GO ON! 社会が持つ風潮や空気の読み合い、様子のうかがい、 社会にも自分にも「ひずみ」 正直に感情を表現できない状況に対して、 プレートテクトニクス的な、 一つの風穴を開けたいという気持ち。 「もや
模糊 神様だって気付かない春への扉、 路地裏を抜けて、夜の星を数えて、 不首尾で退屈な映画みたいな人物造詣やキャラ配置。 (コカ・コーラ一気飲みしようとして、 全部吐き出すようなおぞましさ、) 心
six 夕陽が心覗いた時、 これがさみしさ。 言葉の奥で、痛むのが、 骨の白さのような、さよなら。 夕焼け色、飛行機雲、 一番星、まだ薄ぼんやりした月が、 ソラリスの幻影。 高解像度の映像は、波立
薄氷の上、火花散らして舞うように、 誰かに想いを伝える素直になるための魔法の
セント・マーチン島 セント・マーチン島、 ちなみに『セント・マーチン』とは、 西暦三〇〇年から四〇〇年の間に存在したキリスト教の聖人。 しかしセント・マーチンは『カリブの海賊』の舞台でもある。 だ
世界が停止することはない。 けれど、瞳の中では、 世界がピタリと独楽が、 静かな運動をしているように、 額縁のなかの、 絵画と化してしまうことがある。 夜半の寝覚もそうだと言えるかも知れない。 ゾー
胸を張って歩きたかったの、 鼓動が指先にまで伸びるみたいに。 君が思うよりずっと。 君が考えるより、ずっと―――。 見つけたら何かが消える―――消える・・。 心にあるものがそっと消える―――消える・・・。 (
この世界を欺く貧弱な正義 The poor justice that deceives this world 空間転移、逆再生現象、 まだ眼に映るすべてが、 スローモーション。 海底の岩の牡蠣の如き、 こびりついた、 粘着質、 こそげずに
横顔 湿気っていうのが、 肉体に拡がっている。 都市自体が巨大な、 密閉容器みたいだ。 路地裏に隠れて息を潜めるシケタ面、 この世界の魔力、重力、 湿度という名の列島感覚に囚われてる、
枯れない桜 Cherry blossoms that never wither 桜は霧、 名を呼ばれるまで、 透き通っていたのは、 童話が美しかった季節が、 あるから。 地球儀は傾いている、 わたしの座標軸のせいで、 メドゥ
キラメキ パスワードが違います。 乱酔に似た異様な激情の恍惚感が、 たえず花火のように閃めいては消え―――。 む。 むむ。 (SEEK IT BETTER...) 急にアフリカに行きたくなる五秒前、 ―――吐息が止
映画館へ行こう 映画館はポップコーンを食べる場所、 ハンバーガーとポテトとチキンナゲットまで、 このストロベリーシェイクがべらぼう、 お前何しに来た、 ポテトチップスまで食べる場所。 もうカレー食
雨の生まれた日 六月は平坦な道を歩くはずだった出来レースなのに、 躓いて足をとられる。 虚ろな空白のような、 この―――静かな嘘・・・。 「またね」と手を振る君。 軽く手を挙げて「じゃあな」と返す。
The stick puppet keeps walking 今日が何だって、 日々と呼ばれるから。 日々は続く、 明日があるから。 青とも灰色ともつかぬ、 うるんだような、 一種独得な深い瞳の色をして。 何かを悟っているよう
悪魔の誕生 終点への伝播までにどれぐらいかかるだろう、 翼はなかった、眼下には、 木に吊るされた何十体もの木切れ人形と、 ビーチパラソルのようなパラシュート。 太陽の明暗境界線から、四十五度の傾き
アロマンティック わたし、実は恋愛に興味がないの。 あなたとデートしたけど、 そうすればドキドキするかと思ったからなんです。 下敷きぐらい薄い動機でごめんなさい。 一言で言えば、生理的に無理でした
