これまでの記事で、鎌倉新仏教を構成する重要な3つのピースのうち2つ、「浄土思想」と「称名念仏」を紹介した。この記事では、最後のピースである「本覚思想」を紹介したいと思う。 この本覚思想、実は現代の日本人の精神性にも深く影響を与えている、極めて重要な考え方なのである。 さて大乗仏教は、衆生を救う教えである。基本的に、すべての衆生には悟りの可能性がある、というスタンスに立つものだ。 人がその内に有している「悟りに至る可能性」、これを「仏性」と呼ぶが、院政期頃よりこの「仏性」という言葉の代わりに、「本覚」という言葉が使われるようになる。同時に言葉の示す意味も変わっていく。 どう変わったのかというと、…