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シティボーイに送る https://poorcityboy.hatenablog.com/

某「Popeye]などが大好きだけど、、、なシティボーイに送る総合情報ブログを目指しましたが、しばらく書評が増えそうです。

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2020/01/04

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  • 純文学1000本ノック 131/1000 本谷有希子『異類婚姻譚』

    こんにちは。 今回は2013年に芥川賞を受賞した本谷有希子の『異類婚姻譚』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のサンちゃんは子無しの専業主婦で、家ではぐうたらした夫と二人で暮らしている。ある日、夫の顔が自分に似てきていることに気づき、奇妙に思う。日常を通じて夫は次第に自分とどんどん似てくる。ようやく夫に向き合うと、主人公自身、何もしたくなかったことがわかる。夫は欲望のまま芍薬の花になり、主人公は山に夫を植えにいく。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 一人称で非常に日常と近しい場面で描かれたリアリズムの文体。人物設定にリアリティがあり、比喩や考察で秀逸な細部が光る。後半で一気にリアリズムから飛躍し…

  • 純文学1000本ノック 130/1000 黒田夏子『abサンゴ』

    こんにちは。 今回は2013年に芥川賞を受賞した黒田夏子の『abサンゴ』です。 先に謝罪しておきたいですが、一読してみて現在の私にはよくわかりませんでした。 1.ざっくりあらすじ 主人公が自らの幼い少女時代を思い出し、親や周囲の生活環境を感じとりながら、成長していく様を、ひらがなを多用して回想しながら描き出している。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 現在の主人公が過去の主人公を三人称的な視点で描いている。ひらがなが多用されており、日本の古典的な雰囲気や詩的な雰囲気を感じる部分も多いが、一読のかぎりでは読みにくいという感想につきる。 (2)構成★★☆ 大まかには少女時代から、中年のことまで時系列…

  • 純文学1000本ノック 129/1000 町屋良平『1R1分34秒』

    こんにちは。 今回は2019年に芥川賞を受賞した町屋良平の『1R1分34秒』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公は21歳でプロボクサーをしながら、パチンコ店でアルバイトをしている。しかし、デビュー1戦目のTKO勝ち以降、負けが込み、1勝2敗1分という戦績である。そして、また一敗し、トレーナーも交代し、アルバイトもクビになり、人生に絶望的な気分をいだく。その後、新しいトレーナーのウメキチに反抗しながらも徐々に信頼を深め、充実したトレーニングを繰り返し、勝利への思いを強めていく。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 一人称で、ひらがなを多用した文体。思考も低次元なものから高次元なものへ自在に行き来する…

  • 純文学1000本ノック 128/1000 トルーマン・カポーティ『真夏の航海』

    こんにちは。 今回は『ティファニーで朝食を』や『冷血』で有名なアメリカの作家『トルーマン・カポーティ』の初期作品『真夏の航海』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のグレディは17歳の女性。上流階級の生まれで、理知的な一方、周囲の習わしについていけず浮いた存在で母や結婚して家を出た姉とも衝突している。夏休みに両親がバカンスへ行き、グレディは一人家に残る選択をする。彼女は誰にも秘密にしている恋人がいた。恋人であるクライドはダウタウンに住む、労働階級の長男で心優しいが粗暴な青年である。彼らは夏を共に過ごし、そのままでは別れる未来を予感して、結婚する。グレディは紹介されたクライドの家族に馴染めず、姉家…

  • 純文学1000本ノック 127/1000 柳美里『JR上野駅公園口』

    こんにちは。 今回は芥川賞作家である柳美里の『JR上野駅公園口』です。この作品は全米図書賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 主人公はすでに死んでおり、霊体のようなものとして世界を見ている。平成天皇と同じ年に生まれ、故郷の福島から出稼ぎで東京で土方をして、下の兄弟を学校へやり、結婚して子どもを育てた。息子の浩一は皇太子と同じ日に生まれたので、「浩」の一字をもらった。浩一は社会人になる手前で死んでしまう。退職しのんびり過ごそうとしていた矢先、妻にも先立たれた主人公は、世話に来る孫に負担をかけないよう家を出る。ふたたび来た上野駅でホームレスになる。そして自殺する。 2.作品解剖 (1)文体★…

  • 純文学1000本ノック 126/1000 ロブ・グリエ『消しゴム』

    こんにちは。 今回はフランス、ヌーヴォーロマンの代表的作家ロブ・グリエの『消しゴム』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の特別捜査官ヴァラスは、日本でいう公安のような場所に異動になり、最初の仕事として、政府転覆を目論む巨大組織の連続殺人事件で8人目の犠牲者が出て、地方の街へ捜査に行く。しかし、暗殺人は失敗しており、目標の学者は死んでいなかった。ヴァラスはそのことを知らないまま、難航する捜査のなかで、事件現場にまた犯人らしき人物が戻ってくるという情報を聞きつける。現場で待っていたヴァラスは書類を取りに来た学者を誤って銃殺してしまう。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 三人称でそれぞれの登場人物が物…

  • 純文学1000本ノック 125/1000 川上弘美『蛇を踏む』

    こんにちは。 今回は1996年に芥川賞を受賞した川上弘美の『蛇を踏む』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のサナダヒワ子は、数珠屋のカナカナ堂への出勤途中に蛇を踏んでしまい、その蛇が人間の女の姿に変わり家に居着くようになる。 女は蛇の世界へ来るように誘ってきて、ヒワ子は迷う。徐々に周りにも人間の姿をした蛇と生活している人たちがいることが判明していき、ヒワ子は蛇の女に迫られていく。最後に迫られ、乱闘の末、蛇の世界はない、と言うが、蛇の女は笑っている。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 一人称で装飾の多くない文体。ただ、突然の目を引く一文の使い方や、肉体的感覚のたしかな描写力が光り、全体を緩急のある…

  • 純文学1000本ノック 124/1000 村上春樹『1973年のピンボール』

    こんにちは。 今回は芥川賞候補になったことのある村上春樹の二作目の長編『1973年のピンボール』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の僕は、大学を卒業後、翻訳会社を友人と興しそれなりに成功している。変わり映えのない日々のなかで、過去を思い起こし元恋人の故郷に行ったり、熱中したピンボール探しをしたりする。同時並行で大学時代の主人公の友人である鼠が青春時代を過ごした街を出る話が差し込まれている。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 僕という一人称で、前半は語りを中心に、後半へ進むにつれて描写の分量が増やされている。突き抜けるような青い空、など手垢のついた表現も目につくが、情景描写がうまく、比喩は独特な…

  • 純文学1000本ノック 123/1000 柳美里『家族シネマ』

    こんにちは。 今回は1997年に芥川賞を受賞した柳美里の『家族シネマ』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の素美は会社勤めをしながら、同僚の男と付き合いそこに住んでいる。ある日、映画の撮影隊がその部屋にやってくる。映画は妹洋子の繋がりではじまった家族をテーマにしたものだった。とっくに壊れた家族との撮影とともに、仕事を依頼した陶芸家の男と関係を深める。映画の撮影で家族でキャンプに行くが、家族は崩壊している。素美は同僚の男に別れを告げ、陶芸家の男のところに行くが、そこには別な女がいる。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 私という一人称で、描写が主になった文体。細かな描写がうまく、登場人物の行動や回想…

  • 純文学1000本ノック 122/1000 吉村萬壱『ハリガネムシ』

    こんにちは。 今回は2003年に芥川賞を受賞した吉村萬壱の『ハリガネムシ』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の慎一は2年目で副担任として高校の教師を務めているが、性と暴力に惹きつけられるエネルギーを持て余し、若者たちがセックスしていた工事現場を覗きにいったりする。あるとき、半年ほど前に遊んだ風俗嬢のサチコから連絡があり、五万円貸す。それから、サチコとセックスをしたり、彼女の子供たちに会いに四国まで旅行に行ったりして不意に結婚の約束をするが、自分の親に会い、その約束を反故にする。サチコは自殺未遂して回復するが、慎一は残虐な気持ちになり、工事現場でサディストなプレイを試みるが、途中若者たちが入っ…

  • 純文学1000本ノック 121/1000 保坂和志『この人の閾』

    こんにちは。 今回は1995年に芥川賞を受賞した保坂和志の『この人の閾』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の三沢は37歳の男で仕事の関係で小田原に来たが、相手にすっぽかされて、近くに住む、大学の一つ上の女の先輩である主婦となった真紀を思い出して電話する。彼女は、おいでよ、と言い、三沢は彼女の家に行く。二人はそこでビールを飲んで話し、草むしりをする。真紀の息子の洋平が帰ってきて三沢はサッカーの話をする。洋平がサッカーをしに行き、再び二人になってビールを飲みながら話をする。真紀は本をよく読むが、特別それを何かに活かすわけでなく読むために読んでいる。娘が帰ってきたところで三沢は帰る。後日、三沢は今…