winter style 冬は寒いからみんなあわよくば家に帰りたい、 炬燵カムバック、 ストーヴつまるところイエスアイドゥ、 冬のコンビニは誘惑度が高い、 コーヒー糞飲みてえ、駄目だ、こんなことじゃ、 その惰
fragrant olive 青白い水底のような馥郁たる匂いに満たされた、 その場所の名前は、金木犀。 深奥を極めた恐るべき階梯で、 水晶の粒や、金雲母の欠片だ。 鏡より飜身して、光画に変ずる甘美なくちどけの前
かわうそ 「かわうそだきゃら~川に行く そしてお前を三途の川ルルル・・・・」 おお世も末、うちの娘が、 かわうそになってしまったんですよー、そーなんですよ、 そーなんざますなまずざますかわうそだらす
殺し屋 君さ、ラーメンに葱が入っていないラーメンを食べようとしたね、 それは神様だって許さないよ、わたしは許したよ、 でも神様は偏狭だから許さなかった、そことても大切。 だから君を許さない、 詭弁
竜宮城 夢を見ていた。 歩いていると穴が空いて、地下へ真っ逆様だった。 そしてふと眼を開けると、 そこは、竜宮城だった。 竜宮城で酒池肉林をして、 「会計百万円です」と分かり易く、 ぼったくられ
鳥 考え、発見し、考え直し、再発見する、 その思考の持続、その深度と跳躍。 誤謬の夾雑物の作用。 人および物に対する同情と理解との欠乏は、 自分の心の全面に嘲笑と憤怒とを漲らしめた。 その白さ。
square ダイアモンドは基本的に、 オクタヒドロンと呼ばれる八面体で、 決して美しい 石ではない。 古代から色々なカットが開発され、 数学者や熟練工によって、 現在最も美しいと言われている、 五八面体
一オクターヴ低い調子で かわいいのに危険な動物は何? 君だよ。殴るからね。 でも“かわいい”は残る。 猟奇的ア・ラ・モードは残る。 喧嘩売ってる? 先物取引。からの、自賠責保険。 釈迦に説法FX。か
きれいな花 誰に何を言われたとしても、 止められないわ、秘密のfantasy 悪魔の欺騙、円満の具足、 頭の中を駆け巡る幾千万のsignal 「ジオラマ、ヤンキー、絵本・・・・・・」 (j...u...s...t...i...c...e..
深海積雪日和 君がいなくなった場所で 僕は昨日のことのように 思い出している 糸蚯蚓のような血管浮かべて 森の奥で樹が倒れる音がした 世界は大きな消しゴムだ 鮫の卵があったんだ クロロホルム嗅が
slow snow 雪が降った。 “走れ” (...SNOW MEMORY) ビルの狭間―――で、大都会の・・、 迷子―――達、 世界は―――真っ白に・・染まった・・・。 触れた温もり・・。 穏健、周到、着実、 どこに一点の無
光の向こう側 架空庭園の景色が見える、 エデンの東。 そこには四つの川。 ピション川、ギホン川、 チグリス川、ユーフラテス川。 そして僕等は、 知恵の樹の実を口にした。 でも僕が見ているのは、
78 *恋愛songで損害賠償の事例そろそろ起きないかな(?)
彼女は綺麗だ 夕方の教室、 机に肘つけて、 君は上目遣いをした。 僕の股間は間違いなく壁ドンしていた。 そのまま僕等はザ・エンドさ。 何もかもが、おしまい。 子作り、ハッスル、金太郎飴。 真面
77 *じつはだれもがあたまのうえにどうぶつをかっています(?)
あのときあなたは わたしのあたまのうえにのっていた むすめよむすめ おまえにいいことがある わしはじつはなにをかくそう こうふくのあげねずみ そういって あたまのうえにすみついた べつにいいことは
76 *そうそう、焼き芋と一緒にひよこが出てくるのよね(?)
なんだこりゃ おちば、ひよこ、 わかば、それはちがう。 おちば、ひよこ、 あおば、それはちがう。 おちば、ぴのきお、 ストップ。 むずかしいのね。 むずかしいのさ。 だから、タッタラタラリラ、
75 *そうそう、テンションが少し上がりすぎるんですよね(?)
