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  • 修道士カドフェル・シリーズ10「憎しみの巡礼」

    修道士カドフェル・シリーズ10「憎しみの巡礼」(ピーターズ著光文社文庫)を読みました。(カドフェルが遺骨をすり替えた)あの奇跡を起こす聖女ウィニフレッドを祀る日が近づきシュルーズベリ修道院は賑わっていた。若い人の少ない巡礼者の中で目立つひと組があった。賑やかに話す女商人のアリスとその姪のミランゲル甥で足の不自由なルーン。3人は、ルーンの足の回復を聖女に願うためにやって来たのだ。3人と連れになったらしい2人連れの青年は胸に大きな十字架を下げて裸足で歩くキアランとその連れのマシュー。キアランからかたときも離れようとしないマシューは兄弟でもなく、友だちでもないようだった。いったいどんな関係の2人なのか……(タイトルにある「憎しみの巡礼」とは誰のことなのか)薬草を栽培し、薬をつくり、修道院の医務役となっているカド...修道士カドフェル・シリーズ10「憎しみの巡礼」

  • 「さみしさは彼方」 書店カライモブックスの日々

    「さみしさは彼方カライモブックスを生きる」(奥田直美奥田順平著2023年2月岩波書店刊)を読みました。石牟礼道子に惹かれ水俣や天草に通っていた奥田直美・順平は故郷の京都に書店を開いて暮らしていくことにする。そこで考えた書店名が「カライモブックス」カライモとはサツマイモのことだ。しんとしたひとりの世界に生きているような直美それを窓から眺めているような気持ちで暮らしている順平娘の道(みっちん)の三人のくらしが見える。道は「かぜはみえへん」と言う。お父さんにも他の人にも見えているのに自分だけが見えていないと思っているようだ。「しんだら(救急車で)びょういんにいってなおすんやろう」と言った道に「死んだらおしまい。もう元には戻らへん」と言ったら大泣きした。えらそうなことを言っていいのに石牟礼道子は言わない水俣関連の...「さみしさは彼方」書店カライモブックスの日々

  • 「ムラブリ」 森の民の言葉

    「ムラブリ文字も暦も持たない狩猟採集民から言語学者が教わったこと」(伊藤雄馬著2023年2月集英社インターナショナル刊)を読みました。ムラブリは、タイとラオスの山岳地帯に住む少数民族だ。今は定住もしているけれどもともとは森で移動しながら暮らしていた。著者は、ムラブリの話す言葉、ムラブリ語の研究者だ。ムラブリ語は歌うように話される。文字はない。森を出て定住しているムラブリの村に住んで著者は調査をした。スーツケースにタイ語の辞書や調査票、身の回りのものを入れていた。泊めてくれた村長のタシーはスーツケースを見て「ものがとても多いね」と言った。ここがスタートだった。タシーはとても優れた調査協力者だったのでムラブリ語の「基礎的な語彙の収集」と「音の体系調査」はとてもうまくいった。音の調査には苦労した。母音が10もあ...「ムラブリ」森の民の言葉

  • 「師弟百景」

    「師弟百景技をつないでいく職人という生き方」(井上理津子著2023年3月辰巳出版刊)を読みました。小学生の時に家にあった(なぜあったのか)「あととりはいないのか」という本を読んだことを思い出しました。その頃から言われていた伝統的な技の後継者不足今は、どうなっているのでしょう。取り上げられているのは庭師仏師染色家刀匠宮大工茅葺き珍しいところで英国靴職人宮絵師洋傘職人……各章の扉には師匠と弟子が向かい合った写真がある(表紙と同じ)意外だったのは弟子よりも師匠にウエイトが置かれているところ。掃除は新入りの仕事的な徒弟関係には意義を感じない。(染色家志村洋子)入門して2週目には材料作りを教えられ、コテをプレゼントした。弟子のモチベーションを上げる仕組みを構築して来たのだ。(左官田中昭義)「背中を見て覚える」と「無...「師弟百景」

  • 修道士カドフェル・シリーズ9「死者の身代金」

    修道士カドフェル・シリーズ9「死者の身代金」(ピーターズ著光文社文庫)を読みました。今日もご機嫌にカドフェル・シリーズ。若いころ十字軍の兵士だったカドフェルは今はシュルーズベリ修道院で薬草を栽培し、作った薬で手当てをして修道院と地域の看護師役をしている。「死者」というのは州執行長官のプレスコート負傷して捕虜になっていたのを担架で返されて来たが(州執行副長官のヒューはカドフェルの若い友人だ)そのプレスコートが病床で口を塞がれて殺されていたのだ。この巻ではその謎が解かれる。今回も魅力的な脇役たちが登場する。人里離れた修道院が敵に襲撃された時に村の人たちの手を借りて見事に撃退したマグダレン修道女。杭を打ったり穴を掘ったりの敵の襲撃に備えての準備のくだりにワクワクさせられる。プレスコートと交換されるはずだった敵方...修道士カドフェル・シリーズ9「死者の身代金」

  • 「はるか、ブレーメン」

    「はるか、ブレーメン」(重松清著2023年4月幻冬舎刊)を読みました。新聞連載小説だったという本書主人公は高校生のはるかと幼なじみのナンユウ君だけれど想定されている読者は高校生ではないでしょう、たぶん。ブレーメンというのは「ブレーメンの音楽隊」のブレーメン?ブレーメンの音楽隊の動物たちは、ブレーメンにたどり着かなかったのだという。?はるかは周防市の一軒家にひとり暮らしている。2人で暮らしていた祖母が亡くなったためだ。身寄りは東京に住む大輔伯父さん(母の兄)一家だけ。はるかは高校を卒業するまではこの家で暮らすことを決めた。3才の時にはるかを祖母に預けて行ってしまった母がどこに暮らしているのかをはるかは知らない。父という人が存在していたかも知らない。ある日、一通の手紙が届く。個人旅行を扱っているブレーメン社か...「はるか、ブレーメン」

  • もやもやしたら、習慣かえてみたら?

