二の腕に触れて子猫の手足かな白澤さん「そういえば筋トレ、続けていらっしゃるんですか?」私「腕、触ってみて」白澤さん「えっ、いいんですか?」私「どうぞ」白澤さん「ではちょっと失礼します。えっ、あっ!ホントに硬い!」私「胸も出て来てるよ」白澤さん「いいですか?失礼します。あっ、ホントだ。スゴイですね」私「半年以上やってきて、ようやくここに来て付いてきた(笑)」白澤さん「日向社長、実は私にも筋肉が付いて...
東照公眠る山なり澄める秋本殿を出て随分と下まで降りてきたところで妻が言い出した。妻「そういえば、もう一つ書いてあった」私「何?」妻「逆さ葵の他に『カエル』のことが書いてあった」私「カエル?カエルがどうしたって?」妻「ちょうど読んでいる時に貴方が乗り場の方へ歩いて行くので、中途になってしまったけど、見どころ1、2、3と続く中の一つに『カエル』があった」私「何、彫り物?柱?絵?」妻「分からない」私「何だ...
東照宮山の錦を従へて逆さ葵がこの中に一つだけあるという。妻「さっき、ケーブルカーに乗る時に書いてあった」私「へぇ~」その紋所を探し始めたが、数が多すぎて探せるものではない。私「これだけあれば見つかる訳ないよ」妻「ちょっと待って。順番に見て行くから」私「無理だよ。正面だけじゃなくて右にも左にも続いているじゃん。その中の一つだけなんて、探せない、探せない、止めた方がいいよ」そこに男性が現れた。男性「正...
楼門の奥に唐門澄める山チェックアウトは12時である。ゆったりとした設定になっている。久能山東照宮へお参りすることにした。朝食後、フロントに行くといつでも好きな時にケーブルカー乗り場まで車を出すと言ってくれた。9時開門なので8時40分にフロントに行き、すぐに車を手配してもらった。もちろん我々2人きりである。ケーブルカーのキップを買おうとすると、隣にいた男性が「まとめて買うと損ですよ」と教えてくれた。「??...
梶の葉を添へて清水の地の物を夕食はもちろん和食である。フォークとナイフを持ってカチャカチャやるのは性に合わない。窓際の席に案内されて食事を注文した。私「もちろん、アルコールは駄目ですよね」仲居さん「いえ、ご用意できますが……ただし夜8時までとなっております」私「へぇ~、そうなんだ。静岡も緊急事態宣言だと思っていたけど、それは有難い。じゃ、まずビールをお願いします。それを飲んだらすぐにお酒をお願いしま...
サスペンスドラマさながらシヤワー浴ぶ3時半にホテルに到着した。キムタク主演のドラマ「華麗なる一族」のロケ地として使われたホテルだそうだが、それを聞いたのは旅行を終えてしばらくしてからのことである。なるほど、撮影には持って来いのロケーションかも知れない。どんな風に使われたのか見てみたいものだが、おそらく見ることはないだろう。3階の部屋だったが、入った途端、「オオオッー」と歓声を上げてしまった。一枚ガラ...
侠客の墓に名はなし秋の風次に向かったのが車で5分ほどの場所にある「遠州都田の吉兵衛(通称都鳥)供養塔」である。森の石松を罠に嵌めて殺した都鳥一家が次郎長に仇討ちされた場所である。次郎長一家の仇討ちが称えられ、殺された都鳥には弔う人もない。里人が不憫に思い、供養塔を建て、霊を慰めたとする場所である。事前に場所を確かめておいたが分かりづらい。広沢虎造の浪曲では「追分宿の仇討ち」となっていて、宿の名前は...
墓参り船の汽笛を背ナに聞く次郎長が清水港に開業した船宿「末廣」を見学してから墓のある梅蔭禅寺に向かった。生家も墓も船宿もみんな近くに集まっている。立派なお寺だった。幼稚園も経営しているようである。1台も停まっていない広い駐車場に車を停めて本堂の方へ向かった。次郎長の墓の見学コースを作り、見学料を徴収しているようである。矢印で墓を案内していた。建物の入口に「出掛けています。2~3分で戻ります」との張り...
