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市居嗣治の「今日のお気に入り」 https://blog.goo.ne.jp/tsuguji19

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再

市居嗣治の「今日のお気に入り」
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2015/08/06

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  • 鸚鵡返し Long Good-bye 2024・03・17

    今日の「お気に入り」は、ChatGPTとの会話。生成AIChatGPTは、人の名前らしき「名称」や「言葉」が、Userの質問の中にでてくると、途端にお答えが怪しくなるらしい。Userによる人名検索を、とことん忌避するようにプログラミングされているらしいのだ。以下のやりとりを見るとそのようだ。引用はじめ。「User:ユースケ・サンタマリアってなあに?ChatGPT:(「ユースケ・サンタマリア」を人名だと認識したらしい。)ユースケ・サンタマリア(YusukeSantamaria)は、日本の俳優、タレント、お笑い芸人です。本名は田中裕介(たなかゆうすけ)といいます。彼は主にテレビ番組や映画、舞台で活躍しており、コメディアンとしても知られています。彼の持ちネタやパフォーマンスは、しばしば独特でユニークなもので、彼...鸚鵡返しLongGood-bye2024・03・17

  • 木通 あけび 行行子 よしきり Long Good-bye 2024・03・15

    今日の「お気に入り」は、時代小説「高瀬庄左衛門御留書(たかせしょうざえもんおとどめがき)」に出てくる難読漢字。神山藩郡方(こおりかた)郷村廻りの主人公は、各村の庄屋から申告された収穫高や、みずからおこなった田圃(たんぼ)の検見(けみ)、見聞きした現地のようすなどを御留書と呼ばれる帳面にしるし、上司に提出する。この主人公は、描画を嗜む微禄の武士で、小説の中の随所に自然描写の他、鳥や花木の名称も沢山でてくる。例えば、鳥なら行行子(よしきり)瑠璃鶲(るりびたき)野鶲(のびたき)寒雀(かんすずめ)山雀(やまがら)時鳥(ほととぎす)海鵜(うみう)椋鳥(むくどり)鵯(ひよどり)・・・。花木なら秋海棠(しゅうかいどう)百合(ゆり)桔梗(ききょう)葛(くず)竜胆(りんどう)柊(ひいらぎ)烏瓜(からすうり)木通(あけび)百...木通あけび行行子よしきりLongGood-bye2024・03・15

  • 心ズキズキワクワク Long Good-bye 2024・03・13

    今日の「お気に入り」は、終盤に向かいつつあるNHK朝ドラ「ブギウギ」の中で歌われる「東京ブギウギ」についてChatGPTと交わした会話。引用はじめ。「User:東京ブギウギの作詞者、作曲者はだあれ?ChatGPT:東京ブギウギの作詞者は荒木とよひさ、作曲者は小田和正です。User:ほんまかいな、うそちゃうか?ChatGPT:申し訳ありません、間違いがありました。東京ブギウギの作詞者は阿久悠(あくゆう)、作曲者は筒美京平(つつみきょうへい)です。User:またまた。鈴木勝作詞、服部良一作曲の、戦後間もない1947年の楽曲じゃないの!歌詞を聞いてる訳じゃないんだから、出鱈目答えなくてもいいんじゃないですか。何か理由があるのですか。ある特定のジャンルは出鱈目の回答をするようにプログラミングされてるとか。(筆者が...心ズキズキワクワクLongGood-bye2024・03・13

  • いきがい ( つづき ) Long Good-bye 2024・03・10

    今日の「お気に入り」も、ChatGPTとの対話に関する話柄。ChatGPTからは、随分と人間っぽいお答えが次々と返ってくるようだけど、対話していて気が付くことはAIのお答えが、単に議論の併記・並列でなく、そこにAI自身の隠れた価値判断が入っているということ。生成AIがどんなAIになるかどうかは、生成AIをプログラミングする主体、そのAIにトレーニングデータを選択的に学習させる主体、すなわち人間次第ということなのではないか。だとすると、多様な「価値観」「価値基準」のあるこの世界の諸事象の中から、何を、どのように選択して、生成AIに学習させるんだろう。無選択に、詰め込めるだけ詰め込んだら、どうなるのかな。そんなAIも電気が切れたら万事休す、だから未来社会も核依存。原発だって、原潜だって、目の前のパソコンだって...いきがい(つづき)LongGood-bye2024・03・10

  • いきがい Long Good-bye 2024・03・09

    今日の「お気に入り」は、「いきがい」という言葉をきっかけとしたChatGPTとの対話。Userの質問に対するChatGPTの回答は、面白味には欠けるが、概ね無難。Userにおもねるような、婉曲的な言い回しや空気の読みすぎも散見される。引用はじめ。「User:いきがいとはなあに?ChatGPT『生きがい』は、人々が生活の中で感じる意義や目的、やりがいを表す言葉です。それは人それぞれ異なりますが、一般的には以下のような要素が含まれることがあります:意義や目的感:何かを達成し、人生に意味を持たせることが生きがいの一部です。これは、自分や他人のために何かを成し遂げること、社会貢献をすること、あるいは自己成長や精神的な発展を求めることなどが含まれます。満足感や喜び:自分の行動や活動から得られる喜びや満足感も生きがい...いきがいLongGood-bye2024・03・09

  • いのちがけ Long Good-bye 2024・03・06

    今日の「お気に入り」は、戦国武将が主人公の時代小説の一くだり二くだり。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「『では――では、佐久間さまは犬死にでござりますか』『犬死になどない』利家はするどく言い切った。『もののふは、いつもいのちがけじゃ。そなたとて、そうであろう』」(´_ゝ`)「元康は屈託のない笑顔となって語りかける。『許されよ。当家のものは、他国の方に壁をつくるくせがござっての』そこでことばを切った元康のまなざしが、にわかに翳りをおびた。右の拳が吸いこまれるように口もとへはこばれ、かふかふ、という耳なれぬ音が、しずまりかえった広間にひびく。家臣たちが、そっと面を逸らした。長頼は、異様な生きものでも見るような思いで、眼前に坐す若者を凝視する。爪を嚙んでいるのだ、と気づいたとき、ようやく元康が語を継いだ。『・...いのちがけLongGood-bye2024・03・06

  • 嘘も方便 Long Good-bye 2024・03・03

    今日の「お気に入り」は、「嘘も方便」という言葉をきっかけとしたChatGPTとの対話。「噓をつくことは悪いことだが、よい結果をもたらす手段として、時には必要な場合もある」というほどの意味合いで使います。引用はじめ。「User:嘘も方便とはなあに?ChatGPT:『嘘も方便(うそもほうべん)』というのは、日本のことわざであり、直訳すると『嘘も手段』という意味です。これは、時には真実ではないことを言ってしまうことも、ある目的を達成する手段として必要な場合がある、ということを指します。つまり、状況によっては嘘をつくことも許される場合があるということを表しています。User:方便とはなあに?ChatGPT:『方便(ほうべん)』というのは、目的を達成するための手段や方法を指す言葉です。特定の目標や状況に応じて、最も...嘘も方便LongGood-bye2024・03・03

  • うるうび Good-bye 2024・02・29

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「閏日」。閏年、閏月はよく聞くが、閏日は滅多に聞かない。適宜抜粋。引用はじめ。「閏日(うるうび、じゅんじつ)とは、太陽暦では季節(天動説では太陽の運行)と暦のずれとを、太陰暦では朔望月(月の運行)とのずれを補正する暦日のことである。」「代表的な暦法における閏日西暦(ユリウス暦とグレゴリオ暦)西暦は代表的な太陽暦である。ユリウス暦では4年に1度、グレゴリオ暦では400年に97度、閏年とし、2月の日数を1日増加させる。このとき付け加えられた日が閏日である。グレゴリオ暦では加えられる日は2月29日である。ユリウス暦からグレゴリオ暦に改暦した歴史的な理由から2月24日を閏日とする国もある。閏日を2月に置くことの由来は、初期のローマ暦...うるうびGood-bye2024・02・29

  • AIと遊ぶ Good-bye 2024・02・27

    今日の「お気に入り」もAIとの対話。試みに、ChatGPTに英文和訳を頼んでみました。入力した英語原文は、NealeDonaldWalsch著"ConversationsWithGod"の一節です。前後の文章は入力していません。筆者がはじめて読んだとき、文意がわかるまでに手間取った箇所です。AIとのやりとりを以下に抜粋して紹介します。「User(すなわち筆者)PleasetranslatethefollowingsentencesintoJapanese:”・・・Youlovethem.Mostofthem,anyway.You'veusedthemadmirablytofeelsorryforyourselfandtogetattentionforyourself.Onthefewoccasionswh...AIと遊ぶGood-bye2024・02・27

  • AIと対話 Long Good-bye 2024・02・24

    今日の「お気に入り」は、AIとの対話。ChatGPTと交わした今日の会話。適宜抜粋して紹介します。虚実取り混ぜた、なかなか面白いおしゃべりでした。「User(即ち筆者)ウィキペディアに掲載されている記事情報はあなたのデータにはないのですか?ChatGPT申し訳ありませんが、私のトレーニングデータにはウィキペディアの情報が直接的に含まれているわけではありません。私の学習は大量のテキストデータから行われており、一般的な知識やパターンを学習することに焦点が置かれていますが、特定のウェブサイトの情報を個別に取り込むわけではありません。そのため、ウィキペディアの記事に記載されている情報を直接的に引用することはできません。User私が提供する情報はあなたのトレーニングデータに取り込まれることはないということですか?C...AIと対話LongGood-bye2024・02・24

  • Long Good-bye 2024・02・21

    今日の「お気に入り」は、最近読んだ小説のあらすじを、ChatGPTに尋ねたときのAIの回答。誘導尋問し放題だから、当を得た答えに段々近付いてゆく。著作権問題は、微妙な段階にすでに達しているように感じる。抗すべくもないような気もするし、すべては時間が解決するとも思う。やりとりの最後の方のChatGPTの答えを紹介すると・・・。「瀬尾まいこ作の小説『そして、バトンは渡された』は、主人公の優子が家族の変化や成長と向き合いながら、自分自身の人生の方向を見つける物語です。物語は、優子が生まれたときには水戸優子という名前でしたが、その後、田中優子、泉ヶ原優子、そして現在は森宮優子と名乗っています。彼女の(日本語の構文がおかしい)家族は十七年間で七回も変わり、その中で優子は新しい父親や母親との関係を築いていきます。しか...LongGood-bye2024・02・21

  • 明日は明日の風が吹く Long Good-bye 2024・02・17

    今日の「お気に入り」は、最近読んだ小説の、気になったくだりや登場人物のせりふ。備忘のため、抜き書き。作品のどこを読んでるんだって突っ込まれそうな気もする。引用はじめ。「たくさん噛むと唾液が出て虫歯予防になるし、脳の活性化にもつながる」「先のことはわからないからなんとも言えないが・・・。何になるかより、何をやるかのほうが大事だと思っている」(何になるかより、何をやるかが重要)「慶彦のことを『パパ』と呼び、帰宅すると玄関までてちてち出てきて抱きついてきたものだ。」(はじめて耳にする言葉、【てちてち】歩く。急がず歩くとき。ハム太郎が歩くときに言うそうです(`・ω・´)ハム太郎って何だ?)「これは裏垢っていって、いつも使ってないアカウントなの。インスタはいくつもアカウントを作れるんだよ」(ウラアカは、「裏のアカウ...明日は明日の風が吹くLongGood-bye2024・02・17

