訓読 >>> 847我(わ)が盛(さか)りいたくくたちぬ雲(くも)に飛ぶ薬(くすり)食(は)むともまた変若(をち)めやも 848雲(くも)に飛ぶ薬(くすり)食(は)むよは都(みやこ)見ばいやしき我(あ)が身また変若(をち)ぬべし 要旨 >>> 〈847〉私の盛りはすっかり過ぎてしまった。たとい雲に飛ぶ薬を飲んだところで若返ることがあろうか、ありはしない。 〈848〉雲に飛ぶ薬を飲むよりは、奈良の都を見たならば、いやしき我が身も若返るだろうに。 鑑賞 >>> ここの歌は、天平2年正月13日、大伴旅人の邸宅での宴で詠まれた「梅の歌」32首(巻第5-815~846)の後に、「員外、故郷を思ふ歌」との…