次郎長の笑わぬ視線秋のこゑ「雨の浮月楼」を後にして、次に向かったのが「次郎長生家」である。車で30分ほどの距離である。てっきり清水市と思っていたが、後日友人の落合社長から静岡市清水区であることを教えられた。平成15年に合併したそうである。清水市がこの世の中からなくなっていることを知らなかったとは迂闊な話ではある。生家は小さな建物だった。雨の中、引き戸を開けて入ったが誰もいないようだった。写真が飾ってあ...
酔ふごとく狂ふがごとく未草8年前とはいえ一度来た店である。別の店を探すという手もあったが、やはり慶喜公ゆかりの地であればここしかないと思っていた。12時ちょうどに来店した。テーブル席が用意されていた。庭に面したテラス席もいいように思ったが、生憎の雨である。美術館から浮月楼まで歩く時間は止んでいたが、席に着いた途端、降り出した。「キャッツアンドドッグス」慶喜公ならこう言ったかも知れない。コロナ禍でもあ...
山の絵を見て冷房の美術館櫓を出た時は本当の土砂降りだった。少し弱くなってから出ようよと妻は言うが、いつ止むという保証もない。次に行きたい場所があるので傘を差して外に出た。ズボンの裾をたくし上げて田舎者スタイルである。妻「そんなに急いでどこに行くの?」私「駐車場に戻る」妻「次に行く所、決めてるの?」私「うん、決めてる。車を浮月楼に預けて、その横にある美術館に行きたいんだ」妻「えっ、そうなの。全然聞い...
長久の基は堪忍馬肥ゆるまずは公園中央にある徳川家康の銅像を見に行った(写真)。「また写真ばっかり撮って」と妻に言われそうだが、ここは譲れないところである。あらゆる角度から写して得た一枚である。撮っている最中に雨が落ちてきた。天気雨のようだったが、すぐに本降りに変わった。「家康公お手植えのミカン」などもあったが、そそくさと看板の写真を撮っただけである。裏手にあった天守閣跡の発掘現場もちょっと覗いて退...
星月夜あすは駿河へ三度笠この1週間ほど、天気図は大きく変わっていない。前線が大きく日本列島の東西に張り出して九州や広島あたりに甚大な被害を及ぼしている。例年の8月1か月分の雨量が1日で降ったなどというニュースが毎日のように流されている。線状降水帯という集中豪雨である。横浜にも局地的には被害をもたらしているが、九州や広島ほどではない。旅行の日が近づいて来た。18日(水)19日(木)である。前日の予報では横浜...
名君に霍乱もあり休み癖徳川慶喜はきちんと調べておこうと思った。名君なのか、名君じゃなかったのか。大政奉還は自分の意思だったのか、追い込まれての已む無き決断だったのか。「鳥羽伏見の戦い」ではどうして味方を捨てて逃げてしまったのか。この際なのでよく調べておこうと、司馬遼太郎「最後の将軍」(写真)を読んでみた。結論から言えば「名君ではなかった」である。確かに難しい時代である。激動の時代とも言える。その中...
その角に頭ぶつけて冷奴讃岐の金毘羅さんに刀と奉納金50両を納めた石松は、帰り道に大阪から京都に向かって三十石船に乗り込んだ。有名な「石松三十石船道中」の一席である。船の中で神田の生れだという江戸っ子が「清水港に住む山本長五郎、通称清水次郎長、これが街道一の親分よ」と話を始める。親分を褒められて嬉しくなった石松はその江戸っ子に「もっとこっちへ寄んねぇ」と声を掛けて酒を勧める。石松「酒を飲みねぇ、江戸っ...
身に入むや何が何して何とやらディック・ミネの「旅姿三人男」もいいが、清水次郎長といえばやはり浪曲である。<江戸っ子だってねぇ。神田の生まれよ。呑みねぇ食いねぇ、寿司食いねぇ>すぐに妻に連絡して二代目広沢虎造「清水次郎長伝」を買ってもらうことにした(写真)。私「清水次郎長伝CD16枚組、3498円。お願いします」ネットで何かを購入する時は必ず妻に頼むことにしている。何かと安心である。というより、自分でやると...
