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  • 『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く」/北村紗衣

    イギリス文学者、批評家の北村による、批評の入門書。楽しむための方法としての批評、に焦点を当てて、その方法や理論について、具体的に例を挙げながら語っている。精読→分析→アウトプット、の順で実際に批評を行うにあたってのヒントが書かれているわけだけれど、全体的に、批評ってそもそもどういうもの?というような初心者向けの内容という感じで、内容は浅め。ある程度批評や批評に関する文章を読んだことがある人にとっては、新味は少なく、まあ簡潔にまとめてある一冊だな、というくらいの感想になってしまうかもしれない。 とはいえ、ちょっと冷静にかんがえてみれば、自分自身が本書で挙げられているような批評の方法をじゅうぶんに使いこなして様々な作品を味わっているのかというとぜんぜんそんなことはない、ということに気づかされるわけで、たとえばこんな文章が俺には刺さった。

  • 『AI分析でわかった トップ5%の社員の習慣』/越川慎司

    著者のクライアント企業25社の協力を得て、人事評価でトップ5%に該当する社員の行動を記録、AIと専門家にて分析を行い、トップ5%の社員の共通点や、彼らと95%の一般社員とで、どんな違いがあるのか、を抽出した、という一冊。 AIで優秀な社員の習慣を分析、ってなかなかおもしろいかも!とおもって読み始めたのだけれど、分析から導かれるのは、いわゆる一般的な「仕事のできる人」の像でしかなく、正直言ってとくに新たな気づきが得られるような本ではなかった。「トップ5%の社員の習慣」というのも、いわゆる自己啓発系のビジネス書に載っているような内容で、そりゃこれが全部できればトップ社員になるだろ、というか…。わざわざAIでデータ分析した結果がこれかー、というがっかり感があった。(まあ、「既存の人事評価でトップ5%に該当する人」の習慣を分析して整理したというだけなのだから、既視感のある結果になるのはある意味当然なのかも知れない。)

  • 『インヴィジブル』/ポール・オースター

    オースターの2009年作。前の数作と同様に、死を前にした老年の男が主人公の物語ではあるものの、多くのページはその男による若き日の回想録が占めているため、『写字室の旅』や『闇の中の男』のような陰鬱でどんよりした感じはさほど強くはない。その代わり、タイトルのとおり、全体像はどうなっているのか、要するにどういうことなのか、がいつまで経っても見えてこない、奇妙で不安を誘う物語になっている。作品を特徴づけているのは、オースターお得意のテクニック――入れ子構造、引用、作中作、真偽のはっきりとしないエピソードと仄めかし、真意がどうとでも取れるような語り(どこまでが本気で、どこまでがそう言っているだけ、なのかわからない)――であり、これらによって小説は独特の曖昧さや不透明感、不穏さを感じさせるものになっている。

  • "Steal Like an Artist: 10 Things Nobody Told You About Being Creative"/Austin Kleon

    吉本隆明が、「手で考える」、「手を動かさなければ何もはじまらない」、「同じ事を言うためにだって違う表現は無限にある」などと語っていたのを読んで、随分以前に読んだ本書のことをおもい出した。本書も、とにかく手を動かすことの大切さが繰り返し語られている一冊だ。 著者のKleonは、“Nothing is completely original”だと主張する。どんなに新しく見えるものでも、いままでのアイデアの組み合わせ/組み換えからできており、まったくのオリジナルなどということはあり得ない。また、誰かひとりからアイデアをコピーしただけならそれはただの剽窃でしかないが、複数人から複数のアイデアをコピーしてくれば――その表層ではなく、本質を調査、分析し、コピーすることができれば――それは研究だということになる。だから、まずは真似からでいいから、とにかく手を動かして何かを作り出すことが肝要だ、とKleonは言う。

  • 『だいたいで、いいじゃない。』/吉本隆明、大塚英志

    97年から2000年にかけて四回行われたふたりの対談をまとめたもの。扱われているのは、エヴァンゲリオン、宮崎勤、宮台真司、江藤淳、オウム真理教などなど、まさにあの頃を代表するようなトピックたちで、20年以上経ったいま読んでみると、なんだかずいぶん懐かしい感じがしたのだった。 対談ではあるけれど、だらだらとした語りが何度も繰り返されがちで、正直、読んでいて退屈してしまうところも多くあった。たとえば、大塚がエヴァンゲリオンと庵野秀明について延々と自説を開陳するのに対し、吉本は、「ああ、そうですか。いや、そうおっしゃられると、ほんとにそういう感じ。」とか、「いやあ、たいへん啓蒙されました。」などと一言だけで話があっさり終わってしまったり。会話の応酬によって場が盛り上がっていき、グルーヴしていくような雰囲気がぜんぜん感じられないのだ。

  • 『ぼくのプレミア・ライフ』/ニック・ホーンビィ

    アーセナルに「とりつかれた」男、ニック・ホーンビィによる、1968年から92年までにわたる回顧録/スポーツエッセイ。ホーンビィの場合、フットボールが人生の中心、というか、人生≒アーセナルという感じなので、自身の人生を振り返ることは当時のアーセナルを振り返ることと完全に同義になっているのだ。 タイトルこそ『ぼくのプレミア・ライフ』となっているけれど(原著タイトルは"Fever Pitch")、本書で扱われているのはプレミアリーグ創設前の時代ということで、ヴェンゲル監督の築いたアーセナル黄金期よりもさらに以前の話になる。とはいえ、クラブのファンの気持ちというのはいつの時代にも大して変わりないものなのだろう、俺もうんうん頷きながら読んでしまったのだった。

  • RIDE@恵比寿ガーデンホール

    4/18、"Exclusive OX4 Show"と銘打たれた、ベスト盤の『OX4』を中心にしたライヴ。2曲目からして「今度出すアルバムからやるよー」とか言って新曲をかましてきたり、ベスト盤以降のアルバム曲も普通に演ったりと、全体的に自由な選曲になっていたようにおもう。とはいえ、聴きたい曲はほとんど網羅してくれた感じではあった。 バンドの演奏は骨太かつタイトで、彼らの90年代のアルバムに感じられたような、(音量的には爆音なのに)いまいち弱そうな感じ、どうにもなよっとしていて儚いような感じ、青春ぽい感じというのは、ほぼ完全に無くなっていた。その原因としては、各メンバーが歳を重ねてきていること、単純に演奏のクオリティが上がっている、ということも言えるのだろうけれど、それより何より、マーク・ガードナーのルックスのインパクトが大きくて。ロン毛の雰囲気イケメンだった20代の頃の面影など1ミリも残っておらず、つるつる頭にがっちりした体格は、焼き鳥でも売っていそうな雰囲気を醸し出していたのだった。(ちなみに、アンディ・ベルの方は、眼光鋭くしゅっとしたスタイルで、いまなおUKロック的なムードを保ち続けている感じだった。)

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