メタモルフォーゼ
いつも言葉のことが頭にある。言葉で考えて、言葉で自分を表現する。言葉でひととコミュニケートする。言葉を並べて文ができる、詩ができる。メールも送信できる。だが、言葉を操ることは簡単ではない。言葉は楽しませてくれるが、悩ませてもくれる。言葉を選ぶ。衣装のように着たり脱いだりする。なかなか自分の体にフィットしない。私は自分のことを、気分が比較的安定した人間だと思っている。感情のさざ波は常に立っているが大荒れすることはない。けれども、とつぜん自分というものを捨てたくなることがある。着膨れしたように、体の動きが不自由になっていたり、袋小路に追い詰められているように感じることがある。くるりと方向転換したり、もっと身軽になるために着ているものを脱ぎ捨てたくなる。これは自分ではない、と思う。玉葱のように、皮だか実だか分か...メタモルフォーゼ
2025/05/29 15:45