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二の腕に触れて子猫の手足かな白澤さん「そういえば筋トレ、続けていらっしゃるんですか?」私「腕、触ってみて」白澤さん「えっ、いいんですか?」私「どうぞ」白澤さん「ではちょっと失礼します。えっ、あっ!ホントに硬い!」私「胸も出て来てるよ」白澤さん「いいですか?失礼します。あっ、ホントだ。スゴイですね」私「半年以上やってきて、ようやくここに来て付いてきた(笑)」白澤さん「日向社長、実は私にも筋肉が付いて...
ガム噛んでめかる蛙と対しをり講演会の場所は港南区公会堂である。行ったことがないのでカーナビで検索して周辺の駐車場に目的地を設定した。よく晴れた季節外れの夏日である。1時受付開始、1時半講演スタートである。大きなスーパーの駐車場に12時55分に到着した。公会堂に向かう前にドラックストアに入った。私「これを飲んだら絶対に寝ないという薬はありますか?」店員「ええっ!」私「冗談です。眠気覚ましのガムはありますか...
安万侶の古事記紐解く暮の春いよいよ斉藤先生の古事記の講演会が近づいてきた。それほど期待している訳ではないが、もしかして面白いかも知れない。第一部「民話」第二部「古事記の成り立ちと神様の役割」第三部「天の岩戸の解説」と書かれている。改めて勉強のし直しをしておきたいと思った。およそ古事記についてはどの本を読んだかも覚えていない。全てを読み切った訳でもなく中途半端に挫折した記憶しかない。18年前に妻と娘と...
遠き日の春惜しみつつ長談義カラオケで盛り上がった翌週、メンバーの一人鈴木さんから電話が入った。鈴木さん「日向さん、金曜日はお世話様でした(笑)」私「こちらこそ。どうしたの?」鈴木さん「実は営業所の所長が変わりましてご挨拶にと思いまして」私「ああ、4月か。いいよ、保険には入らないけどね(笑)」ということで、二人でやって来た。私「保険会社も異動があるから大変だなぁ。今まではどちらだったんですか?」所長...
咽喉潤おしてカラオケの夏来る「タカさん」を知った日の夕方、いつものメンバーで飲み会が始まった。前回から開催場所が関内駅前の個室居酒屋から中華街の入口の店に変わっている。メンバーの小沢さんが仲介した物件に新規オープンした「アヒルの店」である。「アヒルの店」と言ってもアヒル料理が出て来る訳ではない。店名を決めようとしていた時に娘さんが「アヒルがいい」と言ったそうで、小学生の娘さんお気に入りの玩具とのこ...
二の腕のタトゥーあらはに衣更インドネシアのスラマット君とは毎朝ロッカールームで一緒になる。私「おはよう(笑)」スラマット「オハヨウ ゴザイマス(笑)」私「今日は朝、何を食べてきたんだ?」スラマット「ゴハンとタマゴヤキ、デス」私「それだけ?スープは?」スラマット「スープ?ナイ」私「ちゃんと朝から作って偉いなぁ(笑)」聞くたびに卵焼きを食べている。日本語はまだ充分とは言えないが、会話はほとんど成り立つ...
帰るべき穴あり蟻の出でにけり最後に訪れる場所は「パンダ橋」である。アブアブ前で昭和通りに出て駅前を右折して歩道橋を上がった。今回、柳美里さんの「JR上野駅公園口」に出会ったお陰で中尊寺の国宝を見学しただけではなく上野公園に纏わるいろいろなものを見ることが出来た。ホームレスの目を通して日本の社会の歴史や歪みを語りかけてくれていて貴重な体験となった。政治思想史の原武史という人が解説を書いている。平成28年...
御所で待つ父母がゐて新社員「東天紅」と今回使った「ルーキス」とがどう違うのかは分からないが、不忍池を眼下にした見晴らしの良さは同じに思えた。飲み物は生ビールとロックの紹興酒。料理は事前に申し込んである。私「乾杯!」妻「何が乾杯なんだか」私「まぁまぁ、仲良く行きましょうよ(笑)」話はすぐに愛子様のことになった。私「今頃、働いてるよ。2日目。緊張してるだろうなぁ」妻「緊張はないんじゃない?普通の人と違...