よくある日本の豆まきの光景 うおおおおおおお豆じゃあああああ、 なまはげ、豆まき、剛速球、 おにはそと、はとにまめでっぽう、 ってなんで裸なんじゃああああい! 鬼「クークルッポー(鳴き声)」 わ
茶道とは何だろう? 湯を沸かし、茶を点て、茶を振る舞う行為だ。 しかし、そこには振る舞いというのが厳然と存在し、 数年に一度流行るマナー本のようなものとは一線を画す。 掛物、花入、風炉、茶碗、茶器、
73 *世の中には一定数バランス要員というのがいるのだ(?)
お前等、期待しすぎ 何かあるとか思ったでしょ、 揺さぶりかけてくるからね、 けど何もねえ。 喋ることが面倒臭せえ、 だりい、まじかったりー、 こんなんだったら腕立て伏せか、 スクワットすべきだ。
ジャミラ 一緒に暮らしている彼女は、 掃除も料理もしない。 煙草吸うし、酒も飲む。 これいけない、うん、いけない、 すごくすごくいけない。 男の股間関節症、違うな。 そう泌尿器科がモンダイ。 って
幼馴染 幼馴染を異性として意識した瞬間、 恋人と親友の境界、 ―――そんなことを考え、 宇宙人に皮膚を乗っ取られ、 エリア51へ突っ込んでいた。 その時の俺は、 「冷蔵庫+電子レンジ+炊飯器」 ―
以降、「灯台」は変化のない時間のなかに潜伏することになる。
「すべての始まりについて、 考える時に、 すべては終わっている」 「故にそれは存在していないが、 それは存在している、 この矛盾こそが・・・」 世界 (――何も生まれなかった世界の、
いいかい子供達、 外側を見ることをもうやめて、 内側を見るんだ。 これは僕の戦いであり、 世界にまつわる最後の争点さ。 すべてを忘れて、自分の行動の制限を始めよう。 僕の宗教と、僕の神と、 僕の正
魂は凍えている my soul is frozen 夢の経路はいつ捩じれて、曲がり角の暗い情緒を、 振り返っていいたのだろうか。 まるで―――鏡を覗き込んでいるみたいで・・。 (君が、一つの鋭どい意志の尖角となり、)
山羊 ヤギは、偶蹄目ウシ科ヤギ属(Capra)の動物の総称で、 「メェ」と鳴くが、ウシの仲間だ。ヒツジもウシの仲間。 ウシ科の仲間なので反芻をし、四つの胃がある。 ヤギの品種は二〇〇を越え、肩高は四〇
星月夜 フィンセント・ファン・ゴッホの、 「星月夜/The Starry Night」といえば、 ゴッホの代表作だ。 あるいは、ロールシャッハ・テスト、 TAT(主題統覚検査)、バウムテスト、HTPテストを想起さ
わんこそば わんこそば(椀こ蕎麦)は、 岩手県(花巻、盛岡)に伝わる蕎麦の一種だ。 長野県の戸隠そば、島根県の出雲そばと共に、 日本三大そばの一つであり、 盛岡市では「盛岡冷麺・盛岡じゃじゃ麺・わ
焦燥の表情が、 四月の夜、 広沢の池のほとりの道端にかがり火が赤々と燃え、 人々が桜の前に十数人集っている。 さや 月夜の時あかりかげるかと見れば騒ぐ、 谷底の日の暮の冷
フジテレビ記者会見 謝罪会見というのがある。 芸能人や企業など、不祥事を起こした場合は謝罪会見を開かないと、 マスコミや世の中が納得しないので、 当事者は渋々謝罪会見を開かざるを得ないというものだ
春風 渇愛、教育的指導・・。 ―――結愛、不可避懲罰。 尽愛、溺愛・・・・・・。 危険信号式の刹那本能、 自我、欲求、警告、 メタデータに吸収・・・・・・。 (起動する...) 《満月は高きへと移ろうだろう・・・・・・》
瞬間接着剤、 君はまだ答えを知らない 物を壊した時の力強い助っ人といえば瞬間接着剤だ。 接着剤は液体であり、接着対象の二つの表面に広がり馴染んで、 分子レベルで結合する。そして乾燥して固化すること
捻挫、突っ張り、打ち身 スポーツ、喧嘩などに巻き込まれれば捻挫や、筋肉の突っ張り、 打ち身などを経験するもの。 時には中世の甲冑でちゃんばらごっこをやったり、 時代劇専門チャンネルの影響で、 木刀
