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  • イラスト詩「リトルジャガーといちばん最初の魔法」

    ねえねえ、知ってる、ある日のこと、 ももかは柔らかなぽかぽかの日差しの中で目を覚ましました。 生クリームが少し固まったような姿勢で目が開きます。 こんな時、ももかは世界がたまらなくうつくしいものに思え

  • イラスト詩「十代の心」

    ​​​​​​ (自然そのもののコントロール不可能な様相が、 よりクリアに見えてくる公園・・・・) ​天井にくっついた風船みたいなものだよ​​ それ以上進まない​​

  • Ωの境界

    ​​​​​​​ ​​​​​ 夢の中で彼は、 「バーチャル・セルフ」になった。 それは詩的な喩えではない。 彼の意識は、量子コンピュータの演算空間に

  • イラスト詩「なんちゃらかんちゃら」

    ​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​​​​​そこにはもう何もないんだぜ。 鋭敏なる神経を有する触角の尖端のような舌も。​​​​​​​ (思 ​い​ 出―――を・・ ​​​青い水溜まり

  • イラスト詩「decomposition」

    夜が静かに降りてくる。 空は一枚の漆黒のヴェルベットに変わり、 星の代わりにネオンの粒が都市の輪郭を刺繍していく。 何の前触れもなく空のバランスが崩れる、 この夜が、静かに編集されていく。 まるでレンズの

  • イラスト詩「春は咲いている」

    チャイムが鳴った。 いや、「切断された」と言った方が正確だ。 刃のように細く鋭く、空気を裂いて、 この午後の透明な沈黙を真っ二つにした。 恋に落ちてゆく、 道徳の鎖、因習の鎖、 心を縛っているその人

  • イラスト詩「深層」

    夜が、タールみたいに地面に張りついてる。 歩道も車道も、じっとり濡れてて、 靴底が嫌な音を立てるたび、 何か自分がこの街に溶けてくみたいで気持ち悪い。 緊急極秘指令。 繁華街のネオンが、水溜まり越しに

  • イラスト詩「白線」

    夜が落ち始めた頃、 駐車場の片隅には、 ひんやりしたアスファルトの匂いが、 ゆっくりと満ちていた。 空を飛べたらいいのにな。 風を切って、旋回して、 帰り道まで迷子になることなく、 一直線の帰巣本能

  • イラスト詩「お、なんか見えんな」

    午後の陽ざしが、窓辺に最後のきらめきを落としていた。 そこにも序破急があり、 完成とは違う未成がある。 開いたノートの隅には、無意識に描いた小さな星の落書き。 酔い痴れの妄想さ。 もうすぐ死の灰。 ふ

  • イラスト詩「街灯の光、風、そして行き先のわからない足音」

    ねえ、気付いた? 夜が静かに降りてきてさ、 気がついたら、一つだけ街灯がぽつんと光ってたんだ。 あれ、まるで迷っちゃった誰かのために立ってるみたいでさ、 ちょっと切なくなるね。 普遍性の海の腐蝕作用

  • イラスト詩「speak」

    霧がゆっくり降りてきて、 なんか、世界が静かになった気がしたんだ。 (You are my destiny...) 偶然自分に属した権利ってやつ。 遠くで誰かが呼んでるような声。 でも、その輪郭はすぐネオンサインの海

  • 黄金の仮面と銀の影

    足利尊氏が京都に開いた室町幕府は、 政権というより武家たちの利害調整装置だった。 将軍とは名ばかりの“調停者”であり、 守護大名たちは封建制の装いをまとった独立国主。 中央の名において地方を支配するので

  • 204

    EDM 真夜中0時3分。 冷え切ったビルの谷間を、 鋭く尖った光の弾丸が弧を描きながら横切る。 Do it Do it 都市の流れ星。 それはまるで、星を模した銃口から放たれた未来の閃光。 漆黒の夜空を突

  • 203

    Until the leaves fall once more 冬の気配が、静かに世界を縁取る十一月。 皮膚の神経線維に堪えがたい刺が触れる。 陽はすでに傾き、空の端には紅と紫が溶け合い、 まるで絹を染め上げる筆の跡のように

  • 202

    夕方、君の胸が、震える理由 町の外れ、人目に触れぬ森の奥に、 時の流れから置き去りにされたような屋敷が、ひっそりと佇んでいる。 巨大な苔むした木々が鬱蒼と茂るだけでは飽き足らず、 赤茶けた煉瓦の

