訓読 >>> 1360息(いき)の緒(を)に思へる我(わ)れを山ぢさの花にか君がうつろひぬらむ 1361住吉(すみのえ)の浅沢(あささは)小野(をの)の杜若(かきつばた)衣に摺(す)りつけ着む日知らずも 1362秋さらば移しもせむと我(わ)が蒔(ま)きし韓藍(からあゐ)の花を誰(た)れか摘(つ)みけむ 要旨 >>> 〈1360〉命がけで思っている私なのに、あなたはもう、エゴノキの花がすぐしぼむように心変わりをなさったのですか。 〈1361〉住吉の浅沢の小野に咲いている杜若よ、その花で衣を染める日が、いつになったら来るのか知られないことよ。 〈1362〉秋になったら移し染めもしようと思って、私が…