花明り人を攫ひに鬼が来る桜は3分咲きといったところである。それでも品種によっては満開のように見えるものもある。あちこちでスマホを向けている。野外音楽堂の横を通って東天紅のビルまで100メートルという場所に差し掛かった。私「ちょっと待って、写真を一枚撮る」妻「どうぞ」桜の花の向こうに東天紅のビルを入れて写そうとしたのだが建物が遠過ぎて上手く撮れない。すぐに諦めて歩き出した。2、3歩行ったところで振り返った...
おんなとも見えて男の素足かな見たいものは見終わった。12時半である。1時の予約なのでいい時間である。不忍池の方へ向かい、弁天堂を拝んで渡ろうかと思ったが天龍橋が大混雑である。平日だというのにどこから人が出て来たのだろう。橋の両側に並んだ屋台の中は人、人、人である。妻「あの中を歩いて行く勇気はない」私「オッケー、こっちを回っていこう。もう一つ、見たいところがあった」野外音楽堂の方に進むことにした。古道...
首に紐括られて犬鳥雲にその次に向かったのが「彰義隊の墓」と「西郷さんの銅像」である。銅像の後ろに小高い山があり、そこに立派な墓が祀られている。上野公園には何度も来ては見上げた西郷さんだが、その後ろにある山までは見ていなかった。ここも柳美里さんの小説から引用しておこう。「シゲさん」に語らせている。「西郷隆盛の銅像はですね、当初は皇居外苑広場に設置されるはずだったのですが、西南戦争で官軍に弓引いた逆賊...
石像のモデルは誰ぞ呼子鳥上野大仏から次に向かったのが「正岡子規記念球場」である。花見客の間を抜けて仮説トイレの順番待ちをしている酔客を横目に入口の前に立った。小説には「球場の緑色のフェンス」と書かれていたが、実際には緑色は見えず「灰色」のような色だった。伊集院静の小説「ノボさん」の冒頭だったと思うが、野球の試合をしに大通りを闊歩して行く子規の姿が描かれていたのを思い出した。<打ち揚ぐるボールは高く...
大仏の眼は閉じてをり百千鳥小説「JR上野駅公園口」の主人公は昭和8年生まれである。福島県相馬郡八沢村で生まれ、両親は二人とも90才を超えるまで長生きした。兄弟は下に7人もいて末の弟とは14才も離れている。長くこの上野公園でホームレスをしている。顔ぶれも変ったし、数も減った。バブル崩壊後は数が増え、公園内の遊歩道と施設以外はブルーシートの「コヤ」で埋め尽くされていた。天皇家の方々が博物館や美術館を観覧する前...
みほとけの金の剥落義経忌列に並んでいると後ろの客の会話が聞こえてくる。二人連れである。男性「三拍子が揃ってしまいましたなぁ。まだ3分咲きとは言え上野の桜にこの天気、それに金色堂だから並ぶのは仕方ない(笑)」相方「桜も上野ばかりじゃないのになぁ。桜新町のあのサザエさんの八重桜も見事だし、紀尾井町の清水谷公園の桜並木もなかなかなもんだよ」男性「ボクは市ヶ谷のお堀の桜が好きだなぁ。千鳥ヶ淵の桜より趣があ...
金色仏見むと列なす花三分新杉田駅を9時の電車に乗り込んだ。所要時間1時間なので10時に着くはずである。一度読んだ「JR上野駅公園口」を取り出してもう一度読んでみようと思ったがいつの間にか眠っていた。東京駅のあたりで目が覚めて「ここ、どこ?」と妻に聞いた。この頃、やたらと眠くなる。加齢の所為なのか朝が早過ぎる所為なのか。自分の意思とは無関係に睡魔が襲って来る。上野駅に到着した。妻がさっさと歩いて行く。「パ...
花巡り手には小説「上野駅」中尊寺についてはちょっとした思い入れがある。コロナ前のことだが平泉を訪れて高橋克彦著「炎立つ」所縁の地を見て来ようと旅館まで予約していたのである。急にコロナ騒ぎが始まり、ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染が報じられ、宿をキャンセルせざるを得なくなったが予約していた旅館からは今もなお妻のアドレスにメールが届くという。平泉だけでなくいろいろと回ってみる計画を立てたと思うが、...
