宵越しの金は持たない禅僧
ちょっと面白い問答があったので、見ておきたい。問、師、誰家の曲か唱えるや。宗風、阿誰に嗣ぐや。師云わく、銭有れば銭を使い、銭無くして貧を守る。『建中靖国続灯録』巻8「東京十方浄因禅院浄照禅師」これは、浄照禅師という人の対機(相手に合わせた指導のこと)である。なお、浄照禅師とは、かの潙山霊祐禅師(771~835)の弟子である。そして、上記の問答は何が問われているかというと、或る僧侶が浄照禅師に対して、誰から法を嗣いで、どのような宗風を鼓吹するのか?と聞いているのである。当然、潙山禅師の法嗣だから、その辺を答えるのかと思うと、決してそんな分かりやすい答えは言わない。むしろ、「銭が有れば銭を使い、銭が無くなって貧を守る」と答えている。或る種の「貧道」という言葉を地で行くような内容だが、そういう意味で良いのだろう...宵越しの金は持たない禅僧
2023/01/22 10:35