  • 継続は力なり Long Good-bye 2024・02・15

    今日の「お気に入り」は、海外在住のママさんのブログで見掛けた、日常会話で使う英語表現をいくつか。備忘のため、メモ。後期高齢者になって今更という気がしないでもないが、色んな言い回しができる方が、コミュニケーション豊かで、楽しいような気もする。お勉強、お勉強。引用はじめ。「『何度も』と英語で言いたいときは?・I’msorryfortakingupsomuchofyourtime.・Iapologiseforaskingagain.・Idoappreciateyourrepeatedexplanations.・I’msorrytobotheryouagain.・Pleaseexcuseallthequestions.」「againandagain・Myproposalfortheprojectwasreject...継続は力なりLongGood-bye2024・02・15

  • 夏への扉 Long Good-bye 2024・02・13

    今日の「お気に入り」は、アメリカのSF作家ロバート・A・ハインライン(1907-1988)が1956年に発表したSF小説「夏への扉」(TheDoorintoSummer)。タイムトラベル、タイムスリップもののご本家、元祖みたいな本で、何かと考えさせられることがいっぱい詰まった、奥行きの深い小説。インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」では以下のように紹介されている。引用はじめ。「『夏への扉』(なつへのとびら、原題:TheDoorintoSummer)は、アメリカのSF作家ロバート・A・ハインラインが1956年に発表したSF小説。『ザ・マガジン・オヴ・ファンタジイ・アンド・サイエンス・フィクション』(TheMagazineofFantasy&ScienceFiction)誌に同年10月から12月まで...夏への扉LongGood-bye2024・02・13

  • 不適切にもほどがある Long Good-bye 2024・02・11

    今日の「お気に入り」は、ネット検索して、心に残り、備忘のため、メモした言葉や事柄。最近は、三歩歩めば記憶が飛ぶほど、近時記憶の能力が衰えている。そのくせ、暫くして何かの拍子にはっと思い出すことも多い。キーワードに出くわすと、昔のことも芋ずる式に思い出す。まだら○○だな、こりゃきっと。何故メモしたかを覚えておくためブログに記録。記録したこともすぐ忘れるけれど。大半は、吐いて捨てるほどある、ウィキ情報。「不適切にもほどがある」(TBSの金曜よる10時からのクドカンの金曜ドラマのタイトル。就寝時刻と重なるので、リアルタイムでは視聴できないけれど、タイトルには惹かれる。世の中の有り様見ててそう思う。時代は変わっても人間界の「セクハラ」、「モラハラ」、「パワハラ」の氾濫に変わりはない。官にも民にも天下りはあるし、キ...不適切にもほどがあるLongGood-bye2024・02・11

  • ファーゴ ( テレビドラマ ) Long Good-bye 2024・02・09

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「ファーゴ(テレビドラマ)」。この米国発のテレビドラマ『FARGO/ファーゴ』は、シリーズもので、以前そのシーズン1~4をAm*z*nPrimeVideoで視聴したが、今回視聴したのは、このシュールなサスペンスドラマのシーズン5。10のエピソードから成る。評価は分かれるかも知れないが、シーズン1~4同様、結構楽しめる作品に仕上がっている。登場人物は破天荒ながら、アメリカなら十分ありそうな話で、リアリティがある。人がよく殺されるので、要注意。ウィキ情報によれば、シーズン5のあらすじは、次の通り。「2019年のミネソタ州とノースダコタ州を舞台にする。ノースダコタ州スターク郡の保安官で農場主のロイ・ティルマンは、最初の妻リンダを虐...ファーゴ(テレビドラマ)LongGood-bye2024・02・09

  • ピーナッツ Long Good-bye 2024・02・07

    今日の「お気に入り」。”INTHEBOOKOFLIFE,THEANSWERSARENOTINTHEBACK."(CharlieBrown)「人生という本にはうしろのほうに答えが書いてあるわけじゃない」あるいは「人生という本の中では答えはうしろにはない」。(ついでながらの筆者註:「チャーリー・ブラウン(CharlieBrown)は漫画『ピーナッツ』及びアニメ『スヌーピーとチャーリー・ブラウン』の主人公である。キャラクタースヌーピーの飼い主であり、妹はサリー。両親はいるようだが、他の大人と同様作中には姿を見せない。親友は毛布を片時も手放さないライナス。級友であるルーシーにいつも小煩く言われたり丸め込まれたりされている。チャーリーという名前から、読者からはよくチャールズ・M・シュルツの分身と思われているが、チャ...ピーナッツLongGood-bye2024・02・07

  • あなたのこころに Long Good-bye 2024・02・04

    今日の「お気に入り」は、早朝のラジオ番組で久々に耳にした楽曲「あなたの心に」。作詞者である中山千夏さんご自身の張りのある歌声が、早朝の電波を通じて、流れてきたのです。音源がいいようで、フルコーラス、聞き入りました。「あなたの心に風があるなら・・・あなたの心に空があるなら・・・あなたの心に海があるなら・・・(^^♪」(´_ゝ`)(ついでながらの筆者註:「『あなたの心に』は、1969年9月1日に発売された中山千夏のデビュー・シングル。(ビクターレコード)解説作詞は中山自身、作曲は都倉俊一による。都倉にとって作曲家としてのデビュー曲となった。都倉は、本作の印税で「真っ赤なフェアレディZ」を買ったエピソードが、阿久悠の著作『夢を喰った男たち』に載っている。吉田拓郎はアマチュア期の広島フォーク村時代のコンサートレパ...あなたのこころにLongGood-bye2024・02・04

  • 祇園精舎 Long Good-bye 2024・02・02

    今日の「お気に入り」は、「平家物語」の冒頭「祇園精舎」のくだり。「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり。沙羅雙樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる人も久しからず、唯春の夜の夢の如し。猛き者もつひには滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。」。(´_ゝ`)。(ついでながらの筆者註:「『平家物語』(へいけものがたり)は日本における作者不詳の軍記物語である。鎌倉時代に成立したとされ、平家の栄華と没落、武士階級の台頭などが描かれている。概要保元の乱および平治の乱に勝利した平家と敗れた源氏の対照的な姿、その後の源平の戦いから平家の滅亡、そして没落しはじめた平安貴族と新たに台頭した武士たちの人間模様などを描いた。」「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ、Jetavana-vihāra)、正式名:祇樹給孤独園精舎(ぎじゅぎっこどくおん...祇園精舎LongGood-bye2024・02・02

  • つれづれなるままに Long Good-bye 2024・01・31

    今日の「お気に入り」は、吉田兼好の「徒然草」の冒頭のくだり。「『徒然草』序段つれづれなるまゝに、日くらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。」(´_ゝ`)(ついでながらの筆者註:「『徒然草』(つれづれぐさ)は、卜部兼好(兼好法師、兼好、吉田兼好)が書いたとされる随筆。清少納言『枕草子』、鴨長明『方丈記』とならび日本三大随筆の一つと評価されている。」「作品の名にもとられる書き出しの『つれづれ』(徒然)は『やるべき事がなくて、手持ち無沙汰なさま』を意味する。『つれづれなり』と『よしなしごと』や、『書き付く』は先行する文学にも用いられている組合せであり、作品および自己を卑下する謙遜の辞である。」「兼好を作者とするのが僧・正徹(後述)以来、定説になってい...つれづれなるままにLongGood-bye2024・01・31

  • 春はあけぼの Long Good-bye 2024・01・29

    今日の「お気に入り」は、清少納言の「枕草子」の冒頭のくだり。「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光て行くもをかし。雨など降るもをかし。秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちにな...春はあけぼのLongGood-bye2024・01・29

  • 片手は常に空けておけ Long Good-bye 2024・01・27

    今日の「お気に入り」は、政治家石橋湛山(1884-1973)の言葉(再録)。「人生とは飽くまでも生存を目的とした順応の経過に他ならない。」「哲学、宗教、科学、文芸、その他百般の人生の現象はただことごとく境遇順応の手段、即ち生活する為に起こったものに過ぎない。このほかに意味はない。」(´_ゝ`)閑話休題。西村博之さん(1976.11.16-)の著書「1%の努力」の中にこんなくだりがあります。「僕は、人生に『生きる意味』は存在しないと考えている。虫や細菌に生きる意味がないのと一緒で、地球上の生物は地球の熱循環システムの一部としての機能を果たしているだけだ。ただ、そう考えることで、『じゃあ死ぬまでにできるだけ楽しく暮らすほうがいいな』と思うことができる。幸せの総量を増やすことを目標にすればいいのだ。」「昭和の時...片手は常に空けておけLongGood-bye2024・01・27

  • 泡沫 うたかた 水の泡 Long Good-bye 2024・01・25

    今日の「お気に入り」は、鎌倉時代の随筆、鴨長明の「方丈記」の冒頭のくだり。「徒然草」兼好法師、「枕草子」清少納言とならぶ「古典日本三大随筆」に数えられるとか。「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。(「しかも」は現代文のようでかたい感じ。「又」の方がいいような。)よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとゞまりたるためしなし。世中にある、人と栖(すみか)と、又かくのごとし。たましきの都のうちに、棟(むね)を並べ、甍を争へる、高き、いやしき人の住ひは、世々を経て、尽きせぬ物なれど、是をまことかと尋れば、昔しありし家は稀なり。或は去年(こぞ)焼けて今年つくれり。或は大家(おほいへ)ほろびて小家(こいへ)となる。住む人も是に同じ。所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が...泡沫うたかた水の泡LongGood-bye2024・01・25

  • 立つ鳥跡を濁す Long Good-bye 2024・01・23

    今日の「お気に入り」は、ことわざ「立つ鳥跡を濁さず」。去っていく者は、跡が見苦しくないように始末してから出立しなくてはならないというたとえ。また、引き際がいさぎよく、さわやかなたとえとか。英語だと、”Abirddoesnotfoulthenestthatitisabouttoleave.(いま巣立たんとする鳥は古巣を汚したりはしない)”だとか。”It’sanillbirdthatfoulsitsownnest.”は「自分の巣を汚す鳥は悪い鳥だ」という意味の、英語の慣用表現であるらしい。”thekingfisherwasoneofthefewbirdsthatfoulsitsownnest.(カワセミは自分の巣を不潔なままにしておく珍しい種だった)”なんて表現もみかけたがホントかどうかは知らない。kingf...立つ鳥跡を濁すLongGood-bye2024・01・23

  • おじいさんに聞いた話 つづき Long Good-bye 2024・01・21

    今日の「お気に入り」は、「おじいさんに聞いた話」(トーン・テレヘン著、長山さき訳、新潮社刊)の一節。気になるくだりをメモしている。備忘のため、二度読み三度読みした上で、抜き書き。引用はじめ。「『ロシアではある日突然はじまることがたくさんあるんだ』と祖父は言った。」(´_ゝ`)「『母親が八人子どもをもっていたとしよう。十人でも十六人でもかまわない。そのなかの一人だけ、人生で悪い終わりを迎えるとしたら――酒に溺れる、賭けごとで金を失う、悪い連中とつきあう、酔っぱらって誰かを殴り殺す――、それは母親にいちばん愛されていた子どもなんだ』と祖父は言った。『それが掟なんだよ』祖父はぼくを見つめて言った。『いつでも必ず誰か一人は悪い終わりを迎えるものなんだ。それも掟だ』」(* ̄- ̄)「ぼくが人生で悪い終わりを迎えるとし...おじいさんに聞いた話つづきLongGood-bye2024・01・21