    「もやもやしたら、習慣かえてみたら?」(一田憲子著2023年6月主婦と生活社)を読みました。どう生活を変えていけばいいのかのハウツー本ではありません。副題にあるように「37人が大切にしているルーティーン」をまとめたもの。37人の人に会ってその度に「自分」と照らし合わせてみているのが著者らしい。(文中に「わたし」とあるのは著者のことです)世界をひとまわり小さくすると何かいいことが起こりそうです。(絵本作家ヨシタケシンスケさんに会って)この先どうなるかかな?と考えるから「確かさ」が「不確かさ」にすり替わってしまいます。(輪島塗職人赤木明登さんに会って)一番やりたいことから一日を始めてみる。(料理家有元くるみさんに会って)ルーティンとは「考えずに続けられること」です。(引田かおりさんに会って)休むということは「...もやもやしたら、習慣かえてみたら?

  • 「しろがねの葉」

    「しろがねの葉」(千早茜著2022年9月新潮社刊)を読みました。第168回直木賞受賞作です。舞台は石見銀山父母と共に家を捨てて逃亡する途中ではぐれたウメは山をさすらっているうちに山師の喜兵衛に拾われる。ウメは夜目が効く。夜でも、ものが見えるのだ。喜兵衛はウメを手子(銀山で働く子ども)にすると引き取ったが、果たして本心はどうだったのだろうか。犬や猫の子でも拾うように拾っただけだったのだろうか。喜兵衛のもとで家の仕事をするようになったウメは銀の鉱脈を求めて山を巡る喜兵衛に従って山を歩き山に対する知識を身に付けていった。ウメの望みは「うちも間歩(まぶ・坑道)で稼ぐ。喜兵衛が死んでも、食うていけるようにじゃ」だ。望み通り手子になったウメはその見える目で重宝される。間歩で働く女の子はウメしかいなかった。しかし、それ...「しろがねの葉」

  • 冬の王シリーズ2「塔の少女」

    冬の王シリーズ2「塔の少女」(アーデン著2023年4月創元推理文庫)を読みました。翻訳家の金原瑞人さんが惚れ込んで出版をすすめられたという「冬の王」シリーズの第2巻です。舞台は冬のロシアロシアでは移動は川が凍る冬に川を道にして行われるものだった。風呂小屋の精バンニク家の精ドモヴォイ庭の精馬屋の精真夜中の精冬の王マロースカが見える少女ワーシャは村を追われ人の言葉を解する馬・ソロヴェイとともに旅を続けついにモスクワにたどり着く。モスクワには14才で貴族に嫁いだ姉のオリガと大公の側近になっている兄のサーシャ(修道士)がいた。その頃ロシアでは盗賊に襲われて村が次々に焼き払われるという事件が起こっていた。盗賊を捕らえるためにモスクワから離れた太公一団と兄のサーシャとワーシャは出会う。少年の姿をしたワーシャは盗賊捕縛...冬の王シリーズ2「塔の少女」

  • 冬の王1「熊と小夜鳴鳥」 リアルな寒さが迫ってくるファンタジー

    「冬の王①熊と小夜鳴鳥」(アーデン著金原瑞人訳2022年11月創元推理文庫)を読みました。訳者の金原瑞人さんが原作を読んでぜひ出版したいと働きかけたというシリーズ「冬の王」の第1巻です。舞台は14世紀のルーシ(ロシア)領主ピョートルの娘ワーシャは母マリーナの命と引き替えのように生まれた。マリーナはモスクワ大公イワンの腹違いの妹でその母は不思議な力を持つ人だった。マリーナは自分の母の力を引き継ぐ娘を願っていた。ひとりまたひとりと味方が加わっていくという型を逆にしたようにワーシャのまわりからは人が去って行く。生まれた日に母のマリーナが心近い人だった兄のサーシャは修道院に入り姉のオリガはモスクワの貴族に嫁いで行く。母親代わりの乳母のドゥーニャもそしていつも身近にいた精霊たちも。ワーシャは精霊が「見える」ひとだっ...冬の王1「熊と小夜鳴鳥」リアルな寒さが迫ってくるファンタジー

  • 修道士カドフェル・シリーズ8「悪魔の見習い修道士」

    すっかりカドフェル・シリーズにはまってまたも修道士カドフェル・シリーズ8「悪魔の見習い修道士」(ピーターズ著光文社文庫)を読みました。コージーミステリ寄りのカドフェルなのにこのおどろおどろしいタイトルは何?と思いながら読みました。イギリスのジュルーズベリ修道院の修道士カドフェルは薬草を栽培して薬を作り修道院の医務官の役目をしている。若い頃は十字軍の兵士だったカドフェルは院長からも一目置かれる存在だ。そんなある日修道院に修道士希望の青年メリエットがやって来る。夜になると悪夢にうなされ叫び声を上げるメリエットは周囲の見習い修道士から悪魔付き扱いされる。一日も早く修道士になりたいと言うメリエット怪我人の出血を見て異様な反応を示すメリエットにカドフェルは隠された何かがあると感じる。折しもメリエットの父の荘園に一夜...修道士カドフェル・シリーズ8「悪魔の見習い修道士」

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