予約して花見見下ろすレストラン<あっ!中尊寺を見に行くのを忘れていた!>今年の初め頃からやっていたのだが、頭から飛んでしまっていた。調べると4月14日(日)までである。3月30、31日の土日は孫が遊びに来ることになっている。4月6、7日の土日は習字と別の用事が入っている。さすがに最終日あたりは混み合うだろう。平日に行くことにした。妻「会社は大丈夫なの?」私「1日くらいは許してくれるだろう」妻「私はいつでもいい...
春大根買つて新妻とはなれり翌日、白澤さんからメールが入った。白澤さん「お疲れ様です。来週の飲み会ですが、仕事の都合で参加できなくなってしまいました。4月25日(木)の斉藤先生の古事記の講演会に日向社長も参加されるとのことで、斉藤先生からお聞きしました。私も参加しますのでその時にお会い出来ます。とても楽しみにしております」私「斉藤先生の3時間もの講話が退屈なものでないことを願っています。これから古事記の...
目隠しをされて揉まれて目借時私「こんにちは(笑)」斉藤さん「講演会申し込み、ありがとうございます(笑)」私「前回は何か都合があって聞きに行けませんでしたので、今回は楽しみにしています」斉藤さん「白澤さんも参加してくれます(笑)」倫理法人会で一緒だった美人の白澤さんに私が好意を持っていると思い込んでいる(笑)。斉藤さん「前回からもう半年近く経ちましたよね」私「8月に揉んでもらいましたのであれから8か月...
囀りや神の国へと誘へり斉藤さんからメールが届いた。4月25日(木)に「古事記」の講演をするらしい。1回目、2回目と聞きに行けておらず今回が3回目である。たまたま都合が付かなかっただけだが今回は行けそうである。「参加する」と返信した。すぐに折り返し返信があった。斉藤さん「参加料3000円の振込は下記の口座へ」斉藤さんらしいなぁと思った。有名人の講演会ならチケットの販売などは当り前だろうが、素人の集まりである...
山の湯の裏戸に続く木の芽径上田哲農(1911-1970)のエッセー集「きのうの山きょうの山」(写真)を読んでいて「塩川鉱泉」という短い文章に出会った。「大きな山にも小さな山にも麓はある」という文章から始まっている。「小さな山の山麓の方に、人間は所詮人間であったという哀しみが細かな綾を作りなして、深い陰影を刻み込んでいるかのように思われる」と書いている。小さな山の名前は仏果山と経ヶ岳。麓の名前が塩川鉱泉であ...
紡ぎ来て早も十年風光る5月6日でこの「ひこばえ」が満10年を迎える。平成25年(2013)5月6日(月)、「ひこばえや殊に小さき妻の靴」を載せてスタートさせている。「このブログ、果たしてどこまで続けていけるかは判らないが、自分の作ってきた俳句、またこれからも作っていくであろう句について、あれこれ綴っていければ楽しいだろうと思い、スタートすることにする」と書いている。59才の時である。始めるにあたってドタバタした...
春惜しむロツクでジヤツクダニエルを4月17日(月)「パラダイスカフェ」の最終日である。前回と同じように関内駅北口に5時40分に集合した。知った顔ばかりである。聞くと8名だという。私「えっ、8名!よく席が取れましたね」Oさん「蛇の道は蛇。何とかなるものですよ(笑)」私「最前列の席でしょうね」Oさん「大丈夫だと思います。滝さんに頼んでおきましたので(笑)」私「堀内孝雄が来ないなんていうことはないでしょうね(笑)...
行く春や別れ奏づるギター弾きいつもの仲間と飲んだあと、帰りにOさんと一緒の電車に乗ることになった。Oさんは関内で不動産の仕事をしている。Oさん「先日はどうも、ありがとうございました」私「いやぁ、こちらこそ。良かったですよ。因幡晃の歌もそうですが、あの滝ともはるさんという人のトークといい、歌といい、最高でした。あの後、ユーチューブで堀内孝雄との再会の話を語っているのを見ましたが、とてもいい話でしたよ。...