海苔の話 この頃の海苔はさっぱり香りがない、と言う。 とはいえ、おにぎりに、お弁当に、おかずにと大人気の食材で、 海苔は、白米との相性バッチリで和食に欠かせない。 名ばかりの和食じゃないかジャポニ
市民マラソン 市民マラソンとは、市民が参加できるマラソン大会で、 四二.一九五キロのフルマラソンや、 一〇キロなどの距離が設定されていて、 全国各地で開かれている。 子供から大人まで幅広い年齢層
睡眠それは生き物が自分の身体や頭を休める、大切な行動。 人間にとっても生理的な現象で、食欲性欲と一緒に睡眠欲は、 三大欲求なんて言われている。 ちなみに睡眠は日中の疲労蓄積と体内時計のバランスで、 規
Toscana かなしい夢は、高い蝶番の響きを残した。 それが記憶の整理だとしたら、 口の奥歯、鼻の穴、 耳の穴まで覗き込まれていることになる。 散らばった空白の欠片が、 錆びだらけの朝の幻を呼び起こ
いい男って中々いないもん 前の彼氏カレーをスパイスから作る男だったのね、 ねっていうか、根だった、ガジュマルだった、 屋久島だった、 クリスマスの日、枯れてしまうウウウ、枯れてしまうウウウ、 Yo
大人になれない人もいて、 ドラマのキャラみたいな、 生き方をしたがる人もいる 月の夜、僕等は薄い、寒い、侘しい、 関係を欲する。 君の両親は不仲で、絶賛浮気中。 だけど口癖は「勉強しろ」 どの口
Even though it's winter, it feels like autumn continues. 夕立ちに耐え風に運ばれた、 すがりどころのない、横っ面で、鼻っ先で、 道端にたたずんでいる落ち葉。 無限の嘆きと恐怖のこもった声が耳に残る
Spring is definitely in my heart (春は確かにわたしの心の中にある) ドキドキする。 君の横顔が忘れられない、 授業中も宇宙からのメッセージ、 あるいは秘密結社の暗号。 それが生きる拠りどころで
sunset 夕暮れ染まる水平線、波の音、 夏の日を、駆け抜けてた今が思い出に変わる。 穴の空いたスニーカーは波打ち際で、 濡れたまんま、その真上に麦藁帽子が舞い落りて、 一つの愛の巣を作っただけ―――
朝 薫り高きコーヒーの朝、 心のヴァージョンは随時更新中。 眼を醒ます、 この不毛は、 泡沫とたわむれよう。 この虚無は、 いやらしい汗の蒸留。 非日常的に澄んだ眼の光を想起する、 繊細な味わい
箪笥の角に足の小指をぶつけた時のQ&A 箪笥の角に足の小指をぶつける。 それは殆ど慣用句的に使われる肉体的アクシデントの一つだ。 足の小指をぶつけて変色したということも長く生きていれば、 一度や
毒物とは、人体に有害な効果を与える物質。 毒物はその由来から「自然毒」「人口毒」に分かれ、 自然毒は「生物毒」「金属毒」に分かれ、 生物毒は「動物毒/蜂や蠍、河豚、蛇」 「植物毒/トリカブト、毒キノコ
茫々とした枯野の暮色が、一痕の月の光もなく、 夢のように漂って・・・・・・。 鼻は二つ穴のボタン・・。 『次、停まります』と運転手がアナウンスをする、 田舎で田園風景、山や雑木林といった自然に囲まれた景色
日本人が求めている、 よくある他人の不幸は蜜の味な、 物語と呼べない糞みたいな話。 Japanese people want The common misfortunes of others taste like honey. It's a shitty story that can't even be c
おもいでづくり じゃあここで、三年前の貸しを 返してもらおうかって親友が呟く、 すごく笑顔で、何か不気味な笑顔で。 「今日は冷えそうだ」(ボソリ) え、なになになに・・・? 「死なない程度に頑張れ
48 *そうそう、よくもみの樹ぶっ飛んでくるんですよね(?)