  • 純文学1000本ノック 120/1000 奥泉光 『三つ目の鯰』

    こんにちは。 今回は芥川賞を受賞した奥泉光の芥川賞候補作『三つ目の鯰』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のサトルは東京の大学に通っているが、父の死に際して父の故郷である庄内の農家に行く。そこで叔父のマモルとワタルと時間を過ごし、後継者不在の問題があることを知る。ワタルは牧師をクビになり未婚の状態で、見合いをし家を継ぐ流れになるが、サトルと盆に釣りに行く禁忌を犯し、啓示的な驟雨にあい、再び牧師をやろうと思う。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 一人称で、語りと説明が主であり、描写が少ない。『石の来歴』では父子二代による話によるためそういう形式なのかと思ったが、単純にこの形式をスタンダードに使って…

  • 純文学1000本ノック 119/1000 奥泉光『石の来歴』

    こんにちは。 今回は1994年に芥川賞を受賞した奥泉光の『石の来歴』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の真名瀬は第二次世界大戦に従軍し、帰国してからレイテ島の洞窟での兵隊との話を思い出し、石集めをはじめた。書店経営と石集めの傍ら、子供が二人生まれ長男は優秀で真名瀬と共に石集めをするようになる。しかし、長男が一人で洞窟に採石に行き、刺殺されてしまう。家庭は崩壊し、次男は叔母夫婦に育てられる。次男はサッカーをしていたが、やがて学生運動のなかで死ぬ。真名瀬は死ぬ前の次男から長男の死んだ日のことを聞き、洞窟に向かい、過去のトラウマと決別する。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 主人公に近い三人称で、冗…

  • 純文学1000本ノック 118/1000 川上未映子『乳と卵』

    こんにちは。 今回は2008年に芥川賞を受賞した川上未映子の『乳と卵』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公は東京に住んでおり、そこに大阪に住む姉の巻子と姪の緑子が遊びに来る。巻子は離婚し場末のスナックで働くシングルマザーで、豊胸しようとしておりそのカウンセリングなどもあり東京に来ている。緑子は巻子と喧嘩しないように半年間言葉を発していない。三人は主人公のアパートで過ごすが、巻子がなかなか戻らない夜、緑子がひどく心配し、ようやく帰ってきた巻子が酔っ払って、離婚した旦那と会ったことを話き、喋らない緑子のことを非難する。緑子は感情を溢れさせて巻子と言い合う。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 主に独身…

  • 純文学1000本ノック 117/1000 今村夏子『むらさきのスカートの女』

    こんにちは。 今回は2019年に芥川賞を受賞した今村夏子の『むらさきのスカートの女』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公は街中で笑いや願掛けの対象となっている「むらさきのスカートの女」に興味を抱き友達になりたいと思って観察している。自分の職場に就職するように仕向け、無事に「むらさきのスカートの女」こと日野まゆ子はホテルの清掃員として働き始めるが、彼女は主人公でなく職場の人たちと仲良くなり、しまいには所長と付き合いだす。主人公は日野の追いかけから生じた金銭不足でアパートを追い出され、ホテルの備品を小学校のバザーで売っている。それが問題となり、犯人として日野が疑われ、それを問い詰めにきた所長が日野…

  • 純文学1000本ノック 116/1000 宇佐見りん『推し、燃ゆ』

    こんにちは。 今回は2021年に芥川賞を受賞した宇佐見りんの『推し、燃ゆ』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のあかりは女子高生で、推していたアイドルの上野真幸がファンの女性を殴ったとして炎上する。それからあかりは今まで以上に推しのために活動するが、自身の発達障害?に起因する問題と推しのことで精神的に追い詰められ、学校を退学になる。バイトもクビになり、亡くなった祖母の家に一人で住むようになるが掃除もままならず、推しの解散ライブに行く。感情の整理がつかぬまま、特定された推しのマンションに向かってみたものの、何もせず家に帰り、発散として綿棒をぶちまけるが、それを這いつくばって拾う。それが自分の今後…

  • 純文学1000本ノック 115/1000 安部公房『他人の顔』

    どうも、こんにちは。 今回は戦後作家として絶大な人気を誇る安部公房の『他人の顔』です。有名な『砂の女』しか読んだことがなかったので、私にとって二作目の安部公房です。 1.ざっくりあらすじ 勤めている研究所の実験中に爆発を起こして顔一面に深いケロイドを負ってしまった主人公。包帯を顔に巻いて生活するが、他者と正常な交流ができなくなったことを思い悩み、リアルな仮面を作りはじめる。できた仮面は以前の自分とは違う顔にして、妻を誘惑することで、他者との交流を再開しようとする。それまでの経緯を長大な手紙にしたため、妻に告白するが、妻は家に戻って来なくなり、再び仮面を被り、今度は危険な行動に出ようとする。 2…

  • 純文学1000本ノック 114/1000 トルストイ『クロイツェル・ソナタ』

    どうも、こんにちは。 今回はロシアの文豪トルストイの性を描いた中編作品『クロイツェル・ソナタ』です。トルストイは道徳的な作品の『人はなんで生きるか』しか読んだことがなかったので、テーマの違いにおどろきました。 1.ざっくりあらすじ 二昼夜におよぶ列車旅行をしていた主人公は、車内で思いがけぬ愛や結婚についての論争に出会いそれに参加する。論争は結婚観の古い老人が出ていくことで収まりかけるが、ポズドヌイシェフという紳士により、蒸し返される。彼が妻を殺害したことを告白し周りの人は離れていくが、隣の席だった主人公は彼からどうして妻を殺すに至ったのか、肉欲と愛と憎しみに満ちた告白を聞く。 2.作品解剖 (…

  • 純文学1000本ノック 112/1000 年森瑛「N/A」

    どうも、こんにちは。 久しぶりに開きました。その間本を読んでいなかったわけではないですが、ファンタジーものだったりしたので、今回です。 今回は文学界新人賞を受賞した年森瑛の『N/A』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のまどかは、初潮を経験してから生理が嫌でたまらず、痩せすぎの場合こないこともあると知り、食事量を極端に減らした。高校生になってからもそれは変わらず、まどかという一個人として、恋愛などでも世間の流れにそわずに生活しようとするが、なかなかうまくいかないこともおおい。自分が世間の流れのなかにいることを知り、自己嫌悪しながらも、ふたたび訪れた生理のとき別れた女性に助けてもらい、かけがえの…

  • 純文学1000本ノック 112/1000 大江健三郎『われらの時代』

    どうも、こんにちは。 今回は日本人二人目のノーベル文学賞作家の受賞した大江健三郎の二作目の長編小説である『われらの時代』です。 1.ざっくりあらすじ 南靖男は、仏文科生でありながら同学年の左翼運動は現実的でないと嘲笑しながら、中年の情婦の頼子と性交をつづける自己嫌悪に満ちた毎日を送っている。弟の滋(しげる)は『不幸な若者たち(アンラッキーヤングメン)』というトリオバンドを組み、毎夜出演するライブハウスの地下倉庫に住んで生活している。頼子は妊娠に気付きながら靖男に明かせずにいる。ある日、靖男のもとに電報が届き、かすかな希望をもっていたフランス行きの懸賞論文に入賞する。靖男は頼子と今の生活を捨て、…

  • 純文学1000本ノック 111/1000 須賀ケイ『わるもん』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した須賀ケイの『わるもん』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の純子は、ぼんやりしていて近所の子どもたちから馬鹿にされている。ある日、純子以外の家族みんなに疎まれていた父が家から追い出される。純子は父の不在を徐々に理解していき、母から父との伝言係を頼まれる。純子の年齢が二十八歳であることが明かされる。父の仕事中の姿をみた純子は父が外ではきちんとしていることを知る。父のいなくなった家は荒れていき、やがて父は戻ってくる。母が純子の描いた絵を見て賞に応募すると、賞状が贈られてきた。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 純子による三人称的一人称で、分からない言…

  • 純文学1000本ノック 110/1000 高瀬隼子『犬のかたちをしているもの』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した高瀬隼子の『犬のかたちをしているもの』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の薫は、二十七歳から郁也と付き合いはじめて三年になる。彼女は大学生のときに卵巣の手術をし、それ以来セックスに対する抵抗感がでるようになった。郁也とははじめの数カ月だけ関係をもち、その後はしていない。郁也もその事情を考慮してくれていたが、ある日、郁也に紹介され、郁也の子を妊娠したミナシロを紹介される。ミナシロは産んだあとの子どもを引き取ってくれないかと言う。主人公は、男や女、セックス、周囲からの圧力、家族、さまざまなことに悩みながらも、子どもを得てからの親や親戚のことを思い…

  • 純文学1000本ノック 109/1000 山岡ミヤ『光点』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した山岡ミヤの『光点』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の実以子は、工場しか就職口がないような田舎町に住み、中学を卒業して食品加工工場で働いている。母は父を溺愛し、主人公には厳しい。父は不倫している。ある日、主人公は神社でカムトという青年に声をかけられ、次第に二人で過ごすようになる。カムトは主人公に妹の面影を見出す。主人公はカムトから妹が死んでいたことを知らされ、カムトが妹のために買ったワンピースを着る。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 一人称、ひらがなを多用した文体で、セリフも含めると作品のほとんどが描写的な要素で構成されている。比喩は入りこみ…