  • 201

    君はいない 彼女は、夜の帳がゆっくりと降りるたびに、 心の奥に黒い墨を垂らしたような重い影を感じていた。 胸の中ががらんどうになり涙さえ出ないような悲しみ。 昼間、教室のざわめきの中で彼女に注がれ

  • 欠けた朝と満ちる夜 ――カヌースクール篇――

    澄み渡る空の青が、湖面にゆっくりと溶け込む。 遠くでかすかに聞こえる鳥の囀り、そして波が岸辺を撫でる柔らかな音。 それで現実性がことごとく抜けてしまって、 ただお伽話の夢の国の光景のようなものになって

  • 欠けた朝と満ちる夜 ――料理教室篇――

    フクロウカフェを出た後、さすがに鹿子田先輩も、 休日なので用事でもあるかなと思ったら、 「次は何処に・・・行こう・・・」と言う。 催促―――された(?) 街は週末の活気に包まれ、通りを行き交う人々の楽しげな

  • 欠けた朝と満ちる夜 ――ランニング&フクロウカフェ篇――

    日曜の朝。 折角の休みだが、何もしないのも勿体ない気がして、 軽く運動でもするかと速乾Tシャツとランニングショーツといういでたちで、 公園に向かった。 公園には柔らかい朝陽が射し込み、木々の影が長く伸

  • イラスト詩「Gravity & Light」

    以降、「灯台」は変化のない時間のなかに潜伏することになる。

  • 言葉が生きる場所

    ​​​​​​​​​​​​​​​ Yo, 眼を閉じろ let me take you deep inside この世界の仕組み、疑問を投げかけながら ride 精神の傷、 皮膚を強靭にした面の皮の不死身。 選ばれたる少数という名の阿呆と悪党。 権力

  • イラスト詩「俺の歌を聴け!」

    以降、「灯台」は変化のない時間のなかに潜伏することになる。

  • イラスト詩「雨に溶ける」

    ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​ ​...いま 触れているもの...へ と...​ (​​...試行錯誤でパスワード入力​​ 形式

  • 新しい時代の詩

    ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​ 心拍数は更に上がるのに、草原、 獅子の影は遠くなっていく。 ―――手の込んだ代用品、人生の代用品、時間の代用品。 過去それは、イリュージョンの

  • イラスト詩「楽園」

    ​​​​​ ​​​​​​​​小 さ な 躊 躇 い  ―――。                                                  

  • 風景

    ​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ “風景”という状態がある、 この未曽有の精密さに真正の治療あれば剥奪の極みをくれよう、 その雅びで

  • プレイ、プレイ

    しっとりと濡れた庭は その葉を一枚ずつむしりとるかのように また 根と根がぶつかって お互いの水気や養分を奪い合うように ( みずかさ ) が増して行く みずから・・ ああ、あんなこ

  • 夜は寂かに

    おそろしくスローモウションに 明暗の鋭い切れ方 ・・・ふつと切れて巻き返す夜の部屋に 僕の視力が戻る 遠慮なく/思う存分

  • かもちゃん、つまらなさについて語れば

    ​​​​​​ かもちゃんが公園で砂場で寝転がっていた。 子供たちが、ゆさゆさ、すると、顔を向けてきて言った。 「かもちゃん、今日は一日つまんないことをするダロ。 つまんないことは人生哲学の一つダロ。

  • イラスト詩「イケメン」

    ​ ピクセル化した朝焼け あの頃僕が買ったコントローラーでは 動かせない Qi規格のワイヤレス充電ができない よくあること それが呪いかも知れないって言ってる 地雷ですってブラウザを閉じる気持ちも

  • ビル管理の話

    ​ ビル管理を仕事とする上でやはり資格を取った方がいい。 とある会社では、資格が多いほど資格手当が出るからだ。 上位資格として三種の神器というものがあり、 「第三種電気主任技術者」「ビル管

  • 苔の話

    ​ 苔とは何かといえば、緑色をしていて、 ジメジメしたところに生えていて、苔寺、 神社の境内にあるとか、岩の上とか、川にもあるもの。 「わびさび」とか「君が代」というのも正解だ。 日本の

  • Serendipity

    ​​ ​眼が覚めると色硝子の粉のような視界で、​ ​​ 期待していた。​​ ​​​​ 旋律的な情緒、説明

  • ずっと橋を渡りきるあいだ

    籤を引いた。 (秘密に、または、ひそかに) -わかりました どうか内緒にして下さい。 -わかりました、わかりましたから、、 来るかな? と思う。――来るかな?

