(あんなに名作と言われているのに何故観ていないんだろう…)。単純な恋愛映画だと思っていたのが、原作を読むと一筋縄ではいかない多重的な作品であった。 第二次世界大戦が終わる頃、イタリアのある廃墟にハナという若い看護師と、全身に火傷を負った名もない謎の男性患者がいた。そこに、かつてハナの父親と親しかった元泥棒のカラバッジョと、爆弾処理班の工兵シンが加わる。…

  • 『シャーロック・ホームズの凱旋』森見登美彦|ワトソンなくしてホームズなし

    『シャーロック・ホームズの凱旋』森見登美彦 中央公論新社 2024.02.03読了 そもそも、ホームズとワトソンが何故京都にいるんだ?そして、ホームズがまさかのスランプだと?寺町通に二条通、四条大宮に嵐山、南禅寺、下鴨神社、、京都の名だたる名所を駆け巡る…。これは一体何なのだ!?日本の、それも歴史ある街並みにイギリス人らしき人がいる違和感。でもそんな気持ちもいつの間にか気にならなくなって森見ワールドにずぶりと引き込まれていく。 モリアーティ、ハドソン夫人、メアリーなど、お馴染みの登場人物たちがわんさか登場する。ホームズものを全て読んだわけではないけれど、登場人物の名前には見覚えがあって、懐かし…

  • 『星月夜』李琴峰|漢字は読みたいように読んでもいいかも

    『星月夜(ほしつきよる)』李琴峰(り・ことみ) 集英社[集英社文庫] 2024.01.30読了 日本語って本当に難しいと思う。最初に出てくる日本語の文法問題では、私たち日本人なら当たり前にわかることでも、多言語を使っている人からしたら相当難しいだろうなとつくづく感じる。言語って勉強しようと思って身につくというより慣れるしかないものだと思う。まさに「習うより慣れよ」だ。 道を歩いていて、電車に乗って、飲食店でご飯を食べて。隣にいる人が日本人ではないことなんて、今はざらにある。30年くらい前には、外国人がいるだけで振り向いてしまったのに。中国人、台湾人、韓国人、ベトナム人。昔はアジア人だとほぼ中国…

  • 『滅ぼす』ミシェル・ウエルベック|政治、死、そして愛について

    『滅ぼす』上下 ミシェル・ウエルベック 野崎歓 齋藤可津子 木内暁/訳 ★ 河出書房新社 2024.01.29読了 ウエルベックの小説ってどうしてこんなにカッコいいんだろう。ストーリーも文体も、登場人物の会話も、もう何もかも。鋭く光るセンスは誰にも真似出来ない。この本はジャケットもカッコいい。言わずもがな、現代フランス作家のなかで最も影響力のある一人だ。去年の暮れに、浅草の鮨屋で隣り合ったフランス人とウエルベックについて話が盛り上がったのを思い出す。 経済財務大臣補佐官のポール・レゾンが主人公。大統領選を間近に控えた中、テロ事件が勃発し政治の世界がスリリングに描かれる。また一方で、ポールの父親…

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