防人の歌(31)・・・巻第20-4351
訓読 >>> 旅衣(たびころも)八重(やへ)着重(きかさ)ねて寐(い)ぬれどもなほ肌寒(はださむ)し妹(いも)にしあらねば 要旨 >>> 旅の着物を何枚も重ねて寝るのだけれど、やはり肌寒い。妻ではないので。 鑑賞 >>> 上総国の防人の歌。「八重着重ねて」は、何枚も重ねて着て。時は2月です。作者の玉作部国忍(たまつくりべのくにおし)の故郷である望陀郡は房総半島の現木更津市・君津市の辺りです。東京湾に臨む温暖な地であり、東山道を行く旅はさぞ寒かったことでしょう。 防人に指名されて国庁に集まった防人たちとその家族は、そこで防人編成式に臨み、そのあと家族と別れ、国司職の部領使(ことりづかい/ぶりょう…
2024/05/21 00:00