  • マダガスカル

    ​​​​​ ​ グリーンランド島、ニューギニア島、 カリマンタン(ボルネオ)島に次いで、 世界で四番目に大きい島、マダガスカル島。 約五八.七万平方キロメートルで、これが日本の約一.六倍。 島なんてい

  • イラスト詩「夜の讃歌」

    ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​ ―――ゆらゆらしていた僕等。 、、、、、

  • やさしくて、胸が張り裂けて、世界に愛を叫びたくなるような話

    ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  • What can you see?

    ​​​​​​​ ​​ ​​​​​​​​​​ 歌の中でいくつもの時代がさりげない調子で過ぎてゆく、 僕等を上向きにし、時には下向きにし、横向きにもして―――。 (無)を映す瞳だったらいいな、 『骸骨

  • ​​​​ ​​​​​、、、、、、 管理下の奴隷。 それはシステムのアポロンだよと君は言うの?

  • 夜の雨

    夜の山の獣道を一歩一歩歩き、 収束点はなく、テーマもなく、何処に辿り着くでもなく、 たんにだらだら描き継がれ、 描き継がれるという行為のみに支えられ、 先験的視覚は鰻となりながら不安が身体の一部から融

  • 目蓋の奥で優しい闇

    ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ 瞳にうつる結晶は、儚く消え・・た―――。 ​​​​​​濁 り だ す 恣 意 の 末 路 、 十 六 夜 の 儚 い 恋 物 語 。​​​​​​

  • イラスト詩「咲うもの散うもの」

    ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ 「賑わうバザールの裏通りの、

  • 僕はみんなが幸せになれる方法の一助になればいいと思った

    ギロチンみたいに、あいつの首から上と、 あいつの首から下は何回お別れしただろう、 俺の妄想の中。 一年経っても話せる見込みはないし、 二年経っても笑い話になりそうにない、 三年経ったら石の上に隕石だ

  • 欠けた朝と満ちる夜 2

    5 ―――休日。 特に予定もなく、駅前のショッピングモールをぶらぶら歩いていた。 人間観察はホームズコンテストでは最上級のものだが、 まずはエドガー・アラン・ポーの『群衆の人』を、読もうか・・・?

  • 報告

    GWの最終日に間に合ったというより、 間に合わせた感がすごく強いな。 本当はあの物語はフクロウカフェへ行ったり、 ピザを作ったり、マジックショーへ行ったり、 名古屋へ出張に行ったりする予定だった。

  • 欠けた朝と満ちる夜 3

    9 ―――昼休み。 企画・開発部のエリア、コピー機の横には、 使いかけのペンや一時的に置かれた書類が雑然と並んでいる。 紙がなくなったぞー、と誰かが叫ぶが、 補充するのはいつも決まった数人だ。

  • 欠けた朝と満ちる夜 1

    1 俺の名前は小日向純。 入社半年になる新入社員―――。 中規模ながらも業界内ではそれなりに名の知れた企業。 オフィスビルの十階、 ガラス張りの窓からは絶賛発売中のシティビュー。 ただし、買え

  • 無限回帰の祭壇

    地方都市の郊外。 石畳の隙間から顔を出す苔の青さが、湿った空気に色を添える。 偽装挿話の中で骨董屋している、 和製宮殿とおぼしき古い屋敷の長廊下を歩けば、 薄暗い光の下で銀色の筋となって浮かび上がり、

  • 残響

    以降、「灯台」は変化のない時間のなかに潜伏することになる。

  • 解剖室の異端者

    1728年、スコットランドのイースト・キルブライドにて、 十人兄弟の末っ子として生まれたジョン・ハンター。 この少年が後に「近代外科医学の父」と呼ばれ、 あの『ドリトル先生』のモデルにもなったが、 日本の

  • こっくりさん ――オカルトと科学の交差点――

    こっくりさんは紙とペン、 硬貨を使って行う狐を呼び出す降霊術であり、占いの一種で、 「狐狗狸」と表記される。 この遊びは現在でも小学生や中学生の間で行われており、 名前や遊び方が地域によって変わること