霾るややがて来る日の模糊として10時半の予約である。15分前に到着した。Sさん「先生、もうお見えになっています。お紹介しますね。どうぞこちらへ」挨拶もそこそこにすぐに御対面となった。関内駅前の「セルテ」というビルである。整体を行なっている店の奥に簡易的な事務所があり、机一つ置いただけの殺風景な部屋に占い師の先生はいた。先生「コンニチハ、どうぞ、そちらにお掛けください」日本語は完璧である。少しの訛りはあ...
よく当たる占ひ師とや胡蝶舞ふ飲み会の後、薬局を経営する女社長から誘われた。Sさん「日向社長、占いに興味はありませんか?」私「占い?何の占い?恋愛占いなら、やってもらいたいけど(笑)」Sさん「またぁ(笑)。よく当たる占い師の先生がおりまして、私も定期的に占ってもらっているんですが、今度横浜に来ますのでもし興味があるようでしたら」私「横浜の人じゃないの?」Sさん「埼玉の大宮の方です。本当によく当たります...
陽炎へるものに東京副都心4月1日(日)久し振りに一人カラオケに行ってきた。会員カードがあったので前回初めて行ったのが1年前の4月30日だったことが分かる。<あの時は『ねぇねぇねぇねぇ……』を歌いに行ったんだなぁ……>「サヨナラ模様」である。歌い始めてすぐに<これはオレには向かない>と分かり、演歌ばかり歌って帰って来たと記憶している(令和4年5月21日、ひこばえ「四月尽」)。今回はアリスの「遠くで汽笛を聞きながら...
一病を得て白髪の青き踏む第2部は8時からである。少しの休憩を挟んでスタートした。滝さん「さぁ、いよいよ因幡晃さんの登場です。大きな拍手をもってお迎えください!」またまた私の前を通っての入場である。コウさんがエロ本を見て大笑いしていたという厨房の奥からの出てきての登場である。少しヨタヨタしている。滝さんの隣の場所に腰掛けた。滝さん「因幡さんは病気をされました。それを乗り越えて今日、駆け付けてくださいま...
逃水を追ひて齢を重ねけりコンサートが始まった。第1部は滝ともはるさんである(写真)。後ろにギターの丸山ももたろうさん、ベースの牧田和男さんを従えている。滝さん「今日は随分と若い女性が多い(笑)。いつもは男性客が8割で、残りは嫌々ながら男性に連れて来られた女性客なのですが、今日は逆になっている。因幡さんの根強いファンが如何に多いことか。羨ましい限りです(笑)」軽妙な語り口で進行していく。歌も上手い。ギ...
春しぐれ裏町に灯の点り初む5時40分に7名が集合した。初対面の人もいる。そのまた彼女もいる。Oさんの友達とのことである。店に向かって歩き始めた。生憎の雨である。傘を差しながら関内ホールの手前を左に曲がり、小さな店がポツポツとある通りを進んだ。Oさん「ここは裏関内と呼ばれています」私「裏関内?そんな呼び方があるんですか」Oさん「昔ながらのお店が頑張っています。派手さはありませんが、私は表の関内よりこちらの...
「分かつてよ」と言はんばかりに鳴く子猫Mさんから電話が入った。Mさん「日向さん、明日、お願いしますね」私「おお、6時にどこに行けばいいの?店の場所、知らないよ」Mさん「全員で7名になりましたので、5時40分に関内駅北口で待ち合せます」私「オッケー、わかった、よろしくお願いします」因幡晃のコンサートである。閉店するライブハウスのイベントなのでどんなものかは分からないが生の因幡晃が聴けるというのだから行かない...
四月馬鹿この親にしてこの子あり石原慎太郎が「天才」と題しただけあって田中角栄という人は凄い人である。読み終わるとすぐに本屋に行って角栄本を手当たり次第に数冊買って来た(写真)。どの本を読んでも素晴らしさが伝わって来る。ここのところ、土日の休みはそればかりを読んでいる。田中角栄といえば「日本列島改造論」であり「日中国交正常化」であり、最終学歴が高等小学校で総理大臣まで上り詰めた「今太閤」である。100...