  • 純文学1000本ノック 108/1000 木崎みつ子『コンジュジ』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した木崎みつ子の『コンジュジ』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のせれなは、子どものころわがままな母が家をでて、父が自殺未遂をした。すでに亡くなっているロックスターのリアンというという人物を知り、恋をする。父の新しい恋人が家に来ても、成長してから父に犯されても、リアンを心の支えとして生きていく。やがて、父は恋人に殺されるが、せれなは一人でリアンの幻覚を見ながら生活する。リアンの過去を調べるうちに、彼の不倫や薬物遍歴に失望するが、彼も父に犯されていたことを知る。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 三人称的一人称で、せれなの視点、回想という形で自分の半…

  • 純文学1000本ノック 107/1000 上村亮平『みずうみのほうへ』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した上村亮平の『みずうみのほうへ』です。 1.ざっくりあらすじ アメリカあたりの外国が舞台になっている。主人公は、子どものころ父とフェリーで旅にでたときに父がいなくなった。その後、伯父に引き取られ、アイスホッケーが盛んな田舎町で過ごす。そこで唯一仲の良かった女の子は死んでしまった。いまは一人で港町にでて魚肉の廃棄作業の仕事をしている。あるとき、死んだ父とのゲームのなかで想像したサイモンと現実で出会い、彼と過ごすようになる。そして、サイモンが父をフェリーで誤って海に落としたことを知る。主人公はその前から昔の女の子に似た女性と出会っていて、湖のある田舎…

  • 純文学1000本ノック 106/1000 春見朔子『そういう生き物』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した春見朔子の『そういう生き物』です。 1.ざっくりあらすじ 高校のころ同級生だった薬剤師の千景とまゆ子はひさしぶりに会い、千景の誘いで一緒に住みはじめた。千景は仕事をしながら、大学の恩師の先生にたまに会いに行く。まゆ子は叔母のスナックでアルバイトしている。ある日、央佑という先生の孫が家にきて、カタツムリを飼いはじめる。まゆ子は女の姿をしているが、性別的には男で、高校時代に千景と付き合っていた。二人はいま恋仲ではないし、理解し合わないところはあるが、それなりに生活していく。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 三人称的一人称で、千景とまゆ子両方の視点か…

  • 純文学1000本ノック 105/1000 金城孝祐『教授と少女と錬金術師』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した金城孝祐の『教授と少女と錬金術師』です。 1.ざっくりあらすじ 薬学部の学生である久野は、禿げ頭の江藤教授から育毛剤の共同研究をもちかけられた。久野は親戚から受け継いだ古い薬局のなかに油の研究室をもっていたからだった。久野は教授から油研究の先輩である永田を紹介され、その教え子である不思議な中学生の荻ちゃんと知り合い、別の場で現代の錬金術師とも知り合った。荻ちゃんは色盲で、久野がそのことに触れてしまい、行方不明になる。久野は荻ちゃんを見つけだす。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 主人公の久野による一人称だが、冒頭と後半の一部分には語り手不明の人物…

  • 純文学1000本ノック 104/1000 黒名ひろみ『温泉妖精』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した黒名ひろみの『温泉妖精』です。 1.ざっくりあらすじ 幼少期から自分の容姿にコンプレックスをかかえていた主人公の絵里は、整形をくりかえしヨーロッパ人のフリをして地方の温泉宿に泊まることを趣味としていた。毒舌温泉ブロガーのゲルググが何度も訪れている温泉にきたが、期待外れだった。そこに泊まっていた口の悪い中年男の影と会う。絵里は影がゲルググだと気づくが偏屈な性格に幻滅する。しかし、ふたりは次第に近づき、絵里の提案で一緒に露天風呂で朝日をみる。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 三人称的一人称で、回想がちりばめられている。場面の切り替わりや出来事の起こ…

  • 純文学1000本ノック 103/1000 足立陽『島と人類』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した足立陽の『島と人類』です。 1.ざっくりあらすじ 常日頃から身につけたものを脱ぎ捨て裸になることを志向するヌーディストの未來夫は、大学教授として授業で裸になり停職に追い込まれる。マンションの一室に集まってくるヌーディストたちと張り込んでいた記者の男をつれ、妻とボノボが待つ島へ向かう。島で妻は人とボノボによる新しい生命を誕生させようとしていて、ペニスがボノボに似ているという理由で記者がその生殖に利用される。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 三人称で、未來夫と記者のふたつの視点にわかれて描かれ、書き手の視点はあまり出てこない。インテリのもったいぶっ…

  • 純文学1000本ノック 102/1000 奥田亜希子『左目に映る星』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した奥田亜希子の『左目に映る星』です。 1.ざっくりあらすじ 小学生のころに勉強も運動も完璧な上、大人びた吉住という少年と出会った主人公の早季子は、コンプレックスだった左目だけの乱視という悩みを共有することで孤独感を解消した。中学生になってから吉住はコンタクトをいれて、人格も変わり、大人になってからも早季子は昔の吉住に焦がれていた。早季子は人と深く付き合わず、たまに一夜限りのセックスをして過ごしている。そんなとき、同じ乱視の宮内というアイドルオタクの男と知り合い、自分の孤独を共有できるかもしれないという想いで近づいた。宮内とは価値観がずれてばかりい…

  • 純文学1000本ノック 101/1000 米田友歌里『トロンプルイユの星』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した米田友歌里の『トロンプルイユの星』です。 1.ざっくりあらすじ 従業員が四人のイベント会社に勤務する主人公の藤田サトミは、地震のたびに誰かに掴まれるような感覚を感じていた。ある日、職場の久坂に誘われ街中の交差点を見に行く。サトミは久坂に好意を覚えるが、その後、職場のまわりから物や人が消えていくようになる。久坂はそれに気づくと、自分のせいだと言い、サトミは転職して久坂と離れることを決めるが、前の職場も消え記憶も改ざんされていることに気付く。サトミは多くのことを忘れ、新しい職場で働く。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 一人称で、癖がなく清潔感のある…

  • 純文学1000本ノック 100/1000 新庄耕『狭小邸宅』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した新庄耕の『狭小邸宅』です。 1.ざっくりあらすじ 一流大学を卒業するも、深く考えずに中堅の不動産屋に入った主人公は、物件が売れずパワハラと残業ざんまいの日々をおくる。おだやかな彼女もできたが、別の支店へ転勤になり、そこで出会った豊川課長に育てられ、売れる営業マンとなる。身のうちに潜む空虚感は拭えず、発狂するようにして終わる。 2.作品解剖 (1)文体★☆☆ 一人称で、説明のおおい、エンターテイメント的な文章。身から出た錆などありきたりな表現を多用している。時間の経過も早く、要点をとらえて進むので疾走感があり読みやすいが、純文学の文体としての評価…

  • 純文学1000本ノック 99/1000 髙橋陽子『黄金の庭』

    どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した髙橋陽子の『黄金の庭』です。 1.ざっくりあらすじ ファンタジーの世界に近い黄金町に引っ越してきた青奈と旦那の那津男。屋根の両脇についたしゃちほこが動いたり、お寺にまつられた閻魔様が動いたりする世界で、失業中だった主人公の青奈は市場に行き露店商をする千ちゃんという四十男から仕事を紹介される。青菜はしだいに千ちゃんに惹かれていくが、最後まで関係をもつことなく、千ちゃんは恋人のダイヤさんが妊娠し、結婚を決意する。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 一人称で、直接的なひとりごとを地の文に多用している。比率としては描写などよりひとりごとや考えごとがおおい…

  • 純文学1000本ノック 98/1000 澤西祐典『フラミンゴの村』

    どうも、こんにちは。 今回は2011年にすばる文学賞を受賞した『フラミンゴの村』です。 1.ざっくりあらすじ ベルギーのある村で、妻や女性たちが突如としてフラミンゴになってしまう。そういった不条理にあいながらも、村の男たちは団結して秘密を守って生活をしていく。幾多の困難にあいながら最終的に、フラミンゴを殺そうという派閥と守ろうとする派閥にわかれて抗争がはじまる。武力抗争のさなか、リター少年がフラミンゴたちのところに駆けてゆき、それを合図としてフラミンゴたちは空に飛び立つ。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 古い海外小説のように語り手が饒舌な三人称である。村のアダンという人物を中心として物語は進ん…

  • 純文学1000本ノック 97/1000 吉村萬壱『クチュクチュバーン』

    どうも、こんにちは。 今回は芥川賞作家でもある吉村萬壱が文学界新人賞を受賞した『クチュクチュバーン』です。 1.ざっくりあらすじ 人間が周囲のものに同化したり身体が収縮するなどして、通常考えられているような意味を失った世界の話。人間たちは変化の恐怖におびえながら暮らしているが、登場人物たちもつぎつぎに変化していき、唯一規則を保っていた地域も崩壊し、最終的にシマウマと同化したシマウマ男が、同化し集合体と化した人間の群れを見ることに徹する。シマウマ男は集合体に取りこまれ、爆発しあたらしい世界へと移行してからも前世の記憶を保持していて、自殺をくりかえす。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 三人称のかた…