  • 200

    花の如く 分かり合いたいって、 願った。 利害を打算し、効果を予測し、 紙一重で躱した、 抽象的な状態で、 今日も、明日も、 具体的でも実践的でもない、 嘘の言葉を並べながら、 でも、信じた、 亡

  • 199

    Candidate for the perfect summer カメラはゆっくりとパンアップします、 空はどこまでも澄み渡っていて、 陽光が水面に反射して細かい輝きをまき散らし、 読んでいるあなたの視線も、いま波のように流れ

  • 198

    ムスメ今日から牛になりまス ムスメが牛のパジャマをして、 朝から「もー」しか言わないんでス、 これは反抗期ですカ? あー、わかりまス、わかりまっスル定吉、 シシャモの虎吉・・。 親の知らない間に、ウ

  • 197

    そろそろ夏だ、 すげーすげー夏、 しゅわしゅわな夏 Kamome studio

  • 196

    LOVE きめ細かいさざ波が静かに砂をなぞるたび、 しかめ面に微笑みかけたように、 二人の足元に淡い泡が広がる。 泡沫。 光の縞のような雲は綾に染めなし、 かぐわしく湿った絹の肌触りの潮風が髪を揺らし

  • 195

    風の記憶がほどける場所、 ここにあるのは、 時間のやわらかな手触り 朝の静寂をやさしく破るように、 陽光が木々の間からゆっくりと降り注ぎ、 運命の操舵によって、 確かめていた動きが形になって、 揺

  • 194

    Chrono Drift 微風が上衣の襟に吹き、 雨に濡れて額に絡る髪の毛もふるわせている、 いつか聞こえたような銃声、 街のクラクション、 けだるげな雨の街角。 ピンクの植木鉢の、 たくさんの花々のそばで

  • かもちゃん、痴漢すれば

    駅のホームに滑り込む電車。 車両の表面は朝の光を受けて揺れる水面のように煌めいている、 ―――プリズムだ。 窓越しに見える車内は、無数の断片的な物語が詰まったガラスケース、 乗客達の顔には思考や感情が流

  • 193

    電波唄 終電間際の十一時半の夜の鉄路、 レントゲンのように見た、 透き通っていくぼんやりなメモリー、 予報は今日も外れ、胸の奥は蜂の翅の警戒音。 逆巻くスクリーンはノイズ混じりで、 線香花火してる

  • 192

    やばいってやばいって うぜえ、ざけんな、ボケ。 やってらんね、え。 いじり倒してウダウダウダ、 (ウワー!) 徹夜経験が無いやつ、 一日中勉強した経験がないやつ。 スクリーンの・・陰影――で、 (

  • 191

    Are you truly unaware? Are you really seeing nothing? 天国は明るいって言うよねというと 本当のような気がするし、 逆に天国は暗いって言うよねといった時に、 違和感がある、 そういうことだよね?

  • 190

    因数分解された夜のゲシュタルト崩壊前夜 お喋りをして、熱が入って、拍車がかって、 円周率みたいだね、籠城戦。 笑ったりしながら、酒も入ってる、 因数分解みたいだね、空中物資。 だけどそのこととは

  • 189

    矢の如し 夕焼けは、 梢の先から幹の中を通り、 光の滴りを集める。 Time fliesという言葉があって、 Time flies like an arrowという言葉がある、 ―――光陰矢の如しさ。 それはさびにさびた劍太刀。

  • 半導体の話

    半導体は、電気を通す「導体」と、 (導体には金属、鉄、銅、アルミニウム等がある、) 電気を通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質だ。 (絶縁体は、ゴムとかプラスチック、硝子もそうだ、) この性質

  • 188

    パニック障害 ー社会が抱える見えない恐怖ー 「パニック障害」という病気そのものは昔からあり、 かつては「心臓神経症」「不安神経症」といった名称で扱われていた。 近年になってから、他の神経症とはっきり

  • イラスト詩「大聖堂物語」 *超勢い、いきり文体の完成(?)