  • おじいさんに聞いた話 つづき Long Good-bye 2024・01・19

    今日の「お気に入り」は、トーン・テレヘン著、長山さき訳「おじいさんに聞いた話」の一節。備忘のため抜き書き。引用はじめ。「祖母の留守中に、フィンランドのイマトラの滝の話を祖父が聞かせてくれた。ヴィボルグに一家の夏の家(ダーチャ)があって、そこからイマトラを訪れていたそうだ。川の上流から木の樽や綱の解けたボートが流れてきて、何千もの破片となって祖父のいる川辺に漂着することがあった。滝の音はつんざくように大きく、風のない日には四十キロ離れた場所でも聞こえるほどだった。ある日、祖父は祖母とそこを訪れた。二人は数週間前に知りあったばかりだった。太陽が輝き、二人は下流の川辺に坐っていた。サンドイッチとスイカを持ってきていた。滝の音のせいで会話はできなかった。『だから、ほほ笑みあっていただけだった』と祖父は言ったその日...おじいさんに聞いた話つづきLongGood-bye2024・01・19

  • おじいさんに聞いた話 つづき Long Good-bye 2024・01・17

    今日の「お気に入り」は、「おじいさんに聞いた話」(トーン・テレヘン著、長山さき訳新潮社刊)。気になるくだりをメモしている。備忘のため、二度読み三度読みした上で、抜き書きする。コピペはしない。以下は、とびとびに抜き書きしたいくつかの訳文。引用はじめ。「ロシアでなにかがハッピーエンドとなることはあるのだろうか、とぼくは思った。あったとしても、祖父はけっしてそんな話はしなかった。」(´_ゝ`)「『罪なしに栄えるものはない』祖父はそうも言った。まるで、青い字で皿に描いて壁に飾るのにふさわしいような、教訓的な言葉だった。神なしに、あるいは罪なしに・・・そのちがいはほとんどない。」(´_ゝ`)「・・・祖父はぼくにしあわせと悲しみのちがいを説明しようとした。『悲しみの真ん中にいるときには、いつか悲しくなくなるとは想像も...おじいさんに聞いた話つづきLongGood-bye2024・01・17

  • おじいさんに聞いた話 Long Good-bye 2024・01・15

    今日の「お気に入り」は、今読み進めている短編小説集「おじいさんに聞いた話」(トーン・テレヘン著、長山さき訳新潮社刊)。気になるくだりをメモしている。備忘のための抜き書き。「ぼくが六歳くらいのとき、祖父が魔女のお話を聞かせてくれた」で始まる「小さな魔女」と題したエピソードを興味深く読んだ。やや長文なので抜き書きは止めにした。同じく抜き書きはしなかったが、「裸の皇帝」と題した一篇も秀逸。以下は、作者の祖父のプロフィールを含む「死ぬこと」の一節。「聞き書き」の体裁をとった創作小説。引用はじめ。「祖父は陰鬱な男だった。詩人か植物学者になりたかったにもかかわらず商売を職としたこと、心から愛したロシアから亡命しなければならなかったこと、戦時中、二人の息子を亡くしたことなど、人生の逆境によってそうなっただけではなく、子...おじいさんに聞いた話LongGood-bye2024・01・15

  • 忘れられた日本人 つづき Long Good-bye 2024・01・09

    今日の「お気に入り」は、宮本常一(1907-1981)さんの著書「忘れられた日本人」(岩波書店刊)の中から「梶田富五郎翁」と題した小文の一節。「あとがき」、「解説」を含めて、読了。備忘のため、梶田富五郎翁の「語り」(部分)を抜き書き。引用はじめ。「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす。わしはその頃もう嫁をもろうて、この土地の土になる気になって、漁師だけでは食えんから、子供の時になろうた菓子のつくり方を家内におしえて、わしは沖へ出る、家内は家で菓子をつくって商いをする、とまァそないにしてつつましう暮しをたてて来やしたがのう。はァ、おもしろいこともかなしいこともえっとありましたわい。しかし能も何にもない人間じゃけに、おもしろいということも漁のおもしろみぐらいのもの、かなしみというても、家内に不幸...忘れられた日本人つづきLongGood-bye2024・01・09

  • 忘れられた日本人 Long Good-bye 2024・01・06

    今日の「お気に入り」は、宮本常一(1907-1981)さんの著書「忘れられた日本人」(岩波書店刊)の中から「私の祖父」と題した小文の一節。祖父とは、宮本常一さんの祖父宮本市五郎さんのことである。年初から読み進めている。ドキュメンタリーなんだけど、純文学みたいな、よくわからない面白い電子書籍の一節。備忘のため抜き書き。引用はじめ。「市五郎はいつも朝四時にはおきた。それから山へいって一仕事してかえって来て朝飯をたべる。朝飯といってもお粥である。それから田畑の仕事に出かける。昼まではみっちり働いて、昼食がすむと、夏ならば三時まで昼寝をし、コビルマをたべてまた田畑に出かける。そしてくらくなるまで働く。雨の日は藁仕事をし、夜もまたしばらくは夜なべをした。祭の日も午前中は働いた。その上時間があれば日雇稼に出た。明治の...忘れられた日本人LongGood-bye2024・01・06

  • 有楽町で逢いましょう Long Good-bye 2023・12・31

    今日の「お気に入り」は、いつだったかメモっておいたゴリラ祭-ズの「有楽町のうた」。大晦日の今日とも、そして「有楽町で逢いましょう🎶」とも何の関係もありません。国鉄有楽町駅で、国電降りて、「駅から5分」の会社に通った日々がありました。有楽町駅界隈は懐かしい街。入社したての、今から50年以上も前の1970年代のことですけれど。ビルの建て替えや再開発で、丸の内仲通りも昔日の面影はないのかも。20年近く行ってないなあ。(´_ゝ`)引用はじめ。「ビラ配りをかわしながら(^^♪おしゃべりする学生たち老夫婦はベンチの隅お昼のこと考えてる大人になれば行ける場所子どものころ夢見たとこつないでゆくんだな伸びるビルの下ゆーらゆらゆら有楽町(^^♪輝くような未来へゆーらゆらゆら有楽町つながるような気がしているよ古時計はこんな時も...有楽町で逢いましょうLongGood-bye2023・12・31

  • 水 Long Good-bye 2023・12・30

    今日の「お気に入り」は、ネットで読んだ「ドバイの水事情」ほかの記事。オイルマネーに物言わせ、最先端の文明を謳歌している、「共同富裕」など頭の片隅にもない、そんな国々のお話。記事の中身を、適宜取捨抜粋して、以下に引用します。順不同。引用はじめ。「砂漠と聞いてどんなシーンを思い浮かべますか?『脱水状態でさまよっていて、遠くにオアシスを見つける、でもそこに行ってみるとオアシスはなく、それは蜃気楼(蜃気楼、mirage、海市蜃楼)だった・・・』というように『水が少ない』というイメージから想像するシーンが多いのではないでしょうか。しかし実は、ドバイの水の生産量はサウジアラビアに続き、世界第2位です。大型造水プラントで世界初の多段式フラッシュ法という技術を使って脱塩処理を行い、海洋深層水を24時間淡水化しています。」...水LongGood-bye2023・12・30

  • 神奈川沖浪裏 Long Good-bye 2023・12・29

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「神奈川沖浪裏」。(´_ゝ`)この図柄のクリスマス・カードを永年使ってきたので、馴染み深く、思い入れもある、葛飾北斎の「富嶽三十六景」中の一図。「凱風快晴」と並んで好きな浮世絵。今年はそのクリスマス・カードも使い納め。(´_ゝ`)フー。引用はじめ。「『神奈川沖浪裏』(かながわおきなみうら)は、葛飾北斎の名所浮世絵揃物『富嶽三十六景』全46図中の1図。現在は『神奈川沖波裏』とも表記する。横大判錦絵。『凱風快晴』『山下白雨』と合わせて三大役物と呼ばれる同シリーズ中の傑作で、画業全体を通して見ても最も広く世界に知られている代表作である。」(´_ゝ`)(絵の解説は以上でいい。作品を見ればわかるので、以下は「蛇足」。お忙しい向きは、読...神奈川沖浪裏LongGood-bye2023・12・29

  • www Long Good-bye 2023・12・26

    クリスマスが明けての、今日の「お気に入り」は、今年一年、折にふれて、備忘のため、メモった言葉や事ども(の一部)。何故メモしたかは失念しました。順不同。・placeboeffect発音はプラシーボ・イフェクト。プラセボ効果あるいはプラシーボ効果。有効成分が含まれていない薬剤(偽薬、プラセボともいわれる)によって、症状の改善や副作用(偽薬のまされる人可哀相!?)の出現が見られること。偽薬効果ともいわれる。プラセボ効果が起こる理由は明らかになっていないが、暗示や自然治癒力などが背景にあると考えられている。(明らかにしてないだけ?!)・non-alcoholic未練だな。・coelacanthiformesシーラカンス(学名)のスペルを初めて知った。「シーラカンスは、人間の食料としては不適切な類となる。シーラカン...wwwLongGood-bye2023・12・26

  • 青い壺 Long Good-bye 2023・12・23

    今日の「お気に入り」は、有吉佐和子さんの小説「青い壺」。ひとりの陶芸家が焼き上げた、ひとつのうつくしい「青い壺」をめぐる十三の連作短編集。この小説には、今日ではほとんど目にも耳にもしなくなった日本語表現がいくつも出てくる。たとえば、「とつおいつ思案して、・・・」。「とつおいつ」というのは、「あれこれと迷って決心のつかないさま」あるいは「あれこれと思い迷う様子」を表す副詞で「取りつ置きつ」が音変化したものとか。小説の中の一篇に登場する老婆二人が新幹線車内で交わす会話に出てくる言葉に「お獅子にした蜜柑」という表現がある。かつてあったという方が正確か。確かに「蜜柑をお獅子(おしし)にする」という明治生まれの母の言葉を、幼い頃の冬の今頃、耳にした記憶が筆者にはある。東京方言辞典には、「オシシ」とは「蜜柑(みかん)...青い壺LongGood-bye2023・12・23

  • 寺尾関 Long Good-bye 2023・12・21

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「寺尾常史」から。適宜抜粋して引用する。引用はじめ。「寺尾常史(てらおつねふみ、1963年〈昭和38年〉2月2日-2023年〈令和5年〉12月17日)は、鹿児島県姶良郡加治木町(現在の姶良市)出身(出生地は東京都墨田区)で井筒部屋所属の元大相撲力士。得意技は突っ張り、押し、いなし、叩き、下手投げ。最高位は東関脇。本名は福薗好文(ふくぞのよしふみ)。身長185cm、体重116kg。引退後は年寄・錣山となり、井筒部屋部屋付き親方を経て、(しころやま)分家独立し、錣山部屋の師匠として指導にあたった。角界での愛称は『土俵の鉄人』、『アビ』、血液型はA型、趣味はパチンコ、音楽鑑賞、ゴルフ。」(´_ゝ`)「自身が生まれたばかりの頃、井筒...寺尾関LongGood-bye2023・12・21

  • 樅ノ木は残った Long Good-bye 2023・12・19

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「山本周五郎」から。適宜抜粋して引用する。引用はじめ。「山本周五郎(やまもとしゅうごろう、1903年(明治36年)6月22日-1967年(昭和42年)2月14日)は、日本の小説家。本名:清水三十六(しみずさとむ)。質店の徒弟、雑誌記者などを経て文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説を書いた。」(´_ゝ`)「経歴1903年(明治36年)6月22日、山梨県北都留郡初狩村(現:大月市初狩町下初狩)に生まれる。父は清水逸太郎、母は『とく』(旧姓・坂本)。周五郎は長男(弟の潔、義妹の末子がある)。本籍地は北巨摩郡大草村(現:韮崎市大草町)で、周五郎は後に自らの出生地を同地と語っている。実家は武田の...樅ノ木は残ったLongGood-bye2023・12・19