いつかの君が言った、 「メリークリスマス」と呟いたら、 もみの樹が窓から突っ込んできて、 いやあ、カチコミじゃないや、ガサイレじゃないや、 繁忙期なんで、掻き込み時? って、お前、しゃべれたのか、 ス
ホーリー 北風―――それが冬の僕等が従うべき、 静かで厳かな、流れる樹脂のように世界へと循環する空虚な、 しかし厳しい唯一の掟。 アスピリンが密告する。 冷たい闇の刃金が触れてきたような寒さを味わい
占星術 ごくごく当たり前のことだけど、 占星術が詐欺であることは言うまでもない。 何故かといえば、まず、占星術における星座は刻一刻と変化していて、 それぞれの星座と一致するカレンダーの日付も変更
DARK SPARKS OF HORSE BONESに愛をこめて
いつになく夜々の暗い夢は忘れて、 明るい昼間の夢と希望どころか、 白昼夢へと身にそぐわぬ磊落な振る舞いをする、 ―――ロックコンサートの夜。 「もっと騒げ! 躍れ! 跳ねろーーーっっ!」 ヴォーカルのR
摂食障害 ダイエットをすると頭の中は食べ物と体重のことだけになる。 忙しい生活を送りストレスが溜まる一方になると、 その捌け口が食事になる。 人は多かれ少なかれ不安を抱えながら生きていて、 人
A story about beloved sake ラテン語の「In vino veritas(酒の中に真実がある)」 という古い慣用句は、 「酒に酔っ払うと人は本音を表に出す」ということを意味する。 酒、アルコールが溶け込んだ水に過
それと言うのも僕が素直でなかったからでもあるが、 ほんに真っ白な明晰を、連れてくる足跡。 それと言うのも僕に意気地がなかったからでもあるが、 ほんに 寝不足気味の足の行方は気象衛星。 ―――坂の枕で、空の
行くあてがなく切ない? それともあなたも、 誰も愛してくれないの? こっちみて、ゆれて。 一 滴 の 水 の 微
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不.安.ば.っ.か. 運.ん.だ. 広角レンズに映るクリーム
無法地帯という言葉を聞いて何を想像するだろう、 存外、治外法権という言葉を思い浮かべるかも知れない。 とはいっても治外法権とは、国際法上の権利で、 在留外国人がその居住する国家の法律に拘束されない特権
これは一体何度目の冬? そしてこれは一体何度目の絶望? A
<ゴミ箱から異世界へ行きます> ...エアコンの室外機で、 “コマンド入力”する、 「※ コマンド入力によるアクセス可能」 [ライ
昼下がりの空気は、 まるで熱に煮えたぎる水のようにゆるく歪んでいた。 アスファルトの表面温度は摂氏五十度を超える
閉じられてゆく世界/こじあける世界 外出とは、僕等を覆う、薄くも強固な一枚の膜を破る行為だ。 それは、室内という、完璧に守られ、制御された空間から、 広大で予測不可能な世界という名の無限の可能性へ
コイン精米機 駅前のスーパーの、日陰になった隅。 真夏のアスファルトの底知れぬ熱気を、どこか遠ざけるように、 その機械は背を低く構えている。 薄緑色の鈍い光沢を放つ鉄の外装が、午後の傾きかけた日差
深夜の蒼色のレーダー図より 人類が、まだおぼつかない歩みで大地を離れ、 空という無限の領域へと、その視線を向けた、まさにその瞬間から、 戦闘機は、もはや単なる鉄と火薬でできた兵器ではなくなった。
狐影戦記 雨雲が、鉛色の重みを帯びて空を低く覆い、 その冷たい滴が、無数の甲冑の表面を濡らし続けていた。 一粒一粒の雨滴が、武士の兜の鉢金を叩く音は、 遠くで響く雷鳴にも似て、湿った戦場の空気を震