長考を経て虫出しの雷一つ3月19日(日)、前日から読み始めた本を午前中も読み続け、ようやく昼前に読み終わった。石原慎太郎著「天才」。田中角栄のことを書いたものであり、昔読んだものの再読である。昼のニュースで藤井聡太君が棋王戦を戦っていることを知った。<ん?実況中継はないだろうか?>部屋でスリープ中のパソコンを立ち上げて「将棋、生中継、藤井聡太」と検索すると「Abema」なるものが現われた。<おお、やってい...
AIの遣ふ旧仮名花散れり川崎君からメールが入った。社内メールである。先日の牡蠣小屋での一件を俳句にしてみたという。しかも今流行のAIに俳句を作らせ、説明文もAIに書かせたという。「霞かなる牡蠣小屋に酔ひしれて 花散る」という句である。五十四、読みようによっては五七七であり、「霞」と「牡蠣」と「花散る」まで出て来て「なんじゃこりゃ!」ではあるが、「酔いしれて」を文語の「酔ひしれて」にするなど何らかの工夫が...
春泥の語りし昨夜の酔ひのこと土曜日は雨である。工場は動いている。少し早めに退社して牡蠣小屋に向かった。川上君と川崎君と私の3名である。シーサイドラインの八景島駅で降りると目の前に大きな駐車場があり「はとバス」が停まっていた。その横にも大型のバスが停まっている。私「おお、牡蠣小屋、満席じゃないのか?はとバスで来てるぞ」川崎君「ワァ~、こんな雨の日に牡蠣を食べにバスで来ますかねぇ」私「だから、何事も軽...
蝦蛄漁の寂れて雨の柴漁港私「牡蠣食えば鐘が鳴るなり称名寺」川崎君「おお、いい句ですね」私「いい句の訳がないだろう(笑)。法隆寺を称名寺に変えただけのどうしようもない句だよ」川崎君「称名寺ってどこにあるんですか?」私「なにィ!称名寺を知らない!自分の住んでいる場所の超有名なお寺を知らないのかよ。安藤広重の称名晩鐘は見たことあるだろう(写真)。金沢北条氏。山門に北条氏のミツウロコの家紋が貼られているよ...
春一番無人電車のドア開く金沢シーサイドラインに乗った時に「海の公園かき小屋」の車内広告を見た(写真)。3月31日までの営業だという。<おお、日がないじゃん。行かなくっちゃ>その小屋の近くに総務の川崎君が住んでいる。翌日、聞いてみた。私「そっちの家の近くに『かき小屋』があるだろう。行ったことはあるのか?」川崎君「いえ、ありません」私「3月の末迄らしいぞ」川崎君「おお、そうですか。それは行かなくちゃいけま...
目に見えぬ狭き門より地虫出づ3月14日(火)、古文書検定3級の合格通知が届いた。小さな封書一つである。<ん?>鎌倉検定の合格通知より至って簡単である。合格バッジや認定証カードなどは入っていない。「検定試験結果通知」と「認定証」、「試験結果と問題の解答文」、それに次回申し込み用の「振込用紙」が入っていた。<早ッ!もう、次の受験料の振込かぁ……>結果表を見ると受験者数72名の内68名が合格している。落ちたのはた...
鳳闕に臥して猛虎の朝寝せり日曜日の朝、書いてみることにした。薛さん用に用意したユニクロのTシャツが本番なのでその前に妻の古いTシャツで練習することにした。試し書きである。墨は普段使っている墨汁とは違い、粘り気のあるドロッとしたものだった。<おお、なるほど、これなら滲まないなぁ>右利きなので文字は左側から仕上げていく。「癸卯暮春 亮司書」から書き始める。Tシャツの中には硬めのプラスチック製カードケース...
墨ひとつ買ひて外に出る春の月Tシャツに蘭亭序を書くためには滲まない墨が必要である。インターネットで検索してみるとそれなりの商品がいくつか出て来る。「墨運堂 布書液『極』布描き用」というものをアマゾンで注文した。送料込みで1730円である。会社の帰りにコンビニで支払いを済ませた。家に帰るとTシャツは揃っていた。妻がユニクロで買って来てくれたのである。1990円。やることが速い。次に始めたのが蘭亭序に書かれた...