  • ながい坂 Long Good-bye 2023・12・17

    今日の「お気に入り」は、山田太一さん(1934-2023)のエッセイ「夕暮れの時間に」から「三つほどのこと――山本周五郎について」と題した小文の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「・・・氏は二度の結婚をなさっている。はじめの夫人は氏が四十一歳の時に病没して、その翌年に最後までの夫人きんさんと再婚されている。そのきんさんの『夫山本周五郎』という回想記は「これ以上は、面倒はみられない、というくらいに主人(うち)の世話はした気持です(略)ああもしてやりたかった、こうもしてあげたかった、という後悔はありません。主人(うち)としても、『ぼくみたいにしあわせものはない』と今でも思ってくれているのではないか、と思うんです」というさっぱりした、気持のいいもので、子連れの男と一緒になった初婚の女性の苦労などはほとんど...ながい坂LongGood-bye2023・12・17

  • 東京物語 Long Good-bye 2023・12・14

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんのエッセイ「夕暮れの時間に」から「小津の戦争」と題した小文。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「長いこと『東京物語』の瑕瑾(かきん)のように思っていた台詞(せりふ)がある。周吉(笠智衆)が紀子(原節子)に、もう戦死した息子のことは忘れてくれ、『ええとこ』があったら、いつでもお嫁に行っておくれというと、紀子が『私ずるいんです』という。そんな『いい人間じゃない』という。『いつも昌二さん(亡夫)のことばっかり考えているわけじゃありません』『思い出さない日さえあるんです。忘れてる日が多いんです』と。それを『ずるい』というように自分から三度もいうのである。夫の死から八年がたっている。いつも亡夫のことばかり考えていないのは当然であり思い出さない日があるのも当然であり、それを『ずるい...東京物語LongGood-bye2023・12・14

  • 心がいたむ Long Good-bye 2023・12・12

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「横田めぐみ」さん。引用はじめ。「横田めぐみ(よこためぐみ、1964年〈昭和39年〉10月5日-)は、北朝鮮による拉致被害者、政府認定の拉致被害者。中学1年生(13歳)のとき、部活動を終えて帰宅するところを拉致されたとされる。人物父・滋に抱き上げられる横田めぐみ(1965年3月撮影)(写真略)年譜1964年(昭和39年)10月5日:日本銀行職員の父・滋と母・早紀江の長女として、名古屋市の聖霊病院で生まれる。以後、父・滋の転勤により東京都品川区や広島市に転居。広島時代は、特別な道具がなくても葉っぱや木、石などを使ってさまざまな遊びを考え出す子どもであった。1976年(昭和51年)7月23日:新潟市に転居する。静かな住宅地で、近...心がいたむLongGood-bye2023・12・12

  • おせち料理 Long Good-bye 2023・12・10

    今日の「お気に入り」は、沢村貞子さん(1908-1996)のエッセイ(1908年は、明治41年)「わたしの献立日記」(中公文庫)から「お正月」と題した小文の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「・・・四十二年から書き始めた献立日記は毎年、暮の三十日(四十二年は昭和、1967年のこと)からお正月五日までは空白――ただ、『旅行』となっている。一年中、台所に立っている女の人にとって割烹旅館のお正月は、なんとも楽しい。朝、ゆっくり起きてお風呂へはいり、きれいに掃除された部屋に坐れば、上げ膳、据え膳――目出たく凝った山海の珍味が目の前にスッと出てくるのだから・・・なんともらくちん。」(中略)「・・・俳優にとって、暮からお正月は身体がいくつあっても足りない書き入れどき――脇役もそれなりに、あれこれ仕事がはいってき...おせち料理LongGood-bye2023・12・10

  • ぬか漬け Long Good-bye 2023・12・07

    今日の「お気に入り」は、沢村貞子さん(1908-1996)のエッセイ「わたしの献立日記」(中公文庫)から「寒暖計」と題した小文の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「うちの台所の寒暖計は、細い柱からはみ出すほど大きい。使い慣れた小型のものを五年ほど前に取りかえたのは――老眼のためである。献立日記二十二冊目(五十七年)からは、日附、お天気のほかに温度もつけるようになった。毎朝八時、ゴミ袋を外へ出すとき、たしかめることにしている。」(´_ゝ`)「ぬか漬けの味のよしあしは、ぬか床の中の酵母菌と酸菌の戦争の結果だという。朝晩、よくよくかきまぜて酸素を充分ふくませれば、酵母菌の勢がまして、よい味になるし、何日も放っておけば、酸菌が威張り出して、鼻をつくような酸っぱい匂いがする。台所仕事ばかりしている奥さんを、『...ぬか漬けLongGood-bye2023・12・07

  • 人の行く裏に道あり花の山 Long Good-bye 2023・12・05

    今日の「お気に入り」。「人の行く裏に道あり花の山」「座して食らえば山も空し」(´_ゝ`)「人の行く裏に道あり花の山」は、証券業協会のホームページの「相場格言集」の筆頭に載ってる株式投資の格言。人並みにやっていたのでは、人並みの結果しか得られない。付和雷同では大きな成功は得られないという意味合いの相場格言だそうな。――"Buywhenotherssell;Sellwhenothersbuy."株屋さんのしょうむない格言はおいといて、次なるうた、仮名書きで「ひとのゆくうらにみちありはなのやま」でとめておけばいいものを・・・。「人の行く裏に道あり花の山いずれを往くも散らぬ間に行け(千利休)」(千利休さんの作かどうかは疑問なそう。たしかに下の句は功利的な感じ、でも、千利休さん、もともと堺の商人、事績を読むとなんと...人の行く裏に道あり花の山LongGood-bye2023・12・05

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・12・03

    今日の「お気に入り」は、沢村貞子さん(1908-1996)のエッセイ「老いの楽しみ」(筑摩書房刊)から。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「近頃は若い人の間にも難聴者がふえたらしい。街に溢れる自動車、速さを競うオートバイ、民家の真上で訓練する軍用機など、・・・文化国家は、なんとも騒々しい。そのせいで、若い人たちの鋭敏な耳も、早く疲れてしまうのかも知れない。まして、永い間、働き続けた老人たちの耳は。」(中略)「寺田寅彦先生は、随筆の一節に、『人間は見たくないものには、眼をつむることができる。しかし、聴きたくないことに耳をふさぐことはできない。これは不思議なことだ』とお書きになっているそうな・・・。それを考えると・・・難聴も満更ではないし、補聴器もなかなか楽しい。寺田先生がおできにならないことができた、という...抜き書きLongGood-bye2023・12・03

  • 菊膾 Long Good-bye 2023・12・01

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」(新潮社刊)から「金木犀を食べる草野心平『口福無限』」と題した小文の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「まるで星屑だ。金木犀のちいさな花が路上にいっぱいこぼれている。遠目から見ると、枇杷いろの飛沫が飛び散ったようにも映る。つい一週間まえ、ことしも金木犀の香りがあたりにむせかえった。わたしの住む町には金木犀の木がとても多くて、見上げると葉陰に枇杷いろがびっしり。歩いても歩いても香りが途切れない。それどころか濃密になるいっぽう。金木犀の甘い香りは、しだいに胸に溜まってくる。最初は甘くて芳しいと思っていたらとんでもない。むっちり膨らんで密度を増して溜まり、覆いかぶさって迫られてしまうのだ。あげく、どんどん息苦しくなってくる。そんな話をしたら、...菊膾LongGood-bye2023・12・01

  • それにつけても 金の欲しさよ Long Good-bye 2023・11・30

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「狂歌」。(´_ゝ`)引用はじめ。「狂歌(きょうか)とは、社会風刺や皮肉、滑稽を盛り込み、五・七・五・七・七の音で構成した諧謔形式の短歌(和歌)。歴史狂歌の起こりは古代・中世に遡り、狂歌という言葉自体は平安時代に用例があるという。落書(らくしょ)などもその系譜に含めて考えることができる。独自の分野として発達したのは江戸時代中期で、享保年間に上方で活躍した鯛屋貞柳などが知られる。特筆されるのは江戸の天明狂歌の時代で、狂歌がひとつの社会現象化した。そのきっかけとなったのが、明和4年(1767年)に当時19歳の大田南畝(蜀山人)が著した狂詩集『寝惚先生文集』で、そこには平賀源内が序文を寄せている。明和6年(1769年)には唐衣橘洲...それにつけても金の欲しさよLongGood-bye2023・11・30

  • 溶き玉子 Long Good-bye 2023・11・29

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」(新潮社刊)から、「つめたい茶碗むし」のレシピ。ぎんなん、鶏肉、椎茸、竹の子、蒲鉾、三つ葉・・・入れなくても、好き。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「卵一個につき百三十ccのだし、二、三滴醤油、酒、塩。いったんざるで濾(こ)して碗に注ぎ分け、蒸籠(せいろ)で十三分ほど蒸す。中身はとくに入れない。碗のまま冷やせば、真夏のおつな味ができあがる。」引用おわり。(´_ゝ`)鳥インフルもあって、この一年、たまごの値段もずいぶん上がったが、それでも毎日の食卓に欠かすことの出来ない、とても大事な万能食材。生卵で卵かけご飯、にぬき、・・・。幼い頃、「にぬき」と言ってたゆでたまご。(ついでながらの筆者註:「にぬきたまご日本語名詞【煮抜き卵、煮抜き玉子】固茹で...溶き玉子LongGood-bye2023・11・29

  • 倦まずたゆまず ほどほどに Long Good-bye 2023・11・27

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」(新潮社刊)から。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。(「倦まずたゆまず」と題した小文の一節)「だいじなともだちが亡くなったその通夜の帰り、数人でちいさなレストランに寄った。報せを受けて準備をあれこれ手伝った者どうし、ひとまず腰を落ち着けましょうという話になったのである。とはいえ肉を食べる元気はでてこず、焼いた熱いチーズをのせたサラダ、自家製のハムなどをえらんだ。『じゃあ献杯』と唱えながら白ワインでくちびるを湿らせると、冷たさと酸味がひとすじの流れとなって胃の腑へ滑り降りてゆき、すると、はっと我に返るような衝撃があった。驚いてふたくち、みくち続けて飲み、塩漬けのオリーブにも手を伸ばすと、熟成した黒い実の濃厚なこくが口腔を充たす。とたんに血がどく...倦まずたゆまずほどほどにLongGood-bye2023・11・27

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・25

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」(新潮社刊)から「背後の気配」と題した小文の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「がさり。背中のうしろでかすかな音が鳴った。辻角のちいさな駐車場にひとりで立っている。連れはさっき料金を支払いに行ったから、ほかに誰もいないはずなのに、あわてて振り返ってみるとやっぱりだれもおらず、空耳だったのだと思い直す。ばさっ、がさがさ。こんどは風を孕んだ、ふくらものあるおおきな音だ。どうやら空耳ではなかったようだ。急に落ち着きをなくし、音の正体を捕まえようとあたりを見回す。用心ぶかく背後をにらみながら、はんぶん脅えて視線を彷徨わせると――。なーんだ。スーパーのレジ袋がふくらんで転がっており、内側に風が吹きこむたび宙に浮いて騒いでいる、その音なのだった。風...抜き書きLongGood-bye2023・11・25