  • 純文学1000本ノック 96/1000 埴谷雄高『闇のなかの黒い馬』

    どうも、こんにちは。 今回は死ぬまで書きつづけた未完の大作『死霊』で有名な埴谷雄高が、谷崎潤一郎賞を受賞した作品『闇のなかの黒い馬』です。 1.ざっくりあらすじ 作者自身とおもわれる主人公は、不眠症をわずらっており、夢を中心としてその周辺でおきる夜の世界の事象を通して、昼の世界におきる事象をながめようとした観念的であり実験小説的な短編連作の作品。 2.作品解剖 (1)文体 はじめは大江健三郎などに近い句点がすくなく、どこで区切られているのかわかりにくい文章だと思ったが、特異な単語選びから作品に通底する「闇」や「夜」の気配が描かれている。身体的な描写においても、ていねいに描かれており、とくに最後…

  • 純文学1000本ノック 95/1000 九段理江『悪い音楽』

    どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『悪い音楽』です。 1.ざっくりあらすじ 中学校の音楽教師をつとめる主人公の三井ソナタは、昔から人の心があまり理解できず、浮いた存在である。ある日、偶然居合わせた中学生同士のもめごとから面倒な保護者対応などの仕事を任せられてしまう。その件が終わった後、今度はルームメイトとも相手の気持ちを理解しないことから喧嘩をしてしまい、合唱コンクールの練習では自分の担任クラスの女子生徒から非難され指導の立場から降りる。合唱コンクールの当日、不意におきた地震により、担任クラスの発表が中断された。そこで、ソナタは「大地讃頌」という曲につけた振り付けから大地が地震…

  • 純文学1000本ノック 94/1000 青野暦『穀雨のころ』

    どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『穀雨のころ』です。 1.ざっくりあらすじ 高校生四人の詩的群像劇という雰囲気。サッカー部を病気により休んでいるハツは、サッカーの才能がなく、あるとき美術部のエミに声をかけられモデルになり、自分も絵を描く楽しさに目覚める。エミは自分の性格に嫌悪しながらも素直なハツを絵に描き、詩の勉強会で惹かれていた講師に告白する。サッカー部のキャプテンでハツと仲のいいヒビキは、水のように固定されない自分像に嫌悪しながらも周囲にあわせて生きている。やがて、幼馴染でマネージャーをつとめるアサに惹かれていることに気付く。大学生の彼氏に思うように求められていないことに…

  • 純文学1000本ノック 93/1000 三木三奈『アキちゃん』

    どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『アキちゃん』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のミッカーは、小学生時代つねに一緒にいたアキちゃんのことを強く憎んでいて、そのことを回想していく。アキちゃんは周りに取り入り自分より下だと思った人には強くあたるような人で、中盤でじつはアキちゃんが男だということが明かされる。主人公は呪いたいほど憎んでいたが、小学五年生のときに親の都合で引っ越して、大学に入ってから噂でアキちゃんが中学生になってひどい目にあったことを知る。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 回想の形をとった一人称で、語り手である未来の主人公が書いていることを意識している。言葉と言葉の…

  • 純文学1000本ノック 92/1000 田村広済『レンファント』

    どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『レンファント』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の弘明は、子どもが生まれたとき、植田という中学時代の同級生に殴られて右目を怪我したことを思い出していた。弘明は子どものへその緒を切るときまで、そのことを考えていた。それから弘明は育休をとり、主夫的な生活をはじめた。子どもの翔太は病院に通っても日増しに湿疹がふえた。弘明は最後にたどりついた病院で、女医からステロイドを断つことをすすめられた。それと同時にレンファントという一番強力なステロイドももらった。弘明は悩みながらもステロイドを断つことにするが、仕事とうまくいかない子供への失望で疲れた妻に冷た…

  • 純文学1000本ノック 91/1000 奥野紗世子『逃げ水は街の血潮』

    どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『逃げ水は街の血潮』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の工藤朝子は顔のかわいさによって地下アイドルになり、若くて将来有望な社会学者とも付き合っている。二十六歳で若さとかわいさの価値の下落を感じ、昔からあった男性社会への嫌悪感もあいまり、新宿の業界人がつどうバーを襲撃、放火し、そこにいた同じアイドルグループの星島ミグをつれて、温泉街に逃げる。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 一人称で、主人公の独白的な意識をおもに、短く、歯切れよく描いていく。冒険した文体だと思う。表現でおもしろい箇所は多いが、全体的には現代的な俗語の強さに頼っているようにも感じ…

  • 純文学1000本ノック 90/1000 吉行淳之介『夕暮れまで』

    どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の後期代表作『夕暮れまで』。設定は中年男性と二十代前半の女性のカップルということもあり、社会現象を起こした作品です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の佐々は四十過ぎで既婚者だが、二十三歳の杉子と愛人のような関係を持っている。ただ、杉子は処女でいることで将来の結婚を守ろうと、性交は行わずオリーブオイルを太ももに塗って佐々のペニスを挟む。二人は一年以上その状態を続けているが、杉子はヤクザな若い男を追いかけるようになっていく。その男と一線を越えた杉子は佐々にも身体を許し、若い男にも逃げられてしまうが、佐々は重みを増した関係から逃げようとする。 2.作品解剖 (1)…

  • 純文学1000本ノック 89/1000 多和田葉子『かかとを失くして』

    どうも、こんにちは。 今回はドイツ在住作家の多和田葉子のデビュー作『かかとを失くして』です。 1.ざっくりあらすじ 書類結婚によって海外に一人で来た主人公は、部屋にこもり姿を見せようとしない夫と生活を始める。主人公は町の生活事情を知るために学校へ行く。夢の中で夫と会うがその動きや話は町の人たちによってつくられていく。毎朝起きるとお札が部屋に置いてある。主人公が出会う女たちの多くは書類結婚という境遇を否定的に見ている。五日目の日、主人公は錠前屋に行って夫の部屋の鍵を開けてもらう。ベッドの上には死んだイカがいた。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 一人称で句点をあまり使わず、意識のままに進めていくよ…

  • 純文学1000本ノック 88/1000 石川淳『焼跡のイエス』

    どうも、こんにちは。 今回は無頼派の一人と言われた石川淳の短編『焼跡のイエス』です。 1.ざっくりあらすじ 規制前最終日に上野の闇市を通った主人公は、屋台にいる女の肉づきのいい足に見惚れている。隣のイワシ屋に一人の身なりの汚い少年があらわれ、追い立てられる。少年の堂々とした所作と周りがその汚さから近づけないことから、主人公は少年をイエスのようだと思う。少年は主人公が見ていた女の足に抱きつく。姿勢を崩した女は主人公の方へ来て、主人公は欲を持って受け止めるが転んでしまう。一瞬の間に少年はいなくなり、主人公も当初の予定を果たすため上野山に登る。途中で振り向くと少年が追いかきていて、その姿はイエスでは…

  • 純文学1000本ノック 87/1000 吉行淳之介『砂の上の植物群』

    どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の代表作の一つ『砂の上の植物群』です。デビューから十年ほど経ったあとの作品です。 1.ざっくりあらすじ 伊木一郎という化粧品のセールスマンをする男が主人公。彼は三十四歳で死んだ父の呪縛に捉われている気がしていたが、友人の葬式に行ってからそのことを忘れる。そんなおり、ある女子高生と関係を持ち、その姉をひどい目にあわせてほしいと依頼を受ける。姉である京子の働くバーで声をかけ関係を持つが、のめり込んでいってしまう。そんななか、父と旧知の理容師に教えられ、京子という腹違いの妹がいることを知る。主人公はふたたび父の影を感じる。しかし、理容師から腹違いの妹は既に死んだ…

  • 純文学1000本ノック 86/1000 吉行淳之介『原色の街』

    どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の『原色の街』です。作者の創作初期に当たる作品です。 1.ざっくりあらすじ 三人称複数形で、主な主人公は娼婦のあけみ、汽船会社勤めのサラリーマン元木英夫という形。狭い路地にネオンのかがやく娼婦の街で三か月ほど経ったあけみは、行き場は他にないと思って情も身体の快感も覚えない金のみによる性行為を淡々とこなしている。しかし、同僚に連れてこられた元木と出会い愛情と性の目覚めの予兆を感じる(元木が酔っていて関係はもたなかった)。あけみは薪炭商で財を成した男とのセックスの際に身体の快感を得る。今後の自分が不安な中、一回きりで訪れない元木の幻想に憎しみを覚える。元木は見…

