諫早市多良見町はみかんの栽培が盛んで、伊木力(いきりき)みかんは全国的に人気のブランド。伊木力地区の西にある佐瀬集落のものは、伊木力佐瀬みかんと呼ばれ、特に上物だそうだ。 自分は貧乏で高級みかんは買えないので、時期になると原付で山を越えて佐瀬まで走り、無人販売所のひと袋100円の規格外みかんを買い、苦労ばかりかける妻と、実家の年老いた母に食べさせている。 その佐瀬の山の中に、成仏(じょうぶつ)という小...
庭の畑の野菜に水をやっていたら、畑の隅に放置したプランターと塀の間に、何やら緑色の平べったいものがはさまっている。一体なんだろう?取り出してみると、パソコンのマウスだった。変だなあ、こんな緑色のシマ柄のマウスなんて持ってないぞ?それに、ボタンのクリック感がまったく無いし、裏にはレーザーのレンズも見当たらない。コードにはウブ毛が生えているし、何か葉っぱやツルのようなものが・・あああ ━━━━ ッ!!スイ...
諫早市多良見町の市布(いちぬの)地区に、山帰来川内(かからごうち)という地名がある。 場所は、JR市布駅から長崎バイパスの古賀市布IC出入口へ向かう途中の、谷間の辺り。 前回の「九重里(こつづら)」のすぐ近くで、ここも長崎市古賀町との市境。多良見町側には長崎バイパスの出口がある。 バイパスの高架をくぐると、古賀町の「正念」という地区になる。 正念も気になる地名だが、昔、この山の中腹にあった「正念寺」に...
昭和50年代に、長崎市古賀町の山を平らにして作られた「つつじヶ丘団地」。 その北西側の崖下に、「九重里」と書いて「こつづら」と読む、いや、読めるかーい!とツッコみたくなる、超難読地名の地域がある。 ※Googleマップより 行政地名ではないが、古い集落のため国土地理院の地図には記載があり、明治35年発行の地図にもその名が見える。最先端のGoogleマップには、出てこない。 当て字にも 限度が...
「西彼杵郡 野母崎(のもざき)町」は、平成17年に長崎市に編入され、慣れ親しんだ「野母崎」という行政地名は無くなった。 しかし、中心部の野母町にある市役所の出張所は「野母崎地域センター」のままだし、多くの人は、今でも長崎半島(野母半島)の南半分を「のもざき」と呼んでいるだろう。 南の島のような青い海、湧き立つ白い雲、遠く浮かぶ島影。そして荒々しい奇岩と急峻な崖のシルエット。ここは長崎人のリゾート地。 ...
重篭(じゅうろう)と十郎原(じゅうろうばる)と、田手原大根の話
以前、長崎市田上周辺の地名の回で、田手原(たでわら)町の山の上にある「重篭(じゅうろう)」集落について書いたが、開拓農地らしいという話だけで「じゅうろう」の意味についてはあまり言及していなかった。 リンク:田上近辺の高地を巡る その後も時々思い出しては調査を行い、いろいろと考えていた。えろえろな事を考えていたのではない。あ、少しは考えたかもしれない。いや、実はたびたび・・(いいから早くやれって...
雲仙市の吾妻(あづま)町と愛野町の周辺は、古くは「山田郷(やまだごう)」と言って、肥前国高来(たかき)郡の官道の駅がある重要な土地だったらしい。 しかし、「山田」という歴史ある地名は、昭和29年に山田村と守山村が合併し、吾妻村になったことで消滅してしまった。 現在は、「愛野扇状地」の上の方、吾妻町栗林名に、かろうじて「山田原(やまだばら)」という通称地名と小字地名が残っている。 行政地名では無いので、Goog...
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諫早市多良見町はみかんの栽培が盛んで、伊木力(いきりき)みかんは全国的に人気のブランド。伊木力地区の西にある佐瀬集落のものは、伊木力佐瀬みかんと呼ばれ、特に上物だそうだ。 自分は貧乏で高級みかんは買えないので、時期になると原付で山を越えて佐瀬まで走り、無人販売所のひと袋100円の規格外みかんを買い、苦労ばかりかける妻と、実家の年老いた母に食べさせている。 その佐瀬の山の中に、成仏(じょうぶつ)という小...
歳をとると物忘れが激しくなると言うが、それは、ホンマのコトなんやでぇええ〜! 最新の研究では、人は44歳と60歳ごろ急に老化が進むと言われているそうだ。44歳の頃はそう感じた記憶はないが、60歳はついこの前。確かに思い当たるフシがありすぎる。 朝の着替え中、「服のボタンを止めたらマスクを箱から1枚出してポケットに入れよう」と考えるが、着たらもう忘れ、朝食を食べて外に出てから思い出す事もしょっちゅう...
わが輩は、ヒト。わが輩は、ヒト。名前は、尻山二個太朗(仮名)。 ここ最近の、お気に入りはコレ! コロッケでも、サッポロビールでもなく、 ブルドック、ウスターソォーーーース!! お気に入りと言っても、そのまま飲んだり舐めたりするのではない。わが輩のことを何だと思っているのですか、失礼な! ブルドックは長崎ではあまり馴染みのないメーカーだが、よく探せばけっこう近所の店にも置いてある。 ただ、中濃ばか...
