訓読 >>> 481白栲(しろたへ)の 袖さし交(かへ)て 靡(なび)き寝(ね)し 我が黒髪の ま白髪(しらか)に なりなむ極(きは)み 新世(あらたよ)に ともにあらむと 玉の緒(を)の 絶えじい妹(いも)と 結びてし ことは果たさず 思へりし 心は遂(と)げず 白栲の 手本(たもと)を別れ にきびにし 家ゆも出(い)でて みどり子の 泣くをも置きて 朝霧の おほになりつつ 山背(やましろ)の 相楽山(さがらかやま)の 山の際(ま)に 行き過ぎぬれば 言はむすべ 為(せ)むすべ知らに 我妹子(わぎもこ)と さ寝し妻屋(つまや)に 朝(あした)には 出で立ち偲(しの)ひ 夕(ゆふへ)には 入り…