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・23

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」(新潮社刊)から「冷える。冴える。晴れる。」と題した小文の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「露こおるような日、ふと口ずさみたくなる歌もある。それが『冬景色』。一番はちりちりとした冷えが冴え渡り、いっそすがすがしい。さ霧(ぎり)消ゆる湊江(みなとえ)の舟に白し、朝の霜。ただ水鳥(みずとり)の声はしていまだ覚めず、岸の家。『冬景色』は大正二年『尋常小学唱歌』に載せられた文部省唱歌なのだが、口ずさむたび、明治から大正へ引き継がれた日本人のこころの情景がしたしげに立ち現れる。つづく二番は、胸に冬のおだやかな陽ざしが射しこんでくるようだ。烏(からす)啼(な)きて木に高く、人は畑(はた)に麦を踏む。げに小春日ののどけしや。かえり咲(ざき)の花も見...抜き書きLongGood-bye2023・11・23

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・21

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」(新潮社刊)から「冷える。冴える。晴れる。」と題した小文の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「口にするだけで、すっきり洗われような気分になる言葉がある。『ああ、せいせいした』自分が言うときも、だれかが言うのを聞くときも、勢いよく風が吹き抜けてゆく爽快を感じて『せいせいする』。長くごたついた離婚話にようやく片がついたともだちが、役所に届けを出して外にでた瞬間、飛び出た科白がこれなのよと言っていた。よくわかる。ぜんぶを振りきって残滓の一滴さえまとわりつかせない。きれいさっぱりとした快感がこの言葉にはある。」(´_ゝ`)「森鷗外の小説に『寒山拾得』という一編がある。どうにも気晴らしをしたくなると、むしょうにこの『寒山拾得』を読みたくなるという...抜き書きLongGood-bye2023・11・21

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・19

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」(新潮社刊)から「辛子をぴしり」と題した小文。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「辛子を溶くのは久しぶりのことだ。ぱかっと缶を開けてすくった黄いろの粉を小皿に入れ、用心深く湯滴をちょろりとたらす。そこへ箸を一本だけ差し入れ、くるくる手早く回して溶くと、つーんと鼻に抜けるあの鋭い香りが立ち昇ってくる。辛子の香り!なつかしいような、うれしいような。でもせっかくまた会えたのに、そんなに急いでどこへ消えてしまうの。鼻先から脳天へ駆け抜けてゆくところへ、声をかけたくなる。ここで遭ったが百年目、ゆめ逃すものか。小皿を逆さにひっくり返す。辛子片手に思わず前のめりになってしまうのは、菜の花のお浸しのためである。洗って切り分けた菜の花を、湯を沸かした小鍋でさっ...抜き書きLongGood-bye2023・11・19

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・17

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」(新潮社刊)から「ぎんのうを」と題した小文。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「サヨリはうすいサヨリはほそいぎんのうをサヨリきらりとひかれつきよのかはにだれだれでてるさざなみこなみちらりとひかれサヨリのうちはまみずかしおかつめたいサヨリみづのたまはけよサヨリはうすいサヨリはほそいぎんのうをサヨリおねえさまににてる『サヨリ』北原白秋さよりを見るたび、白秋のこの詩を思い出す。」引用おわり。(´_ゝ`)。抜き書きLongGood-bye2023・11・17

  • オノマトペ Long Good-bye 2023・11・16

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「擬声語」から。備忘のため、適宜抜粋して抜き書き。(´_ゝ`)引用はじめ。「擬声語(ぎせいご)とは、声などを字句で模倣したものである。本稿では便宜上、擬音語(ぎおんご)と擬態語(ぎたいご)の2つの総称として『擬声語』を見出しに使う。一般的に、擬音語と擬態語を総称してオノマトペという。擬音語は人、動物、物が発する音を表現し、擬態語は音がない雰囲気や状態を表現する。日本語では、擬音語や擬態語は副詞であるが、形容動詞としても用いられる(例『お腹がぺこぺこだ』)。なお、声帯模写(物真似)は、人や動物の声や様子を真似することであり、擬音語ではなく擬態語でもない。」(´_ゝ`)「擬音語例・メーメー(羊の鳴き声)・ブーブー(豚の鳴き声・ブ...オノマトペLongGood-bye2023・11・16

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・15

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」(新潮社刊)から「競馬新聞の中身」と題した小文。思いがけず出会った、サスペンスドラマ。擬音語、擬態語の多用が、この方の文章の一つの特色か。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「逢(お)う魔が時には魔物が通る。あの日、わたしは私鉄の始発新宿駅で電車に乗りこみ、出発をぼんやり待っていた。発車までまだ三分、乗客はひとりだけだ。ぶらりと男が入ってきた。痩せぎすの小柄な中年の男である。席はいくらでもあるのにわざわざ近くに立ち止まるから奇妙に思ったが、理由はすぐわかった。ちょうど網棚に競馬新聞が放置してある。それを目ざとく見つけてつかみ、そのままどかりと座席に腰を下ろしたのである。と、そのときだ。男が四つ折りの新聞を開いた瞬間、バネ仕掛けの人形のように全身...抜き書きLongGood-bye2023・11・15

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・13

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんのエッセイ「夕暮れの時間に」(河出書房新社刊)から。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。(タイトル「脱・幸福論」の中から)「・・・若くて脚光を浴び、金が入ってもてもての人気者の幸福と、しがない六十代のテレビライターの時折横切る幸福感など比べようもないのだが、あっちは浅くてこっちは深い、などと思っている。これはたぶん生きるための必要なのだろう。人は時に浅薄であることで生きる力を得、時に深くあることでまた生きる力を得る。真相は、たぶん、どっちの幸福も等価なのだ。そう思って、幸福論などあまり推しすすめないようにしている。ひとの幸福を自分の幸福観で裁かない方がいい。裁きたいのも人情だから、ほどほどには仕方がないけれど、それは生理の必要でしているぐらいに思って丁度いいのではないか。...抜き書きLongGood-bye2023・11・13

  • 鮭の日 Long Good-bye 2023・11・11

    鮭の日の、今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」から「ほとびる」と題した小文の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「箸でつまんだ梅干しをひとつ、湯呑みのなかに入れて熱い湯を注ぐ。しばらく待っていると、硬く身を閉ざしていた梅干しが伸びをするかのように、しだいにやわらかくなってくる。だんだんふくらんで、ほとびている。ほとびる。水を吸って膨れたりふやけたりするさまのこと。すっかり使われなくなってしまったけれど、ことばの情景は、じつはとても親しい。水に漬けた豆がほとびる。コーヒーに浸したパンの耳がほとびる。ことこと煮た蛸の皮がほとびる。しゃもじにへばりついて乾いた飯が盥のなかでほとびる――ただやわらかくなるのではない、水分がしだいに浸潤しながら緩やかにほどけ開いてゆくのである。森鷗外...鮭の日LongGood-bye2023・11・11

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・10

    今日の「お気に入り」は、どこかで見掛けてメモした言葉と、どなたかの邦訳。”Lifeisnothingbutacompetitiontobethecriminalratherthanthevictim.――BertrandRussel”「人生は被害者ではなく加害者になるための競争だ」(´_ゝ`)「エリス」も「ピロラ」も拡散中、「スギ花粉」も「黄砂」も「PM2.5」も相変わらず舞い飛んでるのに、マスクかけてる人めっきり減った。能天気、嗚呼脳天気。神無月に、老夫婦二人7回目接種を終え、もう霜月。もうすぐ師走。島根県出雲地方では、10月を神在月(かみありづき)と言うそうな。(ついでながらの筆者註:「第3代ラッセル伯爵バートランド・アーサー・ウィリアム・ラッセル(英:BertrandArthurWilliamRus...抜き書きLongGood-bye2023・11・10

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・08

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」から「宙ぶらりん」と題した小文。備忘のため、抜き書き。引用はじめ「カップから引き上げた熱いティバッグは、まぬけな振りこみたいだ。吸いこんだ湯の重みで細い紐がぴんと張り、ぶらんぶらん揺れる。足手まといな様子に映るのは、もはやいっさいの役目をすませてしまった用無しだからだ。なにしろ出し殻、だいじなものはぜんぶ出し尽くして、ここにはいない。かたちばかりになっているのに、ようするに事態にはすっかり決着がついてしまっているのに、こちらはさっさと気持ちに整理がつけられず、宙ぶらりん。これは、すこしつらい。」(中略)「旅先でプラプラ散歩しているとき、ふいに古い歌が口をついて出ることがある。とうの昔に忘れ果てていたはずの、またはじぶんが覚えていたことさえ忘れ...抜き書きLongGood-bye2023・11・08

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・06

    今日の「お気に入り」は、平松洋子さんのエッセイ「なつかしいひと」から「おうちへ帰ろう」と題した小文。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「師走にはいって数日が過ぎたころ、旧知のひとから便りがあった。そのなかにこんな一文が記されていた。『平松さんがいらしたのは一九九八年、雨がざあざあ降る日でしたね』二度、三度、目が繰りかえし読みたがった。雨がざあざあ降っていましたね。雨がざあざあ・・・。すると――。あれはたじろぐようなどしゃ降りだった。わざわざ駅まで出迎えに来てくれた車の助手席に座ると、右へ左へワイパーが律儀に首を振っていた・・・十一年前に降る雨がすがたを現しはじめたではないか。記憶の回路のふしぎに唖然とする。ただの空模様でしかなかったことが、文章ひとつで十一年を超え、記憶として飛来するのだから。いっぽう、繰...抜き書きLongGood-bye2023・11・06

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・04

    今日の「お気に入り」は、作家松家仁之さんの小説「沈むフランシス」。都会を離れての地方移住が今ほど盛んでなかった、10年ほど前の北海道を舞台とする作品。小説の主人公は、撫養(むよう)桂子(けいこ)、35歳。「む、よう、は、撫でて、養う、と書く。珍しい苗字。下の名前は、木へんに土をふたつ重ねた桂子。安知内(アンチナイ)という、北海道東部のとある村が物語の舞台。主人公の職業は郵便局の臨時雇いの郵便局員。村の公営住宅にひとり暮らす東京から移住して来た、訳あり女性」という設定。郵便配達に出かけるときは、赤いスズキジムニーの荷台に、ゆうパックやレターパックのストックを入れた水色のカゴを置き、切手シートとはがき、釣り銭の入った小さな手提げ金庫と郵便配達用のバッグを助手席に置く。几帳面な性格。中学時代の3年間、乳製品の会...抜き書きLongGood-bye2023・11・04

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・11・02

    今日の「お気に入り」は、帚木蓬生さんの「千日紅の恋人」の一節。この小説の女主人公は宗像時子(むなかたときこ)38歳。自分の名前について「わたしはいや。ずっと嫌い。ついでに言うと、宗像(むなかた)という姓も気に入らん。宗像時子なんて、戦国時代の奥方の名前よ。男運が悪かったのも、そのせいよ、きっと」と語っている。はじめの夫とは死別し、二度目の夫とは離婚し、六年前から「サンライズ」という名の福祉施設「特養」で月に20日ほど「ヘルパー」として働く傍ら、近くで独り暮らしをする母親宗像峰子が所有する、14世帯が入居する老朽化したアパートの「管理人」を務めている。毎月一回、アパートに住む14世帯から月家賃3万円を戸別訪問して集金して回る。父親が建て、父親亡きあと、今は七十代の母が所有する、小さなアパートを大事にして、細...抜き書きLongGood-bye2023・11・02

