ジョン・ディクスン・カー『絞首台の謎』を散策する(その3)

ジョン・ディクスン・カー『絞首台の謎』を散策する(その3)

フェル博士が活躍する長篇シリーズ第6作『三つの棺』では、作品の終盤になってフェル博士が「密室講義」を始める。何故?と聞かれて「われわれは探偵小説のなかにいるからだ。」と答える。それまで作中の人物としてのリアリティを体現していた存在が、それを演じていた役者にすぎないのだと赤裸々に話し出すのだ。当時としてはかなりぶっ飛んだ挿入シーンは、エンターテイメントが何事にも優先されてしまう現代でもかなり興味…

2025/04/17 01:01