空豆 風の気配すら感じられない、とある静謐な午後。 畑の一角に、他の草木よりもひときわ高く、 向日葵やアスパラガスのように、 まるで誰かに見せるかのように、その青い莢を掲げる、 控えめながらも存在
洞窟の火と手の記憶 The Fire in the Cave and the Memory of the Hand 社会主義という思想の根底には、人類が持つ、 普遍的な感情が横たわっている。それは、 眼の前に広がる「不公平」への、燃えるよう
蝶の光、なめくじの夢 一九八〇年代後半、日本という国全体が、 まるで巨大な金色の泡の中にいた。 その時代、空気は、根拠のない楽観論と、高揚感に満ちていた。 富を欲するものは恥を忍び、傾絶せよ。
麦茶 夏の兆しが、まだほんのりと青い、 湿った空気の匂いに混じり始める頃。都市の喧騒から離れた、 あるいは古い住宅街の、とある台所で、 ひと鍋の麦茶が、静かに、そして緩やかに煮出されている。 窓辺
UVB-76 モスクワ郊外、深々と雪が降り積もる、凍てつく冬の夜更け。 時計の針は午前三時十七分を指し、街の喧騒は遠く霞んで、 あたりは深い静寂に包まれている。 その静けさの中で、一台の古びた真空管ラジ
性同一性障害 性同一性障害、 あるいは、現代において、より精緻な感性で紡ぎ出された言葉、 「性別違和(Gender Dysphoria)」という概念。 それは、まるで一枚の絵の中に、矛盾する二つの静寂が、 しか
巫女バイト 凍てつく冬の早朝、あるいは夏の熱気を帯びた祭りの夕暮れ。 冷たい風が頬を撫で、周囲の静寂が心を洗うような瞬間、 凛とした冷気を纏い、清潔な白衣に、 鮮やかな緋色の袴をすっと身に纏い、
ウミヘビ ウミヘビ、その響きは、 どこか遠い海の底から聞こえてくる、 神秘的な歌。 それは、単に海に棲む蛇ではなく、 太古の昔、乾いた陸から、青く広がる海へと、 大胆に越境を果たした生命の使者であ
レタス スーパーマーケットの鮮やかな陳列棚で、 あるいは食卓のサラダボウルの中で、 ついぞ僕等はそれを、「ただのサラダの脇役」として、 その存在を無意識のうちに通り過ぎてしまう。 しかし、このみず
「90%の人が効果を感じました」という表現と、 残り10%への説明責任は? 「確率的に1%の可能性があります」と言う時、 その1%に命を託す人の姿勢は、論理よりも切実で重い、 遠隔気功というスピリチュアル詐欺師
珈琲 誰もがそれを見たことがあるに違いない、 ソーサーという受け皿から離し、 コーヒーカップを持ち上げ、 一口味わうという略奪―――を。 無力な叫び声のように、 何処にいたんだ? あまり時間がない
埠頭 埠頭で波の静かな呼吸が聞こえる。 太陽が失せてしまうと、夜の世界だ。 砂浜には、貝殻や、プラスチック、硝子、 シーグラスなどもあるかも知れない。 空き缶や、ハンバーガーの袋。
子守歌 象の子供に飼育員が、人間用の子守歌をうたうと、 すやすや眠ってしまうという話があったけど、 子守歌には鬱が塗りこめられている。 もちろん賽の河原へ連れて行くとか、 包丁で大根のように切り
鏡 儒学伝来以後、「鏡」は「知」 ハエトリグモに鏡を見せると、 踊るような挙動を繰り返すけれど、 これは明確な―――“威嚇”だ。 合わせ鏡で“無限の反射”を生み出すことは可能か、 という問い掛けがあ
十字路 自動運転になると信号機をなくせたり、 交通事故そのものがなくなる可能性がある。 この交通渋滞を起こさせないASBCは、 航空管制システムをイメージすれば分かりやすいが、 前提
