chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • :「異彩を、放て。」 ヘラルボニーのものがたり

    「異彩を、放て。」(松田文登松田崇弥著2022年10月新潮社刊)を読みました。テレビ番組で見たことのある「ヘラルボニー」のことをもっと知りたくて読みました。ヘラルボニーは知的障害者のつくったアート作品をネクタイや傘にしたり工事現場の囲い(仮囲いアート)を飾ったりする活動をしている会社です。会社を立ち上げたのは松田文登さんと松田崇弥さんというふたごの兄弟。2人には知的障害のある兄がいる。兄を特別視する視線をいつも感じてきた2人。兄の作業所での給料が月1万円なこと……この社会に違和感を感じていたある日花巻の「るんびにい美術館」で障害者の描いた絵を見て崇弥さんは衝撃を受ける。すぐに文登さんに電話をして2人はその絵を織りで忠実に表現したネクタイを製品化する。そこから「ヘラルボニー」ははじまった。ネクタイから傘へ仮...:「異彩を、放て。」ヘラルボニーのものがたり

  • 「地球の果ての温室で」

    「地球の果ての温室で」(チョヨプ著2023年1月早川書房刊)を読みました。韓国のSFです。ダスト(毒を含んだ霧)が蔓延して人類が絶滅の危機に陥っている地球にはダストに耐性のあるヒトたちがかろうじて小さな集団を作って暮らしていた。強いダスト耐性を持つ少女ナオミと弱い耐性を持つ姉のアマラは地球上をさまよううちに森の中で温室を中心に形成されている村フリムビレッジにたどり着く。温室に住んで温室から一歩も出ずに温室のあるじレイチェルはダスト耐性のある植物を育てて苗や種を村人たちに分け与えていた。基本的には人工栄養に頼るものの将来的には栽培した植物だけで生きていけるかもしれない子どもたちに引き継いでいけるかもしれない(そう考える人たちは学校も作った)村には希望があった。レイチェルとコンタクトを取れるのはジスだけだった...「地球の果ての温室で」

  • 「本屋、地元に生きる」 さわや書店発

    シレネが咲き始めています。「本屋、地元に生きる」(栗澤順一著2023年2月角川書店刊)を読みました。著者は1世帯あたりの本の購入額が全国1位のまち盛岡にある「さわや書店」の現役書店員。1×365×151日に1店のペースで1年に365店が潰れそれが15年続いているそれが書店の現状なのだという。そんな状況を打破しようと挑戦し続ける著者本を並べて待っているのではなく本を持って出る試みが語られる。例えば「盛岡雑草フェスタ」「身近な雑草のふしぎ」の著者を招いて中津川沿いを散策して草を摘み、それを天ぷらにして食べる。その後は著者の講演も設定した。地方消滅が話題になった時には「地方消滅における選択と集中とは」という講演を企画し300人を集めた。「もりおか家族のおいしいカレンダー」というイベントでは幅広い年代の人に集まっ...「本屋、地元に生きる」さわや書店発

  • 「赤朽葉家の伝説」

    「赤朽葉家の伝説」(桜庭一樹著2006年12月東京創元社刊)を再読しました。刊行当時読んだ時にはこれはいったい何???と思ったものだったけれど再読してみるとこれが面白い!作品にようやく追いつけたのかもしれない。第1章は万葉の物語。鳥取県紅緑村で製鉄業を営む旧家・赤朽葉家の大奥様タツは跡取り息子の嫁として山の民がこの村に置いて行ったみなしご(その後気のいい若い夫婦に育てられた)万葉を選ぶ。一目で山の民とわかる風貌をした万葉はまた、文字を読むことも出来なかった。でも未来を予知する能力を持っていた。(そこが買われたのか)万葉は4人の子を産む。長男は泪(なみだ)万葉はこの子が青年のうちに死ぬことを予知していた。(万葉は舅の死も夫の死も予知していたのでそれを聞いた2人は対策を打ち会社に影響を与えることは無かった)長...「赤朽葉家の伝説」

  • 「ダーウィンと出会った夏」

    「ダーウィンと出会った夏」(ケリー著20117刊)を再読しました。1899年のアメリカに住む少女キャルパーニアは11才。南北戦争から30年あまりたった時代だ。父は綿花工場を経営する人でキャルパーニアには兄が3人と弟が3人いる。たった一人の女の子であるキャルパーニアには母の期待が集中している。南北戦争のせいで社交界デビューしないまま結婚した母はキャルパーニアに料理や裁縫を仕込みピアノを習わせ美しく着飾らせて社交界デビューさせたいという夢があるのだ。キャルパーニアは1899年の夏祖父と出会ってしまう。それまでも祖父は家にいたのだが兄妹たちと関わることなく暮らしてきた。研究室にこもり何かをしているのだ。その何かが自分の大好きなことだと気付いたキャルパーニアの世界は一気に広がっていく。昆虫、植物、動物…観察し、採...「ダーウィンと出会った夏」

  • 「ミライの源氏物語」

    ベニバナイチゴが咲いています。「ミライの源氏物語」(山崎ナオコーラ著2023年3月淡交社刊)を読みました。大学の卒論で源氏物語に取り組んだという著者が読みの新しい切り口を提案している。そこが面白い。夕顔の切り口は「貧困問題」著者は「貧しさは文学愛好者の大好物です」と言っている。なるほどそういえば小学生のころ家にあった日本文学全集の自然主義文学の「貧しさ」にはまったものだった。紫式部の筆も「貧しさ描写」に走っている。貧しさと文学の近さに著者は気づかせてくれる。女三宮の切り口はトロフィーワイフ。年をとった源氏は自分の中に欠落を感じるようになる。それを埋めてくれるものとして、ついトロフィーワイフを求めてしまう。兄天皇の皇女という、この上もない高貴な身分の女三宮はまだ13才の少女だ。女三宮はうっかり端近な所にいて...「ミライの源氏物語」

  • 「差し出し方の教室」 城崎温泉が面白い

    「差し出し方の教室」(幅允孝著2023年1月弘文堂刊)を読みました。著者はブックディレクターとして活動している幅允孝(はばよしたか)。差し出したものを受け取ってもらうのは難しい。著者の場合はそれが「本」自分が書いたのではない「本」を選書して並べるそれを手に取ってもらえるかどうか読書離れが言われている現代で……面白かったのは城崎温泉の話。(もちろん幅さんも関わっている)志賀直哉の「城崎にて」で知られている(?)城崎温泉志賀直哉の城崎訪問100年を迎えて町起こしのために仕掛けたのは作家の万城目学に本を書いてもらって(「城崎裁判「)それを城崎温泉の旅館や土産物屋で売ること。(他では買えないし、通販もしていない)カバーは温泉タオル防水本なので温泉に入りながら読める。最初はこの企画に半信半疑だった旅館や土産物屋もお...「差し出し方の教室」城崎温泉が面白い

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ゆらゆら荘にて さんをフォローしませんか?

ハンドル名
ゆらゆら荘にて さん
ブログタイトル
ゆらゆら荘にて
フォロー
ゆらゆら荘にて

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用