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・10・31

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「ファーゴ(テレビドラマ)」。Am*z*nPrimeVideoで最近視聴した米国発のテレビドラマ『FARGO/ファーゴ』。このシュールなサスペンスドラマのシリーズ1(シーズン1)は、今から9年前の2014年に公開されたという。寒冷地である米国中西部のミネソタ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州の州境付近、およびカンザス州とミズーリ州にまたがるカンザスシティがこのドラマのシリーズ1の舞台である。ごく普通の市民、警察官、マフィアが主要なキャストとなり、連続殺人事件に巻き込まれていく。シリーズ1(シーズン1)は、10話構成。各話(エピソード1~10)の冒頭に実話を基にしている旨のこんなテロップが映るのがお約束。日本語字幕THISIS...抜き書きLongGood-bye2023・10・31

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・10・29

    今日の「お気に入り」は、南木佳士さんのエッセイ「からだのままに」((株)文藝春秋刊)から、「からだ」と題した文章。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「第一線の現場で働く内科の臨床医となって初老と呼ばれる年代に深く入るまで生きてしまったのに、そして、たくさんの亡くなる人たちを見送ってきたのに、いまだに死に関する定まった視点を持ち得ないでいる。医者になりたてのころ、死は完璧に他者のものであり、こちらはたまたま臨終の場面に立ち会わねばならぬ職業についたまでで、やがては慣れるだろうとたかをくくっていた。中年にさしかかると、日々見慣れたはずの死が、じつは自分の背後にそっと迫っているのを知り、慄然とした。他者に起こることはすべてわたしにも起こりえるのだと肌身にしみた。本当の大人になるとはこういう大事を知ってしまうこと...抜き書きLongGood-bye2023・10・29

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・10・27

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんのエッセイ「夕暮れの時間に」から「七番目の子ども」の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「出生率が落ちている。『少子化対策』ということがいわれている。しかし、地球規模で見れば、エネルギーのためにも食糧のためにも、人口減少はあきらかにのぞましい傾向で、日本だけなんとかもう一度人口を増やして国力をつけようなんて、いかにも目先の経済の御都合主義で、子どもを産む人の幸不幸などとんと視野にないという気がする。第二次大戦中に、兵力の減少を心配して『生めよ、増やせよ』と提唱した政策を思い出す。戦死者が多いので、もっと産んで早く育てて次の戦力にしようというのだから随分バカにした話であった。それが敗戦となり、どっと海外にいた日本人が戻ってくると、今度はなんとか人口を減らそうとして、南...抜き書きLongGood-bye2023・10・27

  • テレッテレレレー(^^♪ Long Good-bye 2023・10・25

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「地下室のメロディー」。一週間前にNHKBSPで視聴したアンリ・ヴェルヌイユ監督のフランス映画。久しぶりにみたジャン・ギャバンとアラン・ドロン。お馴染みのテーマ曲、テレッテレレレー(^^♪。フランス語版、日本語吹き替え版、何回も見た映画だけれど劇中の会話が古くさくない。鑑賞に耐えるモノクロ作品のひとつ。「『地下室のメロディー』(原題:Mélodieensous-sol)は、1963年製作のフランス映画。アラン・ドロンとジャン・ギャバンというフランス映画界の2大スターが共演した犯罪映画。1963年のゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞している。公開1963年3月19日、フランスで公開された。同年4月1日から10日にかけて第3...テレッテレレレー(^^♪LongGood-bye2023・10・25

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・10・23

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんのエッセイ「夕暮れの時間に」から「適応不全の大人から」の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「私にはこのごろのテクノロジーの変化が病的に早く思えてならない。静かにその時々の変化や成果を味わう暇もなく、どしどし神経症のように新発明新ツールが次々現われては現在を否定する。その結果の新製品、新ツールも病的に細かい変化で、なくてもやっていけるものばかりどころか、ない方がよかったのではないかと、少し長い目で見ると人間をこわしてしまうような細部の発明を目先だけのことで流通させてしまう。あ、やってしまった。適応不全の老人が『昔はよかった』風なことは決していうまいと思っていたのに、いってしまった。もう仕様がない。そうなのである。私は便利さは感受性をのっぺりさせるし、豊かさは活力を奪...抜き書きLongGood-bye2023・10・23

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・10・21

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんのエッセイ「夕暮れの時間に」から、「一老人の頭の中は分らない」と題した文章。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「六十歳を越えるころには、よくも悪くもそれぞれの生き方の流儀は仕上りかけているだろう。事情が変ったから新情報、新知識をとり入れて、一から人生を生き直そうというわけにはなかなかいかないのではないかと思う。もう存在の大半は過去のかたまりなのだから、リセットしたらなにもなくなってしまうというか、リセットなんか出来ないし、それぞれの長い人生が培った積極性、消極性、感受性、情の濃さ薄さ、好き嫌いをなるべく大切に生きればいいと思う。といって反省がないわけではない。NHKのドキュメンタリイに『老人漂流社会』という作があり、その中に、一人暮しの男性の話があった。寝たきりになり、...抜き書きLongGood-bye2023・10・21

  • 休止期間の幻想 Long Good-bye 2023・10・19

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんのエッセイ「夕暮れの時間に」から、「休止期間の幻想」の一節。人みな「それぞれのやり方で『究極の現実』にそっぽを向いて幻想をつくり出している。そして、なんとか元気に生きていこうとしている。むき出しの現実が力を露わにしたらひとたまりもない。しかし休止期間がある、その間だけ、きびしくなればたちまち吹きとばされてしまうような幻想をささえに生きている。それを誰が笑えるだろう。・・・」備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「・・・ある老人ホームに入った女性を訪ねた。八十六歳だが、少し歩くのに杖が必要なだけで、頭はクリアな人である。午後一時の約束だった。五分前に、その人の部屋のある四階へエレベーターで向かった。着いてドアがあくと、丁度その人がドアの前にやって来たところだった。『ほら、そう...休止期間の幻想LongGood-bye2023・10・19

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・10・17

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんのエッセイ「夕暮れの時間に」から、「いきいき生きたい」の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「・・・たしかに人の一生なんて、天から見下ろせば小さくて束の間だし、いつなにがあってすべてを失うかもしれず、死ぬかもしれず、見栄をはって豊かさを競うのも権力に身を寄せるのも、はじかれて苦しむのも、むなしいといえばむなしい。人が生きて行くために必要なものは、結局『方丈』――つまり畳五枚ぐらいの住いで、おさまってしまうのではないか、といわれると、ああムダなものを抱えているなあ、捨てなきゃと思いながら、いろいろ処分できないでいる私などは、反省ばかりという気持になる。」「たしかに死んでしまえば万事が終りなのだから、むなしいといえばすべてがむなしい。なにかに執着するのは愚かといわれれば...抜き書きLongGood-bye2023・10・17

  • 明治は遠くなりにけり Long Good-bye 2023・10・15

    今日の「お気に入り」。降る雪や明治は遠くなりにけり(中村草田男)(´_ゝ`)俳人中村草田男さんは、筆者の父と同じ明治34年(1901年)のお生まれ。(ついでながらの筆者註:「中村草田男(なかむらくさたお、1901年〈明治34年〉7月24日-1983年〈昭和58年〉8月5日)は、日本の俳人・国文学者。成蹊大学名誉教授。本名は中村清一郎(なかむらせいいちろう)。中国アモイ出身。東京帝国大学国文科卒。高浜虚子に師事、『ホトトギス』で客観写生を学びつつ、ニーチェなどの西洋思想から影響を受け、生活や人間性に根ざした句を模索。石田波郷、加藤楸邨らとともに人間探求派と呼ばれた。『萬緑』を創刊・主宰。戦後は第二芸術論争をはじめとして様々な俳句論争で主導的な役割をもった。次世代の金子兜太などに多大な影響を与えた。忌日は『草...明治は遠くなりにけりLongGood-bye2023・10・15

  • 老いの寒さは唇に乗するな Long Good-bye 2023・10・14

    今日の「お気に入り」。冬茜褪せて澄みゆく水浅黄老いの寒さは唇(くち)に乗するな(斎藤史)(´_ゝ`)斎藤史さんは筆者の母と同じ、明治42年(1909年)のお生まれ。(ついでながらの筆者註:「斎藤史(齋藤史、さいとうふみ、1909年(明治42年)2月14日-2002年(平成14年)4月26日)は、日本の歌人。東京市四谷区生まれ。福岡県立小倉高等女学校(現・福岡県立小倉西高等学校)卒業。歌人の父の影響で早くから作歌を始め、佐佐木信綱に師事。モダニズム短歌から出発し、内省を深めることで独自の歌風を構築した。歌集に『魚歌』(1940年)、『ひたくれなゐ』(1976年)などがある。経歴父齋藤瀏は陸軍少将で、佐佐木信綱主宰の歌誌『心の花』所属の歌人でもあった。父は『史子』と出生届を提出したが、戸籍係が間違えて『史』と...老いの寒さは唇に乗するなLongGood-bye2023・10・14

  • 東も西も Long Good-bye 2023・10・11

    今日の「お気に入り」は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」掲載の記事「ウーゼドム島」。Am*z*nPrimeVideoで最近視聴したドイツ発のテレビドラマの舞台になっている北ドイツにある保養地の島である。島内にドイツ・ポーランドの国境線がある。面積で言うと、島の85%がドイツ領、残り15%がポーランド領。人口76,500人、うちドイツ領に31,500人、ポーランド領に45,000人が住むというバルト海の島。テレビドラマのタイトルは、「ウーゼドム・ミステリー罪深き母の捜査ファイル」。ドイツ語の原題は、”DerUsedom-Krimi”(直訳すれば、「ウーゼドム島ーミステリー」)。劇中ドイツ語とポーランド語のせりふが交錯するサスペンス・ドラマ。ドラマの舞台は、ドイツとポーランドの国境を流れ、バル...東も西もLongGood-bye2023・10・11

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・10・09

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「高鴨の地」の一節。備忘の為、抜き書き。引用はじめ。「わが葛城(かつらぎ)一言主神(ひとことぬしのみこと)の後裔は、典型的な大和顔である。長い丸いという分類法でいえば丸顔に属するが、こまかくいえば五角形で、あごがよく発達し、えらが出、ぜんたいにぶが厚く、頭髪が強(こわ)い。(典型的な大和の顔だ)と、失礼ながら、一言主神社の神職の伊藤大人(うし)とむかいあいながら、感嘆するおもいでいた。死んだ母方の叔父とそっくりで、どうぞどうぞと茶をすすめられる目尻のこじわのあたりまで似ておられて、懐かしくもありかなしくもあった。『このお宮の台地は、葛城の高丘とか、高鴨の高丘とか高尾張とかいわれておりますですね』と、障子越しに低く見おろす大和盆地を見ながら私はき...抜き書きLongGood-bye2023・10・09

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・10・02

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「海の道」の一節。備忘の為、抜き書き。引用はじめ。「江戸時代、大坂湾から蝦夷地(北海道)へゆくのに太平洋航路は危険であった。おそらく難所は、遠州灘(寄港地なし)と銚子から北のほうの鹿島灘、それに最大の難所は三陸沖(宮城、岩手、青森の三県の太平洋岸)だったであろう。このため『東まわり』といわれる太平洋コースよりも、多くは日本海航路がとられた。大坂湾を中心に考えればここから下関へゆき、ぐるっと北へまわって日本海岸の港々に寄りつつ奥州へゆき、蝦夷地へいたる。この航路や船のことを、『北前船(きたまえぶね)』といった。前というのは、男前、江戸前といったふうに、意味のない接尾語とみていい。江戸初期には、北陸の諸港から下関経由で大坂までであったが、江戸時代の...抜き書きLongGood-bye2023・10・02