クリップ 書類を挟む文房具のクリップ。 引っ掛けられる、だって穴があるから、 目玉クリップ。ピン系の画鋲と組み合わせると、 謎の無双感を発揮する。 食べかけのお菓子や使いかけの食材などを、 「パチ
展望エレベーター 2050年、鋼鉄の20倍以上の強度を持つ炭素繊維、 「カーボンナノチューブ」のケーブルを伝い、 30人乗りのかごが、高度3万6000キロのターミナル駅まで、 1週間かけて向かう
flash 太陽のまわりをまわっている、 惑星の軌道とその速さが一目でわかる、 シミュレーションインタラクティブフラッシュ。 二時間、四時間、八時間もかかるような投げ技、 様々なトリ
そよ風 風吹けば、 波揺れのバランスを取りながら歌う足枷、 穂のあるいろんな植物が長座体前屈をすれば、 ヘアピンが外れて光がチクチクする。 脳波、心拍数、血圧、呼吸数が、 ストレスによって無
ピアノ お腹が減ると、 ピアノへと近寄り、 飼い主へ鳴らせよ届け、 前脚で鳴らす猫。 ミュージシャンキャット、 ゴロゴロ咽喉を鳴らす。 ドレミファソラシド知らない、 海賊は海へ突っ走って衝突
目薬 水たまりに落ちる大きな水滴のごとき、 スローモーションの点眼の瞬間、 意識とは関係なく勝手に自動的に、 意味のない感覚を闇の中にずるずると紡ぎ出し、 残した足跡がくっきりと残ったまま、 音楽
運びます 生活必需品だって宅配便で運ばれる時代だ。 そういうのが一気にやって来るような気分になるのが、 引っ越しだ。 Amazonの労働は厳しいらしい、 物をテレポートさせられたら商売になら
視聴者の意見 つまんない。 ヨーグルトの半分、 ハバネロ入れてみたい、 ワンタイムパスワード。 合法的な面白さ、 考えろよ。 量産されて、風化して、 脆い論法、焼き直し。 スルー
お迎え 待っている時間も嫌いではない、 どう時間を潰そうかって思う。 約束はしない主義だけどね。 だって、約束は相手を縛る、 義務が嫌なんだ。 でも会ったら、目蓋の微妙な反応や、 表情の一瞬の青天
bottle ship the sky 美しいとか可愛いなんて、 嘘でも一度も思えたことがない自分でも、 脳を焦がすような華麗なる昇華の軌跡を求めて―――る、 さあ、物語の始まり―――だ。 不意に床に落ちた栞、 坂道へ
永遠の青い花 月暈が 光りながら、 引力のコラージュして、讃美歌して、 血の甘さに驚きながら戸惑いの吐息して、 僕の、名前忘れてくれる。 チェリーパイに突き刺すナイフみたいな、 この先で滲んで
万引き依存症 「万引き依存症」という主張が法廷でなされ、 癖になって病的な窃盗は免罪や減刑されることが多くなった。 窃盗症やクレプトマニアという病名である、 通称「万引き依存症」だ。 全国で一日
170キロ時代 世界最高球速はキューバ出身メジャーリーガー、 アロルディス・チャップマン投手が記録した、 105マイル(169.14キロ)だったけど、 今年はベン・ジョイスがいる。 御存知の人もいるだろうけど、
福浦橋 福浦橋を渡る。 大人二百円、子供百円。 売店と切符売り場の通路から、 橋へと渡る。 「福浦島」に架かる二五二メートルの、 朱塗りの橋。 通称出会い橋と呼ばれていて、 渡ると良縁に恵まれる
messenger from memory 出張が多いと、 座席は窓際か通路側を選ぶべし、とか、 交通系ICカードの利用履歴レシートは、 電車の券売機やポイント交換機で印刷が出来る、 なん