    異世界では一五〇〇年です。 世界はまだ静かです。 しかし、この大地には、まだ誰も知らない巨大な夢が埋まっていた。 花弁に纏わりついた空気から小さな妖精が出てくるみたいに・・。 大聖堂を建てる・・・! 手

  • 187

    ウナギの骨を抱いて眠りゆくもの 部屋は静まり返っていた。 いや、沈黙というより、音の概念が存在しない空間だ。 壁にかけられた古びた時計は秒を刻むことを忘れ、 針は僅かに痙攣している。 部屋の中心に

  • 186

    ゆめがなえ 薄暗い路地裏、湿った石畳が月明かりを反射し、微かに輝いている。 濡れた苔が足元でわずかに滑り、靴の底が軋む音が響く。 いや、湿った石畳が月光を噛み、鈍く光り、 濡れた苔の上を踏むたび、

  • 185

    囀りと嗤い 娘は山道を歩いていた。 薄暗い森の奥で、紅葉が風に煽られ、 乾いた葉が足元を滑った。谷底の冷たい霧が肌を撫でる。 冷たい湿気が肌にまとわりつき、微かに土の匂いが混じる。 振り向いた。

  • 184

    風とマウンド 「平嶋みちる――? あのリトルリーグのピッチャーだった?」 教室、靴の先で床を軽く鳴らしながら、蓮は視線を向けた。 「そうだけど、今は関係ないよ」 みちるの爪は完璧に磨かれ、髪は軽く巻

  • 183

    終わらない旅 ――進化と忘却、そして抗う者の果てしない探求―― The Eternal Odyssey 銀河の中心に浮かぶ都市、オルビス・ルーメ。 星の残光が交差する中、生命体たちは記憶を交換しながら生きている。 これ

  • 182

    テクノロジーがもたらす静かな支配 世界が二重になってい―――る・・。 電車の窓に映る景色と、窓の外の景色は微妙にずれていて、 そこにいる人間もわずかに違っている。 少年はヘッドセットをつけたまま、車窓

  • 181

    人魚の歌 「流されるのが嫌なら、こっちへ来るか?」 と問いかけると、 彼女は「どっちでも、変わらない気がする」と答える。 少女はスプーンでヨーグルトをすくいながら、 液晶画面の中でアナウンサが喋

  • 意思決定の空間のStart with Why

    役員室は、企業の意思決定がなされる戦略の中枢であり、 その空間の配置や機能性が組織文化を反映する。 外部からは扉一枚で隔てられた領域だが、 その内部は、会社の方向性を決定するための象徴的な空間でもある

  • 八百屋

    八百屋というのがある。 それは昔馴染みの野菜の販売所だが、 土地の呼吸と季節の移ろいを反映する小さな生態系であり、 朝から晩まで変化する市場の鼓動を映し出す場所だ。 春の新玉ねぎ、夏のトマト、秋のさつ

  • 立ち喰い蕎麦という哲学

    通勤ラッシュの波を掻い潜り、 駅のホームの端にある立ち喰い蕎麦屋、 「松葉庵」に滑り込む。 暖簾の隙間から漏れる湯気と、出汁の香りが鼻腔をくすぐる。 朝の喧騒の中、この狭い空間は別世界だ。 カウンタ

  • 相撲の話

    相撲は日本の伝統的な格闘技であり、 神事としての側面も持つ競技だ。 相撲の文化的な側面も興味深く、例えば土俵入りや化粧廻し、 力士の生活様式など、昔ながらの風習が今も受け継がれている。 また、日本国内

  • イラスト詩「桃ヶ丘学園」

    春の風が柔らかく吹く朝、あなた――二宮菜月は、 桃ヶ丘学園の校門を潜った。 桃ヶ丘学園は、創立百年以上の歴史を誇るミッション系の女子校で、 かつては修道院と併設されており、品格と知性を兼ね備えた女性を、

  • 怪異譚 *完成

    第一話 消えないもの その部屋には、何かがいる。 引っ越し初日の夜、タケルは寝室の隅に奇妙な黒い染みを見つけた。 壁紙の裏から滲み出るようなその跡は、人の形に見える。 ちょうど闇から抜け出した

  • イラスト詩「影を裂く者」

    荒涼とした大地の果て、冷たい海風が吹き荒れる孤島に、 一つの刑務所が聳え立っている。 静物画のような、完全な静止に澄む神秘で荘厳な雰囲気。 脱出不可能と名高い刑務所、いや、監獄要塞―――。 第一層は低

  • お掃除クエスト ~俺はゴミと戦うために生まれた~

    ドアを開けた瞬間、鼻を突く腐敗臭が襲いかかった。 埃まみれの家具、壁を覆うカビ、 足元に積み重なるゴミの山―――この家のかつての姿を、 想像することすら難しい。 物を溜め込む習慣(捨てられない心理)に