  • 純文学1000本ノック 85/1000 吉行淳之介『驟雨』

    どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の『驟雨』です。1954年に芥川賞を受賞した短編小説です。 1.ざっくりあらすじ サラリーマンをしながら、しばらく結婚の意志はなく娼婦通いをする山村英夫という主人公が、道子という娼婦に惹きつけられ複雑な感情をいだくまでを追った作品。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ 三人称と三人称の形をして主人公の一人称的な部分が混じった文体。隠喩や言葉の細やかな表現がうまい。感情の機微がわかりやすくうまい。 (2)構成★★☆ おおむね時系列に沿う形で、出会いの回想などがところどころ入る。作品が短いため、短いシーンで次の展開に飛ぶことが多い。 (3)論理★★☆ 特に矛盾点は…

  • 純文学1000本ノック 84/1000 アルベール・カミュ『異邦人』

    どうも、こんにちは。 今回はアルベール・カミュの『異邦人』です。ノーベル文学賞を受賞した作者のデビュー作です。昔一度読んで、最近もう一度読みました。 1.ざっくりあらすじ 主人公の私の母の死から始まる物語。私は、葬儀に行った翌日に海水浴に行き、以前同じ職場で働いていたマリイと会い、映画を観て身体の関係を持つ。その後、隣人のレエモンがアラビア人ともめごとを起こしているのを知り、言われるがままに協力する。レエモンの誘いでマリイも連れてレエモンの友人の海辺の別荘に行き、ついてきたアラビア人たちとひと悶着ある。私はもめごとのあとに一人で海辺を散歩し、ふたたび出会ったアラビア人を撃ち殺す。はじめ簡単かと…

  • 純文学1000本ノック 83/1000 大江健三郎『死者の奢り』

    どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『死者の奢り』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の短編小説です。一読してみましたが、内容は理解しきれなかったです。 1.ざっくりあらすじ アルバイトとして割のいい大学病院の死体運びを申し込んだ仏文科学生の僕。死体運びをしながら、幻聴として死者の声を聞き、それと会話する。僕は非常にあいまいな感情を有していて、生活や未来に希望を持っていない。そのことを他者に説明することは骨がおれるし百パーセント理解されることもないと考えている。一緒に作業していた女学生は妊娠していて堕胎費用を稼ごうとしていた。しかし、死体を見ているうちに産もうと思ったが、…

  • 純文学1000本ノック 82/1000 大江健三郎『人間の羊』

    どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『人間の羊』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の短編小説です。 1.ざっくりあらすじ 家庭教師のバイト終わりにバスに乗り込んだ主人公の僕は、陽気に酔っぱらった外国人兵たちの間に座ってしまう。外国人兵たちと一緒にいた日本人の女が公衆の面前でのあからさまなアプローチを嫌って僕に寄りそってくるが、僕は周囲からの視線に耐えられず女を突き放す。ちょうどバスの揺れと重なって、女は仰向けに倒れた。そのことに激怒した外国人兵は僕のズボンを脱がし車内で立たせる。そして、指で僕の尻を叩きながら歌った。外国人兵たちはエスカレートし、後部座席の乗客の尻も出さ…

  • 純文学1000本ノック 81/1000 大江健三郎『飼育』

    どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『飼育』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の当時最年少だった芥川賞受賞作です。 1.ざっくりあらすじ 戦時中、谷間の村に父と弟と三人で住む主人公の僕。町との橋は大雨による土砂崩れで塞がれ交流はしばらくたたれていたた。そんなある日、アメリカ軍の飛行機が村に墜落する。大人たちが生き残った一人の黒人兵を捕虜として村につれてくる。大人たちはその処理に困るが、子どもたちは興奮し、黒人兵の奇妙な飼育が始まる。僕や村の人々はやがて黒人兵と心を通わせはじめる。しかし、県庁からの伝令におののいた僕は黒人兵を助けようとして逆に人質にされてしまう。結局、黒…

  • 純文学1000本ノック 80/1000 大江健三郎『万栄元年のフットボール』

    どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『万栄元年のフットボール』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の代表的作品として世界中で読まれている作品です。 1.ざっくりあらすじ 妻との間に生まれた赤ん坊が重い障害をもっており、養護施設に預けてきた主人公の蜜は、東京で妻と退廃的な生活を送っていた。そこへアメリカから帰ってきた弟の鷹が新しい生活をしなければいけないと助言し、一緒に故郷の四国へ行くことを進める。彼らは谷間の町へ帰るが、鷹はそこの若者を訓練し百年前に先祖が起こした一揆の再現を画策する。最初止めていた蜜は次第に関わらないようになる。冬を迎えて外部との接触が断たれたときに鷹の…

  • 純文学1000本ノック 79/1000 遠野遥『破局』

    どうも、こんにちは。 今回は遠野遥の『破局』です。2020年芥川賞を受賞した本作。 1.ざっくりあらすじ 高校時代ラグビーをしていた主人公の陽介は、母校のコーチをしながら大学入学後も身体を鍛え続けている。彼は性欲に悩まされつつも、女性に優しくしろ、という短い間しか共に住まなかった父からの教えを守り、彼女を大切にしようとしている。しかし、灯という女性との出会いから、彼女を裏切り乗り換えてしまう。その後、ラグビーでも教え子から毛嫌いされる存在だということに気づき、彼女となった灯の開花した性欲と自分の浮気を引き金に灯の存在も失ってしまう。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 淡々と描かれる肉体感覚が特徴…

  • 純文学1000本ノック 78/1000 安部公房『砂の女』

    どうも、こんにちは。 今回は安部公房の『砂の女』です。作者の代表的作品として、世界各国で翻訳されて読まれています。 1.ざっくりあらすじ 砂丘へ昆虫採集に出た男は、砂丘にある部落に一泊するつもりが、深い砂の穴に埋まりかけた家に監禁される。そこには女がいて、毎晩家が埋まらないように砂かきをしている。男は何度も逃走を試みるが、ことごとく失敗し、最後には、逃げられたのに関わらず逃げない。 2.作品解剖 (1)文体★★★ フィクションの世界を現実に創り出していると思った。ひらがなの多い言語感覚に、「錆びたブランコをゆするような、ニワトリの声」などオリジナルな比喩表現を多用している。三人称で描かれている…

  • 純文学1000本ノック 77/1000 中上健次『岬』

    どうも、こんにちは。 今回は中上健次の『岬』です。作者は本作で芥川賞を受賞しました。続編として『枯木灘』、『地の果て 至上の時』があります。 1.ざっくりあらすじ 二十四歳の秋幸は、義兄の組の土方として働いている。紀州の田舎で秋幸を取り巻くのは、種違いの兄妹や腹違いの兄妹との複雑な血縁関係である。秋幸はそれを無視しようとしている。しかし、身内での刺殺事件が起こり、秋幸の周りの関係は崩れ始める。秋幸は嫌っている荒くれ者な実父の血を感じながら、売春宿ではたらく腹違いの妹と交わる。 2.作品解剖 (1)文体★★★ ‟母は、どなった。”という風に読点を多用し、短文で区切った文章を重ねていく文体。三人称…

  • 純文学1000本ノック 76/1000 加藤秀行『サバイブ』

    どうも、こんにちは。 今回は加藤秀行の『サバイブ』です。作者は本作で文学界新人賞を受賞しデビューしています。 1.ざっくりあらすじ 高校生までを柔道一筋で過ごしてきた主人公のダイスケは、目標もなくカジュアルなバーでアルバイトをしながら、共に外資系につとめる亮介とケーヤの3LDKの家に居候をしている。二人にくらべて時間に余裕のあるダイスケは家事をすることで、二人からお金をもらっている。亮介の代役で会社のフットサルに参加したダイスケは、レナという外資コンサルで働く女と出会い付き合う。やがてケーヤは仕事を首になり、空いた部屋にレナが入った。 2.作品解剖 (1)文体★★☆ ブランドの固有名詞をたびた…

  • 純文学1000本ノック 75/1000 砂川文次『市街戦』

    どうも、こんにちは。 今回は砂川文次の『市街戦』です。作者は本作で文学界新人賞を受賞しデビューしています。 1.ざっくりあらすじ 大学卒業後、自衛隊に入ったKは幹部候補生としての最後の総合訓練を受けていた。総合訓練では100kmにおよぶ行程を歩かなくてはいけなかった。そのなかでKは、大学卒業間際の進路決めを主に、過去のさまざまなことをうつつの中にも思い出した。Kは訓練の終盤に差し掛かると、過去から決別していく。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 実際に自衛隊員だった作者によるリアルで密度のある訓練描写だった。そのあいまに夢とも現実ともつかない思い出が見えてくるが、描き方も非常にうまかった。 (2…

  • 純文学1000本ノック 74/1000 沼田真佑『影裏』

    どうも、こんにちは。 今回は沼田真佑の『影裏』です。作者は本作で文学界新人賞を受賞しデビューしています。その後、本作で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 本社から岩手県にある子会社へ異動となった今野は、地元の社員たちと深くなじむことができず、そのなかで唯一都会風の考え方をする同年代の日浅と釣り仲間になった。彼らはしょっちゅう遊ぶが、日浅の転職を機に会うことが減ってしまう。日浅は似合わない営業マン風の恰好で今野の前に現れる。また交流がはじまるが、日浅はノルマの厳しさから今野に商品を勧める。今野は購入したが、その後仲たがいしまた音信が減っていく。そこに、東日本大震災が起き、今野は日浅の…

