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風の記憶 https://blog.goo.ne.jp/yo88yo

風のように吹きすぎてゆく日常を、言葉に残せるものなら残したい…… ささやかな試みの詩集です。

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2014/10/31

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  • 天然のスイーツ

    山裾の一角の、岩肌が露わになったなんでもない場所が、とつぜん夢の中で浮かび上がってくることがある。ふだんは思い出すこともないが、子供の頃のある時期には、とてもだいじな場所だったようなところ。そんな場所だ。そこはいつも、山の清水が滴り落ちている。寒い冬の朝、雫が凍って氷柱(つらら)になっている。手を伸ばして氷柱を折る。細く尖った先の方から口に入れてガリリっと噛み砕く。氷が溶けて、口の中に草のような土のような匂いと味がひろがる。冷たくて麻痺した舌に、岩肌を伝ってきた岩苔の味もかすかにのこる。それは夢の情景だが、目覚めてみると、子供の頃の記憶の情景と鮮明に繋がっている。北国の冬ではないから、いつも氷柱が出来るとはかぎらない。とくに寒い朝だけ、その一角に珍しく貴重な氷の柱が現れる。氷柱には大小のさまざまな形があっ...天然のスイーツ

  • 瞑想する椅子

    近くの公園に、丸い形をした石の椅子がある。椅子は数個あり、それぞれの座面にいろいろなわらべ唄がプリントされている。そのひとつに座って、私は瞑想もどきをすることがある。今朝の椅子には、次のような唄があった。おさらじゃないよはっぱだよはっぱじゃないよかえるだよかえるじゃないよあひるだよあひるじゃないよかっぱだよ解るようで解らない唄だ。ややこしい椅子に座ってしまった。私の雑念が始まる。椅子は一所不動。それ自体が常に瞑想状態にあるといえる。その椅子に腰掛けて瞑想しようとする私は、言葉が迷走する椅子と対峙し、すぐさま雑念に捉われることになる。瞑想が極まれば木の葉が地面に落ちる音が聞こえるそうだが、私の耳に入ってくるのは「はっぱじゃないよ」という雑音ばかりだ。はっぱでなければ何なんだ。おさらだよ、という声が聞こえる。...瞑想する椅子

  • 泳ぐことや飛ぶことや

    鳥になって空を飛んだり、魚になって水中を泳いだりする、そんな夢をみることは、たぶん誰でも経験することだと思う。かつてアメーバだったころの古い記憶が、ひとの深層にある眠りの回路を伝って、原始の海から泳ぎだしてくるのだろうか。あるいはまた、かつてコウノトリに運ばれた未生の感覚が、意識の底から夢の中へと舞い戻ってくるのだろうか。近くにある公園の池に水鳥が飛来している。毎年、こんな小さな池を忘れずにやってくる渡り鳥たちも、何か抗いがたい自然の力に支配されているのかもしれない。彼らにエサを与えるのを日課にしている人もいるのを心得ていて、鳥たちは人の気配を感じると橋の下に集まってくる。三角の尾をピンと立て、さかんに鳴き騒ぎながら、次第に興奮状態になっていく。人の手が欄干の上に伸びると、鳥たちは水面を十センチほど飛び上...泳ぐことや飛ぶことや

  • 恋する水鳥たち

    近くの池で、水鳥がひときわ変わった泳ぎをしている。2羽で追いかけっこをしている。それも、どちらが追いかけて、どちらが追いかけられているのか判らない。ぐるぐるとコマが回っているような円を描いている。その動きは激しくて、池のその部分だけが沸騰しているようにみえる。水鳥が恋をしているのだと思った。雄と雌2羽は相思相愛の仲。追いかけているのか追われているのか、その動きが証明している。片思いであれば、どちらかが追いかけ、どちらかが逃げる。その動きは直線になるはずだ。だが、この2羽はひたすら円を描きつづける。もう何も見えないといった激しさで渦巻きつづける。恋というものを目に見える形にすると、このような絵になるのかもしれないと思った。また、あるときは20羽くらいが集団で渦巻いている。こちらも激しい動きで熱気がある。さし...恋する水鳥たち

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