  • イラスト詩「クラウディア」

    霧の向こう森の建物群、それは沈黙の領域。 光も届かず、時の流れすら歪んでいる。 建物も道路も、ありとあらゆるものが——、 ガラスのように透き通って、 その心臓部、巨大な塔と尖塔とを、 塩の塔のごとくしら

  • イラスト詩「幸福の牢獄から出口なき祝祭まで」

    小宮一家は理想の家族だった——少なくとも、表向きは。 ある日、家族旅行の途中で見つけた遊園地、 ―――Happy Land。 どこか懐かしい雰囲気のある場所だったが、 観光マップを見ていた母親がふと違和感を覚える

  • イラスト詩「cream soda with ice cream time」

    冷たい花なのに、頬っぺたに触れると熱い。 ねえ これは恋? それとも魔法? あなたが指向する“現実”とは何か? 長い冬を溶かしたら、 春は奇跡を織りだすから、 やわらかなそよ風に乗って、 夢の匂いのよ

  • あまやかな硝子

    そっと指を絡ませたまま、 君の隣で、 崩れた波頭のような遁走、 メープルシロップになった蝶や花、 なんて、どうだろう、 あるいは迷走―――瞑想、 ことさら悠っくりと、 髪の中へと沈潜してゆくこと―――で、

  • イラスト詩「Baby love, sugar love」

    裂けた空からこぼれ落ちる雨の滴は、 イエローサファイアにも―――見え、た・・。 重力を忘れたかのように宙を踊る。 ダイヤモンドのこの上ない輝きに、 ダークブルーのアクセントを添え―――て。 ナイフエッジ効

  • 解剖図

    足が震え、 貧乏ゆすりがリズムを刻む。 交感神経系が活性化し、 心拍数の上昇や筋緊張、アドレナリンの分泌増加・・・。 低気圧の中心に流れこもうとする風と雲は、 地球の自転によるコリオリ効果によって右に

  • 疾走の果てに待つもの

    運動神経の信号伝達。脳の運動皮質から脊髄を経由し、 末梢神経を介して筋肉へ活動指令が送られる。 簡単なことだ。 校庭の隅のジャングルジムで、 夜の鬼ごっこが始まったように、 末梢神経のα運動ニューロン

  • 180

    骸骨蟻と沈黙の都市 Skeleton Ants and the Silent City カフェの片隅、静寂のなかでひとり座る老人がいる。 ほんのひと時が・・・、 薄雲がかって朧に霞む。 まだ見えてはこない釘の箱からこぼれ出た無数の釘

  • 179

    星の間で、ただ Among the stars, just 夜の静寂が肌に染み込むように広がる。 後ろより蝸牛のような影が追い抜き、 その次に生身の身体が追い抜いてゆく、 ゆるやかなリズムで、 人生の一場面を走り抜け

  • 夜に呼ばれる

    夏になると怖い夢を思い出す。 粘りつく湿気が肌にまとわりつき、鳥肌が立つ。 夢の中で赤ちゃんがいないとか言って包丁を持った女が追い掛けて来る。 半狂乱だった。 額には汗の珠がはじき出されるように流れて

  • 即興の果て

    ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ブルーノートの囁き、 ​​悲し、みと混ジ、っ、テ、​​ パパパ...ズッダダダ! 電光石火、深部で、濁った水溜まり、 誰かが作っ

  • 昆虫世界

    昆虫の危険度は単なる身体の大きさで測れるものではない。 むしろ、矮小で取るに足らないものに見える身体をした、 その昆虫の中にこそ強力な毒を持つものや、 病原菌を媒介するものが多く存在する。 実際に、毎

  • 178

  • 177

  • ファミレス文化論

  • 176

    ミラージュ・サーガ・ フラクタル・アリアの酩酊 静かな午後の空気が、 万華鏡の覗き穴した、音の粒子に、 幌馬車した。 煉獄のカルマなんていうものを、 うっすら想像したくなるぐらいの奈落の底へ。

  • 175

    詩 言葉が揺らめいて、溜息になったろう、 そして澄んだ空気の中で光は鍵の束のようになり、 てんでばらばらの不細工な花束のようになるだろう。 時間の経過を恐れない、 古びてしまうことも新しくなるこ

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