  • 純文学1000本ノック 73/1000 金子薫『アルタッドに捧ぐ』

    どうも、こんにちは。 今回は金子薫の『アルタッドに捧ぐ』です。作者は本作で文藝賞を受賞しデビューしています。 1.ざっくりあらすじ 大学院試験に落ちた主人公の本間は、死んだ祖父の家に住みながら小説を書いていた。その途中で、小説の主人公であるモイパラシアが死んだ。その死は本間が考えていたストーリーではなく、原稿用紙の上に現れたモイパラシアの左腕とともに本間は原稿用紙を土に埋める。それから小説世界に出ていたトカゲのアルタッドやサボテンのアロポポルが現実に現れ、本間はその世話をしながら生活する。純粋に小説を書きたい本間は自分の俗物的な欲に辟易としながらも、最後に昔の恋人と点描を描くことで純粋な時間を…

  • 純文学1000本ノック 72/1000 中上健次『枯木灘』

    どうも、こんにちは。 今回は中上健次の『枯木灘』です。 1.ざっくりあらすじ 種違いの四人兄妹の末っ子で幼かった秋幸は母フサに連れられ、地元で建設業を営んでいる竹原繁蔵の家に引き取られた。秋幸は二十六歳になり父龍造そっくりの巨体に成長し繁蔵の会社で現場監督として働いた。種違いの姉美恵の娘である十六歳の美智子が妊娠し帰省してきたことで、秋幸は自分を取り巻く複雑な血のつながりを考え始める。結局秋幸は過去に親に捨てられたことを怨み、自分と母を殺そうとした種違いの兄郁男のように、腹違いの弟秀雄を殺してしまう。 2.作品解剖 (1)文体★★★ はじめは登場人物の見分けがつかず、非常に読みにくいと思った。…

  • 純文学1000本ノック 71/1000 大江健三郎『見るまえに跳べ』

    どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『見るまえに跳べ』です。日本人二人目のノーベル文学賞作家である作者の初期短編集です。 1.ざっくりあらすじ 大学生の主人公は、身体の内側にも外側にもにがい静寂を持ち、政治にも生活にも無関心で生活している。主人公は娼婦を生業とする良重の下宿に二年同棲し、生活費をもらって大学に通っている。あるとき、良重の情人である記者のガブリエルから日本人のことを、見るだけで跳べないやつらだ、と馬鹿にされ、怒ってガブリエルを殴打する。その後、良重との変わらない生活が続くが、浪人生の裕子の家庭教師を務めるうちに二人は身体の関係を持ち、裕子に子どもができる。主人公は子どもを育て…

  • 純文学1000本ノック 70/1000 町屋良平『青が破れる』

    どうも、こんにちは。 今回は町屋良平の『青が破れる』です。2016年文藝賞を受賞した本作。作者はその後、『1R1分34秒』で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ フリーターをしながらプロボクサーを目指す秋吉。友人のハルオから誘われ、その恋人の難病にかかっているとう子を見舞いに行く。秋吉は人の気持ちとの向き合い方がよくわからず、プロボクサーを目指す覚悟もあいまいになったり、人妻である夏澄との恋もうまくいかなかったりして、ぼんやり過ごしている。そのうち、とう子と夏澄とハルオが死ぬ。結局秋吉は自分の肉体を信じて動き出す。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 冒頭はハルオの「あいつ、ながくないら…

  • 純文学1000本ノック 69/1000 畠山丑雄『地の底の記憶』

    どうも、こんにちは。 今回は畠山丑雄『地の底の記憶』です。2015年文藝賞を受賞した本作。 1.ざっくりあらすじ 平坦な特徴の少ない宇津茂平(うづもひら)という土地に潜む記憶をたどっていくというような物語。なにも娯楽のない宇津茂平には田舎に見られがちな尾ひれをつけた噂話が娯楽の一種として大人から子供にまで染み込んでいる。小学校高学年の晴男は、井内という痩せすぎのクラスメイトの女の子に友人との酒盛り見られたことをきっかけに親密になる。森にある水車小屋の近くで川遊びをしたときに見つけたラピスラズリから、二人は人形を妻と呼ぶ男、青田と知り合いになる。それをきっかけとして、この地に眠る古い記憶が、噂話…

  • 純文学1000本ノック 68/1000 若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』

    どうも、こんにちは。 今回は若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』です。2017年文藝賞を受賞し、その後芥川賞も受賞している本作。 1.ざっくりあらすじ 若いころ、故郷から第一回東京オリンピックのファンファーレとともに東京へ一人で出てきた桃子さん。故郷が同じ周造と出会い、結婚し、子ども二人を育て上げた。しかし、愛する周造に先立たれ、孤独や自分の無価値感から自分の裡との会話が東北弁ではじまる。桃子さんは今まで他人に合わせ、他者のために生きようと思っていたが、その心の根底には、自由に生きたいというエゴがあり、ようやくそれを自認することができる。 2.作品解剖 (1)文体★★★ タイトルからして特異な…

  • 純文学1000本ノック 67/1000 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』

    どうも、こんにちは。 今回はロシア出身の世界的文豪ドストエフスキーの晩年の代表作『カラマーゾフの兄弟』です。昔一度『罪と罰』で挫折して以来とっつきにくかった作者に再び挑戦してみました。 1.ざっくりあらすじ 父フョードル、長男ドミートリイ、次男イワン、三男アレクセイからなるカラマーゾフ家の事件を題材にした本作。金と色欲に溺れた父は、息子たちを放っておき、やがて人に引き取られていったが、長男の帰宅を機にみんなが同じ町に揃う。父と長男の金銭問題と恋愛問題がロシア全土を賑わす『父殺し』の事件まで発展する。長男は無実だったが、有罪が確定し、次男により脱走計画が企てられる。 2.作品解剖 (1)文体★★…

  • 純文学1000本ノック 66/1000 中上健次『十九歳の地図』

    どうも、こんにちは。 今回は中上健司の『十九歳の地図』です。四十六歳という若さでこの世を去り、日本文学界においてもはや伝説的な存在となった作者のデビュー作です。 1.ざっくりあらすじ 東京で予備校生として新聞配達員として働きながら、新聞配達員たちの寮に住む十九歳の貧しい主人公は、配達先で気に入らない人や金持ちがいると地図に×印をつけ、自分の地図を作り、自分なりの処罰を妄想の中で与えている。彼は勉強をする意味も社会で成功する意味もわからず予備校にはほとんど通わずに過ごしている。彼は自分自身に対する投げやりな感情から、×印のついた配達先の家に脅迫電話をする。その癖はエスカレートしJRにたいして車両…

  • 純文学1000本ノック 65/1000 志賀直哉『城の崎にて』

    どうも、こんにちは。 今回は志賀直哉の『城の崎にて』です。今でもその緻密な描写力に定評のある、志賀直哉の短編代表作の一つです。 1.ざっくりあらすじ 電車にひかれ、大けがをした主人公は、城崎温泉に療養旅行に行く。彼はそこで、宿で見た死んだ蜂や、川でなぶり殺されそうになっていた鼠、山のふもとで誤って殺してしまったいもりに死を感じ、自分と重ね合わせる。 2.作品解剖 (1)導入★★☆ ‟山手線の電車に跳ね飛ばされて怪我をした、その後養生に、一人で但馬の城崎温泉に出掛けた。”からはじまる本作。短編ということもあり、簡潔に出来事を並べ、今現在の状況を説明している。 (2)描写★★★ 非常に短い短編にも…

  • 純文学1000本ノック 64/1000 遠野遥『改良』

    どうも、こんにちは。 今回は遠野遥の『改良』です。2019年文藝賞を受賞した本作。その後、作者は『破局』で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 美しいものに憧れ、女装をする大学生の主人公は、女性への性欲をデリバリーヘルス嬢で満たしながらも、過去に同級生の男の子からレイプまがいのことをされたため、そういった男性へ嫌悪感を持っている。主人公の思う女装は完成していき、周囲に見せるが思っていたのとは違う反応が返ってくる。 2.作品解剖 (1)導入★★☆ ‟小学生の頃、一年間ほどスイミングスクールに通っていた時期があった。”からはじまる本作。退屈なはじまりに思えたが、どぎついエピソードと、不感…

  • 純文学1000本ノック 63/1000 上田岳弘『太陽』

    どうも、こんにちは。 今回は上田岳弘の『太陽』です。2013年新潮新人賞を受賞した本作。その後、作者は『ニムロッド』で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 現代と同じ人類の「第一形態」にある人々の群像劇が中心となっている。その中で、不老不死が実現されなにもかもが一般化した人類の「第二形態」を終わらせる存在となった田山ミシェルの祖先たちの運命的な出会いがある。 2.作品解剖 (1)導入★★☆ ‟厳密に言えば、太陽は燃えているわけではない”からはじまる本作。その後、太陽の成り立ちが語られ、春日晴臣という最初の登場人物の話に入っていく。視点人物は定まることなく、春日へサービスをした風俗嬢で…