諫早市の久山港周辺は、ここ数年のうちに産業団地や市のスポーツ施設、ソニー従業員の送迎バス付き駐車場などが次々にでき、朝夕の通勤時間も休日も、交通量が一気に増えてせわしくなっている。 久山港へ向かう大きな道路は、貝津町の日大高校の交差点からと、津水町の信号の無い川端からの2ヵ所だけなので、朝夕の渋滞もひどくなっている。 最近は小さい踏切の通学路や、すれ違えないほど狭い生活道路を、大きなクルマが通...
月曜日の昼めし時、諫早に突然降ったヒョウの大群が、うちの軒屋根の波板に、穴をい~っぱいあけてやがった! ちくしょう、許さん!てめえらみんな、皮をはいで大阪のおばちゃんのコートにしてやる!うわぁ~ん!! 貫通した穴は十数ヵ所、ヒビや傷だけの所も多数だが、もう数える気にもならん。数えたところで直るわけでもなし! うちは中古住宅で、波板は買った時のままだったのでかなり時間は経っているはずだ。そして、屋...
前から言い忘れていたことがあったので、とりあえず書いておこう。あとでやろうと思うと、絶対にまた忘れるからだ。これはすごく自信がある! 自分は、東長崎方面に出かける際、古賀町の旧長崎街道沿いにある松井糀屋(こうじや)で、甘酒と酒まんじゅうを補給食としてよく買う。 あくまでも補給食であって、家族に内緒で買い食いしているのではない。本当だ。信じてくれ。 甘酒は昔ながらのやり方で作っている生モノなので、...
むかし長崎港は、鶴が翼を広げた形をしていたので「鶴の港」と呼ばれていたそうだ。自分も小学生の頃、そう教わった記憶がある。 ※五羽の折り鶴を配した長崎市のシンボルマーク しかし、教科書に証拠の写真が載っているわけでもなく、あの頃、実際に鶴の形を見たお友だちはいなかったはず。単なる都市、いや、田舎伝説だったのかもしれない。というわけで、今回は、かつて長崎港が、本当に鶴に見えたのか見えなかったのか、...
長崎市藤田尾(とうだお)町は、野母半島東部の海岸沿いにある農業集落。 周辺の町はどこも同じだが、山道をぐるぐる登り下りしてやっとたどり着くような所で、昭和初期まではクルマが通れる道も無く、船が主な交通手段だった。 住宅は崖の地形に沿ってけっこう密集しているが、それぞれの敷地は広く、よくある漁村のようなせせこましさは感じられない。 三和町郷土史に、地元の荒木新氏が寄稿された「藤田尾余聞」には、かつて...
諫早警察署そばの交差点から、県道41号線を南に4kmほど進むと、山あいの地にそびえ立つ巨大な鳥居が、不意に目に入る。 目に入ると言っても、眼球内にメリメリ入っては来ないので大丈夫だ!心配はいらない。 ここ、土師野尾(はじのお)町は、山と緑に囲まれた静かな農業集落。 大鳥居は、神仏習合の神「八天狗(はってんぐ)」を祀る、八天岳の神域を示すものだ。 「はじのお」という地名は、安土桃山時代、この地で土師野尾焼...
野母崎の脇岬から、東側の険しい県道を登る途中に、井上(いがみ)という小さな農業集落がある。 海岸に切り立つ断崖絶壁の上で、岩山に囲まれた厳しい環境だが、住居や畑が点在するところは、ゆるやかなテーブル状の地形になっている。 両側の谷には小川が流れ、集落の上方を通る右側の小川から水が引かれているが、別の水源もあったと思われる。 昭和の頃までは、海岸の崖のキワから山のてっぺん近くまで、畑が切り開かれてい...
長崎市茂木(もぎ)町に「切スシ(きりすし)」という、謎に満ちあふれた小字地名がある。 場所は、裳着(もぎ)神社や茂木小学校がある、若菜川沿いの山の北側付近。 今回のミッションは、この切スシ地名の由来解明だ。 切スシなどという地名は聞いたこともなく、似た地名がないかと地図で探したが見つからなかった。 「切スシ」で連想されるのは、大村市の郷土料理「大村寿司」くらい。 ・大村ずしぎおんの大村ずし 甘ウ...
テレビであのちゃんを見てたら「あの」という地名が気になったので、調べてみることにした。 「阿野(あの)」や「安濃・阿納・穴太(あのう)」という地名は全国にあり、例外はあるだろうが、地図を見るとほとんどが湿地のようだ。 ・愛知県豊明市 阿野町 以前は田んぼが広がっていた川のそばの低地。 ・高知県香美市物部町別役 阿野地 深い山の谷間を流れる川沿いに苔むした小松神社がある。・徳島県神山町 阿野 山の谷間...