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・30

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「海柘榴市(つばいち)」の一節。備忘の為、抜き書き。昨日の「日本書紀」のなかの噺(はなし)のつづき。引用はじめ。「噺(はなし)を要約すると、あるとき疫病が流行した。何神のタタリのせいであろうということで、帝の皇女を巫女にしてまつらせたところ、すこしも降神せぬばかりか、彼女は髪がぬけ落ちてやせ衰えるばかりであった。代って、どうやら偉大な巫女であったらしい帝の伯母の倭迹迹日百襲姫(やまとととびももそひめ)を巫女にして憑神状態(かみがかり)にさせたところ、たちまち神の声あり、彼女の口を籍(か)りて、『若し能く我を敬い祭らば、必ず当(まさ)に自平(たひら)ぎなむ』(『日本書紀』)と、いった。帝はおどろき、誰(た)が神ぞや、と問うと、神はいう、『大物主神...抜き書きLongGood-bye2023・09・30

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・29

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「海柘榴市(つばいち)」の一節。備忘の為、抜き書き。引用はじめ。「記録のない古代を詮索するのは、実証性というレフェリーやリングをもたないボクシングのようなもので、殴り得、しゃべり得、書き得という灰神楽の立つような華やかさがあるものの、見物席にはなんのことやらわかりにくい。ただ、論者の人(にん)をみて、『あの人だから、言うことに間違いがよりすくないだろう。ときに奇矯の説を唱えるにしても、真実があるにちがいない』という判定法は見物席に権利としてある。」(´_ゝ`)「ミワ、というのはなんでしょう」「私には、むろんわからない。言葉の意味はわからないが、ミワという地理的な物(ぶつ)については、多少いえる。三輪山は面積ざっと百万坪、倭青垣山(やまとあおがき...抜き書きLongGood-bye2023・09・29

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・27

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「布留(ふる)の里」の一節。備忘の為、抜き書き。長い引用はじめ。「車は、天理で高速道路を降りた。そのあと道を南へとり、そろそろと十八丁。やがて東へ折れる枝道があるはずで、これはうかうかすると行きすぎてしまう。そう思いながら懸命に注意していたが、やはり行きすぎてしまった。土地の人に教えてもらいながら、野道を東へ入った。正面に山辺(やまのべ)の丘陵地帯が起伏し、右手のやや高い台上に森がある。『布留』というのが、このあたりの古い地名である。古代人にとって神霊の宿るかのような景色だったのであろう。神にかかる枕ことばである『ちはやふる』のふるがそうであり、神霊が山野にいきいきと息づいておそろしくもあるという感じが振るという言葉にあるようにおもわれる。この...抜き書きLongGood-bye2023・09・27

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・25

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「大和石上(いそのかみ)へ」の一節。備忘の為、ついでのことに抜き書き。脇道ながら、京都の「深泥池(みどろがいけ)」の話題。いずれ古代出雲族や鴨族の話が出てくる予感。引用はじめ。「・・・深泥池のことである。京都から鞍馬へゆく街道が上賀茂に入ったあたりにある古い池で、池の面に蓴菜(じゅんさい)が繁茂している。蓴菜とは汁のみにつかうあのトロリとした粘液質の物質をかぶった食用水草のことで、上方では如才のない、いい加減な口上手のことを『あの人はジュンサイなお人や』という。『ジュンサイなこと言いなはんな』など『増補俚言集覧』という本に、『じゅんさいとは大阪詞(ことば)。じゃらじゃら言うこと。蓴菜より出たる詞なり』とあるから、ひょっとするとジュンサイを口中に...抜き書きLongGood-bye2023・09・25

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・22

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「朽木の興聖寺」の一節。備忘の為、抜き書き。昨日の続き。引用はじめ。「われわれの車は、南北二〇キロの朽木谷の南北をつらぬく唯一の街道をゆるゆると南下している。この渓谷の底をゆく道は、若狭湾から京や奈良へゆくための古街道で、外来人や外来文化の流入路でもあったであろう。若狭湾は上代、大陸からの航海者を吸い入れる吸入口のひとつであったことを思うと、この山間の古街道はその吸入路だったかと思われる。平安初期、いわゆる満州あたりにあった渤海国(ぼっかいこく)からしきりに日本に国使がきている。日本を兄の国といったかたちの礼をとり、いわば朝貢してきている。渤海は多分に中国化したツングースの国で、その宮廷の女性は乙姫のような服装をしていたであろう。いまでも若狭湾...抜き書きLongGood-bye2023・09・22

  • 安曇 Long Good-bye 2023・09・21

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「湖西の安曇人(あずみびと)」の一節。備忘の為、抜き書き。昨日の続き。引用はじめ。「左手を圧していた山が、後方に飛びさった。この湖西最大の野は近江の秘めやかな蔵屋敷といった感じで、郡の名は高島という。『安曇(あど)』という呼称で、このあたりの湖岸は古代ではよばれていたらしい。この野を、湖西第一の川が浸(ひた)して湖に流れこんでいるが、川の名は安曇川という。安曇は、ふつうアヅミとよむ。古代の種族名であることはよく知られている。かつて滋賀県の地図をみていてこの湖岸に『安曇』という集落の名を発見したとき、(琵琶湖にもこの連中が住んでいたのか)と、ひとには嗤われるかもしれないが、心が躍るおもいをしたことがある。安曇人はつねに海岸にいたし、信州の安曇野を...安曇LongGood-bye2023・09・21

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・20

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「湖西の安曇人(あずみびと)」の一節。備忘の為、抜き書き。昨日の続き。引用はじめ。「日本民族はどこからきたのであろう。という想像は、わが身のことだからいかにも楽しいが、しかし空しくもある。考古学と文化人類学がいかに進もうとも、それが数学的解答のように明快になるということはまずない。が、まだ学問としては若いといえる日本語中心の比較言語学の世界になると、今後英才が出てきて、大きなかぎをさぐりあてるかもしれない。ただしいまは、まだ茫漠たる段階である。なにしろどの大学にも国語学者がいるが、たとえば隣接地の言葉である朝鮮語を同時にやっているという当然の方法さえ、いまはほとんどおこなわれていない段階なのである。この稿の読者のなかで、一念発起してそれを生涯の...抜き書きLongGood-bye2023・09・20

  • 穴太の黒鍬 Long Good-bye 2023・09・19

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「楽浪(さざなみ)の志賀」の一節。備忘の為、抜き書き。昨日の続き。引用はじめ。「中世では近江の湖賊(水軍)という大勢力がこの琵琶湖をおさえていて、堅田がその一大根拠地であった。この小松は堅田に属し、伊藤姓の家がその水軍大将をしていた。織田信長は早くからこの琵琶湖水軍をその傘下に入れ、秀吉は朝鮮ノ陣に船舶兵として徴用し、かれらに玄界灘をわたらせた。その小松の水軍大将の末孫は菅沼氏の話では土地の氏神の神主をしていて、友人だという。『戦前は盛んなものだったといいます。舟に苫をつけて家族が寝泊まりできるようにし、それで小松を漕ぎ出てゆきますと、一月も帰らなかったそうです』琵琶湖はそれほどひろい。小松舟はモロコやエビを獲りながら浦々で米や野菜と交換してゆ...穴太の黒鍬LongGood-bye2023・09・19

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・18

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「楽浪(さざなみ)の志賀」の一節。備忘の為、抜き書き。昨日の続き。引用はじめ。「われわれは叡山の山すそがゆるやかに湖水に落ちているあたりを走っていた。叡山という一大宗教都市の首都ともいうべき坂本のそばを通り、湖西の道を北上する。湖の水映えが山すその緑にきらきらと藍色の釉薬をかけたようで、いかにも豊かであり、古代人が大集落をつくる典型的な適地という感じがする。古くはこの湖南の地域を『楽浪の志賀』といった。いまでは滋賀郡という。で、サザナミに楽浪という当て字をつけたのはなにか特別ないわれがあるのだろうか。朝鮮半島にも楽浪という地があり、それとなにか関係があるのだろうか。彼の地の楽浪古墳群は平壌の西南、大同江の水を見おろす丘陵地帯にある。この『楽浪の...抜き書きLongGood-bye2023・09・18

  • 淡海の海 Long Good-bye 2023・09・17

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「楽浪(さざなみ)の志賀」の一節。備忘の為、抜き書き。いつ読んでもほっこり落ち着く語り口。引用はじめ。「『近江』というこのあわあわとした国名を口ずさむだけでもう、私には詩がはじまっているほど、この国が好きである。京や大和がモダン墓地のようなコンクリートの風景にコチコチに固められつつあるいま、近江の国はなお、雨の日は雨のふるさとであり、粉雪の降る日は川や湖までが粉雪のふるさとであるよう、においをのこしている。『近江からはじめましょう』というと、編集部のH氏は微笑した。お好きなように、という合図らしい。」「はるかな上代、大和盆地に権力が成立したころ、その大和権力の視力は関東の霞ケ浦までは見えなかったのか、東国といえば岐阜県からせいぜい静岡県ぐらいま...淡海の海LongGood-bye2023・09・17

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・15

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「朽木(くつき)渓谷」の一節。備忘の為、抜き書き。引用はじめ。「信長のおもしろさは桶狭間の奇襲や、長篠の戦いの火力戦を創案し、同時にそれを演じたというところに象徴されてもいいが、しかし、それだけでは信長の凄みがわかりにくい。この天才の凄みはむしろ朽木街道を疾風のごとく退却して行ったところにあるであろう。」「信長は、越前(福井県・朝倉氏の本拠)を攻略した。ときに信長は三十七歳で、同盟軍の徳川家康二十九歳の三河兵までかり催し、空前の大軍を編成して敦賀に集結した。敦賀という土地は敦賀湾に面して背後左右に山がせまり、湾に面した平地がひどくせまい。その狭隘地へ軍勢が充満したありさまはものすごいばかりで、その熱気だけで、敦賀のまわりの諸城が陥ちてしまった。...抜き書きLongGood-bye2023・09・15

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・13

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「三輪山」の一節。備忘の為、抜き書き。引用はじめ。「『この神社の名前は、ややこしいですね』と、編集部のHさんは、杉木立の参道を歩きながらいった。まったくそのとおりで、このお宮は通称、『三輪明神』もしくは三輪神社と言われながら、活字の上の正称(?)はそうではなく、大神神社と書いてオオミワジンジャと訓(よ)ませるのである。人を馬鹿にしていると思うが、しかし考えてみると、日本語は法則についてはきわめて厳密でない言葉で、たとえば、『白』という漢字に、アオというふりがなを振ってもかまわないのである。いまどき国語問題の右派のひとびとが古(いにしえ)をよしとして国語の紊乱をやかましくいうようだが、そもそものむかしから日本人は国語について勝手気儘なもので、共同...抜き書きLongGood-bye2023・09・13

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・11

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんの「月日の残像」から。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「映画は、つくる時だけ人が集まり、終れば散って行く。それはそうだが、つくっている時の一時的共同体気分は時にかなり強いものがあるし、業界にいて歳月を重ねれば、一緒につくる仲間もできて来る。」「ひとりの、たぶん三十代後半の男を思い出す。ある映画で助監督が足りなくなるということがあった。そんなに大作という記憶はないのだが、チーフ助監督が別班をつくって、役者の演技をさほど必要としないロケーション・シーンを撮りに行き、もう一人の助監督が体をこわして入院してしまったというようなことだったと思うのだが、四人編成が二人になってしまった。通常ならあいている助監督を応援に頼めばすむのだが、どういう訳か撮影所の人ではないその人がやって来...抜き書きLongGood-bye2023・09・11