  • 純文学1000本ノック 62/1000 高尾長良『肉骨茶』

    どうも、こんにちは。 今回は高尾長良の『肉骨茶』です。2012年新潮新人賞を史上最年少受賞し、芥川賞候補にもなった作品です。 1.ざっくりあらすじ 拒食症の赤猪子が母と訪れたシンガポール・マレーシアツアー中に食事から逃れるため、以前自分の高校に留学にきていたゾーイーを頼り、抜け出す。シンガポール人のゾーイーは兄の別荘に赤猪子と別で日本から旅行にきた紘一とともに過ごそうとする。赤猪子はゾーイーたちに気付かれないようにカロリー消費のための運動をしたり食事をしないようにしたりするが、気付かれて次第に追い詰められていく。 2.作品解剖 (1)導入★★☆ ‟シンガポールからマレーシアへの入国審査の列の手…

  • 純文学1000本ノック 61/1000 中村文則『銃』

    どうも、こんにちは。 今回は中村文則の『銃』です。2002年新潮新人賞を受賞し、芥川賞候補にもなった本作。作者はその後芥川賞を受賞し活躍しています。 1.ざっくりあらすじ ある日、偶然拳銃を拾ったニヒルな大学生。拳銃の美しさに魅了され、翻弄されていくさまを徹底的に追いかけた作品。 2.作品解剖 (1)導入★★☆ ‟昨日、私は拳銃を拾った。”からはじまる本作。その後、拳銃の美しさが語られて拾った経緯に物語が入っていく。印象的で目を引くが、「私」という一人称が海外文学の翻訳のようにたびたび登場し、最初は困惑した。 (2)描写★★☆ 詩的な部分はすくないが主人公の内面に沿った描写が最後まで丁寧に描き…

  • 純文学1000本ノック 60/1000 古川真人『縫わんばならん』

    どうも、こんにちは。 今回は古川真人の『縫わんばならん』です。2016年新潮新人賞を受賞し、芥川賞候補にもなった同作。作者は2020年に『背高泡立草』で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 長崎の島の一族の物語である。一族が一つの島で繁栄した時代は過ぎ、現在は散り散りとなって、生活している。三人称で描かれており、視点人物は章の度に変わる。最後の第三章では視点人物が入り乱れることもある。人の死、あるいは一族の死(離散)を通して、記憶をたどる行為、なぜ人間にはそれが必要なのか、ということが描き出されていく。 2.作品解剖 (1)導入★★☆ ‟「もしもし。内山さん? 渡辺やけど、今週は何が…

  • 純文学1000本ノック 59/1000 高橋弘希『指の骨』

    どうも、こんにちは。 今回は高橋弘希の『指の骨』です。2014年新潮新人賞を受賞し、2015年同作で芥川賞候補になっています。 1.ざっくりあらすじ 第二次世界大戦中、南方前線のパプアニューギニアへ移送された主人公は、所属部隊が作戦によりほぼ壊滅するなか、銃弾を三発受けながら生還し、野戦病院に収容された。病院内で絵を学ぼうとしていた清水や幼い子どもを日本に置いてきた眞田、軍医などと交流を深める。病院内ではマラリアや風土病により、次々と人が死んでいく。その日々のなかで、戦場で一度死の感覚を忘れた主人公はあらためて死と向き合いはじめる。清水と眞田が死に、眞田の指の骨を預かった主人公は、連合軍が侵攻…

  • 純文学1000本ノック 58/1000 三国美千子『いかれころ』

    どうも、こんにちは。 今回は三国美千子の『いかれころ』です。2018年新潮新人賞を受賞し、2019年同作で三島由紀夫賞も受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 四歳の奈々子を主人公とし、未来の奈々子が語り手となって物語は進んでいく。奈々子がうまれた杉崎家は古くからの因習が色濃く残る村にあり、杉崎家の者たちもその呪縛に縛られながら、あるいは誇りにしながら生きている。女児の目線で本家の女たちの噂話を盗み聞きしたり、それについて考えたりする。奈々子が信頼している、心優しくも精神を病んだ叔母は結納金を払って婚約させられるが、破棄してしまう。癇癪持ちで精神の安定しない母の久美子と、口だけでうだつのあがら…

  • 純文学1000本ノック 57/1000 乗代雄介『十七八より』

    どうも、こんにちは。 今回は乗代雄介の『十七八より』2015年群像新人文学賞を受賞した作品です。 1.ざっくりあらすじ 「私」が亡くなった叔母のことを考えて、十七八のころの自分である「少女」を回想していく。少女は保健の授業で性的な発言をしたり、家では会話を面白い方向に進ませようとめちゃくちゃな嘘をついたりする。そして、叔母の前だけではなんらかの共通認識により、本心をさらけだす。放課後個人講習してくれる国語教師との関係を噂され、今の「私」からは恥ずかしいような言動や行動をする。 本作は筋があるようでない、ないようである作品である。 2.作品解剖 (1)導入★★☆ ‟過去を振り返る時、自分のことを…

  • 純文学1000本ノック 56/1000 石井遊佳『百年泥』

    どうも、こんにちは。 今回は石井遊佳の『百年泥』2017年新潮新人賞を受賞し、2018年芥川賞を受賞した作品です。 1.ざっくりあらすじ インドのチェンマイに住み、IT企業で日本語を教える主人公は、百年に一度の洪水に遭う。洪水が収まりはじめてから、会社へ向かうが、途中の橋の上で大量の泥が積まれてるのを見つける。その泥を片付ける作業をしている美青年のデーヴァラージは、主人公の生徒だった。百年の堆積から解き放たれた泥からは、誰かの思い出の人や品が出てくる。主人公もそのなかから、元旦那との離婚の思い出の品や母との思い出の品が溢れ出てくる。大阪万博のコインをみつけたデーヴァラージから、彼の物語が溢れ出…

  • 純文学1000本ノック 55/1000 岡本学『架空列車』

    どうも、こんにちは。 今回は岡本学の『架空列車』。2012年群像新人文学賞を受賞した作品です。 1.ざっくりあらすじ 人生に疲れた男が、ひとりで東北の海沿いの街に住み始める。生産的な活動を一切せずに過ごそうとしていた男は退屈に疲れ、無為な活動として街に架空列車を作り始める。路線は徐々に増えていき、自転車で架空の時刻表通りに走る実運行を繰り返す男は架空列車に手ごたえを覚える。そんなおり、東日本大震災が起こり、街は津波に飲み込まれる。男は自分の架空列車のために架空路線の瓦礫を撤去して過ごす。その過程でさまざまなものを失った人々に出会い、自分とのギャップに悩むが、最終的に、彼らの失ったものも今では架…

  • 純文学1000本ノック 54/1000 波多野陸『鶏が鳴く』

    どうも、こんにちは。 今回は波多野陸の『鶏が鳴く』。2013年群像新人文学賞を受賞した作品です。 1.ざっくりあらすじ 高校三年生で受験勉強や恋愛などに悩む杉本伸太は、小中高を共にしたバンドメンバーでもある引きこもりの二階堂健吾への複雑な思いを抱きながら、夜中健吾の家に侵入する。伸太は相手を見下すという方法で、健吾からの精神的勝利を得ようとするが、健吾から本音で話そうという反撃を受けて、次第に本音でぶつかっていく。健吾は伸太の侵入を事前に知っており、それを利用し三年間引きこもりをしている弟の自意識を刺激する作戦を決行する。伸太は最終的に健吾の悩みに寄り添い、自分なりの考えを話す。 2.作品解剖…

  • 純文学1000本ノック 53/1000 横山悠太『吾輩ハ猫ニナル』

    どうも、こんにちは。 今回は横山悠太のデビュー作『吾輩ハ猫ニナル』。2014年群像新人文学賞を受賞し、芥川賞候補にもなった作品です。 1.ざっくりあらすじ 中国在住の日本人(おそらく作者)による中国人からみる日本語の難しさ(漢字・ひらがな・カタカナ)について語られ、彼は日本語を勉強する中国人向けの小説を書こうと思う。 日中ダブルの駿(かける)は育った上海を離れ、蘇州の大学に進学した。彼が過去を思い返したり、三毛猫に出会い「先生」と呼んでみたり(吾輩は猫であるの逆)、亡くなった父のいた日本に一人で旅に行ったりする話である。 2.作品解剖 (1)導入★★☆ 序文は本文の解説のようなものである。本文…