今は使われていない「小字(こあざ)地名」は、馴染みがないどころか、そこに住む住民にすら次第に忘れられ、若い世代になると、もう聞いたこともないと言う。 しかし、小字地名にはピンポイントの地形や土地状況が反映されており、大きな地名の意味を考えるための一番のヒントになる重要なものだ。 地図オタク以外は知らないだろうが、長崎市古賀町に、「来来林(らいらいばやし)」という、中華料理屋のような、変わった小字地名...
「きょうらぎ」「きゅうらぎ」という類の地名は全国にあり、長崎近辺にも見られる。・教良木(きょうらぎ) 熊本県天草市・厳木(きゅうらぎ) 佐賀県唐津市・久良木(きゅうらぎ) 長崎市中里町 今から100年以上も前、日本民俗学の父 柳田國男(やなぎたくにお)は、歴史地理という専門誌において、「きょうら石」や「きょうらぎ」という地名は、古い信仰による「清浄な霊石・霊木(清ら石・清ら木)」が祀られた地であろうという説を...
長崎県松浦市の御厨(みくりや)町に「郭公尾免(こっこうのお めん)」という、ペポロピッポロ・ヌヘラフンダラ・バッホバホ~ンに意味不明な地名がある。 (意味不明はあんたですよ) 郭公尾免は「北松(ほくしょう)やまびこロード」沿いの、山の上の農業集落。周辺の土地と同様、溶岩台地を雨水が長い長い年月をかけて浸蝕した、特徴的な地形をしている。 「免(めん)」は、旧平戸藩特有の区画単位で、村がいくつか集まった「大字(...
コロナ禍以降、自分は自転車で出かける機会がめっきり減っていたのだが、原付を買ったら、便利すぎてますます乗らなくなった。 でも自転車散歩を完全にやめるつもりはないので、いつかまた来るであろう「マイ自転車ブーム第2期」のため、車体や部品の古いものは整理し、保管するものは保管している。 絞り込みも必要だが、なかなか捨てられずにいるのが貧乏臭くて哀しい。 一番メインで乗っていた田舎散歩用自転車「いなちゃ...
アジフライの聖地としてだいぶ名が売れてきた、長崎県松浦市。 玄界灘に面する「調川町」の読み方は、「しらべがわ」でも「ちょうせん」でも無く「つきのかわ」が正解。 ちょっと読むのが難しい「キラキラ地名」と言うヤツだ。(言わねえよ) 「調」という字は「つき」「みつぎ」と読み、古い時代の税制や貢ぎ物の意味がある。 調川(つきのかわ)という地名は、古代の租税である「租庸調(そようちょう)」のうち、「調」の「皮」...
江迎町のレストラン庄屋本店が火事で全焼したことを、当日のニュースで知った。 人的被害がなくて幸いだったが、今どき貴重な「長崎遺産」だったあの藁葺き屋根の建物が焼失したと知り、思わず「うんにゃ、もったいなさよぉ~~!」と声が出た。 6m以上の強風の中、近くの畑で野焼きをしていて火の粉が飛んできたらしい。もし違っていたとしても、あまりに常識外れだろう。 人のことを考えず迷惑をかける者は多いが、大抵は...
前回、トウボウという地名は、「堤防のような砂州や砂丘(トウ)が、長く伸びる所(ボウ)」だろうという話を書いた。 その検討の際、「ボウ」の意味がなかなか判らず、ふと思った。もしかして、「トウボウ」は、別のひとつの言葉が変化したものではないか? トウボウに似ていて、砂州にガッツリ関係する言葉がある。 「トンボロ」だ。 ・天草郡苓北町 富岡のトンボロと砂嘴 砂州(さす)が発達して陸と島が繋がった地形...
長崎市の東部、矢上地区を流れる八郎川の河口付近に、東望(とうぼう)という名の地域がある。 国道地理院地図より なんかカッコよさげな地名だが、標高42.4mの東望山から東の方を望んでも、特に絶景ということもない。 昔の地図には「東方」や「東房」とも書かれているし、漢字は関係ないようだ。 南島原市口之津町の海岸周辺にも、東方(とうぼう)という地域がある。 国土地理院地図より 自分は若い頃、...
手延べそうめんとみそ五郎で知られる、南島原市 西有家(にしありえ)町に、「風呂川(ふろがわ)」という珍しい名の地域がある。 自分は若い頃、クルマでここを通るたび「プッ、変な地名ッ」と思っていたものだ。 (こらこら失礼なことを言うな) 昔は段々畑が広がる斜面だったようだが、現在はすっかり住宅地になっている。 Googleマップより 「風呂川」とは何に基づく地名だろう?ここは雲仙岳の裾野なので...
「陣場」や「陣ノ内」など、陣のつく地名は、「むかし、武士が合戦で陣を立てた所」と言われている。 なるほどそうなんですね、ふぅ〜ん、と納得しそうになるが、「陣」がつく地名の土地状況を調べると、なぜか川のそばの低湿地や田んぼ、グジョグジョの沼や、ため池のある所ばかり。 暗く淋しい山の谷間にあったりもするが、武士の陣場に適した小高い丘はほとんど無かった。 これはどういう事だろう? ハッ!もしかして...