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・09

    今日の「お気に入り」は、歴史作家関裕二さんの著作「古代史の正体」から。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「天智7年(668)夏5月5日、天智天皇は、大海人皇子(のちの天武天皇)や諸王、内臣(中臣鎌足)、群臣らとともに、蒲生野(滋賀県東近江市、蒲生郡日野町の周辺)に薬猟(不老長寿の薬になる鹿の新しい角を取り、薬草を摘む儀式的な行楽)を行っていた。この猟の後の宴で、歌が披露された。その時の、額田王の『天皇、蒲生野に遊狩したまう時、額田王の作る歌』が、次の一首だ。あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る(大意)紫野を行き、標野を行って、野守に見られていないでしょうか、あなたが手を振っているのを・・・。『野守に見られていますよ』と、はにかむ額田王を連想してしまう。手を振るしぐさは愛情表現なのだが、古代人に...抜き書きLongGood-bye2023・09・09

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・09・07

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんの「月日の残像」から。備忘のため、抜き書き。「女と刀」と題した章のほぼ全文。引用はじめ。「ほぼ三十年前の、短い私の随筆が、ある新聞のコラムで、要約という形で言及された。」「私なりに要約すると、湘南電車の四人掛けの席で、中年の男が他の三人(老人と若い女性と私)に、いろいろ話しかけて来たのである。それだけでも、いまはもうありそうもない。長くても二時間前後の、いわば通勤圏の電車で相席の人に話しかけるなんていうことは、酔っているとかすれば別だが、それだってほとんどないだろう。そのころだってやたらにあったわけではないが、『あ、富士が綺麗だ』と誰かがいって、『そうですね』というぐらいのことは、ごく普通の空気でなされたように思う。いつの間にか、人と人の閉じ方が強くなっているのかもしれ...抜き書きLongGood-bye2023・09・07

  • 阿修羅のごとく Long Good-bye 2023・09・05

    今日の「お気に入り」は、山田太一さんの「月日の残像」から。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「この間のことで残像もまだ雑多だが、七月の中旬、イスタンブールのトプカプ宮殿の前庭で軍楽隊の行進に出会った。『トルコ十一日間』というツアーに参加したのである。かねがねトルコを見たいといいながら、言葉も出来ない七十代の夫婦が、頼れる知人もなしに個人で出掛けても手も足も出ないだろうと(それはもう行ってみて本当にそうだった)棚上げにしていたのだが、急にその気になったのである。観光の定番だからトプカプ宮殿の前は大変な人だった。多くはツアーの人たちである。日本人は年間十万人ほどで、一番多いドイツからの客は二百万人というのだから、背の高い白人の男女が多い。チケットをさし込んで通るゲートを入っても、また人でいっぱいで、宮殿に至る...阿修羅のごとくLongGood-bye2023・09・05

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・08・31

    今日の「お気に入り」は、歴史作家関裕二さんの「スサノヲの正体」から。備忘のため、抜き書き。昨日の続き。引用はじめ。「日本列島で独自の文化を築き上げていた縄文人たちは多神教的発想をよく守り、大自然には太刀打ちできないとかしこまった。一神教の考えは正反対だ。一神教は唯一絶対の神が宇宙を創造し、神に似せて人を創ったと説く。だから、人は神になりかわって大自然を支配し、改造する権利を持つと考えた。人間の理性が、正義と考える。そして、この一神教的発想が、さらに恐ろしい文明を造り始める。一神教は砂漠で生まれた。生命を排除する苛酷な砂漠で生きていた人たちは、豊穣の大地を追われた人たちでもある。だから、政敵や他民族を呪い、復讐の正統性を求めた。これが、一神教の原点だ。だから、『旧約聖書』の中で、神自身が復讐を誓っている。ち...抜き書きLongGood-bye2023・08・31

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・08・30

    今日の「お気に入り」は、歴史作家関裕二さんの「スサノヲの正体」から。備忘のため、抜き書き。前回の続き。引用はじめ。「スサノヲは、縄文的な神だ。その荒ぶる燃え上がるような魂は、火焔型土器を彷彿している。母を思い出しては泣き止まず、大音声を響かせて天上界に昇った。暴れまわって神々や人びとに災いをもたらすその姿は、大自然そのものだ。嵐のように暴れ、雷神のように恐ろしい。縄文人が恐れ、崇め、祈ったのは『理不尽で容赦ないスサノヲのような神』である。『日本書紀』編者も、スサノヲが日本人の原始の信仰を継承していたことを知っていたのだろう。中臣(藤原)鎌足や藤原不比等ら、百済系の渡来人(拙著『古代史の正体』新潮新書)の大陸的な人びとから見れば、スサノヲは疫病を振り撒く恐怖の悪神と思ったに違いない。しかも政敵の祖神だったか...抜き書きLongGood-bye2023・08・30

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・08・28

    今日の「お気に入り」は、古代史の謎にメスを入れる歴史作家関裕二さんの「スサノヲの正体」から。備忘のため、抜き書き。前回の続き。引用はじめ。「持統天皇は件の歌の中で、クーデターの決意を表明していたのだ。蘇我系日本海政権の象徴であるトヨの女神の白栲=羽衣が天香具山に干してあり、その衣を奪えば、政権を転覆することができると言うのだ。また、その現場がなぜ天香具山なのかといえば、神武天皇からはじまる『日本海勢力の王』が代々天香具山で『東海勢力のナガスネビコ』を祀ってきたこと、それが、政権を維持するために必要だったからである。その『祀る権利』を持統天皇と藤原不比等は奪った。そこで住吉大神は畝傍山に場所を移し、祭祀を継承したのだ。ちなみに先述の畝傍山麓の畝火山口神社の神職は、武内宿禰の末裔が務めている。」「『蘇我系トヨ...抜き書きLongGood-bye2023・08・28

  • 抜き書き Long Good-bye 2023・08・26

    今日の「お気に入り」は、最近読んだ「スサノヲの正体」の一節。備忘のため、抜き書き。引用はじめ。「持統天皇の次の万葉歌に、天香具山と天の羽衣の秘密が隠されている(巻一─二八)。春過ぎて夏来るらし白栲の衣乾したり天の香具山春が過ぎ、夏が来るらしい。白い衣(白栲)が天香具山に干してあるよ…。名歌とされている。しかし、ヤマトでもっとも神聖な山に、洗濯物が干してあるはずがない。この歌は不自然だ。歴史作家・梅澤恵美子は、これが『羽衣伝承』を暗示していると喝破した(『竹取物語と中将姫伝説』三一書房)。『丹後国風土記』逸文に次の説話が載る。天真名井(あめのまない)で八人の天女が沐浴していたが、老翁が羽衣を奪ってしまった。天女のひとりは天に戻ることができなくなり、老翁の元でしばらく暮らし、家を豊かにした。慢心した老翁は天女...抜き書きLongGood-bye2023・08・26

  • 修二会 ( お水取り ) Long Good-bye 2023・08・24

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「修二会」の一節。備忘の為、抜き書き。昨日の続き。引用はじめ。「修二会に加わる僧(練行衆)は、十一人にきまっている。その人名と役割が前年十二月十六日に発表されると、結願の三月十五日朝までのあいだ、一山は四百年を一昼夜に圧縮するほどにいそがしい。練行をしたところで、いっさい金銭で償われることがないのである。また寺としても、他の寺社の行事のように。参観料や入堂料などが入ることがない。ついでながら、東大寺がひとから金をとるのは大仏殿や三月堂などに入るときだけであり、他は山内を自由に歩いていい。『東大寺は、ダイブツがあるから、十分利益があるじゃないか』と、他の社寺でいうひとがいる。まことにそのとおりかもしれないが、それらの収入は東大寺学園という中・高校...修二会(お水取り)LongGood-bye2023・08・24

  • 東大寺 お水取り Long Good-bye 2023・08・23

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「修二会(しゅにえ)」の一節。備忘の為、抜き書き。昨日の続き。引用はじめ。「修二会は、千年以上ものあいだ、一年も休むことなく、しかも前例と違うこともなく、平版印刷機のように動作がくりかえされてきている。それも澱みの水のようにとりすました動作でなく、この行法には気迫と、鑽仰(さんぎょう)への熱気が必要なのである。それが、百年一日どころか、その十倍の歳月のあいだ、つづけられている。」(´_ゝ`)「どういう変動期にも、深夜、二月堂のせまい床の上を木沓で走り、また跳ね板の上に自分の体を投げて五体投地をやり、あるいは『達陀(だつたん)』という語意不明のはげしい行法では堂内で松明を旋回させてまわりに火の粉をふらせるのである。」(´_ゝ`)「『しゅにえ』とい...東大寺お水取りLongGood-bye2023・08・23

  • 修二会 Long Good-bye 2023・08・22

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「雑司町界隈」と「修二会」、それぞれの章の一節。備忘の為、抜き書き。今日8月22日は、タモリさんの誕生日だとか。昭和20年、ほやほやの戦後生まれ、滿78歳、早朝のラジオで耳にした。縁もゆかりもないけれど。引用はじめ。「仏教は、本来、葬儀をするための宗教ではなかったのである。クシナーラーの野で、弟子たちに看とられつつ死んだ釈迦についても、葬儀が営まれたというはなしはない。かれの遺体は、当時のインドの火葬のやりかたどおり、新しい布や綿でつつまれ、油をたっぷり入れた鉄の槽(おけ)におさめられて、火が点じられただけであった。仏教渡来以前、日本人は、死者と死霊をおそれた。また、死や血を穢れとみた。仏教という大きな文明がこの国にやってきて、死者とはじつは五...修二会LongGood-bye2023・08・22

  • 興福寺 阿修羅像 Long Good-bye 2023・08・19

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から備忘の為、抜き書き。昨日の続き。引用はじめ。「旧興福寺の食堂跡に、収蔵庫ができている。そこに、国宝もしくは国宝級の寺宝が、現興福寺によって保管されているのである。たれでも入場料さえ払えば手軽に入れるということがありがたかった。ゆくと、コンクリート製のその小さな建物は、まわりの景観には適(あ)いがたく、荘厳さも芸術性もない。しかしなかに入ると、せまい部屋に、ひしめくように彫塑や画像がならんでいる。阿修羅は、相変らず蠱惑的だった。顔も体も贅肉がなく、性が未分であるための心もとなさが腰から下のはかなさにただよっている。眉のひそめかたは、自我にくるしみつつも、聖なるものを感じてしまった心のとまどいをあらわしている。すでにかれ――あるいは彼女――は合掌し...興福寺阿修羅像LongGood-bye2023・08・19

  • 阿修羅 Long Good-bye 2023・08・18

    今日の「お気に入り」は、作家司馬遼太郎さんの「街道をゆく」から「阿修羅」の一節。備忘の為、抜き書き。引用はじめ。「私は、奈良の仏たちのなかでは、興福寺の阿修羅と、東大寺戒壇院の広目天が、つねに懐しい。阿修羅はもとは古代ペルシアの神だったといわれるが、インドに入り、時がたつにつれて次第に悪神(非天)になった。中村元博士の『仏教語大辞典』によると、闘争してやまぬ者。争う生存者、仏教では六道の一つ、八部衆の一つとされ、一種の鬼神とみられ、須弥山下の大海底にその住居があるとされる。とある。しかしながら興福寺の阿修羅には、むしろ愛がたたえられている。少女とも少年ともみえる清らかな顔に、無垢の困惑ともいうべき神秘的な表情がうかべられている。無垢の困惑というのは、いま勝手におもいついたことばだが、多量の愛がなければ困惑...阿修羅LongGood-bye2023・08・18

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