  • 純文学1000本ノック 52/1000 崔実(チェ・シル)『ジニのパズル』

    どうも、こんにちは。 今回は崔実のデビュー作『ジニのパズル』。2016年群像新人文学賞を受賞し、芥川賞候補にもなった作品です。 1.ざっくりあらすじ 在日朝鮮人として生まれたジニは、小学生まで日本の私立学校に通っていたが、中学生になるときに朝鮮学校に入学した。彼女はそこで起こした出来事によって、日本にいられず、アメリカでホームステイしながら高校生活を送っている。彼女はアメリカの学校も退学になりそうになり、自分の過去と向き合いはじめる。 2.作品解剖 (1)導入★★☆ ‟その日も、いつもとなんら変わらない日だった”からはじまる導入部分。感受性の高いジョンという子が一人で泣いている教室で誰も彼の存…

  • 純文学1000本ノック 51/1000 李琴峰『独り舞』

    どうも、こんにちは。 今回は李琴峰『独り舞』。2017年群像文学新人賞を受賞した本作。作者は台湾人として生まれ、第二言語の日本語で書かれています。日本人を凌駕するその筆力には素直に脱帽してしまいます。 1.ざっくりあらすじ 台湾生まれのレズビアンの趙紀恵は、‟生の辛さが我慢できる範疇を超えてしまったら”死を選ぶという死生観を持ち、暗い過去の記憶を振り切るために日本に出て来て生活している。しかし、会社などでカミングアウトできないことで、ストレスのたまる日常を送り、彼女に振られたことで精神状態が悪化してしまう。そこから彼女はひたすら過去の苦しい記憶を辿っていく。そして、過去の呪縛がある事件で現実に…

  • 純文学1000本ノック 50/1000 北条裕子『美しい顔』

    どうも、こんにちは。 今回でようやく50回を迎えます。記念すべき50回目は、東日本大震災にあった女子高生を描いた北条裕子の『美しい顔』。2018年群像新人文学賞を受賞し、芥川賞の候補にも選ばれましたが、盗作疑惑などで世間を騒がせた本作。 区切りもいいので、前回までとは違う形式の感想にしようと思います。三つ星で個人的な評価をわけて、作品を見ていきます。 1.ざっくりあらすじ 東北の海辺の町に住むサナエは、東日本大震災の津波によって家を失い、弟と二人で避難所生活を送っている。母を探す中、マスコミからの取材を受け、悲劇のヒロインを演じることにハマっていく。母は死んでいる、という思いが芽生えていくなか…

  • 純文学1000本ノック 49/1000 モーパッサン『脂肪の塊』 人間のエゴの醜さを暴く

    どうも、こんにちは。 今回は、20世紀初頭の日本文学にも大きな影響を与えたフランスのモーパッサンの処女作『脂肪の塊』。 1.読後感 なんともいえない後味の悪さが胸に残った 2.ざっくりあらすじ (1)普仏戦争 フランスとプロイセン王国(現ドイツ)との間におこった戦争の最中、プロイセン軍から占領されたフランスのルーアンに住んでいた富裕層たちは、脱出のため乗合馬車で、まだ占領されていないル・アーヴルへ逃れようとした。そこには富裕層のほかに一人の娼婦が乗り込んだ。彼女は、その太った姿から「ブール・ド・シュイフ:脂肪の塊」というあだ名をつけられていた。乗客たちは彼女を蔑んで見ていた。 (2)進まない道…

  • 純文学1000本ノック 48/1000 夏目漱石『門』 あらすじ&解説と魅力

    どうも、こんにちは。 今回は、夏目漱石の『門』。『三四郎』、『それから』に続く三部作のラスト。 1.読後感 御米と宗助の認識の違いにやるせないかなしさを感じた。 2.ざっくりあらすじ (1)小六の問題 薄給の役所勤めの宗助は、妻の御米と共に日々の忙しさでぼんやりと過ごし、弟の小六の今後の進学についての問題を、叔父夫婦の佐伯へ話をしないまま過ごしている。才気活発な小六はそんな兄の姿を見て、はやく話し合いをしてくれと談判しにくる。 (2)二人の過去 御米はその昔、宗助の親友の安井の妻だった。宗助は若さからくる熱情でそれを奪う形で妻としたため、親や親族からは勘当され、志半ばに大学を中退し御米とともに…

  • 純文学1000本ノック 47/1000 夏目漱石『それから』 のらくら男が動くとき

    どうも、こんにちは。 今回は、夏目漱石の『それから』。『三四郎』からはじまる三部作の一つに数えられている名作です。 1.読後感 不安、焦燥、孤独のなかに突き進んでいくようなもの悲しい気持ちにさせられた。 2.ざっくりあらすじ (1)代助 三十歳で無職の代助は、大学を卒業後、実業家の父に金をもらいながら、家を構え本を毎日読む生活を送っていた。潔癖な性格の代助には父や同じく父の会社で働いている兄などの欺瞞が感じられ、そういった生活を送ることは全く考えられなかった。 (2)転機 三年前送り出した大学の同期の平岡が代助を訪ねて来た。平岡の妻は代助が仲人を務めた三千代という女だった。平岡は京都での仕事で…

  • 純文学1000本ノック 2/1000 カミュ『異邦人』 ムルソーには異邦人たる自覚はあったのか。

    どうも、こんにちは。 今回はアルバート・カミュの『異邦人』を読んでみたよ。 1.読後感 ぬるぬるとした感じだね。もちろん最後の解説まで読んだわけだけど、彼はなぜ頑なに「嘘をつくこと」や「演じること」を選ばなかったんだろうという疑問は消えぬまま、舞台となったアルジェリアの永い夏の海風を想像し、身体から力が抜けてしまうような感覚が残った。 2.ザックリあらすじ ムルソーは20代半ばほど(だと思う)で海運会社に勤める青年、寡黙で淡々とした性格で、他者やその物事に深く興味を深く示さない。しかし、欲望(空腹・性欲)などには非常に正直な面がある。 (1)愛するママンの死 彼の老人ホームにいた愛する母(ママ…

  • 『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』結局面白い?ネタバレ有無感想

    いや~~観てきました。『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』 僕自身は第2シリーズ(1・2・3三部作)からの劇場参戦組です。 その僕が観たままにまずはネタバレ無感想とネタバレ有感想で分けて書いたので、鑑賞までネタバレ見たくないよ、という方はネタバレ無感想のみ見てぜひ劇場へ。 〇ネタバレ無感想 〇ザックリあらすじ 〇ネタバレ有感想 〇ネタバレ無感想 文句ナシで面白かったですよ! 映画として、1つの作品として、完成されたものでしたね。映画アプリ「Filmarks」の評価は4.0と非常に高評価(2020.01.02現在) 一番今回良かったのが「絶え間ない展開」ですかね。 これによって上映中まっ…

  • 貧乏シティボーイの味方in札幌『手羽屋』で仲間と「いい肉」を囲もう

    今週のお題「いい肉」 いい肉の日、もう過ぎちゃったけどね。 今日は僕ら貧乏シティボーイの強い味方『手羽屋』をご紹介するよ。 ...場所は札幌 のここらへん。夏には、かの有名な日本一のビアガーデンを開いている大通り公園の横っちょにあるお店。ちなみに本家?系列?の『キィー』もその向かいくらいにあるよ。 ここのオススメは何と言っても手羽先。 「え?札幌で手羽先?」 僕も最初はそう思ったんだけど、これが食べ始めると手が止まらなくなって途中友達と話すのも忘れて食べ続けちゃうくらいに美味しいんだ。 こんな感じ。 これで17本、18本くらいあって800円くらいとコスパも最高の1品なんだ。ただ、相当な営業努力…

  • 『読書』第155回芥川賞を受賞した「コンビニ人間」から見る同調圧力と現代

    今回は風邪で会社を休んでしまった「貧乏シティボーイ」こと僕が読んだ本を紹介するよ。喉と鼻に来るやつで寝付けなくって辛いんだ。皆も気を付けてね。 ※ネタバレ注意 コンビニ人間 村田沙耶香著 今更ながらこれを読んだよ。風邪でフラフラしているときにテーブルに放ってあるのを見つけたんだ。それを見て彼女が珍しく本を買って、面白かったって言ってたのを思い出したのさ。 ーあらすじー 本ではコンビニを通して生きられるようになった女と周囲との生々しい関わりが描かれている。 独特な考え方や物事の捉え方で今まで社会や周囲と馴染めなかった主人公(古倉 恵子)がコンビニで働くことによって、ようやく安心して生きてられる場…

  • 『映画』「シティボーイ的必見作品 in AMAZON PRIME」

    はじめまして、こんにちは。 僕は東京に住む貧乏シティボーイを自称している。こういう人って結構いるよね? 突然だけど、僕らは「POPEYE」が大好きだ! ただ、そこに載っているものを見ても現実の僕らには手が出ないような物がてんこ盛り。例えば、僕は9月号あたりで載っていたサウナテントなんて脳汁モノだったけど、値段を見た瞬間にノックダウンだったね。 何て言ったってシティボーイの仕事には貧乏が付き物だからだ(ショップ店員・美容師・平凡なサラリーマンetc) 金は全能か?無職はゴミか? 今やシティボーイたちがこぞって聞いているSuchmosのAlrightで歌われている一節だ。 僕はシティボーイに必要な…

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